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出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

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(1)

Kyushu University Institutional Repository

炭素繊維補強格子筋を用いたポリマーセメントモル タル吹付け工法によるRC部材の補強効果

郭, 瑞

https://doi.org/10.15017/1807007

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

STRENGTHENING EFFECT ON RC MEMBERS RETROFITTED BY CFRP GRID WITH

PCM SHOTCRETE METHOD

炭素繊維補強格子筋を用いた

ポリマーセメントモルタル吹付け工法による RC 部材の補強効果

GUO RUI

郭 瑞

(3)

- 1 -

目次

第 1 章 序論 ... 1

1.1 背景 ... 1

1.1.1 連続繊維補強材について ... 1

1.1.2 RC 部材の補強工法 ... 4

1.1.3 目的 ... 5

1.2 論文の構成 ... 7

第 2 章 炭素繊維補強材を用いたポリマーセメントモルタル吹付け工法による RC 部材の補修・補強工法 ... 9

2.1 はじめに ... 9

2.2 PCM 吹付け工法の開発経緯 ... 9

2.2.1 PCM の特徴 ... 9

2.2.2 PCM 巻立て工法 ... 10

2.2.3 PCM 吹付け工法 ... 11

2.3 炭素繊維補強材の特徴 ... 13

2.3.1 静的特性 ... 13

2.3.2 動的特性 ... 16

2.3.3 その他の物理的,化学的特性 ... 18

2.4 CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法 ... 21

2.5 まとめ ... 24

第 3 章 RC 部材に対する付着特性および必要格点数 ... 25

3.1 はじめに ... 25

3.2 PCM ブロックにグリッドを埋設した場合の付着特性についての既往研究 ... 25

3.2.1 PCM ブロック型付着強度試験の概要 ... 25

3.2.2 PCM ブロックに埋設した CFRP グリッドの付着特性 ... 26

3.3 CFRP グリッドを RC 部材に接触配置し PCM で増厚した付着試験の概要 27 3.4 固定用鋼管スリーブおよび膨張材 ... 37

3.5 付着試験の実施方法 ... 39

3.6 FEM 解析法の概要 ... 40

3.7 CFRP グリッドの付着試験の検討 ... 43

3.7.1 結果一覧および破壊状況 ... 43

3.7.2 変形性状 ... 47

3.7.3 応力伝達機構および必要格点数 ... 49

3.8 まとめ ... 53

(4)

- 2 -

第 4 章 RC はりに対するせん断補強効果 ... 54

4.1 はじめに ... 54

4.2 CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法による RC はりの試験概要 ... 55

4.2.1 CFRP グリッドを用いる補強範囲の検討 ... 55

4.2.2 CFRP グリッドを用いる補強量の検討 ... 57

4.2.3 試験体作製手順 ... 59

4.2.4 試験体の計測項目および試験方法 ... 60

4.2.5 FEM 解析法の概要 ... 63

4.3 せん断補強効果の検討 ... 65

4.3.1 変形性状 ... 65

4.3.2 補強筋のせん断抵抗状況 ... 70

4.3.3 ひび割れ性状および破壊状況 ... 76

4.4 まとめ ... 84

第 5 章 CFRP グリッドの有効ひずみと RC はりのせん断耐力の評価 ... 85

5.1 はじめに ... 85

5.2 ロッドの有効ひずみに基づくせん断耐力の評価 ... 85

5.3 CFRP グリッドに対する有効ひずみおよびせん断耐力の評価 ... 89

5.3.1 縦 方 向 の み CFRP グ リ ッ ド を 考 慮 し た 有 効 ひ ず み 式 お よ び せん断耐力の評価 ... 89

5.3.2 縦 ・ 横 両 方 向 CFRP グ リ ッ ド を 考 慮 し た 有 効 ひ ず み 式 お よ び せん断耐力の評価 ... 91

5.4 CFRP グリッドの有効ひずみ式の検証 ... 93

5.4.1 試験概要 ... 93

5.4.2 解析概要 ... 95

5.4.3 結果および考察 ... 98

5.4.4 各方向のグリッド筋の分担比率の検討 ... 100

5.5 まとめ ... 107

第 6 章 結論 ... 108

6.1 本研究の成果 ... 108

6.2 今後の課題 ... 111

参考文献 ... 112

謝辞 ... 114

(5)

- 1 -

第 1 章 序論

1.1 背景

1.1.1 連続繊維補強材について

「土木」における材料は,その名のとおり古くは土と木であった。橋梁には,

木や石が使われていた。18 世紀後半にイギリスから始まった産業革命以降,鉄 やコンクリートが安価に入手できるようになると,耐久性や強度に優れた特性 を生かして,それらが木と石に代わって橋梁のための材料となった。19 世紀に なると,化学合成が盛んになりスチレンやメタクリル酸メチルなど,現在プラス チックとして利用されている高分子の原料が合成され始めた。

1900 年初頭には Bakeland

1

によるフェノール樹脂(PF)が開発され。その後,

ポリアミド(PA:ナイロン)やアクリル樹脂(PMMA),などのプラスチック が登場した。一方,本研究で対象としている繊維と不飽和ポリエステル樹脂から なる繊維強化ポリマー(以下, FRP (Fiber Reinforced Polymer) )の製品が 1940 年 代後半に登場すると,その重要性が増し,その利用範囲も船舶,宇宙・航空機,

機械,交通機器,電気通信機器,建築・土木,スポーツ機器,生活用品と広範囲 に及び,各分野で常に先端技術として活躍している。表-1.1.1

2

に複合材料の 歴史を示す。 FRP は,異なる性質を持つ複数の材料の人工的な組み合わせによっ て造られる複合材料の 1 つで,単一材料で得ることのできない新たな機能を持 つ複合材料である。複合材料には,金属を母材とする金属系複合材料,セラミッ クスを母材とする無機系複合材料,プラスチックを母材とする有機系複合材料 に大別でき,FRP は有機系複合材料の分類に属する。FRP の種類は主にガラス 繊維強化ポリマー(以下,GFRP),炭素繊維強化ポリマー(以下, CFRP),ア ラミド繊維強化ポリマー(以下,AFRP)があり,その種類によって物理・化学 的性質が異なる。

表-1.1.1 樹脂,繊維,複合材料開発の歴史

2)

年 複合材料 強化繊維,樹脂

1909 フェノール複合材料 1928 ユリア複合材料

1936 ガラス長繊維

1937 不飽和ポリエステル樹脂

1938 メラミン複合材料 bis-A EPを無水物化,アミンで硬化 1942 ガラス繊維強化UP

1946 エポキシ複合材料 ポリエステル(PET)繊維 1946 ガラス繊維強化ナイロン

1951 ガラス繊維強化ポリスチレン

1959 ボロン繊維

1962 PAN系炭素繊維

1963 ピッチ系炭素繊維

1964 炭素繊維強化プラスチック 1965 ボロン繊維強化プラスチック

1966 メタ系アラミド繊維

~1967 ビニルエステル樹脂

1969 炭素繊維/ガラス繊維ハイブリッド複合材 1972 アラミド繊維強化複合材

1998 PBO繊維商業生産

(6)

