9 , 9 9 ,
辛〖
‑ '
9,
一 はじめに 問 題 の 背 景 一一事業規制の具体的内容
l電気通信ネットワーク2電気通信サービス3
端末機器
4
産 業 政 策 三 競 争 政 策 の 進 展
1
競 争 法 ガ イ ド ラ イ ン
2 E E C条約八五条 3 E E C条約八六条 4その他 四 公 共 調 達 の 開 放
1
規制枠組の歴史的変遷 2除外セクター指令および同救済指令3
残 さ れ た 課 題 おわりに
規 制 と 競 争 の 相 互 連 関
│ │
'
E C
に お け る 電 気 通 信 規 制 の 法 と 政 策
土 佐
四
和
生
12‑‑‑4 ‑‑585 (香法'93)
ところで︑経済法研究にとって前述の諸論点を法政策論として解明することは︑第一に︑市場の構造的あり方を含
めて当該事業に対する最適な行政規制の姿を探る︑第一一に︑規制の後景への退きに平行的に対応する当該事業への競
争政策浸透の望ましい形を構想するという実践課題を処理して行くための準備となろう︒
般論として規制を受ける産業に対する競争法の適用︑競争政策の浸透の仕方を考える糸口を提供するものと思う︒
にがしか存在しているなら︑ まり︑規制されているのだから競争法の登場場面は基本的になく︑行政が裁量的に行動できる領域なのであるという規制対競争の峻別的思考ではなく︑たとえ規制を受けていようが経済的現実として競争の機能する場所がどこかにな
その限りで規制法制度のたて方の合目的的理解を通じてあくまで競争法の適用ないしそ
いえ
る︒
電気通信事業の経済的重要性はいまさら言うまでもなく︑
E
においても極めて重視されており︑またそれ故︑
C
の事業に対する公的規制がいかにあるべきか︑さらにアメリカや日本との国際競争に打ち勝つためにいかなる産業振 興措置を採用するか︑あるいは経済統合の一環として進められてきた当該事業の自由化の進展に伴い生じる各種の競 争制限に対し︑競争政策的アプローチをどの様に講じるべきかといった諸点は︑委員会等をはじめとする
E
機関に
C
とって重大かつ政治的に微妙な処理の求められる関心事である︒もっとも︑これらの論点は︑
国はもとよりアメリカ等においても︑原理上大なり小なり問題とされるところであり︑
緩和政策を推進してきた先進資本主義諸国の抱える法的︑経済的諸問題の︑ある種の共通性を窺うことができるとも
は じ め に
E C
のみな
らず
︑
わが
そこにこの事業における規制
また理論的には︑特に︑
四四
つ こ
12 4 586 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(土佐)
の趣旨を尊重した規制運用があり得るはずだとする発想を支持する素材なりが観察されるのではないかという見通し
である︒そのような観点から︑最終的にはわが国への法政策的指導像を求めて︑筆者は電気通信事業における規制緩
和と競争政策の実証的な比較法的検討を進めてきたが︑本稿もその一環として
E
C
における電気通信規制法の現状を瞥見することを通じて︑
E
C
を対象とするのは︑これが筆者の一連の検討にとって残された領域のーつであるという主観的理由からだけでなく︑客観的に見ても興味深い事情がある︒一っは経済統合との関連である︒
E
C
では︑前記の通り︑かねてより経済統合の︱つの柱として電気通信事業の自由化︑競争の導入が図られてきたが︑それら経済統合プロセスの一応の区
切りである現時点にたってこの事業に関する
E
C
法の現状を︑大まかにではあれ把握することはE
C
法の検討それ自体として時宜を得ている︒第一一に︑
える
上で
も︑
の政策枠組を与えられる各国は︑自国の政策状況と
E
C
加盟国としての全体利益との間の両にらみを図りつつ︑電気通信諸市場に対する自国の構造的および行動的規制のあり方等につき是非︑適否の判断をせねばならないからである︒
最後に︑比較法的検討の意義として︑従来の断片的︑部分的な紹介の枠を越えて問題の様相の全体像を整理的に提示
する
こと
︑
ドイ
ツ︑
フラ
ンス
︑
イギリスなど各加盟国の︑この事業における規制の今後を考
E
C
による枠付けを正確に押さえておくことがどうしても必要である︒なぜなら︑および競争法の適用に関し比較的にまとまった議論経過のある
E
C
法の分析を通じて︑この点での一定の以
L
のような課題と検討の意義を踏まえながら︑本稿は以下の構成をとる︒ ホ唆を導き出せ得ることを指摘できると思う︒まず
初め
に︑
この種の研究の一層の展開に与しようとするものである︒
四五
E
C
加盟国としてそE
C
における電気通信規制の生成と展開の歴史および
EEC
条約上の規定などを簡単に眺めることによって︑規制の現段階に関する予備的背
景につき理解を得て導入としたい︒次に︑具体的な事業規制の内容を分析して規制サイドの考え方を見届ける︒ただ
12 4 ‑‑587 (香法'93)
ここでの事業規制の語意は広く︑法律間題としては経済法の領域に限られず︑知的財産法や民法など関連諸法領
域にも一部はみ出すものがある︒とはいえ︑電気通信規制の全局面を扱うことは筆者の能力を越え不可能であるので︑
現在問題とされている政策課題に関わる限りでの言及にとどまる点︑ご容赦願いたい︒第三に︑
これにより競争法サイドの基本的思考方法と現行の実務運用の姿が確認される
これは共同市場の確立を目指す
E
C
の独自さとも評し得るが︑公共調達の問題につき現状を検討する︒なおここで政府調達の用語を用いず︑公共調達という理由は
E
C
では規律対象が政府や地方公共団体に限られず︑事実上その影曹下にある事業体をも含むからである︒調達間題が電気通信サービスの供給政策の裏返しである
この問題も理論上の基本的構図はわが国などとも異ならず︑
競争政策の対応を可 その限りでこの分野の政策と法規範の検討に意味
もあろう︒要するに
E
C
では実際じより喫緊の課題とされている要請上の程度問題だともいえる︒( l ) 規制と競争の峻別的息考は︑座談会﹁金融・資本市場と競争政策のあり方について﹂公正取引四九七号四頁以ドの根岸発言︵八頁 および一三貞︶において︑産業こそ違え批判されている︒また根炉哲﹁金融・資本市場における独占禁止法の適用間題﹂公正取引同号
ニ四頁以下の一パ五貞︑および同喜坦路連送法卜の認
l l I
連賃制と独占禁止法﹂公正取引四九九号四貞以ドの五頁では規制産業一般に対す る独禁法適用の韮本的考え方がぷされている︒筆者もこのような考え方ないし発想が妥粁であると思う︒また︑現実的制度設計を追求 するという観点こそ違え︵これは本文にいう経済法研究の第一の課題に対応するものである︒︶舟田正之﹁公共企業に関する法制度論 序説(‑)﹂吃教法学二九号八五頁以卜も規制か自由かというて者択一的発想を戒めている︒ともあれ規制産業あるいは公共企業に関 して︑全体をくくっての規制か競争かの議論は実状にもはや適合せず︑個別の各制度なり実体なりを具体的︑実際的に検討することを 通じて規制と競争の相吐関係ないし連関を制度的に定めてゆかねばならない︒つまり規制制度論としてみると︑間題の核心は規制と競 争の並存調幣にあり︑また競争政策からすれば︑それは規制下での競争に対する独禁法適用の可能性ないしその範囲と方法にあるので
