レジデントセミナー
高脂血症の管理
糖尿病内分泌内科
加来浩平
21世紀の生活習慣病のマルチケア
心血管イベント リスク 心血管イベント 心血管イベント リスクリスク 高血圧 高血圧 高血圧 高脂血症 高脂血症 高脂血症 内臓脂肪・インスリン抵抗性 内臓脂肪・インスリン抵抗性 内臓脂肪・インスリン抵抗性 糖尿病 糖尿病 糖尿病 過食 過食 過食+
+
運動不足運動不足運動不足1. 高脂血症の診断と分類
2. 高脂血症のガイドライン
3. 高脂血症の治療
脂質代謝異常
・TC : Toatal Choelesterol 総コレステロール ・TG:triglyceride 中性脂肪
・CE : cholesterol ester コレステロールエステル
・VLDL:very low density lipoprotein 超低比重リポ蛋白 ・IDL:intermediate density lipoprotein 中間型リポ蛋白 ・LDL: low density lipoprotein 低比重リポ蛋白
・HDL: high density lipoprotein 高比重リポ蛋白 ・FFA:free fatty acid 遊離脂肪酸(NEFA)
・Lp(a): lipoprotein(a) リポ蛋白(a)
・LPL:lipoprotein lipase リポ蛋白リパーゼ
・HTGL:hepatic triglyceride lipase 肝性TGリパーゼ
・CETP:cholesteryl ester transfer protein CE転送蛋白 ・FH:familial hypercholesterolemia 家族性高TC血症
脂質代謝に関する略語
0 6∼30 12∼140 40∼70 カイロミクロン VLDL LDL HDL Chol (mg/dL)
リポ蛋白
リポ蛋白の種類と組成
TG 4+ 3+ 2+ 1+ 比重 <0.96 ~1.006 ~1.063 ~1.125 VLDL:超低比重リポ蛋白、 LDL:低比重リポ蛋白、 HDL:高比重リポ蛋白 アポ蛋白 組成 C>B>A C>B>E ほぼBのみ A >C原始HDL HDL3 HDL2 カイロミクロン カイロミクロンレムナント VLDL IDL LDL 肝臓 HMG-CoA コレステロール TG LPL <コレステロール逆転送系> LCAT AⅠ 食事 胆汁酸 コレステロール <外因性経路> LPL LDL 受容体 <内因性経路> 小腸 B-48 E B-100 末梢組織
リポ蛋白の代謝
レムナント 受容体 HTGL LCAT SR-BⅠ B-100 B-100 E CⅡ HTGL CⅡ CETP E B-48 E AⅠ AⅠ AⅡ CⅡ脂質代謝異常の病態
脂質代謝異常の病態
生体内で利用しきれないカイロクロン、
VLDL、レムナント、LDLは血中に蓄積
して高脂血症(高トリグリセリド血症、
高コレステロール血症)を引き起こす。
また低HDL血症も脂質代謝異常として
重要である。
これらの脂質代謝異常は動脈硬化性疾患
の危険因子となる
●血清脂質濃度の測定:TC, TG, HDL-C, リン脂質、 FFA, リポ蛋白電気泳動、アポ蛋白、LP(a)が測定 可能。 ● 日常診療:TC, TG, HDL-Cをまず測定し、著しい 異常があればさらに精査を進める。 ● 原則として早朝空腹時に採血をする。
血清脂質の測定
血清脂質の測定
LDL-コレステロール
LDL-コレステロール
