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学位 論文審査の要旨 主査

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) 齋 藤 正 博

学 位 論 文 題 名

作物生産ほ場の情報センシングと活用技術に関する研究 学位論文内容の要旨

  本研究 の目的は,作物生産ほ場の 土壌及び作物生育晴報に着目し,これらの情報を計測,分析して マップ化 することで,ほ場や作物生 育の状態を視覚的に把握し,その後の作物栽培管理へ効果的に反 映させる システムを開発することである。ほ場情報の内,土壌の化学成分をマップf匕するには土壌採 取と土壌分析を行なう必要がある。しかしながら,現在,その殆どの作業が手作業で行なわれている。

そこで本 研究では,まず土壌採取作 業の自動化システムの開発を試みた。次いで,作物の生育情報に 関して, 作物生育量(草高)を自動センシングするシステムのI羯発を行なった。そして,土壌の化学 成分マッ プ,ロータリ耕うん抵抗( 土壌の硬さ)マップ;作物生育量(草高)マップを作成した。そ れぞれの マップを比較することで, 効果的な作物栽培管理作業を構築するための判断ツールとして活 用するこ とが可能とされた。

1.ロータリカ ルチ式自動連続土壌サンプ リングシステムの開発

  自動的,連 続的に土壌をサンプリングで きるロータリカルチ式自動連続土壌サンプリングシステム を開発した。 本システムは耕うん幅22.5cmで土壌を耕うん・砕土し, 後方へ投てきされた土壌を,

採土罐に採取 ・保管する機構を持っ。採土 罐に土壌を保管することで実験室等での精密な化学成分測 定に対応でき る。土壌の採取間隔(設定距離)は予め決めておく。GPS(全地球測位システム,Global Positioning System)からの位置デしタに基づいて,土壌採取開始地点からの直線移動距離をりアル タ イム で算 出し , 設定 距離と移動距離が 一致した暁採土罐に土壌が採 取される。本システムのGPS に は公 禰 繖1mのデ ファ レン シ ャルGPS(D.GPS)を 使用 し た。 本シ ステ ムの 距 離測 定に は,GPS データの誤差 ,タイヤの滑り,機械的な作 動タイミングのズレ等の精度を下げる要因があるが,実用 上十分な精度 で土壌採取が可能であった。 また,採土罐に充填された土壌は手作業で採取された場合 の物理状態と 有意な差が無かった。走行速 度の1.0m′sにおいて,土壌採取の一連の工程を終えるの に少なくとも5秒は必要であるが,この条 件で土壌分析に供するに十分 な土量220g′mを確保するこ とができた。

2.自 動連続土壌サンプリングシス テムの開発

  ロー タリカルチ式自動連続土壌 サンプリングシステムを改良して,ロータリ耕うん機に取付け可能 で,ロ ータリ耕うん作業と同時に 土壌採取できる自動連続土壌サンプリングシステムを開発した。土 壌採取 の位置制御システムは,ロ ータリカルチ式自動連続土壌サンプリングシステムと同様である。

ロータ リ耕うん作業と同時に土壌 採取を行なっても採取位置精度に問題は無かった。さらに,本シス テムに 土壌水分の測定饑構を組込み,リアルタイムi十測を行える構造とした。本システムにおいて.

882

(2)

土壌 が採取 缶ヘ充 填され る時間は1秒以内,土壌を採取罐に充填した後に土壌水分計での水分測定に かか る時間 は2秒で あった 。手作業での土壌採取と比較して大幅な効率化,迅速化を成し得た。本シ ステ ムの土 壌採取 作業の 能率は, ロータ リ耕う ん作業 速度0.3m/sで供試 ほ場の長 辺方向170mを走 行す るのに 約10分必 要であ るが, 土壌サ ンプリン グ回数を増やしてもその作業性能は,ロータリ耕 うん 作業の 作羯蔽 に依オ 翩‐るた め変わ らない 。