- 2 -

現在,FRP は需要が伸び,その適用分野も多岐にわたっている。日米の FRP 年間出荷量の推移を図-1.1.1

2

に,また,米国における FRP の用途分類と用途 の詳細を表-1.1.2

2

に,2002 年度の米国における FRP の用途先内訳を図-

1.1.2

2

に示す。これらの図から,米国では住宅機材,工業機材,タンク・容器 としての需要が多いことがわかる。しかし,近年では自動車関連の用途の伸びが 特に著しく, FRP の優れた軽量性を生かす分野での需要が急増している。航空・

宇宙や船艇・船舶,鉄道車両の分野において軽量かつ高強度である FRP を用い ることで構造体の強度を保持しつつ,軽量化による燃費改善が期待できる。

また,FRP は極めて高い耐食性を有しており,FRP を橋梁の主要部材に導入 した際には,鋼橋やコンクリート橋よりも遥かに寿命が長く,維持管理も容易な 橋梁を実現できる材料として期待されている。また, FRP の比強度が高く, FRP 橋梁が従来材料の橋梁に比べて軽量となることは,架設を容易にするだけでな く,軟弱地盤にも適応できるとともに,地震国である我が国においては,構造物 に対する被害の軽減にも効果的である。

図-1.1.1 日米の FRP 年間出荷量の推移

2)

図-1.1.2 米国における FRP 用途先内訳

2)

日米FRP年間出荷量の推移

0 40 80 120 160 200

1960 1970 1980 1990 2000

年度

総出荷量(万トン)

米国

日本

米国のFRP用途(2002年) 1% 6%

20%

7%

12%

10%

10%

31%

3% 航空機/宇宙/軍事

器機/設備/商品器機 建設/土木

玩具/スポーツ用品 耐食性機器 電気電子機器 舟艇/船舶 自動車 その他

(7)

- 3 -

表-1.1.2 米国における FRP の用途分類と用途の詳細

2)

用途分類 用途の詳細

航空機・宇宙・軍事 商業用航空機,新型航空機,軍用機 器械・設備・商用機器 住宅設備,商用設備,商用機器

建設 住宅・建築物の部材,プール,コンクリート型枠,

道路標識,グレーチング,橋梁二次部材・付属設備 玩具・スポーツ 玩具,自転車,釣り竿,スキー板,ゴルフクラブ 耐食性機器 耐食性パイプ,その取り付け具

電気電子機器 ロッド,チューブ,成形部品,電磁波アンテナ 舟艇・船舶 プレジャーボート,一般船舶,船舶関連設備,

港湾桟橋

自動車 車外付属品,車内付属品

その他 商業用機械,収納家屋,医療器具

しかし, FRP を橋梁の主要部材に導入する際の最大の課題は,材料コストの高 さである。後述する我が国最初の沖縄 FRP 歩道橋では,架設コストは低減され たものの,材料コストが工費を大きく押し上げ,同規模の鋼歩道橋をかなり上ま わる総工費となっている。さらに設計手法にも, FRP 橋梁特有の課題がある。鋼 材やコンクリートにはみられない材料設計自由度の高さや,異方性および塑性 領域のない応力ひずみ特性などに対応するには,既存の材料を用いた従来の設 計方法とは異なる新たな設計方法を確立しなければならない。構造設計を容易 にするには,材料仕様の規格化や設計手法のマニュアル化も不可欠である。

したがって,インフラ用構造材料として期待されている FRP のなかでも先端

的な CFRP に使用される炭素繊維の多くを生産する日本が,米国による特許や

規格・基準類の独占を容認することは,国益を大いに損なうことにつながる可能

性がある。 FRP のインフラへの活用研究分野における米国の研究者の層が,日本

に比べると遥かに厚いことも,そのような事態を危惧する理由となっている。さ

らに,そのような研究開発面での優位性は, FRP 橋梁の実用化でも,米国が日本

に大きく水をあける結果となって現れている。日本では, 2000 年に初めて沖縄

FRP 歩道橋が実橋として建設されたのに対し,米国では,歩道橋のみならず,道

路橋についても多くの適用例が既にあり,上述の材料コストや設計手法の確立

に関する課題にも取り組んでいる。

(8)

- 4 -

1.1.2 RC 部材の補強工法

現在まで,土木分野において FRP が用いられている事例としては,強化繊維をシー ト状および格子状に加工して,樹脂含浸およびポリマーセメントモルタル(以下,PCM)

で吹付けながら対象構造物へ接着するといった,連続繊維シート(以下,FRP シート)

による RC 部材の補修補強の分野や,合成床版の GFRP グレーチング,GFRP 桁増 設による床版補強,歩道橋の主部材としての幾つかの施工実績が挙げられる。連続 繊維シートは,高い施工性を有するほか,要求される補強効果を満足し,その設 計方法も比較的簡便である。

また,わが国の橋梁は,戦後本格的な整備が始まり,高度経済成長期に大量の 橋梁が建設された。21 世紀に入り,これら資産の老朽化の進行が維持管理にお ける重要な問題となることが懸念されている。また,今後の少子高齢化による財 政構造の変化から,維持更新に対する財源が一層厳しくなると予想される。さら に国民のニーズ多様化に応えて行く必要があり,既本施設の有効活用が重要な 課題となる。

国土交通省,市町村に対し平成 26 年度以降は対症療法的な修繕・架替え費の みが補助の対象となる。そして平成 25 年度末までの時限措置として長寿命化修 繕計画の策定を補助の対象とした(県,政令指定都市は平成 23 年度末まで)。

長寿命化修繕計画策定事業の補助対象は橋梁 15m 以上かつ重要なネットワー ク上にある橋梁であるが,長寿命化修繕計画の策定は 2m 以上の全橋梁が対象と なる。それに基づき平成 26 年以降の修繕・架替え事業の補助対象は,長寿命化 修繕計画を策定した橋梁で 1 路線あたりの全体事業費が一定の金額以上のもの と決められている。その事業の採択にあたっては,道路局所管補助事業採択基準 があり,道路改築事業(地方道)や災害防除事業として明確化される。そのため,

多くの市町村ではこれまで橋梁点検が実施されていない中で,早急な長寿命化 修繕計画の策定を行わざるを得ない状況であり,待ったなしの状態に立たされ ている。また,加えて橋梁の維持管理担当者は,耐久性保持・向上のための維持 費,耐震性能向上のため,防災費,活荷重増大や拡幅のための改築費と同じ橋梁 の維持管理であっても,その主旨によって予算が分けられるため,それぞれにつ いて対応を考えなければいけない問題を抱えている。

特に,性能の陳腐化・老朽化が進み,補修・補強が急がれる場所として,海岸 の河口近傍で潮の干潮のため十分な施工時間が取れない河川橋の床版や,工事 による交通規制時間が多く取れない都市高速道路や主要幹線道路が挙げられる。

従来の補強工法としては,RC 巻立て工法,鋼板巻立て工法,FRP シート接着工 法および PCM 吹付け工法が用いられてきた。そこで,これら 4 つの工法の特徴 について以下に記す。

(1) RC 巻立て工法

RC 巻立て工法は既設橋脚の段落とし部周囲を RC で巻立てる工法である。所

定量の補強鉄筋を段落とし部の定着が可能な範囲で設置し,十分な表面処理を

(9)

