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箏による合奏の工夫~特別支援学校の授業に箏を効果的に取り入れるために~

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(1)平成19年度 学 位 論 文. 箏による合奏の工夫 ∼特別支援学校の授業に 箏を効果的に取り入れるために∼. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科. 教科・領域教育専攻 芸術系(音楽)コース. MO6255F 三浦奈緒子.

(2) 凡例 1. 『 』は文献を記す場合に用いる。. 2. 「 」は引用文、強調箇所を記す場合に用いる。. 3. 〔 〕は譜例、表、写真を記す場合に用いる。. 4. 【 】は指導実践における項目を記す場合に用いる。. 5. ( )は補足事項を記す場合に用いる。. 6. 《 》は曲名を記す場合に用いる。. 7. 注は、通し番号を付けて各ページの末尾に脚注として記載する。. 8. 人物の敬称は省略する。.

(3) 目次 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 1. 第1章 特別支援学校における音楽教育への箏の導入・・・・・・・… 第1節 学校の音楽教育に和楽器を取り入れる意義および効果・・…. 6. 第2節 特別支援学校において箏を取り上げる上での問題・・・…. 13. 1 楽器入手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 13. 4. 2 箏爪・・・・・・・・・・…. ’・・・・・・・・・・・・…. 3 演奏の体勢・・・・・…. r・’ ’● ●●.●●”● 19. 調弦・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …. 。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …. 。 。. 18. 19. 5 副指導教師を加えた合奏形態の工夫・・・・・・・・・・・… 6 副指導教師との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 7 授業時間の問題・・・・・・…. 6. 19. 。。・・・・・・・・・・…. 20 21. 第3節 特別支援学校における箏の指導のあり方・・・・・・・…. 22. 第2章 教育現場における箏を使った授業実践例・・・・・・・・…. 25. 第1節 小・中・高・特別支援学校における箏を使った先行授業実践・・25 1 「和楽器の導入∼箏」・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 31. ∼東京都府中市立若松小学校 塚越佐智子教諭による授業実践∼ 2 「子どもの実態に合わせた器楽指導の工夫 その2 ‘坪能理論で和楽器にチャレンジ’」・・・・・・・・・・・…. 32. ∼東京都立水元養護学校 柳田和美教諭による授業実践∼ 3 「楽しく邦楽始めましょう!その2 ‘お箏で遊ぼう’」・・・…. 33. ∼東京都中央区立阪本小学校 小野敬子教諭による授業実践∼ 4 「箏実技研修の導入例」・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 34. ∼茅原芳男による実践案∼ 5 吉田覚編曲 山内雅子再編曲《八木節》・・・・・・・… .… 第2節 蓮池小学校における箏を使った授業実践取材・・・…. 1 蓮池小学校における箏を使った実践についての概要…. 40. ゴ…. 45. …・・45. 2 《お江戸日本橋》(4年生)について・・・・・・・・・・・…. 46. 3 《ダッタン人の踊り》(5年生)について・・・・・・・・・…. 49. 4 《子どものための組曲∼第5章》(6年生)について・・・・…. 52. 5 特別支援学校の授業への応用・・・・・・・・・・・・・・…. 57.

(4) 第3節 文化庁委嘱事業:わらべ歌と目本音楽の教室 「ことこと倶楽部」における活動実践取材・・・・・・・…. 72. 1 ことこと倶楽部とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 72. 2 活動の内容とその特色・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 72. 3 平成19年度の活動とスケジュール・・・・・…. ●●.’●●’73. 4 活動実践取材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 75. 5 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 84. 第3章 特別支援学校における箏を取り入れた新しい教材・・・・・…. 88. 第1節 同時代的感覚を取り入れた教材とは・・・・・・・・・・…. 88. 第2節 特別支援学校に適した新たな教材・・・・・・・・・・・…. 92. 1 《春の海のひょうたん島》・・・・・・・・・・・・・・・・…. 2 《戦場のメリークリスマス》…. 3 《テルーの唄》一一…. 一・・・・・・・・・・…. 92. 104. 一・… の・… 一… 119. 第4章 障害者和太鼓グループ「なかよし太鼓」における新教材・ 指導案実践∼「なかよし箏倶楽部」∼・・・・・・・・・・・…. 130. 第1節 なかよし太鼓について・・・… 一・・一・一… 133 第2節 なかよし太鼓における箏による指導実践に至る経緯・・…. 133. 第3節 なかよし箏倶楽部における指導案と実践報告・・・・・…. 136. 1 1回目(平成19年9月15日)・・・・・・・・・・・・・・…. 136. 2 2回目(平成19年10月6日)・・・・・・・・・・・・・・…. 138. 3 3回目(平成19年10,月20日)・一・・・・・・・・・・・… 4 4回目(平成19年11月3目)・・・・・・・・・・・・・・…. 140 143. 55回目(平成19年11月17目)・・・・・・・・・・・・・・…. 145. 第4節 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 147. 1 実践における子どもたちの様子・・・・・・・・・・・・・…. 147. 2 アンケート結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 148. 3 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 149. おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 152. 主要参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 156.

(5) はじめに 筆者は、兵庫県無いなみ野特別支援学校の高等部で音楽科の主指導を担当してい る。高等部における教育課程は、教科・領域を合わせた指導としての作業学習、日 常生活の指導などとともに、教科別の指導としてのグループ別による薪かず・こと ば的学習」(国語・算数的学習)、「生活」、「美術」、「家庭」、「体育」、「音楽」、そし. て「道徳」「特別活動・ホームルーム」「自立活動」などから成る。音楽の授業は学. 年ごとの一斉授業で、週に1時間設定されている。1学年の生徒は40人∼50人程 度で、副指導として10人程度の教師が生徒の援助に当たる。音楽室は狭くて、高 等部1学年の生徒と教師が一度に入ることは出来ないので、学校の中で一番広い多 目的教室を使って授業することがほとんどである。 特別支援学校で音楽の授業を指導する際にまず頭を悩ませるのが、「どの教材をど. のように指導するか」という教材設定である。高等部の生徒の中には、知的障害の 程度が軽度で将来就職を目指す生徒もいれば、重度で発達年齢が低く、食事・排泄 などの身辺処理にマンツーマンの支援が必要な生徒もいる。歌うことが好きな生徒 もいるが、発語がなく歌うことが出来ない生徒もいる。また、楽器が好きで大音響 で打ち鳴らす生徒、楽器の大きな音が苦手で教室に入ってくることが出来ない生徒 など、同じ学年の中でも障害や能力はさまざまである。近年、生徒の障害が重度化・. 重複化している中で、どの生徒にも適した教材を選択するのはきわめて難しい。障 害の程度や発達年齢に適しているだけでなく、高等部になれば生活年齢に配慮した. 教材を選択する必要もある。発達年齢は7∼8歳でも、興味・関心については健常 児の18歳と何ら変わらないというケースもよく見受けられる。生活年齢とそれに 即した興味・関心を考慮した上で、障害の程度や発達年齢に適した内容の教材を選 択することが大切なのである。. しかし、音楽室にある楽器や機器などの設備は限られていて数も少なく、高等部 の1学年が一斉授業をするには不十分な教育的環境であると言わざるを得ない。小 学部から高等部までの全学年が使用する音楽室の楽器類や備品設備の使用頻度が高 いにも関わらず、各学年の要望に沿う補充や購入は、学校の年間予算範囲内では難 しい。また、高等部が音楽の授業を行う多目的教室にはアップライトピアノがある 1.

