国 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 を め ぐ る エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 の 分 析
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(2) ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の 現 状 と 課 題. ウ ン セ リ ン グ が 求 め ら れ て い る が 、 実 情 は 米uと. は ほ ど遠 い 。. これ ま で エ ー ジ ェ セ シ ー 関 係(p裸 点 か ら ク ヒジ ッ トカ ウ ン セ リ ング 事 業 を分 析 した研 究 は ほ とん ど な い。 本 稿 で は、 直 接 的 で は な い が エ ー ジ ェ ン シー 理 論 を利 用 して 米 国 の カ ウ ン セ .リング 事 業 を.分析 した:先行 研 究 を、 債 権 者 と カ ウ ンセ リング 機 関 との エ ー ジ ェ ン シ ー 関係 だ け で な く、 債 務 者 、 カ ウ ン セ ラ ー を含 む5つ の サ イ ク ル型 の エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 に分 析 を拡 張 す る と と もに、 日米 の お か れ て い る状 況 の 違 い か ら くる エ ー ジ ェ ン シ ー 問 題 を生 み 出 す 要 因 お よ び それ を解 消 す る た め の 解 決 策 の 日米 の 相 違 を検 討 す る。 ま た 、 多重 債 務 者 の 消 費 行 動 の 側.面を追加 す る こ と に よ って 説 明 力 を上 げ る こ と を意 図 して い る。. 2.ク. 2.1エ. レジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 を め ぐる エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係. ー ジ ェン シ ー理 論. こ こ で はJensenandMeckling(1976)に. よ る実 証 的 工 一 ジ ェ ン シ ー 理 論 を用 い、 カ ウ ン. セ リ ン グ 事 業 を 分 析 す る 。 こ の 理 論 で は 、 す べ て の 人 間 関 係 が プ リ ン シ パ.ル(依 ー ジ ェ ン ト(代 理 人)の. 契 約 関係. 「エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係1と. し て 分 析 され る. 頼 人)と. エ. 。 この 関 係 に お. い て 依 頼 人 で あ る プ リ ン シ パ ル と 代 理 人 で あ る エ ー ジ ェ ン トの 経 済 的 動 機 や 効 用 最 大 化 へ の 利害 が常 に. 致 す る と は 限 らず 、 企 業 は 、 そ れ ぞ れ 異 な っ た 利 害 を も つ 多 く の ス テ ー ク ホ ル. ダ ー か ら 構 成 さ れ る エ ー ジ ェ ン シ ー 契 約 の 束(ネ. ク サ.ス)と. さ れ 、.株 主 を プ リ ン シ パ ル 、 経. 営 者 を エ ー ジ ェ ン トと す る エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 、 経 営 者 を プ リ ン シ パ ル 、 従 業 員 を エ ー ジ ェ ン トと す る エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 な ど が 、 契 約 の 束 と み な され る 。 エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 に あ る 両 者 は 情 報 収 集 、 処 理 、 伝 達 能 力 に 限.界 が あ る た め 両 者 の 情 報 は 非 対 称 的 で あ り、利 害 が一 一致 せ ず 、 情 報 の 非 対 称 性 が 存 在 す る 状 況 に お い て 、 エ ー ジ ェ ン トが プ リ ン シ パ ル の 意 図 ど お り に 行 動 す.る と は 阪 ら な い 。 こ の た め 情 報 優 位 に あ る エ ー ジ ェ ン トが 、 情 報 の 非 対 称 性 を 利 用 して 自 己 利 害 を 機.会 主 義 的 に 追 及 す る 可 能 性 が あ り、 こ こ で 起 こ る 非 効 率 な 問 題 が モ ラ ル ハ ザ ー ドで あ る 。 ま た 情 報 格.差 に よ り 契 約 前 に プ リ ンパ ル の 不 備 に つ け こ む 非 効 率 な 行 動 が 逆 選 択 で あ り.、こ れ ら は 非 効 率 な 資 源 利 用 行 動 か らエ ー ジ ェ ン シ ー 問 題 と 呼 ば れ る 。 こ の よ う な エ ー ジ ェ ン シ ー 問 題 の 発 生 を 防 ぎ.、エ ー ジ ェ ン トの 行 動 に よ っ て 、 財 の 非 効 率 な 利 用 と 配 分 か ら生 じ る エ ー ジ ェ ン シ.一コ ス トの 発 生 を 防 ぐ た め 、 プ リ ン シ パ.ル の 利 害 か ら エ ー ジ ェ ン トが 逸 脱 し な い よ う 適 切 な.イ ン セ ン テ ィ ブ や 制 度 を 展 開 し、 コ ス トを か け て エ ー ジ ェ ン トを モ ニ タ リ ン グ す る 制 度 の 必 要 性 が 生 じ る 。. 2.2エ. ージ ェン シ ー関係. fi.接的 で は な い が エ ー ジ ェ ン シ ー 理 論 を も と に 、 米 国 の カ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の 歴 史 的 経 過. 一14一 rき ﹁..
