博 士 ( 理 学 ) メ デ ィ ア ン リ ザ
学 位 論 文 題 名
Studies on Polymeric Microspheres Prepared by the Free Radical Copolymerization of Hydrophilic Macromonomers and Styrene
(親水性マクロモノマ―とスチレンの共重合により得られるミク口スフェアに関する研究)
学位論文内容の要旨
本 研究は 、機 能性 ミク ロスフ ェア を合成することを目的に、種々の親水性マクロモ ノマ ーと代 表的 な疎 水性 モノマ ーで ある スチ レン(
st) をコ モ丿マ ーに選ぴ共I 台を 行い、 得られたミクロスフェアに関する知見をまとめたものである。まず、 ポリェチ レングリコール (PEG )マクロモノマ―とst との共童合を行った。 この共I 台系につ いて 速度諭 的な 検討 を加 え、得 られ た共 童合 体の粒 径を
TEHによ り測定した。次に、
ミクロスフェアの表面にポリカチオンおよびポリアニオンーを導入することを目的に、
四級 化4 ーピ ニル ピリジ ン(
4VP)マ クロ モ丿 マーお よぴ
tert‑ブ チルメタクリレ一卜
(t ーBMA )マクロモノマーを合成し、st との共童台を行った。得られたミクロスフェア の粒 径をTEH およ ぴSEH に より観 察し 、ESCA による表面分析によルミクロスフェアの生 成攝構について検討し、水分散性を調ぺた。
第2 章では、末蛸メタクリロイル型PEG マクロモノマ―(HHA ‐PEG ) および末斌ピ ニ ルペン ジル 型PEG マ クロ モノ マー (St‑PEG )とst との 共I 合を 均一 系溶 媒のDMF お よ び不均 一系 溶媒 である ェタ ノー ル/ 水混合 溶媒中で行い、速度強を検討した。単独 童 台 で は 各 童 台 率に お け るI 合 速度の 変化 がみ られ なかっ たが 分散
I合 とな る共 量台 に おいて は変 化が 確認さ れた 。さ ちに 、St‑PEG およぴHHA‑PEG の単独及ぴ共1 台の成長 と停止の速度定数の割合(kp /kt °. )はst よりも高く、また分散I 台ではより大きな 値 を示し た。 エタ ノール /水 混合 溶媒 ではミ クロスフェアが生成する分歓量台となる が、グラフ卜共童合体の疎水性の幹部分が溶媒に不溶なため凝集し、 ミクロスフェア が生成する機構と良く一致した。
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第3章 で は 、 開 始 荊 と し て 水 溶 性 のVA一061お よ び 疎 水 性 の BPOを 用 い て ェ タ ノ ー ル /
水中でHHA‑PEG マクロモノマーとst との共重合を行いミクロスフェアを合成し、得られ たミクロスフウアの粒径をTEH により測定した。親水性およぴ疎水性の開始剤を用いて 得られたミクロスフウア粒径を測定した結果、77 から12 7n ■の粒径分布が狭いものであ
っ た 。 疎 水 性 の 開 始 剤 を 用 い た 鳩 合 に は ミ ク ロ ス フ ェ ア の 核 内 部 に 開 始 荊 が 疎 水 性 コ モ ノ マ ー と 共 に 取 り 込 ま れ 、 成 長 ラ ジ カ ル と 開 始 剤 と の 停 止 反 応 起 こ り や す く な る た め に 粒 径 が 小 さ く な る 傾 向 が 認 め ら れ た 。
第4 章では、HHA −PEG マクロモノマーはst と様々な温度で共童台を行い、全体の.活性 化エ ネル ギ―を 評価 した 。分 散童合系においては、全体の活性化エネルギーは主とし て生長反応の活性化エネルギー(E ,)に従う。停止反応は連鍵移動により行われ、開 始反 応は 発生し たラ ジカ ルと 複合体を形成することにより起こるため、停止反応の活 性化エネルギー(Et )と開始反応の活性化エネルギー(Ed )はあまり影書を受けない。
単独
I台 にお いて は、Ep 、Et 、とE 。はそれぞれ粘度と開始剤効率に関係している。分 散