(6) だけで、音響設備や楽器類はない。そういった事情によって、教材の選択が自ずと 制約されてしまうことは否めない。. 高等部は生徒たちにとっては最後の学校教育の機会である。小学部と同じ楽器を 使って、同じような教材に取り組むのではなく、自分の世界を広げる機会となるよ. うな新しい音楽や楽器との出会いに導く教材が必要なのではないかと考え、平成7 年頃よりいろいろと試行錯誤を繰り返していた。当時は和太鼓ブームといわれた時 期で、身近にさまざまな和太鼓グループの演奏を聴くことができた。和太鼓は生徒 それぞれの障害の程度や能力に応じて楽しむことができる楽器であるのではないか と考え、機会を見つけては和太鼓の演奏会や講習会に出かけ、平成8年頃からたび たび授業で取り組むようになっていった。重度の生徒には簡単なリズムを、そして. 軽度の生徒にはやや複雑なリズムを指導し、1基の和太鼓を3人程度が交替で打つ ことによって全員が演奏できるように工夫した。多くの生徒が和太鼓を打つ身体感. 覚やダイナミックな振動を楽しむことができ、リズムを正確に打つだけでなく、揆 の振りや構え方等も含めた演奏に意欲的に取り組む生徒も多かった。1年に一度あ る学習発表会における迫力ある和太鼓の演奏は好評で、何よりも演奏している生徒 たちの誇らしげな表情が印象的であった。. しかしながら和太鼓に取り組むにはいくつかの問題点があった。学校には和太鼓 は2基しかなかったので近隣の学校や公共施設から借用したが、生徒たちが十分に. 和太鼓を打つ機会を持てるようにするためには、3人1組に和太鼓1基を割り当て るとして10基以上が必要になる。酒樽や竹、タイヤなどの代用品はなるべく使わ ず、できるだけ本物の和太鼓で音を楽しめるようにしたいと考えたが、短期では借 りることができても、1学期閥といった長期になると借りることが難しくなってく る。ようやく借りてきても、メンテナンスのなされていない状態の良くない太鼓も. 多く、借りたもののすぐに返さざるを得なかったり、革を破いてしまったりしたこ ともあった。また本来音楽室ではない多目的教室で授業を行うため、学校内におけ. る騒音の問題なども起こってくる。筆者の担当学年が多目的教室で和太鼓の授業を 始めると、周辺の教室でグループ別学習(国語・算数)を行っている学年は、大き な音が響いてこない、空いている教室を探しに出て行かなければならなかったよう. である。借りる和太鼓が多くなると、その保管場所にも困ることが増えた。仕方が 2.

(7) ないので、授業のたびに車に積めるだけ積んで自宅に持ち帰り、授業のある日にま た車に積んで持ってくることを繰り返した。. 平成10年、中学校3年間のうちに1種類以上の和楽器を体験させることが明記 された新学習指導要領が公示され、いろいろな和楽器の教師向け実技講習会などが. 行われるようになってきた。ちょうどその頃、蓮池小学校の大原啓司教諭の実践に 触れる機会があり、小学校における箏を使った取り組みに大変興味を持った。大原 教諭の実践では、箏の弦を竹ひごで打ったり、伝統的な目本の音階とは異なった調 弦を用いたり、通常では考えられないような箏柱の並べ方を採用したり、1面の箏. を複数人数で演奏するなどの工夫によって、諸民族の音楽やCMソングなどもレパ ートリーに取り入れ、ユニークな合奏を楽しむことができる。箏は知的障害を持つ 生徒にも演奏可能であり、また和太鼓に比べて安価で購入することもできる。. そこで筆者は、近隣校から箏を借用し、古道具屋を回って自費で箏を集め、わら べ歌を編曲して合奏してみたり、雅楽《越血糊》をアレンジした楽曲や、当時流行 していた中国民族楽器アンサンブル「女子十二楽々」のヒット曲《奇跡》などを合. 奏してみたりした。使用する弦の数を少なくしたり跳躍進行を避けたりして演奏を できるだけ簡単にし、弦に色を付けて色音符を使った楽譜を作るなどの工夫を加え ることで、興味を持って意欲的に練習に取り組む生徒も出てきた。鈴やタンバリン などの楽器には興味を持とうとしない生徒が、箏だったらやってみようと興味を持 つ姿が見られ、今でも印象に残っている。自閉的傾向の強い生徒など、箏爪をはめ ることが困難な生徒には無理に箏を触らせることは考えていなかったが、箏の音が 新鮮だったのか、いつもなら音楽室になかなか入ろうとしない生徒が楽器のそばで じっと耳を傾けるなど、箏の音に興味を示す好ましい事例もあった。箏の調弦の煩. 雑さや、生徒各自の指にサイズを合わす必要のない簡易な爪の必要性など、さまざ まな課題はあるが、生徒の意欲的な表情や演奏から、筆者は大きな手ごたえを感じ ることができた。. 新学習指導要領の中で中学校において和楽器が必須になったとはいえ、何をどの ように指導するのかについては担当の教師が模索していかなければならず、西洋ク. ラシック音楽中心の教育を受けてきた教師が戸惑うのも無理のないことである。ま た、現場で和楽器を購入するための予算が付いたわけではなく、地方交付税の中に 3.

(8) 教材整備費という形で入っているに過ぎない。文部省が直接補助金を手当てして整 備を図っていくのではなく、教材整備費を具体的にどう予算化していくかは学校の. 設置者である各自治体に任されている「設置者負担主義」のため、自治体の取り組 み方によって差が大きい。地方交付税が和楽器購入に当てられるという現実がほと. んどないまま、そういった一般財源よりはNPOや地元の熱意に期待するというの が文部省の見解であった王。その結果、多くの学校では邦楽界のゲストティーチャー に数回の授業指導を依頼するにとどまることも少なからずあるようである。. しかしながら、学校における日本音楽の教育とは、伝統的教習システムをそのま ま踏襲し、正しい奏法で箏や三味線などの和楽器が弾けるようになることだけが目 的なのではない。暗中模索の中での筆者自らによるいくつかの実践の中で、特に留. 意すべき点として感じたのは、教材として取り組む楽曲には何らかの同時代的感覚 を取り入れることが必要なのではないかということである。生徒たちに、「かっこい い」、「やってみたい」という動機付けをするためには、楽器の持つ歴史的背景を重. んじるだけではなく、現代を生きる生徒たちと楽器との歴史的距離を縮めることも 必要である。これは、特別支援学校だけではなく普通校にも共通した課題であろう。. 学校において日本音楽を教育する場合まず大切なのは、それが古く長い歴史を持つ 音楽であることを強調するだけではなく、同時代の音楽として現在もなお発展して. いる姿を見せることではないだろうか。そうでなければ、日本音楽は生徒たちに とって博物館に展示されている骨董品的音楽、といった見方だけで終わってしま うだろう。もちろん、導入に同時代的感覚を取り入れるという配慮をしつつも、最. 終的には伝統的な楽曲の良さにも気付いていけるような指導につなげていくことは 重要である。. そこで、本論文では以下のような手順によって、特別支援学校における箏を活 用した効果的な授業方法を探る。第1章では、学校の音楽教育に和.楽器を取り入. れる意義と効果、特別支援学校で箏を取り上げる際の問題点を、さまざまな文献 やこれまでの筆者自身の体験をもとに考え、特別支援学校での箏の指導方法はど. 1平成18年第3回文化審議会文化政策部会議事録 加茂川文化庁次長答弁 2006 年4月26日(水)(平:成19年5,月閲覧) htt:〃www.bunka o.サ/1aramasi/25 bunkaseisakubukai 2 i’iroku htm1 4.

(9) のような点について考慮すべきかを考える。そして第2章では、これまで行われ てきた教育現場における箏を使ったさまざまな授業実践例を、文献研究により調 査収集し、ユニークな試みを行っている兵庫県加古郡播磨町立蓮池小学校の大原 教諭による実践、文化庁委嘱「伝統文化こども教室」事業である「わらべ歌と日 本音楽の教室『ことこと倶楽部』」におけるフィールドワークによって観察、そ. の中から特別支援学校における取り組みへの参考となる工夫やアイデアを抽出 する。第3章では、子供たちが箏を身近に感じることの出来るような、同時代的 感覚を取り入れた教材とはどのようなものなのか考え、自らアレンジした新しい. 教材、特別支援学校に適した指導案を提案する。そこでは、第2章で取り上げた 実践例を利用して、特別支援学校で実践できるような授業スタイルを工夫したり、. ポップスの流行曲などの中から箏に適する楽曲を選んで合奏にアレンジしたり、. また日本の民謡や世界の民族音楽などの中から箏を使って表現できる楽曲があ れば、子供たちにとって身近で親しみやすい形にアレンジできないか模索してみ. たい。そして、第4章では、筆者がボランティアで指導に関わって7年になる障 害者和太鼓グループ「なかよし太鼓」の活動において、前章で提案した新たな教 材および指導案を実践することによってその効果を検証し、さらに改善すべき点 などを考察する。最後に、特別支援学校における箏の導入について、今後の課題 と展望について考察し、現場における指導に活かしていきたい。. 5.

