博 士 ( 獣医 学 ) 水 谷哲 也
学 位 論 文 題 名
ア ン チ セ ン ス 核 酸に よ る マ ウス 肝 炎 ウ イル ス の 増 殖 阻 害 に 関 す る 研 究
学 位 論 文 内 容の 要 旨
マtン スJJl:炎 | ンイ ル ス (Ml.lV)は 、 コロ ナ | ンイ ル スに 属 し、実 験 動 物の マ1ンス に 亅亅 ・I ̄ 炎 や‖ 坊 炎、 脱 ミエ リ ン症 等 を 起こ し 、実験 働 物 学 上 重 要 な 疾 )肉 と な っ て い る 。 MHVの ゲ ノ ム は 、 約 31キ 口 塩 ! に の ポ ジ テ イ ブjliのRNAで あ り 、 ウ イ ル ス 粒 子1: | ニIでは ヌ クレ オ ニ ャ. ヽ ′プ シ ド (N) 夕ン ノ ヾク 質と7f合し、rib011u cleo proteinと して存彳I三している。
近 イ1ニ 、 各 種 の ア ン チ セ . ン ス 核 酸 をJuい た 遺 伝 子 機fiLの 解 析 や j九Iン イ ル ス 削 の 洲 彡 & が 行 な わ れ て い る 。 ア ン チ セ ン ス 核i俊 は ぁX
|′J'RNAと塩え1ヒnL列!1:やうせI的に縦f合し、檪f向RNAの発現を1皿害する と 形 . え ら れ て い る6. し か し な が ら 、 遺 伝 子 発 現 に 対 す . る 阻 害 機 4. mに つ い て は 、 不 I川 な 点 も 多 い 。MHVは そ の 複 製 サ イ ク ル が 企 て 荊 州 包 質1:1二Iで 行 な わ れDNAの 段1噛 を 経 な い た め 、 ま た 、 ポ ジ テ イ ブ 釘|iと ネソ ′ テイ ブ 釘liの両 名 .が ジb存し て いる た め、 ア ンチ セン ス 核I俊 の 作 川 機 榊 を 検 討 す る 上 で 布J冂 と 考 え ら れ る 。 本 イ 冴 究 で は 、 ア ン チ セ ン ス オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド 、 ア ン チ セ ン ス RNA、 リ ボ ツ イ ム の3穏 の ア ン チ セ ン ス 核酸 をJ・ ・l. ・Jいて 、MHVの感 染 培養 荊 刪 包 | ,1: | に お け る !I灰 写 や 増 殖 に 対 す る 効 爿 き を 検 討 し た 。 11MHVの !1云 巧 : ボ た 式 で は 、leader pri111edtranscriptionの モ ラ ル が j地 唱 さ れ て お り 、 リ ー ダ ー RNAが プ ラ イ マ ー と し て 機n匕 す る こ と に よ っ て mRNAが 合 成 さ れ る と 考 え ら れ て い る 。 そ こ で 、 M1 1Vのりーダー 襾己列に4;1;I南11的 なアンチセ ンスオリ〓丁ヌクレオチ ド に よ る 感 蒻 とDB′r荊 州 包 のJ醤 州tln害 効爿 き につ い て検 討 した 。 この 爿 .リニ.」 ゛ヌ/ノ レオヴ・ド はMHVのjl灰 :冨や槻製においてm班とされる りーダーn己列1:1:|にイf彳「ニするUCUAAに棚ネIlm′、Jなn己列を含み、5〜
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10ルMの濃度で培地に添加すると、MHVのjICL写、翻訳と増殖を
!鹸染後比j受1′|り初Jり亅に効率J迫くIjI二L害した。一方、アンチセン.スオ リ :̲rヌ ク レ オ チ ド に 棚 ili'i'i′ 、jな 爿 . リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド (セ ンス オリ ゴ ヌ ク レ オ チ ド ) や り ー ダ ー n己 列 に4曝 1刈 係 な オ リ コ . ヌ ク レ オ チ ド を 5〜 10ルMの 濃 度 で 添 hii し た 場 合 に は 、 MHVの J曽 荊 は 影 潤 ! さ れ な か っ た 。 ま た 、 各 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド 添 カ ‖ 後4.5iiSlflJI三lで 感 染 荊 1 ni!