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造形教育としての「構成教育」の現代的意味 : 間所春の実践から検証した構成教育の可能性

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(1)平成18年度学位論文. 造形教育としてのr構成教育」の現代的意味  一間所春の実践から検証した構成教育の可能性一. 兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程  教科・領域教育専攻芸術系コース(美術). MO5277A. 河村禎憲.

(2) 造形教育としての「構成教育」の現代的意味       一間所春の実践から検証した構成教育の可能陸一. はじめに.  第1節 日本における構成教育  第2節 間所春の構成教育の特徴  第3節 間所春のあげる造形要素.  第4節造形手法としてのrまよいみち」.    1り乙Qり. 第1章 間所春の構成教育. 1.  第5節 こどものデザイン. 第1節 『構成教育による新図画』に掲載された騒オと造形要素 第2節 『こどものための構成教育』に掲載された題材と造形要素 第3節 『こどもの目とデザイン』に掲載された題材と造形要素 第4節 三著書の比較.  第2節 間所春の造形教育の学力観  第3節 現在の造形教育の問題点.  第4節 造形教育の方法論. おわりに. n∠り∠︻00︻り.  第1節 三著書に見る間所春の実践. 777008. 第3章 造形教育としての「構成教育」の現代的意味. Qり3Qりつ乙9. 第2章 三著書にみる間所春の実践. 88.

(3) はじめに  美術教育は、それが手段なのか目的なのかによって、「美術を通して の教育」と「美術の教育」の二概念、がでてくる。この二概念の対立が、. 美術教育の方向を複雑にしてきた。.  図画工作科・美術科の教科としての役割は、r美術の教育」に主眼を おき、r美術の教育」を行うことで、最終的にはr美術を通しての教育」 につなげることであると仮定した。.  r表現における基礎」の問題、すなわちそれがr美術の教育」にお ける学力の問題を解決する糸口として「構成教育」の方法が有効であ ると考えている。.  構成教育は造形教育に分析的視点を持ち込むことで、造形言語(リ. テラシー)の獲得を目指した。それは、方法論的展開から造形教育の 学力を明確に示すことで、指導者は学習時の目標を基礎的技能(スキ ル)の獲得に置き、表現や造形感性の育成に目的をおくことである。.  そのようにして、造形言語(リテラシー)を獲得させることで、表 現豊かで個性あふれる世界や方法、内容・質を学習者(こどもたち) に保証することになると考える。.  そこで、1930年代からの構成教育による造形教育へのアプローチの 仕方が、現在の混迷する造形教育に新たな方向性を与えるとするなら ば、どのような点によるのかを見い出そうとした。.  具体的には、間所春氏の教育実践に着目し、氏の著書である『構成 教育による新図画』『こどものための構成教育』『こどもの目とデザイ. ン』の三著書を検証することにより、造形教育に新たな視点を持ち込 むことを研究の目的とした。.  間所は、川喜田錬七郎の主催した銀座新建築工芸学院で学び、武井. 勝雄らとも交流がある。その中にあって、小学校教育現場で実践を重 ねながら、独自の教育方法を展開した。.  その特徴は2点である。1点は、造形要素の設定の仕方とその捉え 方である。特に「明暗」については、他の研究者にはない理論がある。. もう1点は、「まよいみち」というテーマで紹介されている作品からう かがうことのできる教育方法である。.  このような間所の造形教育としての構成教育を読み解く方法で本論 文は構成されている。. 1.

(4) 第1章 間所春の構成教育 第1節 日本における構成教育 構成教育のはじまり. 構成教育は、1930年代に川喜田煉七郎(1902−75)(註1)、武井勝 雄(1898−1979)を中心とした若い美術教育研究者、また彼らと意を ともにした教育現場の若き教師たちの手によってすすめられてきた。.   絵を描く、手工で何かを作る、といふ事は、出来上がった絵や   細工に目的をおかないで、そのものを作り、又は描く間に、子   供達が色々な経験をし、物の考え方や見方をを学ぶのである。.   この学ぶ事自身に、構成教育は目的をおいてゐる。(註2) 川喜田は『構成教育大系』の中で構成教育について上述のように述 図1 『構成教育大系』表紙. べている。構成教育の目的は、造形の技術・技法の習得に主眼を置く. のではなく、造形活動の中に含まれるものをつくるときの経験を大切 にすること、そしてものをつくるときの視点をもち、その視点に沿っ. て、つくる過程を学ぶことの重要性にあるとしている。それは、専門. 家を対象にした美術の専門教育ではなく、誰にでも理解し、生活の中 に繁栄することのできる、一般人をも対象にした造形教育であると位 置付けた。ゆえに、『構成教育大系』の内容は、小学生の作品を多く掲. 載し、造形教育の初歩的な段階から実践できるものとしての方法を視 覚的にも理解しやすいようにと意図してつくられている。. また、同著書の中で、材料と構成教育の関係について次のように述 べている。.   構成教育は、云はば形や色のある物質、材料に触れて、これを.   色々に処理してゆく方法である。(註3) この記述からは、触覚感覚を鍛えることを構成教育の基本としてい ることが読み取れる。構成教育とは、材料体験をもとにした、至って. 簡単な感覚訓練である。材料に直接触れ、その感触を視覚感覚として. 体得することは、その後に行われる、多くの造形活動のもととなる大 切な感覚を身につけることになると、その重要性について示している。. この材料感覚については、目本の構成教育のもととなったドイツの. バウハウス(Bauhaus)の教育の影響を大きく受けている。バウハウ スは、1919年ワイマールに開校したが、ナチスの圧力のため、1933. 2.

(5) 年、ベルリン校を最後に閉校に追い込まれた。短期間であったその新 しい教育は、世界の多くの教育関係者に影響を与えた。バウハウスで. は、素材体験とともに形態理論を学ぶ6ヶ月間の予備課程ののちに、 専門的な分野へと進んでいった。当時、日本からも幾人かのものが、. 留学、視察というかたちで実際にバウハウスに行き学んでいる。たと. えば、水谷武彦(1898−1967)は1927年から30年に留学し、山脇巖 (1898−1987)・山脇道子(1904−2000)夫妻は1930年から31年に学. んでいる。水谷は帰国すると川喜田にバウハウスでの教育を伝え、川. 喜田とその周辺に影響をあたえた。その水谷との関係がきっかけとな. り、川喜田は銀座に昭和6年に銀座新建築工芸研究講習所(註4)を っくったのである。. 日本の構成教育の背景.  日本の構成教育は、バウハウスの理念を受け継ぐというよりも、教 育や造形のシステム化された方法論を取り入れようとした。バウハウ. スにおいては、ドイツに旧来からあった徒弟制度をシステムの中に導 入し、マイスターの下で専門家としての養成がおこなわれた。しかし、. 日本の構成教育の目指すところは、専門家の育成はもちろんのこと一. 般の人々に広く造形を理解できるような、造形言語による造形教育の 推進にあった。.  構成教育による造形言語とは、造形要素(形・色・材料・テクスチ ュア・光・運動等)と造形秩序(対比や調和など)の問題である。そ. の問題を芸術的な理念のもとに実践的に解決していこうという態度で の教育方法である。つまりバウハウス及び構成教育は、視覚的なリテ ラシー(読み書き能力)を育成するためのプログラムといえる。. バウハウスの予備課程は、当初ヨハネス・イッテン (ltten,Johannes.1888−1967)が提案し、そして担当した。イッテン. は、1919年にバウハウスがデッサウに開校した時から1922年までの4 年間在籍した。イッテンは予備課程において独自の造形教育を行った。. マスダスナーンという東洋哲学をもとにした代用宗教はイッテンの行 動に大きな影響を与えたことは有名で、しかも、その影響と思われる. 授業のようすが特徴として見られることもある。しかし、本質的にみ るとイッテンの教授内容の特色は別のところにある。.  イッテンの造形教育は、一般的な対照理論を基礎としていた。材料 やテクスチュアの研究、形体と色彩の研究、リズムや表出的形体など すべてコントラストの観点から論じられ、訓練が行われた。大小、長. 3.

