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『こどものための構成教育』に掲載された題材と造形要素

第2章 三著書にみる間所春の実践

第2節   『こどものための構成教育』に掲載された題材と造形要素

『こどものための構成教育』に掲載されている児童の作品を各題材か ら1点ずつ選び記載している。『こどものための構成教育』には、指導 時期が記載されておらず、不明確である。そのため各学年の表の中の 並び順は、造形要素ごとにした。

1年生の作品

1年掲載作品数1点

造形要素 取り扱い項目・内容 使用材料例 作品名 盤鵬買

構成 コムボジシヨン》 カリグラ7イックな陰の桐成と子供O才一ト7ティズム クレバス うたおうたいながらかいたえ 104

明暗O点、色彩0点、材料0点、構成(コンポジション)1点 構成(コンポジション)… まよいみち

踊60図】男 うたをうたいながらかいにえ

図48うたいながらかいたえ

 1年の作品例は、「まよいみち」の紹介をした内容の部分に掲載され ている。rカリグラフィックな線の構成と子供のオートマティズム」の 項で、図48「うたいながらかいたえ」という題である。

 そこで、幼児が線あそびをするときの心理について、触れている。

幼児の線は本能的であるが、小学生になると心理は複雑になり、画面 にまとまりが出てくるとして、小学生程度になると意識的な線描きが できるようになると説明している。また、意識的に線描きができるよ うになっても、やはり、そのときの気分に左右されることが多いので、

気持ちを能動的にするために歌を歌いながらの制作をしている。

 この作品は、構成(コンポジション)のところで紹介されているが、

明暗や色彩などの要素にとらわれないで、とにかく気持ちと体で表現 することを大切にして、大局的に見た総合的な意味での構成(コンポ ジション)と考えているようである。

2年生の作品

2年掲載作品数7点 造形要素 取り扱い項目・内容 使用材料例 作品名 記蔵頁

明暗 明暗による自由もよう クレパス 白、くろのまよいみち 20 色彩 子供の図案と色 クレパス さかなのもよう 57 色彩 子供の描くもようと色 クレパス さかなのもよう 59 色彩 子供の描くもようと色 クレパス けしきのもよう 60 材料 材料の平面構成 色紙 おふね 73 材料 いろいろな材料による立体構成 マツチ箱 マッチぱこのつみ木あそび 85 材料 線材を生かした空間構成 竹ひご・セロファン つりさげおもちゃ 91

賃罰璃図 2男  白ρくろのまよいみち

図49白、〈ろのまよいみち

第27図 2男  さかなのもよう

図50さかなのもよう

 掘29図 2女  けしきのもよう

図51けしきのもよう

明暗1点、色彩3点、材料3点、構成(コンポジション)0点 明暗… まよいみち

色彩… 図案と色、まよいみち 材料…  いろいろな材料と立体構成

 2年での内容としては、明暗、色彩、材料の三つの造形要素の学習を 行っている。

 前著の『構成教育による新図画』では平面教材しか紹介されていな かったが、立体教材にも構成教育的な手法が実施されるようになった

ことがわかる。

 2年での明暗、色彩の内容は「まよいみち」およびその延長線上に ある作品である。図49「白、くろのまよいみち」では、そこにあらわ れた形の性質や大きさに関心を持つことが大切で、明暗や色の関係な

どの難しいことはこの段階では言わないほうがよいとしている。

 図50rさかなのもよう」は、色彩の学習の題材である。子どもの絵 は装飾的で平面的なうつくしさをもっているとしている。そして、本 能的であり、主情的・無意識的・非具象的表現(抽象的とはことなる)

をすることが抽象表現と混同されるが、本質的に異なると指摘してい る。また、このようなオートマティズムな点や線や色あそびが、図案 教育の橋渡しをする。

 図51「けしきのもよう」を説明する文章においては、「くりかえし の中に、まよいみちかきが何々のもように、それがまた写生の仕事や 想画の仕事にと、ぐるぐるまわって、互いに垣根なしの交響がならさ れるところ」(註56)と経験を重ねることで養われる造形能力を説明し ている。

 第1章でも述べたが、「まよいみち」がきは、時折ゲシュタルト心理 学と結び付けられる面もある、形体をあつかう上で共通点もあると武

井は『構成教育による新図画』で記述しているが、心理学的な側面を を美術教育における問題と同調させてはいない。(註57)

 間所や武井の造形教育の目的は表現であり、こどもの絵を分析的に 見ることではなく、表現を目的として、その表現がいかに美の意識と 結びつくかをめざすことである。間所は、このような造形練習と経験 を大切にし、子どもが自身で伸びていくことを可能にするために、腐 心している。

