学校教育におけるカウンセリング的対応の限界と可能性 : 教師の意識・実態調査をもとにして
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(2) 目 はじめに. 次. 一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一 “一層一一一一一一一『一一一. 1. 一一一一一一一一一. 3. 第1節教師と子どもの人間関係を取り巻く状況 一一一一一一一. 3. 第1章教師の対応にみる子どもとの信頼関係. (1)教師に対する子どもの期待. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. (2}教師と子どもの関わりの実態 第2節非援助的関わりと援助的関わり. …一一一一一一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一・・一一一一. (1)学校教育実践における教師の非援助的関わり 一一一一一一一一一 (2}くり返される非援助的関わり. 一一一一一一一一一一一一一一一一一. (3)非援助的関わりが生じる背景 ・一一一一一一一一一一一一一一 (4}援助的関わりとは. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 第2章 援助的関わりとカウンセリング. …一一一一一一一一一一一. 第1節援助的関わりとカウンセリングとの関係 一一一一一一一一一 く1)学校教育実践上のカウンセリングの意義. 一一一一一一一. (2}学校現場におけるカウンセリングの位置づけ 一一一一一一一一一一. 第2節学校における教育相談とカウンセリング 一一一一一一一一 〔1)学校における教育相談とカウンセリングのとらえかた 一一一一. (2}学校教育とカウンセリングの共通点. 一一一一一一一一. (3)学校における教育相談とカウンセリングとの相違点 一一一一一 (4)学校教育相談についての枠組み. 一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一. ⑤学校における教育相談の目的と位置づけ 一一一一一一一一一一一一. 第3章学校における教育相談に対する教師の意識 一一一一一一一一一一 第1節調査の概要 (1》調査の目的. 一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一. 3 8. 31 31 36 39 43 48 48 49 51 62 62 64 66 69 71 79 79 79.
(3) (2)調査の内容. (3鯛査の方法. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一……. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. (4鯛査結果の分析 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 第2節 調査の結果と考察 “一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. {1)学校における教育相談のとらえ方の実態 一一一一一一一一一一一一. (2}第1水準の教育相談に対する教師の意識 一一一一一一一一一一一. 79 80 80 96 96 97. (3)カウンセリングと学校における第1水準の教育相談の違い一102 (4}第2、第3水準の教育相談に対する教師の意識 一一一一一一一一105 (5}カウンセリング的対応の問題点 …一一一一一一一一一一一一一一109. 第4章教育実践におけるカウンセリング的対応の限界と可能性一一119 第1節カウンセリングからの示唆 …一一一一一一一一一一一一一一一一一119 (1}カウンセリングの立場 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一119 (2》カウンセリングの技術. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一123. (3)カウンセラーの基本的態度. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一125. (4}カウンセリングからの示唆 ・一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一128. 第2節カウンセリングの教育実践 一一一一一一一一一一一一一一一一一一140. (1)西氏のめざす子どもの可能性を引き出す教師の基本姿勢 一一140 (2)伊東氏のめざす人間中心の教育. 一一一一一一一一一一一一一一一一162. (3)カウンセリング的対応の限界と可能性. 一一一一一一一一一一一一173. おわりに 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一188. 参考文献. 資料.
(4) はじめに. 現在、学校における教師と子どもとの終結関係について、問題を指摘 されることが多い。学校現場の多くの教師は、それについてどのような 関わりをすればいいのか、暗中模索している状態である。そのようなな かで、援助としてのカウンセリングが、さまざまな形で期待されている が、それが学校に取り入れられるにあたり、どのような問題点や可能性 があるのかについて考えたいと思い、本テーマを設定した。. さて、教師と子どもの人間関係の実態を見てみると、その両者の信頼 関係は十分には成立していないといえる。そして、その主たる原因は、 教師の非援助的な関わりに求めることができる。この非援助的な関わり が子どもに与える影響、学校現場への広がり具合、この関わりが持つ背 景について、資料をもとに検討していきたい。そのなかから、「援助的」. 関わりを成立させる条件を明らかにしていく。. そして、この援助的関わりに示唆を与えるものとして、カウンセリン グを取りあげてみたいと思う。このカウンセリングは、実は、学校現場 では「教育相談」という形をとって位置ついており、行政的側面から推 進されている。しかし、実際、現場の教師はこの教育相談をどのような ものとしてとらえているのであろうか。その意識と実態の現状把握を試 みたいと思う。そして、この意識・実態調査、ならびに文献をもとにし て、学校における教育相談とカウンセリングの関係はどのようなものに なっているのか、その共通点と相違点を明らかにしておきたい。 ところで、示唆を受けようとするこの来談者中心のカウンセリングは、. 人間関係のあり方に強調点がおかれている。教育の人間関係に示唆を与 えてくれるものとして、基本的人間観、受容・共感的理解・人間関係の. 一1一.
(5) 重視の3点がある。これらに加え、このカウンセリングの立場、カウン セラーの基本的態度、カウンセリングの技術についても、示唆を与えて くれるものとして自分なりに整理しているが、これらについては、さま ざまな研究がなされ、指摘されていることでもある。そこで、これをも とにするとともに、カウンセリングを教育現場で生かそうとする試みを 行っている伊東氏、西氏の見解も参考にしながら、学校現場の教師の立 場から、このカウンセリング的対応について検討していきたい。つまり、. そもそもカウンセリング的対応は、学校教育実践において取り入れるこ とが可能なのだろうか。もし可能だとすれば、どのような用い方がある のか。また、そのとき、問題点や限界があるとすれば、それはどのよう な問題点であり、限界なのかについて検討していきたいと思うのである。 研究の方法としては、. 1.小学校において、教師は、学校における教育相談をどのようなものと してとらえているのかについて、アンケート調査により、現状把握する。. 2教育実践とカウンセリングの共通点,相違点、カウンセリングから示 唆されるものについて、アンケートならびに文献をもとに考察する。 3.カウンセリング的対応の限界と可能性について、その対応を取り入れ た実践例を参考にしながら、考察する。. 以上のような方法を用いて、カウンセリング的対応が、学校教育実践 において取り入れられる際の限界と可能性について検討するのが、本論 のねらいである。. 一2一.
(6) 第1章教師の対応にみる子どもとの信頼関係. 第1節 教師と子どもの人間関係を取り巻く状況. 教育のアプローチにはいろいろあるが、その中で抜かすことができな いのが教育の営みを構成する人間相互の関係、とくに教師と子どもとの 人間関係である。この関係をとらえるにあたっては、授業を中心とする フォーマルな場面、休み時間などのインフォーマルな場面のように、場 面の違いに応じたとらえ方もあれば、管理や指導のようにその関係の内 容から見たとらえ方もある。どのような観点からとらえるにせよ、現在、. 教師と子どもの人問関係を原因とする問題が生じてきており、その関係 は望ましいものとは言い難い現状だといわれている。はたして、実情は. どうであろうか。これを明らかにするために、第1章第1節では、 (1)教師に対する子どもの期待. ㈱ 教師と子どもの関わりの実態 について見ていくことにする。. (1)教師に対する子どもの期待. 「担任になってほしい先生のタイプ」「理想の教師像」など、求める 教師像についての調査は多い。ここでは、平成元年、総務庁青少年対策 本部r少年の生活意識と実態に関する調査報告書』を参考に述べていく。. 全国33地点54校、小学4年生∼中学3年生4393名を対象にし た調査結果である。この調査を選んだ理由の第1は、国及び各都道府県 で実施されている青少年の意識や実態に関する諸調査を、総合的にとら. 一3一.
