• 検索結果がありません。

博士(水産学)峯岸 裕 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(水産学)峯岸 裕 学位論文題名"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(水産学)峯岸   裕 学位論文題名

高 水分活 性型スモークサーモンの品質劣化制御と      微生 物生態学 的研究

学位論文内容の要旨

  最近の消費者志向から水分量の多いソフトタイプの食品が多く販売され ており,スモークサーモンについても同様の傾向にある。このようなスモー クサーモンは生肉に近い水分量であることから水分活性(Aw)も高いた め,その貯蔵性は極めて低く,冷蔵または凍結貯蔵し,流通・販売しなけ ればならない。したがって,温度管理は重要であり,品温上昇は品質劣化 を速める大きな要因であるが,現在の物流拠点での温度管理が十分でない ことが指摘されている。しかし,このような懸念があるにも関わらず製品 の品質にどのような変化が起こり得るかについて公表されている知見はほ とんどない。したがって,製造物責任(PL)法が適応されている現在,製 造・販売過程での貯蔵中の品質劣化について明らかにしておくことは,食 品の安全面からも重要な課題であり強く望まれている。さらに平成9年か ら実施される期限表示は,その表示によって製造者(または販売者)が消 費者に対して,製品の品質保証をすることであり,その根拠を科学的に裏 付ける必要がある。そこで本研究は特にAwの高い(H‑Aw型)スモークサー モンを実験対象として,微生物生態学的視点から品質劣化の要因を明らか にしその制御法について検討した。

  本 論文では,第一章においてAwの異なる2グループのスモークサーモ ンを調製して,それらを異なる温度で貯蔵し,その間の化学的成分,生菌 数,菌相および官能評価の変化から品質劣化の要因を検討した。第二章で は,使用した輸入原料の特性がどの程度製品に反映しているかについて検

(2)

討 した。第 三章では, 現在市販さ れているス モークサー モンの菌相 につい て 調ベ,市 販品の問題 点を指摘し た。第四章 では,スモ ークサーモ ンの品 質 劣化要因 を制御して 貯蔵性を向 上する方法 を検討した 。得られた 結果は 以 下 のと お りで あ る。

  第一 章 にお い てAwが0.93以 上 で0.96未 満 (L‑Aw型 ) と0.96以 上(H‑Aw 型 ) の2種 類 の ス モ ー ク サ ー モン を 調製 し ,ス ラ イス 後 に真 空 包装 し て 20, 10およ び5℃ で 貯蔵 し た。

  全貯 蔵 期間 を 通じ て 生菌 数 およ びVB‑N値は 貯 蔵温 度 の高 い 場 合で変化 が 速 いこ と .ま た これ ら の指 標 はH‑Aw型 ス モー ク サー モ ンで 常 にL‑Aw型 の ものより も大きく品 質劣化の進 行が速いこ とが確認さ れた。総合 的な官 能 評 価か らH‑Aw型 の も ので は10℃ 貯蔵 の 可食 期 間は20日間 で あっ たが,

食 感 から 「 好ま し い」 と され る 期間 は10日 未 満で あ った 。 貯蔵 終了 時の 菌 相 を 比 較 す る と ,H‑Aw型 の ス モ ー ク サ ー モ ン で は 各 貯 蔵 温度 区 とも Lactobacillus属 が 優 勢 で あ っ た が,10℃ 以 上の 貯 蔵区 で は貯 蔵 中期 に Enterobacteriaceaeが 多数 を 占め て いた 。 ま た,L‑Aw型では20℃ 貯蔵で 5お よ び10℃貯蔵で はLactobacillus属が優 勢であつ た 。 この よ うに 貯 蔵温 度 とAwは 生菌 数 と菌 相 に影 響 し, そ の結 果として 官 能 評価 お よびVB‑N量 の差 異 とし て 認め ら れる に 至る と 推 察され たこと か ら ,貯 蔵 温度 とAwは ス モー ク サー モ ンの シ ェル フ ライ フ に強 く関連し て いることが 明らかであ った。現在 の物流温度 管理状況を 考慮すると ,実 用 的 には10℃ 貯 蔵 で「 好 まし い 」と さ れる 保 存期 間 を20日 間程度 にまで 延 長しなけれ ば消費者に 対して十分 な品質保証 を図ること ができない 。こ の 目 標達 成 のた め には 温 度管 理 を 厳密 に し,Pseudomonas属 ,Moraxella