(6) 短、多少、直曲、高低、滑粗、動静、軽重、強弱など様々なコントラ ストの可能性を見い出すことが授業の基本となった。このようなイッ. テンの独自の教授方法が彼の特色といえる。しかし、イッテンは1922. 年にはバウハウスを去り、ベルリンに自らのイッテンシューレを開校 することになる。そこにも、今井(旧姓笹川)和子(1910−2001)、山. 室光子(1911−99)(註5)らが学んでいる。.  図2と図3は、イッテンの影響を読み取ることができる図である。. 図2は、『構成教育大系』のP274に掲載されているものである。下の. 霧. 図3は、『造形芸術の基礎』(註6)に掲載されている。同じ写真であ るが、『構成教育大系』は1934年に発行されており、『造形芸術の基礎』. 図2. の訳本は初版が1970年に発行されている。『造形芸術の基礎』の原書 『MEIN VORKURS AM BAUHAUS;Gestaltungs und Forme難lehre』 1ま1963. 年の発行である。しかも、図2の『構成教育大系』の資料を見ると、. 川喜田のほうが1作品でなく2作品の例示で、さらに、天地が逆にな っていることからも、『造形芸術の基礎』を手にする前に、川喜田はこ. の資料を見ているといえる。『造形芸術の基礎』の前から、それに掲載. される写真のオリジナルを目にする機会があったということである。.  このデッサンは、『造形芸術の基礎』に1929年のイッテンシューレ でのE.エルスナーによる作品と紹介されているので、おそらく、1930 図3. 年代前半の留学生の中の誰かが持ち帰った写真資料と推測される。そ のことからも、構成教育のはじまりへの、イッテンの影響は否めない。.  その後、1922年バウハウスではイッテンの後をモホリニナギ (MoholyニNa駆Lasdo.1895−1946)が継ぐことになる。モホリ ニナギは、造形の基礎を触覚感覚においている。それは、イッテンの. 基礎教育における触覚教育がもととなってはいるが、モホリ=ナギに よって、更に大きく発展し、バウハウス教育の特質の一つとなった。 彼は、触覚練習、マテリアルの経験(ストラクチュア、テクスチュア、. 表面処理、マッス・アレンジメント)により、材料に対してより進ん だ視覚的触覚感覚が身にっくと考えた。.  このようにモホリニナギの造形要素のとらえ方、特に、材料の触覚 感覚の練習と川喜田の文章にみられる材料という造形要素を重要点と してとらえている点の共通性を考えると、当時初期の日本の構成教育 は、モホリニナギの影響を強く受けていると考えられる。そのことは、. 水谷の留学の時期からもバウハウスでの予備課程の担当が当時モホリ ニナギであり、影響を受けるべくして受けたと考えられる。. 4.

(7)  さらに、後に桑沢デザイン研究所を開設した桑沢洋子(1910−77). も銀座新建築工芸学院で学んでおり、彼女は著書『普段着のデザイナ ー』(註7)の中で、川喜田の主催した銀座新建築工芸学院は、バウハ. ウスの教育システムを模したものであると書いている。このような状. 況、そして関係した人々からも構成教育が、いかにバウハウスの予備 課程の影響を受けていたかがわかる。.  1933年、桑沢洋子と同時期に、間所は銀座新建築工芸学院に出 入りするようになり、川喜田のもとで学んでいる。武井勝雄と『構成 教育による新図画』(註8)を共著として表わしているが、その頃、武. 井は図画教育においては秀でた存在としてあり、間所はその信頼のお けるよき後輩的立場と考えられる。.  間所は、ドイツから伝えられた新しい理論に触れ、同世代のものた ちが集う環境にあって、多くのことを学び研究した。そして、小学校 という実践の場に立ち、常に武井らとともに日本の構成教育、広く造. 形教育について実践と研究を重ねていった。その後の著書も銀座新建 築工芸学院で学んだことが起点となっている。.  その当時の構成教育は、デザインの基礎、専門的に学ぶ人たちだけ のために練られたものではなく、広く初等教育も意識して、いかなる 人たちにも影響を及ぼす造形教育の方法の模索として始まった。. 現在の構成教育 現在、r構成教育」といえば、デザイン教育の一つの分野、または ベーシックデザインと呼ばれ、デザイン教育の基礎的な部分としての とらえかたが多い。しかし、本来のバウハウスの教育哩念からすれば、. 狭い意味でのデザイン教育ではなく造形教育全般にかかわる広い意 味での専門教育の在り方のモデルであった。rゲシュタルトゥング」. (Gestaltung)というドイツ語が、r構成」と和訳され、現在のr構. 成教育」の始まりとなった。現在では、「ゲシュタルトゥング」 (Gestaltung)は「造形」と訳されることもあり、本来の意味を連想 できることもある。.  しかし実際、小中学校での図画工作科・美術科教育の現場では、過 去の一時期に取り上げられた一つの造形教育の流れとして考えられ、 その内容について深く取り扱われることはない。.  「構成教育」は、バウハウスの教育カリキュラムの影響をうけた先 人たちにより、日本に伝えられた。その内容は、バウハウスの教育の. 理念よりも教育カリキュラムが伝えられた感がある。さらに、造形教. 5.

(8) 育全般に関わる内容ではなく、デザイン教育の方法としてとらえられ たり、さらには扱われている題材のみが教科書等で見受けられたりす るだけで、その本質は伝わってこないことも多い。.  間所らの始めた構成教育は、デザインという特定の狭い分野にのみ 限定されるのではなく、広く造形教育に取り入れられるべきである。. しかし、間所ら自身がデザインという概念の元に構成教育をおいたこ とにより、デザインという言葉のイメージが先行し、r構成」という意 味が歪曲したと考えられる。.  後藤雅宣はr今では、デザインというわかりやすい言葉に吸収され、. 当初の「構成」に込められた理念、的な意味は、ほとんどの造形の場面 から忘れられつつあるといってよい。」(註9)として、r構成」という. 言葉が、「デザイン」という言葉に吸収され、置き換えられることによ って、r構成」の意味そのものも吸収され教育の現場からも消えていっ. たと説明している。本来的には「すべての造形表現を対象として、そ. の基礎的な能力を育成しようとすること、非専門的で造形分野を通底 するような基礎教育を実現しようとした」(註10)ことが構成教育の 特徴としていえるのだが、言葉としての存在が薄くなるのとともに、. 内容も意識されなくなり、ややもすると教師やデザイナーでさえ「構 成」の意味を推し量れない状況にある。.  その原因は、r構成」という言葉にもあると考える。なぜなら、r構 成」という言葉が、さまざまな場面でさまざまに使用されていること にある。例えば、「文章を構成する」「家族構成jなど目常でもよく使. われる言葉として存在する。それゆえに、特定の意味を表す、特に造. 形用語、美術の特定の内容・取り組みを表す意味としてのキーワード にはなりにくかった。このことが、構成教育の一般化に妨げとなった。.  また、デザインという言葉が台頭することにより、商業的なイメー ジ、産業的なイメージとつながり、こどもの主体性、独自の表現を重 要と考える教師たちからは敬遠されるようになった。.  ただし、構成教育がこのままデザイン教育の一分野または、ベーシ ックデザインという専門的な分野に限定されることを私は好しとしな. い。たとえ、構成教育という名でなくても、造形教育を支えるカとし て、構成教育の考え方と方法は普通教育の中に必要であると考える。.  その理由は、構成教育の方法と内容は、造形教育ないし、美術教育 に重要な学力の問題を明確に示すことができるとともに、内容をわか りやすくすることができると信ずるからである。児童、生徒が学校に. 6.

