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目 次 第一部 序論(問題の所在)

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目 次

第一部 序論(問題の所在) ... 1

第 1 章 研究概要 ... 2

1.1 問題の所在 ... 3

1.2 日本語のアスペクト研究の現状と問題点 ... 5

1.3 本研究の研究課題と研究方法 ... 6

1.3.1 研究課題 ... 6

1.3.2 研究方法 ... 7

1.4 本論文の構成 ... 9

第 2 章 本研究におけるテイナイ形の用法分類 ... 12

2.1 日本語のテンス・アスペクト体系 ... 13

2.2 テイル形の意味用法に関する諸説 ... 14

2.2.1 動詞の分類とテイル形の意味 ... 14

2.2.2 「経験」の用法について ... 15

2.2.3 「パーフェクト相」について ... 17

2.2.4 テイル形の用法整理 ... 19

2.3 テイナイ形の用法に関する諸説の整理 ... 21

2.3.1 ナカッタ形とテイナイ形の区別について ... 22

2.3.2 テイナイ形の意味について ... 23

2.4 いわゆる「非対称関係」について ... 25

2.5 本研究におけるテイナイ形の用法分類 ... 27

2.5.1 テイル形とテイナイ形の対応関係 ... 27

2.5.2 本研究におけるテイナイ形の用法分類 ... 27

2.6 本章のまとめ ... 30

第二部 各論(日本語教育のためのテイナイ形の習得研究) ... 31

第 3 章 日本語母語話者におけるテイナイ形の使用実態... 32

3.1 はじめに ... 33

3.2 先行研究 ... 33

(2)

3.2.1 テイル形の使用実態に関する研究 ... 33

3.2.2 テイナイ形の使用実態に関する研究 ... 34

3.3 調査目的 ... 35

3.4 調査概要 ... 35

3.4.1 使用データ概要 ... 35

3.4.2 分析の基準 ... 36

3.5 調査の結果 ... 39

3.5.1 話し言葉におけるテイナイ形の現れ方 ... 39

3.5,2 両コーパスにおけるテイナイ形の用法の比較 ... 40

3.5.3 テイナイ形に用いられる動詞 ... 41

3.6 本章のまとめ ... 43

第 4 章 「シタ?」の否定回答のテイナイ形の習得 ... 44

4.1 はじめに ... 45

4.2 先行研究と本調査の目的 ... 46

4.2.1 「シタ」の多義性に基づいた研究 ... 46

4.2.2 テイナイ形に注目した研究 ... 47

4.2.3 本調査の目的 ... 48

4.3 調査方法 ... 48

4.3.1 調査の内容 ... 48

4.3.2 調査概要 ... 49

4.4 調査の結果 ... 50

4.4.1 回答の全般的傾向 ... 50

4.4.2 項目別の分析 ... 52

4.5 教科書調査 ... 56

4.6 本章のまとめ ... 60

第 5 章 テイナイ形におけるアスペクト仮説の検証 ... 62

5.1 はじめに ... 63

5.2 先行研究 ... 63

5.2.1 アスペクト仮説とは ... 63

5.2.2 日本語におけるアスペクト仮説の検証 ... 66

(3)

5.3 研究目的と研究仮説 ... 70

5.4 研究概要 ... 70

5.4.1 分析資料 ... 70

5.4.2 研究手順 ... 71

5.5 結果と分析 ... 72

5.5.1 テイナイ形に用いられる動詞の出現順序 ... 72

5.5.2 「動作の持続」と「結果の状態」の習得順序 ... 74

5.5.3 動詞タイプとテイナイ形の用法との対応関係 ... 76

5.6 本章のまとめ ... 77

第 6 章 学習者コーパスに見られるテイナイ形の習得順序 ... 79

6.1 はじめに ... 80

6.2 先行研究と研究目的 ... 80

6.2.1 テイル形の習得順序に関する研究 ... 80

6.2.2 テイナイ形の習得順序に関する研究 ... 82

6.2.3 研究目的 ... 83

6.3 テイナイ形正用の出現順序 ... 83

6.3.1 使用資料概要 ... 83

6.3.2 調査手順 ... 84

6.3.3 調査の結果 ... 84

6.4 誤用の推移 ... 88

6.4.1 調査概要 ... 88

6.4.2 観察された誤用パターン ... 89

6.4.3 誤用パターンの推移 ... 90

6.4.4 各用法における誤用パターンの推移 ... 93

6.5 母語話者からのインプット ... 97

6.6 考察 ... 99

6.7 本章のまとめ ... 100

第 7 章 文法テストに見られるテイナイ形の各用法の習得状況 ... 102

7.1 はじめに ... 103

7.2 研究目的 ... 104

7.3 調査方法 ... 104

(4)

7.3.1 文法性判断テストと文完成テスト ... 104

7.3.2 調査対象者と調査期間 ... 105

7.4 調査の結果 ... 106

7.4.1 文法性判断テストの結果 ... 106

7.4.2 文完成テストの結果 ... 113

7.4.3 結果のまとめ ... 115

7.5 考察 ... 116

7.5.1「進行」 ... 117

7.5.2「状態」 ... 118

7.5.3「属性」 ... 120

7.5.4「反復」 ... 121

7.5.5「未完了」 ... 122

7.5.6「全面否定」 ... 123

7.6 本章のまとめ ... 124

第 8 章 教科書におけるテイナイ形の扱い方 ... 126

8.1 はじめに ... 127

8.2 先行研究 ... 127

8.3 研究目的 ... 128

8.4 教科書の選定 ... 128

8.5 調査の結果 ... 129

8.5.1 テイナイ形に関する文法解説 ... 129

8.5.2 テイナイ形の各用法の出現例 ... 132

8.5.3 教科書と母語話者の使用実態との比較 ... 134

8.5.4 教科書と学習者の習得段階との比較 ... 135

8.6 本章のまとめ ... 137

第 9 章 学習者のテイナイ形に関する意識 ... 138

9.1 はじめに ... 139

9.2 調査概要 ... 139

9.3 アンケート調査の分析 ... 140

9.4 インタビュー調査の分析 ... 143

(5)

第三部 総論(日本語教育への提言) ... 147

第 10 章 総合的考察と日本語教育への提言 ... 148

10.1 各章のまとめ ... 149

10.2 総合的考察 ... 152

10.2.1 日本語母語話者におけるテイナイ形の使用実態 ... 152

10.2.2 日本語学習者におけるテイナイ形の習得メカニズム ... 153

10.2.3 教科書の扱い方と学習者の使用意識 ... 157

10.3 日本語教育への提言 ... 159

10.3.1「進行」の用法の排除 ... 159

10.3.2 テイナイ形独自用法の導入 ... 160

10.3.3 テイル形の否定形式の導入 ... 161

10.3.4 中級以降の体系的指導 ... 161

10.4 今後の課題 ... 162

謝辞 ... 164

参考文献 ... 166

添付資料 ... 174

(6)
(7)

第一部

序論(問題の所在)

第 1 章 研究概要

第 2 章 本研究におけるテイナイ形の用法分類

(8)