I台 に 対 す る 全 体 の 活 性 化 エ ネ ル ギ ー は
48kj/■
olで あ っ た 。
第 5章 で な 、 、 ポ リ カ チ オ ン 鎖 を 表 面 に 持 っ ミ ク ロ ス フ ェ ア を 四 級 化4VPマ ク ロ モ ノ マ ー と stの 共 童 合 に よ り 合 成 し た 。 エ タ ノ ー ル / 水 の 比 を 変 化 さ せ 、 ま た 四 級 化 4VP マ ク ロ モ ノ マ ー の 分 子 量 を 変 化 さ せ 共 童 台 を 行 い 、 ミ ク ロ ス フ ウ ア の 粒 径 をTEHに よ り 測 定 し た 結 果 、 110か ら 420nHの 粒 径 を 持 ち 粒 径 分 布 が 狭 い こ と が 明 ら か に な っ た 。 水 の 割 合 を 多 く す る と 疎 水 性 の stは ミ ク ロ ス フ ェ ア に よ り 容 易 に 取 り 込 ま れ る た め 粒 径 が 大 き く な る と 結 絵 さ れ た 。 同 様 に 、 マ ク ロ モ 丿 マ ー の 分 子 量 が 高 く な る と 、 安 定 化 の 効 率 が 高 く な る た め 、 得 ら れ た ミ ク ロ ス フ ェ ア の 粒 径 は 小 さ く な る と 考 え ら れ た 。 ま た 、 得 ら れ た ミ ク ロ ス フ ウ ア の 表 面 を ESCAに よ る 表 面 分 析 し た 結 果 よ り 、PEG マ ク ロ モ ノ マ ー と 同 じ よ う に 四 級 化 4VP鎖 が ミ ク ロ ス フ ウ ア の 表 面 に 集 積 し た 。 次 に 、
ミ ク ロ ス フ ェ ア の 表 面 に ポ リ カ チ オ ン を 有 す る ミ ク ロ ス フ ウ ア の 種 々 の 食 塩 濃 度 に お け る 水 中 で の 分 散 性 に つ い て 濁 度 を 評 価 し た 。 食 塩 濃 度 が 高 い 方 が 濁 度 が 低 下 し 、 食 塩 濃 度 が 高 く な る と カ チ オ ン 性 の ポ リ マ ー に Cl− が 対 イ オ ン と し て 働 き ポ リ カ チ オ ン 鎖 の イ オ ン 反 発 が 少 な く な り 、 ポ リ マ ー 鎖 が 収 縮 し て ミ ク ロ ス フ ェ ア が 凝 集 し 、 水 中 で
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の 分 散 性 が 低 下 し た と 理 解 さ れ た 。
第6章 で は 、 ポ リ ア ニ オ ン 鎖 を 表 面 に 持 っ ミ ク ロ ス フ ェ ア をt―BHAマ ク ロ モ ノ マ ー とstと の 共 童 合 に よ り 合 成 し 、 粒 径 を 観 察 し 、 ミ ク ロ ス フ ェ ア の 生 成 譲 構 と 水 中 で の 分 散 性 に つ い て 検 討 し た 。 マ ク ロ モ ノ マ ー の 仕 込 みIを 変 化 さ せ 、 ま た 、 マ ク ロ モ ノ マ ー の 分 子Iを 変 化 さ せ 共 童 台 し た 。 粒 径 を SEMに よ り 測 定 し た 結 果 、810か ら1600nm の 粒 径 を 持 っ ミ ク ロ ス フ ェ ア で あ る こ と が 分 か っ た 。 マ ク ロ モ ノ マ ー の 仕 込 み の 量 が 増 加 す る と 、 ま た 、 マ ク ロ モ ノ マ ー の 分 子 量 が 高 く な る と 、 ミ ク ロ ス フ ウ ア の 粒 径 が 小 さ く な り 、 四 級 化4VPマ ク ロ モ ノ マ ー を 用 い た 系 と 同 様 の 傾 向 を 示 し た 。 ま た 、 得 ら れ た ミ ク ロ ス フ ェ ア の 表 面 をESCAに よ り 表 面 分 析 し た 結 果 、 PEGマ ク ロ モ 丿 マ ー お よ び 四 級 化4VPマ ク ロ モ ノ マ ー を 用 い た 場 合 と 同 様 にtーBMA鎖 が ミ ク ロ ス フ ェ ア の 表 面 に 集 積 し て い る こ と が 明 ち か と な っ た 。 