(9) おいて何を学び、どのような力を伸ばすことができるかを構成教育の 方法は含んでいる。. 指導要領に見る構成教育の内容. 平成10年発行の指導要領を参照すると、絵画、デザイン、工芸、 彫刻、鑑賞という詳細な領域の枠がはずされ、表現と鑑賞という二つ の領域に編成されている。取り扱っている内容や解説されている用語 を吟味してみると、まさに構成教育的内容が随所に見られる。例えば、. 「多様な表現方法や造形要素に関心を持ち」「形や色彩、材料、光など. がもたらす性質や感情を理解し、機能的な生かし方を考え」などであ る。(註11). 確かに指導要領の内容を見てみると、構成教育の足跡を見ることが でき、これまでの造形教育に大きな影響をあたえていたことも推測で きる。しかし、なぜこれほどまでに構成教育の内容が形骸化してしま ったのかは、のちの章で考えたい。. 造形活動全体のこととして構成教育は始まった。しかし、間所らに よってデザインという方向が示され、そのことによって構成教育の意 味や取り扱われ方が倭/珂ヒされた。. 過去の指導要領では、絵画、デザイン、工芸、彫刻、鑑賞と領域づ けされていた。領域付けされることにより、構成教育は、デザインと. いう領域の中に押し込められることになる。そこで、構成教育はデザ インのための基礎的造形教育の意味に変わる。ほとんどの大学におい て、構成はデザインの教員があつかっているのは周知である。. 平成14年に現行の指導要領が完全実施になると、それまであった 領域の枠ははずれ、表現と鑑賞の二つに期IIされた。現代の美術のあ り方において、ナンセンスともいえる絵画、工芸などの枠が消えるこ とは、当然のことでありよいことなのかもしれない。.  しかし、美術教育のシステムの中にある組織化されたその領域を無 視する、ないしは、曖昧にすることは教育というもののシステムで考 えた場合、良いことなのだろうかという疑念、が残る。. 枠がはずされることで、教えるべき内容が専門性を欠き、どんなも のでも、どんな表現でも表現さえしてあればよしとなってしまうおそ れも生まれてくる。.  けれども、表現するという行為の視野にたてば、造形教育という把 握で美術の教育をとらえたほうが、「造形あそび」に見るような材料体 験の指導を提案しやすいと考える。. 7.

(10) 第2節間所春の構成教育の特徴 間所春の位置.  問所春は小学校の教師として長い経歴を持つ。間所は1899年に生 れ、滋賀県女子師範を19歳で卒業している。そして、女子美術学校 に進学したが、途中退学し、福岡で女学校の教員として教育者として の一歩をあゆみ始める。その後、東京都区内小学校教員として採用さ. れた。その中で、造形教育に心血を注ぎ、目本の造形教育の新たな展 開を目指して研究を進めた。.  間所が小学校の教師として、造形教育に大きな功績をのこすことに なった転機は、武井勝雄、川喜田煉七郎との出会いである。武井は、. 1898年に生れ、1922年7月より東京市文海尋常小学校に勤めること となる。間所と比べると年令が1つ上である。  武井は青山師範学校美術科を卒業し、間所と同様造形教育に熱意を もって取り組んでおり、同じ目的をもつ仲問として、互いに研鐘して. 一ール曽. 歌皿1. 命リンイ.伊ンシ. ナミウレル.  . いた。このように、武井と教育の現場で出会い、川喜田の銀座新建築. 工芸学院に昭和8年以降出入りすることになったことで、彼女自身の. 図4. みならず、日本の造形教育、構成教育の新しい方向を生んだ。川喜田. が当時刊行していた雑誌『アイシーオール』(昭和10年4月号)のな かで、その当時の間所のようすが紹介されている。.   間所女史は現在本所の樹ll小学校の図画専科教員として奉職す.   るかたはら、私のもとにあって熱心に構成教育の基礎的な技術   を習得している方の一人である。忙しい家庭の仕事の中から僅. 図5.   かな時間をさいて続けられる真摯な研究は驚くべきで、一昨年   の夏季休暇の全部を学院で三人のお子さんのお守りをしながら、.   早朝から夕傾まで一寸の休みもなく勉強を続けられた熱心には 門︵ウ轟9レー 罵h.  ’. 奄−  ,.  ’ヤ・i−I. ⑭.   感服した。それからあしかけ二ヵ年の間横川小学校に於いて児   童との共同的な研究を続けられ今目に到っている。(註12) 間所の構成教育に対する取り組みが具体的にわかる記述である。『ア. 図6. イシーオール』は、川喜田の主催する月刊誌である。図4と図5を見 てもイッテンの影響が読み取れる。図4は『造形芸術の基礎』のP127 に掲載されている作品である。また、同じ号にパウル・クレーのデッ. サン(図6)が掲載されている。このことから、日本からの留学生が バウハウスに在籍している時の内容のみならず、その周辺のバウハウ スの教育の重要点を逃さないよう情報を集めているようである。. 8.

(11)  川喜田は、もともと建築家であるので、この雑誌は、建築家に向け られた雑誌として発行されていたが、構成教育についても時折特集を 組み造形教育の発展に尽力していた。.  川喜田が書いた上述の文章の内容からも、小学校現場で普通教育の. 中で行われたr構成教育」が、やはり、専門家に向けた特別な造形教 育ではないという、当初の目的がうかがえる。間所の構成教育の実践 は、川喜田の影響が背景にあり、川喜田の考えを実際に実験、体現し たのが間所であるといえる。.  川喜田・武井の共著として『構成教育大系』が昭和9年(1934)に 刊行されている。その末頁に以下のように記してある。.    作品の大半は、新建築工芸学院の卒業生の方々から提供してい    ただいたし、児童の作品は、永田町、樹ll両小学校のものをつ    かった。編輯を手伝っていただいた間所はる氏・三森象太郎氏・    菊池俊雄氏・桑澤千代氏・栗山直二氏・明石友次氏に。(註13).  ここに書いてあるように、問所はその編集の筆頭にあげられている。. 『構成教育大系』のなかには、児童の作品に混じり、モホリ=ナギの 『ザ ニュー ビジョン』に掲載されている写真と同じもの(傘のマ. ッスの写真例)や、また『アイシーオール』には、イッテンシューレ の作品例、パウル・クレーのデッサンが紹介されていることからも、. 水谷武彦がバウハウスに留学した短い期間の内容だけでなく、その前 後の広くバウハウスの教育に関わった多くのことを研究していること. が推察される。間所の三著書の背景には、『ザニュー ビジョン』の. 日本語訳が1967年に刊行される以前から、バウハウスの影響を受け ていたことがわかる。. 間所春の構成教育.  このように、構成教育がバウハウスの予備課程の影響を強く受けて いると考えると、その方法論は、造形要素の分析をもとにした、材料 体験と形体の理論の習得を目的とした内容である。問所の対象とする. ところは、小学生の児童であるので、理論を理論として知識重視に教. 授するのではなく、体験をくり返し行うことで、子ども自身の中に気 づきを芽生えさせることを学習の要とした。.  間所の構成教育は、明暗、色彩、材料などの造形の要素を、難しい ことばで子どもたちに説明するのではなく、体験的に積み重ねること で学習を獲得できるように計画されている。.  間所の構成教育の特徴は、二つである。一つは、造形要素の設定の. 9.

