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博士(工学)清水信夫 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)清水信夫 学位論文題名

デー夕解析における主要点の特性に関する研究 学位論文内容の要旨

  「最適施設配置問題」は、ある地域におぃて最適な施設の配置を見出す問題である。施設 の数や種類が急速に増え、配置対象となる地域における状況が複雑化している今日において は、社会のあらゆる分野におぃて、この問題を効率的に解く重要性が高まっている。その重 要性に呼応して、最適施設配置問題を解くための方法も数理的手法を軸にいろいろと開発さ れ、「最適配置の理論」として体系付けられるようになってきた。一方、最近では計算機の 急速な進歩と普及によって、計算幾何学的手法も広く採り入れられるようになり、精度の高 い解を従来よりも短い時間で導出できるようになってはいるが、問題の複雑化に応じた高精 度 か つ 高 速 な 解 法の 開発 や、 それ を支 える 理論 の構 築は 現在 も 重要 な課 題で ある 。   Flury(1990)により提案された主要点(Principal Points)は、確率分布における密度関数 を七個の領域に分割する際に最適となるような各領域のある種の代表点として定義される。

数学的にはクラスター分析におけるk‑means法と同等のアルゴリズムによめ導出されるが、

主要点の概念は、確率分布をた個の代表点により表すとぃう観点で、「最適配置の理論」の 一般化された基礎理論となり得る。

  期待値に関して対称な1変量確率分布におけるぉ個の主要点は期待値に関して点対称とな る(対称性をもつ)ことが予想されるが、この予想は常に正しいわけではない。このテーマ に関しては、これまでに数多くの研究が行われてきたが、2点の場合においては、様々な分 布における主要点の値や、期待値に関して非対称な主要点が存在する確率分布の例が示され ている。しかし、3点以上の場合における対称性についてはこれまであまり考察されていな かった。一方、2変量が互いに独立な正規分布における七個の主要点の配置について、一方 の分散が他方よりも大きい場合にた個の主要点(た≦5)が一直線上に並ぶ配置となる場合が あることが計算機シミュレーションにより示されている。しかし、分布の分散共分散行列と 主要点の配置との間の関係や、主要点の数が多い場合の配置については未解明の部分が多く 残されていた。

  本論文は、主要点の特徴的性質を理論的およびシミュレーションを含む計算幾何学的な立 場から論じたものであり、以下の6章から構成されている。

  第1章では、以上に示されているような本論文の背景および主要点のもつ意味について触 れ、本研究の目的および構成について述べた。

  第2章では、た個の主要点に関する従来の研究について詳述した。まず、主要点の定義を 示した上で 、対称な1変量分布における期待値に関して対称な2点について行われた理論的 な考察につ いて示し、対称な2点がそれらの点からの2乗距離の期待値(目的関数)の極小 値を与えるときの必要条件や、その条件を満たさない場合において2個の主要点が非対称と なる例についての研究を示した。また、数値計算により得られている、標準正規分布におけ るた個の主要点(3<一七≦5)の値についても示した。次に、多変量楕円分布におけるた個の

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主要点について行われた理論的な考察を示した。さらに、2変量が互いに独立な正規分布に おける七個の主要点についても、分布の分散共分散行列が対角行列diag(a2,1)となる場合 に関して、いくっかのびにおける計算機シミュレーションにより得られている値を示し、び の値が大きいときにた個の主要点の配置が一直線上に並ぶ配置となることを示した。また、

本研究で使用しているヵ― means法を援用したた個の主要点の導出アルゴリズムを示し、さら に、対称な1変量分布におけるぇ個の主要点の対称性に関する既知の十分条件について述べ た。その一方で、主要点の概念を応用した解析の例として、村木・大瀧・水田(1996っ1998) による天気図の解析を紹介した。

  第3章で は、 対称な1変量確率分布が与えられた場合における3個の主要点について述 べた。まず、正規分布に おける3個の主要点の値について、期待値に関して対称な3点が目 的関数の極小値を与えるときの必要条件を理論的に求め、さまざまな分布におぃて対称な3 点が必要条件を満たすかどうかを考察した。

  第4章では、対称な1変 量分布におけるた個の主要点の対称性に関して、Chow(1982)の 定理に基づく新しい定理を導出し、Li&Flury(1995)におけるた個の主要点の対称性に関す る定理の誤りを示した。 また、Trushkin(1982)の定理を密度関数に適用することにより新 しい十分条件を示した。さらに、正規分布やロジステイック分布、両側指数分布など、以上 の十分条件が成立する分布の例を示し、これまで理論的には解明されていなかったこれらの 各種分布においてた個の主要点の対称性が成立することを示した。これにより、た個の主要 点の対称性が成立する確率分布族を拡張し、確率分布によって対称性の有無をある程度判断 できることが確かめられた。

  第5章では、2変量が互 いに独立な正規分布における七個の主要点の配置について述べ た。まず、分布の分散共分散行列が対角行列diag(a2,1)となる場合について、計算機シミュ レーションを用いることにより、え個の主要点の配置が七角形から直線に変わるびの境界値を 七く5におけるそれぞれの場合において求めた。これにより、Flury(1990)が示した未解決 問題の解が得られることを示した。また、2変量標準正規分布(び‑1)における七個の主要 点(た≦ 12)の配置に関してもシミュレーションを行った結果、主要点となる配置について はぃずれの七に関しても 、た冫5においては少なくとも1本以上原点を通る線対称軸をもつ 凸なf角形(ただしfくり の内側に、原点に関して点対称もし<は少なくとも1本以上原点 を通る線対称軸をもつ(え―り個の点の集合が存在するような配置が得られることが示され た。さらに、主要点となる配置もしくは局所的最適配置のうち特徴的な幾何的性質をもつい くっかの配置については理論的考察も行った。

