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博士(水産学)モジャゼイアミリバゲル 学位論文題名

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Academic year: 2021

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博士(水産学)モジャゼイアミリバゲル 学位論文題名

Endocrlnological studies on gonadal development in       a hybrid sturgeon, Bester

「チョウザメ(ベステル)の生殖腺発達に関する内分泌学的研究」

学 位 論 文内 容 の 要 旨

  チョウザメは非常に商業価値の高い魚種のーつであり、食肉として世界各国で 利用されている。また、その卵巣はキャビアとして極めて珍重されている。しか し、最近では、その需要の拡大に伴い、天然資源は減少の一途をたどり、人工孵 化放流や養殖の必要性が指摘されている。中でも、養殖対象魚として注目されて いるのがべステルと呼ばれるオオチョウザメbeluga(Huso huso)雌とコチョウザ メsterlet(Acipenser ruめenus)雄の雑種である。ベステルは飼育環境下で成熟が 進行するが、自発的な排卵および放精は起こらない。ベステルを人為的に管理、

増殖を行うためにはその精子形成および卵形成の内分泌制御機構の詳細を知る必 要があるが、これらに関する研究は殆どなされていない。そこで本研究では、排 卵および放精が自然に起こらない理由を明らかにすることを目的として、生殖腺 の発達過程を内分泌学的に詳細に調べた。

  実験には、北海道電力総合研究所で飼育されている11年魚(雄:体長95‑130 cm体重3.7‑11.5 kg、雌: 体長109‑140 cm体重7.5‑14.6 kg)を用いた。1991 年5月 か ら1992年5月 に か け て 、 合 計 、 雄165尾 、雌140尾 の生 殖 腺 をバ イ オプシーで採取し、生殖腺の発達過程を組織学的に観察した。また、生殖腺の発 達に伴う血中ステロイドホルモン量の変動を調べた。雄では11‑ケトテストステロ

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ン.(11KT)、雌ではエストラジオール.17p(E2)、また、雄雌ともにテストステ ロ ン(T) および17a,20 p‑ジヒドロキシ‑4‑プレグネン‑3‑オン(DHP)量をそれぞ れ ラジ オイ ムノ アッ セイ (RIA)法 によ り測定した。雌では卵黄前駆夕ンパクのビ テロゲニンの血中量をマンシーニ法で測定した。さら|こ、、生殖腺の発達に伴うス テ ロイ ド産 生能 の変 動に つい ても 調べ た。 様々 な発達 段階 の精 巣片 およぴ卵濾胞 をL‑15培 養 液 中 で プ レ グ ネ ノ ロ ン 、17d‑ヒ ド ロ キシ プロ ゲステ ロン (17aOHP) ま た はTと と も に15℃18時 間 培 養 し 、 培 養 液 中 の11KT、E2お よ びDHP量 を 測 定し た。 加え て、 卵母 細胞 の最 終成 熟( 卵成 熟)誘 起ホ ルモ ンに 対する感受性 の 変化 も調 べた 。ま た、 ベス テル の成 熟個 体に 黄体形 成ホ ルモ ン放 出ホルモンア ナ ロ グ (LHRHa:0.1〜0.3 mg/kg BW) を 投 与 し 、 そ の後 の 血 中DHP量 の 経 時 的 変化を測定した。

  多 く の 雄 個 体 で は 、精 巣中 に精母 細胞 が観 察さ れる よう にな るの は9月 頃で 、 11月 に は 多 く の 精 子 が 観 察 さ れ た 。 そ の 後 、 精 巣 は4月 に か け て 緩 や か に 発 達 し た が 、 自 発 的 放 精 は起 こさ ず、5月以 降の 精巣 内で は食 細胞に よる 貪食 が顕 著 に なっ た。 しか し、 同じ 時期 でも 個体 によ って 精巣の 発達 にか なり のばらっきが み ら れ た 。 血 中11KTお よ びT量 は 精 子 形 成 の 進 行 に 伴 い 増 加 し 、 前 排 精 期 ま で 高 値 が 維 持 さ れ た 。 退 行 が 始 ま る と11KT量 は 低 値 を 示し た が 、T量 は 高 値 の ま ま 維 持 さ れ た 。 一 方 、血 中DHP量は 周年 的に 低値 を示 した 。様々 な発 達段 階の 精 巣 片 を プ レ グ ネ ノ ロ ン 、17aOHPま た はTの 存 在 下 で 培 養 し た 結 果 、11KTの 濃 度 は精 子形 成後 期で 高値 を示 し、 前排 精期 およ び退行 期で は低 値を 示した。これ に対し、DHP産生量は前排精期に急激に増加した。