(10) 第1章. 特別支援学校における音楽教育への箏の導入. 第1節 学校の音楽教育に和楽器を取り入れる意義および効果. 平成10年告示の学習指導要領において、中学校「音楽」に、「和楽器については、. 3学年問を通じて1種類以上の楽器を用いること」という項が加えられ、またこれ に応じて平成12年には教員免許法に和楽・器ならびに伝統的な歌唱が必修として加 えられた。明治初期、西洋音楽を積極的に取り入れ、日本の音楽教育=西洋音楽の. 教育という指導形態を作り出した音楽教育の流れが、100年以上を経てようやく見 直されようとしている。今、日本の伝統音楽を教育に取り入れる動きが活発になっ ている理由と意義、期待される効果を、さまざまな文献からまとめてみよう。. 峯岸創は『音楽教育が変わる』の中で、目本と西洋の音の志向性の違いについて 言及している1。日本的な音の志向性としては、音楽を横の線の流れとして捉え、1. 音1音の中にさまざまな音質や音色、変化を込めるという特徴を挙げ、西洋的な音 \ の志向性としては複数の音を垂直方向に和声的にとらえ、構造的、立体的に音楽を 感じるという特徴を挙げている。日本人は、音楽を聴くときにも、聴きやすい部分 を横の方向に単旋律として追いやすいが、西洋では旋律は垂直の和声との関連の中 で副産物的に生まれてきたものであるという捉え方をするというのである。ノイズ をも森羅万象の響きとして聴き喜びとする感性は、古来からの日本的音の志向性か ら生まれた美意識であり、理論的に把握したり教習したりすることは難しい。一方、. 西洋音楽では指導のためのメソッドが理論的に構築されているため、美意識や感性 に関する教習も見えやすく、機械的・段階的な指導がしゃすい炉、西洋の美的精神 である合理性・規則性を基盤とした立体的・構造的な美を理解ずることなしに、そ の本質に迫ることはできない。そのため、目本における西洋音楽の指導は模倣的趣 味の押し付けに陥りやすい。. また、指導法においても日本と西洋では大きな違いがある。日本では、伝統的な 芸能や音楽は、伝承されてきた表現様式の徹底した教授によって伝えられ発展して. 1峯岸創著『日本音楽が変わる』2002年 音楽之友社 p.18 6.

(11) きた。指導者の教える通りの技術や表現を再現できることが評価されるのである。. それに対して西洋では、生徒自身があらゆる情報を収集し、それらを駆使しながら 構築した固有の考え方を示すプロセスが重視される。日本において西洋音楽を指導 するということは、日本において歴史的時間を持たない西洋音楽を日本の伝統的な 教授法に持ち込もうとすることであり、本来の西洋音楽の理解に到るプロセスとは 大きく異なるものである2。. また、もう一方から言えば、欧米の学校音楽教育の方法論に則って、明治期に始 められた学校における集団での唱歌教育に、個人指導を原則とする日本の伝統的な 音楽教育を適用させることができなかった結果、学校教育において目本の伝統音楽 を教育する機会を失っていったということを澤田篤子が述べている3。. 古くから日本で行われてきた伝統的な教授法では西洋音楽を真に理解することは できない。では、自国である日本の伝統的な音楽や楽器の指導ならどうか。今まで 家元制度の中で伝授されてきた音楽を、明治期以降日本に定着してきた学校におけ る集団による音楽教育の中にどのように取り入れていけばいいのか、その方法論も 前例もない。このように、急速に西洋音楽を取り入れてきたことによるひずみが露 呈され、一方で西洋においては近代以降、調性音楽の崩壊という現象が見られるよ うになってきた。現代作曲家たちによる、無調性・音群作法・非拍節的リズム等の 新しい音楽の世界の開拓は、従来の調性・機能和声・拍節リズムに基づく西洋クラ シック音楽の方法論の行き詰まりによるもので、日本の伝統的な音の感性やアジア の音楽の特性に近づく方向性を持っている。. このような状況にあって、現代の目本の音楽教育における新しい視点が必要にな ってきたのである。すなわち、「日本文化の内なるものをもう一度見直し、歴史の中. で育んだ文化の普遍性に立ち返り、段階性・系統性を持った総合的な音楽の指導の 必要がある」ということに、教育者たちが気づき始めたのである4。 また、『日本音楽の授業』の中で山内雅子は、「明治以降、日本の音楽教育は洋楽. 一辺倒だったという批判をよく聞くが、日本音楽の長い歴史をひもといた時、それ. 2峯岸創『日本音楽が変わる』2002年 音楽之友社 p.30 3日本学校音楽教育実践学会編『日本音楽を学校で教えるということ』2001年 音 楽之友社 p.9. 4峯岸創『目本音楽が変わる』2002年 音楽賛辞社 P.12 7.

(12) はごく自然な流れだったことがわかる。」と述べている5。大陸音楽輸入の時代であ. った千三百年前の奈良時代以降、外来の楽器は長い年月をかけて日本の気候風土や 文化の中で少しずつ日本人の好みに合うように改良され、江戸時代になって浄瑠璃、 地歌、長唄、箏曲、…. といった民族音楽として大成した。日本の箏についても、. 輸入元の中国や隣国の韓国の箏とは、形や奏法は似ていても音色や楽曲の音楽性に はかなりの違いがあり、目無独自の伝統的な民族楽器として確立している。. このように、異なる文化圏からの音楽の流入や影響を受けながら、もともとあっ た伝統的な日本の音楽との融合をはかり、薪しい日本的な音楽へと発展させてきた 歴史をわれわれは持っているのである。明治以降、一気に入り込んできた西洋音楽 もそういった流れのひとつであり、それまでの日本にはなかった規範的な楽式や和 声といった萩しい感覚をもたらした。吟、すでに洋楽の消化普及時代は終わり、新 しい日本音楽の創世記を迎えているといえる。」と山内雅子は述べている。. このように、日本の音楽教育はひとつの転機にさしかかっていることは確かであ る。今後日本の土壌にはそぐわない西洋クラシック音楽のみを基盤とした音楽教育 の方法論は見直され、より日本人の感覚に沿った形に変化し発展していくことであ ろう。その中で必然的に問いかけられる、日本人的な感覚とは何か、それはどこか らくるのかといったことについて、その答えを探すために日本の伝統的な文化を見 直すことは重要なポイントとなる。国際化、情報化、価値:観の多様化の中で目本の. 音楽教育について考える時、これから進むべき道を見出すのは容易ではないが、重 要なのは日本文化の担い手である日本人として、子どもたちがどのような教養を身 につけて大人になっていくべきかということである。日本人が本来持っているはず の日本人的感性に価値:を見出し、大切にしていこうとする姿勢を子どもたちの中に. 育てていくことは、さまざまな文化を消化吸収しながらも日本人的感性をもとに新 しい日本的な文化へと発展させていく原動力となるのである。. 学校教育において日本の伝統音楽を指導することの意義として、山内は以下の3 点を挙げている6。. 1.自国の音楽のよさを、誇りを持って、自分の言葉と音楽で語ることができる 5山内雅子『臼本音楽の授業』2001年 音楽之友社 p.8 6山内雅子『日本音楽の授業』2001年 音楽之郷社 p.10 8.

