免疫 電 気泳 動法 とその臨床 的応 用*
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(2) (208). 生物物理化学. が な く,比 較 的 安 価 で あ る点 で 同仁 ア ガ ロー ズII(和 光 純 薬)が す ぐれ て い る.し か し,原 料 が 天然 物 で,天 候 に よ りテ ン グサ の糖 の重 合 が 変 り,ロ ッ トに よ り品 質 が 変 るか も しれ な い ので,良 い ロ ッ トに 出会 った 際 に は, 大 量 に 同 じロ ッ トの ア ガ ロー ズを 購 入 し て貯 わ え てお い た 方 が,後 で パ タ ー ンを 比 較 す る場 合 に,同. じ条 件 のパ. ター ン とな っ て 都 合 が よい. 3.緩. 衝 液:pH8.6の. ベ ロ ナー ル 緩 衝 液 が 通 常 用 い. られ る.私 共 は そ の 組 成 を 検 討 し,乳 酸 カル シ ウ ム を 加 え た ベ ロナ ー ル緩 衝 液 と0.05Mの. トリシ ン 緩 衝 液 で. は,血 清 蛋 白の 易動 度 が 相違 す る の で,各 分 画 が 等 間 隔. 図2.寒. 天 電 気 泳 動 用 緩 衝 液 の組 成 と ヒ ト血 清 蛋 白 分 画 の易 動 度.. に 分 布 す る理 想 的条 件 と して,両 者 の混 合 に よ り中 間 の 易 動 度 が 得 られ る こ とを み い だ した.3)pHが. 同 じで あ っ. 1%ア. て もそ の 組 成 に よっ て血 清蛋 白,各 分 画 の 易 動 度 が 変 る 理 由 は,各 分 画 の 荷 電 ア ミノ酸 の存 在 状 態,水 和 性 な ど. 中 間 値 の パ タ ー ン と な り,T33:V66の 混合比は 理 想 分 離 像 に近 くな る.α1,α2の 中 間 に も2分 画. らは な して,重. な ら ない よ うに す るに は,緩 衝 液 の イ オ ン強 度 を 高 め, 0.025か ら0.05,0.075に. して,2mMの. を 加 え る.4)こ れ は 血 清 中 に は3mMのCaイ が,電 気 泳動 支 持 体 に 全 くCaイ. 各種緩衝液を用いた. ン緩 衝 液 とベ ロ ナ ール 緩 衝 液 の混 合 に よ り両 者 の. の 相違 に よる と思わ れ る が,そ の操 作 は経 験 的 な も の の 組 合 せ で あ っ て,例 え ば α1ATをalbか. ガ ロ ー ズにpH8.6の. 各 分 画 の 中 点 の 移 動 距 離 を 示 す.最 上段 は 各 分 画 が 等 間 隔 に 分 離 した 理 想 分 離 像,下 半 分 は トリ シ. を識 別 出来 た.. 乳 酸 カル シ ウ ム. 新 鮮 正 常 プ ー ル 血 清 を ホ ー ル プ レー トに 分 注 して,凍 結. オ ンが あ る. 乾 燥 し,低 温 に 保 存 して お い て,必 要 時 に1ホ ー ルず つ. オ ンを 含 まな い と,分. 切 りと り蒸 留 水 を 加 え て再 構 成 し,標 準血 清 と し て 使. 画 に よ って は 不 安 定 に な り,易 動 度 が 変 る ので あ ろ う.. 用 す る方 法 を考 案 した.5)血. イ オ ン強 度 も血 清 で は0.15で あ っ て,緩 衝 液 で は0.05〜. EDTA,窒. 0.075程 度 で あ れ ば,オ. 用 い,血 清53μlに 保 存 剤 を 加 え た100μlず. イ グ ロ ブ リンは 不 安 定 な 状 況 で. 化 ソー ダ,グ. 清 に 加 え る 保 存 剤 と して. リシ ン,グ ル タ ミン酸 ソー ダを つ,プ. ラス. 