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『こどもの眼とデザイン』に掲載された題材と造形要素

第2章 三著書にみる間所春の実践

第3節  『こどもの眼とデザイン』に掲載された題材と造形要素

 『こどもの眼とデザイン』では、学年表記での作品紹介は行われて おらず、年齢表記となっている。また、造形要素ごとの章立てになっ ていないため、この節では造詣要素の表示も行っていない。

6歳児の作品

6歳褐載作品数1点 取り扱い項目・内容 画材

作品名

記載頁 備 考

表現材料による刺戟の効果 クレパス うたいながらかいた絵 18 まよいみち

図  うたいながらかいた絵   6才男

図69うたいながらかいた絵

紹介されている作品は異なっているが、『こどものための構成教育』の 中で、同じ題材名のrうたいながらかいたえ」が取り扱われている。

本書では、「表現材料による刺戟の効果」という名目で取り扱われてい るが、内容としては前著と同じあつかいである。

視覚と全身を使って、色や線、形のリズム、バランス、線の動きを体得 させようというのが、目標としてあがっている。

7歳児の作品

7歳掲載作品数2点 取り扱い項目 ・内容 画材 作 品 名 記載頁 備  考

「まよいみち』と「わっか』 色紙 まよいみちのはり絵 115 まよいみち 線材による空間構成 竹ひご どうぶつ 139

53図 まよいみちの嫁り絵 7才男(共旬幅)

図70まよいみちのはり絵

 図70「まよいみちのはり絵」は、実際にはかなり大きく、模造紙一 乗の半分である。6人が1つのグループをつくり、この作品を完成さ せている。細く帯状に切られた青い紙を使い、下絵を描く要領で、画 面にのりで貼りつけていく。そこにできた分けられた面に、残りの各々 のこどもが、色紙を貼って画面をつくっている。2時間程度で仕上げた

と間所は紹介している。

身体の動きを感じさせながら、線を描き、そこに区切られた面から、

三角、四角などの面をとらえる学習である。この練習では、布や紙、

紐類などを使って貼り付ける方法が効果的であるとしている。

 この題材は、配色練習、明暗練習、地肌(テクスチュア)の練習を ねらいとしている。

図71「どうぶつ」は、「立体構成」の記述のなかの構造をテーマに

OI図どうぶつ 7才男

図71どうぶっ

3図 手のもよう  8才女

図72手のもよう

 79図 飾金の蜜よいみち 8才女

図73針金のまよいみち

1IO図 魚のモビール  5才女

図フ4魚のモビール

した部分で紹介されている。構造は、まずつなぐことから始まるとい う考えの上に立って提案された題材である。

 竹ヒゴを糸や輪ゴムでつなぎ、線材が構造としての役割を果たす立 体造形となっている。この題材は、素材としての材料間を学ぶ経験的 な学習として設定されている。

8歳児の作品

8歳掲載作品数6点

取り扱い項目・内容 画材 作品名 記載頁 備 考

表現材料による刺戟の効果 絵の具 手のもよう 16 まよいみち 材料の描く空問のrまよいみち」 針金 針金のまおいみち 136 まよいみち

組み、編むことによる立体表現 針金 かご 157

モビールつくりのいろいろ モール・セロハン 魚のモピール 162 こどものポスター 絵の具 ポスター 196

子どものディスプレー 街灯 201

図72「手のもよう」のは「表現による刺戟の効果」であつかわれている。

この場合の刺戟という言葉は、教育的助言のことを意味している。つまり、

教員の適切な指導が、こどもにとって表現をおこなう上での、よい刺戟に なるということである。

 「まよいみち」あそびは、こどもの主体陛に任せて放置しておくのでは なく、時にアドバイスをくわえながら、ある方向に導いていくものである ことを示している。そうすることで、こどもたちは表現のための造形言語 を身にっける。

 図73「針金のまよいみち」では、平面だけの造形ではなく、空間にも「ま よいみち」が使える方法であることを理解させてくれる。これは材料あそ びの中で、目標として、平面から空間への意識を育てる初歩の題材である。

 また、線材という制約の中の作業であることが、自由な材料を使うより もより造形性を高めるとも説明している。

線材の特性を考えながら、材料を変形させていく中で、その材料の陛質 をこどもに理解させることができる。

 図74は「魚のモビール」という名の作品である。モビールは、「バラン スの原理を応用して、微妙な空気の流れにも動く」(註60)彫刻であると している。モビールは、吊り下げるということの問題ではなく、立体のバ ランスをとらえさせる課題である。図74r魚のモビール」は段違いに構成 されていて、周囲に合理的な動きを示すものとして紹介されている。

