第2章 三著書にみる間所春の実践
第4節 三著書の比較
間所の三冊の本には違いがある。ここで目次を示し、さらに内容に ついての解説をおこなうことでその違いを明確に示したい。
『構成教育による新図画』目次(1936)
簾
1、 学習形態について 2、明暗の学習(1)
(2)
3、色彩の学習
4、材料の学習
(3)
(1)
(2)
(3)
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(3)
( )内は原書の目次では示されていない頁数である。
168 170
明暗による学習指導の急所 明暗による基本学習
(イ) 明暗の性質をつかむ練習 (ロ) 明暗による写生の基礎的誹練 (ハ) 色を明暗で見る練習 明暗練習の影響
第一 明暗による構成の色々 (イ)透明描写 (ロ)片身入替法の利用 (ハ)意想的なもの
(二)鑑賞の結果としての明暗練習 (ホ)画面の緊張と明暗による構成 (へ)明暗によるリズムの構成
第二明暗描写の色々
(イ)明暗による量的な表現 (ロ)明暗による事物の特性表現 (ハ)構想画に現われた明暗の意識
色彩による学習指導の急所 低学年における色彩指導 高学年における色彩指導
材料による学習指導の急所 材料による学習と児童画
(イ) 材料の写生
(ロ) 写生画の中に現われた児童の材料意識 (ハ) 想画構成の画面を材料としてみる見方 材料による学習と児童図案
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(イ)
(ロ)
(ハ)
(二)
様式化と材料感の問題 描写による綜合的な材料練習 材料による学習とフォトモンタアジュ 材料による構成とフォトグラム 材料による構成と印届1図案
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『こどものための構成教育』目次(1955)
1明暗の学習
A明暗による学習指導の要領 B明暗による基本練習 a明暗の直線的系列 b明暗と色彩α統合 c色を明暗で写生する d明暗対比と量感の表現 C明暗適用の学習
a明暗の対比と透明描写 b単化表現と明暗 c明暗による自由もよう d明暗と描画
e明暗練習とフォト・モンタァジュ n色彩の学習
A色彩学習指導の要領
B低学年における色彩指導の要領 C高学年における色彩指導の要領 a色彩の明度に関する自覚 b配色の効果に対するいくらかの自覚 c混色方法の理解と彩度への関心 d色の立体的なシュパヌンクの発見 D子供と色のオムニバス
a色遊びのルールは子供達がきめる b色あそびと子供の描くまよいみち c子供の図案と色
d子供の描くもようと色 e色紙はり絵と色の効果 f色と子供のテクニック g面の分割と色 皿材料1の練習
A材料の平面構成 B材料の立体構成
aいろいろな材料による立体構成 ①粘土による形の分解と構成 ② 一枚の紙の立体構成 ③ 積み木の立体楕成 b線材を生かした空間構成 c面を意識した空間構成 d子供のっくるモビール
eメタモルフォーゼと子供の材料構成 fカードによる立体構成
W綜合コムポジション
A児童のコムポジションと線
aカリグラフィックな線の構成と子供のオートマテイズム b児童の線に現われた訴求力
①児童の線に現われた情感 ② 児童の線に現われた知性 線の分割する面 線と空間の表示 B形に対する児童の構成意識
a子供はこうしてシュパヌンクをさとる b形に対する意識と単化練習
① 描画と単化練習 ② 抽象構成と単化練習 ③形に対する児童の構成意識 終りの言葉
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『こどもの目とデザイン』目次(1963)
1
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I DOODLEから視覚言語の獲得まで 一r生長する「まよいみち」一 a子どもの必然性を造形的にみる
bDo o d l eあそびと「まよいみち」かき c rまよいみち」の生長と刺戟のいろいろ ①子どものアクションをうけとめるもの ②表現梯料による刺戟の効果
E 子どもの眼とベイシックデザイン a子どもの眼と色や形のゲシュタルト ①アニミズムと子どもの眼
②オートマチズムによる感覚の基礎練習 皿 デザイン教育における感覚訓練法
A平面的感覚練習
a子どものデザインと発想、
b色の秘密をみつけるまで c形の性質をつかむまで
d眼のとらえる地肌手の感じる触感 eメタモルフォーゼと子どもの幻視 f光の造形と子どものあそび g美しい構成の条件をつかむまで ①くりかえしとリズムの美しさ ②バランスに敏感な子ども ③ムーブマンをつくりだす子ども ④平面構成と立体構成
⑤ 造形的感覚練習のまとめ ⑥「まよいみち」の生態 Bいろいろな材料による立体構成 a線材による空間構成 ① 構造への道
