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ストレス経験とキレ衝動抑制方略および自己表現が中学生のキレ行動に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(1)ストレス経験とキレ衝動抑制方略および自己表現が中学生のキレ行動に及ぼす影響 学校教育学専攻 学校心理学コース.  lM[10024E  足立 和美 【方法】. 【問題と目的】.  中学生は一個の人格としての自己の独立性を. 1、調査対象. い時期である。また最近の子どもたちの特徴とし.  兵庫県内のA市立B中学校の1年生から3年生 467名(1年男子74名、1年女子92名、2年男子 78名、2年女子88名、3年男子62名、3年女子. て、衝動的で「快・不快」の感情が直接的に行動. 73名)を分析対象とした(有効回答率 94.0%)。. に結びつく傾向をもっているということが指摘 されている。このことは、思春期にある中学生は. 2.調査内容  ①ストレッサー尺度(中学生用学校ストレッサ. キレやすく、それが、時として問題行動に結びつ. ー尺度(岡安ら,.1992)のうち、r教師との関係」. 強く意識し始める思春期の時期を生きている。思. 春期は激しい怒りやいらだちの感情を抱きやす. r友人関係」r学業」r部活動」の各因子項目に、. く危険性があることを示唆している。.  キレ行動に関する心理学的な研究においてrキ. 高倉ら(1998)の思春期用目常生活ストレッサー. レる」は『あることを契機に自己の衝動性を統制. 尺度の「家族」因子を加えて構成したもの)②キ. できなくなって起こす行動』と定義されている。. レ衝動抑制方略尺度(久木山ら,2001)③学生用. 中学生を取り巻く様々なストレス経験はキレ行. アサーション行動尺度(蔭山,2009)④キレ行動. 動を引き起こす一要因であると考えられる。しか. 尺度(下坂ら,2000)であり、2011年2月下旬. し、rキレ衝動」の段階でそれを何らかの方略を. に、各クラスー斉に実施された。. もって抑制することができれば「キレ行動」の表. 【結果】. 出は抑えられるであろう。さらに、怒りなどのネ. 1.各尺度の因子分析. ガティブ感情を適切に表現できれば、それによっ.  各尺度について因子分析を行った結果、全ての. ても「キレ行動」は抑制されると思われる。. 尺度で先行研究と同様の因子が抽出された。.  つまり、「キレ行動」の生起や抑制には「スト. 2.各尺度の性差及び学年差. レス経験」およびrキレ衝動抑制方略」r自己表.  各因子の下位尺度について、学年と性別を要因. 現」が関連していると考えられる。しかしながら. とする2要因分散分析を行った。その結果、スト. 従来の研究においてはこれらの変数の関連性は 明らかにされていない。そこで、本研究では中学. レッサー尺度のr友人」とr学業」および全スト レッサーで女子が男子よりも高得点であった。キ. 生に様々なネガティブ感情を喚起する「ストレス. レ衝動抑制方略尺度では「認知的方略」「回避的. 経験」が「キレ行動」に対してどのような影響を. 方略」「相談方略」すべてにおいて、女子が男子. 与えるのか、さらに、「キレ衝動抑制方略」と「自. よりも得点が高く、r認知的方略」で3年生が、1・. 己表現」のそれぞれの下位尺度はfキレ行動」に. 2年生よりも高得点であった。アサーション尺度. 対して抑制的に働くのか、もしくは別の影響がみ. においては「ノンアサーティブ」で女子の方が、. られるのかを明らかにすることを目的とする。そ. 逆にrアグレッシブ」については、男子の方が高. のことにより、キレ行動を抑制するために学校教. 得点であった。キレ行動尺度では「直接的攻撃」. 育の中で取り組むべきことへの示唆が得られる. で、男子が女子よりも、学年別では2年生が3年. のではないかと考える。. 生よりも得点が高かった。. 一58一.