内 のRNAを ノ ー ザ ン ブ 口 ッ ト | 孵 析 す る と 、 ア ン チ セ ン ` ス オ リ ニ ・ 」 ゛ ヌ ク レ オ チ ド で 処 到 ! し た!fIll包 の みMHVのmRNA合 成 が 抑 制 さ れ て い た 。 こ れ ら の/fili氷 は 、 リ ー ダ ーriiiシlJに 刈 . す る ア ン チセンスオリ:rヌクレオチドが感染;幼J川に塩!|Lほ己列!I奇う1さI´1′、jに,作 J:Hし て し ゝ る こ と を 示 し て レ ゝ る 。 ま た 、 セ ン ス オ リ コ . ヌ ク レ オ チ ド を 20 pMの 濃 度 で 添 カ ‖ す る と 、 程 度 は 低 い がMFIVの 増 殖1!ll害 効 釆 が 得 ら れ た 。 MHVは ポ ジ テ イ ブ 鋤 l・lの ゲ ノ ム を も つ が 、 複 製 ツ  ̄ イ ク ル l1で ネ ガ テ イ ブ 釘 IIが 生 じ る の で 、 セ ン ス オ リ ゴ ヌ ク レ オチドはネガテイブ釦|1に作)1.けることも澎.えられる。
21 N. 夕 ン パ ク 貿 は MHVの ゲ ノ ム の 他 に り ー ダ ー Iマ NAや ネ ガ テ イ ブ 鋤 |IRNAに も 親 牙 |1性 が あ り 、
て い る と 考 え ら れ て い る 。 Nタ
mRN八 の 合 成 ・j弛 の 糾Jj1竹 を 行 な っ I
ンノ ヾク 質の 産生をjqJ制す る| ヨ|的 で、これをコードするmRNA7に対するアンチセンスRNAを発
現 す る ベ ク タ ー を'{. 化 築 し 、DBT署Ill胞 に ト ラ ン ス フ ェ ク シHン し た 。 ま た 、 セ ン ス オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド が MHVの j曽 殖 を KI亅 害 す る こ と が 示 1唆 さ れ た の で 、 ネ ツ ′ テ ィ ブ 鎖 の RNAを jj#rJ′ 、 jと す る mRNA7と 同 じ 塩 夐 j§ 襾 己 列 を 有 す る セ ン ス RNAに つ い て も 検 刮 . し た 。 ア ン チ セ ン ス RNAあ る い は セ ン ス RNAを 安 定 に 発 砂 Zす る ト ラ ン ス フ オ ・ ー マ ン 卜 に お け る MHV. JHM株 の 増 殖 は 、 刔 . 象 の 非
!|ほ換DBT翁胞と比:Il岐して、感染後9‖奇|;f亅I三lで約95%、12‖廿川」で 約 99% 抑 制 さ れ て い た 。 感 染 後3.5‖ 奇 ‖I亅 日 でRNAを 拙 出 し ノ ー ザ ン ブ 口 ッ ト 解 析 を 行 う と 、 MHVの RNA合 成 は 両 方 の 卜 ラ ン ス フ オ ー マ ン ト と も に 対 象 の 非 転 換 DBT釧 胞 の 場 合 と 比 牧 し て 、 顕 著 に 抑 制 さ れ て い た 。 以 上 の 結 爿 き か ら mRNA7に 対 す る ア ン チ センスRNAならびにセンスRNAはMHV感染初J引にウイルスの
複製をKI・L害することが示l竣された。
3】MHVのJ曽 殖 を 感 染 初JW段I塒 に お い て | ! 眦 翼す るI!I『| ′、jで 、ゲ ノ ム RNAの 5 末 端 領 域 の p28を コ ー ド す る 遺 伝 子 ( p28遺 伝 子 )
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に 対 す る ア ン チ セ . ン スRNA( ア ン チp28RNA) と 、p28の 制 司 ヾ 洲 始 コ ド ンAUGの 直 後 のGUCの 後 で 切mfす る よ う に 設 霄I. し た ノ ヽ ン マ ー ヘ ッ ド巫 ! リボ ザ イム の 発現 ベ クタ ーを 作 製し 、DB′rヰ 川胞 に トランスーノェクシーンした。p28の 殿nヒは1リ.Jらかにされてしヽな しヽカf、MHVでj渋:ひにifrH訳されるタンノヾク質であることからウイ ル ス の : 凌 製 に と っ て 重 要 な 役 州 を 爿 き た して い ると 考え ら れて い る 。 ノ ー . り ン ブ 口 ッ トy析 に よ り 、 ア ン チ1)2 8R NAは 安 定に 発 り!する系でMHV!鹸染初J洲にj|ぼ写をIln害していることが示された。