  最後に第6章では、本論文における結論を述ぺた。また、今後の課題として、対称な1変 量確率分布のうちt分布、Johnson s&分布、混合正規分布など、た個の主要点の対称性に 関する十分条件を満たさない分布の存在について触れ、これらの分布における主要点の対称 性の有無に関する条件の導出の必要性について言及した。さらに、最適施設配置問題への拡 張や、クラスター分析および主成分分析などの各種多変量解析への応用の可能性についても 述べた。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

デー夕解析における主要点の特性に関する研究

  近 年, 最適 施 設配 置問 題は ,利 用者 の分布や環境の状態を考慮することによって , ま す ま す 複雑 化し てお り、 理論 的な 解析 より もむ し ろ計 算機 によ る近 似的 な解 法が 中心 であ る. 一 方っ この 種の 問題 に関 する理論的な考察が,デー夕解析における主 要 点(principal points)と 関連 して 注目 され てい る.

  主 要点(Principal Points)とは ,あ る確率分布に従う領域内に七個の点を配置し た と き , 領 域 内 の 点 か ら 最 も 近 く 配 置 され た点 への ユー クリ ッド 距離 の2乗 の期 待値 が最 小と なる 点 の配 置と して 定義 され る. 主要 点に 関す る従 来の 研究では1確率分 布 が た と え 期 待 値 に 関 し て 対 称 な1変 量分 布で ある と して もっ 主要 点は 必ず しも 対称 とは なら ない こ とが 示さ れて いる .こ のことは.従来の配置の理論にも大きな影響 を 与え る.

  一 方、 互い に 独立 な2変量 正規 分布 にお け るた 個の 主要 点の 配置について,一方 の 分散 が他 方よ り も大 きい 場合 には た個 の主 要点 (た ≦5) が一 直線上に並ぶことが 示 され てい る. し かし 、分 布の 分散 共分 散行列と主要点の配置との関係やっ主要点の 数 が 多 い 場 合 の 配 置 に つ い て は 未 解 明 の 部 分 が 多 く 残 さ れ て い た .   以 上の よう な 背景 に基 づき 、本 論文 は主要点の特徴的性質を理論およびシミュレ ー シ ョ ン を 含 む 計 算 幾 何 学 的 な 立 場 か ら論 じた もの であ りっ 以下 の6章 から 構成 され てい る.

  第1章 で は 、 本 論 文 の 背 景 お よ び 本 研 究 の 目 的 に つ い て 述 べ た も の で あ る .   第2章で は、 た個 の主 要点 に関 する 従来 の 研究 につ いて 述べ ている,期待値に関 し て 対 称 な1変 量 確 率 分 布 に お け る2個 の 主 要 点 が 必 ず し も 対 称 で はな い例 およ び対 称で ある ため の いく っか の十 分条 件を 紹介 して いる ,ま たっ 数値 計算により)1変 量 標準 正規 分布 に おけ る七 個の 主要 点の 値や ,互 いに 独立 な2変 量正規分布における 七 個 の 主 要 点の 配置 の変 化に つい てFlury(1990)に よ り提 示さ れた 未解 決問 題を 紹介 し て い る , さ ら に っ 主 要 点 の 概 念 を 応 用 し た 解 析 の 例 を 示 し て い る ,   第3章 では 、期 待値 に 関し て対 称な1変 量確 率分 布 にお いて ,主 要点 の候 補と なり 得 る 対 称 な3点 が 目 的 関 数 を 極 小 に する とき の必 要 条件 およ び十 分条 件を 理論 的に 導 出 し て い る , さ ら に い く っ か の 分 布に 関し て本 条件 を検 討し 、3個 の主 要点 の対

義  

  正

藤 保

達 田

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称性について議論している,

  第4章で はt期 待値 に 関して 対称な1変 量分布にお ける七個 の主要点 の対称性 につ いて,Chow(1982)の定理に基づく新しい定理を導出している.さらに,Li& Flury(1995)における定理の誤りを示している.また,Trushkin(1982)の定理を密度 関数に適用することによりた個の主要点の対称性に関する新しい十分条件を示して いる.以上の十分条件を各種分布に適用することにより、あらゆるたに関してた個の 主要点の対称性が成立する確率分布族を拡張しっ多くの場合、確率分布の種類によっ て対称性の有無を判断できることを示している,

  第5章では,計算機シミュレーションを用いてっ互いに独立な2変量正規分布にお けるた個の主要点の配置が直線となる分散共分散行列の値の範囲を求め、これにより Flury(1990)によって提示された未解決問題を解決している.また,2変量標準正規 分布における七個の主要点の配置をシミュレーションにより求めた.さらに特徴的な 幾何的性質をもついく・っかの配置については理論的考察を行い、シミュレーション の値の正当性を裏付けている.

  最後に第6章では】本論文における結論として,本研究の成果がクラスター分析お よび最適施設配置問題の基礎的な理論となり得ることを述べている.また.今後の課 題として,対称な1変量確率分布のうち本研究で示したた個の主要点の対称性に関す る十分条件を満たさない分布における主要点の対称性の有無に関する条件の導出の 必要性について言及している,

  これを要するに,著者は,確率分布における主要点の対称性に関するいくっかの有 用な定理を導出するとともに,主要点の配置パターンの特性を解明し、デー夕解析 に関する多くの実用的な新知見を得ており,情報解析学っ情報処理工学の発展に寄与 するところ大なるものがある,

  よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める.

参照

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