(13) 子どもを育てること。. 2.これからの時代の日本の音楽文化を創造していく子どもたちが、自国の伝統 的な音楽の特徴を、美しいもの、価値あるものとして理解すること。. 3.和楽器の指導を通して、今、日本人が忘れかけている日本文化のよさに気付 かせ、日本人に息づく感性を呼び覚ますこと。. また、山内は日本音楽の良さは、目本音楽の持つ精神性を大切にして初めてわか ると考えている。日本音楽の持つ精神性とは何か。吉川英史は『日本音楽の性格』. の中で、日本の茶道の精神を最もよく表現した「和敬清寂」という言葉について詳 しく述べている7。「和敬清寂」は茶道の精神を表すだけではなく、広く近世の日本 芸道全体の精神を表現した言葉であるという。「和」は、「音楽の内部においては、. 音と音との和を意味し、音楽の外部においては、聴衆と演奏者の和、聴衆相互およ び演奏者相互の問の柏を意味し、さらに大きくは、音楽の本質である和の力によっ て君主と人民との和を意味し、最後に人間と自然との和を意味するのである。」とし、. これが日本人の音楽観であるとしている。島風」の精神とは、人の心に報い、人の意 志を尊重するという日本の道徳観や宗教観と結びついたもので、「神に祈って楽器を 創り、神に祈って曲を作り、神に手向けるべく演奏する。」という日本音楽の真の精 神であるとしている。「清」については、ひとつは視覚的な概念であり、演奏の姿勢 そのものの美しさ、端正な態度、優雅な手さばきという視覚的な美が重要視された。. もうひとつは音楽の内容そのものについてであり、不協和音を許さず清く澄んだ音 だけに美を見出し、心地よい音量の演奏の中に清麗で幽玄な雰囲気を求めた。また 「寂」とは、静けさ、わびしさ、あわれ、さみしさ、ほの暗さ、簡素などに通じると. ころの日本的美の性格を表した言葉であり、音楽的には速度が緩徐で音量が小さい ことを、また箏の押し手、三味線のすり上げ、すり下げなどによる余韻的奏法など を意味した。. このような装本文化・日本音楽における精神性を子どもたちに理解させるために は、学校の音楽教育で臼本の伝統音楽に取り組むことが必要になる。現在、学校教 育の中で、音楽の他にこのような日本文化の精神性を子どもたちに伝えることので. 7吉川英史『日本音楽の性格』1979年 音楽之友社 p.42 9.

(14) きる機会はほとんどない。家庭生活の中で臼本文化に触れる機会がある子どもも、. 全体の中ではごくわずかである。日本の音楽や文化を理解してこそ世界にさまざま な音楽や文化が存在することを知り、それぞれに価値ある素晴らしいものとして認 めることができる。国際化社:会に向けて国際理解につながる態度を育てるためにも、. まず自国の音楽や文化を理解し尊重することができることが大切である。. ところで、子どもの音楽教育は自国の伝統的音楽から始めるべきであるとする考 え方は世界的に数多く存在する。ハンガリーの作曲家ゾルターン・コダーイ〔1882 年一1967年〕はコダーイ・システムの中で、真の音楽的教養は万人にとって到達可 能であり取得しうるものでなければならず、音楽が教育課程の中心となるべきであ るとした。そして、すべての民族は、自民族の文化の伝承から出発しなければなら ないとし、その理由として、言葉の挿揚と音楽が民謡においてもっとも絶妙に一体 化していること、半音なしの、幅の狭い音の種類の少ない音階による歌が子供に最 も適していることを挙げτいる。 また、「わらべ歌遊びには、一民族の歴史的、社 会的変遷が断片的に生き続けている。音楽的観点のみならず、子どもの発達全般(思 考・記憶・想像力・運動・仲間感など)を大きく助ける。」と述べている8。. また、1962(昭融37)年のカール・オルフ〔1895年一1982年〕の来日以来、オ ルフ音楽教育は日本全国でさまざまに試行錯誤されてきた。丸山妙子はオルフ音楽 教育について言及し、「地域に根ざしたものからの教育」という教育理念を持ち、わ らべ歌を出発点として、即興性、遊び、身体表現を重んじるオルフの手法は、「日本 の音階を積極的に用いて即興的な音作りをしてゆく」ことであるとしている9。. 1960年代から1970年代は、共通教材の鑑賞が主流だった従来の日本音楽の指導 に対して、子どもたちの立場に立った新しい指導実践が数多く報告された時期であ る。新しい指導実践のひとつに、わらべ歌を基礎とする系統的内容を指導するもの がある。わらべ歌を素材としたアンサンブルや即興演奏の指導、わらべ歌が本来持 っ「遊び」の機能を取り入れた実践などが数多く見られるようになった。この新しい. 8フォライ・カタリン、セー二・エルジェーベト共著『ロダーイ・システムとは何 か ハンガリー音楽教育の理論と実践』1979年 全音楽譜出版社 9日本音楽教育学会編『音楽教育学研究1』「日本のオルフ音楽教育における言葉の メロディー化の課題」丸山妙子 2000年 音楽之友社 p.323 10.

(15) 指導実践が推進された背景として、川北真規子は大きく次の3点を挙げている10。 まず、「二本立て方式」と呼ばれる、現場の教師を中心とする組織による、わらべ歌 から出発する音楽教育の提言、次に民族音楽学者・小泉文夫の日本音楽の研究など、. 音楽学や音楽教育の研究者による研究成果、そしてコダーイやカール・オルフによ る母国の音楽文化から出発する音楽教育の日本への紹介がなされたことである。 小島美子は、西洋音楽中心の学校音楽教育は、子どもたちに音楽は難しいもの、. 楽しくないものと思わせて、かえって音楽から遠ざける役割を果たしていると述べ ている11。「わらべ歌は遊びの歌だから、もともと五線譜などで教える歌ではないし、. 自分の知らないわらべ歌を覚えるときも、遊びの中に入って一緒に歌っているうち に自然に覚えてしまうのが普通である。伝統音楽の学習法はもともとこういう口か ら口へという形をとったもので、人々は歌詞とメロディをこうしていつも同時に結 びつけて覚えるのである。」「わらべ歌や民謡を取り上げる際にも、洋楽式に五線譜. で覚えさせ、洋楽式の強弱のリズムと和声と発声法とピアノ伴奏で、先生の指揮の もとに一糸乱れずに歌わせるのは、わらべ歌のメロディを西洋音楽教育に取り入れ たことにはなるが、わらべ歌から出発する音楽教育とは全く異なっている。」小島は、. 「義務教育の音楽教育は一部の専門家を養成するための教育とはちがうのだから、. わらべ歌で遊びながら始め、当分は楽しい歌を歌ったり踊ったりしているだけとい うような、気楽な楽しい授業で十分ではないか」と述べている。 茅原芳男は『教育流邦楽の指導』、『教育流邦楽狂蕩一代記』などの著書の中で、. 学校の音楽教育に日本の伝統音楽を取り入れるための教育課程の基軸として、「教育. 流邦楽」を提案している。教育流邦楽は、主に表現領域で罫和楽器を活用して創出 される音楽の総称」であり、「既存の邦楽の各種目、流派、教授の内容・方法等に偏. することなくそれらを超越し、和楽器の立場で望ましい音楽・文化教育を考えよう とする活動の原動力として位置付けることができる」としている12。すでに述べた ように、学校において日本の伝統音楽を指導する際、西洋音楽の指導法によって行 うことは本来の日本の伝統音楽を子供たちに伝えたことにはならない。だからとい エ。日本学校音楽教育実践学会編『日本音楽を学校で教えるということ』「日本音楽 の指導実践の動向と特徴」川北真規子 2001年 音楽之貴社 p.13 11小島美子『日本の音楽を考える』1976年 音楽之友社 pp.46・47 12茅原芳男『教育流邦楽の指導』1994年 音楽之友社 p.10. 11.