ア ン チp28RNAを 一 逝 性 に 発 り ! す る 系 で は 、 ト ラ ン ス ー ノ ェ ク シ
;Jン彳変24‖奇IfIjlヨで|良も効率良く導入遺伝予が発現し、安定な系 の 1000倍 以 上 の ア ン チ p28RNAが 発 現 す る こ と が 示 さ れ た 。 こ の24‖奇川jの‖奇点で、O. liii.o.i.のMHVを感染さーせ、ノー.リ゜ンブ 口 ッ ト 斛 析を 行 な, っ た鼎f来 、安 定 に発 現 する 系 とI司 ; はにMHVの
!I灰 写を 阻 害す る こと が 示さ れた 。 これ ら の結 爿 きか ら、 一 過性 に 発 現 す る 系 は 短W亅ILljで の ア ン チ セ ン ス 核 酸 法 の 効 果 を 判 定 す る 1漿に有)l・亅であると考えられる。リボザイムについては、垂曝Pl:[ll胞 系 の 反 応 で は お だ 的RNAの 切 断 活 性 が し め さ れ た が 、 一 過 性 の 発 現 系 で の 感 染 実 験 で はMHVの !1灰 写 に 対 す る 効 果 は 認 め ら れ な か った。
本Iリ 「究 に より 、MI【Vのニ 阯 々の 遺 伝子や領域に 対するアンチ セ ンス核敝は塩!に配列特うせI′IりにMHVのRNAに作川し!I灰写、:阪製と
・J醤殖 をKtl害 する こ とが 示 され た 。り !在、治 療莱としてアン チセ ンスオリゴ ヌ/ノレオチドをtt|心にイル『究されているが、木砌「究で は フ ′ ン チ セ ン スRNAの 方 が 有 効 で あ っ た の で 、 今 後 、 ア ン チ セ ン スRNAをj虹 伝 予 治 澱 築 と し て 発 展 さ せ て い く 検 討 を 行 な っ て いきたいと考えている。
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学位論文審査の要旨
学位論文題名
アンチセンス核酸によるマウス肝炎ウイルスの 増殖阻害に関ずる研究
マ ウ ス肝 炎 ウイ ル ス(MHV) は、コロナ ウイルスに 属し、マウ スに肝 炎、腸炎等を起こす。近年、各種のアンチセンス核酸を用いた遺伝子機能 の解析や抗ウイルス剤の開発が行なわれている。そこで、アンチセンスオ リゴヌク レオチド、 アンチセン スRNA、リ ボザイムの3種のアンチセンス 核酸 を 用い て 、MHVの感染 培養細胞中 における転 写や増殖に 対する効果 を検討し、以下のような成果を得た。
1)MHVで は 、 約70塩基 の りー ダ ーRNAがプ ラ イマ ー とし て 機能 す るこ と に よ っ てmRNAが 合 成さ れ ると 考 えら れ てい る 。MHVのり ー ダー 配 列 に相 補 的な ア ン チセ ン スオ リ ゴヌ ク レオ チ ドは5〜10pMの 濃度で、MHV の転写や増殖を効率良く阻害したふ
2)MHVのmRNA7がコ ード するヌクレ オキャブシ ドタンノヾ ク質は転写 の 調 節 を 行 な っ て いる と 考え ら れて い る。mRNA7に対 す るア ン チセ ン ス RNAお よ び セ ン スRNAを 安 定に 発 現す る 形質 転 換細 胞 にお け るMHVの増 殖は 、 約99% 抑制 さ れ、 さ らに 、 アン チ セン スRNAならぴ にセンスRNA はMHV感 染 初 期 に ウ イ ル ス の 複 製 を 阻 害 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 3)MHVの増殖を 感染初期段 階において 阻害する目 的で、ゲノムRNAの5 末端 領 域の 遺 伝 子に 対するア ンチセンスRNAを安 定およぴ一 過性に発現 させ 、 これ ら の 系でMHVの 転写が阻害 されること を示した。 また、この 領域を切断するように設計したりボザイムは、無細胞系で切断活性を示し た。
本 研 究に よ り、MHVの遺伝子 に対するア ンチセンス 核酸が塩基 配列特 異的 にMHVのRNAに作 用 し 転写 と 増殖 を 阻害 す るこ とが 示された。 本研 究はアンチセンス核酸を抗ウイ´レス剤として使用する上での重要な基礎的 知見を示した。審査員一同は、申請者水谷哲也氏を博士(獣医学)を授与 されるものと認めた。′
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