ある
︒
以上
︑
はずである︒最後に︑ 及的に現時点に近づけて見てみたい︒ し ︑
四六
12‑‑4 ‑588 (香法'93)
ECにおける電気通伯規制の法と政策(土佐)
六
0
年代以降の技術発展による︑ (2)土佐「政府規制緩和の意義と競争政策の役割ー|ーアメリカの電気通信事業を素材としてー~」神戸法学雑誌三八巻一号―二九頁以下(以下、これをアメリカ法として引用する。)、「ドイツ電気通伯事業法における規制改革と競争政策(上)(ド)」香川法学一0巻一―-•四合併号二四二貝以ドおよび︱一巻一号八三貞以下︵以下︑これをドイツ法として引用する︒︶︑﹁電気通信事業に対する
E C競争法の 適用可能性ー﹁電気通信セクターに係る
EEC
競争規則の適用に閲するガイドライン︵草案︶﹂の概要と解説ー﹂香川法学一一巻三・
四合併号一六九貞以ド︵以ド︑これを
E C競争法ガイドライン草案として引用する︒︶︒なお一.一番目の研究ノートは本稿の三と密接に関
わっているので︑是非併せて参照されたい︒
( 3 )
この点につき︑前柱
( 2
) 拙稿:アメリカ法二七九頁以ドを参照︒また︑事業分野は界なるが︑舟田正之﹁放送事業と競争秩序︵一︶﹂
公正取引
f i o ‑
の電気通佑政策の法と政策をめぐっては︑特に闘郵政国際協会の雑誌︑海外電気通信などでわが国への紹介が精力的に続けら(4)EC .号八貞なども同様の区分けを行って規制を考えることの重要性を指摘する︒
^
れている︒しかしこれは︑雑誌の性格からしてあくまで一局面ごとの出来事なり文内の解説︑紹介にとどまる感が否めず︑それら相吐
の関連やこれに対する評価につき卜分なものといえない︒また国際比較の観点も自覚的であるとはいい難い︒ここに︑本稿が︑実証研
究の枠組を踏まえつつも︑単なる既存の紹介のまとめに終わらず全体としての政策と法の比較検討を行う余地があると考える︒また筆
者は︑このような制度の国際比較のプロセスをいったんかませてこそ︑わが国の制度設計にあたってわが国に適合した妥当な方向性が
展望でき得るものと考えている︒特定の同の固有の文脈で用いられる制度なり概念なりも︑客観的な法ないし制度比較の過程を経て︑
わが国で用いるに有用な道具性をはじめて獲得し得ると思うからである︒なお︑筆者と類似の観点からの研究としては︑縣公一郎﹁E
C
とドイツの電気通信政策﹂情報通に学会誌
‑ 0
巻二号一四三貞以卜を参照︒
問題の背景
四七
供給面での独占維持の制度としての不合理さの認識と︑需要面での新たな高度サ
12 ‑4 ‑589 (香法'93)
ービスヘのユーザーの期待︑要望の高まりは︑
︵競争的サービスまたは非留保サービスと称される︒︶
ヨーロッパに高度情報
(l )
E
C
とても同じであった︒ただ︑電気通信事業に対する既存規制の不 合理なり︑将来の戦略産業としての当該事業に対する援助︑振興の必要性なり︑この事業の抱える前記の間題性は︑
E
C
としても八0
年代中期より認識されていたことが確かめられるのであるが︑これが現実的重みをもって体系的︑
一九八七年六月︑委員会により出された﹁電気通信のサービ
スと機器に係る共同市場の発展に関するグリーン・ペーパー﹂︵以ド︑グリーン・ペーパーとする︒︶を始まりとする︒
その基本的狙いは︑当時︑
おおむね各国に強固に形成されていた電気通信主管庁による各国毎の法定独占を解体し 共同体レベルでの規模の利益を達成するとともに︑当該事業に競争を導入することにより民間活力を引き出し産業競
争力を向上させ︑
める︒第三に︑
もって共同体ワイドでの良質廉価な電気通信環境を実現することを通じて︑
化社会を構築するための道筋をつけることにあったといえよう︒
そのためグリーン・ペーパーは︑以下一
0
の諸点をいわゆる共通電気通信政策として提起した︒第一に︑電気通伯ネットワークの設罹と運営につき電気通信事業体
( T e l
, e
c o
m m
u n
i c
a t
i o
n s
O r g a n i z a t i o n s ;
TOs)の独上〗または排他的権利を認める。第二に、公共目的達成のため基本的なサ ービス︵音声電話サービス等がこれにあたり留保サービスとも称される︒︶の︑電気通信事業体による排他的供給を認
VAN
等を初めとするその他の全てのサービス については競争を導入する︒第四に︑電気通信のネットワークとサービスに関する標準化を強化する︒第五に︑自由 化によるネットワークのモザイク化を回避すべく︑共同体ワイドな電気通信環境の実現のためON
P(
Op
en
N e
t w
o r
k
P r o v
i s i o
n s )
を設定する︒第六に︑型式認定の相互認証制度の導人を通じて端末機器諸市場を競争に開放する︒第七に︑
多くの場合同時にこの事業に対する規制官庁でもあった︑電気通信事業体の規制機能と事業機能を分離する︒第八に︑
競争サービス部分と留保サービス部分の間での内部相互補助を中心として電気通信事業体による競争制限に対する監 組織的に提起され︑見るべき
E
C
政策が起動したのは︑四八
12 ‑ 4 ‑‑590 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(土佐)
視を行う︒第九に︑新規参入する私企業に対しても競争法にもとづく監視を怠らない︒最後に︑
このグリーン・ペーパーに対する各界の議論を集約して改めて委員会の立場を明らかにした﹁一九九二年
における共同体ワイドの競争的な電気通信市場を目指して電気通信のサービスと機器に係る共同市場の発展に関
するグリーン・ペーパーの実施﹂︵以ド︑アクション・プログラムとする︒︶が︑八八年二月に出された︒その核心は︑
グリーン・ペーパーの考えを実際的にアレンジしたもので︑以下の諸点を含んでいた︒第一に︑
端末機器市場を完全に開放する︒第二に︑電気通信サービスに競争を可及的に導入する︒第三に︑電気通信料金をコ
ストに一致させる方向でタリフ原則を漸進的に改定してゆく︒第四に︑規制機能と事業機能を明確に分離する︒第五
に ︑
ONP
を設定する︒第六に︑端末機器に係る型式認定の相互認証制度を導人する︒第七に︑電気通信の政府調達
市場を開放することである︒
かくして︑もっぱら委員会の主導によって提起され︑他の
E
C
機関等との間の合意形成を経て確定されてきた前述の電気通信政策の基本線に沿って︑
その
後︑
E
C
として整合的なE
C
の共通政策が今日に至るまで発展してきているのであるが︑ため︑グリーン・ペーパー等の問題提起的文書に示された諸政策が︑
も将来に向けて合意形成を目指すものや︑
四九 その政策執行の
その後具体的には︑各加盟国に法的義務を課す
指令
( d i r
e c t i
v e )
なり︵原則として理事会が出す︒後述の
EEC
条約九
0
条三項にもとづく委員会指令は例外︒︶︑的に直接適用の認められる規則
( r e g
u l a t
i o n )
なり︑具体的事例における委員会等の決定
( d e c
i s i o
n ) なりといった共同
体法へと︑各領域あるいは事項毎にブレイク・ダウンされてゆく︒また︑直ちに確定的な政策実施は不可能であって