(12) 仕方である。間所は、造形要素を「明暗」「色彩」「材料」「構成(コン. ポジション)」の4つに設定している。r明暗」については、単にr明 るレトー暗い」r白い一黒い」のように光による陰影の関係ではなく、イ. ッテンのコントラストのように対照理論を用いた考えの上に立ってい る。そのことで、「色彩」「材料」についての感覚の基礎となるような 造形要素として用いている。.  もう一つは、「まよいみち」とよばれるオートマティズム的な線によ. る練習である。直線、曲線による平面の構成の基礎的な手法として用. い、カリグラフィックな線の構成が造形の練習として有効であると研 究している。.  間所の三著書を比較していくと「まよいみち」と名づけられた線の 構成が面の構成に発展していき、そして、立体構成にまで広がってい るようすが見てとれる。rまよいみち」を造形の題材として扱いだした 初期の段階では、その多くは平面構成での「構成(コンポジション)」 の問題として扱われ、『こどもの眼とデザイン』を著した後期では、「材. 料」の問題、空間のr構成(コンポジション)」の問題にまで扱いが広 げられ、その発展的な題材としての可能性を示している。. 第3節 間所春のあげる造形要素 造形要素.  要素とは、最も根源的な部分で、ものごとを成り立たせている一つ 一つのものである。造形要素とは何かを考えると、造形物を成りたた せている、その中に含まれる要素である。それは、造形物を見つめる. 一人ひとりによって異なるであろうし、造形活動を行う一人ひとりに よって重要とする要素はことなるであろう。また、造形要素の数も内. 容も人によって異なるだろうが、ほとんどの人に共通すると考えられ る要素もある。.  イッテンは「明暗」「材料と材質感」「形体」「リズム」「感情」「主観. 的造形活動(著書からはパーソナリティまたはアイデンティティと読 み取れるもの)」(註14)の以上6つに分析している。また、モホリニ ナギは、その著書の中でr表面」rヴォリューム」r空問」r運動」r光」. (註15)という要素で現実的な存在と対象ヘアプローチする方法を、. 人間社会の未来図を描きながら基本的に示している。. 10.

(13)  間所は、『構成教育による新図画』『こどものための構成教育』では、. 造形要素をr明暗」r色彩」r材料」r構成(コムポジション)」とした。. しかし、これらの造形要素は、1962年に執筆された『こどもの眼とデ ザイン』では、「色彩」「形体」「構成」と変更されている。この著書と. 前二著を比較するとr明暗」という造形要素が記述からなくなったこ とと、著書の内容の傾向が、平面から立体へと造形内容のひろがりを. 感じさせることが変化を感じさせる点である。特に、材料の感覚を身 につける練習に重点をおきながら、コンポジションの感覚練習をあわ せて行っているようである。その方法として、「まよいみち」の扱いの ひろがりが注目される。 「明暗』について.  明暗について、詳細に述べているのは、武井勝雄との共著で出版さ れた『構成教育による新図画』(1936)および、『こどものための構成 教育』(1955)においてである。.  『構成教育による新図画』では、前編を武井が著し、後編を間所が 著しているが、「明暗」に関する記述に違いが見られる。武井の記述に. おける明暗練習は、白黒灰を貴重とするシュパヌンク(註16)の練習 (月九錫の  蘇  い  臼  画三箪. として取り扱われている。それは、色彩練習の直接の基礎として位置 図7. づけられたもので、二つのものの関係性について述べられたものでは ない。.    明暗練習は色彩練習の直接の基礎となるものであり、且つ材料    感覚にも関係が深く、造形的表現に奥行きと調子を与えるもの    であり、絵画や装飾図案のみならず、写真、映画の製作鑑賞に    は欠くことのできない基本的学習である。(註17).  この文章をみると、「色彩練習」のみならず「材料感覚」にも言葉と. して触れてあるので、とらえ方として間所と変わらないように見受け. られるが、実際には、黒白灰の「明るい一暗い」の陰影の感覚として. 語られている。その後の記述には、間所のような「視覚的触覚」に関 わるような造形要素としての「材料」の間題との関連性は認められな い。.  また、『構成教育大系』においても、「明暗」に関する記述の内容は. 武井と同じで、光と影の陰影の明暗としてのとらえ方である。すなわ ち、色彩の直接の前段階練習としての白黒灰の明るさの練習であり、 「材料」の表面に関わるようなマッスの問題でも、対照性としてのコ ントラストの問題としても取り扱われていない。 11.

(14)  間所においては以下のように二つの記述が示されている。.    寿照的な明と暗㍉陽と陰白と黒にまで要約して考えてみるの    です。(註18).    「明暗が相互の関係によってのみ目立つものである」といふ簡    明な原理を実際に眼で視て発見してゆかうといふのです。(註    19).  この2つの文章から、明暗を光と影という見方だけでなく、二つの ものの関係においての造形要素とみている。そして、明るい暗いはも ちろんのこと、凸凹であるとか、色彩についての相互の関係の法則と 説明している。.  明暗を学習することが、「色彩」や「材料」の性質についての学習と. 深く関わっているとし、またそのことを意識しながら行うことが明暗 による「学習の急所」であると、間所は表現している。.  前にも記述したように対照的という語句から、イッテンのいう対照 性(コントラスト)という言葉が連想される。これは、イッテンがバ ウハウスの予備課程で行っていた授業のなかでの、明暗、材料、色彩. などの造形要素について教授していた内容を捉えるための根幹として. いた考えに類似している。イッテンは『造形芸術の基礎』の中で対照 性(コントラスト)について重要なものであると述ぺている。.    造形教育においてその基礎をなすものは、対照性(コントラス.    ト)に関する普遍的学習である。明一暗、長一短、広一狭、厚.    一薄、黒一白、多量ヤ少量、等は、そのコントラストによる造    形効果において、素材と材質感の学習、形体と色彩の学習、リ.    ズムと表現形体の学習等に関する理論的究明と、表現技能の研 図8.    究を促したのである。コントラストにおける造形効果の多種多.    様な可能性を指摘して、それを数えあげてみることは、最も興    味ある練習課題の一つであろう。(註20).  また、それを具体的に説明する記述として、以下のように    コントラストとは、大一小、長一短、広一狭、厚一薄、黒一白、    多一少、直一曲、鋭r鈍、水平一垂直、斜線一円曲線、高一低、.    面+線、面一立体(塊)、線一立体(塊)、滑一粗、硬十軟、静.    一動、軽r重、透明一不透明、連続一断続、流動一凝固、甘一    酸、強一弱、高声L低声(騒一静)、および七色の色彩コントラ.    ストであって、すべてこれらのコントラストに関してそれぞれ    一対ずつ、あるいはまた複合的に、十分に研究されなければな 12.