第 1 章 研究概要

本章では、本研究における問題の所在を紹介し、研究の課題、研究方法、論文の構 成について述べる。

本章の具体的な構成は以下のとおりである。

1.1 では、問題の所在を述べる。

1.2 では、日本語アスペクト研究の現状を簡単にまとめ、先行研究の問題点を指摘 する。

1.3 では、本研究の研究課題と研究方法について述べる。

最後に 1.4 では、各章の内容をまとめ、本研究の構成について述べる。

(9)

1.1 問題の所在

近年、日本語学習者が増え、学習者の多様化に従い、学習者の学習目的、周囲の環 境、母語などの多様化に相応するような日本語教育が求められてきている。従って、

従来の日本語学に基づいた文法記述を実際の使用の視点から見直すべきであるという 提案が小林(2002)をはじめ多くなされてきた。特に野田(2005、2012)が「日本語 学的文法から独立した日本語教育文法」を主張して以来、日本語教育文法に関する研 究が一層盛んになっている。

野田(2005:3-5)では日本語教育文法が必要になってきた背景を次のように述べて いる。

(1) これまでは聞く、話す、読む、書くという 4 機能を上級まで学習する「エリー ト日本語学習者」を対象にしてきた。これからは学習者の多様化に対応する文 法にする必要がある。

(2) これまでの日本語教育文法は、日本語研究の成果としての文法を応用するとい う意識が強く、日本語教育には必要でない部分も取り込んできた。そのような 部分を排除し、必要なのに入っていなかったものを取り入れて、コミュニケー ションに本当に必要な文法にする必要がある。

研究者によって日本語教育文法についての見方は様々でありうるが、 「日本語教育に おける必要度に応じて、文法記述を行う」という点では共通している(庵 2011)。庵 は日本語学的文法記述が(1)理解から産出へ、 (2)体系の記述からコミュニケーショ ンのための記述へ、(3)学習者のレベルに則した文法シラバスへ、と変わることが必 要であると述べている。

さらに、日本語教育文法のありかたについて、白川(2005)は(1)コミュニケーシ

ョンの必要性から出発した文法、(2)文法項目の立て方は、形式単位ではなく用法単

位に、(3)必要度に基づいて段階的に提示する文法、(4)学習者の勘違いを先回りし

て防ぐ文法、と指摘している。

(10)

以上の観点を踏まえ、日本語教育文法のための研究の最も重要な課題は以下の 3 点 とされている(野田 2012:11)。

(1)(日本語)母語話者が個々の状況でどのように日本語を使っているかという母 語話者のコミュニケーションについての研究

(2)非母語話者(学習者)が個々の状況でどのように日本語を使っているかという 非母語話者のコミュニケーションについての研究

(3)コミュニケーション能力を高める教育はどのように行ったらよいかというコミ ュニケーション教育についての研究

本研究はこれらの観点からの研究の一例として、アスペクト表現のテイナイ形を取 り上げて考察を試みる。日本語のアスペクトの習得は難解な文法項目の一つとされて おり、その習得研究もテイル形を中心に様々な視点から盛んになされてきた。しかし、

ほとんどの研究はテイナイ形がテイル形と同様の習得パターンで習得されるという

「先入観」の下で進められてきた。否定のテイナイ形が意味用法上、肯定のテイル形 と異なる振る舞いをするという指摘は多いものの(高橋 1989、井上 1999、井上 2001、

松田 2004、工藤 1999 など)、テイナイ形を独自の文法項目と捉え、その習得や使用を 考察した研究は管見の限りでは僅かである。このように、テイナイ形に関する研究は 言語学的論述に留まり、使用実態や習得研究があまり行われておらず、さらに日本語 教育現場に応用していないことが要因であるため、実際の教育現場で、上級学習者で もテイナイ形を正しく運用できないという現象はしばしば報告されている(家村 2004、

許 2004)。従って、テイナイ形を含む、日本語教育現場で活用できるアスペクト教育 の改善が重要な課題となっている。

そこで、本研究は日本語母語話者のテイナイ形の使用実態研究に基づき、学習者の 習得メカニズムを明らかにし、日本語教育における指導法の改善すべき点を提言する。

これらを通じて、日本語のアスペクト研究の一環とするとともに、教育文法の実践研

究として、教育現場への応用性の高い研究を目指している。

(11)

1.2 日本語のアスペクト研究の現状と問題点

日本語のアスペクトはその代表形式テイル形を中心に、言語学においても、習得研究 においても盛んに行われてきた。これまでの研究成果を見ると、アスペクトに対して、

研究者の関心が尽きたとは言えず、議論できる点は多く残っている。

まず、テイル形の意味用法に関しては、金田一(1950)から論を発し(吉川 1973、

寺村 1984、町田 1985、金水 2000、井上 2001、高見・久野 2006、梅野・鈴木 2008)、

特に工藤(1995)が「パーフェクト」という考えを提示して、その概念をさらに深化 させた。これらの研究は分類の視点が異なるが、 「現在」、 「動作性」、 「継続性」という 3 つの要素に基づいて、テイル形の多義性を統括するという点で、大きな違いはない

(許 2000)。しかし、ほとんどの論述は日本語言語学に基づいたものであり、日本語 教育においては十分ではないという指摘が多い(崔 2009、高梨 2013、庵 2011)。一方、

テイナイ形の用法は、テイル形の否定表現のみではないという指摘があるものの、ほ とんど言及に留まり、具体的にどのような意味用法を持つのか、テイル形とどのよう な対応関係になるのかを論じた研究はまだ少ない。そこで、テイル形とテイナイ形両 方を合わせて、その意味用法を新たに整理することが求められる。

次に、アスペクト習得の研究は主に、 「動詞に内在する意味成分がアスペクト形態素 の発達に影響する」というアスペクト仮説を検証した研究(Shibata1999、橋本 2006、

塩川 2007、陳 2014、黒野 1995、Shirai&Kurono1998、菅谷 2002、小山 2004、松井 2008、

簡・中村 2009)と、テイル形の用法別の習得順序を調査した研究(黒野 1995、小山 2003、許 1997、許 2000、菅谷 2003、菅谷 2004)の 2 つの観点から多くなされてきた。

これらの研究はデータ種類、方法、対象者が様々であるが、テイル形の習得には普遍 的なパターンは存在するという結論が多い。ただし、普遍的な要因が働く中で、学習 者の母語、学習環境、文法項目の導入順序なども影響して、習得が遅れたり、早まっ たり、特定の誤用パターンを示したりするという特徴的な現象があるという可能性も 指摘され、これらについての具体的な研究結果は出ておらず、さらなる分析が必要で ある。

また、研究視点については、これまでの研究は学習者の発話データ、作文テスト、

オーラルテストなどのような産出テストや、文法性判断テストなどのような理解テス

トのどちらかのみに注目している。理解と産出の両方を合わせて観察したものは少な

い。庵(2011:6)は、「従来の文法教育は理解のための文法であるため、理解できて

いても産出できないということは十分にありうる。その意味で、日本語教育文法を研

究する場合には、理解レベルと産出レベルの区別は必要である。また、学習者の習得

(12)

レベルに合わせて理解レベルと産出レベルを区別するということも重要である」と指 摘している。このような指摘を受け、理解と産出を合わせて研究していくことも重要 であると思われる。そして、習得研究のデータ種類や調査対象については、学習者の 縦断的発話データや、横断的文法テスト、発話テストのいずれかを用いたものが多い が、縦断的データと横断的データの両方を用い、書き言葉と話し言葉を比較する調査 も必要であると考えられる。

