認知の誤りと学校ストレッサーが抑うつに及ぼす影響
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(2) 2.方法. 一は「部活動」(β=.31,pく.01)のみであった。し. 都市部のA中学枝の生徒,110名程度を対象とし. かしながら,「友人関係」(β=.29,p〈、01),「学業」. た。学校側の都合に合わせて,11月初句から中旬. (β=.24,pく.05)から認知の誤りに有意なパスが. 検出されたことから,これら2つのストレッサー. にかけて調査の実施・用紙の回収を行った。 用いた測度は以下の通りである。. は,解釈評価されるものの,その後抑うつには. ・児童用抑うつ自己評価尺度(Depression. 影響を与えないということが明らかになった。加. Se1f−RatingSca1e此rChi1dren;以下DSRS−C). えて,抑うつ得点において性差がみられたため,. 子どもの抑うつ症状に関する18項目から成る。村. 男子,女子別に共分散構造分析を行った。その結. 岡ら(1996)が日本語版を作成している。. 果,認知の誤りの媒介効果については検出されな. ・中学生用字枝ストレッサー尺度. かったものの,男子と女子では抑うつに直接的に. 岡安ら(1992)によって作成され,r友人関係」,. 影響を与えるストレッサーが異なるということが. 「学業」,「教師との関係」,「部活動」,「規則」,「委. 明らかになった。男子においては,r部舌動」(β. 員会活動」の6因子,37項目から成っている。 ・児童用認知の誤り尺度改訂版(C㎞1dren’s. =.37,p<.05)のストレッサーが直接的に抑うつに 影響を与え,女子においては,r友人関係」(β=.34,. Cognitive Error Sca1e−Re耐sed;以下CCES−R). pく.05)のストレッサーが直接的に抑うつに影響を. 石川ら(2003)によりCCESが作成され,その. 与えているということが明らかになった。. 改訂版を佐藤ら(2004)が作成した。17項目から. しかしながら,先行研究においそは認知の誤り. 成り,9つの場面を提示し,推論の誤りを表す項. などの認知的変数が抑うつに影響を与えるという. 目を提示して回答を求めるという構造になってい. 結果を示すものがある(佐藤ら,2004など)。本研. る。. 究において先行研究と一致しなかった結果となっ. 以上の測度を用いて,抑うつ,認知の誤り,学. た要因として考えられるものに,用いた測度の問. 校ストレッサー得点について,学年,幟uにおい. 題が挙げられる。CCES−Rは本来児童用に作られ. て有意な差があるのか,分散分析を用いて分析を. た測度である。中学生用に認知の誤りを測定する. 行った。また,学校ストレッサーと認知の誤りが. ような尺度を使用するべきであったと考えられる. 抑うつに対して与える影響について検討するため. が,現在そのような尺度は作成されていないため,. 共分散構造分析を用いて分析する。ストレッサ]. その作成が待たれる。. →認知の誤り→抑うつというモデルについて検討. また,中学生の抑うつの予防・低減のためには 男子よりも女子に重点を置いた介入や部活動,友. した。. 人関係に関するストレッサーを多く体験している 3.結果と考察. 生徒に注目してみるのもよいだろう。現在,わが. 中学生を対象に,学校ストレッサーと認知の誤. 国では児童生徒の抑うつの予防・低減に関する取. りが抑うつに与える影響について検討した。共分. り組みとして,抑うつ予防プログラムが実践され. 散構造分析によって得られた知見を示す。. ている(佐藤ら,2009)。本研究で得られた知見が. 分析の結果,認知の誤りから抑うっに対して,. このような介入の一助になれば幸いである。. 有意なパスが検出されなかったことから,認知の’ 誤りにおける抑うつに対する媒介効果については. 主任指導教官市井雅哉. 認められないということが明らかになった。抑う. 指導教官 市井雅哉. っに対して直接的に影響を与えていたストレッサ. 一161■.
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