(16) って、邦楽の世界に古くからある閉鎖的な家元制度による教授法を学校教育に持ち 込むことはできない。西洋音楽的でも家元制度でもない和楽器の指導法が学校にお ける教育音楽には必要であり、それが教育流邦楽なのである。学校において和楽器. を指導する際、最初は2音だけでできたやさしい旋律から出発し、次第に3音の旋 律、4音の旋律…. と音数を増やしていくのが、教育流邦楽の方法であるが、こ. のときにもわらべ歌はすべての楽器の入門書として活用できるのである。. 私たちが潜在的に持っている目本人としての固有の感覚、音楽性を大切に育み伸 ばしていくことは、音楽教育の基本である。邦楽や和楽器に関心を持たせ、日本の 伝統文化全般に理解を深めることは、今まで親しんできた西洋中心の音楽や文化と は異なる美しさや表現があることを知ることである。そして、さまざまな美しさや 表現があることを知るということは、世界中の多様な文化を認め尊重しあうという 国際理解につながる態度を養うことにもなる。母国の伝統音楽、文化を理解するこ とによって、他国の異なる文化をも尊重することができる、というグローバルな視 点は、音楽の授業の範囲にとどまらず、学校教育全般における重要な課題である。. 日常生活の中では触れる機会が少なくなってきた日本文化を再確認するために、和 楽器や異本の音楽は学校における音楽教育の中で是非とも取り上げられる必要があ るのである。. さて、和楽器にはさまざまな種類があるが、その中でも現在学校音楽教育に最も 多く取り入れられている楽器のひとつが、箏である。箏は可動式ブリッジの箏柱に よって音程が定められるため、いったん調弦すれば、旋律のみを演奏する範囲であ れば、箏爪をはめた右手だけで演奏可能であり、初心者にとっては比較的奏法が平 易である。また、平調子などの伝統的な五音音階だけでなく、西洋音楽の七音階な どにも対応できるため、幅広い範囲の音楽に取り組むことができるし、音色も西洋 楽器と融合しやすい。そこで筆者は、和楽器の中でも特に箏に着目して論を展開し ていく。. 12.

(17) 第2節 特別支援学校において箏を取り上げる上での問題点. 第1節では、学校の音楽教育に和楽器を取り入れる意義や効果について論じた。 その和楽器のなかでも、学校に取り入れる実践例が多くみられるのが箏である。箏 は、箏柱を動かして予め調弦を固定することで、右手だけで演奏が可能であり、柱 の並べ方や色を使った音譜などの工夫を加えることによって、知的障害を持った生 徒でも無理なく取り組める楽器である。また、特別支援学校の音楽科授業において は打楽器が中心になりがちな中、弦楽器としての音色が新鮮であり、ピアノやリ諏 一ダーのような、教室で身近に見聞きする西洋の楽器とは異なる日本らしさを感じ る音色であることなどから、普通校と同じように、特別支援学校において取り上げ ることには大きな意義があると考えられる。しかしながら、実際の取り組みにおい ては、普通校とは違った特別な配慮が必要であり、さまざまな問題点がある。以下 にその配慮すべき問題点を挙げてみる。. 1.楽器入手 まず、楽器入手の問題がある。特別支援学校では小学部・中学部・高等部の各学. 年に1人ずつ音楽を担当する教師がいるので、1年に一度備品の購入希望を出す際 には、各学年の音楽担当教師が話し合って、音楽科として購入を希望する物品を決 定する。各教科担当やさまざまな校務分掌(総務部・教務部・生徒指導部など教科 以外の校務運営上の分掌)から購i入希望が出されるので、第1希望の物品さえ買っ てもらえないこともある。そのため、物品はどの学年にとっても使用頻度の高いも のであることが必要条件になってくる。ある学年しか使用しない、ある学年の教師 しか指導できない、といったことのないように音楽担当教師全員の合意のもとに購 入希望を出すため、箏を希望することは難しい。近隣校や邦楽教育振興会関西研究 部・県立教育研修所など、箏を貸し出している組織から借用することは可能である が、借用楽器にはいろいろな制約があるため授業においては使用しにくい面がある。. 例えば、生徒にわかりやすくするため13本の弦にそれぞれ必要に応じて色を付 けることがよくある。その弦の色を使って楽譜にしたのが色譜であり〔譜例1∼5〕、. 数宇や漢数字を使うより生徒にとって見やすく、授業で箏を使う際に生徒の能力に 13.

(18) 応じてしばしば使用する。しかし、借用楽器の場合、弦に直接ペンなどで色を付け ることはできない。水性の絵の具で色を付けたところ、後でなかなか色がとれずに 困ったことがあった。. 〔譜例1〕《越天楽》(三浦奈緒子編)より抜粋. ソプラノ. 潟Rーダー. セ癬. 1. ●. ●. @ 箏 ニー二三四五. 五. ニーニミ四五. 五. ピァニカ1. sァニカ2. り. sアニカ3. sアニカ4. @. 鉄琴. `ャンチキ ;. @ 締太鼓 3 3. @長胴太鼓. 14. 1.

(19) 5. ソプラノ. o …. 潟Rーダー. 1. ●. ニ譜. ●. @ 箏. / …. 八七八九十斗. 為. ニー二三四五. ピアニカ1. 五. .…. sァニカ2. ≡. sァニカ3. sァニカ4. @. 鉄琴. ≡. 5. `ャンチキ. ≡. @ 締太鼓. …. 3. 3. @長胴太鼓. 15.

(20) 〔譜例2〕《越天楽》調弦. 緑 赤 黄 緑 黄. 青. 一二三四五. 七八九十斗為. 六と巾は使用しない。. 色は、竜角に貼るシールの色と位置を示す。. 五には黄と緑の2つの色のシールを貼る。. 〔譜例3〕《越天楽》音型. ・赤… 二を弾いた後、一から五までを順に弾く。 ・青…. 八を弾いた後、七から為までを順に弾く。. ・黄… 黄の貼ってある三と五を、親指と中指でピッチカートをする。 ・緑…. 緑の貼ってある四と五を、親指と中指でピッチカートをする。. 赤. ニー二三四五 五. 青. 黄. 緑. 八七八九十斗 為. 喜 i互. 五 五 四 四. 〔譜例4〕《越淫楽》色譜の弾き方. ○は休符を表す。. ●②⑫⑭⑤⑤○○Oi. ●⑧⑰㊧㊥⑧○○OI l㊥○⑨Ol. ●1②○②α. 16.

(21) 〔譜例5〕《越天楽》色譜. I●II●1. {●LI●1. 筆者は弦に直接色をつけることを避けるため、使用する弦に1本1本色の付いた 小さなシールを貼ったことがあるが、肝心の箏の響きが非常に悪くなってしまった。 弦に印を付けるのは演奏する箇所にできるだけ近い方が生徒にわかりやすいため、 竜角の左方に印を付けようと試みたのであるが、どうしても音色に影響してしまう。. 竜角の右側や箏柱に、色づき輪ゴム、クリップなどで目印を付けている学校もある が、弾く位置から離れているため、生徒にはわかりにくい。知的障害を持つ生徒の ためには弦に何らかの印を付けることは必要だが、音の響きを変えずに、しかも生 徒にわかりやすく印を付けるにはどうしたらよいのか、試行錯誤を繰り返している。. 箏は面を傷つけないよう、箏柱を倒さないように、また楽器運搬の際床や壁に当て たりしないように細心の注意を払わなければならないが、それもなかなか難しい。. そこで筆者は、古道具屋を中心に箏を自費で集め、和楽器店に依頼して弦を張り 替えてもらい授業に使用してきたが、和楽器を購入するにも現実には予算の出所が 無く、借用するにもいろいろ制約があるというのでは、現場での実践になかなかつ ながっていかないのではないだろうか。これはもはや特別支援学校だけではなく、 学校音楽教育全体に関わる問題である。. 和楽器の購入について、平成18年4月26日に行われた文部科学省第3回文化審 17.

