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     博士 (水産 学)柴 学 位 論 文 題 名

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     博士 (水産 学)柴 学 位 論 文 題 名

     ジ ュ ー ル 熱 を 利 用 し た か ま ぼ こ の 加熱製造装置の開発と加熱ゲルの品質に関する研究

学位論文内容の要旨

  水 産 ね り 製 品の製 造の過 程の 中で知 られた ゛坐り 。は, 塩ず り身を 低温加 熱(20〜40℃ )する と, これに 続く高 温加熱 (90℃ )によ り弾カ が強 まる現 象であ り,ま た゛戻 りぃ は,それとは逆 に60℃ 近辺の 高温加 熱に よりい ったん 増加し た弾 カが劣 化する 現象で ある。 これ らの現象は,い ずれ も塩ず り身に かかる 熱量 の多寡 がかか わる問 題であ り, その制 御を計 るには 塩ず り身に加え られ る熱量 を厳密 にコン ト口 一ルし ,弾力 形成との関係を論ずることが必要である。本研究では,

特に 戻りの 起こり やすい スケ トウダ ラやマ イワシ などの 魚類 の冷凍 すり身 のより 効果 的な利用を 計る ことを 目的と し,ま ずジ ュール 熱を利 用した バッチ 式ジ ュール 加熱製 造装置 ,続 いて連続式 ジュ ール加 熱製造 装置を 開発 し,こ れらの 装置で 調製し た製 品(か まぼこ )の品 質を 検討した。

また ジュー ル熱に よって 塩ず り身に 与える 熱量と その中 のミ オシン 重鎖の 多量化 反応 との関連に っ い ても 検 討 し , 塩ず り 身 の 坐 りと 戻り の機構 をタ ンパク 化学的 見地か ら究 明しよ うとし た。

  本 論 文 の 第1章 では, 電流制 御方式 を採 用した バッチ 式ジュ ール加 熱装 置を試 作して ,四魚 種 の冷 凍すり 身から 調製し た塩 ずり身 と調味 すり身 ,およ びそ れらを 脱気し たもの を加 熱して,ゲ ル 化 特性 を 検 討 し た。 ジ ュ ー ル 加熱 法 の 特 徴 は, 塩 ず り 身の 昇温 速度が47℃/minと極 めて 速 く , 従来 の 湯 煮加 熱法の0.9℃ /minに比べ れば90℃ の設 定温度 に達す るまで の時 間が非 常に短 いこ とであ る。製 品のゲ ル強 度は湯 煮加熱 法の場 合より も高 かった が,こ れはお そら く加熱中に 60℃付 近の戻 り温度 帯に 滞留す る時間 が極端 に短 いから であろ うと推 定した 。ま た,脱気した両 すり 身から 調製し た製品 のゲ ル強度 は,加 熱法に 関係な く高 かった が,さ らにジ ュー ル加熱を行 う方 がやや 高いゲ ル強度 を示 した。 なお, ジュー ル加熱 によ る殺菌 効果は 湯煮加 熱の 場合とほと んど 変わら なかっ た。

  第2章 で は ,電 流制御 方式に よる電 極駆 動型連 続式ジ ュール 加熱装 置を 試作し て,二 魚種の 冷 凍す り身か ら調製 した塩 ずり 身と調 味すり 身,お よびそ れら を脱気 したも のを連 続加 熱するとき のゲ ル化特 性にっ いて検 討し た。脱 気処理 をしな い気泡 の混 入した 塩ずり 身は連 続的 加熱運転の

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不安定 要素と なり, 製品 のゲル 強度が 劣化し た。 脱気し た塩ず り身お よび調 味す り身から設定温 度が90℃ の 連続 加 熱 に よ り600〜700g/minの 早 さ で連 続 し た 加 熱 ゲル を 製 造出 来たが ,その ゲル強 度は湯 煮加熱 によ る加熱 ゲルの それと ほぼ 同じで あった 。

  第3章 では ,スケ トウダ ラの 冷凍す り身か ら調製 した塩 ずり 身をバ ッチ式 ジュー ル加 熱装置 に より, 最短で40秒間 ,最長 で50分 間かけ て90℃ま で加 熱し, 得られ た加熱 ゲルの 品質を90℃の湯 煮加熱 で作っ た加熱 ゲル のそれ と比較 した。 その 結果ジ ュール 加熱で 得た製 品の ゲル強度は加熱 時間の 短い方 が高く ,湯 煮のそ れより もやや 優れ ていた 。しか し,そ れら加 熱ゲ ル中のミオシン 重鎖の 多量化 反応が 起こ らない 点では 両者は 似て おり, 坐り効 果を利 用した かま ばこと違った,