・管理目標値はLDL-C値を基準とする。 ・原則としてLDL-C値はFriedewald の式により換算した ものを用いる。 ・Friedewaldの式はトリグリセリドが400mg/dl以上および Ⅲ型高脂血症では使用できない。 Friedewaldの式 LDL-C=(総コレステロール)−(HDL-C)−(トリグリ セリド/5) ・管理目標値はLDL-C値を基準とする。 ・原則としてLDL-C値はFriedewald の式により換算した ものを用いる。 ・Friedewaldの式はトリグリセリドが400mg/dl以上および Ⅲ型高脂血症では使用できない。 Friedewaldの式 LDL-C=(総コレステロール)−(HDL-C)−(トリグリ セリド/5)Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 ≧150mg/dL トリグリセリド 高トリグリセリド血症 <40mg/dL HDL コレステロール 低HDL コレステロール血症 ≧140mg/dL LDL コレステロール 高LDL コレステロール血症 ≧220mg/dL 総コレステロール 高コレステロール血症 (血清脂質値:空腹時採血)
高脂血症の診断基準
米国国民健康栄養調査(NHANES) 第3次/第4次厚生省循環器疾患基礎調査(1980/1990)、第5次厚生労働省循環器疾患基礎調査(2000) 一部改変 0 180 190 200 210 220 230 (mg/dL) 1960 1970 1980 1990 男性(米国) 女性(米国) 男性(日本) 女性(日本) 総コ レ ス テ ロ ール 2000 (年)
日米の平均総コレステロール値の推移
1次予防 J-LIT 0 1 2 3 ∼150 300∼ (mg/dL) TG 0 2 4 6 相対危険度 TC ∼180 200 220 240 260∼(mg/dL) *** ∼100 120 140 160 180∼(mg/dL) 0 2 4 6 LDL-C ∼40 50 60∼ (mg/dL) 0 1 2 3 HDL-C The Lipid, 2001; 12: 239 *** *** *** *** *** ** * :基準群 :p<0.05 :p<0.01 :p<0.001 * *** **
血清脂質と冠動脈イベント
相対危険度 相対危険度 相対危険度 n=423602次予防 J-LIT 0 1 2 TC ∼180 200 220 240∼ (mg/dL) † 0 1 2 ∼100 250∼ (mg/dL) TG 150 * * ∼100 120 140 160∼ (mg/dL) 0 1 2 3 LDL-C † ∼40 50 60∼ (mg/dL) 0 1 2 HDL-C † †
血清脂質と冠動脈イベント
相対危険度 相対危険度 相対危険度 相対危険度 n=4673 :基準群 :p≦0.1 :p<0.05 † * The Lipid, 2001; 12: 239HDL-C 0 1 2 3 100 160 220 85 65 45 25 LDL-C(mg/dL) −HDL-CとLDL-Cとの関連− 冠動脈疾患発症相対リ ス ク ︵ 4年間︶
冠動脈疾患発症相対リスク
(mg/dL) Can J Cardiol, 1988; 4(suppl.A): 5A Framingham Studyプラーク形成のメカニズム
単球 接着分子 内皮細胞 酸化LDL スカベンジャー 受容体 マクロファージ 泡沫細胞 プラーク 形成 内膜 LDL 内腔 MCP-1● I型:高カイロミクロン血症、血清TG値は1000 mg/dlを超える。LPLの欠損あるいは自己免疫機 序による活性の著明な低下による。稀である。 ● IIa型:TC (またはLDL-C)の上昇、TGは正常。 IIb 型: TC (またはLDL-C)とTGの両者が上昇。 ● III型:リポ蛋白電気泳動でbroad βが出現。アポEの 遺伝子型がE2のホモタイプ。稀である。 ● IV型:TGが増加。 ● V型:カイロミクロンとVLDLの両者が増加。血清 TG 値は1000mg/dlを超える。
高脂血症の病型分類
表現型による分類(WHO 分類)
高脂血症の病型分類
表現型による分類(WHO 分類)