(2) 得られた。これは、先生とのより良い関係を望む. 3.キレ行動への影響の分析 ニック状態」をそれぞれ目的変数とし、第1段階. 生徒の気持ちの大きさの裏返しというとらえ方 ができると考えられる。ゆえに、教師は教育のプ. で「ストレッサー」を、第2段階で「キレ衝動抑. ロとして様々な生徒の状況に対して、より適切な. 制方略」を、第3段階としてrアサーション」を. 関わり方を実践や研修を通して身につけていく. 投入する階層的重回帰分析を男女別および学年. 必要があろう。. 別に打つだ。.  次に、「キレ衝動抑制方略」のキレ行動に及ぼ.  ストレッサーからの影響を男女別にみると、男. す影響では、男子において、認知的方略が「キレ. 子は学業以外のストレッサーからの影響を受け ているのに対して、女子は部活動以外のストレッ. 行動」を抑制する働きをしていたことから、行動. サーから影響を受けており、女子では特に先生ス. を身に付けさせることがrキレ行動」の抑制に有. トレッサーの影響が大きいことが確認された。ま. 効であると考えられた。また、3年生おける回避. た学年別の結果では、3年生では、先生ストレッ. 的方略がキレ行動を増加させるという結果につ. サーの影響が大きく、学業ストレッサーが有意で. いては、入試を意識する中で無理にでも回避的方. ないという結果が得られた。.  次にrキレ衝動抑制方略」の影響では、男子に. 略でキレ衝動を抑えようとしているのではない かと思われた。しかし、それは、自分のなかでの. 対しては「認知的方略」が「キレ行動」の抑制に. 納得に至らず、結局キレ行動に結びついてしまう. 有意に働くことが確認されたが、女子においては. と考えられるのではないだろうか。. 有意ではなかった。学年別の結果では、3年生に.  最後にアサーションのキレ行動に及ぼす影響. おいて回避的方略がrキレ行動」に対して正の有. では、アサーティブな自己表現態度は直接的には. 意な影響を及ぼすこと、.すなわち回避的方略によ. キレ行動を抑制するという結果は得られなかっ. ってむしろキレ行動が増加する可能性があるこ とがわかった。他学年では有意な水準ではないも. たものの、攻撃的な自己表現態度であっても逆に. 非主張的な自己表現態度であっても結果的にキ. のの回避的方略が抑制的に働いていることと比. レ行動を増加させてしまうという結果が得られ. 較すると、3年生の特徴であると考えられた。. ている。これは、言いかえれば、適切な自己表現.  最後に、「アサーション」からの影響では、男. 態度を身につけさせることは、キレ行動を抑制す. 女別、学年別のどちらにおいても、アサーティブ. るためには重要なことであることを示している. な自己表現態度ではなく、アグレッシブな自己表. といえる。したがって、日常生活の中において、. 現態度がキレ行動に有意な正の影響を及ぼすこ. 自己表現能力が自然と培われる基盤は失われつ. とがわかった。さらに、3年生ではノンアサーテ. つあるなかでは、学校教育の中でそれを補ってい. ィブな態度も正の有意な影響を及ぼすことがわ. く方策が検討されなければならないであろう。.  「全キレ行動」「直接的攻撃」「間接的攻撃」「パ. する前に一呼吸おいて、よく考えて行動する態度. かった。. 【主な引用文献】.  またキレの種類ごとの分析において『直接的攻. 岡安孝弘・嶋田洋徳・丹羽洋子・森俊夫・矢宮直美 1992 中学. 撃」とr間接的攻撃」に対する影響はr全キレ行. 生の学校ストレッサー評価とストレス反応との関連 心理学. 動」に対する影響と似通った結果を示したが、rパ. 研究,63,310・318. ニック状態」に対しては、男女とも先生・学業・. 下坂剛・西田裕紀子・齊藤誠一・伊藤宗達・神藤貴昭・柳原利佳. 部活動のストレッサーから正の影響を受けてお. 子・鶴岡弘子・久水山健一・酉田紀子’西村亜希子・榎本手奉・. り、抑制的に働く因子は確認できなかった。. 坂本由佳・剃11雅子 2000 現代青少年の「キレる」というご. 【考察】.  とに関する心理学的研究(1)一キレ行動尺度の作成およびS C.  分析の結果、ストレッサーの中でも、特に先生.  Tによる言已述の分析一神戸大学発達科学部研紀要.7,2,1−8. ストレッサー、つまり「先生からの不適切な対応」.       主任指導教員  小林小夜子. が、キレ行動に大きな影響を及ぼすという結果が.       指導教員  秋光恵子. 一59一.

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