ふ り が な
氏 名
いむら かずき
井村 和希
学 位 の 種 類 博士(歯学)
学 位 記 番 号 甲 第 836 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 31 年 3 月 8 日
学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当
学 位 論 文 題 目 Application of hydroxyapatite nanoparticle-assembled powder using basic fibroblast growth factor as a pulp-capping agent
(ナノアパタイト-bFGF 複合体を用いた覆髄剤の応用)
学 位 論 文 掲 載 誌 Dental Materials Journal 平成 31 年
論 文 調 査 委 員 主 査 山本 一世 教授 副 査 今井 弘一 教授 副 査 前田 博史 教授
論文内容要旨
最近,ナノサイズの多孔を有する人工ハイドロキシアパタイト(ナノアパタイト)を開発した.本 研究では,ナノアパタイトに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を組み込んだナノアパタイト-bFGF 複合体を作製し,覆髄剤としての機能を評価した.具体的には,人工的に露髄させたラットの歯髄を 作製した材料にて覆髄し,その安全性,歯髄に対する影響を組織学的に評価した.
ナノアパタイトブロックを粉砕することで約
50 mサイズの顆粒状ナノアパタイトを作製した.作 製したナノアパタイトは,走査型電子顕微鏡(SEM)にて形態観察し,また,フーリエ変換赤外分光
(FT-IR)にてスペクトル測定した.結晶相は,X 線回折(XRD)装置によって同定した.X 線光電子 分光分析装置(XPS)を用いて表面の
Ca/P比を測定した.
8
週齢の
Wistar系雄性ラット
16匹を使用した.咬合面にダイヤモンドポイントにて直径
0.5 mmの露髄面を有する窩洞を形成した.露髄面を止血し,乾燥させて覆髄した.覆髄剤としてナノアパタ イト,ナノアパタイト-bFGF 複合体(bFGF 濃度:0.1 mg/ml)での覆髄をそれぞれ左側臼歯露髄面に 施した.反対側は貼薬せず対照とした.いずれも,窩洞をスーパーボンドで封鎖した. 7,14 日後に
4匹をペントバルビタールの腹腔内過剰投与によって安楽死させ,上顎骨ごと被験歯を取り出した.取 り出した上顎骨をマイクロフォーカス
X線
CTを用いて断層撮影を行い,
3D骨質骨形態計測ソフトウ エアを用いて観察を行った.画像解析後は,通法に従ってヘマトキシリンエオジン(HE)染色を用い た病理組織標本を作製し,光学顕微鏡により歯髄の変化を病理組織学的に観察した.
SEM
観察から,ナノアパタイト粒子は直径約
50 nmの球形形態を有し,ナノ粒子間にナノサイズ
の気孔(約
10 nm)を持つことが確認された.FT-IRおよび
XRD測定から,作製したナノアパタイト
粉末は低結晶化ハイドロキシアパタイトであり,他のリン酸カルシウム相は含まれないことが確認さ
れた.XPS で測定した粉末の
Ca/P原子比は
1.45であり,カルシウム欠損型アパタイトであることが
確認された.マイクロ
CTおよび
3D骨質骨形態計測ソフトウエアの解析ではすべての群において露髄
面近傍の歯髄腔内に幼若な石灰化度の不透過像を認めた.HE 染色による病理組織学的検査では,
1週 間で両群の露髄部位の近くの歯髄に炎症細胞がほとんど存在しないことが示された.
2週間後,ナノア パタイト群において,象牙芽様細胞の層で覆われた修復象牙質が観察された.ナノアパタイト-bFGF 複合体群において,炎症細胞の周囲に広範囲にわたる修復象牙質の層を認めた.
以上,ナノアパタイト-bFGF 複合体は壊死層の形成を軽減しつつ歯髄の治癒を促進することが示唆 された.
論文審査結果要旨
本研究では,ナノアパタイトに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を組み込んだナノアパタイト
-bFGF
複合体を作製し,覆髄剤としての機能を評価した.具体的には,人工的に露髄させたラットの
歯髄を作製した材料にて覆髄し,その安全性,歯髄に対する影響を組織学的に評価した.
ナノアパタイトブロックを粉砕することで約
50 mサイズの顆粒状ナノアパタイトを作製した.作 製したナノアパタイトは,走査型電子顕微鏡(SEM)にて形態観察し,また,フーリエ変換赤外分光
(FT-IR)にてスペクトル測定した.結晶相は,X 線回折(XRD)装置によって同定した.X 線光電子 分光分析装置(XPS)を用いて表面の
Ca/P比を測定した.
8
週齢の
Wistar系雄性ラット
16匹を使用した.咬合面にダイヤモンドポイントにて直径
0.5 mmの露髄面を有する窩洞を形成した.露髄面を止血し,乾燥させて覆髄した.覆髄剤としてナノアパタ イト,ナノアパタイト-bFGF 複合体(bFGF 濃度:0.1 mg/ml)での覆髄をそれぞれ左側臼歯露髄面に 施した.反対側は貼薬せず対照とした.いずれも,窩洞をスーパーボンドで封鎖した. 7,14 日後に
4匹をペントバルビタールの腹腔内過剰投与によって安楽死させ,上顎骨ごと被験歯を取り出した.取 り出した上顎骨をマイクロフォーカス
X線
CTを用いて断層撮影を行い,
3D骨質骨形態計測ソフトウ エアを用いて観察を行った.画像解析後は,通法に従ってヘマトキシリンエオジン(HE)染色を用い た病理組織標本を作製し,光学顕微鏡により歯髄の変化を病理組織学的に観察した.
SEM