● 家族歴が明確。先天的LDLレセプターの欠損。 ● IIa型またはIIb型の表現型。常染色体優性遺伝。 ● 虚血性心疾患により生命予後は悪い。 ● ヘテロ接合体:500人に1人。TCは260mg/dl 以上(>300mg/dlとなる場合が多い)。しばしば壮年 期に心筋梗塞を発症。 ● ホモ接合体:100万人に1人。TCは500mg/dlを 超え、 心筋梗塞で青壮年期に死亡する例多い。 ● 診断:家族歴。TC高値(>260mg/dl)。 黄色腫(腱黄色 腫)、角膜輪。アキレス腱の肥厚(9mm以上)。
家族性高脂血症(原発性高脂血症)
①
家族性高コレステロール血症(FH)
家族性高脂血症(原発性高脂血症)
①
家族性高コレステロール血症(FH)
● 家族性LPL欠損症:I型の表現型を呈する ・LPL活性の欠損を確認(確診) ・アポC-IIが存在 ・高脂肪負荷で血清TG著明増加。 ●アポC-II欠損症:I型の表現型を呈する ・アポC-IIの欠損を確認(確診) ・高脂肪負荷で血 清TG 著明増加 ・正常血清やアポC-II添加でLPL活 性が出現。 ● 原発性V型高脂血症 ・カイロミクロンとともにVLDLの増加をみる。 ・ LPL欠損、アポC-II欠損、アポE異常を認めない。 ・高脂肪負荷と高炭水化物食で血清TG著明増加。
家族性高脂血症(原発性高脂血症)
②原発性高カイロミクロン血症
家族性高脂血症(原発性高脂血症)
②
原発性高カイロミクロン血症
③
家族性III型高脂血症
● アポE2のホモ接合体。1万人の2 3人。 ● 動脈硬化性疾患の合併頻度はFHについで高い。 ● 血中にβ-VLDLやIDLなど通常ではみられないリポ 蛋白分画が出現する。④
家族性複合型高脂血症
● 常染色体優性遺伝。100人に1人。● 診断:FHを除外できる。IIa, IIb, IV型のいずれか。 第1 近親者に高脂血症を認める。表現型がかわる。
腱黄色種がない。
家族性高脂血症(原発性高脂血症)
疾患や薬剤により続発した高脂血症。原因が明らかでな い場合も多い。 ● 糖尿病 ● 肥満 ● 内分泌疾患:甲状腺機能障害、クッシング症候群、 先端肥大症、褐色細胞腫、性ホルモン異常など ● 腎疾患:ネフローゼ症候群、慢性腎不全 ● 肝疾患:脂肪肝、閉塞性黄疸、原発性胆汁性 肝硬変症 ● 薬剤性:利尿薬、経口避妊薬、ステロイド
続発性高脂血症
続発性高脂血症
糖尿病患者における高脂血症の合併頻度
大久保実:診断と治療,78,115,1990. n=136 高脂血症 52.2% 正脂血症 Ⅳ型 49.3% Ⅱb型 32.4% Ⅱa型 16.9% Ⅴ型 1.4% 高TG血症 高脂血症の約83%糖尿病における脂質代謝異常発症機序
脂肪細胞 TG分解 促進 FFA増加門脈中 TG合成増加 肝臓 VLDL増加 血中TG増加= インスリン抵抗性 高血糖 高インスリン 血症 LPL産生 抑制 LPL活性低下 HDL低下 VLDLレムナント、small dense LDL増加高LDL血症 高レムナント血症 高VLDL血症 低HDL血症 2型糖尿病 インスリン感受性の低下 インスリン作用不足 高血糖 糖化・酸化 LDLの増加 VLDL合成亢進 「分子糖尿病学の進歩−基礎から臨床まで−」, 金原出版, 2001 インスリン分泌の低下 LDL受容体 の活性低下 LDL・レムナント の異化障害 LDL産生亢進 遊離脂肪酸の増加 IDL産生亢進 TG-richリポ蛋白 の異化障害 HDL産生低下 LPL活性の低下
2型糖尿病におけるリポ蛋白代謝異常
糖尿病に合併する脂質代謝異常の特徴
糖尿病に合併する脂質代謝異常の特徴
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
●
●
高
高
TG
TG
血症、低
血症、低
HDL
HDL
-
-
C
C
血症
血症
●
●
LDL
LDL
の質的変化:
の質的変化:
small dense LDL
small dense LDL
、
、
糖化
糖化
LDL
LDL
の増加
の増加
●
●
血中レムナント上昇:
血中レムナント上昇:
RLP
RLP
-
-
C
C
の増加
の増加
●
●
家族性高脂血症の増悪
家族性
1. 高脂血症の診断と分類
2.