泳 動 され る こ とに な る.し か し,一 方 イ オ ン強 度 を 高 め. チ ック のホ ー ル プ レー トに分 注 し,凍 結 乾 燥 した.こ れ. る と ジ ュー ル 熱 も大 き くな る の で,温 度 的 に 安 定 な 状 態. に50μlの. 蒸 留 水 を 加 え る と53μlの 血 清 試 料 が 再 構 成. で 泳動 す る こ とが 困 難 に な る.冷 却 式 の 泳 動 装 置 は ジ ュ. され た.保 存 試 験 に おい て は室温 で1週 間,4℃. ー ル 熱 を 吸 収 す るた め に 是 非 必要 で あ っ て ,冷 却 しな い. 間,‑20℃. 装置 で は イ オ ン強 度 を0.025に. 下 げ て電 気 泳動 す る こ と. で4週. で6か 月 で 一 部 に 変 性 を 認 め る こ とが あ るが,. ‑80℃ で は1年 以 上 保 存 して も各 成 分 に 殆 ん ど変 性 は 認. が通 常 で あ っ た が,冷 却 に よ り改善 され た.ま た,寒 天. め られ な か った.こ. の場 合 に 変 性 しや す い α リポ,β. や 装置 に よっ て も易 動 度 は 変 わ る.そ の人 が どの分 画 に. ポ 蛋 白,C3,Cpに. はむ しろ変 化 が少 な く,albに. 重 点 を お くか に よっ て緩 衝 液 を変 え る こ と も 可 能 で あ. 部 重合 が お こ り,preβ. る.3)図2は,そ. 化 す る傾 向 が あ っ た.変 性 の 少 な い こ とは 少量 ず つ分 注. の参 考 に な るだ ろ う.現 在 私 共 の用 い. てい る緩 衝 液 の組 成 は. は一. リポ,β2糖 蛋 白IIIの 易動 度が 変. し,短 時 間 に凍 結乾 燥 して,保 存剤 と共 に低 温 に お くた. ベ ロ ナ ー ル ソ ー ダ6.86g. め で あ ろ う.保 存 条 件 に 留 意 す れ ば,全 分 画 を保 存 した. ベ ロ ナ ー ル1.23g. 正 常 日本 人 血 清 と して 使 用 に 耐 え る こ とが判 明 した.6). Tris hydroxymethyl. (methylglycine. ト リシ ン. ). こ の標 準 血 清 の 開発 に よ り,毎 回 同一 の対 照 血 清 と抗. 1.66g. ヒ ト血 清 を用 い る こ とに よっ て,電 気 泳 動 装 置 の 改善 を. 苛 性 ソ ー ダ0.30g 乳 酸 カ ル シ ウ ム0.30g. 加 えれ ば,毎. 蒸. が 可 能 に な った.こ. 留. 水ad1,000ml. 回 同一 の 免 疫電 気 泳動 パ ター ンを 得 る こ と の標 準 血 清 は バ イ ア ルを 用 い て 自作. す る こ と も可 能 で あ る が,近. pH8.6,μ0.05. 4.標. リ. 準 血 清:免 疫 電 気 泳 動 に お い ては,沈 降 線 の同. くH社 よ り市 販 され る予 定. で あ る.. 定 お よび 半 定 量 を 行 な う場 合 の基 礎 と して,毎 回 同 一 の. 5.市. 販 抗 ヒ ト血 清 の比 較:免 疫 電 気 泳 動 に 用 い る抗. 正 常 標 準 血 清 を 対 照 に,試 料 と並 列 に 泳動 す る こ とが 必. ヒ ト血 清 は 数 多 くの蛋 白分 画 に 対 す る抗 体 を,過 不 足 な. 要 で あ る.1回. く含 み,1回. に 使 用 す る量 は 少 量 で よい の て,私 共 は ‑2‑. の免 疫 電 気 泳 動 に お い て,明 瞭 な 沈 降 線 を.