さらに、教育現場への応用を検討するためには、日本語学習者がどのようにテイナ イ形を習得するのか、その困難点は何に起因するのかを解明するだけではまだ足りな いと考えられる。学習者へのアスペクト教育を考えるためには、日本語母語話者の使 用状況も調査し、使用頻度の高い用法と低い用法、それぞれの用法が使われる文脈な どを把握することも重要である。なぜならば、日本語母語話者の使用実態を調査する ことによって、学習者は本当にその用法を学ぶ必要があるのか、どのような用法を優 先的に学習すべきか、どのように提示すべきかなどを提示することが可能であるから である。そこで、学習者の習得状況を調査するに先立って、日本語母語話者の使用実 態を究明する必要があると考えられる。

以上を踏まえ、本研究はテイナイ形を独自の文法項目と捉え、その使用実態と習得 状況を調査するものである。本研究の結果を豊富な先行研究と照らし合わせることで、

アスペクト習得のメカニズム解明を一歩進めるとともに、日本語教育のための実践研 究ともなり、研究成果を教育現場で活用することも可能であろう。

1.3 本研究の研究課題と研究方法 1.3.1 研究課題

本研究は野田(2012)が提唱した日本語教育のための研究の三大課題を踏襲し、以 下の 3 点を研究課題として研究を進める。

【課題 1】日本語母語話者におけるテイナイ形の使用実態を明らかにする

【課題 2】日本語学習者におけるテイナイ形の習得メカニズムを探る。

【課題 3】教育現場において、テイナイ形の取り扱い方が日本語母語話者の使用実態

を反映できているかどうか、学習者の学習段階に合わせられているどうか、学習者が

テイナイ形についてどのような意識を持っているかを明らかにし、改善すべき点を指

摘する。

(13)

1.3.2 研究方法

それぞれの課題に従い、多様な方法を用いて研究を進める。具体的には①文献研究、

②母語話者コーパス調査、③文法テスト、④学習者作文コーパス調査、⑤学習者発話 コーパス調査、⑥理解、産出テスト、⑦自由記述アンケート調査、⑧教科書分析と学 習者の意識調査を行っていく。

①文献研究:文献研究はこれまでの研究結果をもとに、テイナイ形の意味用法を分類 することと、本研究の研究課題をまとめることを目的として行っている。これまで のアスペクト研究に関する研究は膨大であるが、テイル形に注目するものは盛んで あるのに対して、テイナイ形に関するものは意味用法の記述に限られている。そこ で先行文献を概観する際には、テイル形に関する研究を視野に入れ、テイナイ形と 比較しながら整理することにした。まず、第 2 章では日本語のテンス・アスペクト 体系をまとめた上で、金田一(1950)から庵(2014)まで、テイル・テイナイ形の 意味記述の流れを整理する。それらを踏まえ、先行研究で究明されていないテイル 形とテイナイ形の「非対称関係」(用語は工藤 1996 に従う)の内訳を述べ、テイナ イ形の用法分類を行う。次に、上に挙げた各課題に応じて、それぞれの章で文献研 究を行う。具体的には、第 3 章では、日本語母語話者におけるテイル・テイナイ形 の使用実態に関する研究、第 4 章では、「シタ?」の否定回答として、テイナイ形 とナカッタ形との区別を述べた研究とその習得研究を、第 5 章ではアスペクト仮説 を検証した研究を、第 6、7 章では、テイル形とテイナイ形の習得順序を考察した 研究を、第 8 章では、教科書調査を試みた研究などを取り上げる。これらの文献研 究を行う理由は、従来の研究の成果を参考にし、未だに残っている問題点をまとめ、

本研究を行うための重要なヒントを得られると考えるためである。

②母語話者コーパス調査:母語話者コーパス調査は日本語母語話者は実際にどのよう にテイナイ形を使用しているのかを明らかにすることを目的としている。調査は話 し言葉コーパスと書き言葉コーパスの両方を用いて進める。利用するコーパスは 2011 年国立国語研究所が公開した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(以下、

BCCWJ)と宇佐美まゆみ監修の『BTSJ による日本語話し言葉コーパス 2011 年版』 (以

下、BTSJ)である。

(14)

③文法テスト:文法テストは学習者が「シタ?」に対して、ナカッタ形とテイナイ形 のどちらを選択するかを明らかにすることを目的としている。対象は中国国内の大 学で日本語を学ぶ中・上級学習者 83 名である。会話完成テストの形式で調査を進 める。

④学習者作文コーパス調査:学習者作文コーパス調査はアスペクト習得で普遍的であ るといわれているアスペクト仮説はテイナイ形の習得にも一致するかどうかを明 らかにすることを目的としている。使用したコーパスは、台湾東呉大学研究グルー プが 2011 年 5 月に公開した縦断的な学習者コーパス、 『LARP atSCU 第二版』である。

⑤学習者発話コーパス調査:学習者発話コーパス調査は母語が異なる学習者における、

テイナイ形の各用法の習得順序を明らかにすることを目的としている。縦断的コー パスと横断的コーパスの両方を用いて調査する。利用するコーパスは国立国語研究 所が公開した縦断的学習者コーパス『Corpus of Japanese as a Second language』

(以下「C-JAS」)と横断的学習者コーパス『KY コーパス』である。調査の内容は、

テイナイ形の正用の出現順序と誤用パターの消滅順序である。

⑥理解、産出テスト:理解、産出テストは学習者におけるテイナイ形の各用法の習得 の難易度の順序を示すことを目的としている。調査の対象者は中国で日本語を学ぶ 中国人学習者と日本で日本語を学ぶ中国人学習者 70 名である。理解テストは四択 の文法性判断テストで、産出テストは文完成テストで進める。

⑦アンケート調査とインタビュー調査:アンケート調査とインタビュー調査は、学習 者がテイナイ形について持っている認識を明らかにすることを目的としている。調 査内容はそれぞれがこれまでアスペクトに関して受けた教育、自身がよく使用する テイナイ形の用法、難しいと思っている用法、テイナイ形と他の否定表現の使い分 けの意識などである。

⑧教科書分析と学習者の意識調査:教科書調査と学習者の意識調査は、教育現場でテ イナイ形の扱い方を明らかにすることを目的としている。具体的には日本、中国、

韓国などで編集された教科書を調査対象とし、教科書におけるテイル形・テイナイ

(15)

教科書を使った学習者に対してアンケートやインタビューを行うことで、教科書で の扱い方が日本語母語話者の使用実態を考慮しているかどうか、学習者の習得に適 切であるかどうかを明らかにし、教科書の問題点を指摘する。

最後にここまでの結果と考察を統合して、日本語教育現場で活用できる指導法の改 善すべき点を提案する。

1.4 本論文の構成

本研究は 3 部、10 章からなっている。

第 1 部は第 1 章「研究概要」と第 2 章「本研究におけるテイナイ形の用法分類」で ある。

第 1 章では、本論文の概要について述べる。

第 2 章では、肯定のテイル形と否定のテイナイ形の「非対称関係」を考慮しながら、

教育現場で活用できるテイナイ形の用法分類の枠組みを提案する。具体的にはまず、

日本語のアスペクト研究において、中心的な研究テーマとされてきたテイル形の用法 記述を概観する。次に、これまで十分に重要視されてきたとはいえないテイナイ形の 用法記述をまとめる。最後に従来の分析の問題点と課題をまとめた上で、本研究で分 析の中心となるテイナイ形がどこに位置づけられのるかを述べ、学習者がテイナイ形 を適切に産出できるための用法分類を提案する。