高脂血症のガイドライン
3. 高脂血症の治療
脂質代謝異常
– 主に国内で得られたエビデンスをもとに作成され、総TC値よりもLDL−Cをより 重要な因子として認識する。 – スクリーニングとしての高LDLーC血症(高コレステロール血症)の診断基準は 1997年ガイドラインと同様に140mg/dL以上(220mg/dL以上)とし、適正値は設 けない。 – 個々の患者の主要冠危険因子の合併する数に応じてリスクの重みづけを行い、 きめ細かい管理を目指すとともに、リスクを減らすことを目標とする。リスクが複 数集積しているマルチプルリスクファクター症候群の重要性を強調。 – 薬物療法適応基準は設定せず、治療手段はライフスタイルの改善を優先する。 – スクリーニングのための 高脂血症の診断基準 及び 患者カテゴリー分類と管 理目標値 で構成される。 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版
動脈硬化性疾患診療ガイドラインの改訂ポイント
動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 ≧150mg/dL トリグリセリド 高トリグリセリド血症 <40mg/dL HDL コレステロール 低HDL コレステロール血症 ≧140mg/dL LDL コレステロール 高LDL コレステロール血症 ≧220mg/dL 総コレステロール 高コレステロール血症 (血清脂質値:空腹時採血)
高脂血症の診断基準
* 冠動脈疾患とは、確定診断された心筋梗塞、狭心症とする。 ** LDL-C以外の主要冠危険因子 加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、 低HDL-C血症(<40mg/dL) ・原則としてLDL-C値で評価し、TC値は参考値とする。 ・脂質管理はまずライフスタイルの改善から始める。 ・脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はB4扱いとする。 ・糖尿病があれば他に危険因子がなくともB3とする。 ・家族性高コレステロール血症は別に考慮する。 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 <100 <180 あり C ≧4 B4 <120 <200 3 B3 2 B2 <140 <220 1 B1 禁 煙 糖尿病学会の ガイ ド ラ イ ン に よ る 高血圧学会の ガイ ド ラ イ ン に よ る <150 ≧40 <160 <240 0 なし A 喫煙 糖尿病 高血圧 TG HDL-C LDL-C TC LDL-C以外 の主要冠危 険因子** 冠動脈疾患* その他の危険因子の管理 脂質管理目標値(mg/dL) 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 なし
患者カテゴリー別管理目標値
患者カテゴリー糖尿病における脂質管理目標値
糖尿病における脂質管理目標値
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
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冠動脈疾患を有さない:カテゴリーB3,B4
総コレステロール<200 LDLコレステロール<120 HDLコレステロール≧40 トリグリセリド<150 (120)冠動脈疾患を有する:カテゴリーC
総コレステロール< 180 LDLコレステロール<100 (単位:mg/dl)1. 高脂血症の診断と分類
2. 高脂血症のガイドライン
3.
