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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 佐 々 木       学位論文題名

Bone Morphogenetic Protein(BMP)による歯周組織の再生療法に関する研究 サル根分岐部骨欠損部にコラーゲン膜をスベーサーとして用いる方法について

学位論文内容の要旨

【 緒 言】 歯 周 炎に よ 、っ て 失わ れ た歯 周 組織 を 回復 す るこ と は歯 周治療の大 き な 目 標 の ひ と つ で あ る が 、 通 常 の 処 置 で は 歯 周 炎 の 進行 抑 制や 一 部の 再 生が 生 じ る の み で あ る 。 最 近 で は 歯 周 組 織 の 再 生 を 目 指 し た 治 療 法 と し て 、GT R法 が 研 究 開 発 さ れ 臨 床 の 場 で 行 わ れ る よ う に な っ た が 、 こ の 方 法 は 適 応 範 囲 が 狭 く 、 水 平 性 骨 欠 損 、1壁 性 や2壁 性 骨 欠 損 、3度 の 根 分 岐 部 病 変 で は 再 生 が 困 難 な の が 現 状 で あ る 。 そ こ で 我 々 の 教 室 で は、 骨 基質 中 に微 量 に存 在 し骨を誘 導する成長 分化因子で あるBone l¥iIoi‑phogenetic Pi‑ocein(BMP) に 着 目し 、 歯 周治 療 の分 野 での 臨 床応 用 を図 ろ 目的 で 研究 を 行っ てきていろ 。   本 研 究 は 、 GTR法 で は 治 療 が 困 難 な3度 の 根 分 岐 部 病 変 にBMPを 用 い て 歯 槽 骨 お よ ぴ セ メ ン ト 質 と 歯 根 膜 を 再 生 さ せ る 方 法を 開 発す ろ 目的 で 、実 験1と し て サ ル の 臼 歯 に 根 分 岐 部3度 の 骨 欠 損 を 作 製し 、 セメ ン ト 質 を 除去 し 試 作 し た 改 良 FCM1を 担 体 と し て 用 い た 場 合 の BMPに よ ろ 骨 の 再 生 状 態および根面との付着状態について観察.し、その結果を参考に、づミ!験2では、

BMPを 含 有 す る 移 植 材 と 根 面 と のfJに 、 ス ペ ー サ ー と し てB VIPを 含 有 し な い 改 良FCM1を 置 く 方 法 を 採 用 す る こ と に よ り 、 歯 槽 骨 と と も に セ メ ン ト 質 と 歯 根 膜 を 再 生 で き る の で は な い か と 考 え 、 そ の有 効 性を 検 討す る 目的 で 移 植 実 験 を 行 い 、 臨 床 的 、X線 学 的 、 病 理 組 織 学 的 な 観 察 お よ び 病 理 組 織     387

(2)

学的計測を行った。

【材料と方法】

〔 実 験

1

〕 カニ ク イザ ル

1

頭の 下 顎の 臼 歯根 分 岐部

6

部 位を 実 験部 位と し 、 チゼ ル とラ ウンドバ ーを使用して 、根分岐部

3

度の 骨欠損を作製 した。骨削 除 量 は 、 歯 軸 方 向 に は

CEJ

よ り 根 尖 方 向 に

4mm

、 近 遠心 方向 に は近 心 根の 近心隅角と 遠心根の遠心 隅角までとし、 頬舌側方向には根分岐部を完全に貫 通するまでとした。露出した根面はキュレット゛型のスケーラ―とラウンドノヾ ーでセメン ト質を完全に 除去し、骨欠損 最根尖側の根面上にラウンドバーで ノッ チ を付 与した。 根分岐部骨欠 損作製後、実 験群(4 部位)に はウシのコ ラ ー ゲ ン から 作製 し たコ ラ ーゲ ン 線維 膜( 改 良F CM1 ) を 担体 に 、ウ シ 骨 か ら 抽 出 し た