(15)    らない。(註21).  として、二つのものの関係において、比較し、対照的な見方から、. 造形の要素について学んでいくことが、学習者にとって理解しやすい 方法であると考えている。.  このような、イッテンの対照性(コントラスト)についての考え方 と類似したものを、間所は明暗とし造形要素の一つとして著している。.  間所においては、明暗について以下のような記述がある。.    それは光と陰だけでなく、その光と陰をもっと追いつめていっ.    て、結局相対的な明と暗、陽と陰、白と黒にまで要約して考え.    てみるのです。明暗とは、AとBとで表わされる相対的な因果    のすがたであるということは、私たちの感覚を表現とに伴う相    互関係の基本法則なのです。(註22).  さらに、r明暗」とした造形要素が、材料の性質、触覚にかかわる感 覚の練習につながるとして次のように説明している。 哩『. 』‘甲[. レ 野’一.    明暗によって材料の性質を表わすという意味は、それが単に白.    乃至は灰色の表現であるというよりは、多くは素描法に現われ    てくる点や線や平塗りや様々のかきぶりによって材料の地肌の    つるつる、ざらざら、重い軽い、硬い軟かい等々一を表現する 貫”醸B 3男  さ か な. 図9.    場合が多いので、之を単なる明暗と区別する為にr材料的な明    暗」といっております。(註23).  造形の各要素として対照性(コントラスト)を用い、比較すること. で、小学生のように低年齢の子どもたちに学ばせることは、造形要素 の学習内容をわかりやすく説明可能にし、共感を得ることができたの. であろう。これは、造形教育に必要な知識を感覚として獲得させる方 法として、高く評価したい。.  r明暗」をこのようにとらえ、造形要素として考えていたのは、お そらく間所のみだったと考える。イッテン、モホリ=ナギの研究を受 け止め、小学生を対象にした造形教育に反映させた独自性は注目に値 する。.  しかし、『こどもの眼とデザイン』においては、造形要素としてのr明. 暗」についての記述がない。間所は、後年、対照性(コントラスト) については造形要素として考えておらず、「明暗」という造形要素の考 え方を『こどもの目とデザイン』からはずしている。. 「トン・ツー』とrッー・ッー』.  問所は、明暗という言葉を、一般に「物の光と陰」(註24)という. 13.

(16) 意味としてとらえられがちなものとしている。たしかに一般には明暗 を光と陰の問題として考える。しかし、r明暗による学習指導」の目指. すところとして、明暗を相対する物の比較によってとらえられる感覚 一 〇ソー. 3トンツー. の一つとして、間所はr明暗」として造形要素を新たに定義した。そ して、他の「色彩」「材料」「構成」のすべての基礎として「明暗」の.      灘親ロ ユロ  のをヰヒし コ. 感覚が必要であると考えた。このようなr明暗」に関する問所の発想 の背景は、イッテンの対照性(コントラスト)を使用した造形要素の 把握の方法と切離して考えられない。.  この「明暗」の感覚をつかむためにも、間所独自の方法として、「ト   図10 明暗の平面的な性質. ン・ツー」という言葉をつかって、理解をさせようと説明している。.  rトン・ツー」は、『構成教育大系』の中にも出てくる。『構成教育 ,ツー    2弱トンシ8   3トン・ツ聾. 大系』の中では、「色彩練習」の中でかなり多くの記述をもって説明さ. れている。具体的には、鉛筆で、白からグレイそして黒などの明暗の 段階をかかせる、あるいは色をぬらせる。そして、それを構成させる。. 川喜田の解説では、たとえばrトンツー」rツーツー」(註25)という、. つまりそれは、黒と白、あるいは赤と緑という強いコントラストの調 子をトンと表現し、淡グレイから中間のグレイそして黒、あるいは、. 淡い青、青、濃青といった、おだやかな色調が並べられた場合を弱い コントラストをツーという表現で説明する。間所の著書においては、. 「明暗」を「色彩」の基本的なもの、あるいはその他の造形要素にお 図11明暗の立体的な性質. いても基本となるものとしてとらえている。その上で、小学生を対象 としては、「色彩」ではとらえにくいコントラストを「明暗」で説明し. ようとしている。また、材料(マテリアル)の表面の視覚的感覚を学 ぶ場面においても「トン・ツー」という言葉を用い、触覚の対照性を 明暗として説明している。.  間所における「明暗」の感覚とは、「色彩」「材料」「構成(コンポジ. ション)」を学ぶためのもととなる感覚と位置付けて、最も基本となる. 最初に学ぶべき造形要素としている。これらの造形要素は、互いに関 係をしながら成り立つものであるが、「明暗」は造形要素というよりも、. 対象性としてのコントラストの問題と考えられるので、むしろ、造形 秩序的な意味を持っていると考える。 「色彩」について.  『こどものための構成教育』では、色彩の感覚を伸ばす4つの重要 点を、教師の行うべき日常の注意事項として示している。.    ①絶えず生活の環境の中で子供たちと一緒に色彩に関心を 14.

(17)      もっていく。.    ②色紙・クレパス・えのぐなどに対して正しい色のよび名を      使う習慣をつくる。.    ③年令に応じたいろいろな方法でr色遊び」をさせて、シュ      パヌンクを感得させる。.    ④夫々の年令に応じて色に対するこれまでの経験を整理す      る機会をもたせる。.                            (註26).  これは、具体的な感覚訓練の方法を示しているものである。その内 容は、取り立てて造形の専門家でなければ扱えないようなものでもな いが、造形の教師としての意識を常に高く持っていなければいけない と示唆している。. その具体例として、入学したばかりの小学1年にrすきな色しらべ」 と題して、彼らの生活の中にあるものの中から色を選び出させ、日常. の生活の中にも色に対する意識を高めようとしている。その取り組み は、一度で終わるようなあつかいではなく、上述の四つの重要点で示 しているように、絶えず生活の中に機会をもつように仕向けることが 大切である。.  さらに、間所は「色彩」の練習を低学年と高学年に段階的にとらえ ている。以下には、その内容を紹介する。. 低学年における色彩指導. 幼児に色彩感覚を身につけるためには、さまざまな色というものに 興味を持たせ、自分自身で考える意欲とカを身につけることが大切で あるとしている。.  小学1年の作品を例に挙げている。クレヨンを使い、それを使って 色の概念を整理することが先ず最初である。黒に近い色だとか白に近 い色だとかというふうに子どもたちに考えさせることが学習になると している。その中では、教師は導くように助言する立場にあり、教え 込むようなことはしてはいけない。.  小学1年での色彩に対する学習の時間は、2時問程度のようである。. 対照的な組み合わせについての学習である。また、方眼を塗りっぶし. ての学習を例に挙げている。これは、2年の例である。  3年では、rリズミカルな配列法」(註27)を学習している。色のリ ズム、動き、強弱にっいての色彩感覚を練習している。.    低学年では、明るいもののバツクは暗めに暗いもののバツクは. 15.