(22) 議会文化政策部会議事録1に記されている新宿区の取り組みは、大変興味深く参考に. なるものである。岡本喜美子氏(大田区立蓮沼中学校長・全ヨ本中学校音楽教育研 究会事務局長)の発表によると、新宿区では、新学習指導要領が告示された平成10. 年から何年かかけて、教員が区に掛け合って楽器購入の予算化を実現し(3ヵ年に わたって毎年200万円)、メンテナンスについても各校ではなく新宿区教育委員会 の所属にして管理するという形をとっている。多くの邦楽界の専門家・演奏家がボ ランティアで学校教育に関わるという都心部ならではの恵まれた環境も幸いしたよ うだ。しかしながら、多くの自治体では、和楽器購i入のために充てられるという地. 方交付税の中の教材整備費で、実際に穐楽器を購入するという実績がほとんど無い 状況の中で、専門家や演奏家と教師のネットワーク作りもままならず、もっと和楽 器指導に対して財源措置が必要なのだと声を上げることすら困難な状態なのではな. いだろうか。そもそも、予算枠も取らずに邦楽関係の専門家・演奏家やNPOに対 して学校教育へのボランティアとしての姿勢を暗に求めているところがらして、日 本における芸術教育の重大な課題が見えてくる。. 2。箏爪 次に、箏爪も大きな問題である。筆者の今までの実践では、和楽器店に勧められ. たプラスチック製の箏爪を用いた。1個250円程度で、爪を指に固定するU宇型の 輪の部分は、熱湯にしばらくつけて柔らかくなったところで箏を演奏する生徒の指. に合わせ、1人1人サイズを玉藻していく。通常は右手の親指、人差し指、中指に 箏爪をつけて演奏するが、特別支援学校の場合は、演奏をより簡単にするため親指. 1本で演奏可能なように楽曲をアレンジする必要がある。そもそも自閉的傾向の強 い生徒は、少しでも違和感があるものを身につけるのは苦手である。帽子や手袋を つけることが困難であったり、怪我の手当てをした絆創膏や治りかけのかさぶたを すぐにとってしまったりすることがあり、箏爪も例外ではない。また、手指機能が 未熟な生徒も多く、箏爪をうまく扱えず箏らしい音がなかなか出せないことも多い。. 力が入らず音が出ない、逆に力を入れすぎてプラスチック製の箏爪をすぐに折って 1htt:〃www.bunka o’/1ammasi/25 bunkaseisakubukai 2 i.ifoku html(平成. 19年5月閲覧). 18.

(23) しまうなどのトラブルも多く、箏爪の代わりになるような扱い易い、しかも値段の. 安い、1人1人の指のサイズに合わす必要の無いタイプのものはないか、頭を悩ま せる課題のひとつである。. 3.演奏の体勢 箏を演奏する際の姿勢が問題となる生徒もいる。今までは、立奏台がないため床 に座らせる形で取り組ませたが、体や関節が硬い、肥満である、などの理由によっ て足を曲げることが困難で正座ができなかったり、胡坐がかけなかったりする生徒 は意外と多い。時間と場所に余裕があれば、いすに座って立箏の体勢で演奏させる 方が生徒の負荷がより少ないと考えている。. 4.調弦 無理のない平易な奏法で、余裕を持って箏の音色を楽しめるようにするために重 要なポイントとなるのが調弦である。音そのものは跳躍進行があったとしても、指 の移動間隔の距離が遠く跳躍することがなるべく無いように、できるだけ隣り合っ た弦へ順次進行できるように調弦を工夫する必要がある。また、音の種類もできる. だけ少なくし、使用する弦そのものが5∼6本までですむようにすると、無理なく 演奏できる生徒も出てくるようである。箏爪をはめているのは親指だけなので、親 指のみで単音を弾くか、手前から向こう側に向かって連続音を演奏するのが一番簡 単な奏法である。簡易な奏法で表現できる範囲で、その楽曲にふさわしい音形で、 箏の音色が生きる音列となるように、調弦を考えなくてはならない。. 5.’副指導教師を加えた合奏形態の工夫 できるだけ多くの生徒が、副指導の教師による援助を受けながら演奏に参加でき. るようにするためには、1面の箏を2∼3人の複数人数で使用することが必要になっ. てくる。1面の箏を低音部と高音部の2つに分け、さらに必要に応じてピッチカー トでもう1人が参加するなど工夫すると、1面の箏だけでアンサンブルを楽しむこ. とができる。筆者は1面の箏を3人で使用することを前提に、1学年40名程度の生. 徒に対して箏を13面用意した。箏1面に付き教師1人が援助に入ることとし、1 19.

(24) 面の箏に配置する3人の生徒は、重度の生徒と軽度の生徒をバランスよく組み合わ せるようにした。しかし、言葉でいうほどこの形態は簡単ではない。箏1面に教師 が1人付いたとしても、異なるパートを受け持つ3人の生徒を適切に導くことは非 常に難しい。人の模倣をしてしまう傾向のある生徒は、同じパートの仲間が周囲に いると同じように演奏できても、すぐ隣で異なるパートの演奏をされると混乱して しまうのである。他人の演奏を聴きながらも自分は異なるパートを演奏し、音の重 なりしを楽しむといったことは大変難しいことであり、特別支援学校においては、1. 面の箏を数人でアンサンブルする形ではなく、もっと適切な合奏形態を考える必要 がある。. 6.副指導教師との連携 特別支援学校における音楽の授業では、主指導の教師の他に副指導として生徒の 援助にあたる教師が複数いることは「はじめに」で述べた。主指導の教師による一 斉授業では、学習内容や教師の指示が各生徒にはなかなか伝わらない。それを補う. ために、生徒の障害の程度や能力に合わせて1人1人にわかりやすく説明したり、 見本を示したりするのが副指導の教師の役割である。そのためには、教師全員が授 業内容や教材曲について共通理解をしていることが大切である。主指導の教師は授 業ごとに指導案を作り、必要であれば副指導の教師が教材醗を練習する時間を作り、. 副指導の教師全員が教材曲について理解しているようにしなければならない。とこ ろが、近年の学校全体の管理的傾向、会議の増加、書類作成の増加など教育現場が どんどん忙しくなってくるにつれて、肝心の教材研究の時間や、教師同士のコミュ ニケーションの機会がますます少なくなってきている。教材研究は家に持ち帰って 行うことが増え、教師同士が話し合う機会がほとんどないので、副指導の教師は授 業内容を当日になってから指導案で知らされるということになる。その結果、主指 導の教師が全面的に授業内容の責任を負うことになる。箏のように普段あまり馴染 みのない楽器を教材として取り上げた場合、共通理解が不十分なことによってさま. ざまな問題が生じる。教師1人1人が生徒に適切な指導ができないための時間的な ロスや、主指導の教師の意図がきちんと伝わっていないことによる間違った指示な ど、時間と労力を浪費する事態となってしまうのである。 20.

(25) 7.授業時間の問題 それに加えて、以前は週2回あった音楽の授業が現在週1回となり、ますます指 導を積み上げていくことが難しくなってきている。高等部においては、行事や現場. 実習などで、週1回の授業すらなくなってしまうこともある。そのため毎年12,月 に行われる学習発表会に向けての合唱曲や合奏幽、卒業式のための式歌を、1学期 のうちから準備する必要があるのが現状である。授業で楽器を使用する場合は、合 奏としての形が整うまでに時間がかかることを考えて、各パートの演奏をできるだ けわかりやすく簡単な形にせざるを得ない。同じ音列の繰り返しやシンプルなリズ ムなどを使用することによって、時間をかけずに合奏を楽しめる状態にしていくこ とが必要になってきている。. このように、特別支援学校の授業に箏を取り入れることは、楽器の準備・教材曲 の選択と編曲・指導体制のどの点から見ても、普通校に比べて容易ではない。普通 校ならさして問題にはならないことでも、特別支援学校では配慮が必要になること が多いのである。1つ1つの指導はスモールステップの積み重ねでなければならず、. そのスモールステップ1つ1つの理解・達成にも時間がかかるのが特別支援教育で ある。しかし、時間をかけて学習を積み重ねることだけが重要なのではなく、その 目その時間の音楽の授業が楽しいということがまず大切であり、教師は授業の中で 生徒たちがいい表情を見せてくれることを第一に目指さなければならない。それに 加えて高等部の生徒たちには、学習発表会:などの目標に向かって時間をかけて取り. 組む課題、友達と力を合わせてひとつのものを作り上げていくような課題が必要で あり、それをやり遂げた達成感を経験させたい。そのためにも、試行錯誤の中から 最適な指導法を見出し、さまざまな創意工夫をしていくことが大切である。. 21.

