イ ギ リ ス 労 働 省 刊
イオランダの見習工制度・職業訓練および職業指導
﹁ 海 外 労 動 事 情 ﹂ ( 一 九 六 三 年 三 月 )
國 枝 芳 夫 訳
概観
オランダにおける法制化された見習工制度の最初の形態は︑中世のギルド制度の下につくられた︒しかし︑ギルドは
フランス革命の影響で終息し︑その後︑労働者の組織的訓練のため︑具体的な措置がとられるようになったのは︑一九
一九年の職業教育法(<oo鋤口oコ巴国山9蝉口oづ>oけ)以降のことである︒職業教育法は︑一九二一年の勅令によって︑
法律(い餌妻)になり︑現に︑教育技術科学省(ζ言一磐昌oh国α99︒岳oP>ほω鋤巳ωoδ昌o①)が行政上の責任をもってい
る︒同法は︑技能を要する職業の教育訓練を︑見習工制度とは別個の全日制教育施設で行なうことの重要性を強調し︑
そしてまた︑既存の見習工の訓練制度をその職業教育プログラムと統合することの可能性とその方法を説いたものであ
った︒それはまた︑訓練プログラムの行政および管理の費用の大部分に対する責任を国家がとることを規定している︒
一九三七年の見習工制度助成金法は︑見習工の訓練を実施する組織に対する助成金に関する詳細の基準を定めている︒
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職業指導および青少年の職業紹介
すべてのオランダの子供は︑六才から小学校に通う︒=才になると︑児童および父兄または保護者は︑児童が技術
系または事務系の就職組に進むか︑あるいはまた︑大学教育に備える進学組に進むべきかを決めねばならない︒選択し
た将来の方針に対する彼らの適性を確認するテストが行なわれた後︑彼らは︑その結果適性があると認められた将来の
職業に応じた学校に入る︒しかし︑この段階では︑まだ︑国の職業指導官による指導は行なわれない︒例えば︑カソリ
ックおよびプロテスタント両派の宗教学校に通う児童たちは︑特別の方法で指導をうけることもできる︒普通の学校に
通う児童は︑政府の職業指導官に相談するよう薦められる︒
労働省は︑約八六の地方事務所(職業紹介所)をもつ︒地方事務所には求職青少年の就職斡旋および一般職業指導を
取り扱う課が設けられている︒児童の職業選択の問題に関しては︑この課の担当官が在学中の児童の父兄や小学校︑高
等小学校の職員と相談することになっている︒地方事務所はまた︑青少年の就職斡旋後も特に困難な問題が発生したよ
うな場合にはそのアフターケアーも行なう︒現在︑地方事務所の青少年課に配属された青少年職業担当官は一二五名い
る︒
この一般職業指導サーヴィスの他に︑別に職業指導(〜NOO餌什一〇b鋤一〇・口圃α餌bbΦωΦ目く一〇Φ)があり︑ここの職員には専門
の職業指導カウンセラi(〜NOO餌什一〇b箇一(}⊆一α曽b﹁O①(OOG﹂]ω①一一〇同)がおかれている︒彼らは︑多くの場合︑熟練した心理学
者である︒この機関には︑一人のカウンセラーが︑いくつかの地方事務所のカウンセリングを受け持つという形で地方
事務所に協力している︒職業指導カウンセラーは約九〇人おりー内一五名は非常勤‑約三〇の大きな地方事務所に
所属している︒職業指導カウンセラーは能力検査や適性検査︑また︑詳細に亘る心理テストを利用する︒必要の場合は︑
当該児童は︑さらに精密な検査のために︑心理学研究施設に送られる︒求職登録中で︑現在青少年職業安定官が取り扱
っている青少年は︑本人が希望すれば︑職業指導カウンセラーの心理テストをうけることができる︒この心理テストは︑
青少年のみでなく︑成人もうけられるが収入額に応じていくらかの検査料が課せられる︒これ以外の機関としては︑中
央委員会(()ΦbhH鋤一(QObρbρ一什けΦΦ)が宗教団体による職業指導と国の青少年職業安定機関のそれぞれの一般職業指導業務
の調整を行なう機関で︑全国諮問委員会は専門職である職業指導カウンセラーの活動を統括する機関である︒しかし︑
現在︑宗教団体は︑この部分には携わっていない︒
一般職業指導分野における宗教団体の活動は︑国から補助金をうけている︒同団体は︑また︑その与えた助言に対し
ては︑少額の手数料を徴収する︒
技術訓練学校
小学校を卒業した児童は︑木工︑冶金︑塗装︑石工︑左官︑型工︑仕立職︑製靴︑印刷︑織物︑製パン︑製菓︑肉屋
などの職業のニカ年の訓練課程をうけるため︑下級技術学校(昼間コース)に入ることができる︒与えられる訓練は︑
理論および実際で︑両者の割合は約半々である︒理論的学科は︑それぞれの職種または職業の歴史︑製図︑オランダ語︑
算術ならびに初等数学および物理学を含む︒この外︑電気工︑モーター機械工などの職種を教える後期初等技術学校
(昼間コース)がある︒農業および園芸はオランダ経済では重要な地位を占め︑初等︑中等および専門の農業ならびに
園芸の各学校が多数あり︑これらの分野で就職を希望する青少年のための訓練を施している︒