(3) Vol. 20.. 図3.市. No. 3.. 1976. (209). 販 抗 ヒ ト血 清 の 比 較.. 出来 る だ け 多 く示 す 抗 血 清 が 望 ま しい.こ の よ うな 抗 血. に つ い て 行 な っ た パ ター ンを 示す.抗 血 清 の添 加 量 は,. 清 を 自 作す る こと は 困 難 で あ る の で,市 販 の 抗 ヒ ト血 清. い ずれ も1溝 あ た り0.08mlで. を 利 用 す る こ とが 多 い.し か し,市 販 品 も ロ ッ トに よ り. ラ ン ド,ダ ー コパ ッ ツの市 販 抗 ヒ ト血 清 で,そ れ ぞ れ,. 性 質 が 異 な り,ヒ. ト血 清 に 含 まれ る主 成 分 に対 して も,. 必 ず 抗 体 を 含 ん で い る とは 限 らな い.抗. ウマ,ウ マ,ウ サ ギ 由 来,ロ. ヒ ト血 清 が 何 と. 何 に 対 す る抗 体 を 含 ん で い るか を し らべ るに は,各. 004A1,100SF,沈. 々に. あ っ て,ヘ キ ス ト,ハ イ. ッ ト番 号 は2024BB,8040×. 降 線 の 詳 細 は 図3か. らは読 み とれ ず,. アー ト紙 に で も大 き く 引 伸 さ な い と 無 理 で あ る か ら,. 対 す る特 異 抗 血 清 と抗 ヒ ト血 清 に 対 す る沈 降 線 を 向 い 合. 詳 細 は 省 略 す るが,抗 血 清 に よ っ て沈 降 線 の数 に 差 が あ. せ に 配 置 して 判 定 す る必 要 が あ る.こ れ は 本来 は 抗 血 清. り,初 心 者 に とっ て は,沈 降 線 の数 が あ ま り多 くない 方. を市 販 して い る業 者 が 行 な って,抗. が,判 定 に 迷 うこ とが な くて いい と も言 え るが,そ. ヒ ト血 清 に は 何,何. うで. を 含 む と明 示 す べ きで あ るが,一 方 で は 抗 体 を 含む か,. あれ ば 尚 さ ら,そ こに 見 え る 沈降 線 は何 と何 で あ るの か. 含 まな い か は 厳 密 に は 量 的 な 問 題 で 困 難 な 点 もあ る.図. を 明 示 しな い と,Cpの. 3に は4.に. と誤 っ た り,試 料 血 清 中 に 著 しい 変動 が あ っ て も,沈 降. 来)の. の べ た 標 準 血 清 と新 鮮 ヒ ト血 清(1個. 比 較 免 疫電 気 泳 動 を,試 料 血 清3μlと0.5μlず. 人由 つ. 見 え な い パ ター ンで,HpをCp. 線 の 少 な い 抗 血 清 を 用 い て おれ ば,見 逃 す 可 能 性 が あ っ ‑3‑.
(4) 生物物理化学. (210). っ た こ とに な る.標 準 血 清 と一 定 ロ ッ トの 抗 血 清. 1枚 を 図4に 示 した.各 分 画 の相 当 易動 度 お よび 同 定 の. を 用 い れ ば,毎 回 同 じ沈 降 線 の パ ター ンが 得 られ るわ け. 写 真 は 文 献1,7)に 拡 大 して示 してい る の で 参 考 に して い. で,そ. た だ き たい.. て,困. の 同定 法 を 習 得 す れ ば,沈 降 線 は 多 い 方 が 情報 量. 7.比. も 多い の で,そ れ を 混 乱 しな い よ うに 読 み と るた め の 対 策 に努 力す べ きで あ る. 6.沈. 降 線 の 同定:抗. 較 免疫 電 気 泳動1):免. 疫電 気 泳 動 に よ り,患 者. 血 清 ま た は 未知 試 料 を 分 析 す る場 合 に は,標 準 血 清 と並 べ て 泳動 す る の が ふ つ うで あ る.こ の 場 合 に 溝 を へ だ て. 血 清 も い い ロ ッ トが あ れ ば20. ml以 上 を 一 時 に 購 入 して保 存 した方 が よい.そ. れ と凍. て 並 べ る の で は な く,2本. の 溝 の間 に2試 料 を 近 接 して. 結乾 燥 した標 準 血 清 の組 合 せ に よ り,あ らわ れ る沈 降 線. 置 い て 電 気 泳 動 す る(図5).