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CFRP グリッドに対する有効ひずみおよびせん断耐力の評価

第 5 章 CFRP グリッドの有効ひずみと RC はりのせん断耐力の評価

5.3 CFRP グリッドに対する有効ひずみおよびせん断耐力の評価

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以上のことから, CFRP グリッドのせん断耐力の評価は,棒部材としてのロ ッドの有効ひずみを用いて行うことは不適切であり,面的な補強効果が期待で きるCFRPグリッドの新たな評価法の構築が合理的と考えらる。

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表-5.3.1 せん断耐力の実験値および算定値の一覧(kN)

Type グリッド

種類

ピッチ

縦×横 実験 算定

算定

③ 実/② 実/③ シリーズB

B-1 CR-4 150×50 885 623 678 1.42 1.31 B-2 CR-6 150×50 949 669 760 1.42 1.25 B-3 CR-8 150×50 922 694 782 1.33 1.18

シリーズC

C-1 CR-4 150×50 881 636 691 1.39 1.28 C-2 CR-8 150×50 943 712 799 1.33 1.18 C-3 CR-4 50×50 950 741 766 1.28 1.24 C-4 CR-4&6 150×50 860 684 775 1.26 1.11

(a)実験値/算定値② (b)実験値/算定値③ 図-5.3.2 せん断耐力の比較

その結果,せん断耐力の実験値と CFRP グリッドの縦筋の有効ひずみのみを 考慮した算定値③の比は実験値とロッドの有効ひずみ式(式(5.2.4))を用いた 算定値②の比よりも小さくなった。かつ,実験値に対して1.11~1.31の安全側の 値を示す。以上のことから,ロッドの有効ひずみ式よりも適切なCFRPグリッド の有効ひずみ式を提案できたといえる。

600 800 1000 1200

600 800 1000 1200

実験値(kN)

算定値②

600 800 1000 1200

600 800 1000 1200

実験値(kN)

算定値③

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5.3.2 縦・横両方向 CFRP グリッドを考慮した有効ひずみ式およびせん断耐力 の評価

荷重-CFRPグリッドのひずみの関係(図-4.3.12)より,横方向のCFRPグ リッドもせん断抵抗に寄与することがわかった。そのため,CFRPグリッドが受 け持つせん断耐力Vgは横筋も考慮することが合理的と考えられる。しかし,全 試験体において,CFRPグリッドの縦筋が層間剥離するに伴い,横筋のひずみは

1000~2500 程度に止まっている。シリーズ C において縦筋の剥離ひずみと横筋

のひずみとの比較を図-5.3.3に示す。図中に○印を付した逸脱したデータを除 外すれば,破壊時における縦筋と横筋のひずみは,ほぼ 1 次の線形関係が成り 立つことがわかる。

図-5.3.3 横筋と縦筋

今回のケース(シリーズ C)では,横筋のひずみと縦筋の剥離ひずみの比は 0.23程度であり,±15%以内の差に収まった。なお,相関係数(R)は0.978であっ た。横筋のひずみεhorは有効ひずみ縦横比(k)を縦筋の剥離ひずみの計算値εver

に乗じて,式(5.3.2)を求めた。

6 2

0079 10 . 0 0352 . 0

1  

 

 

ver ver

hor k k

 

 (5.3.2)

ここで,k:有効ひずみ縦横比,k =0.23

表-5.3.2 および図-5.3.4 に,式(5.3.1)に基づく CFRP グリッドの縦筋の みを考慮した算定値③,および縦・横筋(式(5.3.2))の両方を考慮した算定値

④を示す。また,算定値①~④の全てを同時に比較したグラフを図-5.3.5に示 す。ここで,縦・横両方向のCFRPグリッドを考慮したCFRPグリッドが受け持 つせん断耐力Vgは式式(5.3.3)により求めた。

 

z

V E

b

hor hor

hor hor ver ver

ver ver w

g           

 (sin cos ) (sin cos )

2 (5.3.3)

0 1000 2000 3000 4000

0 3500 7000 10500 14000

のひεhor)

縦筋の剥離ひずみεver(μ)

+15%

-15%

23 .

0

ver

hor

相関係数(R)=0.978

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ここで,ρhor:単位長さ当り横筋の断面積(mm2/mm)

αver:CFRPグリッドの縦筋が部材軸となす角度 αhor:CFRPグリッドの横筋が部材軸となす角度

表-5.3.2 せん断耐力の実験値および算定値の一覧(kN)

Type グリッド

種類

ピッチ

縦×横 実験 算定

算定

④ 実/③ 実/④ シリーズB

B-1 CR-4 150×50 885 678 752 1.31 1.18 B-2 CR-6 150×50 949 760 881 1.25 1.08 B-3 CR-8 150×50 922 782 915 1.18 1.01

シリーズC

C-1 CR-4 150×50 881 691 765 1.28 1.15 C-2 CR-8 150×50 943 799 933 1.18 1.01 C-3 CR-4 50×50 950 766 808 1.24 1.18 C-4 CR-4&6 150×50 860 775 821 1.11 1.05

(a)実験値/算定値③

(b)実験値/算定値④ 図-5.3.4 せん断耐力の比較

600 800 1000 1200

600 800 1000 1200

実験値(kN)

算定値③

600 800 1000 1200

600 800 1000 1200

実験値(kN)

算定値④

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図-5.3.5 せん断耐力の比較

その結果,せん断耐力の実験値と CFRP グリッドの両方向の補強筋を考慮し た算定値④の比は,実験値と CFRP グリッドの縦筋の有効ひずみのみを考慮し た算定値③の比よりも小さくなった。かつ,実験値に対して1.01~1.18の安全側 の値を示す。以上より,CFRPグリッドのせん断補強に対して, CFRPグリッド の縦・横両方向の抵抗力を考慮して評価することが妥当であると考える。