(7) えなおし、全国共通の意識調査として、比較的低年齢層(小学校高学年. から中学生)を対象にして実施している点である。理由の第2は、学校 生活と意識の事項について、学校への満足感や先生観を中心にして調査. が行われている点である。理由の第3は、調査の時期が比較的新しい点 である。. では、子どもは、どのようなタイプの教師を期待しているのだろうか、 実際のデータを見てみよう。. 「一般に学校の先生は、どのような人であってほしい」かを尋ねた調. 査結果は、図1−1の通りである。. 図1−1 理想の先生のタイプ(コ. 。. だれへもニ しへの の. τb“Cしてくnる^f、’ ・ ㌔. わかり,アく教えて. くれ5ヘ. ユ,tアのあs人. (寄,. カ. の. ・・ s一、. iII m. {=====コes4. 臼マも剛擾てさる人. 651. q側て認る人. P書し、人. たよりt‘いのある人. sto. 1 人zaeg‘c“9t「きるAて、0. A・,語 い’te’、. ss?. 1 ウしの9’敏儲か5fっ,. てくれるへ. co. ttt■のrrtseeCt… コでしてく乱るへ. t,tt,とした人 ・. その亀. 一4一. 了91.
(8) 小学校と中学校、あるいは学年により差はあるが、全体的に見ると、 求める教師像として「だれにも差別しないで公平にしてくれる人」 (79 .1%)、「わかりやすく教えてくれる人」 (71.1%)が7割台、「ユー モアのある人」 (65.4%)、「何でも相談できる人」 (65.1%)が6割 台、「信頼できる人」 (59.2%)、「やさしい人」 (53.1%)、「たよ りがいのある人」 (53.0%)「人間的に尊敬できる人」 (51. 2%)が5. 割台、「少しの失敗はかばってくれる人」 (47.0%)、「教え子の世話 を最後までしてくれる人」 (46. 4%)、 「さっぱりした人」 (41.8%). が4割台である。 これらの結果について、この調査は、. 少年の理想の先生のタイプは、「世話を最後までしてくれる」「 かばってくれる」などの情緒的な関係よりも、「公平にしてくれる」. 「わかりやすく教えてくれる」などのややク∼ルな関係が多いのが 伺われる という分析をしている(2)。. 確かにこの結果は、この調査が分析しているように情緒的な関係とク ールな関係という対比もできるが、教師と子どもとの距離という観点か らもとらえることができるだろう。「だれにも差別しないで公平にして. くれる人」「わかりやすく教えてくれる人」という上位2項目は、子ど もが教師と一定の距離を保とうとしているととらえることができる。こ れらは、教師との距離が近いととらえることのできる「少しの失敗はか ばってくれる人」「教え子の世話を最後までしてくれる人」に比べ、上 位を占める結果となっているからである。「これは最低してほしいこと」. という点が強調されて、上位2項目があがってきているようである。こ の調査の結果は、少なくともみんなと同じように扱ってもらいたいとい. 一5一.
(9) う、最低限の条件を求めているということが読み取れる。. しかし、これは、別の視点からいえば、防衛的な関わりをしていると いえるのではないだろうか。この点を考えるにあたって、参考になる意 見がある。 『世界青年意識調査』に基づいて、日本の青年の意識の特徴 について述べたものである。. 日本の青年の意識の特異性を示すデータの大部分は、人と人との結び つきに対する不信の度合の高さであるという。たとえば、. 1心をうちあけて話せる友人をもたない割合が世界一高い。. 2人生は愛と考えたり、互いに察しあっていたわる人間関係を良とした りする青年の割合が、相対的にいって他の国より少ない。 3.人生目標として、 「他人との誠実や愛」を第一位にあげる青年も、ま た少ない。. 4道に迷っている人を見ても、積極的に声をかけることをあまりしない。. 5.人間の本性を悪とする青年が3人に1人はいる。 などである。このデータによれば、日本青年は他の国の青年に比べ「ク. ール」に見えるが、実際は、逆ではないかという。図1−2が示すよう に、友達つき合いは深入りしないほうがいいという意見には、7割近く が否定的だからである。つまり、7’割近くが、深入りしたほうがいいと. 思っているのである。これは、世界的に見るとズバ抜けて高い数値で、 否定のほうが、肯定を上回っているのは、日本の青年だけなのである。 人間関係にクールな態度を示しているが、本来は深いっきあいを望んで いると考えられるというのである。この著者は、この点について、. 現実の変動性・流動性の高い社会で、しかも子どものときから常に 他人と競争するようにしむけられてきているだけに、求めても得ら れないことのほうが多い。あるいは求めたが傷つけられたという経. 一6.
(10) 験をすることが多い。「それじゃもう他人なんか信ずるもんか」と いう、つまり裏返された「人間不信」なのである. と述べているω。 人間関係にクールな態度を示しているが、本来は深いつきあいを望ん でいるというこの調査結果から、次のようなことが考えられる。すなわ ち、一見クールに見える態度の背後には、心理的な防衛が働いており、 その人間関係に適当な距離をたもとうとしていると考えられるのである。. そう考えると、先ほどの教師に対する期待で上位を占めたものは、教師 との距離を保とうとしている関わり方であるといえる。最低限のことを 求めている意見が上位を占めるということは、つまり、その背後に防衛 的な構えがあるのではないかと考えられるのである。. 図1−2 友だちつき合いは深入りしたほうがまいかω. 濠入りしたほうがよい. 深入りしないほうがよい. lo92qELo一 s,o q o so l oo% 5s・8〔====コヨ‡匿塁蜀3・.4. ;4・5〔==コ;解状璽璽璽鋼54.5. 35・0〔==コ側橿塁藝海山劉63.0 3。・9〔=]酬・匿藝三三璽蜀66.7 12・1□・ラ・橿塁蓬蓬i璽鐘轟ヨs2.エ. 26・2〔コxイ纒璽璽遜璽鋼735 2・・3〔コ委ウ㌻塵錘塁璽錘前歯7コユ. 27・・〔3痔三三i亟三三72.・ コ4・4[==コf・痙璽璽iiiii垂ヨ65.1. コ1・8〔=コ・・り・・一66.7 23・6〔コブラ・遷璽藝芋台麹7・.3. 一7一.
(11) (2}教師と子どもの関わりの実態. ①教師の働きかけに対する子どもの反応 (ljで教師に対する子どもの期待を述べたが、その中で、子どもの側に. は、教師に対して防衛的な構えがあるのではないかと考えてきた。では 教師と子どもの実態は、どうであろうか。次に、この防衛的な構えば、 現実の教師と子どもの闇に影響を与えているのか否か、もし与えている のならばどのような現われ方をしているのかについて検討してみる。 これを明らかにするために、 1.教師の働きかけに対する子どもの反応. 2教師の働きかけに対する子どもの感情 3.教師と子どもの感情のずれ について述べる。. 1.教師の働きかけに対する子どもの反応. 教師のさまざまな働きかけに対し、子どもはどのように反応している. のであろうか。ここで、1989年福岡市教育センターが、市内の小学. 4年生と6年生872人に対して実施した「学級における『教育相談的 機能』に関する研究(その2)一教師の指導に対する子供の『見方・接 し方』の実態調査をもとに一」の結果を見てみよう(“”)。. これは、教師の働きかけに対し、子どもがどのような見方や接し方を しているかを調査したもので、調査員が直接教室に出向き実施している。. この調査は、教師の働きかけの内容を4通りの観点で分類するとともに、. 教師の働きかけに対して、子どもがどのような反応をするかを5通りの 観点で分類している。ここで用いられている分類は次のようなものであ. 一8一.
