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博士(医学)’朱学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博 士(医学 ) 朱 学位論 文題名

レチノイン酸により誘起されたHL − 60 細胞の分化過程 におけるセリン/スレオニンプロテイ・ンホスファターゼ     PP2A およびPP1 の動態とその意義

     学位論文内容の要旨

I目的1  ホ ルモ ン応答や細胞増殖など生体における多くの細胞機能は、タンバクのりン 酸化/ 脱リ ン酸 化により可逆的に調節される。タンバク質リン酸化は、プロテインキナ ーゼに よろ りン 酸化とプロテインホスフんターゼによる脱リン酸化により調節される。

フ゛ロテインホスファターゼは,基質特異性の差異により、セリン/スレオニンホスファ ターゼ、チロシンホスファターゼ.およびデュアルホスファターゼの3群に大別される。

本研究 にお いて は、 レチ ノイ ン酸 刺激 によ ってヒト骨髄性白血病細胞株HL‑60細胞の穎 粒球への分化を誘導し、その過程における二種類のセリン/スレオニンホスファターゼ、

PP2A及びPPLの動態を解析したっ

[方 法及 び結 果lHL.60細胞 は血 清飢 餓法 によ りG。期に 同調 させ た。 次いで血清刺激 と同 時fニluMレチノイン酸の有無により穎粒球への分化と増殖(コント口ール)に導い た: この 条件 下でHL.60細 胞は 、レ チノ イン酸によろ分化誘導2日目まではレチノイン 酸非存在下と同機の細胞周其恥で増殖し、細胞数に有意の差は認められなかった。しかし、

4日 目に は、 レチノイン酸存在下の細胞はほとんど増殖を停止した。5日目では、分化型 細胞およ・びNBT染色細胞の割合はそれぞれ35%から95%に、および34%から86%に増加した。

そこ で、 この 分化 と増 殖の 過程 で、 経時 的に セリ ン/ス レオ ニン ホス ファターゼPP2A 及びPP1の動態を解析した。

  Mvelin Basic Protein(MBP) を 基質 とし て測 定し たHL‑60細 胞の 粗抽 出液 のPP2A 活性は、血清存在下レチノイン酸で刺激後18時間(G 1/S閲)に.、一過性の上昇を示した。

ホ ス ホ リラ ーゼaを基 質と して 測定 したPP2Aのポテ ンシ ヤル 活性 は、 レチ ノイ ン酸 の 有 無にかかわらず血清刺激後24時間(S期)に一過性の減少を示した。MBPを基質として 測 定したHL゛6()細胞の粗抽出液のPP1活性は、血清によろ増殖刺激後27‑36時間(G2.

M期 ‥こ 一過 性上 昇が 認め られ たーこれに対しレチノイン酸による顆粒球への分化過程 で は、このPP1の活性上昇.は完全に抑えられた。ホスホリラーゼaを基質として測定し たPP1活 性 は 、 レ チ ノ イ ン 酸 の 有 無 に か か わ ら ず 顕 著 な 変 動 を 示 さ な か っ た 。   次 にHL.60細 胞 の増 殖と レチ ノイ ン酸 によ る分 化の 過程 におい て、PP2A及びPP1の 触媒 サブ ュニ ゛ソト蜀の変動をウエスタンブロット法によって解析した。PP2A触媒サブ ユニ ・ッ ト最 はレチノイン酸の有無にかかわらず1S時間までは変化なく、24時間後に一 過性 に減 少し た. このPP2八 触媒 サブ ユニ ット 景の減 少は 、S期に おけ ろPP2Aのポテン シヤ ル活 性の 減少 と時間 的に 一致 した 、

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  レチ, ′イン酸刺 激後18時間 におけろPP2八活性の上昇の健構を明らかにする目的で、