いわゆ る直加 熱夕イ プの かまぼ こに相 当して いた 。

  第4章 では ,スケ トウダ ラ冷 凍すり 身から 調製し た塩ず り身 を,バ ッチ式 ジュー ル加 熱装置 に より ,40〜70℃ の一定 温度で120分 間にわ たり 加熱し た後,90℃で30分間湯 煮した 。形 成され た 加熱ゲ ルのゲ ル強度 とミ オシン 重鎖の 多量化 を, 同じ温 度の空 気浴中 で加熱 して 形成した加熱ゲ ルのそ れらと 比べた 。そ の結果 ジュ― ル加熱 によ って得 た加熱 ゲルの ゲル強 度は より低く,ゲル 中のミ オシン 重鎖の 多量 化反応 も起こ りにく く, 一方空 気浴に よって 得た加 熱ゲ ルのゲル強度は 高く, ゲル中 のミオ シン 重鎖の 多量化 反応も 強く 起こっ たが, 両ゲル の品質 上の 相違は,塩ずり 身の 温 度 履歴 (温度x時 間)に 大きく 依存 してい ること が明ら かに なった 。なお ,上記 二種の 加 熱法で60℃に 加熱し ても, 塩ずり 身中の 水溶 性夕ン パク質 はほと んど 増量せ ず,またミオシン重 鎖やア クチン の分解 も認 められ なかっ た。

  第5章 では ,スケ トウダ ラ冷 凍すり 身から 調製し た塩ず り身 を,バ ッチ式 ジュー ル加 熱装置 に より,20〜 30℃の 間の一 定温度 で16時 間にわ たり予 備加熱 した後,90℃で30分間湯煮した。得ら れた坐 ルゲル と坐り ―加 熱ゲル の品質 をゲル 強度 とミオ シン重 鎖の多 量化か ら評 価し,空気浴を 使って 同様に 作った もの と比べ た。そ の結果 予備 加熱で 形成さ れた坐 ルゲル のゲ ル強度は,加熱 法に関 係なく ,続く90℃の 加熱で 大きく 増加 した。 またゲ ル強度 が増 加する ときは,ミオシン重 鎖の多 量化も 進行し ,強 い坐り 効果が 得られ た。 なお高 いゲル 強度の 坐り― 加熱 ゲルを得るため に要し た加熱 温度と 時間 の積算 値(温 度履歴)は,いずれの加熱法による場合もほぼ同じになり,

ジュー ル加熱 法によ って も坐ル ゲルの 製造が 可能 なこと を確認 した。

  本研究 で開 発した ジュー ル加熱 装置は ,高 温度帯 での温 度制御 が容 易なた め,戻りの激しい魚 種や肉 組織が 軟弱な 未利 用魚種 の塩ず り身を ゲル 化させ る技術 として 適して おり ,新しい食感の 製品の 開発に も応用 が可 能と考 えられ た。ま た, 厳密な 温度制 御の実 験結果 から ,60℃近辺にお ける 戻 り の 発 現は , 筋 原 繊 維 タンパ ク質 のプ口 テオリ シスよ りも ,むし ろ高温 加熱に 伴うゲ ル

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構造 の崩壊 による 可能 性が大 きいこ と,ま た坐 り効果 が強く 現れる温度帯は25℃近辺であろうと 推察 した。 なお, 開発 したジュール加熱装置は低温度帯で長時間の加熱を行うには適しておらず,

温度 制御系 の整備 の必 要性が 今後の 課題と なっ た。

学位論文審査の要旨

主 査    教 授 副 査    教 授 副 査    教 授 副査    助教授 副査    助教授 副査    助教授

新 井 信 濃 関 沼 倉 猪 上 今 野

健 一 晴 雄 伸 夫 忠 弘 徳 雄 久 仁 彦

  ねり製 品は 我が国 で生産 される 水産 加工食 品の大 きな割 合を占 めて おり, また日本全国におい てその 地方特 産の 魚肉を 原料と した多 様多種 なタ イプの 製品と して流 通し ている 。最近はカ二脚 アナロ ーグの よう な新し い製品 も考案 され, 諸外 国にお いて生 産,流 通す るよう になった。しか しその 生産は ,い わば伝 統的な 技術と して, 経験 的な論 拠に基 づいて 行わ れてい るところが多い 状況 下 に ある。 その 製造の 過程で 知られ た゛ 坐り。 は塩ず り身を 低温加 熱(20〜40℃ )後に これ に続く 高温加 熱(90℃)に より弾 カが 強まる 現象で あり, また゛ 戻り 。は逆 に60℃近辺の高温加 熱によ りいっ たん 増加し た弾カ が劣化 する現 象で ある。 これら の現象 には 塩ずり 身にかかる熱量 の多寡 が関与 して おり, その帯lJ御を 計るには塩ずり身に加えられる熱量を厳密に調節することが 必要で ある。 本研 究は, 特に戻 りの起 こりや すい スケト ウダラ やマイ ワシ などの 魚類の冷凍すり 身をよ り高度 に利 用する ことを 目的と し,ジュール熱を利用したバッチ式,および連続式のジュー ル加熱 装置を 開発 し,こ れらの 装置で 調製し た製 品にっ いて塩 ずり身 に加 えられ た熱量とそのと きに起 こるミ オシ ン重鎖 の多量 化反応 との関 係を 解析し ,坐り と戻り 機構 をタン パク化学的見地 から解 明しよ うと したも のであ る。得 られた 成果 の中, 特に審 査員一 同が 評価し た点は以下のと おりで ある。