属,En ter obacte riaceaeなどグラム陰性菌を抑制することの重要性を指摘 した。

  第二章 では,輸入 原料とそれ から調製し た製品の一 般成分分析 の比較か ら,製 品は生サーモンの原料特性をよく反映していることを示した。また,

細菌の 増殖とは関 係なく筋肉 に内在する プロテアー ゼによって ,貯蔵期間 を通して遊離ペプチド量が増加することが解った。

    ―138−

(3)

  第三 章 では 市 販品 に おけ るAw, 生 菌数 お よび 菌相 について比 較検討し た 。Awは い ずれ の 企業 (5社 ) の製 品 もほ と んど が0.97以上 で あり , 第 一 章 で調 製 したH ‑Aw型に相当 しているこ とが解った 。菌相から 比較する と乳酸菌 (Streptococc us属 およびLactobacillus属)はほとんどの製品か ら検出され,細菌相の50%以上を占めるものカご全体の73%あった。また,

ス モ ー ク サ ー モ ン の 貯 蔵 中 の 品 質 劣 化 に 関 係 す る と 考 え ら れ た Enterobacteriaceaeも 製品中に広 く分布し,67%の製品で 存在が確認され た。このように市販品においても高率にEn ter obacteriace aeが検出された ことから ,これを#p制 することが 製品の品質 を維持する うえでも重要であ ることを指摘した。

  第 四 章で は ,生 サ ーモンに 近いH ‑Aw型 スモークサ ーモンの風 味や食感 を保持し たままでEnterobacteriaceaeなどに よる品質劣 化を抑制して,10

℃貯 蔵 で「 好 ま しい 」 状態 が20日 程度 維 持で き るよ う貯 蔵期間の延 長を 図るため に,まずガ ス置換包装 (含気包装,N2包装,C02包装,真空包装)

を試 み た。 官 能 評価 に よる 可 食期 間 は含 気 包装 区 で10日 未満,N2包装 区 で20日 以 内 ,C02包装 区 と真 空 包装 区 は30日 間以 上 であ っ た。N2包 装 区 およ び 真空 包 装 区で は ,そ れ ぞれ 臭 いお よ び食 感 の評 価が10日目以 降で 低下 が 著し か っ た。C02包装区は全 体に評価が 高く,30日間 の貯蔵期間 を 通して食感は「好.ましい」と評価された。菌相については,いずれの試験 区でもEnterobacteriaceaeが優勢 となる傾向 であったが ,可食期間の短い 含気 包 装区 とN2包 装 区のほう が可食期間 の長いC02包装区と 真空包装区 よ りも早い時期にEn ter obacte riac eaeが主要菌相となった。C02包装区の10 日目では ,Lac tobacillus属 が優勢となっていたが,これは肉表面にC02が 吸 着 して , 一時 的 にpHが 低下 し たた め と思 わ れる 。 しか し,貯蔵期 間を 通してEn ter obacte riace aeを抑制することはできなかった。また,添加物 の併 用について は期待され た成果は得 られなかっ た。これら の結果を考え 合 わ せる と ,肉 質 を変 質 させない程 度に製品のpHを 下げること でLacto ‑ bacillus属が 優勢となる ような環境 を設定して ,Enterobacteriaceaeを抑 制し ながらスモ ークサーモ ンの貯蔵期 間の延長を 図り得る可 能を示した。

    ―139−

(4)

  次い で こ れ ら の 事 実に 基づぃ て, 乳酸 菌の 添加お よびpH調 整の組 み合 わ せに よ る 貯 蔵 実 験 (10℃ 貯 蔵 )を 試 み た 。 調 味 液 のpHを5に調整 した 場合 ,生菌 数の 増大 は抑制 され乳酸菌の添加の有無にかかわらず官能評価 によ る貯蔵 性は 優れ ていた が,乳酸菌を加えた場合では色調と食感で劣っ て おり , 「 好 ま し い 」と された 期間 は約15日 間であ った 。乳 酸菌を 加え ない 場合で は, 「好 ましい 」と 評価 され た期間 は25日で あり,しかも5・ 30日の貯蔵期間中En terob ac teriaceaeは検出し得なかった。したがって,