高脂血症の治療
脂質代謝異常
高脂血症患者の管理
高脂血症患者の管理
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
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血清脂質値の測定
LDL-C、HDL-C、TGの評価動脈硬化のリスク評価
各危険因子の評価 マルチプルリスクファクター症候群 絶対リスクの評価ライフスタイルの改善
薬物療法
0 1 2 3 4以上 ライフスタイルの改善 目標到達の評価 脂質管理目標値の設定 冠動脈疾患なし (1次予防) 冠動脈疾患あり (2次予防) LDL-C以外の主要冠危険因子の評価 A B1 B2 B3 B4 C 薬物治療の考慮 ライフスタイルの改善 薬物治療の考慮 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 血清脂質測定、問診、身体所見、検査所見
患者カテゴリーと管理目標値からみた治療方針
第1段階(総摂取エネルギー、栄養素配分およびコレステロール摂取量の適正化) 1)総摂取エネルギーの適正化 適正エネルギー摂取量=標準体重*×25∼30(kcal) *:標準体重=[身長(m)] ×22 2)栄養素配分の適正化 炭水化物:60% タンパク:15∼20% (獣鳥肉より魚肉、大豆タンパクを多くする) 脂肪:20∼25% (獣鳥性脂肪を少なくし、植物性・魚類性脂肪を多くする) コレステロール:1日300mg以下 食物繊維:25g以上 アルコール:25g以下 (他の合併症を考慮して指導する) その他:ビタミン (C、E、B6、B12、葉酸など)やポリフェノールの含量が 多い野 菜、果物などの食品を多くとる(ただし、果物は単糖類の含量も多いの で摂取量は1日80∼100kcal以内が望ましい) 第1段階で血清脂質が目標値とならない場合は第2段階へ進む 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版
高脂血症における食事療法の基本
日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 2第2段階(病型別食事療法と適正な脂肪酸摂取) 1)高LDL-C血症(高コレステロール血症)が持続する場合 脂質制限の強化:脂肪由来エネルギーを総摂取エネルギーの20%以下 コレステロール摂取量の制限:1日200mg以下 飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸/多価不飽和脂肪酸の摂取比率:3/4/3程度 2)高トリグリセリド血症が持続する場合 アルコール:禁酒 炭水化物の制限:炭水化物由来エネルギーを総摂取エネルギーの50%以下 単糖類:可能なかぎり制限、できれば1日80∼100kcal以内の果物を除き調味料 のみでの使用とする。 3)高コレステロール血症と高トリグリセリド血症がともに持続する場合 1)と2)で示した食事療法を併用する 4)高カイロミクロン血症の場合 脂肪の制限:15%以下 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版
高脂血症における食事療法の基本
動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版*:運動強度 1) 運動時の脈拍から推定する方法: ① カルボーネンの式 (運動時の心拍数) 心拍数 (脈拍/分)={(220−年齢)−安静時心拍数}×運動強度+安静時心拍数 ② 簡易法(運動強度50%のとき) 心拍数 (脈拍/分)=138−(年齢/2) 2) 自覚的な感じから推定する方法: ボルグ・スケール(主観的運動強度)で11∼13(楽である∼ややきつい) 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 速歩、ジョギング、水泳、サイクリングなど 種 類 30∼60分/日、週3回以上 量 ・ 頻 度 最大酸素摂取量の約50% 運動強度*
運動療法指針
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
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薬物療法
1次予防
ライフスタイルの改善の後、
なお危険と考えられる場合
2次予防
最初から薬物療法を考慮する
遺伝性高脂血症
診断されれば薬物療法を開始する
(家族性高コレステロール血症、 家族性複合型高脂血症、III型高脂血症)プロブコール ニコチン酸製剤 フィブラート系薬剤 陰イオン交換樹脂 スタチン系薬剤 HDL-C TG TC LDL-C 分類 medicina, 1999; 36: 477 一部改変