(12) る。はじめに、教師の働きかけについてであるが、具体的な会話で子ど もへの働きかけが示されている。この会話が示す対応を「受容的」「指 導的」 「攻撃的」 「拒否的」と4分類している。. ・「受容的」とは援助する(是認ではない). ・「指導的」とは教え諭すこと ・「攻撃的」とは叱る・押しつけること ・「拒否的」とは無視・無関心 というように説明されている。 ここで、この分類がどのような教師の働きかけを分析したものなのか、. 具体的に見ておくことにする。6)。「天気の良い日、廊下で友達と遊ん. でいてガラスを割ってしまったとき」を例にする。「あなたの先生はど うなさいますか」という質問に対する教師の働きかけとして、以下のよ うなものをあげている。 ・「『ビックリしたろう。外で遊んでおればよかったね』と言って、いっ. しょにかたづける」働きかけは、「受容的」対応 ・「『天気の良い日は外で遊ぶ決まりでしょう。きれいにかたづけて、. 外で遊びなさい』と、決まりを守るように言う」働きかけは、「指導. 的」対応 ・「『なにしてたの1 外で遊ばないからよ1 はやくかたづけなさい』. と言って、しかる」働きかけは、「攻撃的」対応 ・「知らないふりをして何も言わない」のは、「拒否的」対応 ここで、言葉かけの内容の全体を見ると、 「受容的」は、子どもの感 情を受けて話し、その後一緒に行動するという内容になっている。 「指 導的」は「言う」、 「攻撃的」は「叱る」、 「拒否的」は「知らないふ. りをして何も言わない」という表現内容に統一されている。. 一9一.
(13) 次に、子どもの反応の項目について見てみよう。教師の働きかけに対 してどのような行動をとるか選択させ、その反応を「受容的」「受動・ 依存的」 「攻撃的」 「拒否的」「責任転嫁的」の5通りに分類している。. ・「受容的」とは納得して受け入れること. ・「受動・依存的」とはしかたなく受け入れること ・「攻撃的」とは不満・文句を言う、反抗すること ・「拒否的」とは無視、無関心のこと ・「責任転嫁的」とは他に責任をかぶせること. というように説明されている。ここでも、具体的な子どもの行動を示し 選択させるようにしている。では、同じ場面の例を見てみよう。「そん な先生を見て、あなたはどうしますか(どうするでしょう)」という質 問に対して、. ・「『自分がいけなかった』と思って、かたづける」対応のしかたは、. 「受容的」反応 ・「先生や友達に手伝ってもらいながら、かたづける」対応のしかたは、. 「受動・依存的」反応 ・「『教室で遊んでいたのは僕だけじゃないもん』などと言って、ひと. りではかたづけない」対応のしかたは、「攻撃的」反応 ・「知らないふりをして聞かない」という対応のしかたは、「拒否的」. 反応 ・「『00くんがおしてきたから、ガラスにぶつかって割れたのに……』. と思いながらかたづける」対応のしかたは、「責任転嫁的」反応 と分類している。ここで、反応の内容を全体的に見ると、 「受容的」は、. 反省して教師の言葉に従う表現である。「受動・依存的」は友達などと 一緒に行動してもらう、「攻撃的」は教師の働きかけと反対の行動をと. 一10一.
(14) る、「拒否的」は「知らないふりをして聞かない」、「責任転嫁的」は 理由を心のなかでつぶやきながら、教師の言葉に従うという表現になっ ている。. さて、この調査結果図1∼3を見る限り、全標本の8割以上の子ども が教師のさまざまな働きかけを受け入れているように見える。教師の働. きかけについて、1.「指導的」対応(32.4%)、2「攻撃的」対応. (28.0%)、3.「受容的」対応(24.6%)、4「拒否的」対応 (12.2%)という割合で、子どもは受けとめている。もっとも高かっ た「指導的」対応と受けとめている割合は、全標本の約1/3を占めている。. ただし、ここで注目しなくてはいけないのは、「攻撃的」対応が28 %というように3割近くもあり、高い数値になっている点である。また、. 「拒否的」対応が12.2%で1割を越えることも、日常的な教師と子 どもの関わりにおいては多いといえる。この「攻撃的」「拒否的」対応. を合わせると、4割を越えるという点は押さえていなければならないこ とである。. 図1−3 「教師の働きかけ」に. 図1−4「教師の働きかけ」に. 対する「子どもの受けとめ方」ω. fその他・無苔: 2.8傷. 一一. P1一. 対する「子どもの反応」.
(15) 子どもは教師の働きかけをこのように受けとめているが、次に、その. 教師の働きかけに対して、子どもがどう反応したかを見てみよう。図1. −4である。すると、1.「受容的」反応(54.6%)、2「受動・依. 存的」反応(26.6%)、3.「攻撃的」反応(6.7%)、4「拒否 的」反応(6.6%)、5.「責任転嫁的」反応(4.7%)となってい る。ここから見る限りにおいては、「受容的」「受動・依存的」を合わ. せた全標本の8割以上が、教師の働きかけを受け入れていると読み取る ことができる。会話内容を分析し直し、教師の働きかけを受け入れるこ とを「教師の言葉に従う行動」と見ると、「責任転嫁的」も加えること. ができ、85%以上という数値になる。ここで、教師の働きかけを「攻 撃的」「拒否的」と受け取っている子どもが4割いるにもかかわらず、 これだけ多くの子どもたちが教師の働きかけを受け入れる反応を示して いるのは重要な点である。 では、子どもは本当に教師の働きかけを受け入れているのであろうか。. さらに詳しく会話内容を見ていくと、「攻撃的」 「拒否的」そして「責. 任転嫁的」な反応が、合わせて約2割ということに注目しなくてはなら ない。「攻撃的」 「拒否的」な反応は、会話内容からも明らかなように、. 教師の働きかけに従わないものである。「責任転嫁的」な反応は、教師 の言葉に従って行動するが、感情レベルでは教師の言葉を受け入れてい ないのである。つまり、これらの反応が本当に教師の働きかけを受け入 れているとはいえないのである。もしこれに、「受動・依存的」反応も 加えると、それは全体の約45%を占めることになる。「受動・依存的」 反応の中身は、先ほど見たように「友達と∼緒に行動してもらおう」と いう反応である。表面的には、教師の言葉に従う行動であるが、場面に よっては、友達と一緒に、「しかたなく」行動するというものも含まれ. 一12一.
(16) ている。「しかたなく受け入れる」反応は、反抗したいができない、あ るいは拒否したいができないという意味として解釈することができよう。. したがって最初に見たように、子どもが教師の働きかけを受容的に受 け入れるというとらえ方は極めて表面的なものとなる。だが、仮に字句. 通りに反応を受け取るとして、「受動・依存的」反応を除いても、2割 近くは否定的な反応をしているのであって、このことは、教師と子ども の信頼関係という点から見ると、決して無視することのできない数値で ある。. 2教師の働きかけに対する子どもの感情. 教師の働きかけを8割の子どもが受け入れ、2割が攻撃的にあるいは 拒否的に反応していることを見てきた。これは、いわば行動レベルで解 釈を試みたことになる。そこで、次に、子どもの感情レベルではどのよ うになっているのかを見ることによって、子どもの思いを検討していく。. 図1−5 「教師の働きかけ」に. 図1−6 学年比較による. 対する「子どもの感情」(8). 「子どもの感情」(9). 10. 快の感情 不快感情 L’』距 一 航. Lつりq もない. その他 無. 答. 一13一. 20. 30. 40.
