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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) 森 . 山 里 美

     学 位論文 題名

Effect of Uniconazole −P , aplant froth regulator ,     on the growth and yield of soybean cultivars

     (ダイズ栽培品種の生育と収量に及ぼす 植物生長調節物質ウニコナゾール―P の影響)

学位論文内容の要旨

  ダイ ズは タン パク 質と 脂肪 の含 有率 が高 く、人類の食糧資源として極めて重要な位 置を占めているが、その収 量水準はイネ科の作物に比ベ低い。この原因のーっとして、

生 殖器 官で ある 子実 と栄 養器 官で ある 茎葉 の生 長が 開 花開 始以 降の 約1ケ月間に並進 し 、両 器官 間で 光合 成産 物の 競合 が生 じる ことが指摘されている。本研究では、イネ の 倒伏 軽減 剤と して 利用 され てい るウ ニコ ナゾール‑P(ジベレルン生合成阻害剤)を ダ イズ の開 花始 期に 茎葉 部へ 散布 して 茎生 長を抑制し、子実と茎葉との光合成産物の 競 合を 緩和 する こと によ って 収量 を増 加さ せる可能性を検討した。試験は北海道の主 要 栽培 品種 を複 数供 試し て、 北海 道大 学農 学部付属農場の実験圃場で行った。得られ た結果の概要は下記のとお りである。

1.茎葉部の形態と群落構造に 及ぼす影響

  茎の伸育性の異なる基幹品種キタホマレ(有限伸育型) とツルコガネ(無限伸育型)

を 慣 行 条 件 下 で3年 間 栽 培 し 、 各 年 次 と も7月 中旬 の開 花始 期に30ppm濃度 のウ ニコ ナ ゾ ール‑P水 溶液を100ml Ill‑2の割合で茎葉表面に散布した。また、標準区と して同 量 の 蒸留 水を 散布 する 区を 設け た。 ウニ コナゾール散布区では標準区に比ベ、 茎の節 数 や 葉数 の増 加量 には 有意 な差 異が 認め られなかったが、茎の節間長が著しく 短縮し た 。 この ため 、葉 が群 落内 でほ ぽ均 等に 分布し、光に対する葉の相互遮蔽が緩 和され た 。 また 、葉 の柵 状組 織の 細胞 数が 増加 して葉が厚くなり、比葉重(単位葉面 積当り 葉 乾 物重 )が 有意 に増 大し た。 さら に、 着莢数の有意な増加が認められ、ウニ コナゾ ー ル散布によって落花・落莢が減少したものと推察された 。

2. 葉の光合成速度と作物体の窒素吸収に及ぼす影響

‑ 1185

(2)

  上述 の2品 種に 加え て、 耐冷 性品 種キ タム スヌ 、 極多 収品 種ト ヨム スメ および機械 収 穫適 応品 種カ リユ 夕 力( 共に 有限 伸育 型) と、根粒着生性の みの異なる同質遺伝子 型 系統T201(根 粒非 着 生) とT202( 根粒 着生 )を それ ぞれ114年 間供 試し て、同様の 処 理を 行っ た。 ウニ コ ナゾ ール 散布 区で は標 準区に比ベ、栽培 品種の単位葉面積当り 光 合成 速度 の生 育期 間 中の 最大 値が 約20%増 加したとともに、 茎葉部最大期以降の子 実 肥大 後期 にお ける 光 合成 速度 の低 下が 抑制 された。また、作 物体全体の窒素吸収量 は ほと んど 変化 しな か った が、 葉の 窒素 含有 率がやや増加し、 葉が厚くなったことと 併 せて 単位 葉面 積当 り の窒 素量 なら びに ク口 口フィル量の顕著 な増加が認められた。