第 2 部は「各論」とし、第 3 章から第 9 章までで構成されている。各章でテイナイ 形の使用実態や習得についての研究を行っている。

第 3 章は「日本語母語話者におけるテイナイ形の使用実態」である。第 3 章では、

第 2 章の分類枠組みに基づき、話し言葉コーパスと書き言葉コーパスを用いて母語話 者の使用実態を考察する。この調査は本研究の習得調査と教科書分析のために基礎デ ータを提示する。

第 4 章は「『シタ?』の否定回答のテイナイ形の習得」である。テイナイ形の習得を 調査するに先立って、第 4 章では、日常会話で頻繁に使われている「シタ?」に注目 し、83 名の JFL 環境の中国人学習者を対象に、文完成テストを用いて、「シタ?」に 対して行う否定回答のテイナイ形とナカッタ形の両形式がどのように選択されるかを 調査し、テイナイ形の習得研究を行う必要性を主張する。

第 5 章は「テイナイ形におけるアスペクト仮説の検証」である。第 5 章では、アス

ペクト習得研究において普遍的であると言われている「アスペクト仮説」がテイナイ

(16)

形の習得に適用するかどうかを学習者の作文コーパスを用いて検証する。第 5 章の調 査により、テイナイ形を独自の文法項目として捉えるべき根拠を示す。

第 6 章は「学習者コーパスに見られるテイナイ形の習得順序」である。第 6 章では、

これまでのテイル形の習得順序に関する先行研究を概観した上で、縦断的コーパスお よび横断的コーパスの 2 種類の学習者コーパスを用いて、母語が異なる学習者のテイ ナイ形の習得順序を考察する。第 6 章の調査により、日本語学習者におけるテイナイ 形の習得状況を把握できる。

第 7 章は「文法テストに見られるテイナイ形の各用法の習得状況」である。第 7 章 では、第 6 章の分析で解決できなかった問題点を踏まえ、四択の文法性判断テストと 文完成テストを用いて、理解と産出の両方からテイナイ形の各用法の習得難易度の順 序を明らかにする。そこから、日本語学習者におけるテイナイ形の習得メカニズムを より詳細に究明し、テイナイ形を独立した文法項目として、アスペクト教育に取り入 れる必要性を示す。

第 8 章は「教科書におけるテイナイ形の扱い方」である。第 8 章では、教科書分析 を行い、現行教科書の問題点をまとめ、アスペクト教育にテイナイ形の指導を取り入 れるポイントを考える。

第 9 章は「学習者がテイナイ形に関する意識」である。第 9 章では、自由回答のア ンケートおよびインタビュー調査を用いて、学習者のテイナイ形に関する使用意識を 調査し、指導法を提案するための留意点をまとめる。

第 3 部は「総論」である。第 10 章の「総合的考察と日本語教育への提言」を「総論」

とし、以上の各章の知見をまとめ、総合的な考察を行い、最終的にこれらの研究結果 を踏まえ、指導法改善の提言をする。

全体の構成を図 1 に示す。

(17)

図1 本論文の構成 第 1 章 研究概要

研究背景、研究課題、研究方法、研究構成を述べる

第 2 章 本研究におけるテイナイ形の用法分類

テイル形・テイナイ形の意味記述の諸説を概観し、テイナイ形用法を分類し、分類の基準 を示す

第 3 章 日本語母語話者 におけるテイナイ形の使 用実態

第 4 章 「シタ?」の否定回答のテイナイ 形の習得

第 5 章 テイナイ形におけるアスペクト仮 説の検証

第 6 章 学習者コーパスに見られるテイナ イ形の使用順序

第 7 章 文法テストに見られるテイナイ形 の各用法の習得状況

課題 1 日本語母語話者にお けるテイナイ形の使用実態

課題 2 日本語学習者における テ イ ナ イ 形 の 習 得 メ カ ニ ズ ム

課題 3 教育現場における テイナイ形の指導現状と学 習者の使用意識

第 8 章 教科書におけるテ イナイ形の扱い方

第 9 章 学習者のテイナイ 形に関する使用意識

第 10 章 総合的考察

3 つの課題の結果を総合的に考察、分析し、指導法改善の提言をし、今後の課題をま

とめる

(18)

第 2 章 本研究におけるテイナイ形の用法分類

これまでのアスペクト研究においては、テイル形の意味用法について多く論じられ ている。テイナイ形が意味用法上、テイル形とは異なる振る舞いをするという指摘が 多いものの、それを体系的に考察する研究は少ない。そこで、本章では、肯定のテイ ル形と否定のテイナイ形の「非対称関係」を考慮しながら、日本語教育向けのテイナ イ形の用法分類の枠組みを提案し、本研究の様々な調査のために、理論的な土台を作 る。

本章の具体的な構成は以下の通りである。

2.1 では、日本語のテンス・アスペクト体系を紹介する。

2.2 では、日本語のアスペクト研究において、中心的な研究テーマとされてきたテ イル形の用法記述を概観し、本研究における分類を整理する。

2.3 では、これまで十分に重要視されてきたとはいえないテイナイ形の用法記述を まとめる。

2.4 では、以上の分析を踏まえ、テイル形・テイナイ形の「非対称関係」の所在を 述べる。

2.5 では、最後に従来の分析の問題点と議論をまとめた上で、本研究で分析の中心

とするテイナイ形がどう位置づけられるかを検討し、学習者がテイナイ形を適切に産

出できるようになるための用法分類を提案する。

(19)

2.1 日本語のテンス・アスペクト体系

アスペクトとテンスは時間を表す重要な文法項目である。テンスは「事態の時を発 話時を基準にして位置づける文法形式」 (益岡・田窪 1992:108)であり、動詞の非過 去形(ル形)と過去形(タ形)は日本語のテンスを表す基本的な形式である。

それに対して、アスペクトは動きの展開の「開始、継続、終結」など様々な局面(段 階)を表す文法形式であり(同:111)、動詞の完成相(ル形、タ形)と継続相(テイ ル形、テイタ形)は日本語のアスペクトを表す基本的な形式である。

(1)太郎は映画を見る。

(2)太郎は映画を見た。

(3)太郎は映画を見ている。

(4)太郎は映画を見ていた。

(1)の「見る」と(2)の「見た」は、テンスとして過去形と非過去形として対立 しているが、 「映画を見る」という出来事の始まり、過程、終わりなどの段階を含んで、

丸ごとと捉えることで共通しており、アスペクトにおいて、両方とも「完成相」を表 す。一方、 (3)の「見ている」と(4)の「見ていた」は、テンスとして過去形と非過 形を表すことで、異なっているが、出来事の展開の段階に注目することで共通してお り、アスペクトにおいて、両方とも「継続相」(町田 1989 では「非完成相」)を表す。

