226 (96) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
イワデカズノリ
岩出和徳(昭和29
医学博士 乙第910号昭和63年3月18日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
僧帽弁狭窄症における血栓塞栓症の発症要因に関する臨床的研究 (主査)教授 広沢弘七郎 (副査)教授 丸山 勝一,教授 今井 康晴論 文 内 容 の 要 旨
目的 僧帽弁狭窄症(MS)における血栓塞栓症(TE)の 危険因子を臨床,検査所見から検討した. 方法 1986年12月までの過去3年間に手術適応検討を目的 に入院し,心エコー図および心臓カテーテル検査によ り診断を確定したMS患者229例を対象とした.年齢 は19~65歳,平均48.0歳で,性別は男性77例,女性152 例であった.TEの既往のあるTE群, TEの既往のな い非TE群に分けて,臨床所見として,それぞれの年 齢,性別,病悩期間,NYHA心機能分類,心調律を両 群問で比較した.検査所見として,心エコー図による 左房径(LAD),心臓カテーテル検査上の,肺動脈,肺 動脈懊入圧,左室拡張終期圧,心係数,僧帽弁圧較差, 僧帽弁口面積を測定比較した.また,左室造影により 僧帽弁閉鎖不全(MR)の合併の有無を調べ,合併例で はSellers分類によりその程度を1度~IV度までの4 段階に分け評価検討した. 結果 (1)229例中,TEの既往は64例(28%),80回に認め られた.(2)229例のMSに合併するMRの程度によ り純白のMS(0群:114例), MRI度(1群:61例), MRII度(II群:32例), MRm度(III群:17例), MRIV 度(IV群:5例)に分類して, TEの合併頻度を検討し た結果は,0群がらIV群の順にそれぞれ32,36,9, 12,0%で,0群および1群に比し,MRの程度がII度 以上の群では明らかにTEの合併頻度が少なかった, II度以上のMRでは,左房への逆流が強いため左房内 の血液停滞が阻止され,左房壁在血栓形成が妨げられ ることがTEの合併が少い理由のひとつであろうと考 えられた,(3)MSのTE発症要因の検討は0群および1群の合計175例で行った.TE群は非TE群に比
し,心房細動の合併が多く(86%:66%,p<0。Ol), LAD(mm)が大きく(482:44.1, p<0.02),また, 心係数(1/min/m2)が低かった(2.56:2,80, p〈 0.025).しかし,肺動脈圧,肺動脈出入圧,左室拡張 終期圧,僧帽弁圧較差,僧帽弁口面積には差異は認め られなかった.ただし,心房細勤合併例に限って比較した場合,TE群と非TE群の間に上記のLADおよび
血行動態上の諸指標には差異は認め難かった. 結論 MSでのTEの発症要因としては,心房細動が最も 重要な因子であると考えられた.MRがSellers分類 のII度以上の例は, TEを生じにくい病態であると推 測された.MS優位でかつ心房細動合併例の中での TEの発症要因については明らかにし得なかったの で,凝血学的検索などを含めた今後の追求が期待され る。 一890一227