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博士(農学)朴 鍾燮 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)朴   鍾燮 学位論文題名

日本における農村財政の特質に関する研究      一 都 市 財 政 と の 比 較 に お い て ―

学位論文内容の要旨

  従 来の農 村財政 に関 する研 究成果 は事例 分析 にすぎ ず,し かも定 量的分 析が 極めて少ないこと か ら,本 論文は 入手可 能ナ ょ資料 にもと づく基準によって,農村財政を地方財政の中に位置づけ,

全 国的視 点から 都市財 政と の比較 分析を 通じて ,農村 財政 におけ る財政 構造及 び財 政運営の特質 を 明らか にした もので ある 。

  本 論文は7章 からナ ょり, 第1章では ,本 論文の 課題と 研究方 法を 設定し ,さら に,これまでの 農 村 財 政 に関 する研 究成 果を整 理し, 本研究 の意 義を述 べてい る。第2章 は,地 方財政 にお ける 制 度 的 側 面か ら み た 農 村財 政 の 構 造と運 営の特 徴を概 観し ている 。そし て,第3章 から第6章 ま で は , 本 論文 で設定 され た課題 に対す る実証 分析 がなさ れ,第7章 におい てその 分析の 要約 と結 論 が述べ られて いる。

  第2章 で は ,制度 的側 面から 地方財 政の特 徴を考 察し ,特に 地方財 政との 関連 の深い 地方交 付 税 と国庫 支出金 に焦点 をあ て,農 村財政 からみ た特徴 を明 らかに してい る。地 方交 付税の算定方 式 におい ては, 地方交 付税 総額が 景気変 動に左 右され 易く ,一般 財源の 多くを 地方 交付税に依存 し ている 農村財 政にお いて ,財源 確保上 ,より 不安定 性の あるこ とを指 摘して いる 。なおかっ基 準 財政需 要額の 算定に 用い られて いる測 定単位 に,農 村行 政の実 態が十 分反映 され ていない面が あ ること と,さ らに国 庫支 出金は ,国の 財政事 情によ って 補助金 の配分 が決定 され ,投資的経費 の 多くを 国の補 助に依 存し ている 農村財 政では ,その 影響 が大き いこと を明ら かに している。一 方 ,地方 財政運 営原則 から すると ,農村 財政に おける 予算 ・決算 上の収 支均衡 ,財 政構造上の弾 力 性の確 保,適 正な行 政水 準の確 保,財 政運営 上の効 率化 及び公 正性の 維持な どを 図るのが重要 で あるこ とを指 摘して いる 。

  第3章 で は ,類似 団体 別統計 を取り 上げ, 経済成 長に 伴う産 業構造 の変化 が農 村・都 市間の 経 済 力格差 を拡大 させ, 双方 の間に 財政運 営の構 造的差 異を もたら したと いう仮 説を おき,ドラス チ ッ ク な 景気 変動で あっ た第1次オ イル・ ショッ クの前 後の 成長期 別に農 村・都 市財政 構造 変化

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の 特徴を 明らか にし ている 。農村 におい て財政 力指 数が極 めて低 く,税 収不 足,公共サービス費 用 が増加 傾向に ある こと, さらに 低成長 になる と, その租 税収入 の不足 を地 方債で賄うため財政 構 造 の 弾力 性が低 下し ている ことを 明らか にし ている 。一方 ,1人当り 歳出額 の項目 別の 相互依 存 関係で は農村 にお いて歳 出項目 の増分 主義的 傾向 がみら れ,低 成長期 に入 ると,公債費の他歳 出 項目に 対する 影響 カが強 いため ,経済 状況の 悪化tま, 地方公共団体の財政構造に大きな影響を 与 え る と 共 に , そ れ が 農 村 財 政 に よ り 大 き な 影 響 を 及 ば す こ と を 明 ら か に し て い る 。   第4章で は,府 県市 町村の 中で, より農 村的・ 都市 的特徴 を有す る市町 村を 取り上 げ,財 政構 造 ・運営 の特徴 を検 討し, 特に住 民負担 及び住 民サ ービス 費用の 変化と 国の 財源調節機能に対す る 標準的 財政収 入, 標準的 財政需 要の影 響を明 らか にして いる。 農村・ 都市 間の財政力格差は一 層 拡大し ている ため ,農村 的特徴 がより 強い地 方公 共団体 の財政 状況か より 悪化することと,さ ら に基準 財政需 要が 増加す るほど ,地方 交付税 額は より多 く増加 するこ とを 明らかにしている。