見習工制度
国としての見習工制度は︑団体協約で規定され強制化されている産業部門もあるが︑これは寧ろ例外であって︑
分は任意制がとられ︑一九一九年の職業教育法および付属の諸法令によって規制されている︒ 大部
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見習工の訓練はその大部分が産業かまた職業別の約三〇の業種団体別に組織され︑更に労使の代表が参加しているい
くつかの﹁財団﹂(ω什一〇ケ什一b.σq①b﹁)によって統合されている︒財団は︑各産業︑職種または職業の詳細な訓練プログラム
を︑法律︑規制および団体協約の関係条項の枠内でつくる︒ついで︑これらのプログラムは教育技術科学省に提出して︑
認可をうける︒一九一九年の職業教育法および一九三七年の見習工制度補助金法に基づいて︑現在︑国は︑認可した訓
練計画の行政および管理の総経費について責任をもつ︒すべての訓練プログラムの認可をうけるためには︑当該財団は︑
訓練を監督し︑見習工制度規約の適正な履行を保証するに足る十分な見習工制度コントローラi("コンサルタント")
陣を任命せねばならない︒見習工制度コントローラーの任命には︑教育技術科学省の承認が必要である︒
教育技術科学省は︑訓練の終りに最終検定を行なう検定委員会委貝を任命し︑且つ合格した見習工に授与する合格証
書の書式を指示する︒見習工制度に関する法律および規則の施行の外に︑同省は︑また︑各種訓練プログラムの調整や︑
職場訓練並びに制度的訓練の全般的な監督の責任をもつ︒その責任者は総技術教育長官で王が任命する︒前記の見習工
コントローラーは︑官吏であるこれら監督官と緊密に協同して仕事をする︒
国の補助金を支給されることによって﹁財団﹂は︑所定の法定諸条項を遵守する義務を負う︒それらには︑年次収支
決算︑前年度訓練活動に関する報告および次年度収支予算に︑次年度事業計画に関する協定案︑訓練に関する規則並び
にコントローラi指導要綱各写しおよび見習工手帳の原案(各技能習得者が所持記入する訓練記録)を添付して︑教育
技術科学省に提出し︑その認可を得ることが含まれる︒
見習工制度は︑法規によって熟練を要する職種と認められている職種についてのみ実施することができる︒これらの
法規は︑労使を代表する各組織およびその他の関係団体に諮問した後︑教育技術科学省によって定められる︒それらに
含まれないその他の職業︑例えば︑理髪においては︑国の補助金をうけないで行なわれる見習工制度がみられることが
ある︒同様な制度は他のいくつかの手作業職にもある︒
イ ギ リス労 働 省 刊 「 海 外 労 働 事 情 」(1963年3月)
事業所が見習工を受け入れて訓練するためには︑それらの見習工に︑その職業にふさわしい効果的な訓練を施すに十
分な施設をせねばならない︒そしてなおその事業所は︑見習工が︑関連学科の補助課程を修めるため容易に通い得る教
育施設に近距離のところになければならない︒
一五才に達し︑初等教育を終了し︑学校に通っていない少年は見習工制度に編入されることができる︒しかし︑実際
には︑見習工制度は︑年令一二才三カ月に達し︑さらに下級技術学校︑または特別職業学校で一年間勉強してから始め
られるのが多い︒これらの学校の主な目的は︑仕事と職業生活への入門として役立てることにあって︑特定の職種また
は職業に対する習熟を目標にしていない︒これらの学校が重要視されるのは︑職業学校の課程を終了したものが見習工
期間の一年短縮が認められるからである︒一般に︑見習工期間は︑職業学校課程を完了した見習工の場合は二年︑その
他は三年である︒ある職種︑例えば︑鋳物および造船においては︑見習工期間は四年間続く︑見習工期間は︑標準的に
は︑三カ月の試用期間を含んでいる︒見習工制度は︑財団の代表の前で雇主と見習工の父兄または保護者の問に取り交
わされる書面契約に基づくものであり︑そして︑職業教育条例の定める方式‑見習工である期間および試用期間︑訓
練が施されるべき職業および従うべき方針計画︑職業学校の通学︑契約当事者の義務および契約違反した場合の罰則規
定などに関する詳細の事項を含むーにかなったものでなければならない︒
見習工に支払われる賃金は︑産業毎に異なり︑特定の団体協約に基づいて決定され︑団体協約のない場合は︑雇主と
見習工の代表ー場合によっては父兄もしくは保護者ーの間の相互契約によって定められる︒各見習工は︑事情が許
さない場合は別として︑普通はそれぞれの財団の理事会に少額の年払納付金(鋤bhP¢鋤一貼ΦΦ)を払わねばならない︒その
納付金は︑見習工第一年約一六シリングから︑三年制見習工の第三年約三ニシリングまで区区であるが︑同納付金は︑
前記理事会によって︑見習工の親方に見習工の使用した材料費およびその他の雑費に対する補償として︑場合によって
は更に補助金を加えて支払われる︒