(3) ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ング 事 業 の 現 状 と課 題. を分 析 したStaten(2006)は. 、 カ ウ ンセ リ ング事 業 が か か え る問 題 点 を、 債 権 者 と機 関 の 利. 害 が.一 ・ 致 しな い こ とか ら く る双 方 の 効 用 の低 下 と した 。 この.問題 が生 じた原 因 は、 債 権 者 、 機 関 双 方 が 持 つ 情 報 の 非 対 称 性 に あ る と し、情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ る た め 、 カ ウ ンセ リ ング 機 関 の標 準 化 や ク レ ジ ッ ト ・ビ ュ ー ロ ー ・に よ る個 人 信 用 情 報 の 活 用 が 有 効 で あ る と論 じ て い る。 しか し 日米 の 機 関 の もつ 問題 が 惰 報 の 非 対 称 陛 か ら く る もの で あ っ て も、 それ が 生 じた原 因 や お か れ た状 況 が 異 な り、 解 決 案 も異 な る。 エ ー ジ ェ ンシ ー 関 係 か ら カ ウ ン セ リ ング 事 業 を分 析 す る と、(1>債 金 を募 る活 動 と、(2)債 の2つ. 権 者 か ら財 源 で あ る 資. 務 者 か ら カ ウ ンセ リング に よ って 債 権 者 の 資 金 を回 収 す る活 動 、 こ. に 分 化 で き る。 図1に. あ る よ う に、 こ れ まで は債 権 者 が プ リ ンシパ ル で 、 債 務 者 が エ. ー ジ ョ ン トで あ る 関係(第5の. 関 係)に. お い て 、 借 入 返 済 を主 とす る研 究 しか行 わ れ て こ な. か っ た。 しか し実 際 債 務 者 や 債 権 者 を取 り巻 く関 係 で は 、垂 直 方 向 の み の 取 引 だ けで は な く、 複 雑 な サ イ クル 型 の エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 が存 在 す る こ とが わ か る。 す な わ ち 債 権 者 で あ る消 費 者 金 融 会 社 、 ク レ ジ ッ トカ ー ド会 社 、 銀 行 な どが プ リ ン シパ ル で あ り、機 関 がエ ー ジ ェ ン トで あ る関 係(第1の. 関 係 〉 と、債 務 者 が プ リン シパ ル で 、機 関 が エ ー ジ ェ ン トとな る関係(第. 2の 関係 〉 で あ る。 通 常 、 債 権 者 は債 務 者 か ら直 接 、返 済 を受 け る が、 債 務 者 か らの1)MP(見} に よ る返 済 で は 、 そ こ に機 関 が 介 在 して 自力 で の 返 済 を助 け、 自己 破 産 を 選 択 せ ず 、 債 権 者 は損 失 を減 少 させ る こ とが で き る た め、 第2の 関 係 に お け る結 果 が第1の. 関係 に お け る 効 用. の 最 大 化 に影 響 を及 ぼ す こ と に な る 。. 図1ク. レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 を め ぐ る エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係. P1…. PS. 一. …一. →[Al]. 債 権 者. … カ ウ 蜜塗 司 . メaz 一 唾1 . [P2] 厩 鰯掴. AS. ドゴ. 巨 蕉ユ.... 評P4. 機 関 の 関 係 性 の 大 き な 特 徴 と し て 、 機 関 を プ リ ン シパ ル と し カ ウ ン セ ラ ー を エ ー ジ ェ ン ト と す る 関 係(第3の る 関 係(第4の. 関 係)、 債 務 者 を プ リ ン シ パ ル と し 、 カ ウ ン セ ラ ー を エ ー ジ ェ ン ト と す. 関 係)も. あ る.こ. こ で 生 じ や す い 問 題 点 は 以 下 の 通 り で あ る。 機 関 で 扱 う タ. 一15一.
(4) ク レ ジ ッ トカ ウ ンセ リ ン グ 事 業 の 現 状 と 課 題. ス ク は各 々 が個 別 事 案 で あ り、.カウ ン セ ラ ー個 人 の スキ ル に依 存 し、 個 人 情 報 保 護 と守 秘 義 務 の 観 点 か ら カ ウ ンセ リン グ 中 の情 報 共 有 は な く、 モ ニ タ リ ン グ も不 可 能 で あ り、機 関 に と. っ て モ ラル ハ ザ ー ドが生 じや す い 。 債 務 者 個 人 に は 、 担 当す る カ ウ ンセ ラ ーの 資 質 、 ス キ ル の 問 題 が大 き く、 機 関 の 評 判 が よ くて も カ ウ ンセ ラー が 問 題 とい う場 合 も あ り、 債 務 者 に と って 情 報 の 非 対 称 性 が 存在 し、 逆 選 択 が 生 じる可 能 性 が あ る 。 また 債 務 者 が個 人 情 報 を提 供 し、 カ ウ ンセ リン グ契 約 締 結 後 に 担 当 カ ウ ン セ ラ ー の ス キル 不足 が わ か って も、 カ ウ ンセ リ ング と い う性 質 上 、 簡 単 に 担 当 カ ウ ンセ ラ ーの 変 更 が で きず 、 ホ ール ドア ッ プが 生 じる場 合 も あ る。 こ の た め タス クへ の 意 思 決 定 と責 任 、 成 果 は 一 般 企 業 とは 異 な り、 カ ウ ンセ ラ ー個 人 が 債 務 者 個 人 に 行 う対 応 が 機 関 の 評 判 や 成 果 につ な が りや す い 、 、 ま た債 権 者 の 利 害 を 無 視 して 、 カ ウ ンセ ラ ーが 独 断 で 債 務 者 の 利 益 の み を追 求 す る可 能 性 も高 い。 以 上 か らカ ウ ンセ ラー が 債 務 者 個 人 、 債 権 者 に 対 して 及 ぼ す 影 響 は大 き く、 潜 在 的 に エ ー ジ ェ ン シ ー 問題 を 内 在 させ 、3者 間 の エ ー ジ ェ ン シ ー 関係 に も大 き く関 与 す る。. 3.米. 国 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 を め ぐ る エ ー ジ ェ ンシー 関係 の分 析. 3.1米. 国 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の 現 状. 統 計 的 に は 、 米 国 で は 過 去5年 間 で は 米 国 の 全 世 帯 の10%以. 間 、 年 平 均150万. 人 の 債 務 者 が 個 人 破 産 を し、 過 去io年. 上 が 破 産 して い る(v。 こ の た め 機 関 は 債 務 者 が 抱 え て い る 問 題. をpGp6Xし 、 債 務 不 履 行 に よ る 損 失 を 減 ら す と い う 経 済 的 な 役 割 を 持 つ 。 ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 活 動 は 、195ユ 年 に 債 権 者 が 設 立 し た 非 営 利 ネ ッ トワ ー ク で あ る 全 米 消 費 者 信 用 協 会 (NationalFederafionofConsumerCounseling:以.FN.FCC)と (ConsumerCreditCounselingService)が. 、 そ の 下 部 組 織 で あ るCCCS. 中 心 と な り 、 全 国 に 約1500ヵ. 所 の 窓 口(5;が あ る 。. こ こ で 提 供 さ れ る 商nnZ#,..・ 般 消 費 者 も.含ん だ 消 費 者 教 育 、 問 題 を 抱 え た 債 務 者 へ の 金 銭 管. 理 .カウ ンセ リ ング 、債 務 整 理 な ど生 活 設 計 に関 す ζ業 務 と、CCCS独 ManagementPlan:以 内 国 歳 入 法(IRA)に. 下DMP)と. 自 の債 務 返 済 計 画(Debt. 呼 ば れ る 計 画 案 の 策 定 を 通 じ た 返 済 管 理 で あ る。 機 関 は. よ る 非 営 利 の 機(7.と. 営 利 機 関 が あ り、 業 界 で は 会 員 資 格 の. 「ベ ス ト・. プ ラ ク テ ィ ス 」 を 定 め 免 許 制 度 と し 、 カ ウ ン セ ラ ー は 一...一 定 の 訓 練 を 受 け て 認 定 さ れ 、.対面 か 電 話 で の 個 別 セ ッ シ ョ ンで 家 計 カ ウ ン セ リ ン グ を 行 い 、 必 要 に 応 じDMPを 年10月. に 施 行 され た 新 破 産 法 に よ り 、 破 産 の 中 し 立 て6か. 作 成 す る 。2005. 月 前 に カ ウ ン セ リ ン グ を受 け る. こ と が 義 務 付 け ら れ 、 新 た な ニ ー ズ と な っ て い る。 機 関 の 主 な 財 源 は 、 債 務 者 の 相 談 料 、 手 数 料 等 が 全 体 の3割. 、 残 り を 「フ ェ ア シ ェ ア 」 で. 賄 う(8)。 「フ ェ ア シ ェ ア 」 は 債 権 者 が 返 済 額 の う ち 一 定 割 合 を 機 関 に 寄 付 す る もの だ が 、 こ. 一16一.
