極超短波反覆照射の海幕に及ぼす影響

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極超短波反覆照射の海幕に及ぼす影響

金沢大学医学部第一病理学教室(指導 救宮田栄教授)

     安  原  英  作

      (昭和32年2月11日受付)

Ef艶cts of Ultra−Microwaサe Repeatedly Radiated on Guinea」Pigs「

      Eisaku Yasuh3ra

  ユTゐθF葱・sω8P・翻θ観げP・伽ど・gy,8・ん・・ σ鵬・d ・ η・, K・ηα・α・・ασ渤θrs       (Dfrθoごor :.P7・(ゾ;D7㌦8.丑rイジαごα)

  序 言 1.実験方法 皿.実験成績  A.生埋的影響  B.肉眼的剖検所見  C.組織学的所見

  1.循環器 a.心臓及び大動脈 b.脾臓及び     淋巴腺

  2.呼吸器 肺

  3.消化器 a.肝臓 b.膵臓 c.胃腸及び     顎下腺

  4。泌尿器及び生殖器 a.腎膿及び膀胱 b.

    生殖器

  5.内分泌腺 a.副腎 b.甲状腺 c.胸腺     d.脳下垂体

  6.その他 皿.所見総括並びに考按

A.生理的影響 B.肉眼的剖検所見 C.組織学的所見  1.心 臓  2.肺

 3.肝臓 a.一般的変化 b.限局性病巣 c,

  グ氏鞘 d,その他

 4.副腎 a.一般的変化 b.限局性病巣  5.その他

D.全般的考察  1.臓器全般について  2.電波作用について  3.汎適応症候群について

結 論 文 献 附 表 附 図

序  極超短波は,通信用或いは電波探知用その他実用方 面で,近年急速に我々の社会生活上身近く,一般的実 用に供されるようになってきた.そして,これは,医 学の領域で我々が従来から臨鉢上治療手段として既に 用いている短波,超短波と同系に属するものであり.

極超短波も亦医療用として最近利用するようになりっ つある.

 しかし,短波,超短波に関しても,その作用機転本 質の説明にはなお不明な点が多く存し,理学的診療に

関しその解明が待たれる現状である.故に極超短波に ついても亦同じことがいわれる.

 そうして,米国では,極超短波の治療的影響はヂア テルミーと同じく生体組織加温にあるとされ,その加 温状況に関する研究が主として行われている.それに よれば,電波の調節,深部選択的濃縮が更に容易なこ とが有利な点であり,過度に照射したときのみ有害作 用をみるが,一般にはその無障害性を動物実験或いは 人体経験から唱えられ,小型の発振装置も市販に供さ

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れている.本邦では,極超短波の生物作用に関する報 告は極めて少ない,そのうえ前者に反して可なりの障 害作用を組織学的にも認めている.

 此処において,私はこの彼我の相違に関し,また障

害作用が生物組織に対してあるとすれば如何なるもの か,について,極超短波非致死量の反復照射実験を試 みた結果を報告する.

1.実験方法(表.1)

 実験装置:磁電管発振装置,発振管は日本無線製 八分割水冷式M312,波長9.7cm,プレート電圧4000 V,プレート電波160,140mA,フィラメント電流1.

72,1.5A,ブイールドー次電流140mA,出力約50W の連続波を使用する.なお出力の算定には未だ精確な 方法がないため概算値を挙げるに止まり,実際に動物 体内に吸牧されるエネルギーはこの値より小さいもの と推定される.照射時間は致死照射に要する時間及び 前記諸氏の報告を参照し,非致死量内で出来るだけ大 量照射するよう考慮して20分を選ぶこととする.

 実験動物:中等大の海狽,雌雄区別なく,ig匹を 用い,照射に際しセは,内13匹導波管口へ直接胸腹部

を,6匹は背部を密着させ,毎回20分,48時間々隔

(背部照射例は24時間毎),2〜3回照射し,最終照射 後3時間〜7日間に撲殺する.その間,各照射前並び に直後及び撲殺前に体温(直腸温)心鼓動数,呼吸数 を計測し,撲殺後諸臓器は肉眼的に観察し,直ちに10

%ホルマリン液固定,パラフィン包埋,Hamatoxylin−

Eosin(H−E)染色, Masson染色, Weigert線維素 染色,鍍銀染色,Weigert弾力線維染色,必要に応じ Unna−Pappenheim Pyronin−MethylgrUnn染色,過 沃度酸Schiff(P・A・S)反応(唾液前処置),並びに 連続切片作成し上記諸染色を行う.他方,凍結切片,

Sudan皿染色(副腎,心,肝,肺)を併せ行う.

II.実 験 成績

 A.生理的影響(表.]1)

 1)体温(直腸温度)=第1回照射前35,0〜38.2

。C(平均36・5。C),第2回照射前35.0〜38.5。C(平 均36.7。C),第3回照射前36.0〜39.1。C(平均37.

2。C),撲殺前36.7。C〜39.4。C(平均38.2。C)と,

実験期間中照射を繰返す内,次第に体温上昇するのが みられる.この間,本実験照射中の室温は8.0。C〜

18.0。Cの間にあり,只5例に各1回4.2。Cのことが あったが,そのための体温低下或いは照射時の体温上 昇度の減退等の影響は特にみられず,本実験では室温 の直接的影響は少ないものといえる.

 照射時の体温上昇は,第1回照射直後その上昇度 0〜1.5。C(平均0.5。C),その内上昇をみぬもの5例,

上昇LO。C以上5例でNo.29のL5。C(38.0。C)

が最高,第2回照射直後一1.3〜2.3。C(0.36。C)内上 昇をみぬもの4例,上昇1,0。C以上2例, No.51の 2・3。C(39.0。C)最:高,第3回照射直後一〇.1〜1.4。C

(0.52。C),上昇をみぬもの%2例,上昇1.0。C以上 弓i2例, No.38の1.4。C(38.0。C)最高.以上のよ

うに,一般には照射時体温上昇1.0。C以内に止まる もの過半数を占めている.そして最高上昇2.3。C,又 体温も39.0。C以上になったもの3例のみで最:高39.

5。C,従って照射時の直接的体温上昇は一般に軽度で ある.なお,照射回数との間にも一定の関係は認めら れない.照射中体温の上昇は,概ね照射開始後5分頃 から上昇し始める.

 照射後屠殺迄の期間申,体温の継続的計測は行わな かったが,照射直後の体温は,次回照射前或いは屠殺 前の体温に比べ必ずしも高くなく,特例により種々 で,その間に一定の関係を認め難い.

 照射部位別に,照射時の体温上昇度は,胸腹特筆1 回平均0.59。C,第2回∫F均0・36。C,第3回平均0・57

。C,背部同じく0.3。C,0.2。C,0.42。Cと背部照射 例に上昇度は低い.しかし,体温は.背部照射例の照 射前体温平均は各々第1回前36・38。C,第2回前37・

15。C,第3回前37.95。C(屠殺前38・58。C)に対し,

胸腹部照射例では各々36.56,36.5,37・03,(38・12)

。Cであり,その上昇は背部照射例に比較的速かであ

る.

 2)呼吸:照射により浅くなる.呼吸数は,照射 前に比べ照射後は概ね増加する,が2倍以上になった もの:No.42の4回目1例だけで,却って減少したも の7例ある.

 3)心鼓動数=呼吸数と同様,照射後殆んど全例

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に増加の傾向をみる.

 4)痙攣:15例に軽重の度を問わずにみられ,

No.32, No.28には毎回照射二三なり強く起つた.

 5)体重: 3回照射例10例中,減少をみるもの6 例(内509以上3例),増加するもの4例(内509以 上2例)をみたが,これが照射によるか否かは判定し

難い.

 B.肉眼的剖検所見

 1)皮膚及び皮下溢血  6例(19例中)の照射部 に,内3例には反側にも認めたがその程度は照射部よ り軽度.背部照射6例中路血斑をみる2例には腹側に も認められるに反し,胸腹部照射により溢血斑をみる 4例中背部にも認められるものは1例.又生存期間3

〜48時間で屠殺した14例中5例,7日5例中1例に溢 血斑をみる.照射回数別には,2回照射7例中5例,

3回照射12例中1例にみられる.照射部は,直後その 部は他より温く触れ,或いは淡く紅潮乃至表:面湿潤な 観を呈することもある.