こ れが 前述 の光 合成 速 度の 増加 をも たら した ものと推察された 。さらに、根粒非着生 系 統で はウ ニコ ナゾ ー ル散 布区 と標 準区 との 間で作物体の窒素 吸収量に有意な差異が 認 めら れな かっ たが 、 根粒 着生 系統 では 散布 区の根粒数と量が 顕著に増加し、窒素吸 収 量が 有意 に増 加す る こと が明 らか にな った 。このことは、ウ ニコナゾール散布によ っ て地 下部 への 光合 成 産物 の転 流が 促進 され て根粒着生が旺盛 になり、根粒による窒 素 固定 量が 増大 した 結 果と 解釈 され た。 従っ て、ウニコナゾー ル散布は光合成産物の 体 内で の分 配に 影響 を 及ぼ し、 根粒 の着 生を 旺盛にして子実肥 大後期における作物体 の 窒素 量の 低下 を抑 制 する もの と推 察し た。

3.乾物生産と収量に及ぼす影響

  上述の 栽培品種において、ウニコナゾール散布は地上部最大期 までの乾物分配率を 変化させ 、茎への分配率を減少させたのに対し、莢実への分配率を増加させた。また、

地上部最 大期から収穫期までの乾物増加速度の低下を抑制し、子 実肥大後期の莢実増 加 速度 を高 めた 。 この結果、収量(単位土地面 積当り子実収穫量)は6年間 の実験期 間中の4年間で有意に増加し、平均10%(ウニコナゾール散布区: 444 kgm‥、標準区:

402 kg m‑2)、最大22%(ウニコナゾール散布区:630 kgm‥、標準区:518 kg m'z)の増 加が認め られた。収量増加は、単位土地面積当たりの莢数の増加 に伴う子実数の増加 に 起因 して おり 、1莢 当り 子実 数お よび100粒 重に対する影響はごく小さか った。な お、品種 間にも有意な収量差異が認められたが、品種と処理との 相互作用はいずれの 年次でも 有意ではなかったことから、ウニコナゾール散布による 収量増加は品種に関 わらず認 められるものと推察した。

  以上のことから、ダイズの茎葉へ のウニコナゾール散布は、形態、生理および生態 的形質に影響を及ぽし、光合成産物 に対する茎葉と莢実との競合を緩和させて莢数を 増加させるとともに、子実肥大後期 での窒素吸収の低下を抑制して子実増加速度を高 め、最終的に収量を増加させるもの と結論した。

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(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

副査 副査 副査

教 授 〜 教 授 教 授 助 教 授

岩聞 喜久田 山口 長谷川

和人 嘉郎 淳一 利拡

     学位論文題名

EffeCtofUniCOnaZ01e ‐P ,aplantf ・rOW .thregulator ,     OnthegrOWthandyieldofSOybeanCultiVarS      ( ダ イ ズ 栽 培 品 種 の 生 育 と 収 量 に 及 ぼ す      植 物 生 長 調 節 物 質 ウ ニ コナ ゾー ル ― P の 影響 )

  本 論 文は図26、 表6を含み 、5章から なる総頁数87の英文論 文であり 、別に参 考論文6編が添えられている。

  本研究 は、イネ の倒伏軽 減剤として利用されている植物生長調節物質ウニコナ ゾールーP(ジベレリン生合成阻害剤)をダイズの開花始期に茎葉部へ散布して茎 生長を抑制し、子実と茎葉との光合成産物の競合を緩和することによって収量を増 加させる可能性を検討したものである。

1.茎葉部の形態と群落構造に及ぼす影響

  北海道の基幹品種キタホマレ(有限伸育型)とツルコガネ(無限伸育型)を慣行 条 件 下 で3年間 栽 培し 、 各 年次 と も7月中旬の 開花始期 に30ppm濃度の ウニコナ ゾ ール‑P水溶 液を100ml m‑2の割 合で茎葉 表面に散 布した。また、標準区として 同量の蒸留水を散布する区を設けた。ウニコナゾール散布区では標準区に比べ、茎 の節数や葉数の増加量には有意な差異が認められなかったが、茎の節間長が著しく 短縮した。このため、葉が群落内でほぼ均等に分布し、光に対する葉の相互遮蔽が 緩和された。また、葉の柵状組織の細胞数が増加して葉が厚くなり、比葉重(単位 葉面積当り葉乾物重)が有意に増大した。さらに、着莢数の有意な増加が認められ、

