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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博士(工学)藤田進I ・亠郎

学 位 論 文 題 名

金属 触媒 上 にお ける 二 酸化 炭素 水素化 反応の機構に関する 研究

学位論文内容の要旨

  C02を水素化し、有用な物質に変換する反応は、近年問題となっている地球温暖化への 対策、あるいはC02を炭素資源として再利用する方法として注目されている。また、こ の反応は、不活性分子の活性化という触媒化学の観点からも興味が持たれている。この反 応の中でもC02メタン化、C02からのメタノール合成および水性ガス転換逆反応につい ては、既にある程度の活性を示す触媒が見出されており、これらの反応はC02の再資源 化には有用であると考えられている。C02からのメタンおよびメタノール合成については、

触媒の種類によってCO水素化よりも、迅速にまた選択的に進行することが知られている。

しかし、これらの違いにっいては反応機構上未だに不明な点が多い。また、水性ガス転換 逆反応にっいても種々の機構が提案されており、議論のあるところである。触媒性能をさ ら に向上 させるた めにはこれ らの機構 の詳細を 明らかに すること が重要で ある。

  本論文では、種々の金属触媒上でC02メタン化、C02からのメタノール合成および水 性ガス転換逆反応を行い、反応中に生成する吸着種の状態とその過渡的変化およびそれに 伴う触媒の変化を追跡するーことによって、これらの反応機構を明らかにし、c0水素化の 反応機構との違いにっいて考察した。

  本論文は以下の6章からなる。

  第1章では、メタン化反応、メタノール合成および水性ガス転換逆反応の機構に関する 既往の研究を概説し、本研究の目的と構成にっいて述ぺた。

  第2章では、種々の金属触媒上でメタン化およびメタノール合成を行い、これらの反応 速 度 お よ ぴ 選 択 性 に 対 す る 金 属 お よ び 担 体 の 影 響 を 明 ら か に し た 。   C02メタン 化は種々 のNi系触媒 、Ru/Si02およびPt/Si02触媒上において高選択的 に進行 すること 、一方、COメタン化はPt/Si02触媒を除く全ての触媒上でC02メタン 化よルメタン選択率が低いこと、また、C02メタン化はNi/Si02およびPt/Si02を除く 他 の 触 媒 上 で 、COメ タ ン 化 の2〜5倍 の 遠 さ で 進 行す る こ とを 明 らか に し た。

  一方、種々の金属触媒上でC02およびCOからのメタノール合成を行った結果、前者 の反応に対してはCu/Zn0およびPd/Zn0触媒が高い活性を示すこと、また、後者の反応 に 対 し て はCu/Mg0お よ びPd/Mg0触 媒 が 高 い 活 性 を 示 す こ と を 見 出 し た 。   第3章で は、Ni、Ni/Si02、Ni/Al203、Ru/Si02およびPt/Si02触媒上におけるC02 メタン化およびc0メタン化の反応機構を明らかにし、C02メタン化とc0メタン化の速 度 およぴ 選択性の 違いおよび これらの 金属によ る違いの 要因にっ いて検討 した。

  Ni系触媒およぴRu/Si02触媒では、いずれの反応でも可逆吸着CO、不可逆吸着coと

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表面酸素種が生成すること、また、これらの量がC02メタン化とCOメタン化とでは異 なることを示した。生成速度の過渡的変化の追跡とその解析を行い、COメタン化では可 逆吸着c0が反応を阻害すること、C02メタン化ではこのような阻害が認められないこと、

およぴ気相にCOが存在しない条件ではこれらの反応で生成した吸着種の反応性は全く同 じであることを明らかにした。さらに、表面炭素種の水素化をH2、C02−H2あるいはCO‑

H2気流中で行った結果より、CO存在下では表面炭素種の水素化が著しく遅くなることを 見出した。これらより、C02メタン化およびc0メタン化いずれの反応でも、不可逆吸着 COが解離し、表面炭素種を経由してメタンとなること、およびCOメタン化では可逆吸 着c0により表面炭素種の水素化が阻害されることを明らかにした。一方、Pt/Si02触媒 では、これらの反応は上記触媒上の反応と同じ機構で進行するが、c0メタン化に対する 可逆吸着COの影響が著しく小さいことが明らかにをった。