そもそも指令等となじまず
E
C
として新たな行動を起こす際の意図表明のような類に関しては︑理事会の勧告
( r
e c
o m
m e
n d
a t
i o
n )
なり︑決議
( r e s
o l u t
i o n )
なりの形で
E
C
としての強い意思が表 対外的対応をとるため各加盟国の足並みを整えることである︒一 般
一九
九
0
年末までに12 4 ~591 (香法'93)
し て
︑
明さ
れる
︒
つま
り︑
な展開を遂げつつある様々な規範体系の総合が全体として現行の電気通信規制のための法制度をなしている︒さらに︑
分析上︑このような
E
C
電気通信行政法の条約適合性審査のため︑また競争法適用等のため引き起こされた訴訟により形成されてきた
E
C
裁判所の判例法も︑当然見落とせない︒したがってE
C
法は︑電気通信分野でも︑既に確定した法と政策をコアとしつつなお生成途上の周辺を引きずりながら膨張しているわけである︒
とこ
ろで
︑
その行為形式の違いから法的性質につき差異があり︑また決定主体もまちまちに︑ダイナミック
EEC
条約上電気通信事業に関わる明文規定は存在しないので︑
E
C
がその政策遂行上依拠できる条約規定は一般規定だけである︒三
0
条以下の数量制限の撤廃に係る諸規定︑五九条以下のサービスに係る諸規定︑八五条以下の競争関連諸規定︑およびこれらの諸規定と連動して︑執行の場面で︑加盟国の国内法が共同体内の取引に対
する障壁となる場合の一
00
条または一
00
a
条の国内法の調整に係る規定がこれにあたる︒電気通信事業の文脈で︑実際には第一の規定群は端末機器の︑第二の規定群は電気通信サービスの自由移動を確保することに向けられる︒そ
これらの規定群の︑いわば執行機関の有権解釈として委員会指令が各々の領域につき出されている︒
三の規定群の適用事例は︑すなわち電気通信事業体等による競争法違反事例である︒さらに︑ また︑第
ずれかに法的根拠をもつ各政策の具体的執行のため︑事業者に直接適用される競争法を除いて︑第四の規定が原則と
して理事会の指令という形で政策を実施するための条約上の法的基礎とされる︒
( l )
この点につき︑アメリカの事情は︑はじめに注
( 2 拙稿﹁アメリカ法﹂二四頁を︑またドイツの事情は︑同注拙稿﹁ドイツ法︵下︶﹂)
0
三四八頁を参照︒
( 2 ) C o m m i s s i o n , To wa rd s
A
Dy na mi c E u r o p e a n E co no my G : r e e n P a p e r o n t h e D e v e l o p m e n t o f t h e Co mm on Ma rk et o r f
これらの実体規定のい
五〇
12‑‑‑4 592 (香法'93)
(M) Telecommunications Services and Equipment; Brussels, 30 June 1987; COM (87) 290 final. l兵く巨出知訳叩耳翌芭囲苔ぐ記旦ご
⇒
誓薮帯江詈裂旦巨全↑ゃ忌全や⑮垢忌匂斎せ這Ill如睾壬̲)+c! (Commission, Progressreport on the thinking and work done in the field, and initial proposals for an action programme, COM(84) 277 final, 18. 5.
f J ‑+:; 如
+i4
巳見̲)¥J::p衷誓姦宮匹濫深芯探恒杓ニド全'v'fJふ~f;::!,l'‑.')o呪女'や呉群回旦丞芯1‑0<斗z!¾-(、=―,¥ .
゜く一呪やS要酉~;ie\-8匡妄忌姿二遥t{;~翌
⇒
い芸'R.Schulte‑Braucks. Telecommunications Law and Policy inEuropean Communities, 13 Fordham International Law Journal. 234‑53. at 235‑6. 1889‑90. 如~\\淫゜-%~1手苓釦宝土むメで
¥J'::::: !~~~ 濫探咤蓮3菩寄心と如ー菅笹裂S姦淀翌辻柔垣旦巨合でいS雪岩斎迎~:::.;j)壬わ‑+;¥J :, 心(Commission,The EEC Tele‑
communications Industry: Competition, Concentration & Competitiveness, Collection Studies: Evolution of Concentration 1984.)゜ゃG~' 0:::: 一紫壬営咲)the
and Competition Series‑No. 51. Brussels. Dec. 1982)
゜
(""1')
Ad‑
︵起ぃ 深埜 F)
迅︵ 7
痣菜匹宝姦紺心︷文 O=
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XI
W:..J8誓i完坦匹歪吾旦翌兵心琴託iギ,f‑; 〇r.r;8~王竺初芸勾‑i‑1J̲;.,;;J8やf;:!,̲; ゜尽心fく..¥J
.lit‑
8~="一,\・゜〈一〈一迄勾や~o..f‑; f‑; r.r; (Postal, Telegraph and Telecommunications)謬翠'誓疇ミ疇己噂砂ご沿f‑;
<
r.r; (Telecommunicationsministration) 8咲~.,;;JIII!;'.心ニ心゜濫探坐芹S謎苺や芸,t\lK~";-"'><, ー':入紅心届]̲) ¥‑J ̲; ~:! 立遷誌翠喘旦初芸勾臣函..i)f;:!, 令0,{.;; 全芯文
忌'w8~工ば全忌迄歪吾旦送心活S葉18宝国Ll,4\11'-(d..lJ..IJ.,;;J旦←〇の全王二心~i-0→,0旦迄ぐ文゜ゃ8{赳総竺'誓坂~msキー山KU巨
怜心知訳甘母ぐこ(~宝)1~U~ 叡ニ心~!"\'a゜fJ~旦サ心心,f‑;Qr.r; 心竺,(‑'.I紫誓哀常
I:J!S,*
0 ,LC', ー、笞→お醤全,~菜心誓辰痔匹キー山K8廷涵旦ぐ‑li'J‑<¢;巨群巴芯止芸,%,{.:!豆恙幸忌f;:!,~写如迄ーボ
⇒
¥‑J ̲; i‑0, (-'.I函S苔裂社(bodies)均吋もIt-'~心芯垢忌+,‑,i‑0 (control)岩室芸裂~(subsidiaries)8 f J ..IJや全心叫め~\-Jこ!"\'a0
(er.) Commission, Towards A competitive Comminity‑wide Telecommunications Market In 1992: Implementing the Green
Paper on the Development of the Common Market for Telecommunications Services and Equipment (State of Discussions and
Proposals by the Commission) ; Brussels. 9 Feb. 1988 ; COM (88) 48 final.