(17) 図1−5から明らかなように、さまざまな教師の働きかけに対し、明 確に「快」「不快」を示した回答は両者を合わせると半数を越え、その. 割合はどの場面でも大差はない。注目したいのは、全体の約43%が「 どちらでもない」と答えている点である。これは、具体的にはガラスを 割った、給食の食缶をひつくり返した、けがをした、ほうきを壊したな どの場面であって、子どもが教師の対応に神経を尖らしている事が予想 される場面である。にもかかわらず、教師の対応に快・不快の感情を半 数近くの子どもが持たないのである。当然、指導されたり、叱られたり して「快」の感情を持つはずはない。そこで、「どちらでもない」をど. のようにとらえたらよいのか、4年生と6年生の示す感情の違いから検 討してみることにする。. 4年生と6年生の示す感情を比べてみると、図1−6の通りで、4年 生では教師の対応を受けとめるにあたって、「快」が「不快」を上回っ. ている。これに対し、6年生では「不快」が「快」を上回っており、し. かも「どちらでもない」が45%と高い数値を占めている。学年が進む. にしたがって、「快」が約11%減少し、「不快」が約7%「どちらで もない」が約5%増加している。しかし、教師の働きかけのとらえ方は 学年が変わってもさほど変化はない。攻撃的ととらえている子どもの割 合がやや高いという程度である。後述する中学生を対象にした別の調査. で、8割が不満を持っていることと考え合わせると、学年が進むにつれ て「不快」が増えると類推することは的外れではないであろう。. 「不快」感情は教師に対する否定的な反応と見ることができる。「ど ちらでもない」は、「不快」と断言しないが「快」とは言い切れないも のである。つまり、ある意味では教師から距離を置いた反応、あるいは 関わりを避ける反応ととらえることができる。一見教師の働きかけを子. 一14一.
(18) どもは受け入れている、あるいは従っていると見えるが、実は教師の対 応を素直に受け入れられない感情や不満が募っているととらえることが できる。. 3.教師と子どもの感情のずれ. ところで、この不満を教師は知っているのであろうか。. 反対の立場からの調査、つまり、教師側から見た実態調査がある。こ れは、いままで参考にしてきた調査の前年度に実施されたものである。. 1988年福岡市教育センター教育相談室A研究室「学級におけるr教 育相談的機能』に関する研究(その1)一子供に対する教師のr見方・ 接し方』の実態調査を中心に一」であり、市内の幼稚園、小学校、中学. 校、高等学校の教員1ユ04名を対象にした調査である。ここでは、小 学校の調査結果を参考にするが、その標本数は309である(10〕。. 図1−7. 教師の「気になること」の内容(11〕 類 \ 数. A(健康・安全等) B(規則・きまり等). C(礼儀・作法等) D(人格・心情等) E(余曜指導他). s ・釣 i実致 252 (1a3) 670 (43−4) 193 (!2.5). 234 (15.1). 38 (25). 無 答. 158 (1α2). 計. 1545 (IOO). 一1 5一.
(19) この調査結果については、図1−7、図1−8、図1−9に示した通 りである。学校生活全般での様子で、教師の「気になること」の約半数 は、規則・きまりなどに関することである。健康・安全、礼儀・作法な. ども加えたこれら基本的な生活習慣が「気になる」教師は70%を越え ており、その指導内容はしつけ的なことが多い(図ユー7)。しかもそ. の「気になること」に対して、42%の教師は「子供の言動」そのもの に鋤きかけていると答えている(図1−8)。その働きかけの内容はと もかく、全体の75%の教師は、子どもが自分の働きかけを「受容的」 「依存的・受動的」、つまり肯定的に受け入れていると思っている(図 ユー9)。. 図1−8「気になること」への. 図ユー9「教師の働きかけ」への. 「教師の働きかけ」(12). 「子どもの反応」(la). 一】■撃的. as 5. 子供の :::ft§:的::::. .反E::’d9・1s÷:一. 一一. P6一.
(20) 先ほどの調査結果では、教師の働きかけに対して8割以上の子どもが. 受け入れていると答えていたが、この調査でも、ほぼ同数の76%の教 師が自分の働きかけを子どもが受け入れていると思っているのである。 しかし、子どもの否定的な反応については、両者の見方にずれがある。. 教師の働きかけに対して否定的な対応をしていると答えている子どもは. 20%近くいるのに対し、子どもが否定的な反応をしていると思ってい. る教師は10%に満たない。教師の予想以上に、子どもは否定的な反応 をしているのである。前で見たように、教師の働きかけを感情と行動の 両レベルを加味した言葉で質問しているため、この数値は子どもの反応 を比較的率直に表していると見ることができる。子どもは教師に否定的 な反応をしているにもかかわらず、教師は子どもの反応に十分に気づい ていないといえる。そして、この数値は、教師の予想以上に子どもの不 満が募っていることを予測させる。 教師の働きかけに対して子どもは反応する。その子どもの反応に対し、. 教師はどのような感情を持つのかという問いに対する調査結果がある。. 図1−10「子どもの反応」への 「教師の感情」(1d). 図1−11 子どもが受けとめる 「教師の感情」(15}. 一17一.
(21) まず、子どもの反応に対し、実際に教師がもつ感情(図1−10)は、. 「良い感情」が35%、「良くない感情」が約17%である。一方これ に対し、先ほどの調査のなかで(図1−11)、子どもの反応に対し、 教師が「快」「不快」感情をもっととらえていると思う子どもは、とも. に約26%であり、「どちらでもない」と答えたのは約47%である。 ここで、子どもの反応に対し「良い感情」をもつ教師が35%いるにも. かかわらず、子どもは「快」感情をもつ教師は約26%しかいないと受 け取っている。また、実際子どもの対応に「良くない感情」をもった教. 師は約17%であるのに対し、子どもは「不快」感情をもつ教師が約2 6%いると受け取っている。指導をする側、受ける側という心理的な立 場を考慮すれば、この数値が表す感情のとらえ方のずれを単純に比較す ることはできないだろう。しかし、この両者に立場上の違いがあったと しても、教師と子どもの信頼関係という点から見れば、感情レベルでの ずれは問題を生むことになるため、この数値の比較は重要だといえる。. このように、教師の働きかけに対する子どもの反応、ならびに子ども の反応に対する教師の感情にはずれがあることが明らかになった。子ど もに不満はあっても教師にそのまま伝わっていない実態を表していると いえる。教師が子どもの感情に気づいていないという調査結果が示して いるように、子どもの不満は教師の見えないところで募っている様子が うかがわれる。. 一18一.
(22) ②不登校の原因にみる教師の関わり 次に、不登校児が学校に行けなくなった原因から、教師と子どもの関 わりの実態を見てみよう。. 現在の学校教育における不登校児の問題は、大きな社会問題となって きている。不登校児からは、学校に行きたくてもいけないという訴えが 多く、また、その背景として家庭の問題のほかに、「いじめ」、体罰、. 教師による行き過ぎた指導・注意などが指摘されている。ここでは、1. 989年法務省人権擁護局「不登校児の実態について 不登校児人権 実態調査結果報告」を主な資料として、教師と児童の関わりの実態を検 討するく1 {;)。なお、この調査に回答しているのは、不登校児本人である。. また、ここでは、不登校児が学校にいけなくなった原因として、友達、. 教師・学校、勉強・学業成績、給食、家庭の5項目について調査してい る。. 不登校児が学校に行けなくなった原因のうち、教師・学校に主たる原. 因があった場合の内容について尋ねた結果が図1−12である。 「先生が皮肉を言ったり嫌がらせをした」7.3%、「先生から無視. された」6.3%、「先生がよくおこるのでこわくなった」4.5%、 「先生が体罰を加えるのでこわくなった」3.5%であり、これらを合 計すると21.6%となる。これら教師の関わりは子どもに効果がなかっ ただけでなく、それ以外の恐怖感や不快感を与えていることが問題であ る。しかも、それが不登校の原因であったという事実は、教師の関わり を再考しなければならないものだといえる。そして、そのような働きか けが、結果として教師への信頼をなくし、子どもの不登校の原因となっ ていることがうかがわれる。. 一19一.
