第 4 章 RC はりに対するせん断補強効果
4.3 せん断補強効果の検討
4.3.1 変形性状
(1)荷重-スパン中央変位関係
シリーズAでは,荷重-スパン中央変位関係を図-4.3.1~図-4.3.3に示す。
補強した試験体は剛性が強くなりせん断耐力が増加したことが明らかになった。
約 150kN を超えた辺りから剛性が変化していることが分かった。また,試験値
と解析値の挙動を比較するとおおむね解析で再現できていることが分かった。
ここで試験値と解析値の最も大きな違いは,試験値では A-2 は A-1 よりもせん
断耐力が14%大きくなるが,解析値では8%しか違いがでないことである。
シリーズ B では,CFRP グリッド補強した試験体は剛性が強くなりせん断耐 力が増加したことが明らかになった。図-4.3.2(a)より,B-0とB-0’を比較する と,最大荷重は概ね一致した。このことから,PCM のみを吹き付けただけでは 補強効果がないことが明らかである。また,図-4.3.2(b)より,CFRPグリッド 補強試験体は,B-0 および B-0’と比較して最大荷重が最低でも 33%程度向上し た。さらに,同図には各試験体の試験値とFEM解析の結果を示した。全ての試 験体で最大荷重はおおむね一致し,実際の挙動を再現できた。
一方,シリーズCでは,CR-4を用いた試験体C-1と比較してCR-8を用いた 試験体C-2は,最大荷重が7%程度向上している。また,縦筋(CR-4)の配置間隔 を50mmとした試験体C-3は,縦筋(CR-4)の配置間隔を150mmとした試験体 C-1に比べて荷重600kN以上の高荷重域での剛性が高く,最大荷重は8%程度向上 している。全試験体ともせん断破壊しており,せん断破壊形式は斜め引張破壊で あった。
図-4.3.1 荷重-スパン中央変位関係 (シリーズ A)
0 200 400 600 800
0 5 10 15 20
荷重(kN)
たわみ(mm)
A-0 A-1 A-2 A-0(FEM) A-1(FEM) A-2(FEM)
-66-
(a)B-0,B-0’ (b)B-1,B-2,B-3 図-4.3.2 荷重-スパン中央変位関係(シリーズ B)
(a)C-1 (b)C-2
(c)C-3 (d)C-4
図-4.3.3 荷重-スパン中央変位関係(シリーズ C)
0 200 400 600 800 1000
0 5 10 15 20
荷重(kN)
スパン中央たわみ(mm) B-0 B-0' B-0(FEM) B-0'(FEM)
0 200 400 600 800 1000
0 5 10 15 20 25
荷重(kN)
スパン中央たわみ(mm) B-1 B-2 B-3 B-1(FEM) B-2(FEM) B-3(FEM)
0 200 400 600 800 1000 1200
0 5 10 15 20 25
C-1 C-1(FEM)
スパン中央たわみ(mm)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
0 5 10 15 20 25
C-2 C-2(FEM)
スパン中央たわみ(mm)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
0 5 10 15 20 25
C-3 C-3(FEM)
スパン中央たわみ(mm)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
0 5 10 15 20 25
C-4 C-4(FEM)
スパン中央たわみ(mm)
荷重(kN)
-67-
(2)荷重-圧縮縁コンクリートひずみ関係
荷重-圧縮縁コンクリートひずみ関係を図-4.3.4~図-4.3.6 に示す。いず れの試験体も斜めせん断ひび割れが卓越するまで弾性挙動を示していたが,斜 めせん断ひび割れが進展して以降は,非線形挙動となり一部圧壊も見られた。
シリーズAでは,どの試験体もばらつきがあるが,おおよそ-2000~-1000μを 超えたところで最大荷重となった。また,最大荷重においてのひずみは補強試験 体では減少することが分かった。解析においてはそれぞれの試験体において最 大荷重時のひずみが試験値に比べ小さいことが明らかとなった。
一方,シリーズBおよびシリーズCにおいて,どの試験体もばらつきがある が,おおよそ-1000~-500μを超えたところで最大荷重となった。また,シリーズ Bでは,最大荷重時においてB-0およびB-0’に比べて試験体B-1, B-2, B-3 は,
ひずみが小さいことが分かった。また,C-3に関しては試験体上部で一部圧壊が 見られた。
図-4.3.4 荷重-圧縮縁コンクリートひずみ関係(シリーズ A)
(a)B-0,B-0’ (b)B-1,B-2,B-3 図-4.3.5 荷重-圧縮縁コンクリートひずみ(シリーズ B)