そ こ で 、 得 ら れ た ミ ク ロ ス フ ェ ア を 加 水 分 解 に よ り 表 面 の ポ リt−BMA鎖 を ボ リ メ タ ク リ ル 酸 鎖 に 変 化 さ せ 、 ポ リ ア ニ オ ン 鎖 . を 表 面 に 持 つ ミ ク ロ ス フ ェ ア に 誘 導 し た 。 次 に 、 こ の 表 面 に ポ リ ア ニ オ ン 鎖 を 有 す る ミ ク ロ ス フ ェ ア の 種 々 のpHに よ る 水 中 で の 分 散 性 に つ い て 、 濁 度 を 測 定 す る こ と に よ り 評 価 し た 。 比 較 的 高 いpHで は カ ル ポ キ シ ル 基 の 解Iに よ ル ポ リ ア ニ オ ン 頒 が 反 発 し 良 好 な 分 散 状 態 が 見 ら れ 、 pH変 化 に 応 答 し 分 散 状 態 を 変 化 さ せ る こ と が 可 能 と な っ た 。
以 上 、 本 研 究 の 結 果 、 1) 親 水 性 マ ク ロ モ ノ マ ー と 疎 水 性 コ モ ノ マ ー と の 共 童 台 に よ ル ミ ク ロ ス フ ェ ア が 得 ら れ る こ と を 基 に 、 ノ ニ オ ン 性 、 カ チ オ ン 性 及 び ァ ニ オ ン 性 ミ ク ロ ス フ ェ ア を 合 成 し た 。 2)St‑PEG及 ぴFIMA‑PEGマ ク ロ モ ノ マ ー の 単 独 童 合 、 分 散 重 合 の 成 長 と 停 止 の 速 度 定 数 の 割 合 (kp/kto. ) はstよ り も 高 く 、 ま た 分 散 童 合 で は よ り 大 き な 値 , を 示 し た 。 3)ESCAに よ り 表 面 分 析 の 結 果 、 そ れ ぞ れ の マ ク ロ モ ノ マ ー 鎖 が ミ ク ロ ス フ ェ ア 表 面 に 集 積 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 4) カ チ オ ン 性 ミ ク ロ ス フ ウ ア の 水 分 散 性 は イ オ ン 強 度 に 応 答 し 、 ア ニ オ ン 性 の も の はpH変 化 に 応 答 し た 。
学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査 教 授 戸 倉 清 一 副 査 教 授 引 地 邦 男 副 査 教 授 長 田 義 仁 副 査 教 授 明 石 満 ( 鹿 児 島 大 学 工 学 部 )
学 位 論 文 題 名
Studies on Polymeric Microspheres Prepared by the Free Radical Copolymerization of Hydrophilic Macromonomers and Styrene
(親水性マクロモノマーとスチレンの共重合により得られるミク口スフェアに関する研究)
古 く か ら 知 ら れ て い る コ ロ イ ド は 、 低 分 子 量 な が ら 親 水 性 部 分 と 疎 水 性 部 分 と を 分 子 内 に 持 ち 、 水 中 で 親 水 性 部 分 を 外 側 にし て 疎 水 性部 分 が 凝集 す る 特殊 な 分 子集 団 で あ る こ と が 知 ら れ て い る 。 こ の コ ロ イ ドは 人 間 生 活の あ ら ゆる 部 分 で活 用 さ れて い る が 、 石 鹸 に よ る 洗 浄 作 用 が そ の 典 型 的 な例 で あ る 。高 分 子 化合 物 も 親水 性 部 分と 疎 水 性 部 分 に わ け て 構 成 さ せ る と 、 水 中 で は親 水 性 基 が外 側 で 疎水 性 基 が内 部 に 埋め 込 ま れ た 形 で 溶 け 込 む こ と が 知 ら れ て い る 。ま た こ の 時、 水 中 ある い は 水ー 有 機 溶媒 混 合 系 で 重 合 す る と 共 重 合 体 を 形 成 す る 疎 水性 部 分 同 志が 凝 集 して 外 部 に親 水 性 基群 を 配 し た コ ロ イ ド 様形 態 ( マク ロ コ ロイ ド ) にな る こ と は知 ら れ てkゝ る 。