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博 士 ( 農 学 ) 奥 山 正 幸

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 奥 山 正 幸

学 位 論 文 題 名

    7  

Scカ zzosaccカ 口 ダ 〇 刀 ゑ yC Sウ 〇 刀 2ろ ¢a‐ GluCOSldaSe

構 造 と 機 能 に 関 す る 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  oc‑glucosidase (a‑D‑glucoside glucohydrolaseEC 3.2.1.20)は、a‑glucoside結合を持つ基質 の非 還 元 末 端 か ら 加 水 分 解 に よ っ てa‑D‑glucoseを 遊 離 さ せ る エ キ ソ 型 の 酵 素 で あ る 。 微 生 物 か ら 動 物 、 植 物 に 至 る ま で 広 く 分 布 し 、 そ の 基 質 特 異 性 は 起 源 に よ り 多 様 で 、 合 成 配糖 体も し くは マル ト オ リ ゴ 糖 の よ う な 低 分 子 の 基 質 の み に 作 用 す る も の か ら 、 澱 粉 や グ リ コ ー ゲン のよ う な高 分子 に作 用 する もの ま で存 在す る 。

  a‑glucosidaseのア ミ ノ酸 配列 を 比較 する と 、aglucosidase familylfamily IIに分類する こと が で き 、 そ れ ぞ れ の フ ァ ミ リ ー 内 で 共 通 の ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 し て い る 。familyIに 属 す る 酵 素 に a‑amylase familyの 特 徴 が認 め られ る。a‑amylase familyとは 一 次構 造上 に 活性 中心 を 形成 する 相 同 性 の 高 い4つ の 領 域 を も ち 、 ま た 触 媒 ド メ イ ン が (Da8バ レ ル 構 造 を とる とい っ た構 造の 類 似 性 に 併 せ て 、 触 媒 機 構 にも 共 通性 をも つ 糖質 加水 分 解お よび 関 連酵 素群 で ある 。一 方 、family IIに 属 す る 酵 素 はa‑amylase familyの 特 徴 を 有 せ ず 、 機 能 と 構 造 に 関 す る 知 見は ほと ん どな い。

触 媒 残 基 は 一 般 酸 塩 基 触 媒 反 応 に お け る 求 核 残 基 が 自 殺 基 質 で 明 ら か に さ れ てい るの み であ り、

立体 構 造も 決定 さ れて いな い 。

  本 研 究 で は ま ずSchizosaccharomyces pombe a,‑glucosidase cDNAク ロー ニ ング によ ル アミ ノ酸 配 列 を 推 定 し 、 本 酵 素 がfamily IIに 属 す る こ と を 調 べ た 。 次 にSpombe a‑glucosidase cDNA Saccharomyces cerevisiaePichia pastrisで発現させ、部位 特異的変異の手法 を用しゝて、触媒 活性 に 必 須 な ア ミ ノ 酸 残 基 を 推 定 し た 。 ま た そ れ ら の 近 傍 に 保 存 さ れ て い るTrp残 基 を 置 換 し た 変 異 酵素 を 作製 しそ の 役割 を考 察 した 。

  1S pombe a‑glucosidase cDNAおよびゲノ ム遺伝子の単離と構 造

  S pombe a‑glucosidase cDNAを そ の ラ イ ブ ラ ル ー か ら ス ク ル ー ニ ン グ した 。プ 口 ーブ には ア ミ ノ 酸 配 列 か ら 合 成 し た オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド プ ラ イ マ ー で のRT‑PCR産 物 を 用 い た 。cDNAは 全 長 4,176 bpからなり、5 ‑UTR,1,037 bp、2,910 bp970コドンのORF、157 bp,3 ‑UTR、72 bp,poly(A) を 含 ん で い た 。ORFか ら 推 定 され る アミ ノ酸 配 列はa‑glucosidase family II酵 素と 相 同性 のあ る も のであった。またa‑glucosidaseの他にoc‑xylosidaseaー14‑glucan lyaseとも相同性を示し、glucoside hydrolase family 31に属す ることが明らかに なった。