3年生の作品

3年掲載作品数13点 造形要素 取り扱い項目・内容 使用材料例 作品名 驚載頁

明暗 明暗の直線的系列 色紙 あかるさのおならび

4

明暗 明暗と色彩の当合 雑誌切抜き さかな

5

明暗 明暗と描写 クレパス 私の顔 25 色彩 子供の描くもようと色 クレパス くだもののもよう 59 色彩 色紙のはり絵と色の効果 色紙 色紙のもよう 62 材料 材料の平面構成 布切れ はりえもよう 79 材料 メタモルフォーゼと子供の材料構成 たわし等 ふしぎなどうぶつ 98

構成(コムポジション) 児童の線に現われた知性 絵の具 おへやのなか 134

構成(コムボジション) 形に対する意識と単化練習 色紙 きしや 147

明暗3点、色彩2点、材料4点、構成(コンポジション)4点 明暗… 明暗の直線的系列、明暗と色彩の当合、描写 色彩… 模様と色、はり絵

材料… 平面構成、メタモルフォーゼ

構成(コンポジション)…  線の構成、単化練習

趨て噛

第1図A 3女 あカ》るきのホ」ならぴ

図52 あかるさのおならび

 3年になると、明暗、色彩、材料、構成(コンポジション)の四つ の造形要素をあつかっている。

 明暗の直線的系列で、11段階の無彩色標準紙を使うことによって、

明るさとしての明暗の性質を学習している。さらに、その後に材料的 な明暗として雑誌の切抜きを使った作品を制作させている。この明暗 の学習で、「トン・ツー」「ツー・ツー」などのような明暗の性質を指 導している。

色彩においては、2年での練習と同じように、rまよいみち」を使っ た練習をおこなっている。

 メタモルフォーゼ(材料の転生)による立体構成は、さまざまな材 料をつかった、見立て教材である。メタモルフォーゼによって、材料 と形体に関する感覚練習を行っている。これは、材料に対する関心を

第55図  ヨ男  ふしぎなどうぶつ

図53ふしぎなどうぶつ

第89図3男 おへやの准か

図54おへやのなか

高めさせるための練習的題材である。身近にあるさまざまな材料を子 どもに集めさせ、それを組み立てて動物やロボットなどを自由な発想 で作らせ、材料に対する関心と創造力を高めることを目的としている。

 図53「ふしぎなどうぶつ」は、角のある頭部を粘土で作り、胴体を タワシ、尻尾は包み紙を芯にしてゴム粘土でタワシの帯の針金に結び 付けている。尻尾はまるでゴジラの尻尾のようにゴツゴツとした突起 がつけられている。材料を自由に見立てて、新たな形を創造していく 練習である。

構成(コンポジション)練習で紹介されている図54「おへやのなか」

という作品は、線による構成の発展である。線の方向や線によって作 られる空間の構成の間題である。このことで養われる知性としての造 形感覚に注目している。

4年生の作品

4年 掲載作品数 18点 造形要素 取り扱い項目・内容 使用材料例 作品名 記載頁

明暗 明暗と色彩の当合 クレパス ごばんめもよう

9

明暗 明暗対比と量感の表現 鉛筆 自い球の表わし方 11

明暗 明暗による自由もよう クレパス ごばんめのまよいみち 21

明暗 閉暗糠習とフオト・モンタージュ 雑誌切抜き わっかのもよう 32

色彩 色と子供のテクニック 絵の具 点のもよう 65

材料 材料の平面構成 布切れ はり絵 78 材料 カードによる立体構成 紙・絵の具等 カードのくみたてあそび 101

構成〔コムポジション) 児童の線に現われた知性 テープ 直線のもよう 125

携成〔コムボジシヨン) 児童の線に現われた知性 線のもよう 125

構成(コムポジション) 形に対する意識と単化練習 クレパス 三角形のもよう 158

図55まよいみち

明暗点8点、色彩1点、材料3点、構成(コンポジション)6点 明暗… 明暗と色彩の配合、明暗対比、フォトモンタージュ 色彩… 色とこどものテクニック

材料…  平面構成、立体構成

構成(コンポジション)…  線による構成、形体の構成

 明暗練習が8点、そのうち3点がフォトモンタージュで雑誌の切抜 きを使っている。「まよいみち」を使った明暗の構成練習、そして、材 料的なあつかいとしてもとらえられるフォトモンタージュの練習を4 年生であつかっている。新しい表現素材を求め、モダンテクニックを 多くあつかうようになっているのは、モホリ・ナギの影響があるよう

に考える。