以上で示したように、ル形―テイル形が二項対立として、それぞれ「完成相」と「継 続相」を表し、その関係が表 1 のようにまとめられる。このパラダイムは現代日本語 の時間性の根幹に位置する体系であるとして、工藤(1995)は基本アスペクト・テン ス体系と呼んでいる。これまで金田一(1950)から工藤(1995)につながる研究の流 れは、以上で示した基本体系および、そこから生じたパーフェクトや反復、習慣など の派生的な意味との関連を示している。

表 1 基本テンス・アスペクト体系 アスペクト

テンス 完成相 継続相

非過去 スル シテイル

過去 シタ シテイタ

(奥田 1978)

(20)

2.2 テイル形の意味用法に関する諸説

テイル形はテンス・アスペクト体系の中では意味が最も抽象的であり、語彙上の制 約が少ない上に、適用範囲も広く、従って使用頻度も高い形式である(金水 2000:15)。

その意味論述がアスペクト研究の中心的なテーマとして、金田一(1950)以来、様々 な視点から行われてきた。

本節ではこれまでのテイル形の意味用法に関する諸説を整理する。

2.2.1 動詞の分類とテイル形の意味

テイル形の意味研究の先駆者金田一(1950:7-9)は、「時間的に見た動詞・作用の 種類による分類」、いわゆる「アスペクトの観点」から動詞の分類を行った。動詞がテ イル形をつけるかどうか、つける場合にはテイル形がどのような意味を表すかによっ て、動詞を下記のように四分類しており、それと関連するテイル形の意味をそれぞれ

「動作が進行中である」、「結果が残存している」、「単純状態」とまとめている。

【状態動詞】テイル形をつけることができない動詞。時間を超越した観念を表す動 詞。例えば: 「ある」、 「できる」、 「見える」、 「要する」、 「言う」、 「分か る」、 「過ぎる」 (形容詞の語幹についてできた動詞、例「大きすぎる」)

などの動詞がこの類に属する。

【継続動詞】テイル形をつけることができ、動作、作用を表す動詞であり、その動 作、作用はある時間内続いて行われる種類のものであるような動詞。

テイル形をつけると、動作が進行中であることを表す。例えば「読む」、

「書く」、「働く」、「考える」、「揺れる」、「燃える」などの動詞がこの 類に属する。

【瞬間動詞】テイル形をつけることができ、継続動詞と同じく動作作用を表す動詞 であるが、その動作・作用は瞬間的に終わってしまう動作・作用であ る動詞。テイル形をつけると、動作・作用が終わって、その結果が残 存していることを表す。例えば: 「死ぬ」、 「届く」、 「触る」、 「終わる」、

「結婚する」、「卒業する」などがこの類に属する。

【第四種の動詞】いつもテイル形のついた形で単純状態を表すのに用いられ、単独

の形で動作・作用を表すために用いられることのないもの。例えば: 「聳

える」、「すぐれる」、「ありふれる」、「似る」などがこの類に属する。

(21)

従来の研究では、日本語動詞の分類は、自動詞と他動詞の分類、意志動詞と無意志 動詞の分類、独立動詞と補助動詞の分類といったのが一般であったが、金田一(1950)

の分類は時間的な観点から動詞を捉え、動詞の意味をテイル形の意味に関連付けた研 究であるがゆえ、画期的な意味を持つ。これ以降のテイル形の研究では、アスペクト の観点から捉えるのが通説となっている。

2.2.2 「経験」の用法について

藤井(1966)は金田一(1950)分類の基準に従い、一つの動詞がテイル形を取ると、

文脈により二つ以上のアスペクト意味を表すことがあり、判断しがたい場合が多いと 指摘し、アスペクトの視点から動詞をさらに詳しく分類している。そして、テイル形 の意味も下記の 6 種類であると述べている。

【動作の進行】動作がある時間内継続すること、または現在継続中であることを表す もの。例:今読んでいる。

【継続】同一の状態の継続を表すもの。

例:じっとしている。

【結果の残存】過去の動作・作用の結果が現在に残っていることを表すもの。 「今(は)」、

「現在(は)」などで修飾され得るが、「長い間」などでは修飾され得な い。

例:今は結婚している。

【経験】「過去の動作・作用を現在から眺めた」場合に用いられるもの。「すで に」、 「今までに」、 「以前」、 「その時」などで修飾され得るが、 「今(は)」、

「現在(は)」の現在の時点を表すものでは修飾され得ない。その点に結 果の残存との違いが現れている。

例:あの人はたくさんの小説を書いている。

【単純状態】現象の起こり終わりということを考えずにある状態にあることを表す もの。

例:この道が曲がっている。

【反復】瞬間の動作の繰り返しがつづくことを表すもの。

例:今有名人がどんどん死んでいる。 (藤井 1966:110-114)

(22)

藤井(1966)による分類で高く評価できる点は、 「経験」という用法を従来の「結果 の残存」の用法から区別したことである。なぜ両者を区別しなければならないのか、

それについて考えるために、まず金田一(1950)で「結果の残存」とされている以下 の 2 例を見てみよう。

(5)あの人はたくさんの小説を書いている。

(6)あの人は現在結婚している。 金田一(1950:12)

藤井(1966)は、両方とも過去において行われた動作・作用であり、一見すると、

どちらも「結果の残存」に属するように思われるかもしれないが、実際には意味が異 なっていると指摘している。 「書いている」という表現は過去において行われた動作・

作用そのものに注目し、現在から過去を眺める意味を表すのである。「結婚している」

のほうは、過去の動作・作用ではなく、その動作・作用のもたらした結果の状態を表 しているからである。すなわち、 「結婚している」は「現在」の状態を表しているとい えるが、「書いている」のほうは現在の状態を表しているとはいえない。

(7)*現在たくさんの小説を書いている。(藤井 1966:106)

また、この種の用法は逆に過去の時点を表す時間副詞や時間の従属節と共起できる。

例えば、同じ「結婚している」であっても、 「彼は昭和十五年に結婚している」という ような場合には、 「現在結婚している」とは全く違う意味である。すなわち、この「経 験」の用法と「結果の残存」との根本的な区別は、 「経験」は現在の状態ではなく、過 去に行われた動作・作用そのものに注目するという点にある。

それ以外に、「経験」の用法と「結果の状態」や「進行」との相違点は(8)、(9)、

(10)に見るように、 「経験」の用法は(「結果の状態」や「進行」とは異なり)、動作 動詞、変化動詞などという動詞のアスペクト的な意味にかかわらず、状態動詞を除き、

全ての動詞と共起できる点である。

(8)耳を切った夜、難行苦行を記録する若者だと告げる謎めいたインド僧が明恵の 眼前に現れている。

(9)先月までに 5 人の若者がこの病気で亡くなっている。

(23)

(10)[犯人が殺害に及んだとき]、幅の広い布のようなもので絞めている。

(金水 2000:37)

この意味において、 「経験」は継続相のテイル形をとりながら、完成相の意味を持っ ていると思われる。それゆえ、 「経験」を継続相から独立のパラタイムとして扱い、 「派 生的アスペクト」 (工藤 1995)や「アスペクトから解放された形式」 (高橋 1969)と捉 えた研究もある。