- 5 -

行った後に,コンクリート打設を行う。他の工法に比べ経済的であるが,最小

250mm 程度の巻立て厚を必要とするため,建築限界や,河積阻害率の増大の問

題から適用不可な場合があり,自重の増加から橋脚基礎に対して不利となる。ま た,施工性・景観性を考慮し,橋脚全体を巻立てる場合が多い工法である。

(2) 鋼板巻立て工法

鋼板巻立て工法は既設表面を鋼板で巻立て,その間隙を充填材で密実させる工 法である。所定量の補強鋼板を段落とし部の定着が可能な範囲で設置し,十分な 表面処理を行った後に,充填材注入を行う。RC 巻立て工法に比べ,鋼板の薄巻 きによる補強のため,建築限界や河阻害率の影響を受けにくい工法であるが,工 場製作された鋼板の設置に大型重機を必要とするため,狭小な場所では施工の 制約を受けやすい工法である。維持管理面においても鋼板の防食対策が必要で ある。

(3) PCM 吹付け工法

RC 構造物の PCM 吹付け補修・補強協会(以下,吹付け協会)は,従来工法 に比べ,設計条件や施工空間の影響を受けにくく,施工速度に優れた「特殊 PCM 吹付けによる巻立て橋脚耐震補強工法」(SRS 工法)を平成 18 年に九州大学と 共同で開発した

3)

。同工法は,既に「吹付床版下面増厚工法(NETIS 登録:KK-

980085-A)として施工実績のある「特殊 PCM 吹付け工法」を橋脚の耐震補強に

適用したものである。同工法は吹付け用の特殊 PCM を用いた橋脚の巻立て工法 であり,従来のコテ塗り工法よりも短時間で広範囲の安定した施工が可能であ り,施工速度が速いため経済性に優れる。また,重機を必要とせず狭小な場所で も施工可能な工法である。

1.1.3 目的

(1),(2)の問題解決および(3)の利点に着目し,既設 RC 橋脚に炭素繊維 強化プラスチック格子筋(以下, CFRP グリッド)を接触配置し, PCM を吹付け 一体化する耐震補強工法を提案した

4), 5)

。これまでに九州大学と RC 構造物のポ リマーセメントモルタル吹付け補修・補強工法協会では, CFRP グリッドを用い た PCM 吹付けによる既設 RC 橋脚の耐震補強工法を提案し,本工法による曲 げ,せん断およびじん性補強効果確認するため, CFRP グリッドを 1 層補強した 場合の補強部界面の付着特性や必要定着長およびグリッドで補強したはり部材 の補強効果については検討している

6) , 7) , 8)

。しかし,搬入口が狭隘である場合,

剛性が高くグリッドを曲げて搬入することが困難な場合があり,断面積の小さ い CFRP グリッドを 2 層接触配置した場合の補強効果について検討する必要が ある。また,本工法は既設コンクリートに CFRP グリッドを接触配置した PCM 増厚量が 10mm 程度と従来工法に比べて薄層であるため,実構造物を模擬して 補強部界面の必要定着長や応力伝達機構を検討する必要がある。

そこで, CFRP グリッドの付着特性を明確にすることを目的として, CFRP グ

(10)

- 6 -

リッドを 2 層接触配置し,無限縁かぶりを有する試験体での必要定着長,CFRP グリッドを既設コンクリートに接触配置し,実構造物を模擬した試験体での必 要定着長や応力伝達機構および CFRP グリッドの表面付着力の検討を行った。

一方, 水門や樋門などの河川構造物は,レベル 2 地震動対応の耐震性を有す ることが求められ,既存の河川構造物はほとんどでその対策が必要になってい る。現段階での河川構造物に対する耐震補強は,対象となる柱や壁部に補強筋と して鉄筋を配置し,コンクリートおよびモルタル等を用いて増圧する工法が一 般的である。しかし,その際以下の問題が生じる恐れがある。

従来のせん断補強工法 CFRP を用いた PCM 吹付け工法 図-1.1.3 工法比較図

① ハンチ部を削孔した後,補強鉄筋を挿入するのでハンチ筋を切断する。

② 常時水の影響を受けるので,鉄筋が腐食する。

③ 部材断面が著しく増加し(補強厚 250mm),樋門の取水,排水などの機能の 問題となる。

そこで,従来の鉄筋に替えて,耐腐食性である CFRP グリッドとコンクリート に比べて耐久性の高い PCM 吹付けによる補強工法を開発してきた。本工法は,

既設コンクリート表面に CFRP グリッドを接触配置させ PCM を吹付けて一体化 するもので,隔壁のせん断補強に適用する場合, 図-1.1.3 に示すようにハンチ を削孔せずに接触配置でき,増厚量も薄くでき,さらに CFRP による耐腐食性の 向上などのメリットを有する。そこで本研究では, 3 系列の試験により行った。

シリーズ A では,せん断補強効果を検討するために, CFRP グリッドの定着方法 を,ウェブのみを補強領域とした同一平面内の定着とウェブおよびハンチを補

250mm 10~20m

m

②,③

(11)

- 7 -

強領域とした面外定着の 2 通りとし比較検討を行った。一方,シリーズ B およ びシリーズ C では,CFRP グリッドの格子間隔を一定とし,CFRP グリッドの断 面積の変化による補強量の違いによるせん断補強効果について検討した。

また, CFRP グリッドがせん断力に抵抗する際に生じる応力(ひずみ)の限界 値の評価が重要である。一般に,補強用 CFRP が巻き立てられた棒部材のせん断 耐力は,せん断補強用 CFRP の引張強度を用いてトラス理論から算定した値よ り小さくなる。これは CFRP が降伏現象を示さないため,せん断補強用 CFRP に 生じる引張応力度が一様な分布とならないことや,コンクリートのせん断ひび 割れ近傍での補強用 CFRP の剥離の影響や,破壊モードの影響を受けることに よる

8)

。さらに,現行の補強用 CFRP としてせん断耐力の算定法では,土木学会 の補修補強指針

9)

および設計・施工指針

10)

によるせん断補強効率やロッドの有 効ひずみの考え方に基づいてせん断耐力を算出されている。したがって,面的な 補強効果が期待できる CFRP グリッドのせん断補強効果の評価法については確 立されていないのが現状である。

そこで, CFRP グリッドによるせん断補強効果を検討するために,シリーズ B と同様に樋門構造物(函体)を切り出したせん断破壊先行型の RC はりを作製 し,試験体のウェブおよびハンチに添わせるよう成型した同一平面形状ではな い CFRP グリッドを配置し,PCM にて吹付けを施し載荷試験を実施した。さら に,縦・横両方向の CFRP グリッドの有効ひずみおよび CFRP グリッドによるせ ん断耐力の評価手法を明らかにするために, CFRP グリッドの補強量および配置 間隔をパラメータとして検討した。

1.2 論文の構成

図-1.1.4 に本論文のフロー図を示す。

第 1 章は「序論」と題し,FRP の現状や背景目的について述べている。

第 2 章は「炭素繊維補強材を用いたポリマーセメントモルタル吹付け工法に よる RC 部材の補修・補強工法」と題し, PCM 吹付け工法開発までの経緯や PCM の特性,炭素繊維補強材の一般的特性や特徴,成形法などを述べて, CFRP が土 木構造材料として大きなメリットを有していることを示す。