26図  段,ドールのまよいみち  9才衣

図75段ボールのまよいみち

74園 簾竹のまよいみち  9才男

図76篠竹のまよいみち

 ,3田 締準 の喋よrみち  ,マ9

図刀細木のまよいみち

9歳児の作品

9歳掲載作品数28点 取り扱い項目・内容 画材

作品名

記載頁 備  考

表現材料による刺戟の効果 ダンボール 段ボールのまよいみち 51 まよいみち 光の造形とこどものあそび 半透明の色紙 すかし絵 82

まよいみちの生態 絵の具 版画・もよう 102 まよいみち

rまよいみち』と地肌のくふう 布切れ・色紙 上下に分かれたまよいみち 123 まよいみち

テーマをもった「まよいみち」 絵の具 線あそび 128 まよいみち

材料の描く空間の「まよいみち』 篠竹 篠竹のまよいみち 134 まよいみち

線材による空間構成 竹ひご 線のくみたて 141

線材を使った美しい構成 細木 細木のまよいみち 147 まよいみち

針金をつかラいろいろな構成 針金 針金で作った遊び場 148

モピールつくりのいろいろ モール モピール 163

紙彫刻の功績 画用紙 ふしぎな鳥 173 薗材による立体…蹄獅歳

板材といろいろなポール テープのくみたて 182 面材による立体・聾購戚

量材による立体構成 粘土 ローソクたて 185 量材による立体構成

子どものディスプレー 厚紙・色紙等 ままごとの家 201

 図75「段ボールのまよいみち」は、材料の陛質を生かしながら、リズム、

バランス、変化と統一の秩序の問題と、段ボールという材料の持っ表面の 造形要素としての、段ボールという材料の造形要素としての問題をあわせ て説明している。段ボール紙の素材としての曲線的な可塑性が、曲線のま

よいみちあそびから発展した立体としての構造を特徴づけている。

 これは、平面から立体まで、二次元から三次元への基礎造形に「まよい みち」の手法が通用するという間所の自身の上に語られている。

 図76「篠竹のまよいみち」は、やはり空問構成としての「まよいみち」

の紹介である。

 篠竹に針金を通してっないだ造形であるが、これは作品づくりのための 技術的なものが問題ではなく、偶然ともいえるイメージの湧きあがりを大 切にしながらの材料体験である。材料の違いによって、うまれてくる形体 の違いを体得できる学習である。

 図77r細木のまよいみち」は、r線材をつかった美しい構成」での作品 である。構造を主としたというよりも、組み立ての美しさ、構造でありな がら装飾的な傾向のっよい作品として評価されている。構造となる細木に アクセントとなる色を塗ることで、計画的ではない、思いっくままに広が っていく造形のよろこびをあたえている。

 図78「ままごとの家」は、厚紙と色紙をっかった、ままごとあそびにっ かう家である。

 純粋な造形のための造形というよりも、実用性も考えた用のための造形 を意識している。デザインというものが、生活の中で活かされる感覚、ま

45

ま求ごとの家9才虫

図78ままごとの家

鱈繕ヨ驕1ρ .至.薩一

萎灘凝  一弱

  23図うごく形 ユ0オ勇

  図79うごく形

30図 廃晶を駐三かして序る  10才岡女

図80廃品を生かしてつくる

 47図 オガクズと鍛子をつかったもよろ Io才舅

図81オガクズと鉗子をっかったもよう

たは意識であるということの具体的な実践例である。

 これは、「子どものディスプレー」という項目の中で取り上げられてお り、まさに目的的な造形活動の紹介である。

10歳児の作品

10歳掲載作品数69点

取り扱い項目・内容 画材

作品名

記載頁 備 考

表現材料による刺戟の効果 絵の具 線さがし 21 まよいみち アニミズムと子どもの眼 色紙 うごく形 61

メタモルフォーゼと子どもの幻幌 廃品 廃品を生かして作る 78 メタモル7オーゼ

まよいみちの生態 絵の具 軸木とゴマをつかったまよいみち 108 まよいみち

rまよいみち」と地肌のくふう 大鋸屑・鉗子 オガクズと鉗子をつかったもよう 109 まよいみち

テーマをもった「まよいみち」 花と魚 125 まよいみち

材料の描く空間のrまよいみち」 ブリキ・針金 ブリキと針金のまよいみち 137 まよいみち 線材による空間構成 細木 開閉する橋 142

針金をつかういろいろな構成 針金 針金でつくった遊び場 149

組み、編むことによる立体表現 毛糸 こしかけ 159 モビールつくりのいろいろ セロハン・細木等 回転するモビール 164

紙彫刻の功績 画用紙 植物のレリーフ 169 面材による立像・空闇鱗成

子どものディスプレー 空き箱等 へやのかざり 203 子どものおもちゃづくり 木・細木 走る船 213 パッケージづくりの発展 空き箱 箱の中のしくみ 218

 図79「うごく形」は、形体の構成(コンポジション)の練習である。い くつかの図の配置によって、その中にある形体に動きを感じたり、意味を もたせたりすることの作品例として紹介されている。

 この内容は、前著『構成教育による新図画』の「構成(コムポジション)」

の章でもあつかわれている。

 本書においては、アニミズムというキーワードを使い説明している。間 所の説明によると、幼児および児童初期のこどもは、石や花に話しかける などして、命を吹き込んでいるように感じている。それを一種のアニミズ ムの状態であるとしている。

 色紙を切ったものを、画面の上におき、それを動かすなどして活動する と、こどもたちは、その一片一片にまるで魂が宿ったように感じ、話しか けながら楽しく遊ぶという。その活動の目的は、色、形、地肌(テクスチ ュア)などの有機的な関係において、次第に画面が秩序立てられていくと した感覚訓練である。

 図80「廃品を生かしてっくる」は「材料の転生」といわれるものである。

これは、前述のアニミズムの発展的なものと推測する。いわゆる立体での 見立て活動であり、造形的にある種の感情を持たせたり、魂を吹き込んで あると考える。そのような活動の中で、材料感覚を養っている。