こ れは, 農村に おい て住民 サービ ス費用 の増加 が地 方交付 税の増 加に結 び付 いていること,さら に 農 村 の 自 治 強 化 の た め に は , 自 主 財 源 の 増 加 が 必 須 で あ る こ と を 指 摘 し て い る 。   第5章で は,農 村的 特徴が 都府県 にくら べ相対 的に 強い北 海道市 町村を 対象 として 農村財 政と 都 市財政 におけ る財 政構造 ・運営 の特徴 を検討 し, 歳入・ 歳出構 造では ,財 政構造の弾力性,健 全 性及び 安定性 が都 市に比 べて低 く,財 政運営 結果 を表す ストッ ク指標 の評 点においても,都市 に 比べて 低いこ とを 明らか にして いる。 農村に おい て人口 減少の 傾向は ,歳 入総額の大きな減少 を もたら してい るが ,しか し,地 方税収 入に対 して は何よ りも農 業粗生 産額 が影響カを持ち,自 主 財源確 保のた めに は,ま ず農業 部門の 生産額 を上 げるこ とが現 実的に 重要 であることを指摘し て い る 。歳 出面で は, 人口減 少率が 大きい ほど 歳出規 模の小 さいこ とが明 らか になり ,なお ,1 人 当 り 公的 支出の 決定 要因と して, 都市で は1人当り 所得 の影響 カが高 いのに 対して ,農 村では 1人当 り国か らの歳 入の影 響カ が大き いこと を明ら かにし てい る。

  第6章で は,北 海道 におけ る農業 就業人 口比率 の最 も高い 地方公 共団体 を取 り上げ ,農村 財政 に おける 農業関 連支 出構造 の特徴 を明ら かにし てい る。農 業関連 支出は 農業 生産部門のみならず 生 活,教 育研究 及び 環境整 備など 数多い 部門に まで 及んで おり, 各事業 別財 源の調達においても 多 様であ ること ,一 方農林 水産業 費にお いて単 独事 業のシ ェアか 増加す る中 で,財源別では一般 財 源また は地方 債の 割合が 増加傾 向であ ること を明 らかに してい る。農 業費 の財源別では国・道 支 出金の シェア が滅 少し, その代 わりに 団体負担金などが増加していることを明らかにしている。

要 するに 農業関 連事 業は数 多く, 財源調 達面で 国へ の依存 度が高 いとは いえ ,自主財源,地方債 等 を財源 とする 単独 事業が 増えつ っある ことを 指摘 してい る。一 方,歳 入歳 出構造は水害など農

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業災害による影響を強く受けていることを明らかにしている。

  以上の分析を通じて,全国市町村における類似団体および府県レベルの財政構造分析より,都 市財政に比べて農村財政がより厳しい状況であることと,さらに低成長期になると,農村財政構 造がより悪化することを明らかにしている。一方,全国市町村に比べて社会・経済的側面におい てより不安定な条件下にある北海道市町村の分析においても農村財政構造は脆弱なことを明らか にしている。財政構造面では,農村財政において自主財源の割合が低く,しかも依存財源の比率 が極めて高いことを明らかにしている。このような財政状況の中で,地方交付税によって一般財 源がある程度保証されるとはいえ,過疎化の進展による対住民サービス費用の増加,貿易自由化 の進展に伴う農業の危機に対する財政需要が増大するなか,農村の財政カが相対的に都市より小 さく,不安定な条件のもと,長期的には公債依存にも限界があることを指摘している。財政運営 面でfま,農村財政において財政運営上の安定性,健全性および弾力性が都市に比べて相対的に劣 り,自主的財政運営が困難であること,一方,制度面では,このような農村財政の問題を現状で 根本的に解決するのには限界があり,さらに国の制度的関与の拡大は地方分権化の見地からも望 ましくないと指摘している。

  したがって,地方の時代を迎え,地方自治の本来趣旨である分権化を達成していくためには,

地方公共団体,自らの健全な財政構造を確立することが先決課題であり,このためには,まず個 性ある地域経済振興が急務であることを示唆している。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授    黒 教 授    天 教 授    七 助教授   出

柳俊雄 間    征 戸長生 村克彦

  本論文は,7章からなり,表50,図34を含む総頁数189頁の邦文論文である。別に参考論文12 編が添えられている。

  従来の農政財政に関する研究成果は事例分析にすぎず,しかも定量的分析が極めて少ないこと から,本論文は入手可能な資料にもとづく基準によって,農村財政を地方財政の中に位置づけ,

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全 国的 視点か ら都市 財政と の比 較分析 を通じ て,農 村財政 にお ける財 政構造 及び財 政運営の特質 を 明ら かにし たもの である 。

  第1章 では ,本論 文の課 題と研 究方法 を述 べ,さ らに, これま での 農村財 政に関 する研 究成果 を 整理 し,本 研究の 意義を 述べ ている 。

