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大森安恵(昭和7 ナオ モリ ヤス エ

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Academic year: 2022

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氏名(生年月日)

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学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目 論文審査委員

大森安恵(昭和7

ナオ モリ ヤス エ

医学博士

乙第3号

昭和39年3月30日

学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)

ステロイド糖尿病に関する研究

(主査)教授中山光重

(副査)教授 今 井 三 喜, 教授 榊 原 任

論 文 内 容 の 要 旨

コーチゾンの発見以来,多くの副腎皮質ホルモン剤が 合成され,臨床面に広く活用されているが,その反面,

副作用も多く,過血糖及び糖尿を来すいわゆるステロイ ド糖尿病もその一つである.しかしこのステロイド糖尿 病の発症機序は未だ解明されていない.

たまたま著者は,血液疾患の治療として輸血及びステ ロイドホルモン剤を併用した際惹起したステロイド糖尿

病6症例を観察し, うち3例の剖検より次の所見を得

た.

1) 全身的なヘモジデローゼの傾向がつよく膵臓,肝 臓,脾臓,骨髄,淋巴節では問葉性細胞のみならず,実 質細胞にも鉄の沈着がみられ,このヘモジデローゼ傾向 は,単なる長期輸血例ではみられない程強いものであっ

た.

2)膵臓においては,実質細胞,毛細管内皮細胞に鉄

沈着を見,さらに大小不規則な島の新生を認めた.

3) 肝臓は肝細胞,星細胞,間質細胞に鉄の沈着があ る.この程度は症例により多少異なり,鉄沈着の著明な

1例では肝硬変への動きがみられた.

4)副腎は皮質,髄質共,著明に萎縮.

5)脳下垂体は,2例では著変がないが,1例では,

好酸性細胞に核の濃縮した退行型が多く,好塩基性細胞 ではしばしば空胞をふくむものがみえる.

6) 甲状腺はコロイド減少, 巣状の実質萎縮がみら れ,問質はジデローゼを伴っている.

以上の如く,ステUイド糖尿病の発症に輸血が促進的

に関与するのではないかと考えたので,これを明らかに

すべく次の如き実験を行なった.

実験材料及び方法

体重2.5~3.5㎏の雄家兎を次の5群に分け,各群に

ついて連日空腹時血糖値を測定し,適当な時期を選らび

剖検:に付した,組織標本はZenkel-Formol液叉は6倍 Formalin液で固定し, Haematoxylin-Eosin染色,

Masson染色を主とし,必要に応じて糖原,叉は脂肪染

色を行なった.

(イ)無処置対照群

(ロ)ハイドロコーチゾン単独投与群(毎日ハイドp

コーチゾンユOmg~20皿g筋注)

(ハ)ハロドロコーチゾンと輸血の併用投与群(上記

と同量のハイドロコーチゾン筋注と同時に耳静脈より1 日5CCの輸並1を併用)

(二)輸血群(1日5ccの輸1血1を連続施行)

(ホ)単独及び複合投与中止群(上記(ロ)群と同量

のコーチゾンを単独20~36日投与し中止,叉は20日間コ

ー一一`ゾン15皿gと輸血5cc併用投与し中止したもの)

実験結果

1) 実験2日目以後空腹時血繍直は約130~200mg紐 を示したが,(U)(ハ)群共に過血糖はほぼ同程度に 起こった.しかし輸血を併用した群では,コーチゾンの

投与を中止してもなかなか過血糖は正常化しなかった.

2)全身のヘモジデローゼ傾向は,対照とした輸血群

と(ハ)群との間に大差なかった.

2)全身のヘモジデローゼ傾向は,対照とした輸血群

と(ハ)群との間に大差なかった.

3)膵ラ氏島 (p)(ハ)群共にラ氏島は大小不規

一 353 一

(2)

8

則な細胞増殖を認め, (ハ)群では,それに変性像が加 味されている,増生細胞は細胞質穎粒の染色状態から完 全なβ細胞への分化が行なわれていないと考えられるも のが多い.(ホ)群のうち:一チゾン単独投与したもの は,中止後篇変化はみられなかったが,輸血を併用した

ものは,中止後も,なお変化したラ氏島が残存してい

た.

4)肝臓 (ロ)(ハ)群に最も顕著な差異を示した

のは肝臓で,(ハ)群では全例肝グリコーゲンが著明に 減少し,肝細胞は全体に腫脹,水腫様,空胞状,穎粒状 の変性像がみられ,核はしばしば濃縮し,小葉中心部の 細胞は萎縮を示した.

(P)群では上記の所見がごく軽度にみられた.

5) 副腎 無処置対照群,輸!血群を除く各群に著明な 皮質の萎縮とリポイド減少を認めた.

以上家兎に於ける実験成績よりステロイドと輸血を併

’用した場合

1.膵ラ氏島増殖,細胞の増加に変性像が加味されて

いる.

2. 月干傷害力晦虫し、.

3.投与を中止してもなかなか過血糖は正常化しな

い.

以上の事実から輸血は,ステUイド糖尿病の発症に促

進的に関与することを認めた.

論文審査の結果の要旨

1.主論文について:ステロイドホルモン剤使用の副作用として現われるステロイド糖尿病の発生機序 は未だ解明されていない.本論丈は1血液疾患の治療として輸血及びステロイドホルモン剤を併用して起 きた6例を観察するとともに,家兎実験により,

1)輸血とコーチゾンとを併用した際にはコーチゾン投与を中止しても過血糖が持続すること.

2)コーチゾン投与群の膵ラ氏島では大小不規則な細胞増殖:を認め,輸血併用群では変化が強くみら

れ,β細胞の分化の未熟を示すこと.

3)コーチゾン投与と輸血とを行なった群では肝傷害が著しいこと.

4)コーチゾン投与と輸血とを併用すると糖尿病になりやすいこと.など輸血はステロイド糖尿病の発 症に促進的に関与することを認めた.以上の研究業績はステロイド糖尿病の本態究明に有力な手がかり

を与えるもので学術上畳値あるものと認めた.

2.参考論文について:5編いずれも臨床上債値あるものと認めた.

主論文公表誌

ステロイド糖尿病に関する研究

第1報 ステPイド糖尿病症例について.

東女医大誌第31巻第6号287~304頁(昭和36年

6月)

第2報 家兎に於ける実験的ステロイド糖尿病.

東女医大誌 第31巻 第8・9号 395~402頁(昭

:和36年9月)

参考論文公表誌

1.人間ドックからみた循環機能検査.

診断と治療 47(7)(昭;和34)

2.入院ドックからみた糖尿病検査.

診断と治療 47(7)(昭和34)(旧姓清藤)

3.心房細動を伴う完全房室プロツクについて.

最新医学 15(8)(昭和35)

4.完全房室ブロックの症例におけるAdams-Stokes

症候群の本態とその治療について.

東女医大誌 30(9)(昭和35)

5.糖尿病内服薬グアニジン誘導体の使用経験.

東女医大誌 31(11) (昭和36)

一 354 一

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