(18)    明るめにといふ程度に分かればいいと思います。(註28) として難しい感覚の理解はまだ必要ないと説明している。. 高学年における色彩指導.  高学年においてはr美しい色彩リズムの輝きを感受する」(註29) ように導く。その方法としては、ものの写実的な捉え方でなく、方眼   》睡題L, 、1☆ト、野・ハ. 、 戴ト. 警驚. 【 .『.脚−.;・=,fl二吏 }、蓬n. などの基本形態をつかった抽象的な形態からの構成を行うほうがよい としている。.    この場合はうつかりすると徒らに繁雑になりたがり、技巧を弄.   (三尋) 暫簾1ヒ承iよに瑛躍.    したがりますから、単化されたものの本当の美しさといふ事が 図12折紙による単化練習.    失はれ勝ちです。ここを注意して導きたいものです。(註30).  抽象化された形体から、純粋な色彩や構成の感覚が磨かれるとして いる。ここで、「単化された」という言葉が出てくる。前編の武井勝雄. の「6、構成教育の各種練習要綱」の中の「A、単化練習」では、「対 象を必要な要点だけで表現すること。多くの場合形のシュパヌンクを いふ。」(註31)としている。単に形態の抽象的な捉え方の感覚ではな. く、色彩、明暗、コンポジション(本文ではコムポージションと表記 されている)等も対象としている。また、.    単化練習は物の形を簡単に表わすのでは無く、その物のシュパ    ヌンク、即ち造形的要素の著しいものを取り出して一つの表現    とするものである。(註32) (月+男四)案認尼毎騰露ゆ棄o柿5せ葉紅配三+五第. としているので、単純に簡単にするというのではなく、要素の抽出的 図13色彩練習と単化表現. な練習を単化練習と呼んでいると考える。しかし、間所のこの記述の. 部分には「単化」という言葉の説明に曖昧さが見られる。当時、単化 練習は造形教育の方法としては最も新しいものとされていた。ゆえに、. 意味合いや方法について研究段階であった。武井は、さらに単化練習 について次のように説明している。.    単化練習とは、物を見て其のものの造形的性質の急所を簡単に.    とらえて表現することである。それ故、必要な急所以外の部分    は省略し、又はぽやかして置くのであって、表現法としては最    も能率的なものである。(註33).  単化練習を行うことによって、表現すべきものの一番大切な形体な り、色彩の要点を取り出す作業を行わなければならない。この作業が、. 抽象的な概念の形成につながっていく。また、単純化された構造に対 する美的感覚も養われる。高学年にあっては、色彩指導の中でもこの ように、造形要素を複合的に組み合わせた練習を行っている。. 16.

(19) 色彩練習の要点.  色彩の練習は、色彩の強弱を知り、色をさまざまに使っていく訓練 である。そのなかで、色の性質を学び意識的に使用することをおぽえ. ていく。眼で見ることに対する感動は、音で感じ感動することに匹敵 するほど心を動かすものである。特に子ども時代にはその感性が強く、. その時に行われる教育が重要である。色彩に関する知識の教授は、内. 容としては明確にすることができるが、児童生徒に行う場合は、知識 の偏重にならないように注意しなければならない。その点からも、間. 所の示している日常の中での四つの注意事項は参考とすべきものがあ る。.  まず、一っには、色名を日常的に正確に使うことで、子どもたちに 色彩についての興味、関心を高め、知識を与えることができる。混色 の方法を教えられ、色の仕組みを学ぶことよりも、色の名を知り、認. 識できる色数を増やすことが大切である。特に、小学校低学年におい ては、認識できる色数が少なく、日常的に色の情報を与えることで、 無理なくその感覚は高まる。.  さらに、学習時問においても、短時間教材でも「色あそび」は可能 であり、そういう練習こそが、感覚訓練を興味ある楽しいものに発展 させる可能性があると考える。そのような取り組みの中で、色を整理 したり、分析したりするような活動を考えると高学年においても発展 的な題材としてとらえることができる。 「材料』について.  間所の最初の著書『構成教育による新図画』においては、まず材料 の触覚訓練について説明している。r視覚的触覚」を練習することが初. 期の段階で必要であるとている。その理由は、視覚と触覚の両方を通 して得る材料感を、視覚のみを通して得て、さらに表現へとつなげる ことが材料を扱う上での造形教育の役割であるとしているからである。.    視覚的触覚を「眼でみた触感一つるつる・ざらざら・硬い軟ら    かい・重い軽い等々一材料感、材料的特性」(註34).    「この分析できない強いて分析すれば形態的な意味を失ふもの    (1の項で申した純粋感覚)が材料の本質であります。」(註35)  鄭咽 4女. 図14材料の平面構成.  この記述にあるように、日常生活の中にある、ある事物のものとし ての存在のイメージ(例として、花をあげている)、印象は視覚のみで は曖昧で触覚として分析できにくいものとしている。.  『構成教育による新図画』のなかで、材料に対するr視覚的触覚」. 17.

(20) を養うことから取り組み始め、そのあとに材料を主題に空間構成(線 から面へそして量感へとつながる)へと発展させている。間所による. と、材料の学習による急所は、それまでの明暗や色彩の総合的な位置 付けのものとしている。.  いわゆる「視覚的触覚」は眼で見たものに対する感覚で、生活の中 で既知のものとしてある触れたときの感覚を、視覚だけで触れたよう. に感じとることができるということである。材料の触った感じは、実 際にそれに触れなくても知ることができる。また、知るというよりも、. 経験から推し量ったり、引き出してこれる感覚ということだろう。. モホリ=ナギとの類似.  このような材料の表面の位相を、視覚的に感じ取ることを重要とす る考えは、モホリ=ナギの造形要素の「表面」のとらえ方と類似する。. ナギは、「学生は最初の練習において、触覚の方法によって物質を学 ぶ。」(註36)と、触覚訓練の重要さに着目している。「表面」は、材. 料と表面の素材感の感覚と考えられる。それは、前任者であるイッテ ンのr材料」rテクスチャ」の両方の要素を合わせたものである。しか し、根本的には異なる。イッテンは、材料の中に潜在している表面に. は現れにくい本質を問題にしていたが、モホリニナギは、素材として の材料の表面の造形性に着目している。. 素材体験について、「マテリアルについての知識、造形的処理につい. ての、また技術的応用についての、道具や機械を用いての仕事につい ての可能性に関する知識(書物の知識や、伝統的な言葉による教授で は得られないような)を得るのが目的である」(註37)として、実際 の触覚訓練を通して、リアルな感覚を得ることが大切であるとしてい る。. モホリニナギは、素材(マテリアル)をr構造、テクスチュア、表 面相(表面処理)、マッシング(マッスの配合)」として細かに説明し ている。.  テクスチュアと表面相(表面処理)の違いは、テクスチュアは素材 そのものが生来持っ表面の状況をいい、外部的な表面効果をテクスチ ュアという。表面相は、制作過程の結果を知覚できるよう、作業がほ どこされている素材の外面である。. マッシング(マッスの配合)は、様々に寄せ集められた表面相(マ ッス)を造形要素の一つの枝葉として考えたものである。.  いずれにせよ、モホリ=ナギは素材の表面の形状に大きな興味を抱. 18.