標. を 一度 全 部 確 か め て お く事 が,患 者 血 清 を 分 析 す る以 前. 下 に 置 け ば,標 準 血 清 は 上 側 の 溝,患 者 血 清 は下 側 の溝. に 必要 で あ る.こ れ に は 特 異 抗 血 清 を30種 類 位 用 意 しな. の 抗 血 清 と反 応 して,作. くては な らな い が,20万. るた め に,患 者 側 の 沈 降 線 の 同 定 が 容 易 で あ る.こ れ は. 円 を要 し,し か も無 駄 が 多 い.. 1種 ず つ の必 要 量 は 溝 を 短 く切 れ ば 毎 回0.04ml程. 度で. 準 血 清 を 上,患 者 血 清 を. られ た 沈 降 線 が 正 中 線 で 融 合す. 標 準 血 清 と抗 ヒ ト血 清 の間 の沈 降 線 は 全 部 同 定 が つ い て. あ る の で,ヘ マ トク リッ ト管 に分 注 した 特 異 抗 血 清 が1. い る こ とを 前 提 と して い るが,上 下 対 称 性 のわ るい 沈 降. 本200円 程 度 で市 販 され る こ とが 望 ま しい.抗. 線 が 正 常 か ら の ず れ の 大 きい 分 画 を 示 す こ とに な る.. ヒ ト血 清. 間湿室に置. 私 共は2試 料 を 並 べ る時 で も,0.5μlず つ と3μlず つ 入. くと沈 降 線 が長 くの び,融 合 す るか,融 合 しな くて も対. れ,さ らに 上下 両端 に は そ れ ぞ れ を 単 独 で3μlず つ 入 れ. 応 関 係 が 明 らか に な る ま で待 つ.沈 降 線 は 脱 蛋 白後 に 乾. て比 較 免疫 電 気 泳 動 を 行 な っ てい る.0.5μlず. と特 異 抗 血清 を 向い 合 っ た溝 に入 れ て,7日. 燥 して,ア. と こ ろで はalb,α1AT,Hp,Tf,IgGな. ミ ドブ ラ ックに よ り染 色 す る と,沈 降 線 の 両. つ入れた. ど,量 の多 い. 端 が更 に 長 く明瞭 に な る の で,対 応 がつ け や す い.大 型. 成 分 の 変 動 を 比 べ,3μlず. の 寒 天 板 を使 っ て展 開 を広 くと る,抗 原 量 を加 減 す る,. 比 較 的 微 量 成 分 の増 減 を しらべ る.た だ,注 意 を 要 す る. 緩 衝 液 を工 夫 す る な ど,そ れ ぞれ の 易動 度 が 重 な らな い. のは も し,一 方 に欠 損 した 分 画 が あ れ ば,そ の 側 に は 沈. よ うに した パ ター ンを 引伸 機 で大 き く引伸 ば す こ とに よ. 降 線 が 欠 損 す るの で は な く,他 方 の 欠 損 しな い分 画 が拡. り,判 読 しやす くな る が,実 際 に は 沈 降 線 の溝 か らの 距. 散 して来 て,や は り沈 降 線 が 作 られ て し ま う.し か し,. 離,彎. つ の とこ ろで は,そ れ 以 外 の. そ の場 合 に は,沈 降 線 の正 中 線 に 対 す る対 称 性 は 著 し く. 曲 な どに よ り,一 度 同定 す れ ば,抗 血 清 の 同 じ ロ. ッ トを 使 う限 り,そ の パ ター ンを 参 考 に 使 え る.用 意 す. 片寄 っ た も の と な る.つ ま り,減 少 した 場 合 と,欠 損 し. る特 異 抗 血 清 の 数 が 少 なけ れ ば末 同定 の数 が多 くな る.. た 場 合 の区 別 が,つ. そ の場 合 に は各 自 で 仮 の 名 を つけ て お い て,後 にそ れ が. 両 端 のそ れ ぞ れ を 単 独 で電 気 泳動 した と こ ろを 見 れ ば,. 何 で あ るか 判 明 した際 に遡 っ て判 定 で き る よ うに プ レー. 減 少 と欠 損 の区 別 は つ く筈 で あ る.こ の 方法 で は 通 常 の. トを 保 存 して お く必 要 が あ る.沈 降 線 を 同定 す る写 真 の. 免疫 電 気 泳動 を 両端 で 行 な い,そ の パ ター ンの判 読 に 必. 図4. 免 疫 電 気 泳 動 の 沈 降 線 の 同定 法.. ‑4‑. き に くい わけ で あ る,そ の 時 は 上 下.