  S pombe a‑glucosidase遺 伝 子 を 含 む ゲ ノ ムDNA断 片 をPCRに よ り 単 離 し た 。 遺 伝 子 に は イ ント 口ン が 含ま れな か った 。3 下流 に はABC superfamily transporter類似 夕 ンパク質がコ ードされ

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ていた。5 上流にはS cerevisiaeやAspergillus属などでカタポライトルプレッションタンバク質 が結 合す る 配列GC‑box様 配列(CCGGGG)が 見出 され た 。Spombe a.‑glucosidase遺 伝子の発現 量は培地中のglucoseの 濃度により転写レベルで制 御されていた。glucose高濃度で発現は抑制さ れたが、おそらくその 制御はcAMP非依存性であるこ とを考察した。

  2)S pombe a‑glucosidase cDNAのScerevisiaeお よ びPpasrisで の 発 現   S cerevisiae発現系では培養液lmlあた り無細胞抽出液から0.6Uの組 み換え酵素が得られた。

S cerevisiae組み 換え 酵素 を無 細 胞抽 出液 から 精製 し た。 性質はS pombeから精製された酵素 (Native酵 素) とほ ぼ同 じ 性質 を示 した 。 戸pasris発現 系で は 培養 液1mlあ たり 培養 上清から 1.0U、 無細 胞 抽出 液か ら2.5Uの 酵 素が 得ら れた 。Ppasris組 み換え酵 素を培養上清から精製し た。性質はNative酵素とほぽ同じ性質 を示したが、分子量はNative酵素210 kDaに対して戸pas′む 組 み換 え酵 素 は173 kDaで あっ た。 これ は 戸pastrisがSpombe、Scerevisiaeよりも過度の糖鎖 付加を行わ ないことが原因であると考 えられた。

3)S pombe a‑glucosdlaSe活性中心の推定

  酵 素 反応 に対 するpHの影 響か らSpombe a‑glucosidaseの 活性 解離 基は2つ のカ ルボ キ シル 基であると推定 した。そこでa‑glucosidase family IIに属する17種の酵素で完全に保存されたカ ルボキシル基に 部位特異的変異を導入し、S cerevisiaeで発現させたと ころAsp‑481、Glu‑484、 Asp‑647が活性 に必須であることが明らかと なった。

  Asp‑481は触 媒反応における求核残基であ ると予想できた。S pombe a‑glucosidaseが自殺基質 conduritolBepoxide (CBE)と1対1で結合す ることで失活し、Asp‑48lが 他起源a‑glucosidaseで CBEにより修飾 されるAsp残基と相同である こと、またAsp‑481変異酵素(Asp→ Asn,Ala,or Glu) が活性を失うこ とから推測した。

  Glu‑484はGln、Alaへの変異ではmaltase活性を失うのに対し、Gluへ の変異では野生型の10% のmaltase活性 を示した。Aspー481近傍での カルポキシル基の提供が加 水分解反応に必須である こ とが 明ら かと なっ た 。Glu‑484のAlaへの 変異 酵素はmaltoseを加水 分解することはできない が、D‑glucalを 水和できた。従ってこの残 基は触媒残基ではないと結論 した。D‑glucalが通常の 基 質よ り遷 移状 態に 近 い構 造を もつ こ とか らGlu‑484は基質に歪みを 与える役割を果たしてい ると推定した。

  Asp‑647変異 酵素(Asp→ Asn,Ala,or Glu)は いずれの変異でも触 媒活性を失った。よって Asp‑647が触媒 活性の酸塩基触媒残基の最有 力候補であることをはじめ て明らかにした。またこ れら3残基近傍 はa‑glucosdiase family IIにおいて非常に保存された領域であり、a‑glucosidase familyllに お け る 触 媒 残 基 を 含 む 保 存 領 域RegionA、RegionBと し て 提 案 し た 。

  4) S pombe a‑glucosidase活 性 中 心 近 傍 の 芳 香 族 ア ミ ノ 酸 残 基 の 役 割   活 性中 心 近傍 に保 存さ れたTrp残基 、Trp‑479、Trp‑644. Trp‑652のそれぞれ のAla変異酵素 を作 製し 、 それ らの 各種 基質 に 対する速度バラメー ターを求めた。すべての変 異酵素で島値が 大幅に減少した。よっ てこれらの残基が触媒活性には必須ではないが重要であることがわかった。

