最少斜角 49°を有する橋脚を含む橋梁の構造検討
西日本高速道路
正会員 佐溝 純一
ドーユー大地 正会員 武 伸明、小山 雅己、関 宏一郎、児嶋 基成
1.はじめに
新名神高速道路・木津川橋は、河川の交差条件より最小斜角が 49°の橋脚を有する橋梁となり、また、最 大支間長の低減を目的として堤防内に斜角を有するピアアバット橋脚を配置したため、斜構造に対応した橋梁 計画を行った。特に、斜角の小さい橋脚は、地震時に二軸曲げの影響が大きくなることから、非線形動的解析 により柱部材の安全性を確認した。また、河川内橋脚は上下線一体構造が条件となることや、ランプ拡幅によ り幅員が広く斜角も小さいことから脚柱幅 40m 以上のマスコンクリート構造が必要となるため、初期ひび割れ を照査した。
2.橋梁概要
木津川橋の橋梁計画にあたっては、工作物設置許可基準に条件付で認められているピアアバット構造を適用 し、堤防本体内に平行に斜角を有するピアアバット構造の橋脚を設置した。河川内には、河川と橋梁の交差角 に合わせた斜角を有する橋脚を配置した(図‑1)。
橋脚は将来拡幅を含めて片側 3 車線の高速道路計画に対応した構造とし、上部構造の直角方向幅が 40m 以上 と広いことから、下部構造幅を抑える梁を設ける構造を採用したが、それでも斜角の影響により柱部分は最大 44mの幅が必要となった(図‑2)。
3.多径間連続橋の支承構造
橋長 755m の連続鋼桁橋のため、桁端部に位置するピアアバ ットの P2、P10 橋脚は伸縮桁長が長くなり、温度変化等による 不静定力が大きく作用する。また、斜角も小さく各橋脚で変化 することから、P2〜P10 橋脚における上部工慣性力の分担比率 を最適化する目的で、免震支承のせん断弾性係数 Ge を指標と して、次の 3 ケースの支承構造を検討した。
【 case1 】 全 橋 脚 : Ge=1.2N/mm2 、【 case2 】 P2,P10 橋 脚 : Ge=0.8N/mm2、【case3】P2,P10 橋脚:すべり支承
検討の結果、P2、P10 橋脚の地震時水平力は case3 とした場 合、40%近く低減できるが、その分、隣接橋脚の地震時水平力 が増加し、桁端部の最大移動量は 10%程度増加する。case1 以 外では、P3 橋脚の杭列数が増加し、非出水期内施工が困難に なる。そこで、経済性に優れ、杭本数桁端部の最大変位量が少 なくなる case1 を採用した(図‑3)。
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キーワード 新名神高速道路、河川橋、斜橋、ピアアバット、免震構造、ファイバーモデル
連絡先 〒532-0002 大阪市淀川区東三国4−13−3 (株)ドーユー大地 大阪支社
TEL 06-4807-7735
図‑1 橋梁平面図城陽 JCT 側 八幡 JCT 側
木津川
堤防 堤防
ピアアバット ピアアバット
上下線一体構造
図‑2 河川内橋脚形状
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000
P12 P11 P10 P9 P8 P7 P6 P5 P4 P3 P2 P1
L1時水平力(kN)
case1(Ge=1.2) case2(P10,P2:Ge=0.8) case3(P10,P2:すべり支承)
図‑3 支承に作用する水平反力の分布 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)
‑3‑
CS5‑002
4.斜角による二軸曲げ作用を考慮した耐震性照査 本橋は斜角を有しており、橋脚には地震時に二軸曲げ が作用するが終局時では非線形域となり、重ね合わせが 成立しない。そのため、最小斜角 49°を有する P10 橋脚 を対象として、ファイバーモデルを用いた 3 次元動的解 析を実施し、安全性を確認した。
非線形部材のモデル化では、柱基部にファイバーモデ ルを適用し、柱基部より上方は M‑φモデルを用いた。フ ァイバー要素は、かぶりコンクリート、横拘束筋で拘束 されたコアコンクリート、軸方向鉄筋に分割し、各部材 の構成則は、かぶりコンクリート:単純 2 次関数型モデ ル、コアコンクリート:指数関数型モデル、軸方向鉄筋:
バイリニアモデルを適用した(図‑4,図‑5)。
加振方向は橋軸方向とし、橋脚天端の変位を確認した 結果、直角方向(Y 方向)への変位が増大しており、二 軸曲げ作用を受けることが確認できた(図‑6)。柱基部 におけるファイバー要素の応答ひずみについて、鉄筋は 降伏に達するが、コンクリートは、終局ひずみ(εcu)