(26) 第3節 特別支援学校における箏の指導のあり方. 第1節において、和楽器を学校の音楽教育に取り入れることによって、普 通校においては、自国の伝統音楽、伝統文化の価値を尊重する姿勢を育てること になり、ひいては文化の担い手としての子どもたちに、世界にさまざまな音楽や 文化が存在することを知らしめ、国際理解につながる態度を育てる、といった意 義や効果があることを述べた。しかし、特別支援学校における箏の導入には、そ れとはまた異なった意義を見出すことができる。. まず、特別支援学校の音楽の授業で大切なポイントのひとつに、さまざまな表 現手段を用意する必要性があるということが挙げられる。特別支援学校の生徒た ちは、地域社会に積極的に関わりを持ったり、自分の趣味を深めたりするために は保護者などの援助を必要とする場合が多いため、自ずと行動範囲が狭められ、. 日常生活の中での最大の情報源は学校ということになる。学校でさまざまな経験 を積み、さまざまな表現方法を知ることは、自分の知っている世界を広げ、人生 を豊かにすることそのものである。知的障害を持つために表現方法が限られてし まうことの多い生徒たちに、学校教育だからこそできるさまざまな経験の中から、. 自分に適した興味の対象、表現方法を見つけることができる機会を提供すること は、特別支援学校教育の果たすべき重要な役割である。授業に箏を取り入れるこ とは、今までに接してきた西洋音楽とは異なる音色の美しさ、表現方法を知るこ とであり、生徒自身の持つ世界を広げることにつながるのである。. 次に、箏は特別支援学校で演奏可能な、数少ない弦楽器のひとつであるという ことである。普通学校の音楽教育で使用される可能性が高い弦楽器はギターであ ると思われるが、左手でフレットを押さえながら音程を決め、右手で弦を弾くと いう奏法は、知的障害を持つ生徒にとっては容易ではない。左手で音程を決め、. 右手で弦を弾くという奏法は、ヴァイオリンやビオラ、チェロ、コントラバスな どの擦弦楽器や、ギター、三味線などの擬弦楽器が当てはまる。このように、弦 楽器の多くは演奏する際に両手で異なる操作をする必要があるため、特別支援学 校の授業では使いにくく、授業実践もほとんどなされていない。それに対して、 22.

(27) 箏は箏柱を並べることで音程を決めるため、押し手で音程を変えることを考えな ければ左手で音程を操作する必要がなく、右手のみで演奏できる点で、知的障害 を持つ生徒にとっても比較的平易に演奏することが可能なのである。特別支援学 校の授業で使われる楽器のほとんどは、鈴やタンバリン、太鼓などの打楽器であ るが、箏を取り入れることによって、特別支援学校においても弦楽器の音色を楽 しむことができるようになるのである。. 以上のように、特別支援学校において授業に箏を取り入れることは、日本の伝 統音楽を知るというだけでなく、洋の東西に関係なく、さまざまな音階による旋 律を奏で、弦楽器の音色を経験し楽しむ、という点において意義があるといえる。. したがって、特別支援学校に箏を取り入れる際には、箏の「伝統的」な面にあま りとらわれずに、平易な奏法で箏の音色を楽しむことができるような教材を考え る必要がある。. それでは、「平易」であれば「伝統的」でなくてもよいのだろうか。最近の箏を. 使った楽曲の中には、現代において広く親しまれているポピュラー音楽をアレン ジしたものがよくある。それはそれで、生活の中で日常的に親しまれている音楽 を箏で演奏することで、より多くの人々に受け入れてもらいやすいことや、歌や 器楽曲としてその楽曲をよく耳にしているからこそ、オリジナル曲とは異なる箏 の独自な音色に気づき、より集中して聴くことができることなどを利点として挙 げる考え方もある。しかし、学校の音楽教育に箏を取り入れる意味を考えたとき、. 教材曲として選曲する際に、その楽曲が親しみやすいというだけでは不十分であ る。箏の音色を楽しむことに重点をおくからこそ、箏の音色にふさわしく、箏と いう楽器が美しく鳴る楽曲を選曲しなければならない。本来箏で演奏されていた 伝統音楽こそが、時代を経て現代に残ってきたのであり、箏の音色に最もふさわ しい音楽であるといえる。とはいえ、箏を取り入れることで生徒たちに学ばせた いのは、単なる「伝統文化」や「文化遺産」としての日本音楽にとどまらない「今 を生きる」日本音楽である。「今を生きる」ために日本音楽が身につけてきた現代. 的な感覚とは、即ち明治期に輸入された西洋音楽の音階、リズム、和声、テンポ 感、音型などである。日本の現代音楽の中には、これらの西洋音楽的な感覚によ 23.

(28) る発想に基づいて、日本の伝統楽器を用いて作曲された優れた作品も少なくない。. これらの作品から、日本の伝統楽器による表現の効果や特徴を感じとらせたり、. 私たちが本来持っている自由な音あそびの感覚で、リズム表現やメロディー表現 へと発展させたりすることに意味があるのである1。また、伝統楽器を用いて作曲. された作品でなくても、日本の伝統的な音階を用いて作曲されている楽曲、日本 音階による音楽でなくても日本をイメージして作曲された楽曲などは、箏を使っ て表現するのに適しているものもある。それらの中から、生徒たちが魅力を感じ ることのできる楽曲を探し繊し、箏柱の並べ方を工夫することによって、弦を順 次進行で弾くだけでひとつの旋律になるような平易な形で演奏できるように、し かも箏の露本的音色を味わうことができるようにアレンジすることが、特別支i援 学校における望ましい箏の指導のあり方といえよう。. 1峯岸創『日本音楽が変わる』2002年 音楽之友社 p.24 24.

(29) 第2章 教育現場における箏を使った授業実践例 第1節 小、中、高、特別支援学校における箏を使った先行授業実践 特別支援学校における穐楽器の実践として轍和太鼓による実践を数多く見ること ができるが、箏を取り入れている学校には今のところ筆者は出会っていない。箏が、. 特別支援学校において授業に取り入れるのに値することは第1章で述べたが、.普通. 校における実践とは異なり、さまざまな配慮や工夫が必要になる。特別支援学校に おける箏を使った授業妻考えるときに、筆者はまず、小学校、中学校、高等学校、. 特別支援学校の箏を使った先行授業実践にどのようなものがあるのかを調べ、箏を 授業に使うための配慮や工夫などを参考にすることにした。参考にするために集め た先行授業実践例、指導案、楽譜は〔表1/、〔表2〕、〔表3〕にまとめている。そし て、その中から、特別支援学校におけ、る指導に生かせるアイデアを抽出し、それら をもとに実際の指導に適した形にできないかを考えた。. 先行授業実践の中で最も多かったのが、《うさぎ》や《かごめかごめ》といったわ. らべ歌や《さくらさくら》などの曲を、箏で演奏するという取り組みである。平調. 子(ミラシドミファラシドミファラシ)に調弦した箏で、1面の箏を何人かで交替 しながら弾いたり、1人が主旋律を弾いている横でもう1人が低音で伴奏を担当し、. 簡単なアンサンブルを楽しんだりするといった内容が多く見られた。また、それに. 加えて創作活動に箏を活用している実践もあった。3音∼5音程度の音を使って、 グループごとに4小節程度の短い旋律を自由に作り、《さくらさくら》の前奏、間 奏、後奏として演奏するといったものである。雅楽《越天楽》を編曲し、合奏に取 り組んだ実践も多かった。また、地域のゲストティーチャーによる指導や鑑賞会も あった。いずれの実践も、子どもたちが短時間で箏を弾けるようになったこと、簡 単にアンサンブルを楽しめたこと、創作活動にも意欲的に取り組めたことなどが報 告されている。. また、小学校においては箏を使った実践が多かったが、中学校、高等学校におい ては和楽器の種類も多岐にわたり、箏の他にも三味線、尺八、篠笛や、小鼓や箪簗、. 笙などの楽器を実際にゲストティーチャーとともに取り組む実践も見られた。箏が 小学校における実践に広く取り入れられているのは、他の日本の楽器のように、音 を出すこと自体に難しさがなく、奏法が平易で、小学生にも無理なく取り組める楽 器と考えられているからであろう。. 25.