高脂血症治療薬の分類と効果
:最大30%以上の降下 :最大20∼30%の上昇 :最大20∼30%の降下 :最大10∼20%の上昇 :最大10∼20%の降下薬物による脂質代謝異常の是正
薬物による脂質代謝異常の是正
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
①Ⅳ型:TGのみ高値 フィブラート、EPA、ニコチン酸 ② ll a型:LDLのみ高値 軽症:プラバスタチン、重症:ピタバスタチン ③ ll b型:TGとLDL両方高値 アトルバスタチン、ピタバスタチン フィブラート(LDL軽度上昇の時) フィブラートとスタチンの併用(腎不全のない時) ④Ⅲ型:TGとTCの両方高値、レムナント高値 フィブラート ⑤Ⅴ型:TG>700mg/dl、カイロミクロン高値 フィブラート、EPA、ニコチン
各種HMG-CoA還元酵素阻害剤の特徴
五 島雄一郎 Medical View Points 22(10):2001
五 島雄一郎 Medical View Points 22(10):2001
↓↓ ↓↓ ↑↑ 10∼12 <2 ↓↓ ↓↓ ↑ 14 2 3A4 ↓ ↓ ↑ 1.2 <6 2C9 ↓ ↓ ↑ 1∼2 13 3A4 ↓ ↓ ↑ 1∼2 20 受けない LDLーC低下 TG低下 HDLーC上昇 半減期(時間) 腎への排泄率 (%) CYPでの代謝 ピタバスタチン アトルバスタチン フルバスタチン シンバスタチン プラバスタチン 性 質 ほとんど受けない
アセチルCoA HMG-CoA メバロン酸 HMG-CoA還元酵素 スタチン イソペンテニルピロリン酸 ゲラニルピロリン酸 ファルネシルピロリン酸 スクワレン コレステロール
スタチンの作用機序
動脈硬化巣におけるスタチンの
pleiotropic effects
血栓形成抑制作用 プラーク安定化作用 Mφ泡沫化抑制作用 LDL 単球 血小板 内皮細胞 接着抑制作用 酸化LDL 内皮機能改善作用 平滑筋細胞遊走・増殖抑制作用 マクロファージ高LDL血症とメタボリックシンドロームは
心血管イベントと糖尿病の発症リスク
心血管イベントの発症
心血管イベントの発症
高
高
LDL
LDL
コレステロール
コレステロール
糖尿病
糖尿病
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドローム
JAMA 2001;285:2486-2497.代謝症候群(メタボリックシンドローム)
の診断基準
● 内臓脂肪(腹腔内脂肪)の蓄積(必須項目)
ウエスト周囲径 男性 ≧ 85cm以上
女性 ≧ 90cm以上
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School ● 上記に加え以下のうち2項目以上 1)高トリグリセリド血症 ≧150mg/dl かつ/または 低HDLコレステロール血症 <40mg/dl 2)収縮期血圧 ≧130mmHg かつ/または 拡張期血圧 ≧85mg 3)空腹時高血糖 ≧1 10mg/dl 2005年
内臓脂肪型肥満者と皮下脂肪型肥満
者の臍レベルCTスキャン像
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*( )は95%信頼区間 危険因子:高BMI、高血圧、高血糖、高トリグリセリド血症 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版 0.0001 10.6(3.3∼33.8) 3∼4 0.0001 8.4(3.0∼23.3) 2 0.0011 4.0(1.7∼9.2) 1 p = 0.0001 -1.00 0 p for linear trend p値 単変量オッズ比* 危険因子 の保有数 0.0001 31.3(5.8∼168.9) 3∼4 0.0005 9.7(2.7∼34.6) 2 0.0023 5.1(1.8∼14.5) 1 p = 0.0001 -1.00 0 p for linear trend p値 多変量オッズ比* 危険因子 の保有数
マルチプルリスクファクター症候群における
冠動脈疾患発症オッズ比
Jpn Circ J, 2001; 65: 11症 症 例例 現病歴:40歳より市の検診を受けるようになり、高 脂血症を指摘されていた。今まで2回ほど内服治療 開始したが、特に症状ないため、2∼3週間で治療中 断していた。20歳頃はアキレス腱部分がやや腫れて いる程度であった。約15年前より四肢に皮下結節出 現し徐々に大きくなり、最近は歩きにくい、靴が履 けないなど生活に支障あるため、当科紹介あり、入 院となる。 :59歳、女性 既往歴 2001年左大腿ヘルニア 2003年1月一過性心房細動 家族歴 母の兄弟6人中3人に皮下結節あり 嗜好 喫煙(−),アルコール(−)
