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博士(医学)許 理威 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)許   理威 学位論文題名

EM アルゴリズムを用いた新しい感受性判定と アレ イ CGH 法との統合解析による

抗癌剤感受性関連ゲノム領域の検索 学位論文内容の要旨

序論)

  近年,新規抗癌剤が開発されているが,満 足すべき臨床成績は未だ得られていない.

個々の抗癌剤に対する感受性を予測すること は,最適な治療法を行う上で重要である,

CD−DST (collagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test)法は微量三次 元培養法と画像解析定量法を組み合わせたin vi troの抗癌剤感受性試験で,少量の手術・

生検材料で評価が可能,判定可能率が高いという特徴がある.本法では薬剤を投与しない コント口ールの測定値(C)と薬剤投与での測定値(T)を測定し,両者の比であるT/Cの値に より感受性を判定するが,高感受性と低感受性との境界値の設定にっき,問題となってい る.  Comparative genomic hybridization (CGH)法は染色体の欠失,増幅を全染色体に渡っ て解析する方法で,試料DNAを正常染包体標本にハイプリダイズして行う.しかし,分解 能が低いため,最近,マイクロアレイ技術を 応用したArray CGH法が開発された.BACで 増やしたDNA断片 をスライドガラスにアレイ化し,CGHを行う方法で,従来法では検出不 能であった微小な領域の変化の検出が期待でき,癌抑制遺伝子の同定が可能など多くの利 点を有する.本研究では,CD−DST法の測定を各薬剤で3濃度測定しEM algorithmで効果 判定を行い,1濃度測定による効果判定と比較を行った.また,EM algorithm,Array CGH で得られた結果より抗癌剤感受性に関連するゲノム領域を網羅的に解析し,感受性規定要 因の包括的理解や新たな関与遺伝子候補の策定を試みた.

方法)

  ヒト癌組織より樹立された54細胞株を用い,11種類の抗癌剤に対してCD―DST法にて抗 癌剤感受性試験を行った。接触濃度は臨床通常投与量を静脈投与した場合のAUCを基に,1 倍,3倍,10倍の3濃度にて測定を行った. CD―DST法はコラーゲン・ドロップ培養キット

(新田ゼラチン)を用いて,lx10s cells/mlの細胞を含むコラーゲン・ゲルを作成し,30ロ 1/滴として6 wells−マルチプレートに滴下,静置後,培養液を加えて24時間予備培養し た.培地内に抗癌剤を添加し,24時間後に抗癌剤を除去し,さらに6日間培養した,細胞 をNeutral Redで 染色した後ホルマリン固定し,画像定量処置にて定量を行った.細胞増 殖の判定には,薬剤処理群の増殖率(T)と薬剤未処理群の増殖率(C)との相対比T/C%を算 出して評価した.CD―DST結果から得られた3次元データを5つの正規分布の混合分布から なると仮定し,EM algorithmにて分布を解析し,それぞれの細胞株の感受性の計算値を群 ごとに平均し,値が低い2群を感受性群,平均値が高い上位2群を耐性群,中間に属する 1群 は中間群とした . Array CGHには韓国Macrogen Inc.が作成した1440のBACク口ーン を搭載したMAC ArrayTM Kary0 1400を用いた .各細胞株のDNAを抽出し,Cy3で標識し,

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(2)

対 照 と し てsexーmatched reference DNAをCy5で 標 識 し ,37℃ ,40‑72時間 の 競合 的ハ イ プ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 行 っ た . 螢 光 標 識 の 測定 に はGenePix 4000AくAxon Instruments, USA)を 用 い , デ ー 夕 解 析 はMacrogen Inc.のMac Viewerにて 行 った .統 計学 的 処理 は, プ 口 グ ラ ミ ン グ 言 語 MATLABを 用 い て 独 自 に 製 作 し た 統 計 解 析 に て 行 っ た . 結果)

CD―DST法で の結 果 :1濃 度 測定 結果 を基 にし た 判定 では ,感 受性ありと判定 した有効率は,

それ ぞ れの 抗癌 剤ご とに 大 きく 異な り,CPA・ 5FUは 殆 ど効 果を示さず,逆に ,GEM. TXT. TXLはか なり の細 胞 株に 対し て, 感 受性 群に 分類 され た .ま た,SN→38. VCRの よう に,株 化細胞に対してほぽ50%に効く抗癌剤も見られた .