(5) Vol. 20.. 図5.比. No. 3. 1976. (211). 較 免 疫電 気 泳動 パ ター ン.. 要 な操 作 を 中 央 で 行 な って,免 疫 電 気 泳 動 に 伴 う誤 読,推. して計 測 す る必 要 が あ る.曲 率 半 径 を 比 較 す るに は 透 明. 測を 少 な くす る と共 に,両 端 の パ ター ンを 判 読 す る 自己. 板 に 同心 円を5mm間. 訓 練 とす る こ とが 出来 る,従 来 行 な わ れ てい る免 疫 電 気. に あ て て見 て も よい.角 度Yに つ い ては 先 に 記 した.1)さ. 泳動 に ル ー チ ンに 特 異 抗 血 清 を 何 種 類 も用 い て,患 者 血. らに,つ け 加 えれ ば,1元. 清 の各 分 画 の増 減 を しらべ る方 法 は,1)特. 降 線 の鎌 形 の面 積 を 比 較 して も よい.こ れ らの 総 合 に よ. 異抗血清で. 隔 に 書 い た も のを 拡 大 した 沈 降 線. 免 疫 拡 散 法 と類 似 に と っ て沈. は,単 一 の沈 降 線 しか 出 な い の で あ るか らOuchterlony. り増 減 は 判 明す る.比 較 免疫 電 気 泳 動 で は3か 所 で 同 じ. で十 分 で あ り,前 も っ て電 気 泳 動 す る意 味 が ない,2). 分 画 の増 減 を 確 か め る こ とが 出来 る.し か し,こ れ らに. 溝 が2試 料 の中 央 に 正 確 に 切 られ な い か,電 気 泳 動 方 向. よっ て判 明す る の は 半定 量 で あ っ て,し か も3か 所 で く. に よ る偏 りが あ れ ば 誤 った 判 定 とな る,3)特. らべ る と矛 盾 した解 答 が得 られ た りす る こ と もあ る.そ. 異抗血清. を多 く必 要 とす る,な ど の点 か ら賛 成 出来 な い. 8.半. の た め に も3か 所 で判 定 で きる こ とは有 利 であ っ て,結. 定 量:免 疫 電 気 泳 動 に よ って 半 定 量 を 行 な うた. め には,沈. 降 線 の 明 瞭 さ,溝. か らの距 離,弧. 径,比 較 免疫 電 気 泳動 に お い ては 角 度Y1)な. 果 は‑,±,+,++,+++程. の 曲率 半. 度 の 増減 と,易 動 度 の変 化,沈. 降 線 の形 状 の変 化 に よ る質 的 変 化 の 判定 と して あ らわ さ. どが 規 準 に. れ る.. な るが,い ず れ の 場 合 も試 料 孔 と溝,電 気 泳 動 の方 向,. II.免 疫電気泳動 の診断的意義. 注 入 抗 原,抗 血 清 量,反 応 の場 の水 平 な ど基 本 的 な 条 件. 血 清蛋 白の 免 疫 電 気 泳 動 に よっ て,ミ エ ロー マ蛋 白 の. は す べ て安 定 して い る こ とが 前 提 に な る.こ れ は 操 作 の 熟練 に依 存 す る こ とが多 く,従 っ て,免 疫 電 気 泳 動 が 安. 型 の 判定,蛋. 易で あ る と最 初 に 思 った 人 は,こ. 割 は,今 迄 に も数 多 くの べ られ て き て い る の で 省略 し,. の段 階 で矛 盾が 多 くな. 白分 画 の 遺 伝 的 欠 損 症 の発 見 な どに 果す 役. っ て い きづ ま る こ とに な る.寒 天 ゲル に溝 を 正 確 に 切 っ. 通 常 に 遭 遇 す るパ ター ンか ら どの よ うな点 を読 み とるか. て定 量 的 に 抗 血 清 を 注 入 し,あ ふ れ な い よ うにす る操 作. に つ い て の べ る.