(21) いていた。実際に素材に触れ、触覚を訓練することで、視覚的触覚を. 鍛えようとした。このような、基礎訓練がバウハウス教育の特色であ る。その特色と同様の特色が、間所の造形要素としての「材料」に類 似点として見られる。.  左の図は、マッシングの説明に使われている写真である。『構成教育 大系』に載せられている写真は、『ザ ニュー ヴィジョン』でモホリ. =ナギの使朔している写真と同じものであるが、ナギの使用している. 写真のほうが、部分的にトリミングされている。このことから、川喜 田らは、1934年以前に、モホリ=ナギの教育内容をある程度詳しく知 り得た可能性がある。 図15.  本来は、視覚と触覚を通して得る材料感を、さまざまな材料経験を 経た上で、視覚のみを通して得て、さらに表現へとつなげることが図 画教育の役割であると間所は考えているようである。.  それは、明暗および色彩の中で学習してきたことを総合的にしたも. のと説明していることから、小学校段階では高学年において学習すべ 図16. きことと予想できる。.  このように、r材料」として項目を挙げている造形要素の考えは、ナ ギの影響を否めない点が多い。「材料」としての素材の選択についてみ. てみると、線材から平面材そして塊の立体と順を考えながらあつかっ ている。この「材料」の扱いの点も、モホリ=ナギの「ヴォリューム」. の扱いに類似している。「材料」をテーマにあつかうときは、いわゆる. 彫刻的な側面から造形に取り組むのではなく、空間造形としてのひろ がりを意識した感覚と構造に対する意識をもたせようとしている。高 学年では、モビールを題材にあつかうなどして立体としての空間にと どまらず、動く造形にまでおよんでいる。モホリニナギもモビールの 研究をしており、運動体の造形の研究に取り組んでいたが、間所の「材. 料」に関する造形要素のとらえ、指導観はその影響が強い。.  r材料」による知覚についても明暗という言葉で扱っている。明暗 の造形要素についての説明のなかでも記述したが、材料についても対 照性(コントラスト)の万法論で材料感の理解を進めようとしている。.  「材料のトン・ツー材料の対照的原理一に帰一するのです。」(註 38)という言葉からも、「材料」においても二つ以上の関係によりおこ. る強弱を知ることができ、それを学習することがr材料」の学習の急 所であるとしている。.  「明暗」「色彩」「材料」の三つの造形要素は、全て「トン・ツー」. 19.

(22) の関係として認識することが構成教育の根本であると説明している。. 構成(コンポジション)について  間所の著書においては構成(コムポジション)と表記しているので、. 文章の引用など間所の論を使う場合には、コムポジションと原文のま. まの表記にしたがうが、本論文の記述の中では、コンポジションと書 き示す。.  この当ムポジシ当シという字句が、r構成教育による新図画』のr描. 写による材料練習」と題する中のrコムポジション練習」(註39)の 記述から頻出するようになる。本来コンポジション(oomposi肋n)と いう意味を辞書により調べると以下のようになる。.   oomposl加n:名詞     1組立て、合成、構成     2合成(構成)された状態;合成(構成)物     3組織、構造(structure)     4気質、性質、性分(make・up,oonstitution).     5混合物、合成品.     6《美術》構図     7(文法・修辞法の諸規則に従った)文章構成法     8(文学作品の)創作[法1     9(学校の教科の)作文圧法1.     10(学校で課せられる)作文     11作曲1法】.     12楽曲(pieoeofmusic)     13《文法》(語の)合成、複合[法1.     14妥協、和解(se協ementbymutualagreement)     15(特に一部返済による)示談.     16一部返済金、示談金、内済金     17《印刷》植字、組み     18《数学》合成:2つの関数から合成関数を作る方法                           (註40)  通常、美術において使用される意味は、構図を表す言葉になる。し かし、間所の使用している構成(コンポジション)という意味は、若 干通常より異なると感じられる。.  たとえば、297頁には、「このような綜合的なコムポジション練習で. はこれ以前に平面のコムポジシ自シ(平面分割)だとか明暗又は色彩. 20.

(23) の明暗による材料のシムポジジ自シだとか基礎的な練習が相当積まれ ていなくてはなりません。」として三度もコンポジションという字句が 出てくる。.  綜合的なコンポジションと平面のコンポジションは意味としてどの ように異なるのか。また、平面のコンポジションはカッコ付きで平面. 分割としてあり、曖昧さが増している。さらに明暗又は色彩の明暗に よる材料のコンポジションは、平面のコンポジションとどうちがうの かが読み取れない。.  そして、辞書による意味からコンポジションを構図と解釈するなら ば、その概念は、高度であり、明暗の学習や色彩の学習を並列になら べて基礎と位置付けるのは問題があると考える。  また、330頁には「綜合的な構成」という目本語による表記もあり、. 「コムポジション」という言葉の意味をさらに「構図」という訳から 遠ざけているように感じられる。  「構成(コンポジション)」という要素については、他の「明暗」「色. 彩」「材料jの造形要素に比べ、整理がついてないと考えられる。それ. は、間所の三著書の目次からも、項の立て方をみても方法としての具 体性が弱く、児童の作品の説明に終始している部分が多いことからも、. 要素としての科学的な分析が弱いのだと感じられるからである。 各著書から読み解く「構成(コンポジション)』.  『構成教育による新図画』において、構成(コンポジション)につ いては「画面に絵画的な運動を起こさせる事、画面にリズムとかシュ. パヌンクとかを起こさせ画面を効果的にする事」(註41)とし、画面 の流れ、動きを起こさせる要素としている。また「明暗や色彩や、材 料やの一つ一つの性質をしっかりとのみ込み、それらのものがどうし たらより美しくみられるかの感覚訓練をすること」(註42)を構成(コ ンポジション)練習としていることから、「明暗」「色彩」「材料」を基. 礎的要素的造形要素としてとらえ、r構成(コンポジション)」を応用. 的総合的造形要素として考えていると読み取れる。  『こどものための構成教育』においては、「明暗も色彩もテクスチュ. アも、すべての造形要素が形成されるコムポジション練習」であると し、「初め本能的にばらばらに書きなぐっていた線も、一年の中ごろに さしかかる頃は、大分複雑になり、まとまりがでてきます。」として、. 構成というのは画面全体のまとまり感ととらえているようである。(註 43). 21.

(24)  明暗練習においても、色彩練習その他の造形要素をあつかう練習に おいても、コンポジションの感覚は必要であるがそれのみを抽出して のコンポジション練習は難しい。コンポジションに関する教材として、. 直接コンポジションの内容をあつかう教材は、抽象的一般的になりが ちなので、比較的高学年でなければ理解できず、低学年では具体的で 間接的にあつかうほうがよいといえる。.  武井勝雄は『構成教育による新図画』のなかで、コンポジション練 習について次のような項目をあげている。 ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ. ー23456789. 大小のコムポジション. 積み木のコムポジション 並列のコムポジション リズムのコムポジション. フイルム的表現. 重複のコムポジション 直線のコムポジション 曲線のコムポジション. 直線と曲線のコムポジション.                           (註44)  このように、コンポジションとは、物と物との関係であり、位置や 大きさの関係である。.  間所の著書に見られる表現には、表現していく画面なり、立体(空 問関係を含む)なりの物と物との関係性についての記述が欠けている。  間所は、コンポジション練習をおこなう上で、平面においての練習、. 立体においての練習、また線材においての練習、そのあと面材におい. ての練習、そして、量材においての練習と発展させている。この教材 のとらえかたは、『構成教育による新図画』においては曖昧で、著書を. 重ねるごとに具体的な方法としては整理されてきているようである。 『こどもの眼とデザイン』においては、コンポジションの練習を行う. 上で、材料感覚を身につけさせたり、空間造形の取り組みをおこなっ ている。.  けれども、その点に関しても、構成(コンポジション)練習をおこ なう中で、線、形体に関する練習などの感覚訓練を含ませたり、フォ トモンタージュ、図案、モビールなどの新しい技巧を取り入れたりと. 複合的に扱う部分でのコンポジションに関する記述の少なさから、要 点を絞りにくいものにしていることが、構成(コンポジション)の問. 22.

