表4.4 対数線形モデルの比較(男性)
主効果 Log likelihood df 比較 ΔL2乗 p
1 無効果 [C][F][J][H][U]
[CF][CJ][CH][CU] (base) -26423.62 39
2.1 トラッキングのみ [JH] [HU] -26228.11 45 1 391.00 0.000 2.2 階層効果のみ [FJ] [FH] [FU] -25860.60 47 1 1126.04 0.000 2.3 中学校無効化 [FH] [FU] [HU] -25872.61 49 1 1102.02 0.000
3 トラッキング
+高等教育主効果 [FU] [JH] [HU] -26084.65 49 2.1 286.93 0.000
4 中学校階層効果無 [FH] [FU] [JH] [HU] -25862.52 52 3 444.26 0.000 5 階層効果+トラッキング [FJ] [FH] [FU] [JH] [HU] -25842.72 53 4 39.60 0.000
表4.6 対数線形モデルの結果
男性 女性
beta (s.e.) exp(beta) beta (s.e.) exp(beta) 潜在クラス
1 -2.374 (.178) 0.093 ** -2.990 (.268) 0.050 **
2 2.374 (10.735) 10.735 2.990 (19.881) 19.882 独立変数(潜在クラス1=1,潜在クラス2=-1)
父教育年数 0.141 (.011) 1.152 ** 0.184 (.016) 1.202 **
父職威信 0.018 (.003) 1.018 ** 0.018 (.004) 1.018 **
兄弟姉妹数 -0.117 (.022) 0.889 ** -0.115 (.034) 0.892 **
中学校
国私立 -1.453 (.055) 0.234 ** -1.367 (.056) 0.255 **
公立 1.453 --- 4.275 1.367 --- 3.924
潜在クラス1×
国私立 0.344 (.056) 1.410 ** 0.440 (.064) 1.553 **
公立 -0.344 --- 0.709 -0.440 --- 0.644
高等学校
普通科A 0.200 (1.875) 1.221 0.599 (1.357) 1.820 普通科B 2.213 (1.829) 9.139 2.421 (1.348) 11.253 †
職業科 1.057 (1.850) 2.877 0.980 (1.356) 2.664
非進学 -3.469 --- 0.031 ** -3.999 --- 0.018 **
潜在クラス1×
普通科A 3.065 (1.873) 21.439 2.376 (1.353) 10.764 † 普通科B 1.279 (1.825) 3.594 1.191 (1.346) 3.291 職業科 -0.640 (1.850) 0.527 -0.028 (1.353) 0.972
非進学 -3.704 --- 0.025 -3.539 --- 0.029
国私立中学×
普通科A 0.378 (.139) 1.459 ** 0.219 (.120) 1.244 †
普通科B 0.028 (.100) 1.028 0.029 (.085) 1.029
職業科 -0.007 (.122) 0.993 -0.001 (.111) 0.999
非進学 -0.398 --- 0.671 -0.246 --- 0.782
占める割合の少ない方の効果を学校段階別に示したもの
(𝜇𝜇
1𝑖𝑖𝐹𝐹𝐹𝐹, 𝜇𝜇
1ℎ𝐹𝐹𝐹𝐹, 𝜇𝜇
1𝑢𝑢𝐹𝐹𝑋𝑋)
である.このクラスは父学歴・父職威信からは正の効果,兄弟姉妹数からは負の効果を 受けており,潜在的に高い階層群として見ることができる.各学校段階の値を すべて合計すると
0
になるように設定されている.これを見ると,すべての段 階において階層の効果が存在することがわかる.3章の分析と違い,これらの 値はそれぞれの教育段階について別個に推定された値であり,その大小関係に90
統計的な有意差を持って正当化することはできない.ここでは,その値を大ま かに見比べて傾向をつかむことにする.男性では,特に高校段階において,前 後の学校段階と比較してもその効果は強い.階層効果について,より早い学校 段階において階層効果が強く,後の段階において弱まる「階層効果逓減現象」
(
Mu ̈ llar and Karle 1993; Blossfeld and Shavit 1993; Breen and Jonsson 2000;
荒牧2008a,b
)は高校と高等教育の比較において整合的だが,中学校と高校の比較においては整合的ではないことがうかがえる.中学校段階には「非進学」のよう なのちの教育達成過程に著しい不利をもたらすような選択肢がなく,国私立中 進学は限られた集団のオプショナルな選択肢であることが理由として挙げられ る.