(23) 図1−12. 学校に行けなくなった原因一先生・学校〔17). ユ20. 113. 110 100. 90 so 70 人 50 50 40 30 20 10. II2. 塊全体 田男子 §§女子. 65. 60 ::::. @ @ 二 ,. 0. 12. 15 F:8. :・. 46. ::. 32. ::. :・. 23. 47. F:. 37 18. 52. :i. 1819. 1319. 21 26. ::. F: F: F:. @ \. F:. F:. F::・;:. F:. Fi. O:. 奄. E:. E. の先 で生 こが わ体 く鮒 なを つ加 たえ る. で先 こ生 わが. くよ な(. つお たこ る. の. り先. 先. 駆生 がが. 生. ら皮. せ肉. e・. か先 つ生 だと. 最. をを し言. 誓. たつ た. 廷. 相 控 ズ 島 な. に転 な校. の. じし. 地. そ. めて な斬 かし っしへ. た学 捜. また、教師との相性が合わなかったため不登校になったのは113人 で、これが一番多い原因である。「先生との相性が合わなかった」とい う一言だが、その言葉に含む意味を、教師は認識する必要があるように 思われる。この相性が合=わないことが不登校の原因の一つだとすると、 教師の気づかない、意識しない部分での関わりが与える影響の大きさを、. 改めて考えない訳にはいかない。無意識にとる教師の行動が子どもに防 衛を生じさせ、時にはこのように不登校を引き起こす要因ともなってい ることを意識する必要があるといえよう。. このように、教師を原因としてあげた回答者は223人(43.8%) であり、少なくとも、不登校児の意識からすれば、教師の働きかけは援 助になっていないばかりか、不適応の原因になったと受け取られている。. この数値は、子どもとの信頼関係を崩す教師の関わりが、学校現場の中. 一20一.
(24) に存在する一つの資料になる。教師の言動を皮肉や嫌がらせ、無視と受 け取ったり、恐怖を感じたことが原因で不登校になったということは、. 教師と子どもとの信頼関係が崩れたために生じた結果ととらえることが できよう。. しかし、このような不登校といった行動を示すのは、特別な子どもの 場合と見なされるかもしれない。しかし、教師の非援助的関わりがいか に子どもにマイナスの影響を与えるかについては、見過ごすことはでき ない。. ③体罰に見る教師と子どもの関わりの実態 教師と子どもの関わりのなかで、現在間題画されているのが教師の体. 罰についてである。学校教育法第11条に「…ただし体罰を加えること はできない」と明記されているように、体罰が禁止されていることは明 らかであるにもかかわらず、学校現場では実際には体罰が減少していな いという調査もあり、大きな社会問題ともなっている。ここでは、この 体罰に関する資料をもとに、その影響について検討したい。. ここで用いる資料は、1991年 NHK世論調査部「現代中学生・ 高校生の生活と意識」の調査結果である。全国の中学生・高校生155 6名を対象にしたものであるα8㌔ では、まず、実際にはどんな体罰が起こっているのだろうか。体罰の. 中身について見てみよう。この体罰の中身として、表1−1が参考にな る。. ここで、「ゲンコツでなぐられた」「長時闇正座をさせられた」「平 手でなぐられた」という中身が多いことが目立つ。しかし、ゲンコツや 平手で殴られたばかりでなく、竹刀や棒で殴られたり、さらには、「足. 一21一.
(25) でけとばされた」など、かなり激しい体罰があることには、驚かせられ. る。さらに、この調査では、中学生の47%、高校生の34%がなんら かの体罰を受けていることがわかったと指摘している。中学生で2人に 1人が体罰を受けたことになることを考えたとき、その数の多さ自体が 問題になるといえる。. 表1−1 体罰の中身(19】. ○ゲンコツでなぐられた ○長時間正座をさせられた ○平手でなぐられた ○耳や髪の毛を強くひつばられた ○長時間立たされた ○竹刀や棒でなぐられた O足でけとばされた ○ほほを痛くなるほどつねられた ○定規や鉛筆などでいためつけられた. 中学生28%、高校生21% 中学生18%、高校生15% 中学生14%、高校生13%. 中学生 中学生 中学生 中学生 中学生 中学生. 8%、高校生 6%、高校生 6%、高校生 5%、高校生 4%、高校生 2%、高校生. 7% 6% 6% 5% 4% 2%. では、なぜ子どもたちは体罰を受けるのであろうか。. 表1−2は、これら体罰を受けたことのある生徒に、その理由をたず ねた結果である。ここからわかることは、「宿題や教科書を忘れたから」. 「授業中おしゃべりをしたから」という理由で体罰を受けたことが多い という事実である。. 一22一.
(26) 衰1−2体罰の理由‘鋤. ○宿題や教科書を忘れたから ○授業中おしゃべりをしたから ○掃除をさぼったから 0髪型や服装が乱れていると言われて ○部活をサボつたから ○クラスで決められている当番を忘れた ○反抗的だと言われて ○廊下をおしゃべりしながら歩いたりした ○授業をサボつたから ○成績が下がったから ○授業中うまく答えられなかったから ○タバコを吸ったから. 中学生47%、高校生42% 中学生46%、高校生4ユ% 中学生17%、高校生20% 中学生ユ2%、高校生27%. 中学生9%、高校生8% 中学生7%、高校生11% 中学生6%、高校生11% 中学生5%、高校生3% 中学生2%、高校生9% 中学生2%、高校生2% 中学生2%、高校生4% 中学生1%、高校生2%. では、子どもたちは、これらの捧罰をどのような感情で受けとめてい るのだろうか。. 次に、体罰を受けた生徒にその時の気祷ちをたずねた結果がある。体. 罰を受けて「反省した」と答えたのは、中学生2Q%、高校生9%であ る(反省派と呼ぶ)。「反省したが同時に反感を持った」と答えたのは、. 中学生工7%、高校生15%、「反感を持った」と答えたのは、中学生 4%、高校生6%である.単純に見れば反省派が多いが・感惰レベルに 焦点をあてたとすると、「反省したが同時に反感を持った」「反感を持っ. た」の両方を合わせた時(反感派と呼ぶ)、中学生一高校生いずれも2 エ%となり、反省派よりも反感派が上回る。. ここで、「反感を持つ」ということ自体、教師の指導と子どもの受け 取り方にはずれがあろということを表している。体罰という教師の関わ りは、子どもを説得することができないというだけではなく、子どもの. 一23一.
(27) 求める方向とは逆の関わりになっているということである。子どもが体 罰を受けて反省するのであれば、教師から見て一応子どものためになる といえるのだろうが、この反感を持つ反応は、子どものためになってい ない関わりということを示している。それのみならず、この反感という 感情は、教師と子どもの信頼関係を損なう危険性のあることを表してい るといえる。. 体罰が禁止されていることは明らかなのだが、現状は体罰が行われて いるのである。体罰によって子どもを何らかの形で指導できると思って いる教師にとって、それが信頼関係を損なうものになっていることに気 づかないとすれば、大きな問題だといえる。また、体罰は、子どもにとっ. て肉体的な苦痛や傷害を与えると同時に、精神的な苦痛も与える。前述 したように、これがもとで登校拒否になることもある。子どもが精神的 に追い詰められる状態が察せられる。「反感を持つ」という言葉が表し ているように、体罰という教師の関わりは、信頼関係の崩れを引き起こ している。. さらに、この調査は、体罰体験の多いグループと体罰体験なしのグル ープを比較検討している。これによると、体罰体験の多い(3項目以上) グループと体験なしのグループを比べてみると、 『思いきり暴れまわり. たいことがよくある』中学生・高校生は、27%対7%、 『学校に行く. 気がしないことがよくある』中学生・高校生は、17%対4%である。 また、 『学校の先生をなぐりたいと思っている』中学生・高校生は、体. 罰体験の多いグループでは33%で、体罰体験なしのグループ(13%) の約3倍となっている。この調査では、体罰体験の多い子どもが「思い 切り暴れ回りたい」や「学校に行く気がしない」などの病理的現象を示 していると指摘している(21⊃。この結果は、体罰体験の多さが、いかに. 一24一.