BMP

S300BMP

) を

1

0rng

配 合 し て 移 植 し た 。 対 照 群

2

部 位 ) に は 改 良

F CM1

の み を 移 植 し た 。

2

週 間 隔 で

X

線 規 格 撮 影 を 行 い、

12

週後に病理組織学的観察を行った。

〔 実 験

2

〕 カ ニ ク イ ザ ル

2

頭 の 上 下 顎 臼 歯 の 根 分 岐 部

28

部 位 を

F

群 (

8

部 位 ) 、

BF

群 (

10

部 位 ) 、

FBF

群 (

10

部 位 ) の

3

群 に 分 け た 。 骨 欠 損 は実 験

1

と 同じ方法で 作製し、上顎 では口蓋根まで 下顎では頬舌 側に貫通す るま で 骨を 削除しセ メント、質を 除去しノッチ を付与した後、

F

群は改良FC

Ml

の み を 移 植 し 、

BF

群 は

S300BMP

を 配 合 し た 改 良

FCMl

を 移 キ 直 し 、

FBF

群 は ま ず 最 初 に ス ベ ー サ ー と し て

BMP

を 含 ま な い 改 良

FCM1   

(厚さ約0 .5 mm )を根分岐部の靄出した帆表面(全面)に接すろように一層 澄 き 、 次 に

BF

群 と 同 じ

S300BMP

を 配 合 し た 改 良

FCM1

を * 彡 午 直 し た 。 移植

6

週 後 と12 週後に、臨 床的および病 理糾織学的な 観察を行うと ともに、

病理組織学的計測を行った。

【結果】

〔実験1 〕対 照群では、新生骨の形成が根分岐部骨欠損底部に限局しており、

    ‑ 388

(3)

根分岐部内の大部分は結合組織で占められていた。実験群では、対照群に比 ベ新生骨の形成が著しく、根分岐部内はほとんど新生骨で満たされていた:

新生骨は根面に癒着している部位と癒着していない部位があり、癒着してい る部位では、象牙質が吸収されているのが観察された。癒着していない部位 では、セメント質や歯根膜が再生しており、新生骨と新生セメント質との間 に線維が垂直に走行しているのが観察された。

〔実験 2 〕術後6 週では、 F 群は新生骨の形成がごくわずかであり、根分岐 部内に は改良 FCM1 が残存 してい た。 BF 群で は新生骨の形成が盛んで、

根分岐部内の多くの部分に新生骨が認められたが、根面の一部にほ新生骨が 癒着し ていた。 FBF 群では、 BF 群同様に骨形成が盛んで根分岐部の大部 分に新生骨が認められた。なお、 BF 群にみられた根面との癒着は観察され ず、セメント質と歯根膜と思われる軟組織が再生していた。病理組織学的計 測では 、歯槽 骨、 セメン ト質、 歯根膜 の再 生は、 F 群に比ベ BF 群と FBF 群が明 らかに 多く 有意差 が認め られ、 癒着 は BF 群のみに認められたっ    術後 12 週では、 F 群は新生骨の形成が 6 週後より増加していたが、根分 岐部内の大部分は骨が再生されずに結合組織が占められていた。BF 群は、

6 週後よりも新生骨の形成が著明で、根分岐部内はほとんど新生骨で満たさ れていたが、根面との癒着が観察され象牙質が吸収されていた..FBF 群で は、BF 群と同様に根分岐部内が新生骨でtl:ci たされており、さ・ぢにBF 群に みられた根面との癒着は全く観察されず、根面の大部分は新生セメント質で 覆われており、ほぽ均一の幅の歯根膜がI 存在し、新生骨と新生セメント質と の間に線維が垂直に走行していた。病理組織学的計測では、F 群に比ベBF 群と FBF 群 の歯 槽骨、 セメン ト質、 歯根膜 の再生が多く、特にFBF 詳と F 群との間に有意差が認められ、癒着は、6 週同様BF 群のみに認められた。

【考察】本研究では歯槽骨とセメント質と歯根膜を完全に除去した根分岐部

     ー389 ―

(4)

3度 の 骨 欠 損 を 作 製 し て 実 験 を 行 っ て お り 、 実 験1の 結 果 は 従 来GTR法 な ど で は 歯 周 組 織 の 再 生 が 期 待 で き な か っ た 根 分 岐 部3度 の 病 変 で も 、BMP を 適 切 な 担 体 に 含 有 さ せ て 移 植す れ ば歯 冠 側方 向 ヘ骨 が 新生 し 再生 治 療 が成 功 す る 可 能 性 が 高 い こ と を 示 して い ると 考 えら れ る。 し かし な がら 、 新 生骨 と 根 面 と ` が 癒 着 し て い る 部 分 が 観 察 さ れ た こ と か ら 、 移 植 時 にS300BM Pを 配 合 し た 改 良FCM1が 、 根 面 に 直 接 接 触 し て い た 可 能 性 が 高 い と 考 え ら れ 、 臨 床 にBMPを 安 全 に 応 用 す る に は 、 さ ら に 特 別 な 方 法 を 開 発 し て 癒 着 を 防 ぎ 、 根 面 に セ メ ン ト 質 と歯 根 膜を 確 実に 再 生さ せ ろニ と が必 要 と 考え ら れ た 。 そ こ で 、BMPを 含 む 移 植 材 と 根 面 と の 間 に 吸 収 性 物 質 を ス ヘ ー サ ー と し て 置 く 方 法 を 採 用 す る こと に より 、 歯根 膜 細胞 が 増殖 で きろ ス ペ ―ス を 確 保 し 、 セ メ ン ト 質 と 歯 根 膜を 再 生で き るの で はな い かと 考 え、 ス ヘ ーサ ー と し て コ ラ ー ゲ ン 膜 を 用 い て 実 験2を 行 い 、 そ の 有 効 性 を 検 討し た っ その 結 果、 歯 槽骨 と 根面 と の癒 着 は 生ぜ ず 、セメ ント質と歯 根膜が再生 していた。

