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文化庁委嘱事業:わらべ歌と日本音楽の教室           「ことこと倶楽部」における括動実践取材

囚⑤.鱒⑤・⑤・・④鱒⑭

第3節  文化庁委嘱事業:わらべ歌と日本音楽の教室           「ことこと倶楽部」における括動実践取材

 1.「ことこと倶楽部」とは

 「ことこと倶楽部」は、文化庁委嘱事業「伝統文化こども教室」とし

て、大阪府堺市において平成18年度より開かれている、子供のための

邦楽教室である。「ことこと倶楽部」を運営しているのは、関西を拠点に 活動する邦楽演奏家、作曲家、邦楽器製作者、わらべ歌遊びの指導者、

日本音楽研究者が、日本の音楽文化を子供たちに伝えるために立ち上げ た指導者集団「邦楽舎(ほうらくしゃ)」である。堺市の泉北ニュータウ

ンに位置する「こひつじ保育園」のホールを借りて、月に2回、年間計

18回 実施されている。対象は小学生から中学生まで、平成18年度は18 名、平成19年度は28名が参加している。その多くが地域(小学校校区)

の仲間、こひつじ保育園在園時からの仲間として参加し、兄弟姉妹の参 加も多い。昔の地域社会のあり方を再生させたいという「ことこと倶楽 部」、の活動は、このような幅広い年齢層にわたる人間関係を重視してい

る。

 2.活動の内容とその特色

 「ことこと倶楽部」では、わらべ歌遊びを出発点として、箏・三味線・

尺八の教習を行っている。わらべ歌は伝統的な日本音楽の音階でできて おり、お箏や三味線、尺八といった日本の楽器による伝統的な音楽の原 型である。子供たちは、まずいろいろなわらべ歌遊びで十分に遊んだ後、

歌の旋律を箏や三味線、尺八で演奏する。遊びの中で親しんだわらべ歌 の旋律は、子供たちにとってごく身近な音楽となり、日頃馴染みの薄い

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目本の楽器を演奏する際にも、わらべ歌を導入曲とすることで、違和感 なく自然な形で取り組めるのである。

 わらべ歌遊びの基底には「子供の社会」があり、大きい子が小さい子 に教えながら遊ぶ伝承の形、遊びのルール、役交代・鬼決めのルールを 通して、子供たちは社会性を養っていく。おじいちゃんやおばあちゃん が、自分が子供だった頃に歌った歌を思い出しながら教えてくれる、と いった伝承ルートこそがわらべ歌本来の伝承の始まりである。「ことこと 倶楽部」では、このような伝承の実践を試みるため、楽器の奏法を指導

していく楽器主導型ではなく、まず歌を一緒に歌って楽しみながら楽器 の演奏へとつなげていく歌主導型の教習を行っている。また、そのわら べ歌は、テレビから流れる全国共通の標準語によるわらべ歌ではなく、

地元関西弁の、子供たちが日常話している言葉が自然と歌になった旋律:

であることを重要視している。なぜなら、日常話している言葉のイント ネーションに沿った旋律を持った歌こそ、子供たちの一番自然な発声で 歌うことができるからである。

 また、子供たちが本当の美しい邦楽器の音に出会う、よい演奏に出会 う、本物の楽器に出会うために、「ことこと倶楽部」の指導者が一流の演 奏を聴かせているほか、邦楽器の職人が子供たちの声域に合った調弦・

音域を調査・工夫し、子供たちの体のサイズに合った楽器(一尺三寸の 塩化ビニール製尺八、短樟の三味線など)を改良製作して貸し出して与

えている。

 3.平成19年度の活動とスケジュール

場所  堺市南区竹城台2−2−1 こひつじ保育園 2階ホール 時間  午前10時〜12時

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〔表4〕平成19年度(2007年度)活動目と活動内容一覧

