第 3 章 RC 部材に対する付着特性および必要格点数
3.7 CFRP グリッドの付着試験の検討
3.7.3 応力伝達機構および必要格点数
図-3.7.9 に設計引張強度の 2/3(12.0kN)の荷重が生じる際の CFRP グリッド の縦筋のひずみ分布を示す。ひずみ分布は 図-3.3.2 に示す D0 をひずみ測定 位置 0 格点と定義し,順次 D1~D4orD5 位置のひずみ値をグラフ上にプロット し,各荷重作用時に分けて作成した。
(a)FP50VH,FP50VL,FP75VH
(b)FP100VH,FP100N
図-3.7.9 格点数-ひずみ関係(P=12.0kN)
その結果,格点数の増加に伴いひずみ値が減少することが確認できる。このこ とより,格点数毎にCFRPグリッドに引張力が伝達していることが確認でき,格 点数毎にCFRPグリッドからPCMを介して既設コンクリートに引張力が伝達し ていることが明らかとなった。作用荷重別に着目すると,同図(a)より設計荷 重作用時において,FP50VH試験体は最終格点でひずみがほぼゼロとなった。し かし,FP50VL 試験体は最終格点においてもひずみが 1000~2000μ 程度であっ た。これは,母材破断と同時にPCMの剥離に至ったFP50VL試験体は,追従性 の良い低弾性PCMを増厚材に使用したことに起因しており, CFRPグリッドか らPCMに伝達された引張力が,既設コンクリート界面の付着応力に達したこと
0 1 2 3 4 5
0 3500 7000 10500 14000
格子数
ひずみ (μ)
FP50VH FP50VH(FEM)
FP50VL FP50VL(FEM)
FP75VH FP75VH(FEM)
0 1 2 3 4 5
0 3500 7000 10500 14000
格子数
ひずみ (μ)
FP100N FP100N(FEM)
FP100VH FP100VH(FEM)
-50-
による破壊であると考えられる。
一方,数値解析では,試験結果と比較してほぼ線形挙動となる。また,図-
3.7.9(b)より,縦筋を有するFP100VH試験体は縦筋無しFP100N試験体と比 較して,端部から 2 格点目までひずみが急激に増加していることより,縦筋を 有する試験体の方が付着応力を次格点に多く伝達していることが示唆される。
(b)格点分担率および必要格点数
全体のひずみ値から各格点部が負担しているひずみ値を除した割合をひずみ エネルギー分担率と定義した。図-3.7.10 にひずみエネルギーによる分担率,
分担率の算出方法を式(3.7.1),式(3.7.2)に示す。
5 100
4
1
or
i i i
A
S A (3.7.1)
i i i
i D D h
A ( ) 2
1
1 (3.7.2) ここで,S:分担率(%),
hi:格子筋間隔(mm),
Di:計測点におけるひずみ値(μ)
図-3.7.10 ひずみエネルギーによる分担率
図-3.7.11,表-3.7.2 より設計引張強度の 2/3(12.0kN)の荷重が生じる際の
FP100N,FP100VH 試験体の 1 格点目の分担率は 67%,43% (解析値:65%,
44%)となり,縦筋を有するFP100VH試験体の方が1格点目の分担率が縦筋無 A1
A2 A3 A4 A5
h1 h2 h3 h4 h5
1格点
ひずみ(μ)
格子筋間距離(mm)
2格点 3格点 4格点 5格点
-51-
しFP100N試験体より小さく,それにともない2格点目以降の分担率が大きくな
る傾向にある結果となった。また,FP50VH,FP75VH,FP100VH試験体の1格 点目の分担率は,44%,40%,43%および56%(解析値:42%,35%,39%および 51%)となり,各試験体では差異が見られない。
同図より分担率の総和が 80%以上となる格点数を有効定着長と定義すると,
設計引張強度の 2/3(12.0kN)の荷重が生じる際は,筋間隔 50mm で縦筋の無い試 験体(FP50N),縦筋を有し低弾性型PCM を用いた試験体(FP50VL)は4 格点とな り,筋間隔50mmで縦筋を有し高強度型PCMを用いた試験体(FP50VH),筋間隔 75mmで縦筋を有する試験体(FP75VH)および筋間隔100mmで縦筋を有する試験 体(FP100VH)は3格点となり,筋間隔 75mmで縦筋の無い試験体(FP75N)および
筋間隔100mmで縦筋の無い試験体(FP100VH)は2格点となった。
(a)FP50VH,FP50VL,FP75VH
(b)FP100VH,FP100N
図-3.7.11 終局荷重作用時(P=12.0kN)の分担率
0 20 40 60 80 100
1 2 3 4 5
分担率(%)
格子数
FP50VH FP50VH(FEM)
FP50VL FP50VL(FEM)
FP75VH FP75VH(FEM)
0 20 40 60 80 100
1 2 3 4
分担率(%)
格子数
FP100N FP100N(FEM)
FP100VH FP100VH(FEM)
-52-
表-3.7.2 分担率一覧(P=12.0kN)
試験体 1格子 2格子 3格子 4格子 5格子 実験 FEM 実験 FEM 実験 FEM 実験 FEM 実験 FEM
FP50N 27.0 - 27.0 - 24.0 - 16.0 - 6.5 -
FP50VH 44.2 42.0 34.2 31.8 16.7 17.0 4.5 7.5 3.2 4.1 FP50VL 40.4 34.9 33.0 27.0 17.9 19.1 7.0 12.8 8.4 10.1
FP75N 49.0 - 36.0 - 14.0 - 1.0 - -
FP75VH 42.6 38.6 31.6 29.3 18.9 18.8 6.8 13.3 - FP100N 67.1 64.8 30.6 32.3 2.4 2.2 0.1 0.5 - FP100VH 56.1 50.6 37.2 35.0 6.3 13.3 0.4 1.1 -
図-3.7.12 各格点の分担率の必要格点数一覧(実験値)
なお,分担率の総和が 70%での必要格点数は筋間隔 50mm 試験体(FP50N, FP50VH,FP50VL)で3格点,筋間隔75mm試験体(FP75N,FP75VH)および筋間
隔100mm試験体(FP100N,FP100VH)で2格点となり,分担率の総和が80%での
必要格点数は筋間隔50mm試験体(FP50N,FP50VH,FP50VL)および筋間隔75mm で縦筋を有する試験体(FP75N,FP75VH)で3格点,筋間隔100mm試験体(FP100N,
FP100VH)で2格点となり,分担率の総和が 90%での必要格点数は筋間隔50mm
試験体(FP50N,FP50VL)で4 格点,筋間隔 50mmおよび 75mm で縦筋を有する
試験体(FP50VH,FP75VH),筋間隔100mmで縦筋を有する試験体(FP100VH)で3 格点,筋間隔 75mm で縦筋の無い試験体(FP75N)および筋間隔 100mm で縦筋の 無い試験体(FP100N)で2格点となった。
0 20 40 60 80 100
FP50N FP50VH FP50VL FP75N FP75VH FP100N FP100VH
各格点の分担率(%)
第1格点(D1) 第2格点(D2) 第3格点(D3) 第4格点(D4) 第5格点(D5)
90%
-53-