CDーDST法 のEM algorithmで の 結 果 :CD―DSTの3点 濃 度 か ら 得 ら れ た 結果 を,3次 元の デ ー 夕 空 間 上 で 表 す と , 明ら かに 異な った 分 布が 混在 し、 デー 夕 空間 上で の感 受 性群 と耐 性 群 と の 分 離 が 難 し い も の と な っ た .3次 元 デ ー タで あるCD―DSTデー タ を5つ の 正規 分布 の 混 合 分 布 か ら な る と 仮 定し てEM algorithmにて 分布 解析 した . 高感 受性 ,中 感 受性 ,中 間 群,中耐性,高耐性に分類された細胞株の率は,CDDPでは順に29.8%,4.3%,17.O%,25.5%,

23.4% であ った .全 ての 薬 剤で 感受 性群 と耐 性 群に 複数 細胞 株 が分 類さ れ,1濃 度で の分析 に見られたような大 きな偏りは無かった.

染 色 体 領 域 の 増 減 と 抗 癌 剤 感 受 性 :EM algorithmで算 出し た結 果とArray CGHの結 果よ り 統 計 学 的 に 有 意 に 感 受 性と 耐性 に関 連す る と判 定し た染 色体 領 域を 同定 した . 多く の抗 癌 剤 の 感 受 性 ・ 耐 性 に 関 連し てい た染 色体 領 域と して ,6p,15q,17p.q,18qを 認め た. 一 方 で ,CDDP:14q22,MMC:5q21,EPI:9p34,GEM:3q21―26な どの よう に, そ れぞ れの 抗 癌剤に特異的なゲノ ム領域の存在が認められた .

CDDPの 感 受 性 と 染 色 体 領 域 の 増 減 : 一 般 化 線形 モ デル(Generalized Linear Model;GLM) を 用 い て , 各 座 位 で のCGH測 定値 とCD−DSTデー タと の相 関関 系 を検 討し ,CDDPにお いて , 耐 性 に 従 っ て 、 染 色 体8q24の 増 加 お よ び 染 色 体18q21−22の 減 少 が 認 め ら れ た . 考察)

  本 研 究 で は , 特 定 の 染色 体領 域の 増幅 や 欠失 と, 抗癌 剤の 感 受性 や耐 性と の 関連 を網 羅 的に 検 証す るこ とを 目的 と した . CD−DST法 で は,AUCに基 づく1薬剤濃度に よる判定では,

株 化 細 胞 に 対 し て 薬 効 を示 さな いも のや ほ ぽす べて の細 胞株 に 対し て薬 効を 示 すも のが 存 在 し , 偏 っ た 結 果 が 認 めら れ, 抗癌 剤の 感 受性 に関 連し た染 色 体領 域の 同定 を 行う には 困 難 で あ っ た 。 そ こ で ,3濃 度 の 接 触 濃 度 で 測 定 を行 い,EM algorithmに て薬 剤 感受 性の 群 分 け を 行 い , 感 受 性 群 と耐 性群 の問 に中 間 群を 設け ,そ れを 除 外す るこ とに よ り, デー 夕 空間 の 分離 が明 確と なっ た .今 回の よう なEM algori thmを 抗癌 剤感 受性 試 験の 効果 判定基 準に 応 用す る解 析法 は本 研 究が はじ めて の報 告 であ る, 本研 究で抗癌剤の感 受性・耐性に関 連 し た 染 色 体 領 域 は6p,15q,17p.q,18qで あ っ た .6pの 染 色 体 領 域 内 のABCト ラ ン ス ポ ー 夕 ,17p.q染 色 体 領 域 内 のTP53,BRCAI, そ し て18q染 色 体 領 域 内 のBCL‑2な ど は そ れ ら の 感 受 性 ・ 耐 性 機 序に 関係 し, 既存 の 方法 によ る報 告と 一 致し た. 一方 , これ まで 抗 癌剤 感 受性 遺伝 子の 遺伝 子 座領 域と して 報告 が ない15qll―26の 増加 ・増 幅 が耐 性群 に認め られ た .ま た,CDDP:14q22,EPI:9p34,GEM:3q21ー26などのように,それ ぞれの抗癌剤に 特 異 的 な ゲ ノ ム 領 域 の 存在 が認 めら れ, こ れら の領 域内 に新 規 感受 性規 定因 子 の候 補が 含 まれ る と示 唆さ れた .こ の よう に、Array CGHで 一度 に 染色 体の 変化 を観 察 する こと によっ て , 多 剤 の 抗 癌 剤 感 受 性試 験を 行は なく て も, 最適 な抗 癌剤 を 選択 する こと が でき ,オ ー ダメイド医療の実現 が可能となると考えられる ,