  第2章 では ,制度 的側面 から地 方財政 の特 徴を考 察し, 特に地 方交 付税と 国庫支 出金に 焦点を あ て, 農村財 政から みた特 徴を 明らか にして いる。 地方交 付税 の算定 方式か ら,農 村財政におい て ,財 源確保 上,よ り不安 定性 がある こと,基準財政需要額の算定に用いられている測定単位に,

農 村行 政の実 態が十 分反映 され ていな いこと ,さら に国庫 支出 金の配 分にお いて農 村財政では,

国 の財 政事情 による 影響が 大き いこと を明ら かにし ている 。

  第3章 では ,経済 成長に 伴う産 業構造 の変 化が農 村・都 市財政 構造 変化に 与えた 影響に っいて 検 討し ている 。すな わち, その 間農村 におい て,財 政力指 数が 低く, 公共サ ―ビス 費用か増加傾 向 にあ ること ,さら に低成 長に なると ,財政 構造の 弾力性 が低 下して いるこ とを明 らかにしてい る 。 一 方 ,住 民1人 当り 歳出額 の増分 主義的 傾向 がみら れ,低 成長期 に入る と, 公債費 の他歳 出 項 目に 対する 影響力 等,地 方公 共団体 の財政 構造に 大きな 影響 を与え ,特に 農村財 政はより大き な 影響 を受け ること を明ら かに してい る。

  第4章 では ,農村 ・都市 財政に おける 財政 構造・ 運営の 特徴を 検討 し,特 に住民 負担及 び住民 サ ービ ス費用 の変化 と国の 財源 調整機 能に対 する標 準的財 政収 入,標 準的財 政需要 の影響を明ら か にし ている 。また 農村的 特徴 がより 強い地 方公共 団体の 財政 状況は より悪 化する ことと,さら に 基準 財政需 要が増 加する ほど ,地方 交付税 額はよ り多く 増加 するこ とを明 らかに している。こ れ は, 農村に おいて 住民サ ービ ス費用 の増加 が地方 交付税 の増 加に結 び付い ている こと,さらに 農 村 の 自 治 強 化 の た め に は , 自 主 財 源 の 増 加 が 必 須 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。   第5章 では ,農村 ・都市 財政に おける 財政 構造・ 運営の 特徴を 検討 し,歳 入・歳 出構造 では,

財 政構 造の弾 力性, 健全性 及び 安定性 が都市 に比べ て低く ,ス トック 指標に おいて も都市に比べ て 低い ことを 明らか にして いる 。歳出 面では ,人口 滅少率 が大 きいほ ど歳出 規模の 小さいことが 明 ら か に な り ,な お ,1人 当り 公 的支出 の決定 要因と して ,都市 では1人当 り所得 の影響 カが高 い の に 対 し て ,農 村 で は ,1人 当 り 国 か らの 歳 入 の 影 響カが 大きい ことを 明ら かにし ている 。   第6章 では ,農村 財政に おける 農業関 連支 出構造 の特徴 を検討 して いる。 農業関 連事業 は数多 く ,財 源調達 面で国 への依 存度 が高い とはい え,自 主財源 ,地 方債等 を財源 とする 単独事業が増 え っっ あるこ とを明 らかに して いる。

以 上 の 分 析 を 通じ て , 都 市 財政 に比 べて農 村財 政がよ り厳し い状況 である こと と,さ らに低 成

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長期になると,農村財政構造がより悪化することを明らかにしている。一方,社会・経済的側面 でより不安定な条件下にある農村財政構造は一層脆弱なことを明らかにしている。財政構造面で は,過疎化の進展による対住民サービス費用の増加,貿易自由化の進展に伴う農業の危機に対す る財政需要が増大するなか,財政カが相対的に都市より小さく,不安定な条件のもと,長期的に は公債依存にも限界があることを指摘している。財政運営面では,農村財政において財政運営上 の安定性,健全性および弾力性が都市に比べて相対的に劣り,自主的財政運営が困難であるが,

このような農村財政の問題を現状で改善するためには,個性ある経済振興が急務であることを示 唆している。

  本論文は,農村財政の特質を従来の事例分析的研究から,わが国ではじめて全国的視点の分析 により明らかにしたものであり,今後のわが国経済の変化に伴う農村財政,農家の福祉,農民負 担への影響に対し,いかなる農政ならびに地方財政政策をもって対応していくかに関し,有効な 知見を与えるもので,学術上,また応用の面からも高く評価される。よって審査員一同は,最終 試験の結果と合わせて,本論文の提出者朴鍾燮は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格 があるものと認定した。

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参照

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