分 化ま た は増 殖 過 程に あ るHLG(1細 胞の粗抽 出液につ いて、DEAE.セ ファロー スカラ ム ク口 マ トグ ラ フ イー を 行っ た ー 分化・ 増殖前の 細胞(0時間) の粗抽出 液のPP2A活性 のほと んどは、0.23M  NaCl前後で溶 出された っ血清刺 激のみの増殖過程にあるHL.60 細 胞 の18時 間 (C18時 間 ) 及 び24時 間 (C24時 間) 後 の 粗抽 出 液のPP2A活 性 は、0時 間 のPP2A活 性 と同 様 に0.2 3M NaCI前 後 で溶 出 され た 。 これ に 対 しレチノイ ン酸によ ろ 分 化 過 程18時 間 (R18時 間 ) のPP2A活 性 のほ と ん どは 、0.13M NaCl前 後 で溶 出 さ れ た っ し か し分 化 過程24時間(R24時 間) の 粗 抽出 液 のPP2A活 性 、 は再 ぴ 元 の0.2 3M NaCl前 後 に 溶 出 さ れ た 。1985年Tungら の 報 告 で は 、 ウ サ ギ 筋 肉 の 抽 出 液のPP2A活 性 は 同 様 の ク ロ マ イ ト グ ラ フ イ ー で0.1 ‑ 0.15MNaCl、0.19・0.2 4M NaCl、 及び 0.28.O.32M NaClの 三つ の ピ ーク と して 溶 出 され 、 そ れぞ れPP2Ao`PP2A1` 及び PP2Aっと 命 名 され た 。 この 命 名に 従 え ぱ、 本 実験 で 認 めら れ たO時間、C18時 間、C24 時 間のPP2A活 性はPP2Aヱ `レ チ ノ イン 酸 に よる 分 化過 程18時 間 のPP2A活性 はPP2Ao` そ して24時 間 後 の活 性 はPP2 Aiと なろ。 このR18時間 のPP2Aoを確認 す.るため 、次の 三 つ実 験 を行 っ た っくDRL8時 間とC18時 間のPP2A主 活性 画 分 を混 合して 再クロマ トグ ラ フイ ー を行 っ た とこ ろ 、そ の 両 活性は それぞれ 分離して元 の位置に 溶出され た。◎

Tunzらに よ れ ば、PP2Aー 活性 は ホ スホ リ ラ ーゼaを 基 質と し た 時にプ ロタミン 依存性 が ある :本実 験のR18時間 のPP2´、活 性をホス ホリラー ゼaを基質と して測定 した時の ピーク はO.2.うmU/mlであるが、5u譬/mlプロタミン共存下では著しく増強され、1.l mL./mIにな1)、↓倍以上の活性化であった。◎PP2Aは触媒サプユニット(C)、構造サプ ユ ニ ッ トfA) 、 及 び 調 節 サ ブ ユ ニ ッ ト (B) で 構 成さ れ てい る 。PP2Ao`PP2Al及び PP2Aっ は そ れ ぞ れCAB. 、CAB及 びCAの サ ブ ュ ニ ッ ト 構 成 で あ り 、PP2AoとPP2AIの 差異はBサブュニッ トの違い にあろこ とが知ら れている 。そこで 抗B サプユニット抗体 と 抗Bq廿ブ ユ ニ ット 抗 体を 用 い て、DEAE. セフ ァ ロ ース カ ラ ムで 溶出され たO時間、

C18時 間 、C24時 間 、R18時 聞 及 びR24時 間 のPP2A活 性 画 分 を ウ エ ス タ ン ブ ロ ット 法 によっ て比較した 。抗B.サ ブユニッ ト抗体を 用いたウ エスタン ブロットでは、R18時間 のみで5↓kDのB サプ ユニット バンドが 認められ た。これ に対し抗Baサプユニット抗体 を 用 い た ウ エス 夕 冫ブ ロ ッ トで は 、R18時 間 のサ ン プ ル以 外 のO時間 、C18時間 、C24 時 間 及 びR24時 間 の . サ ン プ ル に 、55kDのBaサ プ ュ ニ ッ ト バ ン ド を 認 め た 。   次 に、分化あ ろいは増 殖過程に あるHL.60細 胞の粗抽 出液のPP1活 性を同様の 条件の DEAE・セ フ ァ ロー ス ヵ ラム ク 口マト グラフイ ーにより 解析した 。増殖過程30時間にお い ては 、MBPを 基 質 とし て 測定 し たPP1活 性 は、0.2 5M NaCI前後で 溶出され る画分に お ぃて 明 らか に 上 昇し て いた 。 しかし、 レチノイ ン酸によ る分化過程30時間の同 画分 の 活性 は 、む し ろ 減少 し てい た 。