また、 「経験」を表すテイル形は「現在までに出来事が実現済みである」ことを表す ことは重要である。これは、 「現在(発話時)までに出来事が実現済み」を表すタ形の 意味に極めて近い。例えば、下記の例のように代替可能な場合が多いため、この種の タ形は、 「経験」のテイル形とともに、過去の出来事を現在と関連付けて述べるパーフ ェクトの用法として位置づられることがある(工藤 1995)。この点は後述の肯定のテ イル形と否定のテイナイ形の「非対称関係」が成り立つのに重要であると考えられる。

これについては、次節で詳しく述べる。

(11)彼は去年フルマラソンを{完走している/完走した}。

(12)花子は 20 年前にロンドンで{生まれています/生まれました}。

(梅野・鈴木 2008:115)

藤井(1966)は「経験」という重要な概念を視野に入れたため、アスペクト研究を さらに進めた。それ以後の吉川(1973)、寺村(1982)、高橋(1985)、工藤(1995)、

金水(2000)、井上(2001)、高見・久野(2006)、梅野・鈴木(2008)などの研究がそ の展開であると言える。

2.2.3 「パーフェクト相」について

工藤(1995)はテイル・テイタ形の意味用法を一括して明らかにするため、従来の

研究で「完了」という用語を避け、 「テイ」の用法の一種として、 「パーフェクト」perfect

という概念をアスペクト体系に入れ、それを「ある設定された時点において、それよ

りも前に実現した運動がひきつづき関わり、効力を持っている」(工藤 1995:99)と

定義した。下記の(13)、(14)はその例として挙げられている。

(24)

(13)その本なら、1 度読んでるよ。

(14)病院に駆けつけたとき、父は既に 30 分前に死んでいた。 (工藤 1995:99)

さらに工藤はパーフェクトの成立には下記の 3 点が重要であると述べている。

a 発話時点、出来事時点とは異なる<設定時点>が常にあること。

b設定時点に対して出来事時点が先行することが表されていて、テンス的要素として の<先行性>を含んでいること。

cしかし、単なる<先行性>ではなく、先行して起こった運動が設定時点との結びつ き=関連性を持っていると捉えられていること、つまり、運動自体の<完成性>と ともに、その運動が実現したあとの<効力>も複合的に捉えるというアスペクト的 要素を持っていること。

工藤は「パーフェクト」という概念を提案し、テイル形とテイタ形をテイで統一し た上で、テイル形もテイタ形もアスペクトの形式であるのみならず、発話時点、出来 時点、設定時点という 3 つの要素の関係を表すテンスとアスペクトの総合であること を指摘している。例えば以下の 3 例はそれぞれ過去のパーフェクト、現在のパーフェ クト、未来のアスペクトである。この捉え方は現在の日本語学におけるアスペクト研 究の共通理解と見ることができよう(金水 2000)。

(15)私の父は、ガンでもう死んでいる。

(現在のパーフェクト:)設定時は現在、出来事は現在以前

(16)私が帰郷したときには、父は既に三時間前に死んでいた。

(過去のパーフェクト:設定時点は過去、出来事はそれ以前)

(17)あなたが家庭を持つころには、私はもうとっくに死んでいるわよ。

(未来のパーフェクト:設定時は未来、出来事時はそれ以前)

(井上 2000:108)

(25)

2.2.4 テイル形の用法整理

テイル形の意味ついては、以上で挙げた大局的な研究以外にも、様々な視点から論 述がなされてきた。例えば樋口(2000)、山本(2005)、吉田(2009)、津田(2011)は 認知論の観点から論じている。Jacobsen(1992)、影山(1996)、 Matsmoto(2000) は類 型的な論点からアスペクト意味の普遍性を探っている。西・白井(2004)、許(2004)、

庵(2001)は習得と使用の観点から検討している。代表的な分類をまとめると、表 2 になる。

表 2 テイル形の意味用法の整理 用法分類 金田一

(1955) 進行態 単純

状態態 既然態 反復進行態 藤井

(1966)

動作の

進行 持続 単純状態 結果の

残存 経験 反復

吉川

(1973) 動作継続 状態

結果

継続 経験 習慣

寺村

(1982)

動作や現象が継続している 形容詞的動詞のテイル

結果の 状態

現在に意義を 持つ過去の事象

現在 の習慣

集団と しての 現象 の継続 工藤

(1995) 動作の継続 単なる 状態

変化結果 の継続

現在

パーフェクト 反復 庵

(2001) 進行中 単なる

状態 結果残存 記 録

完 了

効力 持続

反 事 実

繰り返し

西・白井

(2004) 進行 結果状態 完了 習慣 許

(2004) 動作の持続

所属 職業

形容詞 的働き

慣 用 法

結果の 状態

経歴 経験

反実

仮想 習慣・繰り返し

(26)

これらの研究は、分類の視点こそ異なっているものの、 「現在」、 「動作性」、 「継続性」

という 3 つの要素に基づいて、テイル形の多義性を統括するという点で、大きな違い はない(許 2000)。

ところが、以上のような分類はほとんど日本語学に基づいたものであり、日本語教 育への応用においては十分ではないという指摘がある。例えば、崔(2009)では初級、

中級、上級の学習者を対象にテイル形の習得を調査した結果、上級の学習者でもテイ ル形/テイタ形の「結果残存」の用法を正しく使用できないことが明らかとなり、その 理由を現行のテイル形の用法分類が学習者にとって理解しにくいためと指摘した。高 梨(2013)、庵(2014)なども同じような指摘をしている。

これらを踏まえて考えると、学習者向けの説明として、テイル形の意味用法を規定 する際、学習者には理解しづらい呼称を避け、さらにそれぞれの用法の意味区別を明 確にしなければならないであろう。

本研究は日本語教育現場への応用という最終の目的を考慮した上で、テイル形の用 法を「進行」、 「状態」、 「属性」、 「反復」、 「経験」という 5 種類にまとめることにする。

それぞれの基準を以下のように述べておく。各用法の定義については 2.5.2 でテイナ イ形の用法と合わせて詳しく説明する。

①「進行」:「進行」を「現在進行中」と「長期的な動作の継続」に分けている研究も あるが、本研究では吉川(1973)に従い、両方を一括して「進行」と呼ぶ。また「ド アを叩いている」のような瞬間的な動作が何度も行われることによって進行の意味 を表す「繰り返しの進行」も「進行」とする。

②「状態」と「属性」:「単なる状態」と「結果の状態」とは、極めて近い関係にある と指摘されている(吉川 1973、西・白井 2004 など)。例えば同じ「曲がっている」

という表現でも、 「この釘は曲がっている」という場合は、その釘はもともとはまっ すぐだったのがあるときに曲がったということが示唆されているため、「結果の状 態」になるのに対して、 「この道は曲がっている」という場合は単純状態を表す。 「結 果の状態」と「単なる状態」のどちらとも解釈できる場合も多いため、 「単なる状態」

を「結果の状態」の一種と位置づける研究もある(Jacobsen1992、西・白井 2004)。

本研究はそれらに従い、 「結果の状態」と「単なる状態」を一括し、さらに状態の恒

常性の有無により、「属性」と「状態」に下位分類する。また、許(2004)は「慣

用法」を「持っている」、「知っている」、「住んでいる」、「ことになっている」など

(27)

態」の一種と言えるため(菅谷 2003)、本研究ではこれらも「状態」とする。

③「経験」 : 「パーフェクト」 (工藤 1995)、 「現在に意義を持つ過去の事象」 (寺村 1982)