 2)胃:極く軽微な溢血斑5例,並びに魔欄7例 を,3〜48時間の早期屠殺例に認め,軽度水腫4例を それより晩期にみる.潰瘍形成は認められない.

 3)腸:細血管充盈或いは微細出血斑を13例に認 あ,早期屠殺のものに多くみられる.しかしその程度 軽く,魔話法は潰瘍形成はみられない.

 4)肝;一般に充血し,小出血斑散見される.特 にNo.51,28,41の3例には,肝被膜を底とし周囲 と境界鋭利な字形の暗赤色限局性巣をみる.小壊死巣 を肉眼的に6例認められる、

 5)肺:全例に多少に拘らず充血及び小浴血斑を み,漉油にその八田ζ高度である.

 6)その他の臓器には,肉眼的に面変を認めない.

 C.組織学的所見

 所見は附表にして別記する.そこに使用した記号 は,一…認められない,±…僅かに認められる,十…

軽度,4十…中等度,柵…高度,十冊…著明,()…部分 的,F. D.…Fibrinoidentartungの基準で記載する.

 1.循環器

 a.心臓及び大動脈(表.皿)

 心臓:心内膜下,心筋線維間及び小血管周囲の細 胞集籏,並びに心筋線維自体の変性を主な所見として 挙げられるが,一般にその程度は軽い.

 即ち,核質に乏しい略ヒ楕円形大形核で原形質の少 ない単核細胞(線維細胞,組織球性細胞,Myocyten)

及び核質に富む小円形細胞(淋巴球,類淋巴球,形質 細胞)からなり,時に好酸球をみることもある.心内 膜下織では,これらの細胞は結節性増殖を示し,ため に心内膜は丘状に心室腔内へ突出してみられる.心筋 層では,1〜数個の変性崩壊した筋線維を中心に少数 の細胞二二を伴う極小さな巣,稀にその可なり大きな 巣形成もみられる.だがしかし一般には,心筋線維間 に小範囲に亘って二二性浸潤の型にみられるもの多 い.更に小血管周囲には,部分的乃至全周に亘って外 套状に集記し,或いは肉芽爺様を呈するものもある.

しかし塩基性大形細胞は認められない.これら病巣に は,ピロニン好性の増強をみるが,線維素析出はな く,嗜銀線維の増加も一般に認められない,が稀に軽 度増加とみられるものもある.又,血管周囲集信細胞

が心筋線維間細胞浸潤と連続する像もみられる.

 心筋線維=前記の細胞集籏に伴う変化の他に,早 期から個4の線維は均質化,蝋様乃至硝子様変性に陥 るもの,或いは萎縮,解離心筋原形質の淡明二更に 脱失して小範囲の膜様網状結合織で一見脂肪組織を思 わず明るい部を形成するもの,軽度にみられる.ズダ ン皿染色では,最終照射後3時間屠殺例には常に黄褐 色微細頼粒状物を中等度みる.24時聞例にはなく,48 時間例に再び軽度にみられ,7日後例には前者より一 般に梢ζ高度にみられ小滴状のものある.しかし3時 間後下に比べ部分的で,室中隔壁に多い.

 心弁膜:軽度ながら一般に水腫性で,細胞成分増 加の傾向を示して(10例)殊にNo.40には好酸球の

浸潤をみる.

 血管・一般に強く充盈し殊に3時間後屠殺例にそ の度強い,更に11例に出血をみる.充盈度の分布は,

心筋外層に高度なもの,比較的大きな血管を或いは毛 細管洞を主とするもの等色々で,血行静止状態とみら れる(No.30,28)2例の内No.28は特に毛細管洞 高度拡張,血漿充満し,周囲間質線維水腫状膨化,

Masson染色軽度赤染するのをみる.小血管(主に動 脈)壁には二二をみないが,中膜に線維素染色陽性を 示すもの(No.51,43)2例あり,その他11例に前記 血管周囲細胞集籏を,6例に周囲組織の水腫をみる.

 心外膜・外膜下組織の水腫,更に線維は膨化硝子 様均質化し,Masson染色で赤染,線維素染色陽性を 示すもの14例,その発現部位は心房一室間にみること 最も多い.なお,この心房一室問の疎性結合織には細 胞成分の増加をみること多く,前記心臓諸変化の高度

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な例に多くみられ軽度な例には又この部細胞成分も少 なく,両者の動揺は互に略こ拉行ずるようである.

 以上の諸変化を生存期間,照射部,照射回数につい てみれば,早期から既に可なりの変化が認められる,

がしかし特に生存期間との間に階段的遷移は認め難 く,48時間例に最も高度,次いで7日例に強く,24時 聞例には軽微である.心筋変性特に脂肪沈着は,照射 直後に中等度禰漫性に出現し,一時消退するが,48時 間頃から再び現われる.この消長は比較的特徴的であ る.No.22は他の7日例に比べ変化軽度である.背 部照射例に血管変化梢ぐ強い.3回照射群は2回例よ

り一般に変化は高度である.

 大動脈:特に凶変をみない.:No.43の大動脈上 行部破綻し心外膜,心筋間に及ぶ大きな出血を起し,

その大動脈起始部壁内に軟骨様組織の存在するをみ

る.

 b.脾臓及び淋巴腺(表。IV)

 脾臓:血液充盈中等度,出血をみない,濾胞の数 及びその大きさ中等,胚中心拡大し分明なもの多く,

その間に核分前像,青染南面を少数みるものある.脾 洞の性状尋常.7日後例に多核巨細胞をみること多 い.その他血管,脾材,被膜等に特記することない.

 淋巴腺:濾胞は一般に腫大の傾向を示し,更に胚 中心も拡大淡明化し,その間に架状の細胞間物質の増 加をみるものがある.7日後例には斯かる傾向少な い.淋巴洞,内に赤血球乃至液状物を容れ,洞内皮細 胞の増生脱落及び面喰細胞を認め洞カタールの傾向を 示している.その他:No.28に好酸球多く,No.40に ラ氏巨細胞を腹部淋巴腺の濾胞周縁部に数個みられ,

No.41画面淋巴腺に小膿瘍形成をみる.

 2.呼吸器(肺臓)(表.IV)

 1)血管周囲外套状細胞集籏:類円形核の単球を 主とし,小円島細胞,楕円形核細胞等からなり,:更に 白血球,好エオヂン細胞を混え,ピロニン好性のもの 多い.そして,少数粗に或いは多数が非常に密に厚い 層をなして外套状に集籏(No.37)する.従って血管 壁はその構造分明を欠き,管腔内へ油状に隆起するも のある(No.42).血管内皮も起立性或いは増生する のをみる.この集籏は,血管の内並びに外弾力線維の 太さ等しく,細線条で,1〜3層の筋層を持つ小血管 以下に著明である.1例(No.40)に中等大血管中膜 内へ一部細胞浸潤波及するをみる.

 2)淋巴濾胞様細胞集二二の増加拡大:肺末梢部

においては,核質に富み,原形質乏しいがピロニン好 性著しい小円形細胞群が,独立した結節状に限局して 密に二二し,一見淋巴濾胞藍鼠を呈する球状の形成物 が,肺の周辺部品多数認められる例あって,更にその 中心部に梢ヒ大形明るい円〜楕円形核細胞増加し,こ の細胞はピロニン好性軽度,その部細胞間物質も増し て核分剖像認められ,淋巴濾胞胚中心拡大様像を呈す る.(No.25)この濾胞様形成巣内には,一部に必ず 小血管が認められ,それからの嗜銀線維は圧排された 周囲肺胞の嗜銀線維と共に巣周辺部を取巻き,巣中心 部には嗜銀線維少なく,その増生或いは膠原線維はみ られない.毛細血管も亦少ない.そして,一方この濾 胞様形成部内の血管が大きく明瞭となり,前記の血管 周囲細胞集籏との移行型も認められる.

 大きな血管気管枝を有し結合織の富豊な中隔部で は,その辺緑部の肺胞壁との境に主として1)型の細 胞集籏をみ,更に結合織内へ広く高度に波及し血管気 管隔壁に達するのもある.淋巴装置は類上皮様細胞増 殖し粗疎拡大するをみる.

