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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

あそう ひろあき

麻生 浩章

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 903 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Identification of MMP-like protein from Streptococcus mitis

( Streptococcus mitis の保有する MMP 様タンパク質の同定)

学 位 論 文 掲 載 誌 World Journal of Advanced Research and Reviews 第 8 巻 第 3 号

令和 2 年 12 月 13 日

論 文 調 査 委 員 主 査 前田 博史 教授 副 査 山本 一世 教授 副 査 梅田 誠 教授

論文内容要旨

Streptococcus mitis は S. pneumonia と系統発生学的に非常に類似した細菌であり、口腔内常在菌 でありながら易感染性宿主においては重篤な全身感染症の原因となる。このため、共生菌と病原菌の 狭間に位置するユニークな細菌種と考えられている。口腔内では根面う蝕、あるいは感染根管からも 分離されるが、病態との関連性は明らかにされていない。今回 、S. mitis が象牙質コラーゲン成分の 分解に関与することで、根面う蝕の病態、あるいは感染根管成立の病因になると仮説をたて、本菌種が 保有する病原分子(マトリックスメタロプロテアーゼ様分子:MMP 様分子)の同定を試みた。

本研究では、Human Oral Microbiome Database の S. mitis ゲノム情報からヒト MMP の相同性分子 の検索を行った。 PCR 法で MMP 様遺伝子を増幅し、プラスミドベクター(pEU-E01-MCS)に組み込ん だ。コムギ胚芽無細胞蛋白質合成技術を応用し、組み換え蛋白質を合成し、GST タグを利用したアフィ ニ テ ィ ー ク ロ マ ト グ ラ フィ ー に よ っ て 精 製 し 、 SensoLyte(R) 520 Generic MMP Activity Kit

*Fluorimetric* (Anaspec, Inc.)を使用し、 S. mitis 菌体、ならびに組み換え蛋白質の MMP 様活性を 測定した。

S. mitis のゲノム遺伝子上に MMP の HEXXH motif を保有する MMP 様の遺伝子を同定した。このタン

パク質の相同性分子は広く Streptococcus 属に保存されており、 S. pneumonia のもつ MMP 様分子との

相同性は 95.3%であった。また、 S. mitis の MMP 様遺伝子は全長 699bp で、アミノ酸配列から推測さ

れる分子量は約 26.6kDa であった。クローン化した MMP 様遺伝子をコムギ胚芽無細胞蛋白質合成系に

添加し、組み換えタンパク質の発現を確認した。GST タグが付加された精製組み換えタンパク質は SDS-

PAGE 上で分子量約 53kDa の位置に確認できた。組み換えタンパク質は、ヒト MMP-8 の約 1/2 の MMP 様

活性を示した。 また S. mitis 菌体は、 コラゲナーゼ活性を保有することが示唆されている Enterococcus

(2)

faecalis と同レベルの MMP 様活性を示した。

ヒトの MMP と比較すると酵素活性は若干低いものの、 S. mitis は MMP 様の分子を保有していると思 われる。根面う蝕、あるいは感染根管内では、象牙質のコラーゲンに対する病原因子として機能してい る可能性がある。また、易感染性宿主における全身感染症の際にも病原因子となっている可能性があ り、今後、より詳細な機能解析を必要とする。さらに相同性分子が広く Streptococcus 属に保存され ていることから、う蝕、根管内細菌叢内での相同性分子の役割についても検討していきたい。

以上より、 S. mitis は MMP 様活性をもつ分子を保有していることが示された。

論文審査結果要旨

本論文は、Streptococcus mitis が象牙質コラーゲン成分の分解に関与することで、う蝕あるいは感染 根管成立の病因となると仮説をたて、本菌種が保有するマトリックスメタロプロテアーゼの相同分子 の同定を目的とし研究を行ったものである。

本研究論文の骨子となる研究成果は以下のとおりである。

①ゲノムデータベースを活用し、S. mitis の保有するヒト

MMP

の相同性分子を同定した。 ②PCR 法 で

MMP

様遺伝子を増幅し、発現ベクターにクローン化した。③コムギ胚芽無細胞蛋白質合成技術を応 用し、組み換え

MMP

様蛋白質を合成し、GST タグを利用したアフィニティークロマトグラフィーに よって精製した。④SensoLyte(R) 520 Generic MMP Activity Kit *Fluorimetric* (Anaspec, Inc.)を使用し、S.

mitis

菌体、ならびに組み換え蛋白質の

MMP

様活性を測定した。

上記した実験系から、①S. mitis の

MMP

様蛋白質に

MMP

conserved domain

である

HEXXH motif

met turn

が存在すること。②このタンパク質の相同性分子は広く

Streptococcus

属に保存されており、S.

pneumonia

のもつ

MMP

様分子との相同性は

95.3%であること。③ S. mitis

MMP

様遺伝子は全長

699bp

で、アミノ酸配列から推測される分子量は約

26.6kDa

であること。④GST タグが付加された精製

組み換えタンパク質は

SDS-PAGE

上で分子量約

53kDa

の位置に確認でき、組み換えタンパク質は、ヒ ト

MMP-8

の約

1/2

MMP

様活性を示すこと。⑤S. mitis 菌体は、コラゲナーゼ活性を保有することが 示唆されている

Enterococcus faecalis

と同レベルの

MMP

様活性を示すこと。が明らかにされている。

得られた研究成果はすべて新規性の高い内容であり、学術論文として価値のあるものと認めること ができる。本研究で同定された

S. mitis

MMP

様の分子は、根面う蝕、あるいは感染根管内では、象 牙質のコラーゲンに対する病原因子として機能している可能性がある。また、易感染性宿主における 全身感染症の際にも病原因子となっている可能性があり、より詳細な機能解析を行うことでより独創 性の高い研究となる。さらに相同性分子が広く

Streptococcus

属に保存されていることから、う蝕、根 管内細菌叢内での相同性分子の役割について検討していことで今後の発展が期待できる研究内容であ る。

以上より、S. mitis は

MMP

様活性をもつ分子を保有していることが示された点において本論文は博

士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

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