などとも呼ばれているが、本研究では藤井(1966)に従い、「経験」と呼ぶ。また、

庵(2001)や許(2004)のように、実際とは異なる事象を仮定する用法として、 「反 事実」(許 2004 では反実仮想)の区分を設定する分類もある。これはアスペクトと いうより、モダリティ用法であるが、日本語だけでなく、 「経験」という用法が反事 実性を示すために使用されることが指摘されている(工藤 1995)。本研究では便宜 的にこの用法を「経験」の下位区分と見なす。

④「反復」:「習慣」、「繰り返し」といった呼称が用いられているが、本研究では、① で述べた「繰り返しの進行」と区別するため、藤井(1966)に従い、 「反復」と呼 ぶ。

2.3 テイナイ形の用法に関する諸説の整理

以上、金田一(1950)から工藤(1995)につながるテイル形の意味記述を整理して きた。本節では、テイナイ形の意味記述に目を向け、論を進めたい。日本語の肯定ア スペクト・テンス形式(形態論的形式)と否定のアスペクト・テンス形式(形態論的 形式)はきれいな対称関係にあるが、意味用法上、あるいは機能上は、常に対称な関 係にあるわけではないと言われている(工藤 1995、2010、山村 2011)。この非対称性 はテイル形とテイナイ形の使用時に見られる。例えば(18)(19)に見られるように、

肯定の場合にタ形が用いられるのに、否定の場合にテイナイ形が使われることが挙げ られる。

(18)A 今私の名前を呼んだ?

B ううん、呼んでいない。(*呼ばなかった)

(19)A 忘年会の話、もう聞きましたか?

B いえ、まだ、聞いていません。(*まだ、聞かなかった)

このような非対称的な現象があるため、テイナイ形は必ずしもテイル形の否定のみ と捉えず、その意味用法を詳しく検討することが必要であると考えられる。しかし、

これまでテイル形の意味用法の研究が盛んに行われているのに対して、テイナイ形を

独自の文法項目と捉え、その意味用法を論じたものは未だ少ない。多くの研究は疑問

文「シタ?」の否定応答として、ナカッタ形とテイナイ形の区別に焦点を当てている。

(28)

数少ないテイナイ形自体に注目した研究もテイナイ形をテイル形の否定のみと捉えた ものがほとんどであり、テイル形とテイナイ形の「非対称関係」を指摘した研究は管 見の限り、工藤(1996)しか見当たらない。以下、テイナイ形の意味記述を概観して いきたい。

2.3.1 ナカッタ形とテイナイ形の区別について

寺村(1982)は、「シタ」には、「過去の事実」と「現在の既然」という二つの意味 用法があり、「過去の事実」はテンスの用法であり、「現在の既然」は現在テンスと既 然アスペクトが重なったものであると述べている。さらに、 「問答では、答えが否定の 場合は『過去の事実』であるナカッタ形と『現在の既然』であるテイナイ形によって、

その違いが顕在化する」と指摘している。

(20)モウ昼飯を食べタカ。

イヤ、マダ食べテイナイ。

*食べナカッタ。 (寺村 1982:332)

庵(2001)は(21)の回答文では、質問している行為の「昼ご飯を食べる」が実現 可能な時点と発話時に近いかどうかによって完了の否定(テイナイ形)と過去の否定

(ナカッタ形)を使い分けると説明している。

(21)A:(午後 6 時ごろに)昼ご飯を食べましたか。

B1:はい、{ø/*もう}食べました。

B2:いいえ、{食べませんでした/*まだ食べていません}。

A:(午後1時ごろに)昼ご飯を食べましたか。

B1:はい、{ø/もう}食べました。

B2:いいえ、{*食べませんでした/まだ食べていません}。 (庵 2001:145)

寺村(1982)に代表されるこの見方は、ナカッタ形とイナイ形の区別を動詞のタ形 の「過去」 (過去時+タ)と「完了」 (もう+タ)という両義性の立場から捉えている。

一見明瞭なように見えるこの対応関係は、それ以後テイナイ形の意味用法の一般的な

捉え方として定着しており(山下 2004、劉 2012)、日本語教育現場にも広く取り入れ

(29)

2.3.2 テイナイ形の意味について

しかしながら、日本語母語話者の実際の日常会話では「完了」の否定という概念で は説明できないテイナイ形が頻繁に使われている。例を以下に示す。

(22)昨日、パーティーに出た?

a.ううん、出ていない(出てない)。

b.ううん、出なかった。 (松田 2002:35)

(23)テレビの「徹子の部屋」は昨日ご覧になりましたか。

昨日は見てないですけど。 (ザトラウスキー1983:50)

いずれの例も「昨日」という明確な過去時を示す副詞を伴った「タ?」質問文に対 する否定回答として、ナカッタ形の代わりに、テイナイ形が用いられている。しかも、

回答文の中にも同じ「昨日」が出現している点で、前述の寺村(1982)らの考えとは 相容れないものである。テイナイ形はテイル形の否定より用法がかなり複雑であるこ とが窺える。

この種のテイナイ形のみに注目し、その位置づけを言及した研究には、高橋(1988)、

井上(2001)と松田(2002)が挙げられる。

井上(2001)は、 「タ」はテンスの意味のみを表していると主張し、 「シタ?」に対す る否定回答の「シテイナイ」を「(マダ)シテイナイ」と「(*マダ)シテイナイ

1

」に 分けて、 「実現想定区間」

2

という概念を用いて、テイナイ形の意味を論じた。 「発話時 が該当出来事の実現想定区間内にあり、出来事の非実現が最終的に確定されないうち は、『(マダ)シテイナイ』が用いられる」、「話し手が該当の出来事が実現される可能 性そのものを認めない場合は、やはり『(*マダ)シテイナイ』」が用いられると述べて いる(井上 2001:132-133)。

松田(2002)は先行研究を踏まえ、テイル形/テイナイ形の基本的な意味を<過去時 ニ何々シタ(という事実が)アル/ナイ>として捉え、「過去時ニ何々シタカ」に対し て何故シテイナイで答えることができるのかを以下のように説明している。

1井上(2001:134)では「(*マダ)シテイナイ」は「まだ」の意味をともなわない「シテイナイ」

を示す。

2 井上(2001:127)では、該当の出来事がいつ実現されてもおかしくない区間を「実現想定区間」

としている。

(30)

<過去時ニ/今マデニ> <発話時判断>

シテイル・シテアル=何々シタ という事実(結果)が アル シテイナイ =何々シタ という事実(結果)が ナイ (松田 2002:38)

高橋(1988:89)はこの現象について、「過去に運動がなかったことを『していな い』で表す用法は、会話文のなかではかなりひろくつかわれている。これらは『して いない』の形を取っているが、持続の局面のなかにあるという継続相のアスペクト的 意味ももっていないし、また、前現在

3

の意味を積極的に示しているわけでもない」と 述べ、この種のテイナイ形を「前現在のテンスから解放された用法」と位置づけ、テ イル形の経験・記録用法に近いものであるとしている。

以上に対して、工藤(1996)はテイナイ形自体の意味用法に注目している。工藤は アスペクト・テンスと否定の関係という観点から出発し、否定の発話を用いる前提は 肯定の想定とし、否定のアスペクト・テンス体系を幅広く分析している。さらにテイ ル形とテイナイ形の「非対称関係」を指摘し、その非対称関係は現在パーフェクトに あると述べている。