  雌 個 体 の 卵 形 成 は3年 を要 す る よ う に 思 わ れ た 。最 初の1年は 、卵 巣中 の卵 母 細 胞 は6か ら7月 頃 か ら 緩 や か な 成 長 を 開 始 し 、 第1次卵 黄 球 期 に 達 し 、 次 の1 年 に 第2か ら3次 卵 黄 球 期 と な っ た 。 最 後 の1年 は 、 卵母 細 胞 は9月 頃 に は 核 移

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動期に達したが、最終成熟および排卵は起こらず、4月になると一斉に退行し始め た。しかし、雄同様、同じ時期でも卵巣の成熟段階はかなりのばらっきがみられ た。血中E2、Tおよびビテロゲニン量の季節変化は卵母細胞の発達とよく相関し て変化した。E2、Tおよびビテロゲニン量は卵黄形成前期から後期にかけて増加 し、核移動期にはE2およびビテロゲニン量は減少したが、T量は高値を維持し続 けた。一方、血中DHP量は周年的に低値を示した。様々な発達段階の卵母細胞を 含む卵濾胞をプレグネノロン、17 OHPおよびTの存在下で培養した結果、卵黄 形成に達していない濾胞でのE2の産生は低値を示し、卵黄形成期に劇的に上昇し、

核移動期には急激に減少した。また、プレグネノロンおよび17 OHPは核移動期 の濾胞で相当量のDHPに変換された。

  生体外での卵成熟実験では、ベステルの卵母細胞はプロゲステロン系ステロイ ドに反応して最終成熟した。DHPは卵成熟誘起能の最も高いステロイドの中のー っであった。卵成熟が起こる率は卵母細胞の核移動が始まる7月では極めて低く、

その後徐々に増加し、11月から1月にかけて最高に達した後、卵母細胞が退行し 始めると同時に急激に減少した。卵濾胞におけるこの間のDHPの産生は、その変 化と同様な傾向を示した。

  最後に、雄では排精直前の精巣、雌では核移動期に達した卵母細胞を含む卵巣 を有 する 個体 に対してLHRHa処理を行なった結果、雌雄ともに多くの個体で最 終成熟を完了させ、排卵および放精が誘導された。排卵およ.び排精が誘導された 個体 にお ける 血中DHP量は、排卵が誘導されなかった個体に比べて約10倍量を 示した。

  以 上の 結果 から、 雄の 精巣 の発 達に伴 う11KTの産生と血中の11KT量およぴ 雌の卵形成に伴う卵濾胞におけるE2の産生と血中のE2量がそれぞれよく相関し、

このニつのステロイドがべステルの生殖腺の発達を制御していると考えられた。

    ‑ 883―

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また、血中DHP量が周年的に低値を示すにも関わらず、雄雌ともに生殖腺はプレ グ ネノ ロンお よび17aOHPをDHPに変 換する 能カ を有 すること、さらに、LHRHa 処理された雌雄ともに多くの個体で血中DHP量が急増したことから、ベステルが 最終成熟に至らないのは、生殖腺にDHPの産生能がなぃからではなく自身の脳下 垂体からの生殖腺刺激ホルモンの十分な分泌がなされていなぃことに起因すると 考えられた。以上の結果は、ベステルは、外因性ホルモン処理を行うことにより 十分増殖が可能であることを示しており、さらに、排卵および放精を誘導するた め の人 為的処 理の 適期は多くの個体の生殖腺が成熟状態にある11月から4月で あることが示された。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Endocrlnological studies on gonadal development in       a hybrid sturgeon, Bester

「 チョ ウ ザ メ( ベ ステル) の生殖腺 発達に関 する内分 泌学的研究 」

  チ ョウ ザ メ は非 常 に 商業 価値の高 い魚種の ーつであ るが、そ の需要の 拡大に伴 い、天然 資源iま減少 の一途を たどり、 人工孵化 放流や養 殖の必要 性が指摘さ れて いる 。 その 中 で も、 養 殖対 象魚と して注目 されてい るのがベ ステルと 呼ばれるオ オチョウザメbeluga(Husouso)雌とコチョウザメste rlet(Acipenser ruenus 雄の 雑 種で あ る 。ベ ス テル は飼育 環境下で 成熟が進 行するが 、自発的 な排卵およ び放 精 は起 こ ら ない 。 ベス テルを 人為的に 管理、増 殖を行う ためには その精子形 成お よ ぴ卵 形 成 の内 分 泌制 御機構 の詳細を 知る必要 があるが 、これら に関する研 究は 殆 どな さ れ てい な い。 そこで 本研究で は、排卵 および放 精が自然 に起こらな い理 由 を明 ら か にす る こと を目的 として、 生殖腺の 発達過程 を内分泌 学的に詳細 に調べた。