 3)間質結合織は水腫状となるもの多く,次いで線 維は膨化し,更にMasson染色で帯黄赤戯する部を みる.(No.39)斯かる部には線維素染色陽性のもの も認められるが臨く僅かで,鍍銀染色で膜様となり互 に癒合し均質性に染み個々の線維の走行不明瞭であ る.而してその間に好エオヂン細胞の出現著明で,散 在性乃至集忘して在るのが特異である.又微細な赤出 穎粒を殊にMasson染色により認めること多い.搬 痕形成の定型濡鼠は認め得ないが,数例に結合織の増 加をみる.

 4)血管:一般に充盈の傾向強く,又多少に拘ら ず出血をみること多い(14/19例).血管内に血漿,血 小板小塊,硝子様物(No.31),硝子様血栓,白血球

(No.25)集積或いは青染(No.42,43)頼粒状物,軟 骨様(No.32)小塊等を細血管乃至小血管に充填する もの多く(13例),一般に血行静止の状態とみられる.

血管内皮細胞は軽度起立性で一部に増生或いは空胞形 成をみる.中膜,殊に小血管壁の均質化及び空胞形成 の多いものがみられる.だが定型的な線維素様変性,

壊死,弾力線維の変化等は認められない.一般に血管 壁自体の変化は軽度である.淋巴管は腔が拡張し明瞭 なもの多く(14例)内に血漿急冷,淋巴球集積するの をみる.

 5)肺胞=毛細血管の著しい充盈と一部出血をみ

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る.肺胞壁は水腫性となり軽度細胞成分の増加を来た して屈曲蛇行し一部肺胞腔内へ突出する.肺胞腔内に 液状物,細胞の滲出は少数例に極く軽度に認めるのみ

で,『 oは萎小の傾向を示し,気腫性拡張,壁の菲薄化 は少ない.なお,大きな血管気管支中隔周囲に,細葉 性結節性に肺胞萎小,細胞成分増加及び毛細血管に富 み機質化様の質実した部を可なりみられ,その肥厚増 生した毛細管はピロニン好性強い.斯かる欝血性無気 肺硬化の像の他に,白血球及び青虚血粒状物集在した 気管支肺炎の像も少数軽度に存する.

 この細葉性鴻巣は前記濾胞様細胞集籏巣に似ている、

が,形態不規則で毛細血管に富み,更に構成細胞及び 嗜銀線維の性状から両者は一応区別される.なお淋巴 濾胞古巣の増大に関連して中隔の淋巴装置の肥大増殖 を認められる.

 6)気管支:腔内に赤血球,液状物を容れ,時に 白血球,剥離上皮を混ずるものあり.粘膜上皮の増 生,粘液形成の高度なもの少数みる.前記無気肺性硬 化部に末梢上皮細胞の増殖をみる.気管支周囲細胞集 籏及び浸潤は血管のそれに同じい.

 以上の所見は,2回に比べ3回照射例に梢ヒ高度.

生存期間別には,3時間,血行静止の状態強い.間質 に軽度水腫をみるがMasson染色油染線維はみられ なく,好エオヂン細胞浸潤軽度.24時間頃から線維素 論変化及び好エオヂン細胞出現が多くなり,血管周囲 細胞集籏,淋巴濾胞様巣も増強する.48時間例にこれ らの変化は最も高度である.7日ではなお淋巴轡心し 間質水腫も強いが,線維素様変性は1例にみられるだ けである.濾胞様形成物,肺胞壁細胞増殖は減退する が血管周囲細胞山高及び好幽幽ヂン細胞浸潤は梢ζ増 強して認あられる.

 3,消化器

 a.一.肝 臓(表.一V)一

 肝細胞の種々な形態変化並びに限局性壊死巣形成 と,心,肺にみたような間質の細胞集籏及び結合織線 維の変化が特異である.

 肝実質細胞の一般的変化:肝細胞は萎縮し,原形 質エオヂンに密に染み或いは空胞形成し,毛細血管拡 張,Disse腔明瞭,肝細胞索解離するのをみる(No.

31)(1型).他方,肝細胞原形質は粗な紫状または穎 粒状を呈して膨大淡明化し,核は濃染して梢ζ萎小或 いは不整形となり遂に崩壊するものある.細胞膜明 瞭,その間の毛細血管腔は圧排され狭小となり認め難

い.この淡明細胞は肝小葉中心部にみられ次いで周辺 に及ぶ,高度な例では小葉全体に拡がり明るい網状二 様となる(豆型),肝細胞形態の変化は以上の2型に 大別され,概ね後者の傾向をみること多い(4:11 例),しかし両者の中間型も多くみられる.又これら 形態変化と生存期間或いは照射部別との間には明確な 相関を認めること出来ない.No.22では核軽度腫大 し,原形質は内側部淡明均質性淡縞染するが細胞辺縁 部は帯状に密に濃鼠序する像をみる.その他,形態小

さく鋭角的で,核は正常なものから陰影化消失或いは 2核のことあり,殊に原形質エオヂンに好染して周囲 細胞より目立つ肝細胞が,個4散在性或いは少数集在

して,全例に多少に拘らず認められる.Sudan皿染 色,一般に軽微,微細穎粒状,略ヒ肝小葉全体に禰漫 言に認められるが梢ぐ周辺部にその度強い.前記2型 の殊に後者に関連して高度な傾向は認められない.即 ち細胞の空胞或いは空隙は必ずしもSudan好性を示 さない.照射後3時間例に中等度出現し,一旦消退す るが,48時間例再び増加し,以後徐々に減退するもの のようである.又2回より3回照射例にその出現度強

い.

 肝細胞原形質内に,赤血球より梢ヒ小さなエオヂン 好染小円球を封入するもの諸所にみる.P. A. S反応 陽性,この小球は更に毛細血管内にもみられる.

 限局性小面形成= 白血球,小円形細胞等少数二二 する中に1〜数個の変性壊死及び崩壊に陥った肝細胞 をみるもの(No.32),或いは類円形〜楕円形核細胞 が少数肉芽腫様に限局したものなど,顕微鏡上極く小 さな巣がみられる.一般には,概ね肝小葉%範囲大の 限局性凝固壊死小山が最も屡々認められ,周囲との境 界鋭利で,小葉辺縁部にみること多く,小グ氏鞘と密 接な関聯を示している.時には1個の肝小葉全部を占 める大きさのものあり.斯かる壊死巣の肝細胞は,そ の形並びに細胞索排列なお保たれ,核萎小均質濃縮,

原形質緻密治山温し空胞形成或いは軽度腫脹する.そ の間の毛細管腔は狭小空虚となり赤血球含有高く少な く,白血球,青縞穎粒状物少許容れ,線維素染色陰 性,既存の嗜銀線維は拡張され繊細となる.巣周囲の 肝細胞略ヒ尋常,毛細血管拡張充盈強く内に白血球集 積するものも認められる.斯かる巣を基本として,そ の周囲肝細胞の原形質淡明化乃至消失し,核質に乏し い膨大した明るい核をみる淡明層を外周に形成するも の(No.40).更に周囲肝細胞の脱出高度で粗な網状

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層をなし,この網状層は軽度ピロニン好性が増してい て,その間に好エオヂン細胞を含み楕円〜紡錘形核細 胞の増生浸:潤をみ,少数の小円形細胞(No.37,38)

を伴うもの.No.37には少許の壊死部を中心とし輪 状の肉芽形成著しいもの,等がみられる,

 一・方,同様な肝細胞限局性変性小巣で,巣内毛細血 管内に白血球及びその変形破壊物多数あり,更に巣の 半ばを青霜融粒状或いは片賦物で占められているもの をみる.線維素染色で前者は毛細血管に沿って極く

(No.25,29)小量の,後者には網状に多量(No.25,

33)の線維素析出をみること多い.他方,毛細血管充 盈著しく小出血,肝細胞索解離断裂,肝細胞圧迫萎 縮,融解消失して液状物に富んだ明るい六二状の或い は液状の小融解巣をみる(No.29,40,44).以上の 種々な限局性病巣は肝小葉周辺部にあること多く,そ の一部でグ氏鞘に接続しているもの又は巣周囲細胞浸 潤とグ氏侯爵籏細胞が導絡しているものがみられる.

P.A, S反応が,これらの変性壊死肝細胞は周囲より 赤染の調強く,巣周囲網状層は部分的に軽度赤低し,

又融解巣内網訴状線維も太く中等度に赤嘉する.