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Elvi アルゴリズムを用いた新しい感受性判定と アレイ CGH 法との 統合解析による

抗癌剤感受性関連ゲノム領域の検索

   近 年 、 新規 抗 癌剤 が開発さ れている が、満足 すべき臨 床成績は未 だ得られ て い ない 。 個 々の 患 者に発生 した癌の 感受性を 予測する ことは、最 適な治療 法を 行 う上 で 重 要で あ る。 CD‑DST (collagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test) 法はin vitro の抗癌剤感受性試験で、薬剤を投与しないコン卜口 ールの 測定値 (C) と 薬剤投与 での測定 値(D を測定し、両者の比である 1 ソ C の値に よ り判 定 す るが 、 高感受性 と低感受 性との境 界値の設 定にっき、 問題とな って いる。 Comparative genomic hybridization (CGFD 法は染色体の欠失、増幅を全染 色 体に 渡 っ て解 析 する 方 法 で、 試 料 DNA を 正 常染 色体標 本にハイプ リダイズ し て 行う 。 最 近、 マ イク ロ ア レイ 技 術を 応 用 した Array CGH 法 が 開発 さ れ 、BAC で 増 や し た DNA 断 片 を ス ラ イ ド ガ ラ ス に ア レ イ 化 し 、 CGH を 行 う 方 法 で、 従 来 法で は 検 出不 能 であった 微小な領 域の変化 の検出が 可能となっ ている。 本研 究 で は 、 ヒ ト 癌 細 胞 株 54 種 類 を 対 象 とし 、 11 種 類 の抗 癌 剤 各 3 濃度 を CD‑DST 法 にて 測 定 し、 感 受性を新 たな判定 方法 EM algorithm を用 いて行っ た。また、

癌 細胞 株 の 染色 体 変化 を Array CGH 法 で網 羅 的 に解析 し、両者 の結果より 抗癌 剤 感受 性 に 関連 し ている染 色体領域 を同定す ることを 目的とした 。 CD‑DST 法で は 、 AUC に 基 づく 1 薬 剤 濃度 に よ る判 定 では 、 株 化細 胞 に対 し て 薬効 を 示さ な い もの や ほ ぽす べ ての細胞 株に対し て薬効を 示すもの が存在し、 偏った結 果が 認 めら れ 、 抗癌 剤 の感受性 に関連し た染色体 領域の同 定を行うに は困難で あっ た。そ こで、 EM algorithm に て薬剤感 受性の群分けを行い、感受性群と耐性群の 間 に中 間 群 を設 け 、それを 除外する ことによ り、デー 夕空間の分 離が明確 とな り 、以 降 の 解析 を 可能にし た。本研 究で、既 存の報告 と一至し、 多くの抗 癌剤 の感受 性・耐性に関連した染色体領域として 6p ,17p .q , 18q を同定した。一方,