Trp変異 酵素 のh値の 変化 から 、Trp‑479はサ ブサ イト2、Trp‑644がサ ブサ イ ト3に 貢献してい ると 推測 し た。 またTrp‑652はAla変異酵素のpH活性 曲線がアルカル側にシフト したことから、

他のTrp‑479、Trp‑644よ り活 性 中心 に近 い位 置 で触 媒活 性に 貢献 し てい るこ とを 考察した。

1114

(3)

N‑bromosuccinimideによる化学修飾の結果、この3つのTrp残基以外にも活性発現に関与するTrp 残基が存在することが明らかとなった。それは活性中心以外の部位で高次構造維持に貢献してい ると考えられた。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

    7  量   .

Sc zzosaccカ ロ ダ 〇 ガ 2ツ C¢ Sウ 〇 ケ 九 み ¢ a− G1uCOSldaSe

構造と機能に関する研究

  本 論 文 は 、 和 文171頁 、 図66、 表20、6章 か ら な り 、 他 に 参 考 論 文2篇 が 付 さ れ て い る 。   Q―glucosidase (EC3,2,1,20)は 、 微 生 物 、 植 物 、 動 物 に 至 る ま で 生 物 界 に 広 く 分 布 し て お り 、 そ の 基 質 特 異 性 や 一 次 構 造 か らfamilyIお よ びnの ニ つ の グ ル ー プ に 分 け ら れ る 。 本 酵 素 は 、d− グ ル コ シ ド 結 合 を も つ 基 質 の 非 還 元 末 端 か ら 加 水 分 解 に よ っ て ぱ ー glucoseを 遊 離 さ せ る が 、 そ の 基 質 特 異 性 は 起 源 に よ り き わ め て 多 様 で あ る 。 S(m恢 )Sac曲ar〇my℃esp〇mbeQ−glucosidaseは 、 そ の 基 質 特 異 性 か ら はfamilynに 属 す る 酵 素 と み な さ れ る が 、 構 造 と 機 能 に 関 す る 知 見 は き わ め て 乏 し い 。   本 研 究 は 、S.p〔 )mbea―glucosidaseのcDNAク ロ ー ニ ン グ に よ り そ の 一 次 構 造 の 解 析 、 異 種 宿 主 細 胞 に お け る 発 現 、 部 位 特 異 的 変 異 に よ る 触 媒 活 性 に 必 須 の ア ミ ノ 酸 残 基の 推 定 を 意 図 し て な さ れ た も の で あ り 、 研 究 の 結 果 は 以 下 の よ う に 要 約 さ れ る 。

  1) 精 製 酵 素 の 部 分 ア ミ ノ 酸 配 列 に 基 づ し ゝ て 合 成 し た オリ ゴ ヌ ク レオ チ ド プラ イ マ ーを 用 い て 、S. pombed―glucosidase cDNAを そ の ラ イ ブ ラ ル ー か ら ス ク リ ー ニ ン グ し た 。 そ のcDNAは 、 全 長4,176bpか ら な り 、ORFは2910bp、970 コ ド ン を 含 ん で い た 。ORFか ら 推 定 さ れ た 全 ア ミ ノ 酸969の 配 列 は 、family II酵 素 群 と 相 同 性 が 高 く 、 一 次 構 造 の面 か ら も 本 酵 素 はfamily IIに 属 す る こ と が 確 認 さ れ た 。

  S. Dombea−glucosidase cDNA遺 伝 子 を 含 む ゲ ノ ムDNA断 片 をPCR法 に よ り 単 離 、 解 析 し た 結 果 、 そ の 遺 伝 子 に は イ ン ト 口 ン が 含 ま れ て い な い こ と を 明 ら か に し た 。   2)S.  pombe cDNAのSaccharomycesCere価 ぬeお よ び 鬥 曲jap丑S舩 で の 発 現 を 試 み た 。S.cereWsぬe発 現 系 で は 、 培 養 液1mlに 含 ま れ る 細 胞 の 抽 出 液 か らO.6単 位 の 組 換 え 酵 素 が 得 ら れ 、 精 製 し た 組 換 え 酵 素 はS.p〇mbeか ら 精 製 さ れ た 酵 素 ( オ リ ジ ナ ル 酵