@電流 制御方 式を 採用し たバッ チ式ジ ュール 加熱 装置を 試作し て,四 魚種 の冷凍 すり身から調製 した塩 ずり身 を加 熱して ,ゲル 化特性 を検討 した 。ジュ ール加 熱法の 特徴 は,塩 ずり身の昇温速

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度が極 めて速 く,従 来の 湯煮加 熱法に 比べれ ば90℃ の設定 温度に 達す るまでの時間が非常に短い ことで ある。 製品の ゲル 強度は 湯煮加 熱の場 合よ りも全 体に高 かった が,た だし殺菌効果は湯煮 加熱の 場合と ほとん ど変 わらな かった 。◎電 流制 御方式 による 電極駆 動型連 続式ジュール加熱装 置を試 作して ,二魚 種の 冷凍す り身か ら調製 した 塩ずり 身を加 熱しそ のゲル 化特性にっいて検討 した。 このと き脱気 処理 をしな い気泡 の残存 する 塩ずり 身は連 続加熱 の不安 定要素となり製品の ゲル強 度を劣 化させ たが ,脱気 した塩 ずり身 から はエン ドレス な(連 続した )かまばこ製品が生 産可能 であり ,その ゲル 強度は 湯煮加 熱によ る加 熱ゲル のそれ とはほ ぼ同じ になった。◎スケト ウダラ の冷凍 すり身 から 調製し た塩ず り身を バッ チ式ジ ュール 加熱装 置によ り,最短で40秒間,

最長で50分間 かけて90℃に加 熱し ,得ら れたか まぼこ の品質 を90℃ の湯煮 加熱で作ったものと比 較した 。その 結果, ジュ ール加 熱で得 た製品 のゲ ル強度 は加熱 時間の 短い方 が高く,湯煮のそれ よりも やや優 れてい たが ,それ ら製品 中のミ オシ ン重鎖 の多量 化反応 が起こ らない点では両者は 似てお り,い わゆる 直加 熱夕イ プのか まぼこ に相 当する 製品と なった 。@ス ケトウダラ冷凍すり 身か ら調 製した 塩ずり 身をバ ッチ式 ジュ ―ル加 熱装置 により ,40〜70℃の一 定温 度で120分間 に わたり 加熱し た後,90℃で30分間 湯煮し た。得 られた かまぼ この 品質を 同じ温度の空気浴中で加 熱して 得た製 品の品 質と 比べた 。その結果,゛ジュール加熱によって得た製品のゲル強度は低く,

ミオシ ン重鎖 の多量 化反 応も起 こりに くいが ,一 方空気 浴によ って得 た製品 の方がゲル強度は高 く,ミ オシン 重鎖の 多量 化反応 も強く 起こる こと ,また 製品の 品質上 の相違 は塩ずり身の温度履 歴( 温度x時間 )に 大きく 依存し ている ことを 明ら かにし た。な おまた ,上 記二種 の加熱 法で60

℃に加 熱した とき, 塩ず り身中 の水溶 性夕ン パク 質はほ とんど 増量せ ず,ま たミオシン重鎖やア クチン の分解 も起こ らな いこと を見出 した。 ◎ス ケトウ ダラ冷 凍すり 身から 調製した塩ずり身を バッチ 式ジュ ール加 熱装 置によ り20‑ 30℃ の問の 一定 温度で16時間に わた り予備加熱した後,90

℃で30分 間湯 煮した 。得ら れた坐 ルゲル と坐 り―加 熱ゲル の品質 を, 空気浴を使って同様に作つ たもの と比べ た。そ の結 果,予 備加熱 で得た 坐ル ゲルのゲル強度tま,加熱方法に関係なく,続く 90℃の加 熱で 大きく 増加し た。ま たゲル 強度 が増加 すると きは, ミオ シン重鎖の多量化反応も進 行し, 強い坐 りが起 こる ことを 認めた 。なお 高L2ゲ ル強度 の坐り ―加 熱ゲルを得るために要した 温度履 歴は, いずれ の加 熱法に よる場 合もほ ば同 じにな り,ジ ュール 加熱に よっても坐ルゲルの 製造が 可能な ことを 示し た。

  本研究 で開 発した ジュー ル加熱 装置は ,特 に高温 度帯で の温度 制御 が容易なため,戻りの激し い魚種 や肉組 織が軟 弱な 未利用 魚種の 塩ずり 身を ゲル化 させる 技術と して適 しており,新製品の 開発に 応用可 能であ る。 また, 厳密な 温度制 御の 実験か ら,ス ケトウ ダラ塩 ずり身の60℃近辺の

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おける戻りの発現は,筋原線維夕ンパク質のプ口テオリシスよりも高温加熱に伴うゲル構造の崩 壊による可能性が大きいこと,また坐り効果が強く現れる至適温度帯は25℃近辺であることを初 めて明らかにした。これらの知見は水産ねり製品の製造における塩ずり身の加熱ゲル化工程の役 割を明らかにしただけでなく,同工程の自動制御化への路を拓くために極めて有用である。以上 の点を考慮して審査員一同は,申請者が博士(水産学)の学位を授与される充分な資格を有する ものと判定した。

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