 その他,No.40では,原形質腫大してエオヂンに 緻密な桃色に染まる変挫肝細胞は,内に不規則に膨大 した心慮染物で殆んど占められたもの(恐らく核の変 形膨大),その間に空胞状間隙を生じて紫青染物は分 劃され遂に数個〜多数の大小不同な円形〜楕円形核様 を呈して多核巨細胞様となるもの迄の細胞からなる限 局性小忌が数個所認められる.その多核大形細胞は巣 周辺部にある.又,肝細胞排列乱れ大小不同淡明化し た部に,1個の肝細胞は膨大著しく,その原形質施は 均質に叡旨濃赤池して,残りの淡明部に2個の小亭を 細胞膜に接して偏在するのをみる.No,38の小壊死 巣辺縁に,壊死部と連続して同誌原形質の%は同じく 均質凝固性に日高ヂン濃染し,その反対周辺側に偏し 15個の小円形核をみる不完全なつ氏型多核巨細胞が認 められる.

 なお,肉眼的にも認めた跡形暗赤色の部は(No.51,

41),血管毛細血管の充盈著しく出血し 細胞索解離,

肝細胞淡明化変性壊死,嗜銀線維疎粗繊細となる.線 維素染色陰性,その間グ氏鞘中心に小島状に細胞比較 的保たれた部をみるものある.周囲との巣境界縁には 殊に充血及び出血高度で不規則な赤色層をなし,細胞 索離断し核心ヒ腫大して明るく原形質減少脱失して網 状をなす.:No.51では嗜銀線維及び細胆管の増殖を

軽度に認められる.斯かる出血性梗塞巣は背部照射例 に屡々みられる(3/6例).

 Sudan皿好性物質,以上の病巣では主として巣辺 縁部に中等度迄認められるもあって,滴状のもの多

い.

 嗜銀線維の増加は(11/19例に)極く軽度に認めら れる.斯かる部は,H−E標本で,毛細血管内に白血 球及び青染片売物集積し,肝細胞染色性軽度減退して 空胞形成もみられる周囲との境界不明瞭な小範囲の部 で,その毛細管網に沿って軽度増加するもの.或いは 単に肝細胞排列乱れ梢ヒ大小不同で周囲より明るくみ える部に,繊細な嗜銀線維の網状限局性に増殖するも のなどあって,その部の毛細管壁及び内皮細胞はピ臨 画ン好性増強の傾向を示している.壊死巣内では既存 の線維が霧粗繊細化して残存するだけで,巣周囲に軽 度増加をみるものある(No.37の肉芽形成巣を除い て).肝小葉辺縁部に軽度増殖を不規則に認めるもの あって,これは主にグ氏鞘細胞浸潤と関聯すること多 い,そして特に結合織増殖,限局性血痕形成部は認め られない.

 これらの壊死巣形成は3回照射例にその度強く, 白 血球集積を主とする既述の顕微鏡上極く小さな巣は2 回例に多い.そして7日生存例には変化は一般に軽度 で殊にNo.22軽微.嗜銀線維増加と生存期間,照射 部位及び回数との間には特に関係を認められない.

 血管:肝小葉毛細血管性充盈の強いもの,小血管 に高度充盈するもの等様々で,却って赤血球少なく白 血球の部分的集積をみるものあり,これは前述の極微 小壊死巣と共にみること多く,その前段階と見倣され る.なお,赤血球より小さなエオヂン面当染小円球が 毛細血管腔内に少数散見され,星芒細胞或いは肝細胞 内にも認められる(No.29)ものがある.肝小葉毛細 管ではその内皮に似た細胞が増加して,次粟粒大肉芽 腫国士籏の傾向を示している.No.22,41,51の中 心静脈内に血小板或いは白血球小集塊を容れ,No.51 壊死巣内細胞血管壁に硝子様膜様物の出現をみ,この 部はMasson染色青髭,線維素染色陰性, P. A, S反 応陽性.No.33葉下静脈内壁に一部白血球少数集積

し内皮細胞起立性となり排列乱れ,No.37,31細血 管の壊死性変化,更にNo.40中等大動脈の破綻出血 をみる,がしかし一般に血管壁構造明確な中等大以上 の血管には線維素様変性,中膜壊死,細胞浸潤等の著 変は認められない.

(7)

極超短波反覆照射の海猿に及ぼす影響 481

 グ氏鞘:血漿の轡滞するもの多く(17/19例)硝子 様乃至均質性円柱をなすものある.これに伴ってグ氏 鞘は水腫状となり,結合織線維膨化して更にその一部 はMasson染色で焔色に染まるものみられる(8/19 例),3回照射例にその度強い,が肺のそれに比較し て軽度である.白血球,小円形細胞,類円〜楕円形核 細胞の集籏を殆んど全例に多少に拘らず認められ,3        ヨし へ回照射例にはその度強く特に好エオヂン細胞の増加著 しいものあって(6/12例)内3例は7日生存例である.

細胞集籏高度になるに従い外套状にグ氏鞘拡大され.

肝小葉内にも広く浸潤し,嗜銀線維の増加を伴うもの もみられる(No.37,38,22).そして,これら細胞 の内ピロニン好性細胞は軽度,心,肺に比べて少数で 小円形核並びに分葉核細胞が多数を占めている.

 胆管:上皮細胞腫大するもの,殊に壊死巣の変移 に伴い増殖するもの少数(No.51,43)みられ,核分 剖像をみるものもある.周囲結合織増加は丸く僅かで

ある.

 以上の諸変化は性別,殊に♀妊娠例に著しい相違は 認あられない.

 なお,主として壊死巣形成とグ氏鞘の関係を,連続 標本作製して(8例)検索した=

 1)最:も屡々出現する小凝固壊死巣は,肝小葉中間 帯に存在してグ氏鞘及び中心静脈と隔絶してその間に 何ら関係を認め得ない場合でも,これを追跡すれば必 ずグ氏鞘に連接する部を認めること出来る.例えば No.25,33の追跡では病巣並びに附近のグ氏鞘は極 小となるが両者は互に接近して来る.遂に矩形扁平化

した数個の上皮細胞からなる小胆管と毛細管性小血管

(どちらにも筋層認めない)をもち周囲嗜銀線維はな お太く明確な細グ氏鞘となり,その細血管及びそれか らの毛細血管洞は拡張し内に白血球の集積をみる.こ の細血管に接近してきた病巣部の肝細胞は原形質均質 性,細胞索梢ζ解離し,更に冠血管に接する肝細胞は 数個変性崩壊してその部に小円形細胞,白血球}類円

〜楕円形梢ヒ大形細胞の集淫した極小巣を形成するの が認められる.結局,これら病巣は必ずグ氏鞘に一度 連続して生じ,その儘グ三二に沿って存在すること少 なく,肝小葉辺縁部に沿いグ氏鞘から遠ざかるか或い は直ちに小葉中心部に向い拡大する.このことは略ζ 肝小葉大の大きな巣(No.40)にも認められ,更:に大

きな(No.37,38)ものでは変化は葉下静脈に及んで

いる.

 2)H−E標本では,軽度細胞排列乱れ空胞形成す るもの多く,楕円形核の毛細管内皮に類似した細胞増 加して毛細血管拡張不規則な程度の部,或いは殆んど 変化を認められないに拘らず,鍍銀標本で(No.37,

40,51),中心静脈を頂きとし小葉辺縁部に拡がる三 角形をなした嗜銀線維の増加をみるもの,或いはグ氏 鞘を含み小葉辺縁部を二って不規則帯状の嗜銀線維増 殖をみるもの少数ある.この所見は前記骨形成の過程 を裏付け,又治癒傾向の強いことを示すものであろ

う.

 3)血管変化,小血管以上の血管壁(動脈)には著 変なく,殊に巣形成に直接関係する変化は出血性梗塞 様の大きな巣においても認あ得ない.No.33中心静 脈壁に白血球等回状に集積するものあって,その部肝 細胞間に軽度細胞浸潤をみ,線維素染色陰性.No・25 附近に線維素析出を伴う小巣をみる葉下静脈内膜は,

僅かに肥厚して白血球少数壁着している.No.51梗 塞巣内小グ明星細血管は,硝子様不整な厚い壁をな し,内皮細胞層不分明で繊細な一条の嗜銀線維を認 め,硝子様壁内にも所々数個の赤血球を包埋してい る.更に中心静脈と推定される部では,その内腔及び 斯かる壁の外側にも赤血球可なり多量に血管走行に沿 ってみられ,同じく壁外側に太い嗜銀線維が認められ る.この硝子模様壁の部はMasson染色青染, P.A.S 反応陽性,線維素染色陰性である,而してこの血管は 葉下静脈に移行する.