工藤(1996)の研究はテイル形とテイナイ形の非対称関係を指摘している点で評価 できるが、テイナイ形が用いられる条件は「肯定的想定が現在あるいは現在までにア クチュアル化

4

していないことを表すのだが、<アクチュアル化の可能性>はまだ残さ れている」 (工藤 1996:95)としている。しかし、実際の使用においては、 (22) (23)

で示したように、「アクチュアル化の可能性」が必ずあるとは言えない。この「非対 称関係」の内訳をより明確にする必要があると考えられる。

また、工藤(1996)が指摘したテイナイ形の用法分類にも疑問が残る。工藤はテイ ナイ形の意味用法を①継続相現在の否定、②パーフェクト相現在の否定、③継続相過 去の否定、④反復相現在の否定、に分けている。この分類の枠組みの中で、②パーフ ェクト相現在の否定と③継続相過去の否定の意味区別については検討すべき点があ ると考えられる。例えば、以下のような 2 例は、それぞれ、②パーフェクト相現在の 否定と、③継続相過去の否定として挙げられているが、意味上では共通点があるよう に思われ、さらなる検討が求められる。

3高橋(1988:80)ではテイナイ形の「前現在」の用法を「犯人が来るかもしれないと、みはってい たんですが、客はまだ一人も入っていません」のような「現在以前に運動の成立がないことである」

としている。

(31)

(24)「空港警察の者ですが、ちょっと署まで御同行願えませんか。」

「け、警察って、俺、なんにもしてないよ。」(工藤 1996:120)

(25)「昔ははるか年上の、手の届かない大人という印象でした。たった 5 つしか 違ってなかったのね。だまされてたみたい。」

「だましてなんかいないよ。」(工藤 1996:124)

橋本(2015)は工藤(1996)が言及していない「アクチュアル化の可能性」のない テイナイ形を取り上げ、会話の中で答え手にとってどのような時にテイナイ形が使わ れるかを心的態度の視点から考察した。その適用場面を①意志・意図の関与回避②未 知・意外感表出③未知・意外感の表出④事態への関与の回避・否定といった 4 種類に まとめた。さらに、これらの用法は従来の「結果残存」、「効力継続」というアスペク ト解説に適用しておらず、出来事が実現していないというだけの解釈が優先すると指 摘している。本章では橋本(2015)の観点を賛同する立場で、これまでの先行研究を 踏まえ、テイル・テイナイ形の「非対称関係」を中心に、テイナイ形の用法を考えて いきたい。

2.4 いわゆる「非対称関係」について

テイナイ形の意味分類を規定する前に、テイル形とテイナイ形の非対称関係につい て述べておく。前述のように工藤(1995)は従来の完成相、継続相以外に、従来の継 続相の一種と捉えられてきた「経験」の用法を「パーフェクト相」という概念で解説 し、 「完成相」と「継続相」から独立させて、アスペクト体系に入れたことで、従来の アスペクト体系は工藤(1995)である種の完成を見る。

一方、前述したように、 「現在のパーフェクト相」 (藤井 1966 らの「経験・記録)に 相当)を表すテイル形は「現在までに出来事が実現済みである」ことに注目するので、

動詞のタ形に極めて近く、タ形もテイル形とともに、 「現在のパーフェクト相」の一種 と位置づけている

5

5両者の区別については工藤(1982)では現在のアスペクトを表すテイル形には、タ形に置き換えら れない「記録用法」と、タ形に置き換えられる「過去的用法」とに分類している。記録用法のテイ ル形は該当の出来事を「現存する記録や痕跡を介してのみ把握可能な出来事」として述べる場合、

タ形は使えず、それ以外はタ形とテイナイ形はすべて置き換え可能である。例えば、

(32)

(26)父は若いころたくさん遊んでいる。(遊んだ)

(27)木の橋は 5 年前に壊れている。(壊れた) (庵 2011:83)

そこで、表 1 のテンス・アスペクト体系に<パーフェクト相>を組み込むと、表 3 になる。それに対して、否定のテンス・アスペクトを見てみよう。表 4 に示すように、

現在のパーフェクト相の否定には、テイナイ形しか用いられない。すなわち、現在の パーフェクト相を表す場合、テイル形とタ形の両方が用いられるが、否定の場合はテ イナイ形しか用いられない。テイル形とテイナイ形のいわゆる「非対称関係」はこの ことにあると考えられる。

表 3 肯定のテンス・アスペクト体系(工藤 1995:161)

アスペクト

テンス 完成相 継続相 パーフェクト相

未来 スル シテイル シテイル

現在 シテイル シテイル シタ

過去 シタ シテイタ シテイタ

表 4 否定のテンス・アスペクト体系(井上 2001 により、作成)

アスペクト

テンス 完成相 継続相 パーフェクト相

未来 シナイ シテイナイ シテイナイ

現在 シテイナイ シテイナイ

過去 シナカッタ シテイナカッタ シテイナカッタ

記録用法:女子事務員はその原薄を取って繰っていたが、「この方が昭和二十四年三月二日に届けが

出ています。」(??出ました)

過去的用法:しかし君はおととしも出席が悪くて落ちているぞ。(落ちたぞ) (工藤 1982:78-79)

表 6  テイナイ形に用いられる動詞  話し言葉(BTSJ)  書き言葉(BCCWJ)  順 位  動詞  頻 度  用法  動詞  頻 度  比率(総語数に対する)  属 性  状 態  進 行  反 復  未完 了  全面否 定  属 性  状 態  進 行  反 復  未完 了  全面否 定  1  覚える  35  35    できる  18    6    10  2  2  来る  15  1    2  4  8  覚える  16    1 6  3  聞く  15  7  1    3  4
表 1  「過去時シタ?」質問の否定回答  表現  意味  具体例  ナカッタ  出来事が過去時点に 起こら なかったことを示 す もの  A:先月、中国に行った?  B:ううん、行かなかった。  (まだ)テ イナイ  過去の事態を現在に基づいて議論している。出来事が発話時(現在)まで実現されていないが、そ の実現の可能性が残されていることを示すもの  A:もう、中国に行った?  B:ううん、まだ行っていない。  (*まだ) テイナイ  発話時に結びつき、    過去の事態を現在に基づいて議論している。出来
表 2  「ナカッタ」項目の回答傾向  回答  ナカッタ  テイナイ  ナイ  その他  合計  学年  2 年生  回 答 数  60  4  33  14  111  割合  54%  4%  30%  12%  100%  3 年生  回 答 数  94  7  26  11  138  割合  68%  5%  19%  8%  100%  合計  回 答 数  割合  154 62%  11 5%  59  24%  25 9%  249  100%  以上の結果に対して、2 変量 χ 2 検定検
表 3  「(まだ)テイナイ」項目の回答傾向  回答  ナカッタ  テイナイ  ナイ  その他  合計  学 年  2 年生  選択数  43  27  35  6  111 割合 39% 24% 32% 5%  100%  3 年生  選択数  39  64  28  7  138  割合  29%  46%  20%  5%  100%  合 計  選択数 割合  82  33%  91  37%  63  25%  13  5%  249  100%  以上の結果に対して、χ 2 検定を行ったところ、
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