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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 環 境 科 学 ) 野 村 大 樹

     学位論文題名

EffeCtSOfSeaiCegrou 九 handmeltingonair ― SeaC02nuX    (海氷の生成と融解が大気一海洋間の二酸化炭素交換量に及ぼす影響)

学位論文内容の要旨

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高 緯 度 海 域 に 分 布 す る 海 氷 は 、 単 な る 大 気 ー 海 洋 間 の 気 体 交 換 ( 例 え ば 二 酸 化 炭 素:C02)の 障壁として認識されてきた。しかし、実際、海氷は、我々が普段目にする淡水氷 とは異なり 、多孔性の構造を持ち、気体透過性が有ることが数少ない研究より報告されてい る。本研究 では、海氷の生成と融解が大気―海氷間のC02交換量(フラックス)に及ばす影 響 の定量的な 評価とそのメカニズムの解明を目的とし、低温室での海 氷生成・成長実験及 び海氷融解期におけるオホーツク海沿岸サロマ湖(44°10 N,143°45 E)での氷上現場観測 を行った。

低温室での海氷生成・成長実験

低 温 室 で の 海 氷 生 成 ・ 成 長 実 験 に お い て 、 海 氷 直 上 空 気 塊 のC02分 圧(pC02)は 海氷 の 生成・成長とともに増加 した。海氷中ブラインは、塩分濃縮による全炭酸濃度の増加、C02 溶 解度 の減少、 炭酸系の平衡の変化によって、pC02が大気に対して過飽 和となるため、ブ ラ イン ・チ ャネ ルを 通し て海 氷か ら大気ヘC02が放出されたと考えられ る。大気―海氷間 のC02フラ ック スは 、 海氷 成長 とと もに増加し、氷厚5cm時には、+0.2から+0.5 mg‑Cm一2 hour←1(プラスは海氷から大気へのC02フラックスを示す)となり、その値は主に、大気―海氷 中 ブラ イン間のpC02差に依存した。これらの結果より、海氷の生成・成 長は、大気に対し てC02の放出源として働くことが示された。

海氷融解期におけるサロマ湖での氷上現場観測

海 氷 融解 期に おけ るサ ロ マ湖 での 氷上 現場 観測 にお いて 、大 気一 海氷 間のC02フ ラッ ク スは、ー2.3から+0.5 mg‑C IIl‑2 hour−1となった。海氷中ブラインは、主に海氷下河川プルー ム の影 響、 アイスアルジーの発生によって、pC02は大気に 対して未飽和となるため、海氷     ー1308−

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は大気に対してC02の吸収源として働くことが示された。しかしながら、観測期間中、積雪及 ぴ 海氷 表面 の融 解と 再凍 結に よっ て出 来た 氷に 海 氷表 面が 覆われる時 期があった。その 結果、ブライン・チャネ ルのような気体交換を可能とする場所が、海氷表面での融解と再凍 結によって塞がれたため 、大気から海氷へのC02吸収 が制限された。これらの結果より、大 気j毎氷中ブライン問のpC02差にだけでなく、海氷表 面の特´陸も、大気j毎氷問のC02フラ ックスを決定する重要な 要因のーっであることが示された。

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学位論文審査の要旨

主査   教授    吉川久幸 副査   教授    乗木新一郎 副査   准教授   白澤邦男 副査   助教    豊田威信

副査   教授   服部   寛(北海道東海大学大学院      理工学研究科)

     学位論文 題名      ●

Effects of sealce growth and melting on alr ― SeaC02 丑 uX    (海氷の 生成と融解 が大気一海洋間の二酸化炭素交換量に及ぼす影響)

   海氷は気候システムにおいて重要な役割を果たしていることは、周知の事実である が、物質循環の観点から見た場合、その役割はほとんど無視されてきた。本研究では、

大気中二酸化炭素増加に係る炭素循環において、海氷の役割を評価するために、大気

―海洋間の二酸化炭素交換に関する実験を、本学低温科学研究所低温実験室において 行っている。実験は、まず装置を組み立てることから始め、西部北太平洋において採 取した海水を海氷生成容器に入れ、海氷生成容器内上部の空気中のニ酸化炭素濃度測 定を海氷生成速度、海氷内温度測定等と共に行っている。実験では、海氷直上の空気 中の二酸化炭素濃度が、海氷の生成・成長と共に増加することが確認された。本研究 では、増加の原因として海氷中ブラインの塩分濃縮に伴う溶存無機炭素濃度の増加、

二酸化炭素溶解度の減少、炭酸系の平衡が変化したことを考え、様々な考察を加えて いる。その結果、海氷生成速度を変化させた場合には、ブラインの二酸化炭素分圧と 直上空気中のニ酸化炭素分圧差に交換量が比例することを見出し、交換量を支配する 要因のひとっが二酸化炭素分圧差であることを報告した。同時に、ブライン塩分と交 換量の関係から、ブラインチャンネルが大気と接する面積も要因のひとつに上げてい る。これらの結果を総合して、海氷生成時に、海氷が大気に対して二酸化炭素を放出 するメカニズムを明らかにした。海氷生成に伴うニ酸化炭素の放出実験を定量的に行 い、解析を行ったのは、本研究が世界で最初である。

   海 氷の 融 解 期において は、室内実 験が困難で あること、 生物活動の 影響が顕

著 で あ る こ と か ら 、 サ 口 マ 湖 に お い て 2006 年 2 月 か ら 3 月 に か け て 氷 上 観

測を 実 施し て いる。氷 上観測では 、チャンバ ー法による 大気一海氷 間の二酸化

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炭素交換量の測定、海氷プライン及び海氷下海水の採取による炭酸系、栄養塩、

酸素同 位体 、塩 分な どの測 定を 実施 して いる。サ口マ湖では、海氷融解期にお いては ブラ イン の二 酸化炭 素分 圧は 大気 に比べて著しく低いことを報告し、海 氷下の 二酸 化炭 素分 圧の低 い河 川水 プル ームの影響をプラインが受けているこ と、ア イス アル ジー に原因 があ るこ とを 指摘している。海氷融解期には、大気 と海氷 間に 二酸 化炭 素交換 が生 じて いな い場合と海氷への吸収が生じている場 合があ るこ とを 見出 し、ブ ライ ンチ ャン ネルの大気への開放が交換に重要であ ることを議論している。これらの結果については、氷上観測を積み重ねることによ り海氷 が炭 素循 環に 果たす 役割 をさ らに 解明することができると期待される。

   審査委員一同は,これらの成果を高く評価し,また研究者として誠実かつ熱心であ

り,大学院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ,申請者が博士(環境科

学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

参照

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