 胆嚢:粘膜下層に少数の細胞浸潤をみるもの2 例,その他に著変を認めない.

 b.膵臓(表.w)

 一般に血管充盈度強く,内に血漿分離,血小板白血 球の小集塊,稀に血栓形成するものあって,血行変化 の像をみる.

 小葉潤管並びに隣接の小血管の周囲に,細胞浸潤を み(5例)周囲間質は軽度霧疎となり嗜銀線維も軽度 増加と疎開を示している.更に高度なものでは,次い で実質腺体間隙に沿い浸潤して,腺細胞は圧迫萎縮解 離し遂に小壊死部形成するをみる.殊にラ野島部は容 易に犯される傾向をみる.一方,小葉間結合織へも軽 度散在性に浸潤する.前記潤二部は一層高度になり外 套状の厚い集籏層をなしている.斯かる細胞浸潤は No.37に最も著明で,小葉全面に禰脂性浸潤して実 質細胞解離著しくその腺構造を失い軽度水腫状,これ に伴い嗜銀線維の排列乱れ繊細網状線維増加してい

(8)

る.ラ三島の大小不同も著しい.小葉間結合織の細胞 浸:潤高度で線維細胞も増しその間水腫状懸疎或いは線 維膨化して一部はエオヂン濃赤染し均質性となり線維 素染色陽性,Masson染色で赤記するものをみる.こ れら浸潤細胞は淋巴球,形質細胞,大形単核細胞及び 少数の分葉核細胞からなり,高度ピロニン好性細胞が 多数を占め,No.38殊に形質細胞多く, No.37核分 剖像をみること多い.

 その他,腺細胞殊に外分泌腺細胞に耳一E,Masson 染色で濃染し小型鋭角的細胞形態を呈して周囲腺細胞 から明瞭に識別される細胞,散在性或いは少数集在性 に中等度認められるも(No,38,42,32,37,22,41)

のある.

 c.胃腸並びに顎下腺(表.VD

 胃:粘膜層軽度萎縮性(2回照射(No.32,51,

33)3例)となり,固有層に白血球殊に好エオヂン細 胞軽度増加をみるものあり(6例,内5例は3回照射 例)No.22に可なり多い.粘膜下層,軽度水腫(No.

37,22)2例,更に4例(No.32,33,49,30)は線 維の均質性膨化を部分的にみるが線維素染色陰性 Masson染色青染,好エオヂン細胞を含む細胞浸潤を 僅かにみるもの(No.49,28,37,22)4例. No.30 の筋層に一部細胞浸潤をみる,以上,胃の変化は一般 に軽微で,潰瘍形成,血管壊死,筋線維の変性等はみ

られない.

 腸においては更に軽度で著変を認めない.

 顎下腺=膵臓と同じく,潤二部及び小血管を中心 とする同じような細胞浸潤を,3回照射5例に軽度に 認め,No.37は実質腺間に二二性に可なり浸潤して

いる.その二二変をみない.

 4.泌尿器及び生殖器  a.腎臓(表.VD

 全般に血管充盈強く欝血の状態にある.更に血漿充 満,血小板集塊,白血球集積などをみ血行障碍の像を 示すもの多く,3時間例に高度.葉間動脈及びその分 枝の比較的大きな血管部において,血漿充満し淋巴諺 滞をみるもの7例,周囲間質結合織は水腫状となり,次 いで線維の膨化或いはその間隙は均質性硝子様にエオ ヂン赤島し,更にその一部は線維素染色陽性Masson 染色で赤点するをみる.斯かる変化は3回照射例に頻 発し(5/12例)高度である(急心淋巴液,Sudan皿染 色申温度に染まるものある).

 間質・小円形細胞を主とし類円形核大形細胞,白

血球をまじえた軽度細胞浸潤を諸所にみ(11/19例)3 回照射例にその頻度及び程度強い(10/12例).

 腎小体:血管毬高度充盈して鞘内腔一杯に拡大す るもの萎小するもの或いは白血球殊に好エオヂン細胞 に富むものある.その間に乏血性で拡張著しいもの並 びに萎小するものなど可なりに混在して不揃で,必ず しも腎諺血の度に平行していない.血管毬蹄係茎部に 細胞成分増加し腔内に白血球血漿を充填す(No.43,

49)るもの,血管毬基礎膜が部分的に瘤状膨化しエオ ヂンに均質赤染する(No.39,49)もの或いは全般に 膜様厚く(No.38,39)なり,1血管毬の半ば均質性と なり同時に細胞成分増加しその間に大形明るい楕円形 核細胞も認められるものなど少数散見される.No.40 斯かる血管毬変化高度で濃縮した合胞体様毬をなし,

その一部Masson染色で二二するをみる.毬鞘,鞘 腔内に液状物,頼粒状物を軽度に容れたもの又極少数 の赤血球及び剥離上皮をみるものある.二三が全周に 亘り結合織性軽度肥厚するもの少数散見されるが,半 月形成は殆んど認められない.但しNo.49に不規則 肥厚増殖し腔の半ばを占め血管毬は一方に圧排萎小さ れるものもみられる.

 細尿管・上皮細胞腫脹或いは萎縮扁平化するもの 認められるが軽微で,核分剖像多いものもある.管腔 内には一般に回状乃至細穎粒状赤染物,硝子様滴状 物,淡青縞球など軽度容れ,時に石灰様青染穎粒塊二 二認められる.Sudan皿染色,細頼粒状に極く少量 を少数の上皮細胞にみるものあるが,一般にはSudan 二二性物質沈着殆んど認められない.但し:No.22に

は可なり広く中等度に認められる.

 血管壁に著変ない.

 Unna−Pappenheim染色,浸潤細胞にピロニン好性 細胞多い.斯かる細胞浸潤部の毛細血管及び前記血管 変化部は周囲よりピロニン好性増強するのをみる.

P.A. S反応,馨血高度な細血管壁,膨化血管二部は 部分的に膨化赤高し,殊に血管周囲間質膨化部にその 度強い.

 以上,腎臓の変化は一般に軽度である.そして3回 照射例は2回に比較して細尿管及び間質の変化加わつ て梢ぐ高度である.他方,生存期間7日例に少し変化 強く,更にNo.22細尿管脂肪沈着が他より著明で石 灰沈着もみられる.

 膀 胱

 :No.37粘膜下層の一部結合織性肥厚し小円形細胞

(9)

極超短波反覆照射の海狽に及ぼす影響 483

軽度浸潤するのをみる.その他例に変化をみない.

 b.生殖器(表.W)

 睾丸聖(10例)多精細胞は高小しその排列疎となり 細胞数も減少して造精現象は減退の傾向を示す(6 例),又部分的に変性壊死に陥る細胞も認めら(No.38)

れる.問質,血漿軽度謡言し(6例)固有膜の一部膨 化する(3例).:No.38細胞浸:潤を一部にみる.副睾 丸,変化少なく,:No.38軽度細胞浸潤, No.41小膿 瘍をみるだけである.

 卵巣,子宮:特記するような変化ない.

 5.内分泌腺  a.副腎(表.〜肛)

 1)一般的変化

 α)髄質:血管の拡張充盈全般に高度,殊に3回 腹側照射例に強く,血漿を主に充満するもの多く,血 栓様物をみるものある.出血は認められない.又血管 内皮と見倣される細胞の増加が軽度にみられる.

 髄質細胞.H−E染色で青色調弱く原形質も疎にな りエオヂン淡赤面して淡明化の傾向をみる.同時に空 胞形成並びに細胞膨大して,その高度となるに従い細 胞排列乱れ髄質充満観を呈する.斯かる所見は肝細胞 の水腫様腫脹を惟わす.その間,萎縮崩壊し遂にその 形態を失う細胞も軽度に認められる,これらの所見は 2回照射例に高度で,細胞の萎小消失の度は後述細胞 浸潤の強さに比例する.反対に拡張した静脈洞が髄質 の大部分を占め実質細胞量少なく発育不良をおもわす

もの数例みられる.