(25) 題をわかりにくいものにしているのだろう。.  ただし、『構成教育による新図画』『こどものための構成教育』の両. 著で、構成(コンポジション)と題する造形要素を説明していく箇所 では、点、線、形と形体に関する記述が見られる。また、単化練習を 取り上げ、抽象的な形体の概念、形成にカを入れていることがうかがえ る。.  「構成(コンポジション)」を造形要素の総合的な感覚という意味で. とらえれば、形体に関する内容や『こどものための構成教育』に見ら. れるような「まよいみち」からのカリグラフィックな線の描画に関す る内容の記述をこの「構成(コンポジション)」という章に入れること は、やむを得ないと考える。. 第4節造形手法としての『まよいみち』 偶然に発見された『まよいみち』.  「まよいみち」は、図工の授業中、偶然に見つかった。それは、あ る男子児童と間所の二人の人間関係の中に、生み出された偶然のたま ものといえる。そのときのようすをしめす記述がある。.    たしか一九四九年の春もちかい午後。ここは東京・葛飾の南   綾瀬小学校の三年生の教室、南に面した部屋は、篠懸のふくら   んだ芽をとおして、暖かい陽がいっぱいにさしこんでいます。.   U字型に並んだ机の上には、大小さまざまの蜜柑が上むき下む   き、或はほっぺたをまるくへこましたり、隣によりかかったり.   してころがっています。静まりかえった部屋の隅から、r先生、   できたらバック描いていいですか。」という元気な声がとびだし.   ました。古ぼけた机の上におかれたみかん、このままではみん   なが茶っぽい地肌にぬりつぶすだろうなと、さっきからみまわ   っていた私は、何とか美しい効果で、みかんを浮きあがらせる.   方法はないものかと考えあぐんでいましたので、それを機会に   話しあいたいと思って、正面にもどり、みんなに、手をおいて   くれるようよびかけました。ところが、どうしても顔をあげな   い子がいます。しばらくまっていた私は、じりじりしてきまし.   た。っかつかと黒板からはなれてそばにたちました。「S君、な.   にしてるの?」。声をかけてもS君は顔もあげないで、机のか. 23.

(26)   げで雑誌にみ入っています。思わず私ものぞきこみました。「な.   にそれ?」「まよいみちなんだよ。」……このとき私の頭のなか.   に、すばらしい考えがひらめきました。急いでもとにかえり、.    「S君が、とてもいいこと考えてるんですよ1まよいみちだっ   て。」といいざま、私はチョークをにぎると、手早くぐるぐるっ.   と「まよいみち」なるものを描きはじめました。S君はもちろ   ん、みんなが大きな眼をみはって見入りました。「まよいみち」.   は面白いですねとくり返しながら、不規則な直線や曲線の変化   ある一筆がきを示し、皆さんの、今日のバックは、どんな「ま   よいみち」でもいい、自由にrまよいみち」で区切ったバック.   に、おみかんが美しく浮き出てみえるように、すきな色をぬっ.   て下さい。と結んで、また巡視をはじめました。何かしら、楽   しそうな、生々とした気配が部屋いっぱい流れはじめました。.   私の胸もわくわくしていました。作品をならべてみると結構、.   みかんは効果的なバックに支えられています。この日、夕飯の   あとでも、私はひるのできごとにかなり興奮していました。そ   して、S君に小言をいわなくて、ほんとに救われたと思いまし   た。(註45). 長い文章ではあるが、現場の教師とこどもの関係、いつも真剣に取 り組む優秀な教員の姿、そして、その教員の心の葛藤がわかる文章と して、略することなくここに紹介した。「まよいみち」がどのような状. 況で生まれたのか、手にとるようにわかる内容である。. 線としての「まよいみち』の解釈  『構成教育による新図画』(1936)では、rまよいみち」に関する記. 述がない。この時点では「まよいみち」は手法として発見されていな い。「まよいみち」は構成教育において、新たな特別の表現方法ではな. く、さまざまな造形要素を練習するときに使うツールとして見出され た手法である。.  時に、間所の構成教育の特徴として「まよいみち」が取り上げられ る。竹内博氏ら編著の中で、その教育の過程を「幼児期から青年期へ 至る発達的な視点、視知覚を中心とするゲシュタルト心理学的な視点、. そして構成やデザインという新しい造形的な感覚に基づく視点からア. プローチされている」(註46)として、ゲシュタルト心理学との関連 を述べている。しかし、間所の記述にはゲシュタルト心理学について. の記述は見られず、文献中に見られる「ゲシュタルト」の記述は「ゲ. 24.

(27) シュタルトゥング」(Gestaltung)から導かれるr造形」という意味と. して捉えられる。間所がゲシュタルト心理学の影響を大きく受け構成 教育を行うならば、「見る」という視点で「まよいみち」を分析するは ずである。けれども、間所は子どもがどのように描くのかという、「表. 現」するためのものとして「まよいみち」を考えている。このような 点から、「まよいみち」とゲシュタルト心理学との関連を見出すことが できない。.  また、間所は、『こどもの眼とデザイン』の中では、rDoodle」(註. 47)を例に出し、幼児期からの線による描写的あそびを取り上げてい. るが、単に共通する面もあるという程度の提示に過ぎない。そのrま よいみち」の可能性が非常に広範囲にわたり、原初的な性質を持って. いることから、低学年のこどもたちにも適しているということを説明 しているのである。本来の「まよいみち」の造形的目的はあくまで造 形要素の練習のためである。.  『こどものための構成教育』の中でrまよいみち」が造形練習をお こなう上で、いかに広範囲に活用できるものであるかを説明している。.    子どもにとって、抽象的な造形あそびは、すべて「まよいみち」    といわれている。(註48).  この文章からrまよいみち」は、たんなるrDoodle」のなぐり書き の線ではなく、構成教育による造形教育の基礎的な部分のほとんどが、 「まよいみち」という言葉で呼ばれていることがわかる。.  平面においても空間においても、幾何学的な形体のものをあつかっ たり、直線や曲線的なものをあつかうときには、すべて「まよいみち」. でこどもたちには通用したのである。このように、線状の形体をやさ しく平易にあつかえる存在にまでしたことは、基礎造形をおこなう上 では、意味のあるここといえる。. 線からの転用.  「まよいみち」が幼児のオートマティズムな線がきにと関連付けら れて説明されているのは、『こどもの眼とデザイン』においてである。.  『こどものための構成教育』では、線による形体と線の空間構成の 問題として説明している。そして、「まよいみち」を書くポイントは一. 筆書きで書き終えること、また、その作業中は教師が話しかけたり、 作業を中断させてはいけないとしている。.  さらに、「まよいみち」の手法としての使い道を、線のコンポジショ. ンはもちろん、明暗練習、配色練習、色彩練習、いろいろな形の面の. 25.

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