芸
、=―,¥ .
で一゜く一益湮S濫抵酪吾G~~逢如足心旦杓
⇒ ~,;..}.
ミHerbertUngerer with the collaboration of Nicolas Costello, Telecommunications in Europe ‑Free Choice forthe User in European Community, Brussels 1990.; Helmut Fangmann, Der Stand des EG‑Telekommunikationsrechts, Heft 2/
1990, EuZW S. 48 ff.; Giovanni Cordaro, Towards 1992: the European Community Telecommunications Policy, Telecommuni‑
(S6,1Ui)
cations. Jan. 1990, at 33~38. 匂勾
.,.̲¥Ji,¥
淫゜6S 笠
1̀v ー
tI ー
ば
1通信ネットワーク︑
処理等を行う端末機器の各分野に分けて考察することが便宜である︒
認めるわが国やアメリカ等とは異なり︑
今の所はこれを原則的には独占のまま維持せざるを得ないという各加盟国の おおむねの状況
( E
C
諸国の中でイギリスはむしろ例外的ケースである︒︶に対応しており︑比較的競争導人の容易なサービス分野や端末分野から漸進的に政策を実行してきたという経過を反映している︒
市場行動的規制に関しては︑
三で検討する競争法にもとづく規制に多くをよっている︒もっとも︑現実にそれです
これはネットワーク部分までへも競争的参入を その上において伝送される各種の電気通信サービス︑
そしてターミナルとして情報の入出および
E
C
の電気通信事業に対する市場構造的規制を考える際には︑事業規制の具体的内容
(6)EEC条約一八九条に規定する各機関の行為形式については、P.マテイセン/山手治之監訳•EC法人門(有斐閣、昭和五七年)
︱一六貞以ドを参照︒なおそこでは︑田畑茂ー一郎ほか編・基本条約・資料集︵第四版︶︵有仙常︑一九八四年︶などと同様に
D i r e c t i v e を命令と訳しているが本稿では指令とする︒指令の方が︑規則や決定といった他の行為形式との関連で︑法の調整を目指して各加盟国 の国内法化のために出されるという性格により適合する訳語であると思うからである︒
( 7 )
この条項は八七年の単一欧州議定屯り︵
S i n g l e Eu ro pe an Ac t , B u l l e t i n e o f t h e E C, S up p.
一八条によって新たに導人された 2/86)
もので︑欧州議会とのいわゆる協力手続に関わる規定である︒本条項による坪事会の指令なり規則なりは︑通常︑委員会が閣僚理事会 に対し案を提出する︒閣僚理事会はこれについての意見を欧州議会︵第一訛会
( f i r s t r e a d i n g ) ) から︑および必要な場合には社会経済 評議会から徴する︒その後これを踏まえて閣僚理事会が共通の立場
(c om mo p o n s i t i o n )
を確認し︑これを欧州議会に再び提起する︵第
ー玉
訛会
( s e c o n d r e a d i n g ) )
︒そしてここで必要な修正を経て最終的に閣僚理
r f f
会がこれを採択するわけである︒
ドイツ法の場合と同様︑基幹的通信網としての電気
五
12 ‑4 594 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(土佐)
陸じ系ネットワーク
の一環としてここで扱うことにしたい︒ ないともいえる︒
五
べてというのではもちろんなく︑業務内容についてなど固有の意味での事業規制と関連して電気通信事業体に規制が かかってはいる︒しかしそれらの多くは各加盟国の国内規制の問題として処理されることが多く︑
E
C
としては競争法規制がメインとなっているわけである︒逆に言えば︑そういう
E
C
法と各加盟国の国内法との連関︑相互補完を常に念頭に置きつつ︑現実に進行している経済動態と法規制のありのままの姿を析出しなければ実証研究の実が上がら また︑事業法的センスでいえば対象範囲ではなかろうが︑当該事業に関わる研究開発への経済支援の間題や産業標
準の統一︑規格化の問題︑さらにはユーザーの︑特にプライバシーの観点からのデータ保護の問題や消費者保護の間 題など︑この事業を取りまく実際的要請から︑広い意味でこの事業への
E
C
の関与として分析︑検討すべき点がある︒これら諸点は︑研究開発や標準化を除き経済法研究の枠をはみ出すのであろうけれども︑問題状況の全体的トレース 電気通信ネットワーク
ー
前記の通りグリーン・ペーパーの態度は︑ネットワークの設置と運営につき電気通信事業体の排他的または特別の 権利を引き続き認めるというものである︒要するに電気通信事業体による法定独占を許容するという趣旨である︒た だし注意すべきは︑グリーン・ペーパーはより規制緩和的な方向性︑
競争導入を否定しているわけではないという点である︒なお︑
施策をとっておくことが求められている︒
すなわちイギリスの経験のごときこの分野への その場合には︑ネットワークの中長期的統合のための おそらくそのスタンスは︑妥協的に法定独占をやむなく許容せざるを得な
12 ‑4 595 (香法'93)
に努力を集中しており︑
これ
は︑
いという政治的立場にもとづくものと推察される︒
E
C
全体として見ると︑衛星通信は別として︑電気通信ネットワークを敷設ないし構築し︑権限を原則的に各電気通信事業体に留保するケースが圧倒的である︒ドイツ︑
いう電気通信回路設備︵電気通信事業法六条︶を私企業が業として設憤︑運営できる国はイギリスのみである︒もっ とも︑原則独占は直ちに完全独占を意味せず︑特に移動体通信やページング等を中心として陸上系の基幹通信網を補
完する周辺的ネットワークにつき許可制などを敷いた上で新規参入を認めるのが大勢である︒私見では︑
この分野での
E C
政策は
︑
後押しもあり︑ る種の足どりの重さがあるように感じられる︒ は︑わが国やアメリカと比べて︑ これを維持︑保守する
フランスなどを初めとして︑日本法で
ヨーロッパ全体ではいまなお加入要請を満たすのが比較優先順位であるという︑あ
したがって市場構造論的な比較の興味は引かないけれども︑
わが国やアメリカとの国際競争を強く意識して問題に取り組んでいる限り︑
できないのでは競争上の弱点となるからである︒これについては︑ 一種の産業政策的な取り組
みが目に止まる︒すなわち︑現在
E
C