第 3 章は「RC 部材に対する付着特性および必要格点数」と題し,CFRP グリ ッドを RC 部材に接触配置し PCM で増厚した場合の補強部界面の応力伝達機構 について述べている。

第 4 章は「RC はりに対するせん断補強効果」と題し,本補強工法を適用する ことを想定して,CFRP グリッドの補強範囲や補強量をパラメータとし,RC は りのせん断補強効果について述べている。

第 5 章は「 CFRP グリッドの有効ひずみと RC はりのせん断耐力の評価」と題

し,本補強工法を適用することを想定して, CFRP グリッドの補強量および配置

(12)

- 8 -

間隔をパラメータとし, RC はりのせん断補強効果および CFRP グリッドの有効 ひずみを考慮した RC はりのせん断耐力の評価手法について述べている。

第 6 章は「結論」と題し,本研究で得られた成果を総括するとともに,研究課 題について言及している。

図-1.1.4 本論文フロー図 第 6 章 結論

第 5 章 CFRP グリッドの有効ひずみ と RC はりのせん断耐力の評価

第 4 章 RC はりに対する せん断補強効果 第 3 章 RC 部材に対する

付着特性および必要格点数

第 2 章 炭素繊維補強材を用いた ポリマーセメントモルタル吹付け工法による

RC 部材の補修・補強工法

第 1 章 序論

(13)

- 9 -

第 2 章 炭素繊維補強材を用いたポリマーセメントモルタル吹付け 工法による RC 部材の補修・補強工法

2.1 はじめに

前章で述べたように FRP は強化材とマトリックスからなる複合材料であり,

異なる材料の組み合わせにより新たな機能を発揮する材料である。本章では,ポ リマーセメントモルタル(PCM)吹付け工法の開発までの経緯について述べる。次 に研究で対象としている炭素繊維補強材(CFRP)の特性,適用事例,および現状 について述べる。

2.2 PCM 吹付け工法の開発経緯

2.2.1 PCM の特徴

ポリマーセメントモルタル

11)

(PCM)とは,ポリマー混和剤を混和したモルタ ルのことで,ポリマーセメントモルタル(Polymer-modified mortar または Polymer-

cement mortar)と称される。また,略称として PMM または PCM と称される。

PCM の製造に当たっては,通常の AE 剤や減水剤のような混和剤よりもかな り多量(セメントに対して 5%以上、ただし水溶性ポリマーでは 3%以下)のポリ マー混和剤が使用される。

ポリマー混和剤は,水溶性ポリマーデイスパージョン(polymer dispersion),再 乳化形粉末樹脂(Re-dispersible polymer powder),水溶性ポリマー(Water-soluble

polymer)および液状ポリマー(Liquid polymer)の 4 種類がある。

AE 剤や減水剤などの化学混和剤の多くは, コンクリートおよびモルタルがフ レッシュであるときに作用し,それらの性質を改善するが,硬化後においては、

混和剤自体が著しい効果を及ぼすことはほとんどない。それに対し,ポリマー混 和剤を用いたポリマーセメントコンクリートおよびモルタルでは,結合材がセ メント水和物とポリマーの 2 成分からなる co-matrix 相であるという特徴がある。

ポリマーセメントコンクリートおよびモルタルの製造に当たっては,前述した とおり,かなり多量のポリマーが混和され,フレッシュ時と硬化時で各種の効果 を与えることになる。これより,セメントの水和とポリマーフイルムの形成が同 時に進行し,ポリマーの網状構造を含む一体化した co-matrix 相を形成すること が重要である。

ポリマーセメントモルタルは,以下の特長を有している。

 ワーカビリティーが良好で,所定のコンシステンシー(スランプやフロー)

を得るのに要する水セメント比が,ポリマーセメント比の増加に伴い低減で

(14)

- 10 -

きる。これより,高強度の発現と乾燥収縮の低減にも寄与できる。

 適度の空気連行性があることより,コンシステンシーの向上と凍結融解抵抗 性の改善効果がある。

 保水性が向上する。

 ブリーディングが少なく材料分離抵抗性が優れる。

 長期の水中養生をしなくても強度発現に優れる。特に引張および曲げ強度が 大きく,伸び能力も増大する。さらに,養生中も保水性が良好なため,長期 間セメントの水和が進行し,長期強度の増加が著しい。

 ポリマーフイルムの形成により水密・気密性がある組織構造となるため,吸 水および透水に対する抵抗性が向上する。また,大気中の二酸化炭素による 中性化に対する抵抗性と塩化物イオン浸透に対する抵抗性も優れるため,鉄 筋の防錆上からも有利である。

 コンクリートやモルタルだけでなく石材,鋼材,タイルなどの各種材料に良 く接着する。

 減水効果,長期間の保水性および強度増進などの複合効果が見られ,乾燥収 縮やクリープが低減される場合が多い。

 耐衝撃性および耐摩耗性に優れている。

 形成される水密性組織のため,弱酸,アルカリ,塩類,ポリマーの種類を選 べば油類に対する化学抵抗性が改善される。

 ポリマーの種類とポリマーセメント比を選択すれば,良好な難燃性を有する。

2.2.2 PCM 巻立て工法

RC 巻立て工法は既設橋脚のコンクリート面を表面処理し,その周囲を RC で 巻立て,新旧コンクリートの付着を確保するもので,巻立てる RC 部材と既設橋 脚が一体となって挙動する工法である。他の工法に比べて経済的で将来的な維 持管理の面からも有利であるが,施工上 250mm 程度以上の断面増加が必要とな り,既設橋梁の建築限界,河積阻害率の面などから採用できない場合がある。ま た,巻立てコンクリートの自重による慣性力が増加するため,橋脚基礎に対して は他の工法に比べて不利となる。

これらの問題を解決するため,PCM を用いて巻立て厚を低減させる工法が開 発され施工実績を上げている。この工法は既設橋脚表面に補強筋を接触設置し,

鉄筋かぶりを確保するまで PCM を塗り込んで既設橋脚と一体化するもので,断

面増加量を RC 巻立て工法の約 1/5 に抑えることが可能である。補強筋としては

鉄筋のほかに炭素繊維シートや炭素繊維グリッド等の繊維材料などが用いられ

る。これらの繊維材料は軽量で高強度であるため,補強後の躯体形状や自重に与

える影響が少ない。また,施工に重機を必要としないため,少人数で短期間に施

工が出来る。さらに複雑な構造物形状にも柔軟に対応でき,含浸接着剤による防

水効果も期待できるなどのメリットがある。

(15)

- 11 -

図-2.2.1 に PCM 巻立て工法による既設 RC 橋脚段落し部の補強例を示す。

既設 RC 橋脚に水平力が働き,同図に赤で示す基部許容耐力限界曲げモーメント が働いた際,青で示すような既設橋脚の曲げ耐力が不足する場合がある。本工法 では,補強が必要な部分と鉄筋の定着長のみの巻立てを行えばよいため経済的 な工法といえる。