(5) ク レ ジ ッFカ ウ ン セ リ ング 事 業 の 現 状 と課 題. の 割nも. 当 初15%か. ら 現 在 は7%に. ま で 減 少(0、. この た め債 務 者 の 相 談 料 、 手 数 料 を 引 き上. げ 財 源 確 保 を 行 っ て い る 。 現 在 、 カ ウ ン セ リ ン グ 料 は 平 均 約 ユ3ド ル 、DMP作 用 は ユ4ド ル 、 参 加 手 数 料23ド. 3.2米. ル 、DMP管. 理 料 が 月 々 平 均10ド. 成 にかか る費. ル 程 度 〔Dに な っ て い る 。. 国 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係. 米 国 の カ ウ ンセ リ ン グ事 業 はgo年. 代 前 半 ま でNFCCの. セ ラ ーの 対 面 セ ッ シ ョ ン と フル サ ー ビス 〔 帥、DMPが. ほ ぼ 独 占事 業 で あ り、 認定 カ ウ ン. 作 成 さ れ ず と も書 面 に よ る ア ク シ ョ ン. プ ラ ンの 作 成 な ど の ル ー ル が あ り、 収.入源 は 「フ ェ ア シ ェ ア」 とい う ビ ジ ネ ス モ デ ル が 確 立 して い た 。 債 権 者 がNFCCの. 理 事 会 の メ ンバ ー と して参 加 、 非 営 利 組 織 と して 社 会 的 事 業 の. 側 面 を尊 重 し、 債 権 者 は機 関 に 品質 の 向 上 と維 持 を求 め た 。 計 る べ きパ フ ォ ー マ ン ス尺 度 が 債 権 者 へ の 返 済 額 だ けで は な く、 ル ー ル が 決 め られ 、 債 権 者 が理 事 会 を通 じモ ニ タ リ ング で きた こ とで 、 第1の. 関係 で 利 害 の 一 致 は な くと も情 報 の 非 対 称 性 は 少 な か っ た 。. 90年 代 後 半 の 延 滞 ・破 産 の 急 増 に よ りDMPの. 需 要 が 増 大 し、 新 しい機 関 が 次 々 と設 立 さ. れ 、 これ ら機 関 は1か 所 の コ ール セ ン ター か ら電 話 を活 用 し た全 国 サ ー ビ ス と効 果 的 な広 報 活 動 を行 い 、 相 談者 の 割 合 を最 大 化 し提 供 す る サ ー ビス を最 小 化 して コ ス トを 削 減 し、 収 入 とな るDMPの. み に 集 中 す る ビ ジ ネ ス モ デ ル を展 開 し た。 新興 機 関 の サ ー ビ ス や カ ウ ンセ ラ. ー の 質 、.対応 に は ば らつ きが 生 じて い た が 、 債 権 者 は 、 これ ら機 関 の モ ニ タ リン グが コ.スト 的 に も不 可 能 で あ っ た た め 、情 報 の非 対 称 性 が広 が っ て 逆 選 択 が 起 こ っ た。 同 時 に 消 費 者 は どの機 関 が 正 当 な カ ウ ンセ リン グ機 関 な の か 判 断 で きな く な り、 情 報 の 非 対 称 性 に よ るモ ラ ルハ ザ ー ドが 生 じ て新 規 機 関 は その ま ま利 益 を上 げ 、業.界の 評 判 は悪 化 した 。 これ ら情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ る 解 決 案 と して 、 業 界 は業 界 団 体 の 会 員 資 格 と して 「ベ ス ト・プ ラ ク テ ィ.ス」 を定 め、カ ウ ンセ ラー の 訓 練 及 び 認 証 制 度 を創 設 した 。.これ に よ り 「カ ウ ンセ リン グ」.の基 準 は統..一 ・ 化 され 、 モ ニ タ リン グ可 能 な 基 準 が 設 定 され 、 標 準 化 が 行 な わ れ た 。 「ベ ス ト ・プ ラ ク テ ィス」 は機 関 に 免 許 を与 えて 拘 束 姓 を 持 た せ 、 質.の向..Lと均 質 化 を 図 り、 プ リン シ パ ル の 意 図 か らエ ー ジ ェ ン トを逸 脱 させ な い 制 度 と な っ た 。.債権 者 も個 々 の機 関 を コ ス トを か けて チ ェ ッ ク、 監 査 して ベ ス ト ・プ ラ ク:ティス に満 た な い 機 関 へ の フ ェ ア シ ェア の 支 払 い を 保 留 、 成 果 ベ ー.スの フ ェ ア シ ェ ア ル ール を 採 用 した り、助 成 金 ベ ー ス ア プ ロー チ に移 行 して い る企 業 も あ る。 ベ ス ト ・ブ ラ ク テ ィス は情 報 の 非 対 称 牲 を減 ら し、 機 関 の イ ンセ ンテ ィブ を高 め モ ラル ハ ザ ー ドを抑 制 して い る。 第2の 関 係 に お い て は 、 新 興 機 関 が参 入 す る ま で、 カ ウ ン セ リ ング 業.界はNFCCの. みで あ. っ た た め 、 カ ウ ンセ ラ ーの 性 格 や 状 況 、 差 別 意 識 や 好 み に 相 談 者 へ の 対応 が 左 右.され る こ と は あ っ て も、 一...・ 定 基 準 の カ ウ ンセ リ ング とサ 「 ビ ス を提 供 され 、 債 務 者 はNFCCと. い うブラ. ン ドに よ り情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ る こ と が で.きた とい え る。 しか し新 興 機 関 の 参 入 に よ り情 報 の 非 対 称 性 が増 大 し、債 務 者 は正 当 な機 関 が ど こ なの か 判 断 す る こ と がで きな くな り、. ̲17̲.