女性に関しては,高校・高等教育段階において,普通科
A,大学 A
のような 上位校に関しては高校よりも高等教育段階の方がわずかに大きい.このかい離 が意味のあるかい離なのかを判断することには慎重にならなければならないが,少なくとも,男性で見られた高校>大学の関係は見られない.一方,非進学カ
表4.6 対数線形モデルの結果(Cont.)
男性 女性
beta (s.e.) exp(beta) beta (s.e.) exp(beta) 高等教育
大学A -0.753 (2.419) 0.471 -2.726 (8.036) 0.065 国公立大学 -2.971 (9.297) 0.051 -2.564 (3.101) 0.077 私立大学 1.305 (2.329) 3.688 0.013 (2.181) 1.013 短大専門 0.571 (2.345) 1.769 2.613 (2.096) 13.634
非進学 1.849 --- 6.350 2.664 --- 14.355
潜在クラス1×
大学A 1.363 (2.397) 3.907 2.705 (8.029) 14.956 国公立大学 2.894 (9.307) 18.062 1.731 (3.103) 5.649 私立大学 -0.034 (2.325) 0.966 0.130 (2.180) 1.139 短大専門 -1.813 (2.353) 0.163 -1.820 (2.093) 0.162
非進学 -2.410 --- 0.090 -2.747 --- 0.064
トラッキング
順位キープ -0.605 (.201) 0.546 ** -0.470 (.116) 0.625 **
落伍移動 -0.846 (.365) 0.429 * 0.075 (.270) 1.078 ご破算上昇 -1.044 (.475) 0.352 * -2.157 (.451) 0.116 **
N 2307 2681
log-Likelihood -25842.71754 -30092.08785
**: p<.01, *: p<.05, †: p<.10
Estimated by ℓEM 1.0, Newton Raphson method on EM algorithm
91
テゴリに関する階層効果は男性同様高校で大きい.男女ともに,高校段階では,
進学と非進学の分断線が大きな意味を持っている.高等教育では,どのような 学校に進学するか,そのタイプ・ランクに関しても階層が大きく影響を与えて いると言える.
次に,モデルから予測されるトラッキングの構造を確認する.国私立中学校 を卒業することによる高校進学の分布の違いは表
4.6
のうち高等学校の段の3
つ目のブロックで確認できる.男女ともに,国私立中学校を卒業することは,より上位の高校に進学しやすくなる効果を持っている.一般的な見方と相違な い,いわば当然と言えるような結果であるが,国私立中学校への進学に対して 出身階層の影響力が潜んでいることと併せて考えれば,階層効果を高校段階に 媒介して伝えるという,中学校段階の持つ階層分化装置としての意味を強調で きる.
高校
→
高等教育間のトラッキングは,表4.5
の最後のブロックで確認できる.順位キープ組が,純粋な教育トラックと考えられる.これらの確率は男性で
35.32% = exp(−0.605) /(1 + exp (−0.605))
,女性で38.46% = exp(−0.470) /(1 +
exp (−0.470))
であり,完全にではないが進んだ高校により高等教育の進学先も決定している.男性と女性で顕著な違いは落伍移動組に現れた.男性に関して 落伍移動は
30%程度であるのに対し,女性では 51%が落伍移動に分類される.
短大や専門学校が女子教育を担ってきたことの表れと言える 6.しかしいずれ にせよ竹内(1991)や中西(2000)が指摘するように,日本の教育内移動には かなりの順位変動があることがわかる.