ウ ニ コ ナ ゾ ー ル 散 布 に よ っ て 落 花 ・ 落 莢 が 減 少 し た も の と 推 察 さ れ た 。

2.葉の光合成速度と作物体の窒素吸収に及ぽす影響

  上 述の2品種 に加えて 、耐冷性 品種キタ ムスヌ、極 多収品種トヨムスメおよび 機械収穫適応品種カリユ夕力(共に有限伸育型)と、根粒着生性のみの異なる同質 遺 伝子型系 統T201(根粒 非着生) とT202(根粒 着生)をそれぞれ1‑4年間供試し

(4)

て、同様の処理を行った。ウニコナゾール散布区では標準区に比ベ、栽培品種の単 位葉面積当り光合成速度の生育期間中の最大値が増加したとともに、茎葉部最大期 以降の子実肥大後期における光合成速度の低下が抑制された。また、作物体全体の 窒素吸収量はほとんど変化しなかったが、葉の窒素含有率がやや増加し、葉が厚く なったことと併せて単位葉面積当りの窒素量ならびにク口口フィル量の顕著な増加 が認められた。これが前述の光合成速度の増加をもたらしたものと推察された。さ らに、根粒非着生系統ではウニコナゾール散布区と標準区との間で作物体の窒素吸 収量に有意な差異が認められなかったが、根粒着生系統では散布区の根粒数と量が 顕著に増加し、窒素吸収量が有意に増加することが明らかになった。このことは、

ウニコナゾール散布によって地下部への光合成産物の転流が促進されて根粒着生が 旺盛になり、根粒による窒素固定量が増大した結果と解釈された。従って、ウニコ ナゾール散布は光合成産物の体内での分配に影響を及ぽし、根粒の着生を旺盛にし て 子 実 肥大 後 期 にお け る作 物 体 の窒 素 量の 低 下 を抑 制 する も の と推 察し た。

3.乾物生産と収量に及ぼす影響

  上 述の栽培品 種におい て、ウニコナゾール散布は地上部最大期までの乾物分配 率を変化させ、茎への分配率を減少させたのに対し、莢実への分配率を増加させた。

また、地上部最大期から収穫期までの乾物増加速度の低下を抑制し、子実肥大後期 の莢実増加速度を高めた。この結果、収量(単位土地面積当り収穫量)は実験期間 中 の6年間で平 均10%、最 大22%増加 し、統計 的にも有 意な差異が認められた。

収量増加は、単位土地面積当たりの莢数の増加に伴う子実数の増加に起因しており、

1莢 当り子実数 および100粒 重に対す る影響は ごく小さ かった。なお、1年を除き 各年度とも地上部の生育特性あるいは早晩性の異なる複数品種を供試し、大部分の 年度で品種間に有意な収量差異が認められたが、収量における品種と処理との相互 作用はいずれの年度も有意ではなかったことから、ダイズの生育に及ぽすウニコナ ゾ ー ル 散 布 の 影 響 は 栽 培 品 種 で 共 通 に 認 め ら れ る も の と 推 察 さ れ た 。

  これらの結果から、ダイズの開花始期における茎葉へのウニコナゾール散布は、

茎葉の形態、生理および生態的形質に影響を及ぽし、光合成産物に対する茎葉と莢 実との競合を緩和させて莢数を増加させるとともに、子実肥大後期での窒素吸収の 低下を抑制させて子実増加速度を高め、最終的に収量を増加させるものと結諭した。

  以上 の研究成果 は、ダイ ズの栽培方法や育種方法の改善に寄与する基礎的な知 見として学術的に評価できる。よって審査員一同は、本論文の提出者である森山里 美 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

参照

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