(6) ク レジ ッ トカ ウ ンセ リ ン グ 事 業 の 現 状 と課 題. かつ 債 権 者 もど こが よ い の か 推 薦 す る こ とが で き な くな っ た 。 この 問 題 を解 決 す る た め 、 連 邦 政 府 と州 の 規 制 当 局 は連 盟 で 、 消 費 者 に対 し機 関 を 選 択 す る際 に 十 分 注 意 す る よ う勧 告(io7を行 っ た。 ま た悪 質 な業 者 、 違 反 業 者 を摘 発 し、.一..一 部 の州 で は 手 数 料 を 高 く取 る可 能 性 が 高 い 鴬 利 企 業 を 禁.Jl=する制 度 の 準 備 を進 め て い る。 現 在 NFCCが. そ の ブ ラ ン ドを再 び 確 立 させ 、業 界 に よ る ベ ス ト・プ ラ クテ ィ ス が作 られ た こ と で 、. 債 務 者 が情 報 の 非対 称 性 に よ り機 関 を 選 択 で きtdい とい う状 況 は減 少 して い る。. 4.日. 本 の ク レジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ事 業 を め ぐ る エ ージ ェン シー関 係 の分 析. 4.1日. 本 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の 現 状. 日.本で は 自 己破 産 者 数 が減 少 して い る もの の 、 潜 在 的 な 多重 債 務 者 数 が減 少 して い る わ け で は な い。 実 際 、 全 国信 用情 報 セ ン タ ー連 合 会 のT成18年4月. 公 表 の デ ー タで は 、3か 月 以. 上 滞 納 の 事 故情 報 数 は267万.人 に 上 り、 潜 在 的 な 多重 債 務 者 は200万. 人 と想 定 され る。 この. 数 値 は 米 国 の破 産 者 数 を超 え て お り、 カ ウ ンセ リ ング事 業 の 潜 在 顧 客 が 実 際 に は 多 い こ と を 意 味 す る。 日本 で も破 産 や 債 務 整 理 及 び 過 払 い 請 求(ll;は弁 護 士 及 び 司 法 書 士 の 業 務 で あ り、 機 関 は 営 利 、 非 営利 が あ り、 都 道 府 県 の 自治 体 の 相 談 窓 口、 業 界 に よ る非 営 利 団 体 、 組 合 の 相 互 扶 助 組 織 な ど、 様 々 な形 態 を と る。 主 な 商 品 は金 銭 管 理 カ ウ ンセ リン グ、 消 費 者 教 育 で あ り、 カ ウ ンセ ラー の 資 格 は決 ま っ て お らず 、 主 に消 費生 活 ア ドバ イザ ー、 消 費 生 活 コ ンサ ル タ ン ト、FPが. カ ウ ンセ リ ング を行 っ て い る、 、. 業.界の 中心 的 な機 関 は 、財 団 法 人 口本 ク レ ジ ッ トカ ウ ンセ リ ング協 会 で あ り、1987年. 、日. 本 弁 護 士 運 合 会 、 消 費 者 団 体 等 と ク レ ジ ッ ト協 会 が 協 力 し、 通 産 省 の 外 郭 団 体 と して 発 足 、 全 国3か 所 で展 開 。 財 源 は 導初 、 ク レ ジ ッ トカ ー ド業 者 か らの 寄 付 が 主 で あ っ た が 、2002年 か ら銀 行 、消 費 者 金 融 業 者 な ど賛 助 団 体 が18に 増 加 し収 益 構 造 が安 定 、 今 後 拠 点 を11ヵ 所 に 拡 大 予 定(t21であ る。 他 の 公 的 、 非 営 利 σ)機関 も会 員 企 業 や 個 人 会 員 か らの 会 費 が 運 転 資 .金で あ り、 社会 的 事業 と い う観 点 か らか 相 談 料 は 無 料(is)で あ る。. 4.2日. 本 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係. 上 記 の よ う に、 カ ウ ンセ リン グ事 業 の お か れ て い る状 況 、 情 報 の 非 対 称 性 を もた らす 要 因 は 日米 で は か な り異 な る。 第1の. 関係 で は 、カ ウ ンセ リ ング サ ー ビ ス の 提 供 に お い て 、消 費 者金 融 、ク レ ジ ッ トカ ー ド、. 信 販 な ど業 界 団体 が独 自 に機 関 を設 立 し、NFCCの. よ う な業 界 団 体 に よ る機 関 は存 在 しな い。. こ れ は 個 人信 用情 報 で も同 様 で あ り、 米 国 で は個 人 信 用 情 報 が ク レ ジ ッ ト ・ビ ュ ー ロ ー で 共. 一is一.
(7) .﹁... ク レ ジ ッ トカ ウ ンセ リ ン グ 事 業 の 現 状 と 課 題. 有 され 、 債 務 者 も債 権.者も情 報 を利 用 す る こ とで情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ て い る。 日本 は 業 界 ご と に信 用情 報機 関 が 異 な り、 す べ て の 情 報 共 有 は不 可 能 で あ る。 この よ う な業 界 事 情 の た め、 機 関 も業 界 ご と に設 立 され て い る と も言 え る が、 業 界 に よ る設 立 機 関 は関 与 や モ ニ タ リ ング が容 易 で あ る た め、 両 者 の 問 の 情 報 は対 称 性 が存 在 す る。 また社 会 的 事 業 と い う業 界 の イ メ ー ジ の ア ップ か ら、 業 界 が負 担 す る コ ス トに対 しモ ラル ハ ザ ー ドが 生 じて い る と は 言 え な い 。 「カ ウ ン セ リ ン グ」 にお け る統 一 基 準 や 、機 関 に対 す る明 確 な基 準 が な く、 営 利 、 非 営 利 、 公 的 機 関 が 混 在 し、提 供 して い る サ ー ビ.スも 品質 も様 々 、 人 材 もば らつ きが あ る。 どの 機 関 が適 切 で あ るか の 情 報 は エ ー ジ ェ ン トの み が持 ち 、 債 権 者 で あ る プ リン シ.パル が 正 確 に把 握 す る は 困 難 な た め 、 自 ら設 立 に 関.与 しモ ニ タ リ ング で き る機 関 以 外 に 資金 を提 供 、 また は寄 付 す る こ とは 難 しい。 しか し機 関 の 性 質 上 、 債 権 者 か らの 寄 付 及 び 資金 提 供 が な け れ ば 、 事 業 を安 定 し拡 大 して い く こ と は難 しい 。 第2の. 関 係 で も同 様 の こ と が言 え る。 債 務 者 に は 、 カ ウ ンセ リ ング事 業 が 幅 広 く認 知 さ れ. て お らず 、 機 関 の サ ー ビ ス 内 容 や 種 類 、 提 供 方 法 な どの 情 報 が 正 確 に伝 わ って い な い た め 、 ど こ が 自分 に とっ て 最 適 な機 関 で あ るか 判 断 で き る情 報 と基 準 が な く、情 報 の 非 対 称 性 が 大 きい 。 