図-2.2.1 PCM 巻立て工法による既設 RC 橋脚段落し部の補強例

2.2.3 PCM 吹付け工法

従来の PCM 巻立て工法としては,人力による直接塗り込む左官工法がある。

しかし,この工法は一度に施工出来る範囲が狭く,また,上面や側面の施工が難 しく,塗り込み作業に多くの時間を要すため工事の長期化を招きやすい。更に,

練り混ぜを一度に行えないため,品質を均一化させる事が難しく PCM の充填性 能も作業者の技量に依存する等の問題点がある。

そこで PCM 巻立て工法に替わり PCM 吹付け工法が開発された。 PCM 吹付け 工法とはモルタルミキサーによって練混ぜられた PCM をポンプにて圧送し,ホ ース先端に取付けられた吹付けガンによって高圧力のエアーと混合し吹付ける 工法である。この工法によって作業効率の向上と品質の均一化を図っている。

本工法の施工手順は橋脚型模型試験体を例として図-2.2.2 に示す。まず,既 設橋脚表面をバキュームブラストにより油脂などの汚れを取除き,健全なコン クリート表面を粗面にする事により, PCM との付着性能を向上させる。そして,

補強軸鉄筋,補強帯鉄筋の順に補強筋を設置し,補強帯鉄筋をフレア溶接により

固定する。その後,既設コンクリートと PCM の付着力を向上させる目的でプラ

イマーを塗布し,コンクリート表面が乾燥するまで養生する。最後に,PCM を

練り混ぜポンプ圧送により PCM を吹付ける。吹付け作業は付着向上や,剥落防

止のため, PCM を 2 層に分けて吹付ける。まず, 1 層目は補強帯鉄筋が隠れる

まで吹付け,表面の凹凸を平滑にするためコテでおさえ 1 時間程度養生する。

(16)

- 12 -

その後,2 層目を吹付け表面の凹凸をコテにより仕上げて完了である。

(a) 表面処理 (f) PCM 練り混ぜ・ポンプ圧

(b) 補強軸方向鉄筋設置 (g) PCM 吹付け(1 層目)

(c) 補強帯鉄筋設置 (h) 1 層目コテ押さえ

(d) 補強帯鉄筋フレア溶接 (i) PCM 吹付け(2 層目)

(e) プライマー塗布 (j) 表面仕上げ

図-2.2.2 PCM 吹付け工法

(17)

- 13 -

2.3 炭素繊維補強材の特徴

炭素繊維補強材(以下,CFRP)は,炭素繊維とマトリックスの特性を組み合 わせた特性を有しており,特性の種類によって炭素繊維の特徴が発揮されたり,

マトリックスの特性が支配的になったりする。 CFRP の特徴を挙げると以下のよ うになる。

 強度・弾性率が高く,比重が小さい。

 疲労強度が高い。

 金属に比べ振動減衰率が良い。

 クリープ変形が小さい。

 対磨耗性が良く,摩擦係数が小さい。

 熱的寸法安定性が良い。

 極低温下での熱伝導性が小さい。

 耐食性,対薬品性に優れる。

 導電性があり,非磁性体である。

 X 線の透過率が大きい。

 電波の遮蔽性がある。

一方,CFRP の欠点は,

 破断伸度の小さい,脆性材料であり,孔などの切り欠きによる静的強度の低 下が大きく,また,対衝撃性が低い。

 繊維方向物性に比べ,非繊維方向あるいは層間の物性が低い積層異方性材料 であり,最終破断前に横方向クラック,層間剥離が生成する。また,衝撃に よって層間剥離し易く,このため衝撃後の残存強度が低下する。

 炭素繊維と樹脂とを組み合わせた不均質材料であり,組み合わされる樹脂に より耐熱性が支配され,吸湿下での高温物質が低下する。

これらの欠点を改良するために炭素繊維の高強度化,樹脂の耐熱性の向上お よび高靭性化が進められてきた。その結果,今日では金属に替わって CFRP が航 空機の一次構造材料

12)

に用いられるまでに至っている。

2.3.1 静的特性

(1) 一方向(UD)材の静的特性

異方性が強く,繊維方向と繊維垂直方向との物性は大きく上回る。

(a) 引張特性

市販の CFRP では,樹脂の伸度は繊維よりも大きく,接着も良好に設計されて いるため繊維方向引張特性は概ね式(2.3.1)の複合則に従う。強度は,

fL f

L

V F

F   (2.3.1)

ここに, F

fL

:繊維の引張強度, V

f

:繊維体積含有率

(18)

- 14 -

がほぼ成り立つ。繊維支配的特性であるため破壊は脆性的で,温度依存性は小さ い。

一方,繊維直角方向は樹脂支配特性があり温度依存性がある。また,一般に強 度は繊維による応力集中による樹脂自体の強度よりも低くなる。弾性率(E

T

)の推 定には次の Halpin-Tsai の式が有効である。

) 1

(

) 1

(

f f m

T

V

V E E



  (2.3.2)

m fL m fL

E E E

E 1

 2

 ここで,ξ:Halpin-Tsai の式のパラメータ

E

fL

:繊維の曲げ弾性係数 E

m

:樹脂の曲げ弾性係数 V

f

:繊維体積含有率 (b) 圧縮特性

圧縮強さ・弾性率は引張強さ・弾性率より低い傾向にあり,高強度 CFRP ほど 引張と圧縮の強度差が大きくなる傾向がある。この理由として,高強度 CFRP で は炭素繊維自体の圧縮強さは十分であるが,樹脂剛性が不足し,炭素繊維がマイ クロバックリングするためであると言われている。一方,高弾性率 CFRP ほど圧 縮強さは低くなる傾向にあるが,これは繊維自体の圧縮強さが低いためである といわれている。(また,同じ弾性率でもピッチ系 CFRP は PAN 系 CFRP に比 べ低い。)

前者のメカニズムにおいては樹脂支配であるため,高温下では圧縮強さは低 下,低温下では向上することになる。

圧縮破壊のメカニズムは複雑であり,これまでに提案されているモデルは次 の 6 つに大別される。

 繊維の微小座屈

 樹脂のせん断座屈

 全体のせん断座屈

 界面剥離

 繊維破壊

 その他

(19)

- 15 -

(c) せん断特性

層間せん断強度(LSS)は CFRP で最も低い物性の一つである。この強度の発現 には繊維と樹脂の接着が大きく影響し,このため界面の接着の度合いを表す尺 度として横方向引張強さとともに用いられてきた。接着が良好であれば,樹脂に 生成する応力集中が繊維の含有率の増加(V

f

=60%以上で急激に)とともに大き くなり,強度低下する。また,一般に高弾性炭素繊維ほど接着性が低下するため 低い傾向にあるが,ボイド量にも大きく影響される。

面内せん断弾性率(G

LT

)の予測には横方向弾性率と同様,Halpin-Tsai の次式が 有効である。

) 1

(

) 1

(

f f m

LT

V

V G G



  (2.3.3)

m fL m fL

G G G

G 1

 1

ここに,ξ:Halpin-Tsai の式のパラメータ G

fL

:繊維のせん断弾性係数 G

m

:樹脂のせん断弾性係数 V

f

:繊維体積含有率

斜方向の弾性率の解析からも解るように, G

LT

には樹脂のせん断弾性率が影響 するため,非線形性があることに注意する必要がある。

(d) 曲げ特性

1 方向性の繊維方向曲げ強さは,上記引張・圧縮特性を反映して高強度 CFRP では圧縮側支配となり引張強さより低くなる。このため,曲げ強さは圧縮強さ同 様低温で向上する傾向にある。一方,繊維垂直方向は,引張同様樹脂あるいは界 面支配であり,繊維方向に比べ弾性率,強度ともかなり低い。実用的には曲げ剛 性主軸が負荷主軸と一致しないことが多く,交差積層板において剛性の低下が 顕著となる。