(28) 子どもに対して悪影響を及ぼしているかをうかがわせるものである。た だし、これは、逆に体罰の数が少なければよいということを示したので はない。体罰という教師の関わりは、本質的に子どもとの信頼関係を崩 す働きかけになるのである。. ④不満に対する教師への対応 子どもは教師の関わりを8割以上受け入れており、教師と子どもの信 頼関係は成立しているように見えたが、現実には十分に成立していない。. 日常生活のなかでは、教師の働きかけに対し不満が募っていると見るこ とができる。特に、体罰と匪う働きかけに対しては、反感を持つという 形で不満を募らせたり、教師の関わりいかんでは不登校という形で対応 する実態も存在している。体罰や不登校の原因でみた教師の関わりは、 その関わりの量のみが問題なのではなく、子どもに与える影響を考えた とき、教育においてはマイナスの意味をもっととらえなくてはならない といえる。. では次に、日常生活において教師に不満を持ったときの子どもの対応 について見てみよう。不満をもった子どもはどのような行動をとるので あろうか。. 子どもは、毎日楽しい学校生活を送りたいと思っているはずである。 実際、学校に対する満足度や不満内容の調査は多い。. 図1−13 学校への満足度(22〕 (%) 1西足していろ. 30.9. まあ漢足している ss.2. 一2 5一. 不満で. ややT:icaであるある「二. 七i彦 ’7。.
(29) 前述した総務庁青少年対策本部「少年の生活意識と実態に関する調査 報告書一基本的調査のモデルとして一」では(23〕、自分の通っている学. 校に不満を持つ子どもは、図ユー13のように約3割を示している。そ の子どもたちの不満内容は図1−14の通りである。ここで、「先生の. こと」が約40%、「授業の内容ややり方・進み方のこと」が約30% で、明らかになんらかの形で教師が関わっているものである。第1位の 「学校の規則のこと」についても、その運営面に教師が関わっているこ とも考慮すれば、教師への不満はさらに高い数値になるだろう。. 図1−14 学校への不満の内容。24). (修】. e lo 20 30 40 so 6e so.a. 字校の豊制のこと. ヨ.4. 完皇のこと. 投獲のPt.響ややう万,. 澹ら万¢こと. 臼分のG6のζと. 茨だちのζと. .難噛蕪下野。「・5. 邸活勒・クラブ活動e:=噛聴層;,一.:::・ :::::::: :1::: :・:一:一:一:・:・::::: :::1 Z.4 t一クrvのこと 押一.の・:一:.. .. 範Nや放il(プー西や SC e re r:ど)のこと. {のだ. 一26一.
(30) 1984年r中学生白書」に、教師に対する不満調査がある。図ユー 15である。. 図ユー15 不満に対する対応(25). 図・一. モ監爾響罫たり・いやだなあと は い. いいえ.. 鞭鱒灘講話灘磁壁灘灘畿箋鱗轍14.0・(%). 母. 先生に不満を感じたとき、あなたはどうする ことが多いですか. ・’欄藝難鐡獺蜘灘上灘i雛禦3.5%.(%) 先生に対しては何もし 不満を先生に話した ないでだまっている り、ぶつけたりなど (無回答は省略). して行動にあらわす. それによると、教師に対して不満を感じたり、嫌だなあと思ったことの. ある子どもは86%に及んでいる。そう答えた子どもに「先生に不満を 感じたとき、あなたはどうすることが多いか」と質問している。それに. よると、図に示すように、約716%が不満を行動に表さず、「先生に対 しては、何もしないで黙っている」と回答している(2fi)e教師はこの黙. るという態度を「子どもが教師を受け入れている」と受け取ってしまっ ているという可能性がある。なぜなら、①教師の働きかけに対する子ど もの反応の項で見たように、子どもと教師の受け取り方にはずれがある からである。教師に対して何もしないで黙っているのは、感情レベルで は、・決して教師を受け入れているのではない。子どもは、心理的落差か. ら生じる防衛のために、結局黙ることでしか対応できないのではないか と考えることができる。. 一27一.
(31) このように「黙る」という反応は教師に従っている反応ではなく、一 つのサインとして機能していると受け取ることができる根拠として、福 岡市内のF校長の電話インタビューを紹介する〔27)。現場における不満 の現われの実例の一つといえる。. 「学校のなかで援助になっていないと思われることがあるか否か」と いうことでインタビューをした訳だが、その冒頭で「新しい学力観は、 一人ひとりのよさを引き出すことである。このよさを引き出すたあには、. 教師はどのような支援をしたらよいのかを考えなければならない。子ど もがその支援を欲しがっていないと、『反抗できないので聞いているだ け』という反応を示す」と語っている。. この「反抗できないので聞いているだけ」という反応が、ここでいう. 不満の対応の仕方に相当する。その具体的な例として、2例あげてくれ たが、一つは校長が指導する中から感じた、いつまでたっても授業が下 手な教師の例である。なぜ授業が上手にならないのかを検討するために 授業分析をしたところ、「∼しなさい」「やめなさい」「書きなさい」 などの指示の多いことがわかったという。教師がいちいち指示するので、. 子どもたちはうるさそうに教師を見ているという。反抗できないため、 子どもは教師を見つめるまなざしに不満のサインを込めているにもかか わらず、教師はそれに気づいていないことが多いという。ここに、教師 と子どものずれを認めることができる。. もう一例は、熱心な教師の例としてあげたものである。明確な目標を 掲げて、それに向かって子どもに働きかけようとする使命感のある教師 は、猪突猛進型で無理やり子どもを伸ばそうとしている。教師から厳し くいわれると、子どもはサインを出すことができない。そこで、子ども は「発言しない」という形で教師にサインを送っているというのである。. 一28一.
(32) これは、たまたま担任教師の代理としてクラスを担当した際の、観察な らびに子どもとの会話から述べたものである。間違った答を言うと、担 任が「まだわからないのか」と叱るために、子どもたちは次第に発言し たくなくなっていったという。心理的に教師と子どもには距離があるだ けに、教師に対し自分の意見が言えないときには、黙る、発言しないと いう形でしか対応できないのである。それは、教師に従っているのでは なく、気持ちのレベルでは反抗しているのであり、信頼という点からい えば十分に成立していないのである。. ここで、この2例とも、一生懸命に、熱心に取り組む教師であるとい うことが問題になる。熱心に授業に取り組むというのは、一般的には歓 迎されても非難されるべき姿ではないと受け取られるにもかかわらず、 子どもの感情を逆方向に向かせる実態があるからである。熱心すぎる教 師、指示の多い教師の関わりが、その熱心さゆえに問題を生じさせてい るということは重視されなければならない。. ⑤関わりの実態が示す「期待する教師」. 以上、教師と子どもの関わりの実態を見てきた。子どもは教師の対応 を8割以上受け入れているという結果があり、教師と子どもの信頼関係 は、この数字を見る限りにおいては問題ないように見えた。しかし、詳 しく見ていくと、子どもは、日常の生活で不満を募らせ、その不満に対 し、「黙る」という形で対応していることが明らかになった。体罰によ り抱く反感もこの「黙る」という反応と捉えることができる。不登校と いう行動をコミュニケーションを絶つことと考えれば、この不登校も「. 黙る」という反応ととらえることができる。つまり、教師と子供の信頼 関係は十分には成立していないということが明らかになったのである。. 一29一.