  これらの結果に基づき、c02メタン化およびCOメタン化の活性および選択性の違いお よぴその違いが金属により異をる要因は可逆吸着COの阻害に起因することを示した。

  第4章では 、種々の組 成のCu/Zn0触媒 上でC02およ びc0からの メタノー ル合成を 行い 、 両者 の 機 構お よ びこ れ ら の反 応 に おけ る 速度 の違 いについ て考察し た。

  C02―Hzからのメタノール生成およびCO生成の過渡的変化の違い、およぴこれらの生 成速度および選択率に対する接触時間の影響に関する結果をもとに、メタノールとc0が 異なる経路で生成することを明らかにした。C02−H2反応ではCu上のギ酸塩(HCOO−Cu)、

Zn0上のギ酸塩(HCOO−Zn)およびZn0上のメトキシ(CH30−Zn)が生成し、HCOO−Cuお よぴHCOO−Znの水素化でCH30−Znが生成すること、CH30−Znは迅速に加水分解されメタ ノールに変換することを示した。また、これらの変換過程を追跡し、その速度とメタノー ル生成速度を比較することにより、c02かちのメタノール合成では、COzがHCOO−Cuの 水素化を経由してCH30−Znに転換し、これが加水分解されメタノールに変換することを 明らかにした。ー方、COからのメタノール合成では、HCOO‑Cuがまったく認められない こと、およびc0ユの系と比較し、多量のCHa0−Znが生成するにもかかわらずメタノール 生成の速度が著しく遅いことを見出した。この反応系におけるCHa0−Znの生成速度と HCOO−Zn水素化の速度の比較した結果、およびc0ーH2より生成したCH30―Znも容易に加 水分解しメタノールを生成する事実から、coからのメタノール合成は、c0と触媒表面の Zn0上のOH基か ら生成するHCOO−Znが水素 化されCH30−Znに変換し、これがOH基と 反応してメタノールを生成する機構で進行することを示した。これらの結果をもとに、

C02からのメタノール合成とCOからのメタノール合成の速度の違いは、反応系内のH20 の有無に起因することを示した。  .

  第5章では 、Cu/Zn0触媒上に おける水 性ガス転換逆反応の機構を明らかにした。

  反応で生 成したHCOO−CuはC02に分解すること、C02は触媒を酸化しCOと表面酸素 種に解離すること、その酸素種はH2により還元されること、およぴC02の解離の速度 はH2共存下におけるc0生成速度と良く一致することを見出した。さらに、C02酸化に よりCu(0)がCu(I)に酸化され、これが水素によりCu(0)に還元されることを明らか にした。これらの結果より、反応が銅表面の酸化還元、Cu(0)ぞCu(I)、を経由して進行 することを示した。

  第6章では本研究の総括を述べた。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨 主 査    教 授

副 査    教 授 副 査    教 授 副 査    教 授

竹澤暢恒 千葉忠俊 服部   英 岩本正和

     学位論文題名

金属触媒上における二酸化炭素水素化反応の機構に関する研究

  C02 水素化反応は、地球温暖化の対策、あるいはCOz を炭素資源として再利 用する方法として注目されている。この反応の中でもメタン化、メタノール合 成および水性ガス転換逆反応は、上述の目的には有望であると考えられている。

C02 からのメタンおよびメタノール合成にっいては、触媒の種類によってCO 水素化よりも、迅速にまた選択的に進行することが知られているが、これらの 違いにっいて反応機構上不明な点が多い。また、水性ガス転換逆反応について もぃくっかの機構が提案されており、決着が着いていないのが現状である。

   本論 文で は、 種々 の金属 触媒 上でC02 メタン化、COz からのメタノール合 成および水性ガス転換逆反応を行い、反応中に生成する吸着種の状態とその過 渡的変化およびそれに伴う触媒の変化を追跡することによって、これらの反応 機 構 、 お よ び c0 水 素 化 反 応 と の 機 構 上 の 違 い を 明 ら か に し た 。    本論文は以下の6 章からなる。