(e) 破壊靭性

上述の層間せん断強さや後述する面外衝突特性と深く関連する物性として,

近年層間の靭性が注目されている。しかし,開口(Ⅰ)モード破壊靭性値および

せん断(Ⅱ)モード破壊靭性値をでは,測定法あるいは測定機関によりばらつき

(20)

- 16 -

が大きく,また,複合材料の靭性の意味そのものもまだまだ不明解な点もあり,

今後さらに研究される特性である。ただ, CFRP の弱点といわれる耐衝撃性と深 く関連するため,熱可塑性樹脂によるポリマーアロイ化などによる樹脂の高靭 性化が熱心に図られている。また,実用的な破壊のモードは混合モードであるこ とが多く,EDS や CLS 法により混合モード下での破壊靭性値も盛んに収集され ている。

(2) 織物材の静的物性

織物材の S-S 曲線は,樹脂内部で樹脂に亀裂が発生するため降伏(Knee 現象 という)を呈する。

織物材は,繊維が交錯・屈曲しているため直交(0/90)積層材よりも強度は低 くなる傾向にあり,繊維交錯数ほど低強度となる。また, UD 材同様樹脂伸度が 大きいほど高強度となる。

繊維屈曲・交錯を無くしたノンクリンプ織物(NCW)材とハンドリング性に おいて問題となる織物の目ズレを低減した目止めクロスの物性はクロスプライ ス(0/90)材とほぼ同等となっている。

2.3.2 動的特性

(1) 衝撃特性

13)

CFRP の基本衝撃特性を知るには,シャルピーやアイゾットといった従来試験 法による特性値も有益であるが,実用段階では,衝撃の形態に応じて適当な衝撃 試験法が工夫される。また,航空機における損傷許容設計という思想とも関連し,

衝撃後の残存物性で対衝撃特性を判定する方法もある。

疑似等方構成材の貫通衝撃結果より繊維の強度が大きいほど衝撃最大荷重,

全吸収エネルギーが大きくなり,母材の影響は貫通衝撃では小さいとされる。

以上は可視的な破壊を伴う衝撃特性であるが,航空機業界においては,肉眼等 では検出不可能な,工具の落下などによる低速面外衝撃による微小(内部)損傷 および残存の物性が問題とされる。低速面外衝撃における衝撃エネルギーとへ こみ量および剥離面積より正の相関がみられる。

(2) 疲労特性

13)

CFRP の片振引張疲労特性は金属よりはるかに良いが,CFRP の疲労に関係す る因子は種々あり,完全なデータは,未だ金属材料ほどには蓄積されていない。

以下では一方向材の疲労特性を述べるにとどめるが,実際の設計に当たっては 金属材と以下のような差異があることを考慮しておくことが必要である。

第一には,CFRP の疲労特性は繊維,樹脂,繊維含有率などの組成に加えて,

積層構成や成形法によって異なることである。

第二には,不均質異方性材料であることと関係して,破壊様式が多様であり何

を破壊と定義するかが問題となる。例えば,繊維を切る方向の亀裂の進展は遅く,

(21)

- 17 -

金属材料に比して,亀裂の生成が直ちに破壊に至らないという特徴がある。

第三には, 脆性材料にもかかわらず S-N 線図における勾配がゆるやかであり,

高頻度の疲労荷重を基準にして設計すると,突発的な小頻度の高荷重に対する 余裕が少なくなることである。(ただし,脆性材料ということで孔などの欠陥に よる強度の低下が大きいと懸念されるが,疲労下では静的強度と異なり金属に 比べ強度低下はきわめて少ないという利点もある。)

一方向材の疲労特性として, T300/5208 系での種々の吸湿・温度条件下での繊 維方向片振引張(R=0.1)疲労特性を次に記す。負荷様式については,引張疲労よ り圧縮疲労,さらに引張-圧縮疲労へと移るにつれ過酷となる。これは試験方法 とも関連するが,圧縮下では部分座屈が発生し易く,剥離が急速に進展するため であると考えられる。

繊維垂直方向の疲労特性については,元来この方向の静的強度が低いことと 亀裂の進展に対する抵抗も小さい(亀裂は母材中を進展する)ことから,設計に 際しては十分注意する必要があるといわれる。

曲げ疲労特性においても負荷モード(片振と両振)により特性が異なり, N=10

7

回での耐久比(静的強度に対する疲労強度の比)は片振りで 60~80%,両振りで

40~60%となっている。また,CFRP は GFRP や AFRP よりも耐久比に優れる。

ねじり疲労は一方向材(ただし中実棒)では N=10

3

回で約 50%という値が報 告されているが,実用上では交差積層構成をとることが多く,交差積層構成円筒 のねじり疲労が重要となる。この場合,N=10

7

の耐久比で約 50%程度である。

(3) クリープ特性

13)

クリープ試験データは 10

3

h 程度のデータが多い。設計においては不十分なデ ータであるが一方向材の引張,曲げクリープについて以下に述べる。

繊維方向の引張クリープ特性は炭素繊維自体がクリープしないため優れてい る。エポキシ樹脂含浸ストランドのクリープ破壊試験測定結果より,炭素繊維は ガラスやケプラーよりもクリープ破壊特性に優れる。短冊試片による 10

3

h 程度 の測定によると応力比 80%でも強度低下は認められていない。

一方,繊維垂直方向引張特性は樹脂支配物性であるため,クリープひずみは大 きく,耐久比が約 50% となる。

塩水中で CFRP の曲げクリープを検討した結果より CFRP は GFRP に比べ極 めて高いクリープ強度を有する。また,炭素繊維クロス材の配向角を 0, 15, 30,

45 度と変化させた時の 3 点曲げクリープ弾性率の変化より。樹脂の耐熱性とも

関連するが,10

3

h 程度であっても高温では弾性率の低下が著しいので設計にお

いてはクリープ変形を考慮しておく必要がある。

(22)

- 18 -

2.3.3 その他の物理的,化学的特性

(1) 熱的性質

13)

(a)比熱

CFRP の比熱については,繊維および母材の比熱から,次式のような加成則を 用いて求めることができる。

m m m f f f

c C V C V

C  

  

(2.3.4)

ここで,C, ρ,V は比熱,密度および体積含有率を,添字 f,m,c は繊維,母 材およびコンポジットをそれぞれあらわす。比熱には温度依存性があり,一般に 繊維,母材ともに低温になるほど小さいため,CFRP の比熱もそれに従う。

(b)熱膨張係数

炭素繊維は線熱膨張係数が極めて小さいため, CFRP の繊維方向の線熱膨張係 数は小さく,寸法安定性を要求される用途に適している。一方,これに比較して,

繊維に対し直角方向(横方向)の線熱膨張係数は大きい。母材に 180℃硬化タイ プのエポキシ樹脂を用いた東レ製“トレカ”一方向 CFRP の線熱膨張係数の実測 値より,繊維方向の線熱膨張係数 α

cL

,α

cT

の予測式は Schapery によって単純な 形で与えられているが,繊維自体の異方性を考慮すると, 式(2.3.6) , (2.3.7)