回数 日時 内容 わらべ歌遊び練習曲目

1 6月23日(土) わらべ歌遊び オの練習

《いしかみばさみ》、《ことろことろ》、《なべ ネべ》、《四方の景色》など

2 7月 7日(土) わらべ歌遊び オの練習

《花いちもんめ》、《七夕の神さん》、《おすわり 竄キ》《ひとなげ(竹返し)》《ひいふうみいよ》

sさくらさくら》など 3 7月21日(土〉 わらべ歌遊び

オの練習

《ひとなげ》《易いちもんめ》《羅漢さんがそろ スら》《かごかご十六文》など

4 8月18日(土) わらべ歌遊び O味線の練習

《豆狸が徳利もって》《竹返し》など

5 9月 8日(土) わらべ歌遊び オ、尺八の練習

《お月さまの歌》《はやちりはいや(じゃんけん フ)》《とおれとおれ山伏(門くぐりの歌)》《田 Vび》《さくらさくら》

6 9月22日(土) 参加できず 7 10月 6日く土) わらべ歌遊び

オ、尺八の練習

《ひいふうみいよ(お手玉)》《ひとつとや(お 闍ハ)》《かごかご十六文》など

8 10月20日(±) わらべ歌遊び オ、尺八の練習

《じつちゃこばっちゃこ(ゴム跳び歌)》《ひい モうみいよ》

sひとつとや》《かごかご十六文》など 9 11月 3日(土) わらべ歌遊び缶蹴り

O味線、箏の練習

《じつちゃこばっちゃこ》など

10 11月24日(土) わらべ歌遊び オ、尺八の練習

《ひとつとや(まりつき)》《なみなみこなみ(縄 オび歌)》

sお箏の「手」を覚えましょう》

sかごかご十六文》《じつちゃこばっちゃこ》

11 12月15日(土) わらべ歌遊び

カ言、箏、尺八の練習 モ賞(箏と尺八による Q重奏)

《ひとつとや》《かごかご十六文》《たけのこ一 {》《お箏の「手」を覚えましょう》

カ言《二人大名》

モ賞《風の歌》沢井忠夫作曲 12 12月22日(土) 参加できず

13 1月19日(土) 羽子板遊び

カ言、箏、尺八の練習

《さくらさくら》《かごかご十六文》《じつちゃ アばっちゃこ》など狂言《二人大名》

14 1月26日(土〉 未実施 15 2月 9日(土) 未実施 16 2月23日(±う 未実施 17 3月 1日(土) 未実施 18 3月22日(土シ 未実施

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 4 活動実践取材

 筆者は、平成19年6月23日から1月19日までの活動実践のうち計10回を

取材した。午前10時から12時の活動は、前半の1時間をわらべ歌遊びに、後 半の1時間を箏や三味線など主に楽器の練習に配分している。前半のわらべ歌 遊びでは、「ことこと倶楽部」の子供たち全員にごひつじ保育園に通園している 園児たちも加わって、さまざまな年齢の子供たちが大勢で遊ぶ。後半の楽器の 練習では、「ことこと倶楽部」の子供たちを年齢と経験を考慮して2クラスま たは3クラスに分け、ひとつのクラスが箏の練習をしている間、もうひとつの クラスは尺八の練習や、あやとり・お手玉などの昔遊びをするなどして、特に 休憩時間をとらずに2時間の活動を行っている。箏の練習は毎回、三単位や尺 八の練習は不定期に行われ、各回の活動の1週間前に次の活動内容や覚えてく る合言葉がはがきで知らされる。

 活動内容を、(1)わらべ歌遊び、(2>合言葉、(3)箏の練習、(4)三味線の 練習、(5)尺八の練習に大別して、毎回行われている内容をまとめて以下に詳

述する。

 (1)わらべ歌遊び(午前10時〜11時)