はヨーロッパ・ワイドなネットワーク・インフラストラクチャーの協調的構築ヨーロッパ産業全体の競争力強化のためにも︑効率的で高度な電気通信ネットワー クの形成が明暗を分ける重要な産業基盤となるという認識に裏打ちされている︒まず︱つは
ISDN
であ
る︒
ISDN
の利用が各加盟国の間で相互に(2 )
一九八六年︱二月の理事会勧告が︑各加盟国が独
自に標準や規格を導入することによって生じる
E
C
レベルでの接続困難を回避することをうたった︒その後委員会の八九年四月︑全
E
C
加盟国を含む︱1 0
のヨーロッパ諸国からの二六の電気通信事業体が︑最低限の汎
ヨーロッパ
lSDN
サービスの提供ならびに共通
ISDN
シグナリング・システムの導入に合意した︒これを契機に︑現在は九三年までに
E T S I ( E u r o p e a T n e l e c o m m u n i c a t i o n s S t a n d a r d s I n s t i t u t e )
の標準による
EURo
ーISD
五四
E
C
が この背後に12—- 4~596 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(土佐)
N
の構築が期待されるところにある︒なお︑ONP
との関連で︑九一年︱二月に委員会により提案された理事会勧告案
は
ONP
の考え方と調和する標準︑利用条件︑提供条件およびタリフ原則の実行を目的として︑会でもあるので︑国境を越えても利用し得る移動体通信システムがビジネスの要請としても必要となるわけである︒
八七年六月の理事会勧告および指令は︑九一年をめどに
GSM
標準の導入をうたったが︑
GSM
端末の相互認証やク
ロス・ボーダーの料金請求条件等をめぐってその後の進捗は必ずしもはかばかしくなく︑結局現在のところ︑九二年
末をめどに委員会が移動体通信独自のグリーン・ペーパーを提案して再度議論を起こす手順となっている︒
第三はページング︵わが国ではポケットベルにあたる︒︶である︒これも移動体通信に関してと同様の背景事情から
調整が必要な分野である︒前記八七年六月の理事会勧告を踏襲する形で︑委員会は八九年六月に
ERMES
と呼ばれるページング・システムの展開に関して理事会勧告案および指令案を提起した︒これらは九
0
年一
0
月︑理事会により各々採択され︑九二年末をめどに前記システムの実現を図っている︒なお︑指令の方は周波数割当に関わっている
が︑勧告は事業戦略に係るものであり︑
EEC
条約
一
00
a
条にもとづかず二三五条により処理された︒第四に︑コードレス通信がある︒九一年六月︑理事会は
D E C T ( D i g i t a l E u r o p e a n o r c d l e s s t e l e c o m m u n i c a t i o n s )
( 1 0 )
と称されるサービスの調整的導入に関する勧告および指令を採択した︒指令は周波数帯の確保を各加盟国に義務づけ︑
勧告は各国および各電気通信事業体が九二年末までに
DECT
のための設備を利用できるよう導入条件を整備するこ最後
に︑
とを促している︒ 次に︑移動体通信も調整の対象となっている︒
ヨー
ロッ
パは
︑
条件ならびに最低限の機能基準の調整を提案している︒
五五
ISDN
のアクセスイギリス等を除けば︑地続きであり︑また自動車社
D S R R ( D i g i t a l h o s r t
ー
r a
n g e r a d i
o )
と呼ばれる無線利用形態があるが︑委員会は︑現在︑周波数割当に12‑‑4 ‑597 (香法'93)
衛 星 通 信
関する理事会指令案を提起したところである︒
以上のような︑
E
C
域内だけでなく︑かかる共同計画のスピルオーバ
一部についてはそれを越えたヨーロッパ・ワイドな電気通信ネットワーク・
インフラストラクチャー構築に向けた
E
C
の調整的努力は︑単に各国法ないし各国の行政規制の調整という意味あいのみならず︑前述の通りそれが産業政策的性格をもつ
E
C
主導の研究開発計画とも結びついている場合があるという点で典味深い︒例えば︑
ISDN
はE
C
の研究開発計画の一っであるRACE
においても念頭に置く形で研究射程に 組み入れられており︑あるいは
E S
P R
T I
I
においては標準化間題が含まれるなど︑ー効果は各国政府の調整とならんで事業者の側の調整努力を研究開発のサイドから励ますものである︒このような観
点から︑基本的に︑事業者間のかかる協調的研究開発は︑
EEC
条約八五条三項にもとづき︵主として研究開発に閃 する一括適用除外規則によって︶競争法の適用を除外されることとなろう︒また︑九二年二月の理事会規則案による
と︑理事会のガイドラインに適合する全ヨーロッパ・ネットワーク
( t r a
1 n s
E u
r o
p e
a n
n e
t w
o r
k )
に係る一定の事業計画 は﹁ヨーロッパ利益
( E
u r
o p
e a
i n n
t e r e
s t )
﹂にかなうものと宣言され︑補助金を交付される予定である︒
2
さて︑以上の陸上系ネットワークとならんで︑電気通信ネットワークの分野で重要なものは︑衛星通信である︒し
かしこの領域では︑
出し
︑
まとまった政策が確立され規制のための規範体系が整備されているという形にはなく︑
在政策論議が収敏しつつあるという状態である︒九
0
年一
まさに現
一月︑委員会は衛星通信に関するグリーン・ペーパーを提 共通政策策定のための議論を起動した︒このグリーン・ペーパーによると︑規制環境の点で以下四つの変更が
必要とされる︒
その第一は︑当該分野での特別または排他的権利をすべて撤廃することなどの地上設備の完全自由化である︒これ
五六
12 ‑‑4 ‑‑598 (香法'93)
ECにおける電気通伯規制の法と政策(土佐)
売が含まれる︒第四は︑ する用語であって︑
五七
には︑公衆ネットワークヘの接続に係る適切な型式認定手続に服する受信専用端末および適切な型式認定ないしライ センス手続に服する送受信端末
( t
r a
n s
m i
t /
r e
c e
i v
e
c a
p a
c i
t y
に対する自由で制約のないアクセスである︒ただし︑これは共同体法の遵守のため各加盟国によって設定さ)
れかつ共同体の電気通信政策において到達される合意にもとづく︑特別もしくは排他的権利または規制上の規律を確 保すべく︑ライセンス手続に服する︒そしてこのアクセスは︑公平かつ非差別的でコスト志向の基礎にもとづくもの
でなければならない︒なお︑ここで宇宙部分とは地上局など衛星通信ネットワークの地上部分
( e a r