(33) その点から、最初に述べた「子どもの期待する教師」を見直してみよ う。「誰にも差別しないで公平にしてくれる人」という回答には、自分 にも目を向けてほしいという気持ちとともに、自分だけに否定的な目を 向けないでほしいという気持ちが込められていると受け取ることができ る。子どもの気持ちの奥に防衛的な思いがあり、それが「公正」という 表現になったと考えられる。「わかりやすく教えてくれる人」には、教 師の押付けではなく、子どもの立場にたった教え方を願っている子ども の願いを読み取ることができる。高い数値を示したこの教師の姿には、 自分の感情を認めてほしいという願いが込められているように受け取る ことができる。. しかし、これらの関係は、個人的に一定以上入ってきてほしくないが、. 突き放すのもやめてほしいという適当に距離を置いた関係である。最低 限、感情を逆なでしないで子どもに関わってほしいという願いが込めら れているといえる。しかし、実は、これらの関係は、子どもの成長促進 の前提条件なのである。上位を占めている項目が指し示すものは、「自 分を否定的に見ないでほしい」とまとめることができる。学校は本来、 子どもの人格形成をめざすものであるにもかかわらず、「自分を否定的 に見ないでほしい」とJltr Mう願いがでてくること自体、おかしなことであ. る。「自分を否定的に見ないでほしい」が上位にきて、最大の関係とし て教師に要求すること自体、教師と子どもの信頼関係が十分に成立しな い証だと考えられるのである。. 一30一.
(34) 第2節 非援助的関わりと援助的関わり. 第1節では、教師と子どもの信頼関係は十分には成立していないこと を述べた。第2節では、その信頼関係が成立していない原因を、教師の 関わり方という点から検討していく。. 教師と子どもの信頼関係が十分に成立していない主たる原因は、子ど もに対する教師の関わり方にあると考える。信頼関係が成立していない ことについては、「子ども」のとらえかた、親の教師に対する尊敬の念 の減少、学校の機能に関する位置づけの多様化などの点から見る人もい る。しかし、学校では、授業など時間的にみて教師と子どもとの関係が 一番長く、多い。よって、教師の関わりが信頼関係の大きな要因として 考えられる。もちろん、当然子ども側の要因もある。しかし、教師と子 どもの関係においては、当然、教師が主導権をもつと考えられるので、 以下、教師側の関わりを考えていくことにするのである。. (1)学校教育実践における教師の非援助的関わり. 第1節で見たように、日常的な学校教育活動の中で、教師と子どもと の信頼関係は十分に成立していないといえる。教師の関わりの中で、子 どもとのずれが生じていたり、体罰や不登校の原因になる非援助的な関 わりが少なからず存在していたりする。それが、信頼関係の崩れる一つ. の原因となることをみてきた。第1節で述べたように、体罰や不登校の 原因になる関わりが与える影響が非常に大きなものだということを考慮 に入れたとき、教師と子どもとの関係のなかで悶題となるのは、非援助 的関わりの占める割合ではなく、その実態や内容なのである。 では、非援助的関わりにはどのようなものが考えられるのだろうか。. 一31一一.
(35) 非援助的関わりを大きく3つに分けて考えてみる’。一つめは関わりの程. 度が浅いもので、これを第1段階と呼ぶことにする。二つめは、関わり の程度が深いもので、これを第2段階と呼ぶことにする。三つめは、今 述べた二つの関わりと質的に異なるもので、一見援助的と思える関わり. かたであり、これを第3段階と呼ぶこととする。この第3段階は、場合 によっては第1段階ならびに第2段階を含むこともありうる。ではその 内容を順番に見ていく。. まず初めに、第1段階の関わりについて見ていこう。第1にあげるの は、放任と呼ぶべき関わりである。たとえば、授業中、しゃべっていて も注意しない、自由時間ばかり多く取る、宿題を出しても見ないなどが あげられる。. 第2にあげられるのは、放任ほどではないが、消極的な関わりである。. 積極的な援助ではなく、問題が起こった後に対処したり、嫌々関わる状 態などである。子どもの友達関係だけでなく、家庭も巻き込んだ問題の ときによくありがちである。. 第3にあげられるのは、不登校の原因の所でも述べたように、教師が 子どもを無視したり、皮肉や嫌味を言う関わりである。たとえば、子ど もが謝ろうとしたり、誤解を解こう、理由を話そうとするような時に、 無視したり、皮肉や嫌味を言う関わりである。. 第4にあげられるのは、指導したくてもできない、あるいは、手をこ まねいてみているだけという関わりである。いじめや学級の無秩序に手 をつけることができない状況の時などに起こってくる関わり方である。 このような単に援助しない、消極的にしか援助しないという関わりは、. 子どもに向かって攻撃的な関わりをしていないため、一見、自由にのび のびさせていると受け取られることもある。しかし、子どもが援助を求. 一32一.
(36) あているにもかかわらず乱その子どもの気持ちに添わない関わりである ため、心理的な接触は徐々に減少し、教師の気づかないうちに子どもの 気持ちが離れてしまう危険性がある。表面的に見えにくい教師の関わり であるだけに、「先生は何もしてくれない」という子どもの不満も、見 えないところで募っていくことが予想される。特に、子どもが自分では 解決の方法がわからず教師に援助を求めているとき、「子どもだけで解 決しなさい」という関わりがあったとすれば、それは子どもを精神的に 追い込み、時に不登校を引き起こす原因にもなる。また、この関わりは、. 知的な面、感性の面、意志や意欲の面、あるいは判断力の面など、当然 関わらなくてはならないところをないがしろにする関わりとなりやすい。. 次に、第2段階の関わりについて見てみよう。これは、子どもの状況 を把握せずに一方的で固定的な見方をしたり、教師の価値観を押しつけ 過ぎる関わりである。これがさらに進んで、偏見的、差別的な見方や態 度、あるいは管理的な指導が過度に表れた体罰などは、明らかに人権に 関わる問題となる。. 第1にあげられるのは、状況をよく聞かずに、一方的に叱るなどの行 動をとる教師の関わりである。子ども側にそれなりの言い分があったと しても、それには耳を貸さず、教師の価値観を押しつける関わりである。. 第2にあげられるのは、管理的な側面が過度に表れた関わりである。 たとえば、理由の如何を問わず規則を厳しく徹底することなどがあげら れる。それを守らせるとき強制という形を取ることが多く、その極端な 形は体罰となる。. このような第1、第2の関わりをする教師は、「熱心すぎる」教師に も見られる。教師の押しつけ、思い入れが極端な場合の関わりである。. 熱心すぎる関わりとして、第1節で述べたような具体例をはじめ、学習. 一33一.
(37) 態度の育成に力を入れ過ぎた指導、給食の無理強いなどがある。これら の関わりは、子どものためになっていないだけではなく、子どもを萎縮 させてしまうものにもなる。このほか、日々の生活指導のなかで、細か すぎる指導や徹底した指導が同じく度を超したとき、それは援助的な関 わりにはならない。この関わりが援助になっていないと教師自身が気づ かないだけに、難しい問題を含むといえる。「熱心」すぎる関わりは、 子どもに一方的に教師の指導を押しつけすぎる関わりと考えることがで きる。子どもの望むことを無視して、教師の価値観を押しつけているか らである。なお、このような「熱心すぎる」関わりをとる教師が、自分 の問題点に気づくことが難しく、その結果、行動変容が起こりにくいこ とを指摘している人がいる〔10)。. さて、ここで、第1節で述べた「子どもが黙る」原因は、子どもの感 情を無視した教師の一方的な関わりの行為の中に存在しているというこ とに注目してみよう。「黙る」という行為は、教師と子どもの十分な信 頼関係が成立していない事を原因として起こってくる。これは、教師の 一方的な働きかけが原因なのであるが、その働きかけの中には、拒否や 非難という関わりもあれば、「熱心すぎる」という関わりもあるのであ る。そのように考えると、信頼関係の崩壊は、決して教師の怠けだけで はなく、「熱心」な教師の関わりからも起こっているといえる。 第1節では、この関わりを教師と子どもの信頼関係という点から見た。 子どもは、押付けにも似た指導を全面的には受け入れられないからこそ、. 黙る、あるいは反応しないという対応を起こしているのである。自分を 大切にしたいという気持ちがあるからこそ、反発としての沈黙があるの である。この子どもの感情を無視した形で、「熱心すぎる」教師の働き かけが継続したとすれば、それはいつかは、教師と子どもの信頼関係の. 一34一.