 「ことこと倶楽部」では、毎回最初の約1時間をいろいろなわらべ群遊びで 遊ぶ活動にあてている。わらべ雛遊びには、ジャンケン歌、絵描き歌、まりつ き歌、葺くぐり歌、お手玉、縄遊び、あやとり、羽子板遊びなどさまざまなも のがあり、それらの中から毎回いくつかを活動の中に取り入れている。歌いな がら遊ぶうちに子供たちの心と体がほぐれていくのがわかる。初めて取り組む 遊び歌でも、歌の音程や歌詞を確認するといったことは一切せず、あくまで先 生の歌う歌に合わせて遊んでいるうちに自然に覚えていくようにしている。低 学年の子供たちは遊び歌が大好きで遊びに集中しているが、高学年の子供たち は同学年の人数が少ないことや、照れ臭さがあって、遊びによっては輪の中に 入ろうとしないこともある。また、初めて経験するわらべ歌遊びでは、最初の うちは指導者が先導して積極的に子どもたちに関わっていかないと遊びとして 成り立ちにくいものもある。しかし、子供たちが昔ながらの手遊びや集団遊び が好きであることは充分感じられる。参加を強制されることはないが、いつの

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問にかわらべ歌に馴染み、慣れてくると次第にわらべ歌遊びに夢中になって、

楽器の練習に移る頃にはまだまだ遊び足りないといった様子である。1時間遊 んだ後で、今まで行っていたわらべ歌と同じ旋律を引き続いて箏で弾くという

自然な流れの中で、子供たちは箏の練習にも集中して取り組んでいる。

 各活動日にどのようなわらべ歌遊びに取り組んだのか、その一部を〔表4〕

の活動とスケジュールに挙げているが、その中からいくつか具体例をここで紹

介する。

〔譜例35〕《ひとなげ》(竹あそび)

ひとなげふたなげみなげよなげ

5

いつやの むすこさん なんでやっこらせ

9

こ こ の お とん  で おお さか けんぶつ やっこらせ

 全員が大きな円になって座り、竹の細い棒(割り箸より少し大きいサイズ)

を各自両手に1本ずつ持って、歌に合わせて竹を操る。先生の動きを真似し ながら竹棒を床にトンと打ちつけたり、回転させたり、交差させたりする。

〔譜例36〕《はやちりはいや》(足じゃんけん)

はやはや ちりち塀 つうつう はいや

5

はやつう ちりちり ちりちり 1まいや

9

はやちり はいや ちりはや はいや

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 歌詞の「はや」「はいや」はパー、「ちり」はチョキ、「つう」はグーで、歌い ながら歌詞に合わせて足の形を変えていく。何人かで組み、歌の最後でじゃん けんをする。

〔譜例37〕《羅漢さんがそろたら》

ら かんさん が  そ ろ た ら  ま わ そ じゃ  な い か

5

ヨイヤサノ ヨイヤサ ヨイヤサノ ヨイヤサ

 低学年の子供たちのグループでは、全員でひとつの円になって座り、その中 から1人リーダーを決めておく。リーダーは、「ヨイヤサノヨイヤサ」のとこ ろで何かポーズを考え、みんなの前で歌に合わせてポーズをする。リーダーが したポーズを全員で真似しながら、すぐ次に続く「ヨイヤサノヨイヤサ」を歌 うが、そのとき同時並行でり一ダーは次の新たなポーズをしている。それを次 の「ヨイヤサノヨイヤサ」で全員が真似をして…  というように、「ヨイヤサ ノヨイヤサ」がどんどん続いていく。何回か「ヨイヤサノヨイヤサ」を歌った 後で、リーダーを交替する。

 また、高学年のグループでは少し異なる遊び方をする。まず、円になって全 員で歌いながら最初の「ヨイヤサノヨイヤサ」で各自自分の好きな動きをする。

次の「ヨイヤサノヨイヤサ」で自分の左隣の友達が先程した動きを真似する。

常に自分の左隣の友達の動きに注意しつつ真似をし、「ヨイヤサノヨイヤサ」を つなげていく。

〔譜例38〕《とおれとおれ山伏》(門くぐりの歌)

騨       ・

とおれとおれ や一ま ぶ し   おとおりな一 や一まぶし 77