し か し 、こ の 共 重 合 に は 乳 化 剤 や 分 散 剤 が 必 要 な た め 、こ れ ら の 薬品 を 取 り除 く の が困 難 で 医用 材 料 等 に 使 う こ と は 出 来 な か っ た 。MEDYAN RIZA氏 は 、 反 応 性 高 分 子 化 合 物 ( マ ク ロ モ ノ マ ー ) に 低 分 子 化 合 物 ( ピ ニ ル モ ノ マー ) を 乳 化剤 や 分 散剤 を 加 えな い 単 純な 系 で 共 重 合 さ せ る こ と に 成 功 し 、 こ の 分 野 での 新 し い 方向 を 見 いだ し た 。氏 は 、 親水 性 と 疎 水 性2種 の 開 始 剤 を 用 い て エ タ ノ ー ル / 水 中 で メ チ ル メ タ ク リ レ ー ト (MMA) , ポ リ エ チ レ ン グ1Jコ ー ル (PEG) マ ク ロ モ ノ マ ー と ス チ レ ン (St) と の 共重 合 を 行な い ミ ク ロ ス フ ウ ア を 合 成 し た 。 親 水 性 お よぴ 疎 水 性 の開 始 剤 を用 い た 重合 で は ミク ロ ス フ ェ ア 粒 径 が 、77か ら127nmの 粒 径 分 布 が 狭 い も の で あ っ た 。 疎 水 性 の開 始 荊 を用 い た 場 合 に は ミ ク ロ ス フ ェ ア の 核 内 部 に 開始 荊 が 疎 水性 コ モ ノマ ー と 共に 取 り 込ま れ 、 −24―
成長 ラジ カル と開始 剤と 問に 停止反応が起こり易くなるために粒径が小さくなる事を 見出 した 。さ らにポ リカ チオ ン鎖 を表 面に 持つ ミク ロス フウアを四級化4 ーピニルピ リジ ン(
4VP) マク ロモ 丿マ ーと
Stの 共重 合によ り合 成し ている。この際エタノール
/水 の比 、ま たは四 級化
4VPマク ロモ ノマ ーの分 子量 を変 化させ共重合を行なうと、
ミ クロ スフ ウア の粒 径は
110か ら490nm で粒径 分布 が狭 くな るこ とを 見出 した 。マ ク ロモ ノマ ーの 分子量 が高 くな ると、ミクロスフェアの粒径は小さくなる、このミクロ ス フェ アの 表面 はPEG マク ロモ ノマ ーと 同じ よう に四 級化
4VP鎖 がミ クロ スフ ェア の 表面 に集 積し ている こと を見 出している。次いでポルアニオン鎖を表面に持つミクロ スフ ェア をメ タクリ ル酸
t. プチレート(t‑BMA )マクロモノマーとSt との共重合反応 に際 して マク ロモノ マー の仕 込みの量が増加すると、あるいはマクロモノマーの分子 量が 高く なる と、ミ クロ スフ ウアの粒径が小さくなることを見出した。また、得られ たミ クロ スフ ェアの 表面 は、 前と 同様 にt‑BMA 鎖 がミ クロ スフェアの表面に集積して いることを明らかにした。
また、この系で外側に親水性基を配した親水性マクロコロイド、あるいは疎水性基を 配した疎水性マクロコロイドの調製が溶媒の変換と言う簡単な操作で調製出来ることを 見いだしている。これは、このマクロコロイドを生医学材料として使った場合、親水性 物質でも疎水性物質でも簡単にマクロコロイドの11 |ヘ包接して動物体内の任意のところ へ運搬できることを示唆している。一連の成果は、高分子合成化学分野に単純で確実な 手法を導入し全く新しい分野への道を拓いた点で高く評価できる。よって審査員一同は
MEDYAN RIZA氏 が博 士( 理学 )の 学位 を得 るのに 十分 な資 格があると判定した。なお 博士 後期 課程 在学期 間を
2年
3ケ月に短縮して終了させる理由は、上記の理由の他に、
MEDYAN RIZA
氏 が高 分子 と言 う概 念の 殆ど 無い国 から の留 学生にも係わらず、短期間 にこの様に高いレベルの研究を達成した能カと努カに対する評価も加わ.ったものである ことを申し添える。
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