 β)皮質:血管充盈度.一般には副腎被膜,毬状 層及び網状層に良好で束状層はそれに比較して軽度.

2回照射量では網状層に高度であるが,:No.29は束 状層に著明で一部出血する.3回照射例は毬層状に梢 ヒ高度であるがNo.37網状層に可なり大きな出血と 融解巣を,No.40束状層に同様な出血融解部を軽度 に認められる.なお,細血管の内皮類似の細胞増生が 3回腹部照射例並びに7日生存例の束状層に目立つ.

 網状層。2回照射例には特に変化を認められない.

3回照射例,核が変形,濃縮,萎小,消失し,細胞 排列解離,面面,消失の傾向を示すもの多く,殊に No.22その度高度で畑賀細胞消失部に残存する毛細 管並びに基質は膜様化している.又隣接の細胞間境界 不明になり,一連のエオヂン濃染した硝子様均質化を 呈するものみられる.褐色々素含有状態は尋常である が,:No,22の含有量は著しく多い.

 束油層.実質細胞原形質の淡明化,膨大,空胞形成 を可なりに認め,これらは専らSudan皿好性物質の 含有状態と密接に関聯し,その含有並びに分布度高度 なものに多くみられ,No.42の中央部から深層に多 いのを除いて,一般には束状層施外側浅層部殊に毬状 層との移行部(所謂海綿状部)に高度である.反対に 原形質濃縮し核も変形消失或いは唖銀型となり半ば細 胞外へ脱出中のものなど少数散見される.

 毬状層.2回照射例,生存期間長いもの程,濃染,

楕円形で柵状に密に排列した実質細胞核は,次第に類 円〜円形となり色調も淡くなる.核分剖像もみられ る.扇状層の幅も少し増し,副腎被膜深層部の細胞核 も部分的に淡明膨大するものみられる.3回照射例,

前者の所見はその度を増す.細胞膨大,淡明化更に空 胞乃至空隙形成するものあり.核は円形に淡回し,二 二層の幅も広くなり毬状排列した細胞索の中心部にも 赤血球の充盈著しい.7日生存例には,被膜の厚さ軽 度増加し,その結合織線維排列疎開或いは水腫状とな

り,楕円形明るい核が多くみられる.

 なお,:No,42毬状層の一部は毛細血管内にエオヂ ン好性細胞著明充満し,その部実質細胞に核分二三及 び1個の多核大形細胞が認められる.

 Y)Sudan皿好性物質:前記所見と一致して一般 には束一層中央から外側表層部に最も多量,次に毬状 層,網状層に中等度迄認められる.2回照射例,微細 穎粒状,:No,29の束状層中間部に少なくてそれより 深層及び毬三層に多い例以外は,束状層に最多,二二 層中等度,網状層軽度,髄質には認められない.生存 期間別には,3及び48時間例の最多量分布域は束三層 の略ヒ施から外側で分布域の幅狭い.その他には分布 量軽度,而してこの最多部内側でそれより深層網状層 への分布量減少,移行部を皮質全周に亘り結ぶ線は不 規則な鋸歯状を示す.これに反して24時間例の分布域 広く,7日例では略ヒ束状差全層に高度分布して,両 者の移行線も略ヒ直線状に整っている.3回照射例,

束状層に最多,次に回状層網状層,髄質は7日3例,

48時間2例に部分的に極僅少認められるものがある.

2回例と比較して,網状層細胞の含有量多く小滴状の ものをみる.束魚層にも同じく多く滴状のものをみる こと更に多い,そして生存期間長くなるに従い滴状化 次第に著しくなる.移行線は束状層内側%〜施の間に みられ,甚だ:不期則な鋸歯状乃至艸状を呈してその量 的分布域境界不整である.或いは含有量多い細胞群が

(10)

三二状に深層に取残されてみられるものもある.但し 24時間例は束状層略ヒ全層に高度分布し,その移行線 は整った直線をなしている.その他,洞細血管内皮細 胞内にもSudan三好二二粒を認められるもの多い.

 2)限局性病巣

 髄質:静脈洞細血管.内に血漿の諺滞,血小板性 集塊を認めること多く,:更に血栓様物形成(線維素染 色陰性)もみられる.これと一緒に淋巴球,形質細 胞,白血球の集積を部分的に生じ,次にこれら細胞集 積は三内皮下虐,髄質細胞間へ波及して,その浸潤細 胞により二二された髄質細胞の一部は個々に変性崩壊 に陥るもの少数認められる.斯かる髄質内細胞浸潤部 には,線維素析出なく繊細な嗜銀線維の増加を浸潤の 程度に従って部分的に起すのをみる.高度には,細胞 浸潤は髄質全域に及んで,主に小円形細胞により禰漫 性に占められ,核分剖像もみられる.或いは営内皮層 は直下の細胞集籏のため丘状に血管洞内へ隆起するも のみられる.そしてこの間の固有髄質細胞は空胞形 成,萎小し認め難iくなる.線維素染色陰性,嗜銀線維 の増生は全城に可なりに高度,その他類円形大形細胞 その間に混在し,線維細胞,洞内皮細胞の増生も認 められ,No,38では小肉芽織形成している. Unna−

Pappenheim染色,上記の浸潤細胞は原形質ピロニン 好二野円形細胞がその大部分を占めており,定型的形 質細胞の他に原形質内に尖〜桿状不染輝部をみるも の,又大形細胞が淡くピロニン好性を示すもの或いは 部分的に洞内皮層が強くピロニン好性増加を示す部な

どをみる.

 皮質:洞毛細管内に髄質と同様な細胞成分並びに 青染穎粒〜片状物の集積を部分的に認めること多い.

又一般に洞内皮に類似した細胞が増加し小集籏をなす ものある.

 次にこれら細胞集積乃至二二大きくなり毛細管洞拡 張された極小さな限局性巣形成する.浸潤は次第に周 囲実質細胞索内に波及し,皮質細胞は個々に変性に陥 り崩壊し桿状乃至瓢箪型に変形核が細胞外へ脱出中と みられるもの等ある.

 更に,小範囲の皮質細胞群が変性崩壊しエオヂン赤 染無構造物質の内に,変形核及び青染頼粒散在する略 円形の小壊死巣形成をみる.その周囲には一般に前記 細胞集積或いは浸潤を伴い,線維素析出を軽度〜中等 度にみるものあって,既存の嗜銀線維は繊細化疎開或 いは消失する.ピロニン好性は前記髄質のそれと同

様,壊死部周囲浸潤細胞はピロニン好性のものが殆ん どを占め,壊死部内には赤染穎粒少数散在するのみ.

 他方,実質細胞の索状排列乱れ,原形質量減少して 淡明化乃至空胞形成の著しい限局性両眼状小言明巣形 成をみる.この巣内には核崩壊物及び細胞浸潤を伴う

こと極少ない.線維素染色陰性,嗜銀線維繊細となり 疎開する.この網状部は周囲に比しピロニン好性増し ている.以上4型に分けて記載したが,これら病巣相 互に移行型をみること多く,且つ1〜2個の皮質細胞 を中心とした極微小巣も多い.又これらの巣における Sudan皿:好性物質は,周囲実質細胞の含有量より減 少レて細頼粒状のもの軽度に認め,淡明巣には殆んど みられない.皮質各層別にこれら病巣の発現頻度は,

束状層に最も屡々且つ大型のものをみ,次に網状層毬 三層の順に少なく,網状層では病巣一般に小さくな

る.       ・

 3)照射条件による相違

 記載が梢ヒ重複するが,照射回数別にこれを観察す

る.

 2回照射群:実質細胞の核分画像,既述の特異な 細胞浸潤,壊死巣は殆んど認められない.No,30,31 の髄質静脈洞内に血漿充盈,No.29皮質中間帯殊に 腎臓側に高度盆画,髄質細胞萎縮,No.51髄質軽度 細胞浸潤,髄質細胞淡明化,両質に軽度嗜銀線維増 加,No.30皮質細胞淡明化高度,等がみられ,一般 に洞毛細血管内皮類似細胞が増加の傾向を示してい る.Sudan皿染色で含有状態並びに分布域にはNo.