[入院時身体所見]
身長 157 cm,体重 65 kg,BMI 26.5 kg/m2 血圧 126/80 mmHg 脈拍 80 /min 整,体温 36.6 ℃ 眼瞼結膜に貧血なし。眼球結膜に黄染なし。 胸部は心音,呼吸音に異常なし。 腹部は軟で腸音の亢進なし,圧痛なし。 肝・腎・脾臓は触知せず。下腹部に皮膚線条 深部腱反射,振動覚に低下は認めない。 足背,足底,アキレス腱,膝,手背,肘に2∼4cm大の結 節多発。[入院時検査所見 1] WBC RBC Hb Ht Plt TP Alb T-Bil AST ALT AlP γ-GTP LDH BUN Crn Amy CRP FPG 4010 /µl 378×104/µl 11.5 g/dl 35.3 % 22.3×104/µl 6.7 g/dl 4.1 g/dl 0.7 g/dl 22 IU/l 16 IU/l 199 IU/l 26 IU/l 387 IU/l 16 mg/dl 0.50 mg/dl 75 IU/l 0.2 未満 74 mg/dl FFA TG HDL T-chol LDL-chol Lp(a) ApoA-Ⅰ ApoB ApoE RLP-chol Na K Cl TSH fT4 382 µEq/l 143 mg/dl 52 mg/dl 303 mg/dl 222 mg/dl 135 mg/dl 128 mg/dl 165 mg/dl 6.8 mg/dl 5.7 mg/dl 142 mEq/l 3.9 mEq/l 105 mEq/l 4.65 mU/ml 0.81 ng/dl
[入院時検査所見 2]
Diabetes & Endocrine Division, Department of Medicine, Kawasaki Medical School
心電図:異常なし, double Master試験:V2-4 ST-T change
単純XP 胸部:右1弓突出 腹部、異常なし アキレス腱肥厚:右48mm,左62mm
頚部エコー:頚動脈硬化症 平均IMT 左0.88,右0.66, 最大IMT左1.31,右1.31mm
心エコ-:①Almost normal study, no asynergy Ef 68% ②E/A-0. 87,DT-238msec,
IVC-1-3cm,呼吸性変動あり
心筋シンチ:虚血性変化あり(early image--Anterior-septa!, Inferior-posteriorが
hypoperfusion, delayed image-同部位にRD+)
腹部エコー:WNL 腹部CT:①fatty liver②rt. renal small cyst
頭部MRI,MRA:①両側側脳室後角周囲にT2Wl-FLAIRでhigh signal lesionを認め. UBOと
考える。両側大脳基底核・大脳白質・中脳大脳脚に傍血管腔の拡大が目立つ②MRAで はRt. opthalmic a.起始部はやや瘤状にみえる。Rt. ACAのA1領域は全体的に細く描出。
足関節MRI:右足関節:アキレス膝部に一致して全体的に腫大し7×3cmのmass lesionあり
TIW2にて大部分がhigh intensity, T2WIではlow-high intensityを呈する。
左足関節部:アキレス臆背側付近に7×4cm大のmassありTIW I low STIRはlow-high intensityが混在している。 また.両足とも足底筋腱,指伸筋腱と思われる部位にも腫大が みられTl-WI. STIRともにlow intensityを呈するlesionが認められる。いずれも黄色腫に よる変化が疑われる。
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
アキレス腱厚(X線による)
入院後経過
Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School
家族歴、LDL−C高値、腱黄色腫よりFHと診断。 冠動脈硬化症と頚動脈硬化症の要因と なっていると思われた。 診断後atorvastatin 20mg, probcol 1000mg を開始した LDL 222から115 mg/dlまで低下した。腱黄色腫に対して切除希望であり,腱を絡んでいるが 不可能ではなく, 冠動脈硬化症について評価,治療後に考慮の予定である。 atorvastatin 20mg/日 probcol 1000mg/日 入院
