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いじめ被害体験と援助が自己認知・他者認知に与える影響

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Academic year: 2021

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(1)いじめ被害体験と援助が自己認知・他者認知に与える影響  専攻人間発達教育専攻 二!一ス臨床心理学コース.   学籍番号M11055E     氏名小山聡子 間麗と日的. され、様々なイベントにおけるサバイバーの.  いじめが深刻な社会問題になったのは、. PTGが報告されている。その中で、いじめや. 1970年代末であるが、現在も被害者の子ども. 友人関係のトラブルは、その後のソーシャル. を死に追いやる残酷な事例は後を絶たない。. サポートや環境の変化、自信を取り戻すよう. 文部科学省は、平成18年にいじめを「当該. な体験を通してPTGが促されプラスに解釈. 児童生徒が、一定の人間関係のある者から、. できることが明らかにされている(開,2006)。. 心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、.  本研究では、いじめ被害体験有の人と無の. 精神的苦痛を感じているもの」と定義してい. 人における自己認知や他者への信頼感の違い. る。また、市井(1999)は、いじめ被害体験は. を検討することを第一の目的とする。さらに、. 親しい友人から裏切られるような経験をする. いじめ被害体験への他者からの援助がいじめ. 場合もあり、それまでの信頼、安全、仲間と. 被害体験後からの回復やいじめに対する認知. いったものに対して築いてきた概念を大きく. や行動の変化にどのように関連しているかを. 揺さぶられ、その結果、いじめ被害体験者は、. 探索的に検討することを第二の目的とする。. 自分の対処能力を低く評価し、自尊心を低め、. 方法. 信頼できる関係を誰とも築けないといった歪. 対象.塵璽コ.教育・心理系の大学生・大学. んだ認知をもってしまうことを示唆している。. 院生および保育系専門学校生205名、. このように、様々ないじめは、外傷体験とな. 匪菱互1心理系の大学生・大学院生12名. って深い心に傷を残すとともに日々の生活・. 研究I:(1)フェイスシート(性別、年齢、い. 社会活動に大きな影響を及ぼし、被害者が受. じめ被害体験の有無、内容、時期、期間、当. けた心の傷は、生涯残ることをしっかりと理. 時の苦痛度(0∼10)、ネガティブな影響を与え. 解することが必要である(坂西,2011)。. たか、今も影響が続いているか、精神科・心.  いじめを含む、トラウマからの回復には、. 療内科の通院歴、現在の服薬)について尋ねた。. 「安全の確立」、「想起と服喪追悼」、「再統合」. (2)信頼感尺度(天貝,1995;1997)3下位尺度、. の3つの段階があるとされている(Herman,. 24項目で構成され、6件法で回答を求めた。. 1994)。また、トラウマから苦悩を通してプ. 研究皿:(1)インタビュー《他者への信頼感を. ラスに変容するという外傷後成長. 回復させるような体験》《周囲への援助希求》. (PosttmumaticGrowth:以下PTG)の概念が. 《周囲からの気付きによる援助》《いじめ被. 1996年にTedeschi&Ca1hounによって提唱. 害体験前後における認知や行動の変化》《過.

(2) 去の加害体験》《最近のいじめ報道》につい.  研究1Iでは、人の言葉の裏の意味を考えて. て、約25分間の半構造化インタビューを実施. しまうなどの回答が見られたことから、他者. した。(2)いじめの影響尺度(香取,1999)6下. への不信感は、体験後もなお対人関係の構築. 位尺度、42項目で構成され、4件法で回答を. を阻害し続けていると考えられる。しかし、. 求めた。(3)いじめ被害経験後認知尺度(永浦,. 自分を理解し、支えてくれる周囲の存在や環. 2009)4下位尺度、39項目で構成され、7件法. 境の変化などが信頼感の回復につながること. で回答を求めた。. が明らかになった。また、いじめ被害体験を. 着尺と考察. 乗り越えていくために、周囲からの援助が重.  研究Iでは、大学生・大学院生は、信頼感. 要な位置を示しており、一書声をかけてもら. と不信感とが分化していたが、専門学校生は、. えることや、話を聴いてもらえることは、被. いじめ被害体験の有の人は、無の人よりも自. 害者にとって孤独感を共有してもらえて安心. 己や他者への信頼感が低く、不信感が高く、. 感を与えてくれるものであると考えられる。. 信頼感と不信感が密接に関連していた。また、. しかし、これは、本研究の結果から、クラス. 当時の苦痛度が高かった人はネガティブな影. メイトといった友人のみに限られ、教師を信. 響が持続しやすく、現在もネガティブな影響. 用・信頼しておらず、拒否をしている人がほ. が持続している人は自己や他者への信頼感が. とんどであった。このことから、積極的な介. 低く、不信感が高かった。これらのことから、. 入ではなくても、寄り添うということが信頼. いじめ被害体験は、自己や他者への信頼感に. 感の回復につながっていくということを、ま. 大きな影響を及ぼし、一度低下した自尊感情. ずは教師や保護者といった大人達が認識し、. や信頼感は、被害体験後の環境の変化や自己. 早急に生徒と教師の信頼関係をもっと強固な. 開示、内省などを通して、回復しうる可能性. ものにするためのコミュニケーションが必要. はあるが、ネガティブな影響は長期的に続き、. であると考えられる。. 心の傷として残り続ける可能性が考えられる。.  最後に、今回の研究において、いじめ被害.  今回、大学生・大学院生の信頼感は、いじ. 体験からの回復プロセスとトラウマからの回. め被害体験有の人と無の人との間に差が見ら. 復プロセスが類似していることが考えられ、. れなかった。これは、今回の対象者が教育・. いじめ被害体験者への周囲の援助がどのよう. 心理を専攻しており、いじめ被害体験を“忘. な影響を及ぼすかについても明らかにするこ. れ去りたい過去”と捉えるのではなく、乗り. とができた。しかし、今回は調査対象者の所. 越え、糧にしてプラスに生かそうと考えてい. 属に偏りが見られた上、所属による比較が大. ることが窺える。このことは、Harvey(1999). 半であったが、今後は所属の幅を広げ、所属. のトラウマからの回復・レジリエンスの8次. などの要因を含めずにいじめ被害体験の有無. 元の基準の一つである「意味づけ」の段階を. のみで分析を行い、いじめ被害体験の及ぼす. 乗り越えていると考えられ、その結果、自ら. 影響を明らかにする必要があると考えられる。. が他者を援助する立場を目指していたことが.         主任指導教員 市井雅哉. 要因の一つであるのではないかと考えられる。.           指導教員 市井雅哉.

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