第4の. 関 係 で は 、 債 務 者 は機 関 の存 在 を認 識 し て も、 カ ウ ンセ ラー の ス キ ル の 程 度 、. 資 格 が 自分 の相 談 に 適 切 か ど うか が わ か らず 、 対 応 す る カ ウ ンセ ラー へ の 不 安 が生 じ る。 日 本 の 非 営 利 の機 関 に み られ る互 助 的 意 味 合 い の 組 織 で は 、 ス キ ル よ り多 重 債 務 や 自 己破 産 の 経 験 者 を カ ウ ンセ ラ ー と して雇 用 す る機 関 もあ り、 早 期 に 問 題 解 決 を した い債 務 者 と、 相 談 に の りた い カ ウ ンセ ラ ー と の利 害 が 一 致 しな い 可能 性 も高 い 。 これ は 同 時 に第3の. 関係 に も. 生 じ、 カ ウ ンセ ラー と して の ス キル や 資 質 は エ ー ジ ェ ン トで な けれ ば わ か らず 、 資格 も な い た め シ グ ナ ル が 明確 で な く、 情 報 の 非 対 称 性 が 米 国 に比 べ も大 き い。. 4.3日. 本 の ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の エ ー ジxン. シ ー 問題 の 解 決 案. 米 国 で は、エ ー ジ ェ ン シー 関係 の情 報 の 非 対 称 性 を減 少 す る ため 、 「ベ ス ト・プ ラ ク テ ィ ス」 を定 め カ ウ ンセ リ ング の 標 準 化 を行 っ た 。 こ れ で 機 関 や カ ウ ンセ ラ.一の シ グ ナ ル が 明 確 に な りシ グ ナ リ ング が 行 わ れ 、 債 権 者 に は ス ク リー ニ ン グ が 可 能 とな っ た。 ま た質 の均 質 化 が 図 られ た こ とでパ フ ォ ー マ ン.ス尺 度 が 一 定 と な り、 モ ニ タ リ ン グが 可能 に な った 。 日本 の カ ウ ンセ リ ン グ事 業 を米 国 と比 較 す る と、 情 報 の 非 対 称 性 を引 き起 こ して い る もの は 、 ① 業 界 団体 が ひ とつ に ま と ま って い な い 、 ② 機 関 の 認.可 ・認 定 制 度 や カ ウ ンセ ラ ー の 資 格 制 度 が な い、 ③ 個 人 信 用 情 報 の 共 有 化 が な い、 な ど が 大 き い 要 因 で あ る.こ の た め 両 者 の 非 対 称 性 を早 期 に減 少 させ る に は(1)事. 業 全 体 の 制 度 的 仕 組 み と基 準 の 制 定 、(2)機. 関 へ の 適 切 な 認 可 、 カ ウ ン セ ラー の 資 格 制 定 、(3)業. 界 団 体 に よ る評 価 機 関 か 、 第3者. の評. 価 機 関 の 存 在 、 が有 効 で あ る と考 え る。 公 的 機 関 も し くは 米 国 の例 に倣 い業 界 横 断 的 な組 織 に よ る制 度 や基 準 が 制 定 され れ ば 、 カ ウ ン セ リン グへ の 基 準 も決 定 され る。 それ に よ り、 カ. 一19一.
(8) ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事 業 の 現 状 と 課 題. ウ ン セ リ ング 事 業 の 枠 組 み が統 一 され 、 適 切 な機 関 へ の 認 可、 カ ウ ン セ ラー の 資格 化 が 実 施 され れ ば 、債 権 者 、 債 務 者 に と っ て 情 報 の非 対 称 性 が 減 少 す る。 制 度 に よ り機 関 を評 価 す る 基 準 が で き評 価 機 関 が で きれ ば 、 個 別 機 関 に対 し.債 権 者 に よ る独 自調 査 の 手間 と モ ニ タ リ ング の コ ス トか ら機 関 へ 資金 を提 供 、 寄 付 へ の イ ンセ ン テ ィブ が低 くな つ て い た もの を 減 少 させ る。 債 権 者 は 評 価 機 関 を通 じ、 機 関 の 優 劣 、 可 否 を客 観 的 に 判 断 で き、 さ ら に詳 細 な情 報 を入 手 で きれ ば 、 自 らの 効 用 を 最 大 化 させ て くれ る機 関 に寄 付 す る イ ンセ ン テ ィブ は ア ッ プ す る.客 観 的 評価 に よ り債 権 者 が機 関 を モ ニ タ リ ン グで き る よ うに なれ ば 、 自己 破 産 で 被 る損 失 増 加 を抑 制 す る た め 、米 国 で 効果 が 実 証 され て い る ク レジ ッ トカ ウ ンセ リン グ を求 め 、 選 定 した機 関 へ 出 資 、寄 付 を行 う イ ン セ ンテ ィブ が 強 ま る。 評 価 機 関 に お い て は 、 目本 独 自 の 基 準 を採 用 す る必 要 が あ る.[本. 式の無担保 による消費. 者 金 融 は米 国 に は な く、 米 国 の 多 重 債 務 者 は ク レジ ッ トカ ー ド利 用 率 が 高 く、 日本 と は 多重 債 務 の 質 が異 な る 。 ま た米 国 で は ク レ ジ ッ ト ・ビ ュ ー ロ ー に よ る ス コ ア リ ング が 一 般 的 で あ り、 債 務 者 の ク レジ ッ ト利 用 行 動 の 変 化 や 改 善 を 、債 務 者 と債 権 者 だ けで な く、機 関 も ス コ ア リン グ を通 して客 観 的 に把 握 す る こ とが で き る』 多 重 債 務 者 が 自 身 の.スコア リン グ確 認 を す る こ とで 、 リボ ル ビ ング利 用 を減 らす こ と も実 証 され て い る。 しか し、 目本 で は ク レ ジ ッ トス コ ア リ ング が 行 わ れ ず 、個 人 信 用情 報 の 共 有 化 もな い た め、 機 関 は 債 務 者 が 申告 す る情 報 しか 入 手 で きず 、 債 務 者 に と っ て 本 当 に 適 切 な カ.ウン セ リ ン グ を行 っ て い る の か ど うか 、 機 関 に と って も債 務 者 自身 に と っ て も冠 判 断 が難 しい ケ ー ス も 出 て く る。 カ ウ ン セ リ ン グ事 業 や機 関 と して の評 価 だ け で な く、 ス コア リン グ よ うに 、 個 人 の カ ウ ンセ リ ン グが 適 切 に 行 わ れ て い るか ど うか を客 観 的 に 評 価 す る慕 準 が 日本 に も必 要 で あ る。 第2の 関 係 で は、 債 務 者 に対 しカ ウ ンセ リン グ事 業 を広 く告 知 す る こ とが重 要 で あ る 。 