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青年期の自己愛と状態自尊感情が心理的不適応に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)青年期の自己愛と状態自尊感情が心理的不適応に及ぼす影響 専攻    学校教育学専攻 コース  臨床心理学コース. 学籍番号    M10062H 氏名       船曳友愛 えている心理的不適応を確認する(目的I).. I.問題  青年期は自己愛傾向が強まる時期である.自己愛的. 仮説. な者は「誇大型」と「過敏型」の2つのタイプに分類. ①∼③自己愛過敏性の高さ,状態自尊感情の低さは心. され,(Gabbard,1989.1994)互いに異なった特徴を. 理的不適応(抑うつ,不安,怒り)を予測する(目的 I). 持っているとされる..  自己愛と自尊感情は,自己に対する肯定的な言刊面を. ④∼⑥自己愛特性と状態自尊感情の交互作用は心理. 中心とする概念という点で類似している.その中で近. 的不適応を予測する(目的11). 年注目されている状態自尊感情は,自己価値の感覚が. 皿.方法. 外的な基準上での査定に依拠しており,状況によって. ■調査(分析)支橡者:大学生・大学院生男女(82名). 変化する自尊感情である.自尊感情の揺らぎやすさは. ■調査時期:2010年5月∼7月. 自己愛人格の樹敦とされており,自己愛特性を持つ者. ■調査方法:質問紙調査を実施. は状態自尊感情が変化しやすいと考えられる.このこ. ■質問紙内容. とから自己愛と自尊感情のあり方を考察する際には,. <Time1〉. 状態自尊感情に注目することが必要だと者ネられる・. ①フェイスシート1†甥11・年齢・携帯電話番号下5桁.  自己愛特性と心理的不適応の関連については先行. ②訓面過敏性一誇大性自己愛尺度:中山・中谷(20㏄). r訥面過敏性(8項目)」r誇大性(10項目)」の2つ. 研究で指摘されており,自己愛特性が抑うつ等に影響 を与えていると考えられる.心理的不適応に対する過. の下位因子から成る.5件法で回答、全18項目.. 敏性と誇大性の影響の違いを検討した研究は多い中,. ③状態自尊感情尺度:阿部・今野(2007). それぞれの側面が異なった心理的不適応に影響を与.  I因子から成る、r5件法で回答.全10項目.. えているという知見に立った研究は少ない.自己愛の. ④POMS短縮版(一部) 「抑うつ一落ち込み」「緊張一不安」「怒り一敵意」の. 2側面はそれぞれ異なった特徴を持っているため,表 出される心理的不適応にも違いが現れると予測され,. 3つの下位因子を使用15件法で回答.全15項目.. 臨床現場でも異なった対応が必要であると考えられ. <Time2>. る.一方,自尊感情は抑うつをはじめとした心理的不. ①,③,④. 適応と負の相関がある事が示されており,心理的不適. lV.結果. 応の抑制要因であると考えられ,自尊感情の低下が心. 1)各変数の相関. 理的不適応の要因であると予測される、.   「過敏性」は「抑うつ一落ち込み」と有意なやや弱.  以上より,本研究では自己愛のr誇大性」,r過敏性」. い正の相関,「緊張一不安」と有意なやや弱い正の相. と,状態自尊感情の交互作用,心理的不適応との因果. 関,「怒り一敵意」と有意な弱い正の相関があり,「過. 関係を検討し,青年期の心理的不適応を理解するため. 敏性」が高くなると各心理的不適応も高まるというこ. の示唆を得ることを目的とする(目的n).そのため. とを示すものであった.「誇大性」は「抑うつ一落ち. に,それぞれの自己愛特性と状態自尊感情が影響を与. 込み」「緊張一不安」「怒り一敵意」いずれにも有意な. 一132一.