1ま と め1ぶNtBPを 基 質 と し て 測 定 したHL‑60細 胞 の粗 抽 出 液のPP2A活 性は 、 レ チ ノイ ン酸存在 下でのみGl/S期(18時間 )に一過 性の上昇 を示した 。この時PP2Aはホロ 酵素PP2A,の性状 を示したが 、培養2′l時間には 元のホロ 酵素PP2Alの性 状に戻った。

これ らの変化 はレチノイ ン酸依存 的である ことから、分化誘導援構の一部として機能し てい る可能性 があろ す なわちレ チノイン 酸刺激さ れたHL.60細 胞のGl/S移 行期(18 時 間 )にPP2Aの ホ口 酵 素型が変 換し、その 標的蛋白 が変わる ことで細 胞を分化 へと導 く と ぃう 濺 溝が 考 え られ ろ 、@ ホ ス ホリ ラ ーゼaを 基質 として測 定したPP2Aの ポテン シャ ル活性は 、レチノイ ン酸の有 艇にかか わらず培養24時間に一通性の減少を示した。

この 時間にの みPP2′ヽの触繊サブヱニットが減少しており、活性の減少と一致した。こ れら の変化は レチノイン 酸非依存 的であり 、S期と一 致すろこ とから増 殖に関与してい

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学位論文審査の要旨

主 査   教 授   小 野 江 和 則

副 査    教 授    小 林 邦 彦 副 査    教 授    齋 藤 政 樹 副査    教授    菊池九二三

学 位 論 文 題 名

レ チ ノ イ ン 酸に より 誘起 され た HL ― 60 細 胞の 分化 過 程 における セリン/スレオニンプ口テインホスファターゼ     PP2A および PP1 の動態とその意義

    本 研究 に おぃ て は 、レ チ ノ イン 酸 刺激 に よ って ヒト骨髄性 自血病細 胞株HL‑60細 胞の穎 粒球への 分化を誘 導し、そ の過程にお ける二種類のセリン/スレオニンホスファ タ ー ゼ 、PP2A及 ぴPP1の 動 態 を 解 析 し た 。 実 験 成 績 は 以 下 の よ う に 要 約 さ れ る 。 1)Myelin Basic Protein(MBP) を 基 質 と し て 測 定 し たHL.60細 胞 の粗 抽 出 液の PP2A活性は 、血清存 在下レチ ノイン酸 で刺激後18時間(Gl/S期 )に、一 過性の上昇を 示 した 。 ホ スホ リ ラー ゼaを 基 質と し て測 定 し たPP2Aの ポテンシャ ル活性は 、レチノ イン酸 の有無に かかわら ず血清刺 激後24時間 (S期)に一過性の減少を示した。MBPを基 質 とし て 測 定し たHL.60細 胞 の 粗抽 出 液のPP1活 性は 、 血清 に よ る増 殖 刺 激後27‑36 時間(G2.M期)に一 過性上昇 が認めら れた。こ れに対しレチノイン酸による顆粒球への 分 化過 程 で は、 こ のPP1の活 性上昇は 完全に抑 えられた 。ホスホリ ラーゼaを 基質とし て測定 したPP1活性 は、レチ ノイン酸 の有無に かかわらず 顕著な変 動を示さ なかった。

2. )次 にHL 60細胞 の 増殖と レチノイ ン酸によ る分化の 過程におい て、PP2A及びPP1 の触 媒 サ ブュ ニ ット 量 の 変動をウ エスタン ブロット 法によって 解析した 。PP2A触媒サ ブユ ニ ッ ト量 は レチ ノ イ ン酸の有 無にかか わらず18時 間までは変 化なく、24時間後に 一過 性 に 減少 し た。 こ のPP2A触媒 サ ブユ ニ ッ ト量 の 減 少は、S期に おけるPP2Aの ポテ ンシ ャ ル 活性 の 減少 と 時 間的 に 一 致し た 。  .