3. 土 壌 水 分 , 水 素 イ オ ン 濃 度 (pH), 電 気 伝 導 率 (EC)の り ア ル タ イ ム 測 定   供試し たTDR式の 土壌水 分計は ,連続 測定が 可能で, 測定時 間も0.5秒以下で ある。 測定値 は,

従来の炉乾燥法で測定した含水比と殆ど変わらなかった。開発した土壌サンプリングシステムに土壌 水 分 計 を 実 装 す る こ と で , 土 壌 水 分 の り ア ル タ イ ム 計 測 が 可 能 と な っ た 。   ポータ ブル電 気伝導 率くEの.pH計は,その使用方法の簡便陞三カゝらほ場におけるEC,pHの分布 マップ を作成す る手段 として は有I効 である 。しか しなが ら,土 壌のECやpHを測定するためには採 取した土壌の水溶液を作成しなければならず,本システムヘ搭載するには複雑で大がかりな装備が必 要であ った。

4.ほ場マップの作成

  ほ場 マップについて,ロータリ耕うん抵抗マップ,作物生育量(草高)マップ 土壌の化学成分マ ップの作成を試みた。

  トラ クタのPl'0軸とユ ニバー サルジ ョイン トの問 にトル クメータ を装着 し,GPSで位置情報を得 ながら,ロータリ耕うん機の所要卜ルクを測定した。ロータリ耕うんトルクをマッフ゜イ匕することで.

ほ 場 内 の 耕 う ん 抵 抗 ,、 す な わ ち土 壌 の 硬 さの バ ラ ツ キを 可 視 化 する こ と が 可能 で あ っ た。

  タイ ヤ幅が 狭く, 最低地 上高の高い乗用管理機に超音波センサとGPSを装着し,作物列に沿って・

超音 波センサで作物の草高を測定した。個々の作物の草高を厳密に測定することはできないが,作物 列としての草高の生育傾向やほ場全体の生育量をマップ化できた。

  開発 した自動連続土壌サンプリングシステムで,土壌採取と同時に土壌水分を測定した。さらに,

その 土壌の化学成分を分析し,土壌の化学成分マップを作成した。土壌化学成分の分析には養分測定 装置 と栄養塩分析システムを使用した。分析方法の違いから,それぞれの装置による分析結果に相関 関係 は認められなかった。そのため,分析結果の使用目的と求められる測定精度によって,分析装置 を選択しなければならないことが分かった。

5.ほ場マップの活用

  いくっ かのほ場マップを互いに組み合わせることで,その後の効果的な作物栽醫管理作業を構築す ること が可能になる。土壌の採取間隔を変化させ,土壌の化学成分毎のマップの精度への影響を考察 し た 。 例 え ぼ 硝 酸態 窒 素 分 布の マ ッ プ につ い て ,10mX 5mの 採 取 間 隔を10m X10m,20mX 5m, 20m X10mに 変 化さ せ た と ころ 。10m X10mで は 同 じ分 布 傾向が 維持で きるこ とが分 かった 。土壌 採取個 数が多 くなれ ば当然 土壌の 化学成 分マップ の精度は高くなる。しかしながら,そのマップの 利用目 的に合わせて土壌採取間隔を決定することで能率的な土壌評価が行える。また,窒素を施用す る際の可変制御施肥システムの要求分解能が決められる。

  作物生育量(草高)と土壌中窒素成分とを比較し,窒素成分から作物生育量が推定できるか検討した。

作物の 初期生育は播種前の窒素量によって決定されるが,対象作物の大豆の場合,根粒菌によって土

883

(3)

壌中の窒素成分を固定させるため,初期生育では生育速度に差があるものの,根粒菌や施肥肥料によ ってその後の生育には差が無くなった。豆類の作物生育量は,使用窒素量や播種前の窒素量の他に根 粒菌による窒素固定量も考慮していく必要があることが示された。