29を除いて著変をみない.しかし皮質深層での含有 量分布移行線の状態に軽度ながら時間的変移を認めら れる.その気高毛細管内皮細胞内に頼粒状のもの少数 容れ,No.51背部照射例に小滴状化のもの軽度みら

れる.

 3回照射群:前者に比べ諸変化は遙かに高度.血 管毛細管充盈高度でNo.37網状層No.40索状層の 一部出血し実質融解するをみる.髄質静脈洞に血漿訟 訴血小板集積をみること多い(10/12例).髄質細胞浸 潤(9/12例)特に:No.37,38に高度,斯かる部に嗜 銀線維増加し,更に線維化(No,38)をみるものある,

これに伴い髄質細胞は淡明化,空胞形成,萎縮,消失 する。皮質,既述の限局性病巣は2回群にみられない のに反して著しく高度多数で(9例)No.37,38に 著しいが,平均して48時間〜7日例に高度,毛細管洞 内皮類似の細胞が増加の傾向を示して生存期間長いも

(11)

極超短波反覆照射の海狸に及ぼす影響 485

のに強く,小肉芽様集寂する.網状層細胞は一般に解 離萎小し或いは互に硝子様融合均質化して核濃縮消失 するのをみ,No・22細胞減少に伴い毛細管基礎膜の 膜様膨化をみる.束状層に病巣最も屡々高度にみられ

る他,実質細胞の空胞形成多い.毬状層並びに被膜,

細胞腫大円形化し,数及び蹄形排列幅も2回例に比し て増加し,被膜籟疎水腫状,これらの傾向は生存期間 の長い程増強する.Sudan II好性物質』,2回群より 滴状のもの多く(10例)No.37,38及び7日例にその 頻度多い.移行線も更に不規則な鋸歯状をなし,時間 的推移も明瞭,即ち2時間例に分布域軽度減退と移行 線の不整をみ,24時間例回復,48時間例に再び減退不 整となり,7日例その度増して復元の徴候少ない(2 回照射では回復し寧ろ増多の傾向を示す).

 b.甲状腺(表.田)

 濾胞形態梢ヒ大小不同;膠様質は減少するものあっ て,Masson及び線維素染色で青染,不染或いは赤染 するものをみる.濾胞腔内に極少数の剥離細胞時に赤 血球の認められるものある.3回照射例に以上の傾向 軽度増強する.間質,毛細血管網の充盈良好で一部小 出血し(6例),間質結合織水腫状となり線維膨化し てMasson染色で一部赤染するをみる.小血管を囲 治する小円形細胞を主とした細胞集義乃至浸潤が巣状 に所々或いは1彌漫性に可なり広範に認められるものあ る(14/19例),3回照射例にみること多く(10/12例),

又No.30,37,38にその度強い.

 c.胸腺(表.田)

 発育良好,皮質の淋巴球減少,萎縮なく,Hassale 氏小体もよく認められる.

 d.脳下垂体(表.MD

 16例.毛細管,全般に充盈良好,著明なもの5例,

一部に漏出性出血を僅かにみるもの2例,腔内容は赤 血球が殆んどを占めその形よく保たれている.白血球 成分極少ない.又エオヂンに染着する同質性物質をみ るもの1例,毛細管内皮細胞は円味を帯び膨大しその 数増加の観を与え(10例)その一端を腔内へ遊離する

ものみられる.

 腺細胞一般に八一腫脹して排列解離し,その間水腫 状を呈するもの5例,更に腺細胞の変性融解するもの 梢ζ多くてこれと軽度膨化した毛細管壁との区別困難 で,細胞間物質増加の像を示すものあって,No.29,

37,22に斯かる変化高度.

 主細胞:一般には核円形,原形質中等量のものか

ら乏しくて籟疎淡明となり殆んど裸核細胞様を示すも の試みられ,特に集在することない.而して,本細胞 に属すると見徹される種々な肥大細胞が認められる.

即ち細胞大きくてHaematoヌylinに染まる小穎粒僅 少みるもの,更に細胞大型になり,原形質は空胞乃至 空隙様淡明化著しくその核周囲に架状のもの僅かにみ られ,核類円〜楕円形大きくて核質に富み1〜数個の 核小体をみる泡沫細胞様のもの.No・43このような 細胞核に近く核陰影様淡青染物をみるもの,或いは細 胞著しく巨大で(好エオヂン細胞の4〜5倍大)唖鈴 型にくびれた大核をみるもの1個ある.又,斯かる肥 大細胞の原形質消失して大面(周囲細胞核のL〜2倍 大)のみ認められるもの,或いは反対に核が星状〜桿 状変形濃染萎虚し,遂に消失するものなど認められ

る.

 他方,原形質に富みエオヂンに好証するが好エオヂ ン細胞より淡く,類円〜楕円形梢ヒ大きな核をみる肥 大細胞をみ,時に2核のものある.而して斯かる細胞 は更に核不整変形,萎小,消失するもの,或いは数個 の細胞結合し,同質性赤面するをみる.以上の所見は 殆んど全例に僅:少ながら認め得られ,No.33,49,26,

39,37,22,43にその数梢ヒ多くみられる.

 仏門オヂン細胞:No.29著明に:No.31,41軽度 減少している.その他の例には多い.そして屡々核の 形小さく濃染するもの,或いは核を認められぬものあ って,多くの場合斯かる細胞は梢ヒ八病を示してい

る.

 好塩基性細胞::No.22軽度認められるだけで,

その定型的なものをみること全例に極少ない.

 膠様質・腺細胞巣中に,エオヂンに同質性淡赤染 する膠様質部をみ,Masson染色淡青染,線維素染色 青漏する.大さ,極小さな滴状のものから腺細胞3〜

4倍大迄種々あって,腺細胞がその周囲に密に並列し て膠様物を内密とした腺管状構造を示すもの多く,そ の内にHaematoxylin淡血染核陰影様物乃至数個の 青染穎粒をみることもある.No.22に斯かる膠様質 多数高度,その他の例には殆んど認められない.

 その他,核分剖像少数散見され,エオヂン好染原形 質内に核認められずに小塊状並びに螺旋形青染物をみ るものある.又原形質の一端が丘状に毛細管腔内へ膨 出し応訴微細頼粒状淡感染する像(分泌相?)をみる ものある.限局性壊死巣は認められない.

 以上の代表的な1例を次に略記する.No.22血管

(12)

充盈度中等,赤血球殆んどを占め形よく保たれ,血漿 の欝滞はみられないが赤染架状のもの少許,血管腔拡 張,内皮細胞円味を帯び膨大増加の傾向を示す.毛細 血管壁幅広がり無構造となって一部線維素染色陽性の 部みられ周囲の腺細胞排列と離開する.腺細胞排列解 離,主細胞は大形で原形質減少淡明化し,裸核型のも の多く,巨大型のも可なり多い.核の変形濃縮乃至淡 染するものその間に散見される.又,数個の細胞融合 し湯壷直する合胞体をなしてその間に変形核認めら れ,これと前記毛細管壁膨化との間は区別困難であ

る.高邑オヂン細胞,数著明,その核濃縮変形消失を 示すもの可なり多い.膠様質,前記のような種々の形 態を呈して,語例にのみ著しく多い.

 6.その他

 2回照射例:心,肝,肺,甲状腺,膵に変化の強 いNo.51,30の中,前者にのみ副腎髄質軽度細胞浸 潤をみる.No.29脳下垂体は毛細管拡張充盈高度,

好エオヂン細胞減少著明,腺細胞排列解離し水腫状を 呈する.

 3回照射例: 2回例に比較し全般に変化高度,殊 に副腎及び脳下垂体にその差大,一般的変化高度な No.37,38,40の副腎に細胞浸潤,壊死巣形成も高 度にみられる.しかし副腎変化の程度は必ずしもその 他諸臓器変化の強さに比例しない.:No.22一般臓器 の変化軽微に拘らず内分泌線殊に副腎並びに脳下垂体 の実質細胞退行性変化は他の例に比較して著明であ

る.

 Sudan皿好性物質: 3時間例.心,肝に発現を 中等度認め副腎の分布域は減退する.そして24時間例 では,その発現一旦消退し副腎の含有量並びに分布域 の減少は回復するのをみること特異である.48時間,

心,肝に再び増加し,副腎では減退する.7日例,心 の2回照射例は漸減するが3回例には漸増するのを・

肝にもなお軽微に認められ,副腎の2回例は回復の徴 を示すが3回例には認められない,などの傾向がみら

れる.