3)レチノイ ン酸刺激 後18時間に おけるPP2A活性の上昇の機構を明らかにする゛目的で、

分化または 増殖過程 にあるHL、 .60細胞の 粗抽出液 について 、DEAE.セファロースカラ ムク ロマ トグラフ イーを行 った。分 化・増殖 前の細胞(O時間)の 粗抽出液 のPP2A活性 のほ と んど は 、0.23M NaCl前 後 で溶 出された 。血清刺 激のみの増 殖過程に あるHL‑60 細 胞 の18時 間 (C18時 間 ) 及 び24時 間(C24時 間 ) 後 の 粗 抽 出 液 のPP2A活 性 は、0時 間のPP2A活 性と 同 様 に0.23M NaCl前 後 で溶 出 され た 。 これ に 対しレ チノイン 酸によ る 分 化 過 程18時間 (R18時 間 ) のPP2A活 性 のほ と ん どは 、0.13M NaCl前後 で 溶出 さ

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れた 。 しか し 分 化過 程24時 間 (R24時 間 )の 粗 抽出 液 のPP2A活 性は、再 び元の0.23M NaCl前 後 に 溶出 さ れ た。Tungら の命 名 に 従え ば 、本 実 験 で認 め られ た0時 間 、C18時 間 、C24時 間 のPP2A活 性 はPP2A. 、 レ チノ イ ン酸 に よ る分 化 過程18時間 のPP2A活 性 はPP2Ao、 そ し て24時 間後 の 活性 はPP2A1と なる 。

4) こ のR18時 間 のPP2Ao以 下 の 実 験 で 確 認 さ れ た 。 @R18時 間 とC18時 間 のPP2A主 活性画分を混合して再クロマトグラフイーを行ったところ、.両活性は完全に分離された。

◎R18時 間 のPP2A活 性 を ホ ス ホ リ ラ ー ゼaを 基 質 と し て 測 定 し た 時 の 活 性 は プ ロタ ミン共存 下では著 しく増強 された。 ◎PP2Aは触媒 サブユニッ ト(C)、 構造サプ ユ ニ ッ ト (A)、 及 び調 節 サ ブユ ニ ット (B) で 構成 さ れて い る 。PP2Ao`PP2A1及 び PP2A2は そ れ ぞれCAB 、CAB及 びCAのサ プユニッ ト構成で ある。抗B サブユニ ット抗 体 を用いたウ エスタン ブロット では、R18時 間のみで54kDのB.サブユミ.ットバンドが 認 め ら れ た。 こ れに 対 し 抗Baサ ブユ ニ ット 抗 体 を用 い たウ エ ス タン ブ ロ ット で は、

R18時 間 の サ ン プ ル 以 外 の0時 間 、C18時 間 、C24時 間 及 びR24時 間 の サ ン プ ル に 、 5 5kDのBaサブユニットバンドを認めた。

5)PP1活 性 を 同 様 の条 件 のDEAE‑セフ ァ ロ ース カ ラ ムク ロ マト グ ラ フイ ― によ り 解 析し た 。増 殖 過 程30時間 に お いて は 、MBPを 基 質と し て 測定 し たPP1活性は、0.25M NaCl前 後 で溶出さ れる画分 において 明らかに 上昇してい た。しか し、レチ ノイン酸 に よ る 分 化 過 程 30時 間 の 同 画 分 の 活 性 は 、 む し ろ 減 少 し て い た 。     公 開発 表 は 約30名の 聴 衆 の前 で 行 われ 、 小林 教 授から基 質を選択 した根拠、B. B.サブ ユニット 変換のメ カニズム 、プロタ ミンの作 用機構、斎 藤(政) 教授より、レ チノイ ン酸の作 用部位、 細胞分化 と増殖の 関係について、菊池教授より、ホスホリラー ゼaホス フんター ゼ活性の 減少機構 について 質問がな された。申 請者はお おむね適切な 回答を なし得た 。

    以上本実験で得られた成績は、HL.60細胞の分化・増殖におけるプロテインホスファ タ ーゼの役 割を解明 する上で 重要な新 知見であ る。審査員一同は、これらの成果を高く 評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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