0 200 400 600 800
-3000 -2500 -2000 -1500 -1000 -500 0
荷重(kN)
ひずみ(μ) A-0
A-1 A-2 A-0(FEM) A-1(FEM) A-2(FEM)
0 200 400 600 800 1000
-1000 -750 -500 -250 0
荷重(kN)
ひずみ(μ) B-0
B-0' B-0(FEM) B-0'(FEM)
0 200 400 600 800 1000
-1000 -750 -500 -250 0
荷重(kN)
ひずみ(μ) B-1
B-2 B-3 B-1(FEM) B-2(FEM) B-3(FEM)
-68-
(a)C-1 (b)C-2
(c)C-3 (d)C-4
図-4.3.6 荷重-圧縮縁コンクリートひずみ(シリーズ C)
(3)荷重-主鉄筋ひずみ関係
荷重-主鉄筋ひずみ関係を図-4.3.7~図-4.3.9 に示す。各試験体の剛性の 変化や最大荷重を再現できており,せん断破壊が起きていることが分かる。左側 に圧縮側,右側に引張側の主鉄筋のひずみをそれぞれプロットした。
シリーズ A では,試験結果では補強,無補強での挙動の違いはあまり見られ ず,ほぼ線形挙動となった。これは,圧縮鉄筋は降伏せず,弾性体を保っている ことを示す。解析結果ではA-0は150kNあたり,A-1,A-2は400kN付近までは 線形挙動を示すものの傾きが変わった。A-1,A-2 はその後傾きが緩やかになっ た。
図-4.3.7 荷重-主鉄筋ひずみ関係
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -800 -600 -400 -200 0
C-1 C-1(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -800 -600 -400 -200 0
C-2 C-2(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -800 -600 -400 -200 0
C-3 C-3(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -800 -600 -400 -200 0
C-4 C-4(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
荷重(kN)
ひずみ(μ) A-0 A-1 A-2 A-0(FEM) A-1(FEM) A-2(FEM)
-69-
一方,シリーズBおよびシリーズCにおいて,試験結果では約200kNを超え た辺りからグラフの傾きは緩やかになった。また,それぞれの挙動に関して大き な違いは見られない。さらに,主鉄筋の降伏ひずみを超えていないことから圧縮 鉄筋は降伏していることが分かる。また,主鉄筋の降伏ひずみを超えていないこ とから引張鉄筋は降伏していないことが分かる。C-2に関しては,200kNを越え たところから明らかに異常なひずみを計測した。これは,ひずみゲージが鉄筋か ら浮いてしまっていたなどの問題が生じたことが原因だと考えられる。
(a)B-0,B-0’ (b)B-1,B-2,B-3 図-4.3.8 荷重-主鉄筋のひずみ(シリーズ B)
(a)C-1 (b)C-2
(c)C-3 (d)C-4
図-4.3.9 荷重-主鉄筋のひずみ(シリーズ C)
0 200 400 600 800 1000
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
荷重(kN)
ひずみ(μ)
B-0 B-0' B-0(FEM) B-0'(FEM)
0 200 400 600 800 1000
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
荷重(kN)
ひずみ(μ)
B-1B-2 B-3 B-1(FEM) B-2(FEM) B-3(FEM)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
C-1 C-1(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
C-2 C-2(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
C-3 C-3(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
0 200 400 600 800 1000 1200
-1000 -500 0 500 1000 1500 2000
C-4 C-4(FEM)
ひずみ(μ)
荷重(kN)
-70-