t h s
e g
m e
n t
) に対応
である︒第四に︑
t e
r m
i n
a l
s )
が含まれる︒第二は︑宇宙部分容量
( s
p a
c e
一ないし複数の衛星︵主衛星と副衛星など︶
ある︒したがって宇宙部分容岨とは︑かかる衛星システムにおいて利用可能な伝送容量をいい︑通常は当該衛星の出 力と数に関係している︒第三は︑宇宙部分の供給者に関する完全な商業
t
の自由である︒これには︑前述のライセンス手続と共同体法とりわけ競争法の遵守を条件として︑
ヨーロッパ・ワイドな供給と利用を促進するのに必要な限りでのハーモナイゼーション措置 である︒これは特に︑ライセンスと別式認定に係る相互認証︑周波数調整︑共同体外の国からのおよびこれに対する
サービス供給の調整に係る事項に関連している︒
そして︑これらの規制変更提案を実現するため︑
s e
g m
e n
t
により形成される衛星システムの宇宙部分のことで サービス供給者およびユーザーに対する宇宙部分の直接的販
共同体の措置としては以下六点が予定されている︒第一に︑衛星 通信端末機器の型式認定の相互認証である︒このため関連する理事会指令の範囲拡大が提案されている︒第二に︑衛 星端末ライセンスの相互認証に係る共同体としての枠組である︒これは特に︑衛星端末ネットワークの共同体ワイド な運用のための条件と拠点局運営を規制する条件について設定される︒第三に︑衛星通信に関わる周波数調整の強化
共同体外の国からのおよびこれに対するサービスに関する各加盟国の調整を強化することである︒
12 4 599 (香法'93)
C
の共通政策もまた︑ データの交換︑クレジット・カードの確認照合や
P o s
( 1 6 )
これは現在交渉中のウルグアイ・ラウンドでの
GATT
サービス貿易自由化協定にもとづいてなされることとなる各 加盟国での手続などを調整することを目的とする︒第五に︑衛星端末ネットワークの接続について
ONP
を特別に定
めることである︒つまりは
ONP
ポリシーを衛星通信にも拡大することである︒第六に︑公衆向け衛星放送につき将 このグリーン・ペーパーは以上のような施策を実現すべく︑長期的な政策の方向性を示唆している︒第一
は ︑
E U T E L S A T ( E u r o p e a T n e l e c o m m u n i c a t i o n s S a t e l l i t e O r g
a n i z a t i o
n )
条約およびその運営協定の見直しに向けての作業である︒第二は︑衛星通信に関する国際的場面とりわけ
I N T E L S A T ( T h e I n t e r n a t i o n a l T e l e c o m , m u n i c a t i o n s S a t e l l i t e O r
g a n i z a t i o n )
と
I
N M A L S A T ( T h I n e t e r n a t i o n a l M a r i t i n e S a t e l l i t e O
r g a n i z a t i o n )
にお
ける各加盟国の共通の立場を確定することである︒第三は︑衛星通信端末機器につき
ETSI
での標準化作業を加速 化することである︒第四は︑実用面でのサービス供給者と電気通信事業体による衛星通信の完全な利用を促進するこ
とで
ある
︒ 以上のような衛星通信に関する
E
C
の共通政策が最終的にいかなる規範体系を生み出すかは現在断定できないが︑おそらくは前記グリーン・ペーパーの基本ラインに沿ったものとなることだけは確かである︒アメリカでは七
0
年代( 1 8 )
いわゆるオープン・スカイ・ポリシーが採用され︑多数の民間通信事業者によって衛星通信が
CATV
の番組
プログラムの配給︑
T
V
ニュースの取材と中継︑企業内ないし企業間通信︑ホテルやレンタカーの予約などに用いられる
VSAT
サービス等に積極的に活用されてきている︒
かかるサービスの共同体ワイドな展開を目指したものといえるのである︒
か ら
︑ 最
後に
︑ 来的な伝送技術をハーモナイゼーションすることである︒
E
五八
12‑4 600 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(.土佐)
提供を害する可能性があるからである︒第二に︑ `ー︐ー9ー︐
電気通信サービスに関する
E C
の態度
は︑
いユニバーサル・サービスとしての音声電話サービスを除き全てのサービスにつき競争的参人を認めるというもので あった︒そしてこのラインは︑九
0
年六月︑委員会がEEC
条約九
0
条三項にもとづき出した電気通信サービス指令 によって各加盟国にとっての法的義務へと結晶した︒その内容の骨子は︑第一に︑音声電話を除きすべての電気通信 サービスにつき各加盟国が与えている排他的権利を廃止すること︒なお音声電話サービスが留保される理由は︑これ の競争への開放が電気通信事業体の財政安定を脅かし︑ひいてはユニバーサル・サービスや公共的な緊急サービスの
一定の移行期間後︑専用回線の再販売を認めること︒第三に︑公衆 ネットワークヘと経由する伝送前後での電気信号の処理の制限を廃止すること︒最後に︑これは端末機器に関する委 員会指令︵後述︶と同様であるが︑電気通信事業体の規制機能と事業機能を分離すると共に︑これらが関わる既存の 長期契約の解除を許すことである︒ただ︑指令は衛星通信と移動体通信に関しては言及しておらず︑これらの領域は 各々のグリーン・ペーパーを委員会が作成して後の議論に委ねられている
ン・ペーパーが既に出されており︑また移動体通信については提出待ちの状態にある︒︶︒
さて︑この指令は︑電気通信サービスの供給につき各加盟国が自国の電気通信事業体にのみ特別または排他的な権 利を認めるのは
EEC
条約五九条ならびに八六条に違反するという考え方にもとづく︒すなわち︑前述の権利を認め ることによって︑各電気通信事業体は︑他の加盟国へのまたはそれからの︑別の事業者によるサービスの提供を︑例
2 電気通信サービス
電気通信サービスに関する指令
五九 ︵前述の通り︑衛星通信についてはグリー アクション・プログラムによれば︑一九八八年以降︑公共的意義の大き
12‑‑4 ‑601 (香法'93)
ま た
︑
えば公衆ネットワークヘの専用回線の接続禁止︑提供されるサービスと比例しない接続アクセス料金の賦課︑経済的 正当化事由のない従量タリフの適用︑他のサービス提供者に対するネットワークヘのアクセス拒絶等の形で不可避的 に制限してきたのである︒もっとも︑指令は︑電気通信事業体によって課されるあらゆるアクセス制限が不当である