調 味液 のpHを 調 整 す るこ とが, 官能 評価 も高 く腐敗 活性 の強 いEntero ‑ bac te riaとeaeの発育を抑制することができ,H‑Aw型スモークサーモンの 貯蔵 期間を 延長 する 方法と して有効であることが解った。本研究で得られ たこ れらの 成果 |ま 日付表 示変更の移行期間が終了する平成9年4月からの スモ ークサ ーモ ンの 品質保 持期限の期限設定における重要な基礎データと なるものと考えている。

(5)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

高 水 分 活 性 型 ス モ ー ク サ ー モ ン の 品 質 劣 化 制 御 と 1

    微 生 物 生 態 学 的 研 究

  最 近 の 消 費 者 志 向 か ら 水 分 量 の 多 い ソ フ ト タ イ プ の 食 品 が 多 く 市 販 さ れ て お り 、 ス モ ー ク サ ー モ ン に つ い て も 同 様 の 傾 向に あ る。 こ の よう な スモ ー ク サ ー モ ン は 水 分 活 性(Aw) が 高 い た め 、 貯 蔵 性 も 低 く 、 冷 蔵 ま た は 凍 結 貯 蔵 し 、 流 通 ・ 販 売 し な け れ ば な ら な い 。 し た が っ て 、 温 度 管 理 は 重 要 で あ る が 、 温 度 が 製 品 の 品 質 に ど の よ う な 変 化 を 起 こ し 得 る か に つ い て 公 表 さ れ て い る 知 見 は ほ と ん ど な い 。 し た が っ て 、 製 造 物 責 任(PL) 法 が 適 応 さ れ て い る 現 在 、 製 造 ・ 販 売 過 程 で の 貯 蔵 中 の 品 質 劣化 を 明示 し 、 製造 者 (ま た は 販 売 者 ) が 消 費 者 に 対 し て 、 製 品 の 品 質 を 保 証し 、 その 根 拠 を科 学 的に 裏 付 け る 必 要 が あ る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 特 にAwの 高 い(H‑Aw型 ) ス モ ー ク サ ー モ ン を 実 験 対 象 と し て 、 微 生 物 生 態 学 的 視 点 か ら 品 質 劣 化 の 要 因 を 明 ら かに し 、そ の 制 御法 の 検討 を 行 って い る 。

  ま ず 、Aw0.93以 上 で0.96未 満(L‑Aw型 ) と0.96以 上 くH‑Aw型 ) の2 類 の ス モ ー ク サ ー モ ン を 調 製 し 、 ス ラ イ ス 後 に 真 空 包 装 し て2010お よ び 5℃ で 貯 蔵(30日 間 ) し 、 生 菌 数 お よ びVB‑N値 を 観 察 し 、 そ の 結 果 、 こ れ ら の 指 標 はH‑Aw型 ス モ ー ク サ ー モ ン で 常 にL‑Aw型 の も の よ り も 大 き く 品 質 劣 化 の 速 い こ と を 述 べ 、 総 合 的 な 官 能 評 価 で はH‑Aw型 で は10℃ 貯 蔵 の

「 好 ま し い 」 と さ れ る 期 間 が10日 未 満 で あ る こ と を 示 し て い る 。 ま た 、 貯 蔵 終 了 時 の 菌 相 は 、H‑Aw型 . の ス モ ー ク サ ― モ ン で は 各 貯 蔵 温 度 区 と も に Lactobacillus属 が 優 勢 で あ っ た が 、10℃ 以 上 の 貯 蔵 区 で は 貯 蔵 中 期 に Enter ob acte riaceaeが多 数を占め、 一方.、L‑Aw型では20℃ 貯蔵でStr epto‑

Coccus属 が 、5お よ び10℃ 貯 蔵 で は 工actobacill us属 が 優 勢で あ るこ と を 認 め て お り 、 貯 蔵 温 度 とAwは 生 菌 数 と 菌 相 に 影 響し 、 スモ ー ク サー モ ン のシ ェ ル フラ イ フに 強 く 関連 し てい る こ とを 確 認 して い る。

  次 に 、 市 販 品 のAw、 生 菌 数 お よ び 菌 相 を 比 較 検 討 し て い る が 、Awは い ず れ の 企 業 (5社 ) の 製 品 も ほ と ん ど が0.97以 上 で あ り 、 菌 相 に つ い て は 乳 酸 菌(Stre ptococcus属 およ び 工actobacillus属)が ほとんど の製品か ら検出さ れ 、 細 菌 相 の50% 以 上 を 占 め る も の が 全 体 の73% に 達 す る こ と を 観 察 し て

雄 男雄 晴良 徳 濃面 上 信 絵猪 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(6)

