Title
滑膜繊維芽細胞、軟骨細胞におけるカルパインの発現( はし
がき )
Author(s)
伊藤, 芳毅
Report No.
平成14年度-平成15年度年度科学研究費補助金 (基盤研究
(C)(2) 課題番号14571368) 研究成果報告書
Issue Date
2003
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/701
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要釣
Ca2+依存性のタンパク分解酵素カルパインは、一般に細胞内で機能するプロテアー
ゼであると考えられている。しかし、近年m-カルパインが関節リウマチや変形性関節
症患者の関節液中や関節軟骨組織、すなわち細胞外に存在し、軟骨基質の主要成
分の一つであるアグリカンの分解に関与していることが証明された。そこで本研究では、
組織液中へカルパインが出現するメカニズムを明らかにするために、ヒト軟骨器官培
養およびヒト軟骨細胞様細胞(HCS-2/8)を用いて検討した。さらに、m-カルパインの
細胞外への出現に対する非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)の影響についても検討を加
えた。
ヒト軟骨器官培養系では、ロキソプロフェンーSRS(ロキソプロフェンの活性体)の添加
により、未添加の場合と比べて培養土清中のm-カルパイン量が減少した。HCS-2/8
細胞にTNF-αを添加すると、培養上清中のm一カルパインは24∼48時間で濃度およ
び時間依存的に増加した。TNF-αに皐らて引き起こされたこれらの現象は、アスピリ
ン、ジクロフェナク、ロキソプロフェンおよびNS398によって阻害された。さらに低濃度
のTNF-αにプロスタグランディンE2(PGE2)を添加すると、m-カルパイン発現に対する
TNF-αの作用が増強された。また、TNF-αの作用はプロスタノイド・アンタゴニストに
よって阻害される傾向が認められた。
HCS-2/8細胞とTNF-αを用いたモデル実験系から、炎症性刺激により軟骨細胞
様細胞からm-カルパインが細胞外に分泌されることが示唆された。また、NSAIDsは分
泌に対して阻害効果を示し、m-カルパインの分泌促進作用にはプロスタグランディン
が関与していることが明らかとなった。炎症時のm-カルパインの分泌増加は、細胞外
マトリックスのアグリカンの分解を促進し、一方NSAIDsはそれを阻害することにより、軟
骨を保護する効果を発拝していると推測される。