俊 諭

田 田

秋 福

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

こ れ ま で 抗 癌 剤 感 受 性 遺 伝 子 の 遺 伝 子 座 領域 とし て報 告が ない 15q11‑26 の増 加 ・ 増 幅 が 耐 性 群 に 認 め ら れ た 。 ま た 、 CDDP で は 14q22 , GEM で は 3q21‑26 な ど のよ うに ,そ れぞ れの 抗癌 剤に 特異 的な ゲノム 領域 の存 在を同定し、これら の 領域内に新規感受性規定遺伝子の候補が含まれると示唆された。公開発表後、

副査の福田教授より1 )濃度設定の条件、2 )臨床応用に向け、今後の展望について の 質問 があ った 。そ れに 対し て1 )濃度設定にっき、基本的にCD‑DST の原法に基 づ き 、 臨 床 通 常投 与量 を静 脈投 与し た場 合の AUC を 基に 算出 した 濃度 を基 準値 と し , 1 倍 、 3 倍、 10 倍 の3 濃度 で測定 を行 った こと を説 明し た。 21 今 後の 展望 に ついては、切除可能で、組織を十分に取れ、問質量の少ない癌種、そして化学 療 法に適応ある症例を中心に更なる臨床検討を行う必要があると回答した。藤堂 教 授 か ら は 、 1)CDDP に お け る 染 色 体 15q11‑26 領 域 内、 2)GEM に お け る 染 色体 3q21‑26 領 域内 で、感 受性 に関 連しうる遺伝子についての質問があった。それに 対 し て 、 1)15q15.1 領 域内 に DNA 修 復 機 構 遺伝 子RAD51 の存 在、お よび 15q24.2 領 域 内 に 薬 物 関 連 遺 伝 子 CYPIA1 の 存 在 、 2)3q22.1 領域 内 に DNA ト ポ イ ソ メラ ー ゼ 関 連 遺 伝 子T 〇P8PZ の 存在 が、感 受性 ・耐 性機 構に 関与 して いる と考 えら れる、等の回答をした。また主査の秋田教授より、1 )同定された染色体領域内に お け る 新 規 感 受性 規定 遺伝 子候 補の 検索 、2 ) AmyCGH 法 にて 臨床 的に 感受 性予 測 が可 能か につ いて 質問 があ った 。1 ) AnayCGH で は、 既に シークエンスやその 中 に 含 ま れ る 遺伝 子の 情報 が明 らか なDNA をス ポッ トす るこ とで 、増 幅の 検出 が 増幅 領域 の詳 細な 構造 や標 的遺 伝子 候補 に直結 して いる ため、候補遺伝子の 検 出 は 一 回 の 実験 にお いて 速や かに 同定 でき 、ま た今 後BAC アレ イの 解像 度を 上 げ 、 DNAmicromay な どの 手 法 と の 組 み 合 わ せ よ り 、 信 頼 性 の 高 い 候 補 遺伝 子 の 検 出 が 可 能 と 考 え ら れ る 。 2 ) AmyCGH で 観 察 さ れ る 染 色 体 領 域 の 増 減は 短 期間に大きく変化するものでは無く,実際の臨床検体から得られた癌組織を用 い て AmyCGH を 行 い , 本 研 究 で 得 ら れ た 抗 癌剤 感受 性と 関連 する 染色 体領 域の 増 減と 比較 する こと によ り, 臨床 応用 が可 能と考 えら れる 、等の回答をした。

   本研 究は 、EMalgorithm を抗 癌剤感受性試験の効果判定に応用する解析法とし て 、初 めて の報 告で あり 、ま た、 ArrayCGH 法で一 度に 染色 体の変化を観察する こ とに よっ て, 多剤 の抗 癌剤 感受 性試 験を 行わず に, 最適 な抗癌剤を選択する 方法として応用が期待される。

   審査 員一 同は 、こ れら の成 果を 高く 評価 し、大 学院 課程 における研鑽や取得 単 位な ども 併せ 申請 者が 博士 (医 学) の学 位を受 ける のに 充分な資格を有する ものと判定した。

‑ 567

参照

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