債 務 者 が 適 切 な 機 関 を 選 択 で き る よ う、 告 知 す る 内 容 は 明 確 に す べ きで あ る。 同 時 に 第3、 第4の. エ ー ジ ェ ン シ.一関 係 に お け る情 報 の 非 対 称 性 を 減 少 す る た め 、 ② の 機 関 の 認 可 、 カ. ウ ンセ ラ ーの 資 格 化 は 、 両 者 の逆 選 択 を緩 和 し、 効 用 を 最 大 化 させ る こ とにつ なが る,,機 関 も.金銭 管 理 に関 す る知 識 の 低 い カ ウ ンセ ラ・ 一の 雇 用 に よ る コ.スト負#u̲;が避 け られ 、......・ 定 レベ ル の カ ウ ンセ ラー雇 用 に よ り機 関 と して の 質 の 安 定 、 評 判 と成 果 の 向 .r.につ な が る。. 5..エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 に対 す る 消 費 行 動 の 観 点 か らの 分 析. 本 節 で は 、.これ まで の エ ー ジ ェ ン シ ー理 論 に 基 づ く分析 に 加 え て 、 完 全 合 理 性 の 仮 定 を 緩 め て 、 限定 合 理 性 の 立 場 に 立 っ た分 析 を試 み る。 こ の 限 定合 理 性 に基 づ き多重 債 務 者 の 行 動 を分 析 す る と、 先 行 研 究 ω〕で も.、多 重 債 務 者 の 意 思 決 定 上 の 歪 み が ク レ ジ ッ ト行 動 に 影 響 を及 ぼ して い る こ と が示 され て い る。機 関 の 潜 在 顧 客 で あ る、 こ れ らの 特 徴 を持 つ 多重 債 務. 一20一.
(9) ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ 事.業の 現 状 と 課 題. 者 が 、 なぜ 機 関 や カ ウ ンセ リ ン グ を 利 用 しな い の か を そ の消 費 行 動 か ら検 討 し、 ま た なぜ 情 報 の 非 対称 性 を減 少 させ る こ とが こ う した 問 題 の 解 決 につ な が る か を検 討 す る。 第2の. 関 係 で 多重 債 務 者 は 、 返 済 に 行 き詰 ま り機 関 を利 用 した い が 柑 談 して も役 に 立 た な. い 、 す ぐ に解 決 に至 らな い な ど2度. 手間 や 無駄 に な る 噂能 性 の あ る時 間 的 、 心 理 的 コ.ス トや. 返 済 以 外 に支 払 う相 談 料 な どの コ ス トに対 して 、 損 を大 き く感 じや す い 損.失回 避 的(]5)な 性 向 を有 して い る。 また 、 多 璽 債 務 者 に と り機 関 へ の ア ク セ スは 、 自 らの これ ま で の 多 重 債 務 行 動 を正 当 化 で き な く な る行 為 で あ る こ と か ら、 認 知 的 不 協 和(is;に陥 りや す い 。 そ の た め 心 理 的 コ ス トが 大 き くな り、 そ れ 以 上 の コ ス ト.負 担 を避 け た い とい う意 識 が 強 く働 く上 、 実 際 に金 銭 的 余 裕 が な い こ とが 多 い 。 機 関 の経 営 が 安 定 し、 潜 在 顧 客 で あ る 多重 債 務 者 を機 関 の 財 源 とせ ず 、 多 重債 務 者 が 無 料 で 利 用 で き る こ と は 、 か か る損 失 回 避 的 な性 向 や 認 知 的 不 協 和 か ら く る 多重 債 務 者 の機 関 へ の ア ク セ ス 回 避 を弱 め る こ とが で き る。 TVな. ど の 徹 底 的 なCM放. 送 が成 功 し た背 景 に は、 代 表 性(17)と利 用 可 能 性 〔ldlが 作 用 して. い る と考 え られ 、 多 重 債 務 者 は そ の 傾 向 が 強..、 と考 え られ る。 も しそ うな ら ば 、 そ れ を逆 に 利 用 して 機 関 や カ ウ ンセ リン グ を 幅 広 く認 知 させ る こ とで 、 その 利 用 を促 す こ とに つ な げ ら れ る。 これ に よ り 第2の 関 係 で 情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ る こ とが で き、 機 関 の ひ とつ が NFCCの. よ う に メ ジ ャ ー に な りプ ラ ス イ.メー.ジで 認 知 され れ ば、 多重 債 務 者 は そ の 情 報 を 認. 識 し、 心 理 的抵 抗 感 が 薄 ま り、機 関 へ の 利 用 促 進 につ な げ る こ とが で き る。 第4の. 関係 に も関 わ るが 、 機 関 の 認.可や カ ウ ン セ ラー の 資 格 化 は 多重 債 務 者 に 対 して い い. 意 味 で の シ グ ナ リ ン グ と な り、 主 観 的 割 引 率 鋤 が 高 く、 話 を す る だ け で な く そ の 場 で 実 際 的 な サt一. トを受 け 白己 利 益 を最 大 化 させ た い 多重 債 務 者 に とっ て 、 どの 機 関 で どの よ う な. 資 格 の カ ウ ンセ ラ ーが 対 応 し、債 務 整 理 が 可能 な機 関 か 否 か 、 自分 に と り適 切 な 機 関 か否 か の 情 報 を事 前 に 持 つ こ と は利 用 を促 す こ とに つ な が る,ま た 多重 債 務 者 は、 認 知 的 不 協和 同 様 、 現 状 維 持 バ イア ス ⑳ が 強 く、 多 重 債 務 の 状 態 が 続 け られ る な ら続 け た い とい うa:も 強 い こ と か ら、 この 意 識 を打 ち消 して 機 関 へ 向 か わ せ る た め の 心理 的 コ ス トは大 き く、 自 ら の 心 理 的 コ ス トに .見合 う だ け の機 関 、 カ ウ ン セ ラ ー か と い う判 断 に情 報 に 非 対 称 性 が 存 在 す れ ば機 関ヘ ア ク セ スす る可 能 性 を押 制 して しま う。 以 上 か ら、機 関 の 認 可 や 認 定 制 度 、 カ ウ ンセ ラ ー の資 格 化 が最 重 要 課 題 で あ る こ とが わ か る 。. 6.お. わ り に.. 先 行 研 究 で は 、 米 国 の カ ウ ンセ リ ング 業 界 で イ ン セ ンテ ィ ブ問 駆 を 生 み 出.し、 不 信 を増 加 させ 、 広 範 囲 な 機 関 の サ ー ビ ス に関 す る明 確 な 評 価 を阻 ん で い る の は 、 債 権 者 か らの 資金 援 助 へ の 依 存 で も機 関 間 の 競 争 の 激 化 で もな く、債 権 者 と ク レ ジ ッ ト.カウ ン セ リ ング 機 関 との. 一21一.