②線材をつかった美しい構成 ③針金をつかういろいろな構成 ④組み、編むことによる立体構成 ⑤ モビール作りのいろいろ b面材による立体・空間構成 ① 紙彫刻の功績
②板材といろいろなポール c量材による立体構成
W 子どものデザイン
a子どものデザイン b子どものポスター c子どものディスプレー d子どものおもちゃづくり eパッケージづくりの発展 ことばの説明
V おわりに
三著書の概要からの比較
『構成教育による新図画』
『構成教育による新図画』は、図画教育における構成教育という立 場をもって書かれている。そして、当時の構成教育の入門書としての 役割を果たしている。
これは武井勝男との共著という形式をとっているが、前編は武井の 記述によるものである。そして、後編が間所の記述部分で167頁から 438頁にわたる272頁を執筆している。
武井の執筆部分は、166頁で構成教育と図画教育の関係、構成教育 の意義、さらに具体的な構成教育の練習内容の記述が整理されて書か れている。ほとんどが文章記述で、写真及び図版の紹介が少ない。
間所の執筆部分には図版が多く、児童による158作品を紹介してい る。具体的に解説するために、授業で実践された作品を使い造形要素 ごとでの例を示すためである。また、教師向けに書かれているため、
構成教育の具体的内容と方法を実践報告のような形で示すことにより、
実用本としての性格を含ませたのだろう。つまり、武井は理論を担当 し、問所は実践を担当したといえる。
間所のこの著書で紹介されている作品は、児童の平面作品に限られ ている。その理由として考えられるのは、この段階での間所の構成教 育の視点が、造形教育の中の平面の分野にのみに向けられているから である。なぜなら、昭和11年(1936)当時は、構成教育が始まって間 もないころであるということや芸能科図画という枠組みで教科が設定 されていたことから、平面に関することの研究を主におこなっていた と考えられるからである。
芸能科図画は、芸能科工作とは内容が分けられており、現在の図画 工作科はその二つが合併したものであるから、性格的には平面の造形 に内容が限られていた。それゆえに、材料練習でも平面に貼り付けら れるような身近にあるものをあつかっている。
その内容は、構成教育の特徴といえる分析的手法により造形教育の 内容を整理したものである。例えば、「明暗」「色彩」「材料」「構成(コ ンポジション)」を造形要素として順に解説している。また、単化練習、
透明描写(レントゲンビルド)などの題材、フォトモンタアジュ、フ ォトグラムなどのモダンテクニックを使用した題材の提示である。
『こどものための構成教育』
『こどものための構成教育』は、造形教育の基礎となる構成教育と して意識し記述されている。
「まよいみち」が1949年の授業の際に発見されたものであるので、
『こどものための構成教育』の出版までには、5年余りしか経過してい ない。原稿の執筆作業等のことを考えると、授業で検証しながら同時 におこなっていたのではないかと考える。
『こどものための構成教育』は、『構成教育による新図画』の出版か ら19年経って出された本である。『構成教育による新図画』と同様に、
造形要素ごとに内容を整理して解説している。この本の特徴としては、
「まよいみち」の発見により、新たな題材としての工夫が見られる。「ま よいみち」をいかに有効な指導のツールとして使うかの発展が見られ る。また、線の構成から立体・空間への構成へ造形の範囲を広げてい
る。
線の構成から立体・空間の構成へと「まよいみち」の活用が広がっ たことは、大きな進展である。これは、構成教育の研究が進んだため であると考えられると同時に、昭和22年の学校教育法施行による教科 改変による内容の変化によるものではないかとも推測する。
なぜなら、『構成教育による新図画』においては、r図画教育」とい う言葉を使い、その内容的は平面での描写を中心として記述が進んで いた。しかしその後、芸能科工作との合併があり、図画工作科として 造形教育が展開されるようになった。そのことにより、平面での造形 練習から、三次元を意識した立体・空間造形への発展の機会となった。
このことは、造形全般の広い視野からみる構成教育にとっては、好機 としてとらえられたであろう。
けれども、図画工作科と改称されているにもかかわらず、『こどもの ための構成教育』の中で、「造形教育」として記述している。しかも、
「はじめに」と「終わりの言葉」の中にだけ、「造形教育」という言葉 が使われている。このことから、図画工作科という名称に違和感を持 っていたことが類推される。
『こどもの眼とデザイン』
『こどもの眼とデザイン』は、デザイン教育の立場から著している。
材料感覚の練習を中心に、平面から大きく脱却した視点を持っよう になった。その造形要素的材料の練習をもとに、それまでの「明暗」r色