108 （21） 氏名（生年月日）
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
エ ゴウ ヨウ イチ一（昭和2
医学博士 乙第947号昭和63年6月17日
学位規則第5条第2項該当（博士の学位論文提出者） 右心房四一容積関係からみた右心房一肺動脈吻合術の実験的検討 （主査）教授 小柳 仁 （副査）教授 今井 康晴，教授 武石 詞論 文 内 容 の 要 旨
目的 右心房一肺動脈吻合術には未だ解決すべき課題は多 い．特に手術適応については，左心室機能，肺動脈圧， 肺血管抵抗，右心房機能等から様々な検討がなされて いる．その中で，右心房機能の拍出特性を検討した報 告は少なかった．そこで著者らはイヌ摘出心を用い， 三一容積関係から二二特性を検討した．さらに2種類 の右心房一肺動脈吻合術（Fontan型手術とDoty型手 術）のモデルを考案し，手術術式の右心房品目特性に 及ぼす影響につき検討したので報告する． 方法 イヌ摘出心（n＝8）を用い，右心房を閉鎖腔として， 中に生食液注入用のチューブとカテ先マノメーターを 入れたバルーンを留置した．冠灌流下に，右心房容積 を変化させながら心房内圧を測定し，等容収縮下にお ける右心房の収縮末期圧一容積関係と拡張末期三一容 積関係を検討した（コントロ～ル）．次にFontan型手 術モデル（Fモデル：右心耳を肺動脈に固定），Doty型 手術モデル（Dモデル：右心房の上背部を右肺動脈に 固定）とし，圧一容積関係を検討した．最後に，イソ プロテレノール（Isp．）を投与して同様の検討を行っ た． 結果および考察 生理的範囲（右心房容積約30ml以下，右心房圧約30 mmHg以下）で，右心房a波の収縮末期圧一容積関係 は直線で近似でき，直線の勾配（左心室Emaxに相当） は平均1．06±0，63mmHg／miであった．拡張末期圧 一容積関係は一次指数関数で近似できた．Isp．投与に より収縮末期二一容積関係の直線は左上方に移動し， 拡張末期圧容積関係はコントロールと変化ないため， 発生圧は増加した．以上のことから，右心房の純一容 積関係は左心室の二一容積関係に類似すると言える． 左心室との相違点は安定した拍出特性を示す範囲が心 室に比し狭い点にある．Fモデルでは収縮末期二一容 積比はコントロールと変わらず，収縮末期圧は上昇し たが，拡張末期圧が上昇するため，拍出特性は低下し た．Dモデルでは拡張末期，収縮末期ともコントロー ルと変化無かった． 結語 イヌ摘出心の右心房圧一容積関係から，右心房の拍 出特性は左心室の拍出特性に類似していることが判明 した．Fモデルでは拡張末期圧一容積関係が悪化する ため早出特性は低下した．Dモデルでは収縮末期圧 一容積関係も，拡張末期圧 容積関係もコントロール と変化無いことがわかった． 一998一109
論 文 審 査 の 要 旨
右室機能が皆無であるか期待できないような先天性心疾患に対して右心房一肺動脈吻合術が外科的治療法 として登場し臨床応用されている．本研究は右室のポンプ機能のない本手術において右心房のポンプ機能がど の程度寄与できるかを基礎的に解析した研究であり臨床的価値あるものである． 主論文公表誌 右心房圧 容積関係からみた右心房一肺動脈吻合術 の実験的検討 東京女子医科大学雑誌 第58巻 第3号 325～333頁（昭和63年3月25日発行） 副論文公表誌 1）三尖弁閉鎖症外科治療における左心機能 日胸外会誌 27（2）217～223（1979） 2）体動脈一肺動脈短絡手術の術後管理 日胸外会誌 30（9）1514～1519（1982） 3）右室一肺動脈間conduit repair手術後の管理 日胸外会誌 30（10）1664～1671（1982） 4）Prosthetic Valve Endocarditis胸部外科 35（3）171～176（1982） 5）左室機能形態よりみた代用弁の選択 日胸外会誌 33（3）283～290（1985）