  実 験 に は 、 ベ ス テ ル11年 魚 ( 雄165尾 、 雌140尾 ) を 用 い た 。 多 く の 雄個 体 では 、 精巣 中 に 精母 細 胞が 観 察 され る よ うに な るの は9月頃 で、11月に は多くの 精子 が 観察 さ れ た。 そ の後 、 精 巣は4月 ま で緩 や か に発 達し たが、自 発的放精は 起こ さ ず、5月 以 降 の精 巣 内で は 食 細胞 に よる 貪 食 が顕 著に なった。 また、血中 11‑ケ ト テス ト ス テロ ン (11KT) およぴテ ストステ ロン(T) 量は、双 方ともに 精 子形成の 進行に伴い 増加し、 前排精期 まで高値 が維持さ れた。退 行が始まる と11‑

KT量 は 低値 を 示 した が 、T量は 高 値 のま ま 維持 さ れ た。 一 方、 血 中17 20p ジヒドロキシ‑4‑プレグネン、.3.オン(DHP)量は周年的に低値を示した。さらに、

様々な発 達段階の精 巣片をプ レグネノ ロン、17 a‑ヒ ドロキシ プロゲス テロン(17  OHP) ま た はTの 存 在 下 で 培 養 し た 結果 、11KT産生 量 は 精子 形 成後 期 で 高値 を示 し 、前 排 精 期お よ び退 行 期 では 低 値 を示 し た。 こ れに 対し、DHP産 生量は前 排精期に急激に増加した。

平 雄

彦 次

   

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  一方、雌個体の卵形成は3年を要するように思われた。最初の1年では、卵巣 中の卵母細胞は6から7月頃から緩やかな成長を開始し、第1次卵黄球期に達し

、 次の1年 に第2あ るいは第3次卵黄球期となった。最後の1年では、卵母細胞 は9月頃には核移動期に達したが、最終成熟および排卵は起こらず、4月になる と一斉に退行し始めた。血中のエストラジオール‑17p(E2)、Tおよびビテロゲ ニン量の季節変化は卵母細胞の発達とよく相関して変化した。E2、Tおよびビテ ロゲニン量は卵黄形成前期から後期にかけて増加し、核移動期にはE2およびビテ ロゲニン量は減少したが、T量は高値・を維持し統けた。一方、血中DHP量は周年 的に低値を示した。また、雄と同様に様々な発達段階の卵濾胞をブレグネノロン

、17 OHPおよびTの存在下で培養した結果、卵黄形成に達していない卵濾胞で のE2の産生.は低値を示し、卵黄形成期に劇的に上昇し、核移動期には急激に減少 し た。 また 、プレ グネ ノロ ンお よび17 OHPは 核移動期の卵濾胞で相当量の DHPに変換された。

  生体外での卵成熟実験では、ベステルの卵母細胞はブロゲステロン系ステロイ ドに反応して最終成熟した。DHPは卵成熟誘起能の最も高いステロイドの中のー っであった。卵成熟が起こる率は卵母細胞の核移動が始まる7月では極めて低く その後徐々に増加し、11月から1月にかけて最高に達した後、卵母細胞が退行し 始めると同時に急激に減少した。卵濾胞におけるこの間のDHPの産生は、その変 化と同様な傾向を示した。

  最後に、雄では排精直前の精巣、雌では核移動期に達した卵母細胞を含む卵巣 を有する個体に対して、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ(LHRHa)処理 を行った結果、雌雄ともに多くの個体で最終成熟を完了させ、排卵および放精が 誘導された。排卵および粥I精が誘導された個体におけろ血中DHP量は、排卵が誘 導されなかった個体に比べて約10倍量を示した。

  以上の結果から、雄の精巣の発達に伴う11KTの産生とffn中の11KT量および 雌の卵形成に伴う卵濾胞におけるE2の産生と血中のE2量がそれぞれよく相関し このニつのステロイドがべステ少の生殖腺の発達を制御していると考えられた。

また、血中DHP量が周年的に低値を示すにも関わらず、雄雌ともに生殖腺はプレ グ ネノ ロン および17 OHPをDHPに変換する能カを有すること、さらに、処理 された雌雄ともに多くの個体で血中DHP量が急増したことから、ベステルが最終 成熟に至らないのは、生殖腺にDHPの産生能がないからではなく自身の脳下垂体 からの生殖腺刺激ホ彫モンの十分な分泌がなされていないことに起因すると考え られた。以上の結果は、ベステルは、外因性ホルモン処理を行うことにより十分 増殖が可能であることを示しており、さらに、排卵および放精を誘導するための 人為的処理の適期は多くの個体の生殖腺が成熟状態にある11月から4月である ことが示された。

  上述のように、本研究では、ベステル雌雄の生殖腺の発達過程並びにその内分 泌制御機構を詳細に調べた。これらの結果は、ベステルの人工種苗生産のための

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極めて重要な知見を提供したものとして高く評価され、本論文が博士(水産学)

の学位請求論文として相当の業績であると認定した。

参照

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