こ の理 由 とし て は、 ス ベー サ ー とし て 用いた コラーゲン 膜の性状や 【吸収述度 な どが 適 切で あ り、 膜 が吸 収 さ れて 生 じたス ベ―スに歯 根膜gm胞がょ 曽殖しや すかったこと、BMPの刺激により未分化If;J葉系キE‖胞が歯根|炎荊刪包に/ノナ化し や す か っ た こ と な ど が 考 え ら れ、 さ らに 咬 合岨 嚼 機能 が 加わ っ たこ と も 有利 に働い たと考えら れる。以上 .より、コラーゲンJLklをスペーサ―として門jいて BMPを 移 植す る 方法 は 、従 来 困そflと さ れて い た 高度 に 歯周 細 織が 倣 亅裳 され た 症例 に おい て も、 歯 周組 織 の 再生 が1明 待 でき ろ こと を 示唆 す ろも の と考え られる。

(5)

学位論文審査の要旨

    学位論文題名

Bone Morphogenetic Protein(BMP)による歯周組織の再生療法に関する研究 サル根鰰岐部骨欠損部にコラーゲン膜をスベーサーとして用いる方法について

  審 査 は 担 当 者 の も と 、 論 文 提 出 者 に 対し 口 頭試 問 およ び 筆 記試 験 によ り 論 文 の 内容 と 関連 分 野に つ いて 行 われ た 。

  歯 周 炎 に よ っ て 失 わ れ た 歯 周 組 織 を 回復 す るこ と は歯 周 治 療の 大 きな 目 標 の ひ と つ で あ る が 、 通 常 の 処 置 で は 歯 周 炎の 進 行抑 制 や一 部 の再 生 が生 じ ろ の み で あ る 。 最 近 で は 歯 周 組 織 の 再 生 を 目 指 し た 治 療 法 と し て 、GTR法 が 研 究 開 発 さ れ 臨 床 の 場 で 行 わ れ る よ う に なっ た が、 こ の方 法 は適 応 範囲 が 狭 く 、 水 平 性 骨 欠 損 、1壁 性 や2壁 性 骨 欠 損 、3度 の 根 分 岐 部 病 変 で は 再 生 が 困 難 な の が 現 状 で あ る 。 そ こ で こ の よ う な症 例 の歯 周 組織 の 再生 を はか ろ た め に 骨 を誘 導 すろ 成 長分 化 因 子で あ るBone Morphogenetic PiI oreinBMP) を 応 用 す る こ と が 有 効 で は な い か と 考 え た 。 本 研 究 は 、GTR法 で は 治 療 が 困 難 な 3度 の 根 分 岐 部 病 変 にBMPを 用 い て 歯 周 組 織 を 再 生 さ せ ろ 方 法 を 開 発 す る目 的 で、 実 験1と して サ ルの 臼 歯 に根 分 岐部3度の骨欠耗 :!を作製 し、

セ メ ン ト 質 を 除 去 し 試 作 し た 改 良FCM1を 担 体 と し て 用 い た 場 合 のBMP に よ る 骨 の 再 生 状 態 お よ び 根 面 と の 付 着 状態 に つい て 観察 し 、そ の 結果 を 参 考 に 、 実 験2で は 、BMPを 含 有 す る 移 植 材 と 根 面 と の 間 に 、 ス ヘ ー サ ー と     391

熈 徳

   

   

藤 木

   

   

加 久

授 授

教 教

査 査

主 副

(6)

し て

BMP

を 含 有 し な い 改 良

FCM1

を 置 く 方 法 を 採 用 す る こ と に よ り 、 歯 槽骨とと もにセメント 質と歯根膜を 再生できるのではないかと考え、その有 効性を検 討する目的で 移植実験を行 い、臨床的、

X

線 学的、病理組 織学的な 観察および病理組織学的計測を行った。

〔 実験

1

〕 カニ ク イザ ル

1

頭の 下 顎の 臼 歯根 分 岐部

6

部 位の 歯 槽骨を 骨頂よ り根尖方 向に

4 mm

削除して根 分岐部3 度の骨 欠損を作製し、 根面のセメント 質を完全に除去し、骨欠損最根尖側の根面上にノッチを付与した・実験群(4 部 位) に はコ ラー ゲ ン線 維 膜( 改 良F CM1 ) を 担体 に、 部 分精 製B 丶IP (S