May June July 2003 100 150 200 250 300 T -cho l (m g / dl )
症 症 例例 現病歴 2000年1月頃より疲労感が強かったが,放置。4月 頃より体重減少(1ヶ月で約4kg),口渇,多飲多尿を自覚し,6 月13日当科受診。糖尿病,高脂血症と診断され,禁酒,エネル ギー制限(1500kcal),速効型インスリン朝昼夕各4単位の自己 注射を開始した。初診時の空腹時血糖 280 mg/dl,HbA1C 12.6%,TG 1959 mg/dl,T-chol 421 mg/dl。20歳代より肥満 を認め(93∼95kg),近医にて減量を勧められ,85 kg程度まで 減量していた。2年前の検診ではT-chol 410 mg/dlを指摘され たが,尿糖・高血糖は指摘されず,放置していた。6月21日, 教育・精査・治療目的で入院した。 35歳、男性 既往歴 1980年右第3,4指骨折 家族歴 糖尿病,高血圧:母,胃癌:父,高脂血症の家族歴なし 嗜好 喫煙:20本/日(1998年より禁煙) アルコール:ビール3本(350ml×3)/日,日本酒少々
[入院時身体所
見]
身長 164 cm,体重 80.7 kg (標準体重 59 kg),BMI 30.0 kg/m2 血圧 (臥位)130/72 mmHg,(立位)122/68 mmHg 脈拍 80 /min 不整,体温 36.0 ℃ 眼瞼結膜に貧血なし。眼球結膜に黄染なし。 胸部は心音,呼吸音に異常なし。 腹部は軟で腸音の亢進なし,圧痛なし。 肝・腎・脾臓は触知せず。 深部腱反射,振動覚に低下は認めない。 皮膚腱黄色腫なし。アキレス腱肥厚なし。[入院時検査所見 1] WBC RBC Hb Ht TP Alb T-Bil GOT GPT AlP γ-GTP LDH BUN Crn Amy CRP 6300 /μl 542×104/μl 16.0 g/dl 47.4 % 7.1 g/dl 4.3 g/dl 0.8 g/dl 23 IU/l 51 IU/l 170 IU/l 43 IU/l 320 IU/l 13 mg/dl 0.76 mg/dl 48 IU/l 0.2 未満 FFA TG HDL T-chol Lp(a) ApoA-Ⅰ ApoA-Ⅱ ApoB ApoC-Ⅱ ApoC-Ⅲ ApoE RLP-chol LPL Na K Cl 739 μEq/l 596 mg/dl 37 mg/dl 295 mg/dl 7 mg/dl 113 mg/dl 26.7 mg/dl 156 mg/dl 17.6 mg/dl 20.2 mg/dl 13.1 mg/dl 42.1 mg/dl 207 ng/ml (ヘパリン 30 U/kg 負荷後 10 分) 138 mEq/l 3.6 mEq/l 100 mEq/l PAGE
[入院時検査所見 2] TSH FT4 FT3 血中 CPR 血中 IRI FPG HbA1C 尿 蛋白 糖 アセトン 微量アルブミン Ccr 尿中 CPR 尿糖 1.10 μIU/ml 1.09 ng/dl 1.50 pg/ml 1.8 ng/ml 6.0 μU/ml 176 mg/dl 11.7 % (±) (+)0.07 g/dl (−) 3.8 mg/g-cr 94.9 ml/min 125, 77 μg/日 12, 10 g/日 胸腹部 X 線 異常なし 心電図 上室性期外収縮 12 回/分 Double Master 陰性 腹部CT 肝/脾 CT 値 0.96 内臓脂肪面積 168 cm2 頸動脈エコー IMT 測定 平均 最大 左 0.60 0.77 mm 右 0.59 0.71 mm 眼底 異常なし 神経伝導速度 MCV(lt. median n.) 52.3 m/sec F 波潜時 上肢 27.1 msec 下肢 46.6 msec
Diabetes & Endocrine Division, Department of Medicine, Kawasaki Medical School
まとめ
• 2型糖尿病であると考えられたが,急激なβ細胞か らのインスリン分泌の涸渇が起こりインスリンが不足 し体重減少を来した症例で顕著な高トリグリセリド血 症を呈した。 • 入院時のLPL活性に異常はなく,原疾患の治療によ りトリグリセリド値は改善した。インスリン不足,飲酒 や多食によりトリグリセリド値が高値となったと考え られた。血糖正常化後も飲酒再開に伴いトリグリセ リド値が上昇した為,フィブラート系薬剤を使用して いる。高カイロミクロン血症 ①原発性高カイロミクロン血症(Ⅰ・Ⅴ型) 家族性LPL欠損症 アポCⅡ欠損症 家族性Ⅴ型高脂血症 特発性Ⅴ型高脂血症 特発性高カイロミクロン血症 ②2次性Ⅴ型高脂血症 糖尿病、飲酒、肥満、ネフローゼ、 甲状腺機能低下症