(38) 亀裂を生じさせる。教師と子どものずれが生じれば、それは進度は遅く ても信頼関係の崩れになっていくのである。. そのように考えたとき、「熱心」という教師にとって必要不可欠と思 われる要因が、時には子どもとの信頼関係を崩す原因として作用するこ ともあるのである。. 第3にあげられるのは、体罰とまではいかなくても、皮肉や嫌味の段 階を通り越した言葉として、偏見や差別的な発言による関わりがある。 たとえば、身体的な特徴に対する侮蔑的な言葉や、低学力に対する軽蔑 の言葉など、教師の言葉による威圧・暴力といってもよいものである。. これら第2段階の関わりは、全て教師の攻撃性が表れている関わりで ある。しかし、不十分といえども子どもには子どもの考えがある。受け 入れられたという実感をもたずに、教師から一方的に働きかけられると すれば、教師への反発が起こるといえる。また、この関係は、教師に対 する親の反発を増大させることもある。. 第3段階の関わりについて見てみよう。これは、一見援助的と思われ るが、援助になっていない関わりである。子どもが援助を求めていると き、すぐに手助けしたり、甘やかしたりする働きかけである。たとえば、. 子どもがどのようにしたら良いかわからないとき、すぐに指示を与えた り教えたりする関わりである。この関わりは、子どもから考える機会を 奪うことになり、独立心や自立心を妨げることにつながる。また、子ど も自身にさせなければならないことを教師が代わりにしてやるという関 わりもある。この関わりは、子どもを依存的にしてしまうことが多い。. 以上、非援助的な関わりを3っに分類して見てきたが、これらの関わ りは、子どもの防衛、萎縮、疎外などを生み、成長を妨げることになる. 一35一.
(39) とともに、人権を無視する関わりにさえなりうるのである。ここで問題 なのは、非援助的な関わりの程度を問題にしたいのではなく、熱心とい う関わりも、実はその本質からすれば、非援助的関わりと大差はないと いうことなのである。このように、非援助的な関わりは、教師と子ども の信頼関係の成立にマイナスの影響を与えているのである。. (2}くり返される非援助的関わり. 非援助的な関わりとはどのようなものが考えられるか見てきた。この. 非援助的関わりは、第1節で述べたように、教育の場において意味がな いだけでなく、マイナスの影響を与えるものである。つまり、信頼関係 の成立を妨げるものである。教師は、援助的関わりの内容や方法がわかっ. ていないために、非援助的関わりをくり返しているのではないかと考え られる。また、適切な解決法を持たず困惑しているため、不適当な方法. で接しているのではないかと考えられる。この点について2つの例をあ げて検討してみる。. まず、援助的関わりがわかっていないために、非援助的な対応をセて いる例として、福岡市立教育研究所「登校拒否児の理解と指導」が参考 になる。登校拒否児に対する教師の誤った見方から生じる指導の一例と. してあげられているものであり、これを表1−3にまとめてみた。 たとえば、 「急性の登校拒否の場合、子供の身体症状が午後になると. 消失したり、医者の診断で異状なしがわかると、教師は「ずる休み」の 疑いを強くもち始める。そして、登校の必要性をくどくど説明したり、 なにがなんでも強引に登校させたり、甘え・わがままだと断定し、厳し く注意する」という記述がある。この関わり方が、すべて誤りだと断定. 一36一.
(40) できないとここでも補足してはいるが、この対応の仕方はいまだに問題 として指撞されることである。教師の関わり方がわかっていないたあに、. このような不適切な封応の仕方がいまだに蔓延し、また、H々くり返さ れることになる。. 表1−3 誤りがちな教師の見方、誤った見方からくる指導(29】. ウ 誤った見方からく;6指導. イ 誤りがちな教師の見方 夕蝉のとき. ここにのべる指導法が、全て誤りだとは. ・ 腹痛、下痢、吐きけ、発熱などの身体 症状を訴えるので、初めの頃は、「病欠」 と判断することが多い。.. 断定できないが、以下問題点としてあげる。. 急性のとき ・ 登校の必要性をくどくど説明する。. ・ 身体症状が、午後になると消失したり. 医者の診断で異常なしが、わかると「ず. ・ なにがなんでも、強引に登校させる。 ・ 甘之、わがままだと断定し、きびしく. る休み」の疑いを強くもち始める。. 注意する。. 亜急性のとき. 亜急性のとき. ・ だらだらした生活に加え、学習への姿 勢を全く示さないので、典型的ななまけ ものになったと思う。. ・ 生活のリズムを、もとにもどすよう、 本人、保護者に指示、特に保護者をこきび しい態度でのぞむよう指示する。. ・ 家庭内暴力やとしこもりがみえ始める と、精神的疾碧、(うつ病、分裂病〉を疑 い始める。. 慢性のとき. ・ 家庭内暴力などがみられると、ただち に精神科受診を指示する。. 塵. ・ 今までの努力が、無駄に思え、家庭訪. ・ 大半の教師が、精神的疾患と確信して. 問や、保護者との面談などが次第に、回 数が減り、皆無に等しい場合もある。. くる。. ・ 登校させることへの努力が、無駄であ ると思い始めろ。. 一一一. R7一. ・ 精神科等への入院をすすめろ。.
(41) 次に、より日常的な学校場面での例を見てみよう。第1節で用いた資 料「学級における『教育相談的機能』に関する研究(その1)一子供に 対する教師の『みかた・接し方』の実態調査を中心に一」、その際使わ れた調査用紙、調査者への聞き取り面接によるものである。. この調査では、教師は、規則・きまりなどの基本的な生活習慣に注目 していること、子どもの性格・生き方よりは表面に現れた「子どもの言 動」そのものにしっけ的な働きを行っていること、その働きかけに対し て子どもは自分の対応を受け入れていると思っていることなどが明らか になった。. ここでもう少し詳しく見ていくと、授業場面、清掃場面、給食場面な ど場面によって多少の幅はあるが、教師は子どもの言動そのものへの対. 応が多い。たとえば、清掃場面では約85%の教師が「気になること」 として、規則・きまりなどに関することをあげている。つまり、時間や 清掃用具の活用があげられ、清掃そのものに教師の目が向けられている。. 学校教育において訓育的な関わりに注目するのは当然としても、問題 であるのは、教師の「気になること」が規則・きまりなどしつけのこと であり、「子どもの言動」そのものにのみ対応しているというのである。. 子どもの言動だけに注目し、その背後にある子どもの心情や状況を考慮 することなく指導してしまうと考えられるのではないだろうか。 では、次に、この教師の働きかけに対する子どもの受け取り方につい ての検討を行ってみよう。なお、参考とした資料は、前出の「学校にお. ける『教育相談的機能』に関する研究(その2)一教師の指導に対する 子供の『見方・接し方』の実態調査をもとに一」である。. 「教師の対応」についての子どもの受け止め方は、「指導的」32%、. 「攻撃的」28%、「受容的」25%、「拒否的」12%である。. 一3 8一.
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