い る。 ま た、 ス モー ク サ ーモ ン の貯蔵中の 品質劣化に 関係すると 考えられ たEnterobacteriaceaeも製 品 中に 広く分布し 、67%の製品 に存在が確 認さ れ た。 こ のよ う に市 販 品 にお い ても高率にEnterobacteriaceaeが検 出され た こと か ら、 こ れを 抑 制 する こ とが製品の 品質を維持 するうえで も重要で あることを指摘してしゝる。

  ま た 、 生サ ー モン に 近いH‑Aw型スモー クサーモン の風味や食 感を保持し た まま でEnterobacteriaceaeをど による品質 劣化を抑制 して、10℃貯 蔵で

「好ま しい」状態 が20日程度維 持できるよ う貯蔵期間の延長を図るために、

まずガス置換包装ぐ含気包装、N2包装、C○,包装、真空包装)を試みている。

官 能評 価 によ る 可食 期 間 は総 合 的にC02包 装区 の 評価 が 高 く、30日問の 貯 蔵 期間 を 通し て 食感 は 「 好ま し い」と評価 された。菌 相について は、いず れ の試 験 区で もEnterobacteriaceaeが優勢と なる傾向で あったが、 含気包 装 区とNz包装 区 のほ う が可 食 期間 の 長いC02包 装 区と 真 空包 装 区よりも 早 い時期 にEnterobacteriaceaeが 主要菌相と なることを明示している。CO。包 装区の10日目では、 工actobacロ1us属が優勢 となっていたが、これは肉表面 にC02が 吸着 し て一 時 的にpHが 低 下し た た めと 推 察し て いる 。 なお、添 加 物の併用については期待された成果は得られていない。

  次 い で 、こ れ らの 実 験結 果 を基 に乳酸菌の 添加およびpH調 整の組み合 わ せ によ る 貯蔵 実 験(10℃貯 蔵 )を 行ってい るが、調味 液のpHを5に調整した 場 合、 生 菌数 は 抑制 さ れ 、乳 酸 菌の添加の 有無にかか わらず官能 評価によ る 貯蔵 性 は優 れ てい た が 、乳 酸 菌を加えた 場合は色調 と食感で劣 り、「好 ま しい 」 とさ れ た期 間 は 約15日間 であること を述ベ、乳 酸菌の添加 につい て はそ の 種類 、 量な ど 残 され た 課題として いる。なお 、乳酸菌を 加えない 場 合は 、 「好 ま しい 」 と 評価 さ れた期間は25日聞であり 、しかも5‑30日の 貯 蔵期 間 中、Enterobacteriaceaeは検出し得 なかった。 したがって 、調味 液のpHを調整する ことが、官 能評価も高 く、腐敗活 性の強いEnterobac te‑

riaceaeの 発育 を 抑制 し 、H‑Aw型 ス モー ク サー モ ン の貯 蔵 期間 を延 長する 有効な方法であることを明示している。

  以 上 の 成果 は 、食 品 製造 学 の分 野、特に燻 製食品の品 質劣化防止 とその 製 造技 術 の面 に 貢献 す る とと も に、また閉 鎖的な食品 業界の製造 技術に対 して新 たな方向付 けを行った ことを評価 し、審査員一同は本論文が博士(水 産 学 ) の 学 位 を 受 け る に 相 当 な 内 容 を 有 す る も の と 認 定 し た 。

参照

関連したドキュメント

  

   尾叉長が385 〜459 mm の雄8 尾、雌5 尾を実験水槽に収容して、水槽内

または 被食者の自 然死亡要 因として 極めて重 要である 一方、後 者は群集の形成・維 持機構 を解明する ため、そ の理解が 不可欠で ある。野

     水晒しにおける水溶性タンパク質の溶出を妨げることなく落とし身の保水能を制御し,その      中 に含まれる

硬 化主反応が 硬化温度 によって 異なる。 比較的低 温である 180 ℃以下では マレイミ ド の二重結合は主にマイケル付加とよばれるアミノ基の活性化水素と反応であり、比較的

いることから,本研究でのGCV の濃度は適当であること,adenovirus vector 以外での感染 効率に関してはこの場で回答できないと述べた.次に、副査の古木教授より,ヒトでの臨 床 応用

   近年、特に1990 年代に入ってからの

現在環境負荷を低減するための動きも起きているが、一方でモビリテイの向上も必要であ