の通りとなる。

繊維方向から角度 θ をなす方向の線熱膨張係数 αc(θ)は,

c ( )  L cos

2

L sin

2

(2.3.5)

と予測される。熱膨張の異方性は,積層材における熱応力の原因となる。高温 で積層板を成形すると,降温時の各層の収縮率とその方向性の差が各層に残留 熱応力を生じさせる。さきに述べたように,一般に横方向の熱膨張係数は繊維方 向のそれに比べて大きいので,熱応力は横方向への引張となる。これが各層の横 方向強度をこえると,繊維方向に沿ったひび割れ(いわゆるサーマルクラック)

を生じる可能性があるので注意が必要である。また,非対称積層板では熱応力は 積層板の反りやねじれといった面外変形となって現れる。

(c)熱伝導率

一方向 CFRP の繊維方向の熱伝導率 k

cL

は,おおむね複合則に従うといわれて いる。すなわち,

m m fL f

cL

V k V k

k     (2.3.6)

で近似できる。 k

fL

k

m

はそれぞれ繊維(軸方向)および母材の熱伝導率である。

k

cL

の実測値は,高弾性タイプ/エポキシ樹脂で金属並み,高強度タイプ/エポ

キシ樹脂で良導体と不導体の間に位置する。

(23)

- 19 -

横方向については,精度の高い予測は困難で,さまざまなモデルに基づく予測 式が提唱されている。たとえば, Ashton らは力学特性と同様のモデルに基づき,

次のようないわゆる Halpin-Tuai 型の式で熱伝導率の予測ができるとしている。

f f m

cT

V V k

k

  1

1 (2.3.7)

1 1

 

 

 

 

m fT

m fT

k k

k k

ここで,k

fT

は繊維の横方向の熱伝導率である。なお,この式は円形断面を持 つ繊維に対するものである。炭素繊維は熱的性質においても大きな異方性を持 つので,繊維自体の熱伝導率を個別に考える必要がある。たとえば,式を用いて 一方向性 CFRP の横方向の熱伝導率を予測するためには k

fT

の実測値が必要であ るが,k

fT

を試験によって直接求めることは困難である。従って,式を用いるに は,V

f

が既知でしかも同一の繊維/マトリックスからなる CFRP の熱伝導率を用 いることになり,結局コンポジットの熱特性の測定値に基づくことになる。

(2) 電気特性

13)

繊維方向の電気伝導率は V

f

に対し直線的に変化し,複合則が成立する。また,

繊維自体の電気伝導率を反映して,炭化系よりも黒鉛化系の方が高い値を示し ている。

一方,横方向においては,複合則は成立せず炭化系と黒鉛化系の差もあまりな い。

(3) 耐候性

13)

CFRP の耐候性は基本的には母材に依存するとされるが,その機構はまだ十分 に解明されたとはいえない。

CFRP と,アラミド繊維’’ケブラー’’を用いた AFRP (ともに母材はエポキシ樹 脂)を各地(主に米国内)で長期間屋外暴露した試験結果より, 5 年間の屋外暴 露によっても物性の大きな低下はない。

また,国内で行われた 4 年間の暴露試験でも CFRP の引張,曲げ特性に低下 は認められていない。

なお,屋外暴露によって表層の樹脂が特に劣化するが,これは塗装によって完 全に防ぐことができるといわれている。

(4) 耐薬品性

13)

一般に,金属等他の材料に比べ, CFRP の耐薬品性は優れると言われるが,そ

(24)

- 20 -

の特性は主に母材に左右される。母材としてポリエステル樹脂およびフェノー ル樹脂を用いた CFRP の試験結果より条件によっては物性や重量に変化が生じ るので,用途に応じて母材樹脂の選択が必要である。

航空機用途においては燃料に対する耐性が重要視されるが,これについては エポキシ系 CFRP での 3 年間の浸漬試験の結果,強度低下がないと報告されて いる。

(5) 耐水性

13)

耐水性は大気中での吸湿に対するものと浸漬に対するものに大別されるが,

まず,吸湿について述べる。屋外暴露による吸湿量の変化より,試験片の板厚は 約 2mm であるが,約 3 年で吸湿量は一定値に達している。吸湿量は樹脂系によ って異なり,それに比べれば繊維による差(アラミド繊維との比較)は小さい。

吸湿による物性低下の検討例として,Fiberite1034 を母材とした CFRP の力学 特性の吸湿量および温度依存性より,圧縮弾性率および引張強さから[0°] ,

[0°/90°/±45°]s,[90°]の 3 種について検討されているが,[90°]構成における物性

が大きく低下している。

次に, CFRP を長期間浸漬した試験結果より,約 1 年間の浸漬によって曲げ強 さ,層間せん断強さとも低下する。

(6) 音響特性

13)

一般に,比強度・比弾性率の高い材料の内部損失(tanδ)は小さく,逆に内部

損失の大きな材料は比強度・比弾性率が低い。ところが,CFRP においては,炭

素繊維が強度・弾性率を受け持ち,母材が内部損失を受け持つため,両者をある

程度両立した特性を実現している。この点で,スピーカ振動板等の素材として有

利とされる。

(25)

- 21 -

2.4 CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法

耐震補強の分野において,従来工法として RC 巻立て工法,鋼板巻立て工法,

CFRP 巻立て工法などがある。施工上の制約がない場合は RC 巻立て工法が一般 的に用いられるが,構造上 250mm 以上の断面増加が必要となり

14)

,河積阻害率 の増大や建築限界への抵触などにより,採用できない場合がある。また,自重に よる慣性力が増加するため他工法に比べ不利となる。その際は鋼板巻立て工法 や CFRP シート巻立て工法の検討がなされるが,鋼板巻立て工法は施工性や経 済性, CFRP シート巻立て工法は河川内橋脚の場合は湿潤面への接着性や雨天時 の施工などに問題がある。 これらの問題を解決するために, 既設 RC 橋脚に CFRP グリッドを接触配置し, PCM を吹付け一体化する耐震補強工法(以下, CFRP グ リッドを用いた PCM 吹付け工法)が提案された

4), 5)

。図-2.4.1 に補強概略図 を示す。

CFRP グリッドとは,炭素繊維を対薬品性に優れた樹脂に含浸して格子状に成 形したものであり,以下の特徴を有している。

 軽量・高強度で遮塩性,耐食性に優れた材料である。

 様々な形状に加工可能(図-2.4.2)であり曲線,コーナ,ハンチ部での適 用が可能である。

 補強筋の断面積や間隔が変更でき補強量を調整可能である。

 格点部は縦筋と横筋が同一断面上に成形されるクロスラミネート構造とな っており,施工厚を薄くできる。

図-2.4.1 CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法

図-2.4.2 CFRP グリッド

(26)

- 22 -

CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法の施工フローを図-2.4.4 に示す。

(1) STEP1

コンクリートの表面処理を行う。

(2) STEP2

表面処理後,CFRP グリッドを既設コンクリート表面に接触配置し,リベッ トアンカーによって仮固定する。

(3) STEP3

かぶりが 10mm 以上もしくはグリッド厚さ以上となるように PCM を吹付け て増厚一体化する。

(a)トンネル着工前

(b)超高圧水洗浄ケレン工

(c)断面修復工

(27)