(2) 相関はなかった、「状態自尊感情」は「抑うつ一落ち. が明ら外となり、仮説は支持されたと言える。. 込み」と有意な負の相関,r緊張一不安」と有意なや.  過敏性白己愛の現実自己を過剰に卑下して言田面し,. や弱い負の相関,「怒り一敵意」と有意な弱い負の相. 恥ずべき自己を隠すために他者からの評価に過敏に. 関があり,「状態自尊感情」が高くなると各心理的不. 反応するなどの棉敦から,過敏性自己愛が強い青年は,. 適応は低くなるということを示すものであった.これ. 自己評価り傷つきを抑うつや不安などの自己に注意. らの結果は自己愛特性の過敏性と誇大性の性質の違. を向けた心理的不適応として表出すると考えられる1. いを表していると考えられた.. 一方,誇大性自己愛が強い青年は,自己に対する有能. 2)自己愛・状態自尊感情が心理的不適応に及ぼす影. 感を持ち,他者に対する優越感を持つなどの矧敦から,. 響(目的I). 自己評価の傷つきを自己に起因せず他者のせいであ.  自己愛「過敏性」,「誇大性」,状態自尊感情を独立. ると認識し,怒りや敵意などの心理的不適応として表. 変数,POMS下位因子「抑うつ一落ち込み」「緊張一. 出すると考えられる、本研究において自己愛の2側面. 不安」「怒り一敵意」をそれぞれ従属変数とした重回. の違いが示されたことから、今後は自己愛をr過敏性」. 帰分析を行った1その結果,「抑うつ一落ち込み」に. とr誇大性」の2つの側面で捉え、区別して検討する. 対しては「過敏性」「状態自尊感情」の影響が有意で. ことが必要であると考えられ、面接等の臨床場面にお. あり,「緊張一不安」に対しても「過敏性」「状態自尊. いても、自己愛特性の違いを考慮に入れた対応が必要. 感情」の影響が有意であり,r怒り一敵意」に対して. になると言えるだろう。. はr誇大性」r状態自尊感情」の影響が有意であった..  目的11に関しては、r抑うつ一落ち込み」に対して,. 3)自己愛・状態自尊感情の交互作用が心理的不適応. r過敏性」の高さとr状態自尊感情」の低さが互いに. に及ぼす影響(目的H). 関係しあって影響を与えていること,因果関係がある.  自己愛特性と状態自尊感情の交互作用が各心理的. ことが示され,仮説は「抑うつ一落ち込み」に関して. 不適応に及ぼす影響と変数間の因果関係を検討する. は支持された、r状態自尊感情」の得点が低いほどr過. ためT㎞e2心理的不適応得点を従属変数,T㎞e1心. 敏性」が吻うつ一落ち込み」に与える影響が大きく. 理的不適応得点・自己愛特性得点・T㎞e2r状態自尊. なることが明らかとなり,「過敏性」の「抑うっ一落. 感情」得点・自己愛特性得点とr状態自尊感情」得点. ち込み」に対する効果が「状態自尊感情」によって調. の交互作用項をそれぞれ独立変数とする階層的重回. 整されていることが示唆された.この結果は、r過敏. 帰分析を行ったところ,「過敏性」得点と「状態自尊. 性」が高い青年がr状態自尊感情」を低下させること. 感情」得点の交互作用項のみ,Time2「抑うっ一落ち. によって、r抑うつ一落ち込み」が増幅されることを. 込み」得点に対する有意(傾向)の負の標準回帰系数. 示しており、「過敏性」が高いと、他者からの評価に. (β)を示し,児2の増加分(∠田2)も有意であった.. よって自己評価が低下した上に、その様な自己を受容. そこで,状態自尊感情の高低(±180)における「過. することができず、望ましくない自己に注目が集まり、. 敏性」のr抑うつ一不安」に対する効果を調べるため. 抑うっが生じやすくなると考えられる。よって「過敏. 下位検定を行った.その結果,「状態自尊感情」が低. 性」が高く精神的健康が低減しやすい青年にとって 「状態自尊感情」の低下は大きな危機であると捉える. い場合は「過敏性」の効果が有意となったが(β=.31,. 仕.26,戸2.17,ρ<.05),「状態自尊感情」が高い場. ことができ、自己愛が高まる青年期においては、「状. 合は「過敏性」の効果は有意とならなかった(β=・.04,. 態自尊感情」を高めることが重要であることが示唆さ. 3=一.04, ←’.37, 皿5).. れた。. V.考察.  目的Iに関して、結果より,自己愛特性の違いによ. 主任指導教員 遊間義一. って,影響を受ける心理的不適応が異なっていること.   指導教員 岡村寿代. 133一.

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参照

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