(10) ク レ ジ ッ トカ ウ ンセ リ ン グ 事 業 の 現 状 と 課 題. 間 に あ る情 報 の 非 対 称 牲 で あ る こ と が 明 らか に され た。 そ の...ヒ で 、 ク ラ イ ア ン トの 財 政 状 態 に 関 す る情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ る こ とで 、債 権 者 と機 関 と消 費 者 の利 益 を よ り密 接 に一 致 させ る価 格 設 定 ス キ ー ム を可 能 に す る こ とが 示 され た(Staten,2006)。 しか し これ ま で の 研 究 で は 、 債 権 者 を プ リ ン シパ ル 、 カ ウ ンセ リン グ機 関 を エ ー ジ ェ ン ト とす る 第1の エ ー ジ ェ ン シー 関 係 にの み 焦 点 が あて られ て い た。 本 稿 で は、 他 の4つ の エ ー ジ ェ ンシ ー 関 係 に 目 を 向 け 、 カ ウ ン セ リ ング 事 業 を中 心 とす る サ イ クル 型 の エ ー ジ ェ ン シ ー 関 係 を示 した こ とで 、 複 雑 に 絡 み 合 うエ ー ジ ェ ン シ ニ 関係 を前 提 に 、包 括 的 な取 り組 み を行 う必 要 が あ る こ と を明 らか に した 。 ま た、 カ ウ ンセ リン グ 事 業 の 問題 点 が 情 報 の 非 対 称 性 か ら生 じる とい う米 国 の 先 行 研 究 を踏 ま え た..ヒ で 、 日米 の お か れ て い る状 況 の違 い か ら く る情 報 の 非 対 称 性 を 生 み 出 す 要 因 お よ び そ れ を 減 少 させ る た め の 解 決 策 の 日米 の 相 違 を検 討 し た。 さ らに 、 これ ま で の 研 究 で は ほ とん ど触 れ られ て い な か っ た損 失 回 避 性 向 、代 表 性 、 利 用 可 能 性 、 認 知 的 不 協 和 、 現 状 維 持 バ イ ア ス な ど の 心 理 的要 因 が 、 情 報 の 非 対 称 性 と多 重 債 務 者 の ク レジ ッ トカ ウ ン セ リ ング 利 用 との 負 の 関係 を助 長 す る こ と を示 唆 し、 こ う した 心 理 的 要 因 か ら見 て も情 報 の 非 対 称 性 を減 少 させ る こ とが エ ー ジ ェ ン シー 問 題 の 解 決 につ な が る こ と を示 した。 情 報 の 非 対 称 性 を減 少 す る こ とで 、機 関 、 債 務 者 、 債 権 者 は それ ぞ れ の 効 用 を最 大 化 させ る方 向へ 向 か う こ と が で き、 機 関 は財 政 的 基 盤 と質 の 確 保 が 可 能 で あ る こ とが 示 唆 され た 。 日本 の カ ウ ンセ リ ング 事 業 の 潜 在 顧 客 は200万. 人 、 制 度 的 仕 組 が 作 られ 、機 関 の ビジ ネ ス モ. デ ル が 確 立 す れ ば 、 多重 債 務 者 の消 費 行 動 か ら も、 ひ とつ の産 業 と して成 立 す る 可能 性 は 否 定 で きな い と言 え る だ ろ う。. 【注. 】. (1)Staten(2006)TheEvolutionoftheCreditCounselingIndustryintheOnitedStates,"inBertola,G., Disney,R,andGrant,C.(eds.),77eeEcoraomscsof('ansumerCredit,TheMITYress,275一'299か (2)国 (3)グ. 民 生 活 セ ン タ ー(zoos>「. (4)内. 多.甫債 務 問 題 の 現 状 と 対 応 に 関 す る 調 査 研 究 く 概 要 〉 」 を参 照. レ ー ゾ ー ン金 利 は 、 出 資 法 で 定 め ら れ て い る 利 息 の 」.二 限29.2%と 20%の. 、 利息 制 限 法 で 定 め られ て い る利 息. 間 の利 息 で あ り、 改正 貸 金 業法 の 施行 に よ り撤廃 され る。. 閣 府 、 多 重 債 務 者 対 策 本 部http:〃www.kactei.go.lp/lp/sing瓦/saimu/index.htmlを. (5)DMPはNFCC傘. 下 のCCCS独. 自 の 債 務 返 済 計 画(Deb[ManagementPlan)の. (6>CCCSのHPhttp,:〃www.cccs.co.uk/about/abouWs.aspxを ⑦. ら引JH. 参照 略称. 参照. 内 国 歳 入 庁 の 規 定 で 、 非 営 利 法 人 は 非 課 税 資 格 を 申 請 で き る 。 こ の 数 に よ り新 規 の 機 関 の 参 入 数 を 知 る こ とが で きる。. (8)1992年. のNFCC.会. 年 後 に は58,3%に ⑨. 員 機 関 の 収 入 を み る と 、76%が. 債 権 者 か ら の フ ェ ア シ ェ ア に よ る も の で あ る が 、1(1. 減 少 してい る。. 消 費 者 教 育 、 金 銭 管 理 カ ウ ン セ リ ン グ(家. 計 管 理)、 債 務 管 理(債. こな うサ ー ビ スの こと. ̲2Z̲. 務 整 理 〉、 負 債 管 理 計 画 の す べ て を お.
