228 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(97) カワ ゴエ ヤス ヒロ川越康博(昭和24
医学博士 乙第9!1号昭和63年3月18日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 僧帽弁狭窄症の肺高血圧により招来された異常換気様式 一肺高血圧を反映する新しい臨床徴候の提唱一 (主査)教授 広沢弘七郎 (副査)教授 滝沢 敬夫,教授 降矢 榮論 文 内 容 の 要 旨
目的 本研究は僧帽弁狭窄症(以下MS)において出現する 異常換気様式に注目し,Konno・Meadダイアグラムを 用いて定量的に評価分類し,その病態生理学的意義を 明らかにするとともに,臨床的に簡便な用手的換気様 式評価法の開発を目的とした. 対象および方法 呼吸器疾患の合併しないMS37例(男性12例,女性25 例,19歳~61歳,平均46.3歳)を対象した.循環器系 検査としては,心カテーテル検査により肺循環動態パ ラメーターを測定した.呼吸機能検査は,一般諸検査 の他に,Konno-Mead(以下K・M)ダイアグラムによ り,立体安静換気時の肺気量変化を,肋骨系気量変化 (∠Vrc)および腹壁系気量変化(∠Vab)に分離測定し, 換気様i式を理論上以下の4回目分類した. 正常換気様式(∠Vrc≒∠Vab,」Vrc/」Vab= 0.8~2.0,N群),腹壁系優勢型換気様式(」Vrc/ ∠Vab=0~0,8,本研究においては1例も認めなかっ た),助毒言優勢型換気様式(∠Vrc/」Vab>2.0, R 群),奇異換気様式(吸気時肋骨系の拡張に伴う腹壁系 の陥凹,」Vab=マイナス, P群)である.各換気様式 群間の肺循環動態,呼吸機能を比較検討し,病態生理 学的意義を検討した,次に換気様式を臨床的に検出す る為の,簡便な用手評価法を開発した. すなわち検者の左手掌を被検者の右前胸部中央に, 右手掌を右前腹部中央に当て,それぞれの換気運動を 感知する方法である.吸気時,胸壁および腹壁が同様 に突出すれば正常型,腹壁が突出し胸壁がほとんど動 かなければ腹壁系優勢型,逆であれぽ肋骨系優勢型と する(なお,奇異換気様式の腹壁系の陥凹は用手的に は腹筋の弛緩としてのみ感知可能なため,用手的評価 の場合には,奇異型は広義の肋骨系優勢型に含めるも のとした). 結果 1.MSにおける立位安静時の換気様式は正常換気 様式(N群,14例,38%)の他に,肋骨系優勢型換気 様式(R群,17例,46%)および奇異換気様式(P群, 6例,16%)の異常換気様式が出現することが,K-M ダイアグラムにより確認された.これらの異常換気様 式は,広義の肋骨系優勢型換気様式として,簡便な用 手的換気様式評価法にて,高率(80%以上)に検出可 能であった. 2.異常換気様式群(R群,P群)は,正常換気様式 群と比較して,僧帽弁弁口面積は狭く,肺動脈圧(襖 入,収縮期,平均出様),全肺血管抵抗は高く,肺循環 動態は有意に重症であった. 3.肺血流分布に関する検討から,異常換気様式群で は,血流分布が上肺野により優勢に移行する傾向に あった. 考察 異常換気様式群の肺血流分布が,上肺野に優勢であ ることは,肺循環動態の重症化に対応したものと考え られ,一方肋骨系優勢型および奇異換気様式は,上肺 野の換気分布を増加させる換気様式であることより, 一892一229 これらの異常換気様式は,換気・血流比のミスマッチ を最少とする生体の代償機構として出現した可能性が 考えられる. 結論 僧帽弁狭窄症において,肺高血圧,高肺血管抵抗の 合併を示唆する臨床的徴候としての異常換気様式と, これを高率に検出しうる簡便な用手的換気様式評価法 を開発した.
論 文 審 査 の 要 旨
心疾患における肺循環及び呼吸機能の病態とその相関は臨床的に極めて重要な問題である. 本研究は肺循環系に多彩な病状を呈する僧帽弁狭窄症につき,その換気様式と基礎弁膜症との相関 を調べ,加えて,極めて簡便な用手的検査法により,この換気様式と弁膜疾患の重症度の判定が可能 であることを示したものである.学術⊥価値ある研究である. 主論文公表誌 僧帽弁狭窄症の肺高血圧により招来された異常換気 様式 一肺高血圧を反映する新しい臨床徴候の提唱一 東京女子医科大学雑誌 第57巻 第12号 1482~1491頁(昭和62年12月25日発行) 副論文公表誌1)僧帽弁狭窄症にみるSmall Airways Obstruc・ tion 臨床成人病 10(9)1565~1570(1980) 2)肺高血圧症の診断 臨床成人病 9(5)837~843(1979) 3)呼吸障害一僧帽弁狭窄症の呼吸機能障害を中心 に一 臨床医 12(9)1792~1795(1986) 4)呼吸機能障害からみた心疾患の臨床に関する研 究 臨床成人病 17(10)1728~1730(1987) 5)急性心不全 肺と心33(4)283~291(1986) 6)ショック症状の診断と処置 カレントテラピー 4(3)267~279(1986) 7)労作時の息苦しさを訴える肺循環障害の1症例 臨床医 11(2)178~182(1985) 8)呼吸筋のエネルギーの需要と供給 臨床医 11(11)2222~2225(1985) 9)左心機能の改善にPTCRが奏効したと考えら れるショヅクを伴った急性心筋梗塞の1例 医学と薬学 10(5)1578~1586(1983) 10)左室にカテーテルを挿入しないで重症大動脈弁 狭窄症の左室圧および弁圧較差を測定する方 法 ’〔二♪臓 18 (5) 485~490 (1986) 893一