こ れ は 私 共 の 行 な っ て い る微 量1元. だけ で も,相 当に 困難 で あ っ て,方 法 を もっ と改 良 す る. 疫 拡 散 法,免 疫 電 気 泳 動 と同 時 に行 な う寒 天 電 気 泳動 法. 必要 も あ る が,練 習 して熟 練 す る必 要 も あ る.. な ど との 比 較 に よ り確 か め た こ とで,免 疫 電 気 泳動 単 独 で あ っ て も注 意 す れ ば 気 付 くこ とで あ る.. さ ら に,半 定 量 の規 準 につ い て考 え る と,沈 降 線 の 明 瞭 さ は 抗 原量 に比 例 す る とは 限 らずpreな. 1.Alb分. どで は抗 原 過. 画:pre,albは. 悪 性 腫 瘍,肝 疾 患 で減 少 す. 剰 で ウマ 抗 ヒ ト血 清 を使 っ た場 合 に は,沈 降 線 が希 薄 に. るの が 常 で あ るが,preの. な る こ とが 多 い.沈 降 線 の溝 か らの距 離 が抗 原 量 に反 比. もalbよ り早 くお こ り,恢 復 す る場 合 も早 い.た. 例 す る の は,沈 降 線 の 外側 の縁 であ っ て,内 側 で は な い.. 炎 で はalbは 減 少す る が,preは. 従 っ て,albな. 免. る.. どで は溝 に 落 こん だ沈 降 線 の 外 縁 を 延 長 ‑5‑. 変 動 が よ り鋭 敏 で あ り,減 少 だ,腎. 増 加 して変 動 が 解離 す.
(6) (212). 生物 物理化学. 2.α1分. 画:α1AT,α1AG,α1Xが. て相 伴 っ て変 動 し,手 術 後,炎. 急 性期 蛋 白 と し. ざ まで あ っ て,別 経 路 に よ る活 性 化 が 関 与 して い る こ と. 症,悪 性 腫 瘍 で α1分 画. が うか が わ れ る.量 の増 減 だ け で な く,ベ ー シ ェ ッ ト病. の増 加 とな る.し か し,α1Xは 免 疫 電 気 泳 動 で は 確 認 し. の 時 は,新 鮮 血 清 で もC3PA(GBG)か. に く く,α1AGも. へ の変 換 が お こっ て い る こ とを,免 疫電 気 泳 動 に よ り認. で に くい 抗 ヒ ト血 清 が あ る の で注 意 を. 要 す る.こ れ らの 増 加 に 解 離 が あ るの は 白血 病(AML) で は α1AT以 外 が増 加 して,α1ATは. 増 加 せ ず,前 立 腺. 癌 で は α1ATの み が増 加 す る.AMLも. 治 療 に よ り寛解. め る場 合 が あ る と い う.9) 6.γ. 分 画:多. ク ロー ン型 の免 疫globの. 増減は沈降. 線 の 巾だ け で な く,長 さ,彎 曲 の相 違 に よっ て も見 る こ. す る と α1ATが 増 加 して くる.急 性 期 蛋 白 に は,こ の外 に α2のHpも. らC3A(GGG). とが 出 来 るが,判 定 の 意 義 づ け は 未 解 決 で あ る.. 含 まれ る が,こ れ らの増 加 の 著 しい場 合 お. は 悪 性 腫瘍 の腹 膜,肺 転 移 な ど食 細 胞 の活 性 化 を 伴 うこ と が多 い.急 性 期 蛋 白は,胃 癌,腎 癌 な どの根 治 手 術 に. わ. り. に. 免疫 電 気 泳 動 は血 清蛋 白 の総 合 分 析 法 と して,生 体 の. よ っ て1か 月 後 に は 正 常 化 す る ので,疾 患 に 反 応 性 に 増. 