(11) ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ事 業 の 現 状 と課 題. 〔10)内 国 歳 入Ji'、 連 邦 取 引 委 員.会 は2003年10n規. 制 当 局 と 共 同 で 、 消 費 者 に 注 意 を 促 す 共 同 の プ レ.ス リ. リ ー.ス を 発 表 、 よ い 機 関 の 選 択 に つ い て の 助 言 を提 供 し て い る 。 (11)グ. レ ー ゾ ー ン に よ る 出 資 法 で 取 引 し て い る 場 合 、 この 問 の 利 息 を 支 払 っ て い る 可 能 性 が 高 く 、. 利 息 制 限 法 に 引 き 直 し た 計 算 を し た 結 果 、 す で に 元 本 以 上 に 支 払 い を しす ぎ て い る 金 額 を 「過 払 い 」 と し て 返 還 請 求 す る こ と 。 取 引 か ら10年 (iz;財 (13;フ. さかの ぼ っ て請 求 で き る。. 団 法 人 日 本 ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リ ン グ.協会 のHPhttp;〃 ァ イ ナ ン シ ャ ル カ ウ ン セ リ ン グ 研 究 会(2007)「. ㎜}cca‑f.orjp/を. 参照. 最 終 報 告 書 」 資 料 よ り 引 用FCF. (14;行 動 経 済 学 の 分 野 に お け る 自 己 破 産 や 借 入 行 動 に 関 す る 先 行 研 究 が 中 心 で あ り、Kowalewski(1982)の 標 準 的2期. 間 モ デ ル と 将 来 所 得 の 不 確 実 性 に 関 す る研 究 、PrelecandLoewenstein(issa)の. 定 に 関 す る 研 究 、Iaibson(1997)の Sprengcr(2007)の. 心理 的 勘. 双 曲 的 割 引 モ デ ル の 研 究 、Carmereetal(2003),M董ere,S.,andC,. 現 状 維 持 バ イ ア ス の 研 究 な ど に 詳 しい 。. (15)損 失 回 避 性 は 利 得 よ り も 同 じ 規 模 の 損 失 を 、 価 値 ベ ー ス で は よ り 大 き く深 刻 に 感 じ る こ と を い う。 多iii 洋 介(2003)「. 行 動 経 済 学 入 門J日. 本 経 済 新聞 出 版 社 に詳 しい。. (16)認 知 的 不 協 和 は 一 度 認 め て し ま っ た こ と は 、 な か な か 撤 回 し に く く 、 言 動 を で き る だ け 一 致 さ せ よ う と す る 時 に 起 こ る 心 的 葛 藤 を い う。 (17)代 表 性(representativeness)は. 、 ブ ラ ン ドな ど に 代 表 され る 典 型 的 イ メ ー ジ を 、 同 様 の も の に 対 す る 判. 断 材 料 と しや す い こ と を い う。 多 田 洋 介(2003>「 (IH)利 用 可 能 性(availability;は と を 言 う。 多 田 洋 介(2003;「. 行 動 経 済 学 入 門 」 日 本 経 済 新 聞 出 版 社 に 詳 しい 。. 、 容 易 に思 い浮 か べ やす い事 象 ぽ ど 発生 率 が 高 く な りや す い傾 向 を もつ こ 行 動 経 済 学 入 門 」 日 本 経 済 新 聞 出 版 社 に 詳 し い 。,. (19)主 観 的 割 引 率 は 時 間 選 好 率 と も い い 、 将 来 価 値 ま た は 効 用 を 現 在 価 値 ま た は 効 用 に 引 き戻 す 場 合 、 消 費 者 が そ れ ぞ れ 暗 黙 の う ち に 想 定 す る 割 引 率 で あ る.多. 田 洋 介(2003)「. 行 動 経 済 学 入門 」 日本 経 済 新 聞. 出 版atに 詳 しい 。 (zo;現 状 維 持 バ イ ア ス は 、 意 思 決 定 を 行 う際 、 で き る だ け 後 悔 せ ず に す む 保 守 的 な 選 択 を 選 ぶ 可 能 性 の 表 れ で あ り 、 今 ま で と 同 じ行 動 を 維 持 し て 後 悔 す る よ り、 そ れ を や め て 違 う 行 動 を と っ て 後 悔 す る ほ う が 心. 惨. 考 文 献 】. 国 民 生 活 セ ン タ ー(2006)「. 多 重 債 務 問 題 の 現 状 と 対 応 に 関 す る 調 査 研 究 く 概 要 〉 」 独 立 行 政 法 人 国 民 生 活. セ ン タ ー一 多 田 洋 介(2003)「. 行 動 経 済 学 入 門 」 日本 経 済 新 聞 出 版 社. フ ァ.イ ナ ン シ ャ ル カ ウ ン セ リ ン グ 研 究 会(2007>「. 最 終 報 告 書 」FCF. Camere,C、,S.Issacharof」,G.LowensYein.,TO'Donoghue.,andM.Rabin(2003)"RegulafionforConservativee: BehavioralEconomicsandtheCasefor"AeymetricPaternalism,"UsrdversatyofPennsylv「ne「,/51:1211…1254. Jensen,M.C.,andWH.Meckling(1976)̀ー1'heTheoryoftheFir:ManagerialBehavior,AgencyCostsand OwnershipStructure..ワ. 伽 脱 α『げ 飛"α ηcゴαJEcoπo癬c∫,3=305‑360.. Jeneen,M.C.(2000)TheTheoryoftheF6rm:Governance,Residual,Claims,andOrganiz「ionodForms,Harvard OniversiLyPress. KowaLeski,K.J.(1952)̀PereonalBankruptcy:1'heoryandEvidence,"F,conomicReview,FederalReserveBank ofCleveland,Spring1‑29 Laibson,D.(1997)"GoldenFggsandHyperbolicDiscounting,"Qu「rterlyjoae>n「lofF,cnnamics,112;443‑447. 一23一. ︑茸.. 理 的 負 担 が 強 い た め 、 現 状 を 維 持 した ま ま に して お こ う と す る傾 向 の こ と を い う。.
(12) ク レ ジ ッ トカ ウ ン セ リン グ 事.業の 現 状 と課 題. Miere,S.,andC.Sprenger(200'̀9mpafienceandCreditBehavicr:UsingChoiceExperimentstoExplain 60rroeingandDefiulfing,"FederalReserveBankofBoston. Prelec,D.andG.Loewenstein(1998)̀ー1'heRedandtheBlack:Menalaccoutingofsavinganddebt,"M「rketing Science]7:4…'28 Staten,M.(2006)̀TheEvolu廿onoftheCreditCou罰selinglndustryintheUnitedStates,"inBertola,G.,Disney, R.andGrant,C.(eds.),TheEwxomirsofConsumerCredat,theMiTPress.. 【参 照. ウ. ェ ブ サ. 財 闇 法 人H本. イ. ト】. ク レ ジ ッ ト カ ウ ン セ リ ン グ.協 会 のHPhrtp://www.jcca‑f.or.jp/. 全 国 信 用 情 報 セ ン タ ー 連 合 会http://www.lcbJJPi/data/index,html 内 閣 府 、 多 重 債 務 者 対 策 本 部hτtp:〃www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/index.htrnl CCCSのHPhttp://www.cccs.co.uk/about/aboutus.aspx. 一24一.
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