- 23 -

(d)CFRP グリッド取付け工

(e)CFRP グリッド取付け完了

(f)PCM 吹付け工

(g)施工完了

図-2.4.4 CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法の施工フロー

(事例:トンネル)

15)

CFRP グリッドを用いた PCM 吹付け工法の補強効果は次章以降に検証試験を

踏まえ記載しているためここでは省略する。

(28)

- 24 -

2.5 まとめ

本章では, PCM 吹付け工法の開発までの経緯や CFRP についてその構成材料,

成形法,成形品の特性について述べた。

土木構造材料として多くの可能性を有する FRP であるが,経済面等に諸問題 を抱えている。本研究で対象としている CFRP グリッドは,他の強化繊維と比較 して材料費は割高となるものの従来型の補強工法よりも大幅な工期短縮が実現 可能であり,通行規制に伴う渋滞による経済的損失の低減,施工上の人件費の縮 減等,極めて大きなメリットを有しているといえる。また,現在は他の強化繊維 と比較して割高な材料費も今以上に大量生産が可能になり,加工プロセスの段 階で更なる創意工夫が図られれば,材料費の縮減も可能となり更に普及してい くものと考えられる。

CFRP は鋼材と比較し 10 倍程度の強度を有し,FRP の代表的な特性である軽 量性(鋼材の約 1/4)と優れた耐食性に加え,優れた電気絶縁性と耐熱性を有す る。

それら CFRP の特長を有効に活用した構造用部材は大いに期待できるもので あり,また CFRP の弾性率が鋼材とほぼ同程度であることから要求性能に対し ては十分に適用可能であり,加工プロセス段階での高い材料費を克服できれば,

更なる構造用部材としての有用性の発揮が期待できる。また,適用例の増加やそ れによる市場の拡大により,更なるコスト低減も期待できるため,土木構造用部 材としての有用性は大きいと思われる。

CFRP は現在のところ,鋼材と比較した際の材料単価は未だ割高であるが,

優れた耐食性を有するため,鋼材のように塗装の塗り替えなどを必要とせず,

維持管理の面ではコスト軽減が期待でき,加えて高い軽量性によって施工費が

縮小できるなど,ライフサイクルコストの有効性が挙げられる。

(29)

-25-

第 3 章 RC 部材に対する付着特性および必要格点数

3.1 はじめに

これまでに著者らは,CFRP グリッドを用いた PCM 吹付けによる既設 RC 橋 脚の耐震補強工法を提案し,本工法による曲げ,せん断およびじん性補強効果を 確認するため, CFRP グリッドを 1 層補強した場合の補強部界面の付着特性や必 要定着長および CFRP グリッドで補強したはり部材の補強効果については検討

した

3), 4) ,5)

。しかし,剛性が高く,搬入口が狭隘である場合,CFRP グリッドを

曲げて搬入することが困難な場合があり, 断面積の小さい CFRP グリッドを 2 層 接触配置した場合の補強効果についても検討する必要がある。さらに,本工法は 既設コンクリートに CFRP グリッドを接触配置した PCM 増厚量が 10mm 程度と 従来工法に比べて薄層であるため,実構造物を模擬して補強部界面の必要定着 長や応力伝達機構を検討する必要がある。

既往の研究

35)

において実施した九大式付着強度試験

20)

では,既設コンクリー トと補強部 PCM の界面の有効定着長は 20φ 程度であり, 付着特性に優れる PCM は有用であるという結果が得られている。また,これまで試験を行ってきた試験 体は PCM でブロックを作製しその中に CFRP グリッドを埋め込んだ試験体であ るため,無限遠のコンクリートかぶりを有し,PCM 吹付け厚 10mm 程度の実構 造物を模擬しておらず,コンクリート,CFRP グリッドおよび PCM の付着機構 については未検討という問題があった。

そこで本章では,九大式付着試験機の検討事項を踏まえ,新たな試験体を作製 し既設コンクリート,CFRP グリッドおよび PCM の付着機構についての検討お よび格子筋間隔の違いや縦筋の有無による挙動の変化, CFRP グリッド間の応力 伝達機構を明らかにすることを目的とし,付着試験を実施した。

3.2 PCM ブロックにグリッドを埋設した場合の付着特性についての既往研究

3.2.1 PCM ブロック型付着強度試験の概要 (1) 試験目的

既往研究

35)

において実施した九大式 PCM ブロック型付着強度試験は,「引 抜き試験による連続繊維補強材とコンクリートとの付着強度試験方法(案)」

16)

に準じたて PCM ブロックに埋め込んだ CFRP グリッドに引張力を作用させ 引抜くことで,CFRP グリッドと PCM の付着強度を確認した。

(2) 試験体および試験方法

表-3.2.1 に試験体の種類,表-3.2.2 に材料特性値を図-3.2.1 に試験体概

(30)

-26-

略図を示す。試験体の種類はグリッド層数,格点数および PCM の種類をパラメ ータとした 8 種類(各 3 体)である。材料特性値は, CFRP グリッドはメーカー 試験値,PCM は試験時の材料試験値とした。形状は一辺の長さ 120mm の PCM ブロックに, CFRP グリッドの縦筋 1 本を定着した。設計上グリッドは表面付着 力がなく,縦筋と横筋で囲まれた部分の PCM の付着力と CFRP グリッドの格点 部で機械的に付着力を確保するため,横筋の格子間隔および横筋長さは 75mm とした。 Type1~Type4 は 2 格点, Type5, 6 は 4 格点, Type7, 8 は 6 格点の定着 長を設け,スパイラル筋で補強した。自由端側 CFRP グリッドを 30mm 突出さ せ,端面をグリッド軸に垂直に平滑面に仕上げ, CFRP グリッドのすべり量を計 測するための変位計を設置し,一様な速度で CFRP グリッドを引抜いた。

表-3.2.1 試験体種類 表-3.2.2 材料特性値

Type グリッド PCM

種類 層数 格子数

1 1 2 高強度型

2 低弾性型

3

2

2 高強度型

4 低弾性型

5 4 高強度型

6 低弾性型

7 6 高強度型

8 低弾性型

(a)CFRP グリッド 規格 断面積

mm

2

引張強度 N/mm

2

弾性係数

×10

5

N/mm

2

CR-5 13.2 1200 1.65

(b)PCM PCM 種類 圧縮強度

N/mm

2

弾性係数

×10

4

N/mm

2

高強度型 57.2 270

低弾性型 30.1 155

(a)試験体形状 (b)Type 1,2,3,4

(c)Type 5,6 (d)Type 7,8 図-3.2.1 試験体概略図

3.2.2 PCM ブロックに埋設した CFRP グリッドの付着特性

試験結果を図-3.2.2 に示す。試験結果より CFRP グリッドが 1 層の場合は PCM の種類に関わらず, 2 格点の定着長で母材の引張強度以上の付着強度が得 られ, CFRP グリッドが 2 層の場合は,高強度型 PCM で 2 格点,低弾性型 PCM

120

120

150 50 1000 200

75

PCMブロック らせん筋

CFRPグリッド

鋼管スリープ 塩ビ管

150 50

75

75

30

縦筋 横筋

300 50

75

30 450 50

75

30

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