‑ 884

(4)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

准教授 教授 教授 准教授

片岡 松田 野口 近江谷

学 位 論 文 題 名

    

崇 從三

    

伸 和彦

作 物生産 ほ場の情 報センシ ングと 活用技術に関する研究

  

本 論文 は , 全7章 か らな る 総頁数

166

の和 文論文で ある。 論文には ,図

59

, 表

15

, 引 用文献81が 含まれ ている。

  

作 物生 産 ほ 場の 情 報 を視 覚的 に把握 し,作物 栽培管 理に反映 するため の有効 な手 段 の ひ とっ に ほ 場の マ ッ プ化 がある 。土壌の 化学成分 や物理 状態を表 す土壌 マップ は , 施 肥計 画 や 収量 予 測 等に 重要ぬ 意義を持 つ。ただ し,土 壌の化学 成分マ ップに お いて,土 壌採取 作業の自 動化が課 題とさ れてきた 。

  

本 研究 は , 土壌 マ ッ プの 効率 的な作 成のため に,自 動連続土 壌サンプ リング シス テ ム を 開発 し た 。さ ら に ,土 壌の硬 さや水分 ,そして ,作物 生育量を 自動計 測でき る システム を構築 し,これ らの情報 をマッ プ化した 。そし て,作成したほ場マ.ップ の ほ 場 情報 を 比 較, 分 析 し, ほ場マ ップの情 報が作物 生産管 理作業に 有効に 活用で き ることを 明らか にした。

1

. ロ ー タ リ カ ル チ 式 自 動 連 続 土 壌 サ ン プ リ ン グ シ ス テ ム の 開 発

  

ロ ー タ リカ ル チ で砕 土 した 土壌を 採土岳に 採取す る機構を 持っ土壌 サンプ リング シ ステ ム を 開発 し た 。採 取 された 土壌は, 化学分析 に使用 される。 土壌の 採取位置 は,GPS(全地 球測位 システム ;Global Positioning System)に基づく 緯度・経 度の 位 置 情 報 で 制 御 さ れ る 。 供 試

GPS

は , デ ィ フ ァ レ ン シ ャ ル

GPS

で あ る。 開 発 した 制 御 シ ス テ ム は , 走 行 速 度

1.0 m/s

で , 最小 土 壌 採取 間 隔

5m

を 達 成し , 実 用上 十 分 な精 度 で 土壌 を 採 取で き た。ま た,採取 された土 壌は, 手作業の 採取と ほぼ同じ 固 相率 で あ り, そ の 採取 土 量 は走 行 距 離Im当 た り

200g

以 上 で ,土 壌 分 析に 十 分 な 量 であ っ た 。

2

. 自動連続 土壌サ ンプリン グシス テムの開 発

  

ロ ー タ リカ ル チ 式土 壌 サ ンプ リングシ ステムを べース に,ロー タリ耕 うん作業 と 同 時に 土 壌 を採 取 で きる 自 動連 続土壌 サンプリ ングシ ステムを 開発し た。本シ ステ ムは, 土壌耕 うん部, 土壌搬送 部,土 壌採取部 を基本 構造とする。土壌採取位置は,

ロ ータ リ カ ルチ 式 シ ステ ム と 同様 に

GPS

位 置 情 報に 基 づ ぃて決定 され, 十分な位 置 精 度 で 制 御 さ れ て い る こ と を 確 認し た 。 長 さ

170 mX

30m

の ほ場 に お いて , 長 辺 方 向

10m

, 短 辺 方 向

5m

間 隔 で 計

68

点 の 土 壌 採 取 に 約

50

分 を 要 し た 。 手 作 業 に よ

    ‑ 885

(5)

・ る 土壌 採 取 と比べて ,大幅 な作業能 率の向上 を成し 得た。

3

. 土 壌 水 分 , 水 素 イ オ ン 濃 度 (

pH)