以下であることを確認した(図‑7)。比較のため、柱基 部に M‑φモデルを適用した場合でも 3 次元動的解析を実 施し、柱基部の M‑φ履歴を比較した結果、剛性低下の影 響により、M‑φモデルの曲率の方が若干大きくなるが、
両モデルともに、非線形動的解析の曲率照査は許容値内 であり、二軸曲げを評価し、脚柱の耐震性が確保されて いることを確認した(図‑8)。
5.橋脚柱の温度ひび割れ照査
河川内橋脚は上下線を支持することから、脚柱幅は 40m 以上の壁部材となり、施工時にマスコンクリートの 水和熱により有害な温度ひび割れを発生する可能性が ある。そのため、脚柱幅が最も広い P3 橋脚を対象に、2 次元 FEM 解析による温度応力解析を実施し、セメントの 水和熱に起因するひび割れ照査を行った。解析における ひび割れ誘発目地の位置は、最大間隔 15m 以下として等 間隔に設定した。
ひび割れ誘発目地部及びひび割れ誘発目地間の中央 部でひび割れ幅を算定した結果、ひび割れ幅の許容値を 下回っており、問題ない範囲であることを確認した(図
‑9,図‑10)。
6.まとめ
河川条件により斜角の小さい斜橋を適用する場合、直 橋と比べて二方向地震力が作用すること、下部構造が大 規模となること等への対応が必要となる。本橋では免震 支承の剛性調整、二軸曲げの影響を考慮した非線形解析、
マスコンクリート橋脚柱の温度ひび割れ照査により安 全性や耐久性を確保した。
[参考文献] 真鍋他、ピアアバットを適用した大規模河川橋の 設計計画 土木学会第 67 回年次講演会(平成 24 年 9 月)
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
0 10 20 30 40 50 60
経過日数[日]
ひび割れ幅[mm]
節点番号<305>
節点番号<280>
節点番号<255>
許容ひび割れ幅:0.4mm
図‑10 解析結果(普通コンクリート)
<目地間部:ひび割れ指数>
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
0 10 20 30 40 50 60
経過日数[日]
ひび割れ指数
要素番号[273]
要素番号[249]
要素番号[225]
<目地部:ひび割れ幅>
躯体(1 ロット)
H=5.0m
<発熱体>
底版 H=3.5m
<非発熱体>
地盤 H=10.0m
<非発熱体>
図‑9 最大温度分布
[225],<255>
[249],<280>
[273],<305>
[ ]:要素番号
< >:節点番号
σc:コンクリートの応力度 σcc:横拘束筋で拘束された コンクリートの強度 σco:コンクリートの設計基準強度
εc:コンクリートのひずみ εcc:コンクリートが最大圧縮応力
に達する時のひずみ Edes:下降勾配
Ec:コンクリートのヤング係数 n:下式で定義する定数 n=(Ec・εcc)/(Ec・εcc‑σcc) σc0
σcc εcc0.002
ひずみ
応力度
Ec Ec
0.2σcc
εcu
0.8σcc
−
= 1 −1
1
n
cc c c c
c E n
εε ε σ
(
c cc)
des cc
c σ E ε ε
σ = − −
:かぶりコンクリート
:コアコンクリート
図‑4 コンクリートの構成則
‑1.5E+05
‑1.0E+05
‑5.0E+04 0.0E+00 5.0E+04 1.0E+05 1.5E+05
‑2.0E‑02 ‑1.5E‑02 ‑1.0E‑02 ‑5.0E‑03 0.0E+00 5.0E‑03 1.0E‑02 1.5E‑02 2.0E‑02 曲率(1/m)
曲げモーメント(kN・m)
M‑φモデル ファイバーモデル 許容曲率(φa)
図‑8 柱基部の M‑φ履歴曲線
許容曲率
(φa)
許容曲率
(φa)
‑0.20
‑0.10 0.00 0.10 0.20
‑0.20 ‑0.10 0.00 0.10 0.20 X方向変位(橋軸) [m]
Y方向変位(直角) [m]
X方向(橋軸)加振 49°方向加振
【第2波形(222)】
二軸曲げ作用 による増大
図‑6 橋脚天端変位比較
εsy
σsy
Es Es
応力度
ひずみ
σsy:鉄筋の降伏点 εsy:鉄筋の降伏時ひずみ σEs:鉄筋のヤング係数
図‑5 軸方向鉄筋の構成則
σcc
εcc
ひずみ
応力度
Ec Ec
0.2σcc
εcu
0.8σcc 圧縮側
応答範囲 引張側
εcc:最大圧縮応力時ひずみ εcu:終局ひずみ σcc:帯鉄筋で拘束された
コンクリートの強度 Ec:コンクリートのヤング係数
図‑7 コンクリートの応力‑ひずみ
(応答範囲)
土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)