(30) 〔表1〕参考にした指導案・楽譜. 友:社. 曲名. 指導案名. 参考文献・資料 島崎篤子・加藤富美 子『授業のための日 本の音楽・世界の 音』1999年 音楽之 縛帯 清水宏美『頼楽器・ 日本の音楽を楽しも う』2003年 音楽之. はじめての箏 雅楽ワールド. 《たこたこあがれ》《うさぎ》《さくら変奏曲》 《二天楽今様》 《平調主上楽》. わが国の伝統的な楽 《さくらさくら》《さくら変奏曲》《六段の調》. 器、箏の音色の美しさ を味わおう. 和楽器を使って創作を. 《さくらさくら》《荒城の,月》. 楽しもう. 箏の音色の美しさに触 れ、その魅力をアンサ. 《さくらさくら》《さくら変奏曲》. ンブルで表現しよう. 宮城道雄の代表曲《春. 《春の海》. の海》を奏でよう. 好きな楽器を選んで箏 とアンサンブルしてみ. 《いつも何度でも》. よう. 日本の音楽の特徴を感 じ、自由な発想で音楽. 《もののけ姫》. づくりをしよう. 身の回りにある郷圭の 音楽を粕楽器で表現し. 《東京音頭》. よう. 和楽器や声を使って. 《TAKIO’S SOHRAN 2》 (ソーラン節). ギ自分たちの音楽」を 堂々と奏でよう. ク. 茅原芳男『教育流邦. 箏を中心とした指導事:. 楽の指導:』1994年. 例. 音楽之友社. 第1群 歌唱共通曲のわ らべ歌・目塗古謡 第2群 文部省唱歌 第3群 各地のわらべ 歌。子守歌. 《ひらいたひらいた》《さくらさくら》《うさぎ》《子守 歌》《越天楽今様》. 《海》《茶摘》《夕やけこやけ》《春の小ノ購 《かたつむ り》《虫の声》《ふるさと》 《もみじ》 《おぼろ月夜》. 《大さむ小さむ》《かごめかごめ》《とおりゃんせ》《あ んたがたどこさ》 《道成寺》 《ずいずいずつころばし》 《山寺のおしょうさん》. 第4群 八木節様式の民 謡. 第5群 古典邦楽曲の器 楽部分 第6群 現代の邦楽曲よ り器楽曲. 茅原芳男『和楽器の 奏法と活用』2002年 特定非営利活動法人 邦楽教育振興会 日本学校音楽教育実 践学会編『日本音楽 を学校で教えるとい うこと』2001年音楽 零墨社. 各楽器共通の練習曲. 黒田節》 《八木節》 《お江戸日本橋》 《ソーラン節》 《会 津磐1梯山》 《こきりこ節》 《子鍛冶》《勧進帳》 《秋の二種》 《木遣の段》 《越後獅 子》. 《二つの個性》 (藤井凡大作曲) 《螺鋼》 (沢井忠夫作 曲) 《人形風土記より‘ニポポ’》 (長沢勝俊作曲) 《和 楽器のための‘童夢’》 (吉崎克彦作曲). 《かごめかごめ》《ひらいたひらいた》《子守歌》《うさ ぎ》《ていんさぐぬ花》《もっこ》《こきりこ簾》《二天 楽今様》《さくらさくら》《黒田節》《お江戸臼本橋》 《とおりゃんせ》《越後獅子》《あんたがたどこさ》. 器楽の響きをつくる. 《旱天楽》. (海南市立海南第一中. 学校杉原孝教諭). 和楽器を用いる (北海. わらべ歌《さくらさくら》. 道教育大学函館校助教 授尾藤弥生). 26.

(31) 参 文 ・ 料. 指’ 名. 曲名. ,井清 和幕器によ. わらべ.によるアンサ. るアンサンブル』. ンブル. た》. 1988年全音楽譜出 版社. 、なべなべそこぬけ>Kほたるこい おおさむこ む 《かごめかごめ》《あんたがたどこさ》《ひらいたひらい. 日本民謡によるアンサ. 《ソーラン節》《木曽節》《こきりこ節》《かぞえ歌》. ンブル. 《ていんさぐぬ花》. 峯岸創『日本の伝統 学習指導の展開例 箏 文化を生かした音楽 の音色や響きを体験す の指導』2002年 暁 る. 《さくらさくら》. 教育図書. 箏を弾いてみよう. 《さくらさくら》《六段の調》 (八橋検校作曲). 箏曲《千鳥の曲》の味. 《千鳥の曲》 (吉沢検校作曲). わい. 箏のよる音楽づくりを. 《六段の調》 《三つの断章》 (中能島欣一作曲) 《楽》 (沢井忠夫作曲) 《凍る》 (池辺晋一郎作曲). 楽しむ. 山内雅子『ヨ本音楽 初めての箏《さくらさ の授業』2001年 音 くら》. 《さくらさくら》. 楽牛革社. 《つるの恩返し》《三枚のお札》. 箏を用いた創作「日本 昔話の音楽劇」. 和楽器アンサンブル. 《こきりこ飾》. 《こきりこ節》. 新しい現代邦楽「日本 《百花緯乱》 (三宅一徳作曲) の音楽・昔と今」. 山口修・田中健次. 指導の実際. 《さくらさくら》 《夕肩》 《ソーラン節》 《四季より. ‘春’》 《春よ、こい》 (松任谷由実作曲) 『邦楽箏始め』2002 年 カワイ出版 《越天楽今様》 山本文茂『これから 学習指導の実践 の中学校音楽ここが 箏で楽しむ《越天楽今 ポイント』2002年 様》の合奏(千葉県船 橋市立葛飾小学校 冨 音楽之友社. 州洋子教諭). 〔表2〕参考にした楽譜 参考楽譜集 オアシス ・・三 ・尺八で弾く 名曲アレンジ屡2002年ドレミ楽譜出 田中利光『和楽器アンサンブルへの 招待』2001年 全音楽譜出版社 田中利光『和楽器合奏十八番』2003. 年全音楽譜出版社. 曲名 《いつも何:又でも/ 《ダッタン人の踊り》 《 唄》. 《竹きり》《かごめかごめ》《あんたがたどこさ》 《八木 節》 《子守歌》 《こきりこ節》 《金比羅船ふね》. 《ひらいたひらいた》. 《数え歌》 《雪やコンコン》 《茶. 摘》 《よさこい》. 《ほたるこい》《とんび》 《たきび》 《ふじ山》 《わらべ 茅原芳男『授業で取り組む箏入門』 うたづくし第1番》《わらべうたづくし第2番》 2000年 音楽塩冶社 山内雅子・大原啓司『授業や音楽会 1面の箏を3人で奏でよう《さくらさくら》 《ていんさぐぬ. ですぐに使える楽しい箏楽譜集』. 花》《かさじぞう》 《数え歌》 《花》. 2002年 音楽之友社. 箏で合奏しよう 《わらべうたメドレー》《八木節》. 《こきりこ節》 《まほ. うの鈴》 《百花練乱》. 調弦の自在さを生かして、世界の曲を 《いつも何度でも》 《島唄》 《越天楽今様春欄漫》. 箏特有の奏法を生かして 《もののけ姫(序の部… 能楽夏子にのって) (破の 部… 歌舞伎嘱子にのって)》 《越ヶ天チャ乱淫様(ケチャのリズムにのって越天楽》. 27.

参照

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