300BMP

) を

1

0mg

配 合 し て 移 植 し た 。 対 照 群 (

2

部 位 ) に は 改 良

FC Ml

の み を 移 植 し た 。

2

週 間 隔 で

X

線 規 格 撮 影 を 行 い 、

12

週 後 に 病 理 組 織 学的観察 を行った結果 、対照群では 、新生骨はごくわずかしか形成されなか ったが、 実験群では、 根分岐部内に 骨が再生して いた。これは、 根分岐部3 度 の病 変 でも 、BMP を 適切 な 担体 に 含有 させ て 移植 す れば 歯 冠側方 向への 骨 新生 が 可能 であ る こと を 示唆して いろと考えら れた。しかしな がら、

S3 00 BMP

配 合 改 良

FCM1

が 根 面 に 接 触 し て い た 部 分 に 新 生 骨 と 根 面 と が 癒 着し て いる 部分 が 観察 さ れた こ とか ら 、臨 床に

BMP

を安 全 に応用 すろに は、さら に癒着を防ぎ 、根面にセメ ント質と歯根膜を確実に再生させろ特別 な方法を開発することが必要と考えられた。

〔 実 験

2

〕 カ ニ ク イ ザ ル

2

頭 の 上 下 顎 臼 歯 の 根 分 岐 部

28

部 位 に実 験

1

と同 じ方法で 骨欠損を作製 し、セメント 質を除去しノ ッチを付与した 陵、

3

群に 分 け 、

F

群 は 改 良

FCM1

の み を 移 植 し 、

BF

群 は

S300BMP

を 配 合 し た 改 良

FCM1

を 移 植 し 、

FBF

群 は

BMP

を 含 有 し た 担 体 が 根 而 と 直 接 接 触 し な い よ う に 、 ま ず ス ベ ー サ ー と し て

BMP

を 含 ま な い 改 良

FCMl

( 厚 さ約0 .5 mm )を根分岐部の露出した根表面(全面)に接すろように一層置き、

次 に

BF

群 と 同 じ

S300BMP

を 配 合 し た 改 良

FCM1

を 移 植 し た 。 移 植

    

―392 ―

(7)

6

週 後 と

12

週後 に 、 臨 床的お よび 病理組 織学 的な観 察を 行うと とも に、病 理組 織 学 的 計 測 を 行っ た結 果、F 群では 骨の 再生が 少な く、

BF

群で は骨は ほぼ 完 全 に 再 生 さ れた が、 一部は 根面 と癒着 して いた。

FBF

群 では 、骨が ほぼ完 全に 再生し てお り、さ らに

BF

群に みら れた根 面と の癒着は全く観察 されず、根面の大部分は新生セメント質で覆われており、ほぼ均一の幅の歯 根膜が存在し、新生骨と新生セメント質との間に線維が垂直に走行していた。

これは、′コラーゲン膜をスベーサーとして用いたことにより露出歯根象牙質

BMP

を 含 む担 体 と の 間に適 度な スベー スが できた こと 、さら に用 いたコ

ラーゲン膜の性状や吸収速度などが適切で、膜が吸収されて生じたスペ―ス

に歯 根 膜 細 胞 が 増 殖し やす かった こと 、BMP の刺激 によ り未分 化間 葉系細

胞が歯根膜細胞に分化しやすかったためと考えられる。さらに被験歯に適切

な 咬 合 咀 嚼 機 能 が 加 わ っ た こ と も 有 利 に 働 い た と 考 え ら れ る 。

  

主査ならぴに副査は本論文堤出者に対し論文の概要の説明を求め、次に本

研究の内容ならびに関連のある質問を行った。これらの質問に関して学位申

請者から適切な回答が得られた。本研究は、従来困難とされていた高度に歯

周組 織 が 破 壊 さ れ た症 例に おいて も、

BMP

を 応用す るこ とによ り歯 周組織

が再 生 さ れ る 可 能 性を 示唆 し、さ らに

BMP

を 含む移 植材 と根面 との 間に吸

収性物質をスベーサーとして置く方法を採用することにより、歯根膜細胞が

増殖できるスベースを確保し、セメント質と歯根膜を再生でき.ろ。可能性を示

唆した点が高く評価された。これらのことは歯科医学の発展に十分貢献する

も の で あ り 、 博 士 ( 歯 学 ) の 学 位 授 与 に 価 す る も の と 認 め ら れ た 、

参照

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