 所謂暗細胞(表.D()

 心,肝,膵,副腎,脳下垂体等において,その実質 細胞が:H−E染色で,出血ヂンに原形質同質性暗調赤 噛して,周囲細胞からその細胞形態明確に識別され,

鋭角的な多角形〜三角形を呈して,一一般に小型化を示 すこと多い細胞をみる.心筋線維では狭小化する.そ の核は尋常,又は核膜明確であるが回状梢ζ変形i萎縮 して核小体明瞭,濃縮或いは淡染,消失するものなど 種々みられる.Masson染色の方が一層明瞭に認めら れる場合もある.斯かる細胞は,個4散在性に少数認 められるが,時に集卑して存することもある.肝,膵 に比較的明瞭にみられる.3回照異例にその発現みる こと多い.各臓器においての好発部位は,心特にな い.肝は小葉周辺部に比較的多く,副腎網状層,膵外 分泌腺細胞にみられること多い.なお肝には,斯かる 細胞に2核のものを周囲肝細胞に比較して梢ζ多く認

められる.

III.所見総括並びに考按  A.愁心的影響

 元来,海瞑はそれ自体外的刺戟に感じ易い性質故,

実験時の状態により可なりの動揺を来たすことが想像 される.殊に呼吸及び心鼓動数は,照射により概ね増 加を示すが156)184),しかし照射前の各比較において 既に相当の動揺が認められることから,照射を受ける ことにより更に動揺し易い状態となるものと考えられ

る.

 体温,照射時には概ね上昇するが,その上昇度軽微 で(最高上昇2.3。C,最高体温39.5。C)40.0。Cを越 すものなく,笹田156),Osborne 139)の成績と一致す る.梅原声4),藤i田30)等の実験:には上昇度2.0。C,

体温40。C以上となるもの多いが,それは致死照射例 であって,更に夏季高温(22〜340C)であったことの

影響も或る程度考えられる.被照射部局所の温度は 測定していないため不明であるが,照射中の皮膚性 状及び皮下盗血斑の出現をみる場合があること,又 Osborne 139),梅原184)の報告からも,被照射局部は 可なり加温されていること推測される.但し水庖,魔 欄,痂皮,壊死形成等はみられない.照射を反復する に伴って平均体温が上昇するのを認め,殊に照射間隔 24時間例に,毎回照射時の上昇度低いに拘らず実験期 間中平常体温は速かに上昇するをみ,照射により二三 の累積すること推測される.

 B.肉眼的剖検所見

 皮膚及び皮下.梅原184)は殆んど変化をみない.藤 田30),Osbome 139)は変化を認め,私も亦軽度に認め る.肺,肝には梅原,藤田の実験と同様諺血,小出

(13)

極超短波反覆照射の海狽に及ぼす影響 487

血,壊死をみ,殊に大形の襖形梗塞様出血巣を3例の 肝にみる点特異である.胃腸には著変なく,梅原,藤 田の記載したような著明な水腫,潰瘍形成移行は認め られない.

 C.組織学的所見  1.心 臓

Miller lo2)は健康家兎34匹の心臓検索中20匹(60%)

に,間質或いは血管を中心として,淋巴球性細胞及び endothelialleucocytenを主とし,それが冷々な割合 にまじる間質性心筋炎を認めること,又Longcope,

Wright−Craighead等も同様な変化をみると記載して いる.Vaubel. E 188)家兎に,稀に類淋巴球散在する のをみるが,5〜10個の小集団に過ぎない.その周囲 に反応を欠いて心筋の障碍もなく,生理的なものであ るという.このような変化を感作動物にみるときは更 にその鑑別困難であるが,対照動物には認められなか ったという163).実藤68)も健康家兎心にVaubelと同

じ所見を認めるが,Mi11erのいうような心筋間質炎 は否定している.R。 Jaffe 67)によればM.Slyeは数 千の鼠の内心筋炎が死因となるもの4例をみるなど,

特発性心筋炎の存在には賛否両論があるという.私の 実験でも一応その可能性を考慮する必要がある.・

 対照海狽の1例に淋巴球性細胞浸潤小旗(Miller)

数個所みるが,その基質周囲の反応及び筋線維の傷害 は認められない.これに対し,極超短波照射海狽群に おいて殊に細胞集籏の所見は一見Millerの家兎特発 性間質性心筋炎に似ているが,その細胞成分は寧ろ大 型細胞多い.斯かる大型細胞巣は特発性間質性心筋炎 には淋巴球性巣に比較してその発現稀(20%)102)で あって,更に淋巴性巣は生理的なものと解されるこ と.部位的には心臓各部に発現して殊に室中隔筋層内 並びに血管周囲に多くみられる.そして斯かる集積細 胞間基質及び心筋線維の傷害強く,小出血,血漿滲 出,水腫等を伴うこと,又照射回数,生存期間によっ てその所見の程度に消長をみること.、更にこれら変化 の程度に拉行して,心房室間疎性結合織部に細胞成分 の増加,充血,水腫,線維の膨化,線維素様変化を認 め,心筋線維には禰漫性或いは限局性脂肪沈着の消長 をみる.以上の点は対照例と大いに相違し,明らかに 極超短波反復照射に影響されているといい得る.

 なお,家兎大動脈壁の弓部に67),又Vaube1188),

実藤68)は起始部附近に軟骨及び軟骨様組織の存在を 記載している.私も1例の大動脈起始部三内に軟骨様

組織を認める.

 笹田15δ)は諸種の動物に160〜10cm波長照射して 欝血,小出血をみ,反復照射するときは特に心筋炎を 起し,又馴れの現象があるという.井上5758)等は廿 日鼠に10cm波長全身照射して心筋蝋様変性をみてい る,梅原184)の海瞑に約10cm波長照射成績に私の実 験は略ζ一致し,藤田30)のみた変化より軽度で,又 分葉核細胞少ない.殊にNo.22は心筋の脂肪沈着が 他の例より高度であるに拘らず細胞浸:潤等を殆んどみ ない点が特異である.

 心臓の斯かる諸変化は,一方,A・Dietfich K

Schr61er 17), Siegmund 168), Jaffe鋤等により注目さ れ,Klinge 78)以来3・163,18,42・68・95,96・101,112,118,

127・128・1?7・188・191・193)多数のアレルギー性組織変化 の実験的研究の際に認められる所見と類似する点が多 い,即ち,結合織の瀕漫性炎性変化,同じく間質結合 織の巣状結節性炎症巣及び筋線維の変化(Klinge),

或いは類淋巴球性肉芽腫,組織球性肉芽腫,心筋変性 を伴った煙雨性細胞増殖(岡林)として挙げられてい る変化に共通する点が多い.而して,これらの変化は 全身諸臓器の一連の漿液滲出性組織反応,細胞増殖性 浸潤性反応及び変性壊死病変の一環であり,血管間葉 性組織反応がその表現の基礎をなしていること周知の ことである.更にこの所謂アレルギー性組織反応の概 念は,入体のロイマチス,結節性動脈周囲炎を始めと し敗血症126),結核鴫142)等にみる心筋炎,心内膜炎 にも広く敷行されている.

 他方,田村178,129)は心筋の発生学的研究で,4個 所の心筋発生中心を指摘し,その間葉性細胞から完成 心臓においても終生発生,分化が行われているとして いる,これによれば,何らかの刺戟に対して,この発 生中心部は他より敏感に反応を惹起し易いことが推測 される.従って,私の実験で前記の房室境界部に,細 胞成分の増加その他種々な変化の出現を屡々認められ ることも理解される。そしてこの部は少なくとも海狽 では,心間葉系変化の有無に大きな標識であると見徹 される.Vaubel,実藤も正常家兎心弁膜附着部下方に 極めて粗な水腫様組織があって,一定度の小円形細胞 及び嗜塩基性円形細胞浸:潤をみる.又弁膜はヘマトキ シリンによく染み往々水腫様腫大することがある.更 にアレルギー性組織反応実験の際にも,この弁膜附着 部は鋭敏に反応して,心外膜にも変化惹起することを 記載している.岡林127)も実験家兎心外膜の充血,水

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