サービスの相互運用の確保︑データ保護のような﹁公共の利益 ( g e n e r a l i n t e r e s
t ) ﹂に関わる一定の要請︵これらは本来的要請
( e s s e n t i a l r e q u i r e m e n t s ) と
呼ば
れる
︒︶
これを逆に言うと︑少なくとも指令の考え方だけからすれば︑前記以外の制限は全て五
九条違反もしくは八六条違反のいずれかまたは両方に違反するとして委員会に捕捉され得るという︑
いことにもなる︒そこで︑実際には︑前記﹁公共の利益﹂の文言を有する九
0
条二項は︑適用除外実例はまだないと 思われるけれども︑委員会の見解ではこの指令に定める本来的要請にもとづく正清化事由よりもやや広い幅があると 解釈され︑結局︑競争法からの適用除外の範囲は先の指令にいう本来的要請を核としながらも︑なにがしか周辺部分
とこ
ろで
︑
スペ
イン
︑
この指令は︑先の端末機器に関する委員会指令と同様︑
その無効を求めて
E
C
裁判所に提訴している︵現在係属中︶︒もっとも︑先の委員会指令の事件ですら大筋で委員会の立場が裁判所によって是認されており︵本件後述︶︑この商品の自由移動に係る三
0
条に関する解釈とサービスに係る五九条をめぐる解釈が今では接近していることから︑電気通信サービス独占を解体せんとする委員会の立場が再び司
この指令が留保サービスであるとしている音声電話サービスの現在の地位も不動のものではない︒委員会の
下部機関である
DG4
︵競
争総
局︶
および
D G 1 3
では︑現在電気通信サービスにおける競争の現状を調査中である︒ 法的にも追認される見通しが強いと思われる︒ をもつものと理論構成される︒ に関しては認める︒
しか
し︑
とまでいうものではなく︑ネットワーク運営の保全︑
ベル
ギー
︑
イタリアの各国政府が︑ いささか堅苦し からでたもの2 ・[
六〇
4 602 (香法 '93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(土佐)
̲ ̲L..
/¥
これに伴う公共的意義を軍視した以前の つまりネットワークの設置と運営に関する
これは特に共同体内
( i n t r a
‑ C o m m u n i t y ) の音声電話サービス供給を問題としているようである︒すなわち︑距離的に は等しくとも︑いったん国境を越えるサービスとなると国内同距離のサービス価格と比べて法外に高額となるような︑
現在のサービス提供のあり方には厳しい批判があるわけである︒そしてこのサービス分野への競争導人は︑当然なが らこれに関わる越境ネットワークヘの競争導入をも想定することとなる︒
各加盟国の独占認知も︑連動して変更される叶能性がある︒このような委員会の態度は︑国際電話につき各電気通信 事業体により徴収されているタリフの価格水準に対しても表れており︑現在委員会はこのタリフ水準が各電気通信事 業体間のカルテルによるか︑または市場支配的地位の濫用によるものではないかとして︑
して正式調査を開始している︒
しかしながら︑留保サービスに対する委員会のこのような批判的見方は︑
理屈と矛盾するし︑ネットワークヘの競争的参入は
E
C
の既存の政策ラインが憂慮していたクリーム・スキミングを必然的に誘うであろう︒この点で︑
DG4
や
D
G 1
はネットワークにも競争を導入しているイギリスの経験に学び︑
3
かつその成果に相当の信頼も置いている︒これらは︑
つサービスにさほどの価格上昇も認められず︑
うである︒この評価や︑
イギリスではネットワークに競争を導入しても公共的意義をも またユニバーサルな供給に欠ける点も見あたらないと評価しているよ また前述の国際料金に対するユーザーの不満を説得材料にして︑
み越えて留保サービスとネットワークにも競争を導入することは︑
八五条ないし八六条に照ら これまでの禁止ラインを路
かかる考え方を委員会と必ずしも共有していない 各加盟国から理解と支持を得ることができようか︒これはなお表面化はしていないが︑厳しい議論の予想される潜在
( 2 2 )
的論点である︒また理論的にみても︑イギリスの経験はあくまで複占下でのものであり︑現実にクリーム・スキミン グによる全国州際統一料金体系の崩壊などが歴史的に観察されたアメリカなどと比べて︑問題の表れ方がわが国と同
12 ‑4~603 (香法'93)
次
に (2)
ヽ
内のどこにいても同一のアクセス条件を提示されることとなる︒
事業体の法定独占を解体したとしてもヨーロッパ・ワイドなサービスの提供は事実上不可能なわけである︒ここに︑
現実
には
︑
ONP
フレームワーク指令が︑電気通信サービス指令と密接に関わって同日付けで出されたことの含意がある︒ただ︑
ONP
は︑各サービスごとに技術的︑経済的性格が違うので︑以下に述べるような領域別に出す必要があ る︒この指令はそのための基本的考え方や発出スケジュール等を定めるものであり︑指令は委員会と
S O G I T ( S e n i o r O f f i c i a l s G
r o u p
ー
T e
l e c o m m u n i c a t i o n s )
の共同作業の成果であり︑
の調整を経ている︒指令は︑専用回線︑パケットおよびサーキット交換データ・サービス︑
ISDN
︑音声電話︑レックスおよび移動体通信をカバーしており︑公衆ネットワークヘのアクセス条件が客観的基準にもとづくべきこと︑
透明かつ適切な形で公表されるべきこと︑平等で差別的でないこと︑本来的要請以外の理由にもとづくアクセス制限 を禁じることを主要内容としている︒そして︑委員会によって示される標準に依拠する場合には︑
ONP
に関する諸指令とできるかどうか︑少々疑念も残る︒
つま
り︑
かかる要件の遵守
テ したがってこの名称がある︒
ETSI
と この設定がされない限り︑たとえ電気通信
の技術的インターフェイスや利用条件︑タリフ原則等を共通化するための定義概念であり︑
入した競争的なサービスの供給主体を含む各事業者は公正な競争条件を確保することができ︑
またユーザーは
E C
域この設定によって新規参
一般的にいえば︑
ONP
とは
︑
E
C
域内での公衆ネ様比較的に緩慢である︒真の意味で競争環境が整備されていってもなお︑
E
C
の理屈の枠内でイギリスの経験を手本E
C
の電気通信サービス政策に関わっては︑前記指令とならんでONP
の問題を見落とせない︒理事会は0
N
P
フレームワーク指令を︑前記指令と同日付けで出している︒ットワークに対するアクセスが各加盟国法ないし行政規制の違いを通じて不当に制限的にならないように︑