   第 1 章 で は 、 本 研 究 の 背 景 、 目 的 お よ び 構 成 に っ い て 述 べ てい る 。    第 2 章では、種々の担持金属触媒上でメタン化およびメタノール合成を行い、

用いる金属あるいは担体の種類によっては、 C02 水素化がc0 水素化よりも迅 速にまた高選択的に進行することを明らかにした。

   第3 章 では 、Ni 、 Ni/Sioz 、Ni/Alz03 、 Ru/Sioz およびPt/Si02 触媒上にお けるC02 メタ ン化お よぴ c0 メ タン化 の反 応機 構を 明らか にし た。Ni 系触媒 お よぴ Ru/Si02 触 媒 上 の c0 メ タ ン化 で は 、 可 逆 吸 着 CO 、 不可 逆吸 着 c0 と 表面炭素種が生成すること、一方、 C02 メタン化では可逆吸着CO は生成せず、

微量の不可逆吸着 c0 と表面炭素種が生成することを見出した。生成速度の過

渡的変化の追跡とその解析、および H2 、 C02 − Hz あるいはc0 −Hz による表面

炭素種の水素化の結果より、C02 メタン化およびCO メタン化いずれの反応で

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も、不可逆吸着c0が解離し、表面炭素種を経由してメタンとなること、およ びCOメタン 化では可逆 吸着COが表面炭 素種の水素 化を阻害することを明ら かにした。一方、Pt/Sioz触媒では、これらの反応は上記の触媒上と同じ機構 で進行す るが、c0メタ ン化に対す る可逆吸着COの 影響が著しく小さいこと を示した 。これらの 結果に基づき、C02メタン化およびCOメタン化の活性お よぴ選択性の違いおよびそれらの金属による違いは可逆吸着c0の阻害に起因 することを明らかにした。

  第4章で は 、Cu/Zn0触媒 上 にお い てC02から およびc0か らのメタノ ール 合成の反応機構を明らかにした。C02からのメタノール合成では、銅上のギ酸 塩(HCOO−Cu)、Zn0上のギ酸塩(HCOO−Zn)およぴZn0上のメ卜キシ(CHs0―Zn) が生成することを示した。ついで、これちの吸着種が変換する過程の速度を明 らかにし、それとメタノール生成速度との比較より、C02からメタノール合成 では、C02がまずHCOO−Cuに変換し、その水素化を経由してCH30−Znを生成 すること、また、これが加水分解されてメタノールに変換することを明らかに した。一方、coかちのメタノール合成では、HCOO―Cuが生成しないこと、CO と 触 媒 表 面 のZn0上 のOH基 か ら生 成 するHCOO−Znが 水素 化 されCH30−Zn に変換し、これがOH基と反応してメタノールを生成する機構で進行すること を明らか にした。こ れらの結果をもとに、C02からのメタノール合成とCOか らのメタ ノール合成 の速度の違いは、反応系内におけるHz0の有無に起因す ることを示した。

  第5章 では、Cu/Zn0触媒上における水性ガス転換逆反応の機構を明らかに した 。C02は 触媒 を酸化しCOと表 面酸素種に 解離するこ と、その酸 素種は H2に よ り 還元 さ れる こ と、 お よびC02の 解 離の 速 度はHz共存 下 にお け る co生成速度 とー致する ことを見出 した。さら に、C02酸 化によりCu(0)が Cu(I)に酸化され、これが水素によりCu(0)に還元されることを明らかにし た。これらの結果より、反応が銅表面の酸化還元、Cu(0)ぞCu(I)、を経由し     1  .

て進行することを示した。

  第6章では本研究の総括を述べている。

  以上のように、著者は、金属触媒上の二酸化炭素水素化反応における素反応 過程を追跡することにより、二酸化炭素水素化反応の機構、およぴこれとCO 水素化との機構上の違いを明らかにしており、触媒工学および反応工学の進歩 に寄与するところ大である。

  よって、著者は、北海道大学博士(゛工学)の学位を授与される資格あるもの と認める。

参照

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