, 電 気 伝 導 率 (

EC)

の り ア ル タ イ ム 測 定

  

自動 連続土壌 サンプ リングシ ステム に土壌水 分計を搭載した。供試土壌水分計は,

測 定 時間 が

0.5s

以 下で ,採取 した土 壌の水分 をりア ルタイム で測定 すること ができ る。 その測定 精度は ,従来の 炉乾燥 法と変わ らなかっ た。ポータブルの電気伝導率・

pH

計の 搭 載 も検 討 し た。こ れらは ,測定の ために 土壌溶液 を作る必 要があ るので,

リア ルタイム 計測に 課題が残 された 。

4

. ほ場マッ プの作 成

  

土 壌 の 硬さ マ ッ プ, 土 壌 の化学 成分マ ップ,土 壌水分 マップ等 の土壌 マップと , 作 物生 育 量 マッ プ の 各ほ 場 マッ プを作 成した。 ロータ リ耕うん の所要軸 トルク と耕 深 をGPS位置 情 報 とと も に 計測 し , 土壌 の 硬 さ マッ プ を 作成した 。自動 連続土壌 サ ン プリ ン グ シス テ ム で採 取 し た土 壌 を 養液 測 定 装 置と 栄 養塩分析 システ ムの2つの 分 析装 置 で 窒素 成 分 ,カ リ ウム 成分, リン酸成 分を中 心に含有 量を測定 し,土 壌の 化学成 分マップ を作成 した。土 壌サン プリング システ ムに搭載した水分計で計測し,

含 水比 で 表 した 土 壌 水分 マ ッ プを 作 成 した 。 発 振 周波 数

80kHz

の超 音波セ ンサーと

GPS

を 乗 用管 理 機 に搭 載 し ,ほ 場 を 走行 し な が ら作 物 の 草高を計 測し, 作物生育 量 マップ を作成し た。

5

.ほ場 マップ の活用

  

土 壌の 硬 さ マッ プ と 土壌 水 分 マッ プを比べ ると,含 水比の 高い場所 では土 壌が硬 く ,土壌水 分と土 壌強度の 関係を 説明して いた。こ れは, 播種時の適正な土壌水分,

土 壌 の 硬さ の 判 断材 料 に なり 得 る。 土壌の 化学成分 マップ の内,硝 酸態窒 素マップ を 使 用 して , そ の分 析 精 度と 土 壌の 採取間 隔(採取 数)に ついて考 察した 。土壌採 取 グ リ ッ ド

10mx5m

を 基 準 に , 採 取 間 隔 を

2

倍 〜

3

倍 程 度 に 広 げ て も, マ ッ プの 視 覚 的情報に 問題が なぃ可能 性が示 された。 土壌分析 数の適 正化を図るということは,

土 壌 の 化学 成 分 マッ プ 作 成の 作 業能 率を向 上させる ことに なる。土 壌の化 学成分マ ッ プ と 作物 生 育 量マ ッ プ を比 較 して ,硝酸 態窒素消 費量と 草高伸長 量に相 関傾向が 見 出された 。

  

開発 し た 自動 連 続 土壌 サ ン プリ ン グシステ ムは,土 壌マッ プ作成の 迅速化 に寄与 す る とと も に ,土 壌 採 取位 置 , 採取 数の適 正化の検 討にも 応用され る。新 しい機能 を 持 つ農 業 機 械に 位 置 づけ ら れ る。 さらに ,様々な ほ場情 報をマッ プ化し ,相互に 比 較 する こ と で, 作 物 生育 に 及 ぼす 要因の 特定が可 能とさ れ,作物 生産管 理作業の 指 標 にな り 得 る事 が 示 され た 。

  

よっ て , 審査 員 一 同は , 齋 藤正 博 が博士( 農学)の 学位を 受けるの に十分 な資格 を 有 する も の と認 め た 。

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参照

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