機 質 的 変 化 で は な く,機 能 的 状 態 を捉 え る に も拘 らず,. 加 し てい る こ とが 判 明 す る.し か し,姑 息 手 術 や 再 発 で. 半 定 量 的 表 現 に な る点 が欠 点 で あ るが,同 時 に 多 分 画 の. は 増 加 が つ づ き,経 過 の 判 定 に 利 用 され る.. 分 析 を 行 なえ る点 に 長 所 が あ る.従 って,ス. 3.α2分. 画:Hpの. 遺 伝型 の 識 別 は新 鮮 血 清 で は 易動. 度 に よ り容 易 で あ る.8)減. ク リー ニ ン. グ と して の 意 味 は 大 き く,他 の分 析 法 と協 力 して,現 在 未 知 の 分 画 の 機 能 も,疾 患 時 変 動 か ら判 明 して くる と思. 少 す る場 合 に 溶血 性貧 血,肝. 疾 患,遺 伝 的減 少 が あ る が,他 分 画 の動 き に よ り,そ の. わ れ る.一 方,実 施者 に と って は,パ. 中 の どれ か 推 定 で き る.一 方,増. で,解 読者 は別 とい う分業 が 成立 ち に くい こ とを ,こ の. 顕 著 に み られ る.Cpは と な り,α1ATと. 加 は急 性 期 蛋 白 と して. 前 立 腺 癌 の時 高 値,AMLで. 類 似 した変 動 を示 す.α2Mは. 方 法 に つ い て は考 え るべ きで あ る.. 低値 若年者. 文. と女 子 が 高 値 と な り,疾 患 時 変 動 は著 し くな い.α2HS は 増 加 は 希 で,疾. 患 時 に は 減 少 す る だ け で あ る点 はalb. 画:Tfの. 増 加 は 慢 性 骨 髄 性 白血 病 に は 見 ら. 右 田 俊 介:感. C4はSLE,AHAで. は逆 の動 き に な る こ とが多 い. は発 作 時 に減 少 し,古 典 経 路 の活. 性 化 が 判 明す る.悪 性 腫 瘍 で増 加 が 多 い. 5.β2分 く,SLE,ベ C3PAは. 画:C3は. 2). Leise, E. M. and Evans, C. G.: Proc. Soc. Exp . Biol. Med., 120: 310, 1965.. 3). 右 田 俊 介 他:日. 本 免 疫 学 会 総 会 記 録,3:122,. 4). 右 田 俊 介 他:生. 物 物 理 化 学,16:230,1972.. 5). 右 田 俊 介 他:生. 物 物 理 化 学,19:18,1974.. 6). 広橋. 7). 右 田 俊 介:ヘ. 憲 他:生. 物 物 理 化 学,20:164,1976. キ ス トImmunoreview表. 紙,10:. No.1,No.3,1975,11:No.2,1976.. 造 血 系 細 胞 の腫 瘍 の時 増 加 しや す. ー シ ェ ッ ト病,肝. 染 ・炎 症 ・免 疫,2:374,1972.. 1973.. れ るが,腎 疾 患,悪 性 腫 瘍 で は減 少 す る.生 産 の余 力 の 少 な い 蛋 白で あ るHxと. 献. 1). に 似 る. 4.β1分. ター ンを 得 る だ け. 8). 硬 変 な どで は 減 少 す る.. 右 田 俊 介:ヘ. キ ス トImmunoreview表. 紙,10:. No.5,1975.. 悪 性 腫 瘍 の 時 変 動 が あ るが,増 加 と減 少 と さ ま. 9). ‑6‑. 小 暮 美 津 子:日. 本 医 師 会 雑 誌,12:1477,1975..
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