1116

哉 哲

誠  

  淳

葉 藤

千 内

授 授

   

   

教 教

査 査

主 副

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素)とほとんど同じ性質を示した。P .  pastr 艪発現系では、培養液1ml あたりの上清液か ら1 .O 単位、細胞の抽出液から2 .5 単位の組換え酵素が得られた。精製した組換え酵素もま たオリジナル酵素とほとんど同じ性質を示したが、オリジナル酵素の分子量が210kDa で あるのに対 して P . pas 艢組換え酵素では 17310a であり、両者の分子量に違いが認めら れ、Plpas 馴s 発現系では糖鎖の付加が少ないと考えられた。

  3 )S .p 〔)mbe ぱ―glucosidaSe の加水分解反応に対するpH の影響について反応動力学的 解析による活性解離基の検討を行い、触媒活性に必須な解離基をニつのカルボキシル基

(一っは解離型)であると推定した。続いて、a ―函uc08idase ぬmi 炒n に属する 17 種の 酵素で完全に保存されたカルボキシル基をもつアミノ酸残基( Asp またはGlu 残基)に部 位特異的変異を導入し、 S .cerevjsjae により発現させた酵素の活性の検討結果から、

Asp481 、 Glu484 および Asp647 が触媒 活性発現に 必須であることを明らかにした。S . pom わeal 二lglucosidase が自殺基質 cor ぬudt01Bep 匸蔚de ( CBE )と1 :1 モル比で結合し て失活する こと、Asp481 が他起源のぱーglucosidase においても CBE により修飾される Asp 残基に相 当すること 、 Asp481Asn 、Asp481 魁a 、Asp481Glu 変 異酵素が失 活するこ と か ら 、 A3p481 は 触 媒 反 応 に 必 須 な 解 離 型 カ ル ボ キ シ ル基 で あ ると 推 定し た 。   Glu484 の 役 割 に 関 し て は 、 Glu484Gln 、 Glu484A1a 変 異 酵 素 は 失 活 し た が 、 G1u48 出瓠p 変異酵素ではオルジナル酵素の lO %の活性を示した。しかし Glu48 響岫変異 酵素は、通常の基質とは異なった遷移状態に近い構造をもD ―glucm に対する水和反応を触 媒することからGlu484 は触媒反応の際に基質に歪みを与えることにより反応を促進させ るのに必須であると推定した。

  A ミ p64 私sn 、Asp647Gm 、 Ajp647Ala は いずれも触 媒活性を失った。a ― glucoSidaSe familyH に属す る 17 種の a ―gluCosidaSe の一次構造において、Asp647 に相当するAsp 残 基は高度に保存されたアミノ酸残基であり、この酵素についての結果から、従来不明で あった familyH に属する酵素群の触媒反応に必須のプロトン供与体としてのカルポキル基 をもつアミノ酸残基をはじめて明らかにした。

  4 )活性 中心近傍に 保存されたnp 残基の役割を検討した。 11 や479 、np644 、′ np652 の水解に関する反応動力学的解析を行った。その結果に基づいて、Trp479 およびn ‐p644 はそれぞれ 活性部位の サブサイト 2 およびサプサイト 3 において基質の結合に関与し、

1Yp652 は他のニつの′r . p 残基よりも触媒部位により近い位置で触媒活性に関与していると 推定した。

   以上のように本研究は、 S .  pombeQ 一glucosidase の cDNA ク口ーこングによる一次構

造の推定、ゲノム遺伝子の構造解析、従来不明であった触媒活性に直接関与している,プロ

トン供与体としてのアミノ酸残基の推定を行ったものであり、a ―glucosidase の触媒反応

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機 構 を 考 え る う え で 学 術 的 に 貴 重 な 基 礎 的 知 見 を 提 供 し て い る 。

   よって審査員一同は、奥山正幸が博士(農学)の学位を受けるに十分な資格を有するも

のと認めた。

参照

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