アクセス
『
ノ
12 4 ‑604 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(土佐)
を掲げた︒これに呼応し︑
員会が介入して排他的慣行を是正することはあったわけで︑この指令はそのような案件の個別的処理を制度として確
立しようとしたものとも評価できよう︒指令の基本的考え方は︑各加盟国の電気通信事業体によって享受されている アクション・プログラムは︑ につき推定効が働くとする︒このようなラインの延長上にある︑免許を受けたならば︑
︵いわゆる一種の
E C
パスポ
ート
︶
であり︑委員会は現在その旨の理事会指令案を検討中である︒
なお︑このフレームワーク指令にもとづき︑既に九一年二月に専用回線につき理事会指令案が︑また同年公衆デー
6,
タ・ネットワークと
ISDN
につき理事会勧告案が出され︑さらに現在︑音声電話につき理事会指令案の起草が委員端末機器に関して︑
よる当該市場の直接的開放である︒第二は︑国内法調整のため一
00
a
条を用いて︑端末機器の越境取引のための技術的障壁を除去することである︵型式認定の相互認証︶︒最後に︑側面的に︑各種機器の
E
C
標準化を公的にも後押しすることを通じて︑競争のための共通基盤を整えることである︒標準化については︑他の分野とも重なり︑また独自
端末機器指令
ONP
の究極目的とは︑事業者が一旦ある国で事業たとえ他国においてであっても再び同様の免許を受ける必要なく事業を進めることができるよ
E
C
のアプローチは三つに分かれる︒︱つ
は︑
'
ノ
EEC
条約九
0
条三項にもとづく委員会指令にの政策展開も認められ4で扱うこととするので︑ここでは先の二つの方向に関して述べよう︒
ー
一九八八年以降本電話機を含む全ての端末機器市場を競争に開放するという政策目標
八八年五月︑委員会は端末機器に関する指令を出した︒もっとも︑以前からも個別的に委 3
端 末 機 器
会において進められている︒ うにすること
12‑‑‑4~605 (香法'93)
のもつ里程標的意義は大である︒ 諾々と従うわけはなく︑フランスがこの分野
特別または排他的権利が
EEC
条約三
0
条︑三七条および八六条に違反するというのである︒は︑各加盟国が︑第一に︑
かかる評価から︑指令 その種の権利を廃止すると共に︑全ての事業者に対し端末機器の輸入︑販売︑接続︑保守 の自由を確保すること︒第二に︑端末機器に関わる技術基準明細
( t e c h n i c a l s p e c i f i c a t i o n s
) を公表すること︒第三に︑
技術基準を設定し型式認定を認証するなどの規制機能を︑電気通信事業体以外の独立した機関に委譲すること︒最後
に︑各電気通信事業体は︑彼らが独占であった時期に結ばれた長期レンタル契約を︑
することができるということを周知することなどを主たる内容とする︒
もしューザーが望むならば解除
やや強引ともいえるこのような委員会︑E
導の指令に対し︑自己の政策的フリーハンドを維持したい各加盟国が唯々
ベル
ギー
︑
ドイツ︑ギリシア︑
委員会主導でここまできた
E
C
共通電気通信政策が︑ イタリアの各国政府の訴訟参加も得て︑において委員会に指令発出の権限など条約上ないなどとして︑
E
C
裁判所に提訴した︒官が原告勝訴の旨の意見を提出するなど判決の行方に不透明感が広がったが︑九一年三月︑結局︑裁判所は︑委員会
には九
0
条三項を法的基礎として公企業または加盟国から特別もしくは排他的な権利を与えられている事業者に関わ
( 3 0 )
る各加盟国の条約上の義務を﹁特定する
( p r e c i s e r ( s p e c i f y ) )
﹂権限があるとして委員会を勝たしめた︒本判決により︑ 一時︑本件につき裁判所法務
その一部とはいえ初めて司法的にも確認されたわけで︑本判決 ところで︑理論上︑本件で注目されるのは商品の自由移動に係る三
0
条の解釈についてである︒裁判所は︑まず︑端末機器を輸入︑販売する排他的権利は︑それらの権利が別の取引業者を通じて端末機器を購入する可能性をユーザ ーから奪い取ること︑とりわけ機器の多様性と技術性からして独占者が全ての機器を市場に提供できる保証はないと
いうことを理由に︑三
0
条で禁じる輸入数量制限と等しい効果を有する措置であると認定したうえ︑したがって本件
六四
12‑‑‑4 ‑606 (香法'93)
ECにおける電気通信規制の法と政策(‑!‑.佐)
指令は条約に合致すると結論づけた︒
また︑三六条または九
0
条二項の例外規定についても︑裁判所は︑本件指令によって各加盟国はユーザーの安全性などの本来的要請を守らせるための技術基準明細を課すことができることから︑
これらの例外は既に考慮されているとした︒さらに︑機器の接続︑保守等に関する排他的権利について︑裁判所は︑
. ︱ ‑
0
条は︑競争維持政策を規定する一︳一条︵項に定められた原則に沿って解釈されるべきであるとし︑販売に係る排他的権利の廃止は︑接続や保守などのサービスの提供を必然的に要請するものであるとした︒
このように本判決の立場は︑三
0
条に加えて︑商業的性格の国営独占に関わる三七条と市場支配的地位の濫用に係
る八六条をも同時に独占解体のための法的基礎として依拠してきた︑
だ三
0
条のみで排他的権利の撤廃を法的に正当化した点で︑その射程の問題は残るけれども法発展の新段階を示すも
のである︒この裁判所の態度は︑その後の
M o n t e i
事作や l
D e l a t t r e 事作においても踏襲されており︑いまや確立した ところで︑指令の定める端末機器の技術基準適合認定制度については本件で争われていないが︑判決の前述の文脈
からして三六条または九
0
条二項にもとづき︑少なくとも輸人される機器については正当化されよう︒なおこの制度は︑その後の
RT T
V•
GBー
I n n o
‑ B
M 判決において裁判所により一層発展せられている︒すなわち︑公企業が公衆ネ
ットワーク向けの端末機器の技術基準適合認定の権限を維持する場合︑ 方向性と呼ぶことができよう︒
六五
その判断が司法審在に服するものでないなら
ば︑かかる権限は三
0
条に反するとしたのである︒この点で︑現在︑この認定を受けていない機器の販売禁止に係る 訴訟が裁判所に多数係属していることをつけ加えておこう︒新たな法発展の導きとなるかどうか︑注目される︒
③ 型 式 認 定 の 相 互 認 証 端末機器に関する
E
C
のアプローチの二つ目は︑型式認定相互認証制度である︒この種の非関税障壁が共同市場実これまでの委員会の立場をはるかに越えて︑た
12 4 ‑607 (香法'93)