︵原著及實瞼︶第ご十巻 第十一號 三七〇第百十入號二四
脾脱誤．ノ四例
輻井縣警察部衛生課
警察讐．長田入三鄭
大正四年八月乃至九月本最下二於ナ馬ノ炭疽熟流行シ懲⁝
照凹ノ︷焼却及置ハノ職肌含ノ沿財主骨牌從事セシ港之レ二一戯四極シ一二
名論レ一名全癒セル四例ヲ實験セジ本病ハ泰西二野ナ一
決シテ稀有ノ疾病ニアラザレドモ吾が邦二於プハ未ダ多
クァリシヲ聞カズ即チ篠尾︑李野鼠玉乗ノ一例︵明治三
十二年陸軍グ讐學會雑誌第一〇七號︶三宅博士及自銀馬
ノ一例︵明治三十五年東京讐事新誌第一二六九號︶及此ノ
報告附記ノ大坂高等讐學榛病院暗闘グ澤邊︑西村爾氏ノ
實験セル一例︑・凡心門士ノ一例︵第二同衛生學命日演説明
治三十八年些事新聞第六入九號︶岡村博士ノ一例︵於日
本皮膚科炭量東京支會第三十八同通常會演説明治四十三
年旛羅雑誌第＋憲第九號︶及此ノ報告中二記撃レタ
〃日露戦役中蒲洲二於テ一壷讐ノ本症二犯ずレ倒レシト︑
云フ一例︑淺原博士︑倉内二氏ノ五例︵明治四十五年中
外回里畢新報⁝第七六六號︶ノ報雄ロァルノミ然シ牛馬．ノ本病 ハ吾が國二於グモ決シプ砂二重ァラザルコトハ農商務省農務局獣疫調査所ノ調査二三イタ見ルモ是レヲ窺知ス〃 コトヲ得ベシ是等罹病動物二接鯛スル者即チ診療解屍二
從事スル獣馨︑死屍ヲ取扱ヒ叉ハ厩舎ノ清三二從フ者︑
飼養者︑屠殺者︑剥皮或ハ柔皮スル者等ハ實二本病戚染
ノ機織ヲ有スルモノナリ然ルニ吾が邦二於ナノ例前述︐・
如ク僅少ナルハ種々ノ原因アルベシト錐一ハ多ク世ノ注
意ヲ引キ居ラザル疾病ナルヲ以プ恐ラク肝心ヲ経ルニ至
ラズシテ過ギ去リシニハァラザルカ
第 一 例
死体 業繋
幅面隠坂井郡里村濱別所
石︑〇十〇〇
六十三年
体格中等大︑螢軍器ナラズ瞳孔左右共散大シ牙關緊急二
二四肢ノ強直ハ弱度二之ヲ現シ左下腿外面中央部及ビ上
腿下部ノ内面二瀬テ碗豆大ノ士爵二鯨リ浸潤ヲ俘ハザ〆
・限界判然タル腫瘍各一個ヲ認メ同側ノ鼠瞑腺ヲ槍スルニ
歎個ノ雀卵大乃至鳩卵大二腫張セルァリ
右槍案ヲ行ヒシハ八月二十六日午前八時ニテ死亡セシバ
前臼ノ午後六疇頃ナリ既往ノ繹愚ヲ尋ヌルニ八月十六日
麗馬ノ嶢三三其ノ厩含ノ溝毒二從事シ入月二＋三縞午前
ヨリ悪寒︑登執⁝︑鼠践部二疹痛ヲ戚ぜシ外何等ノ訴ナカ
リシト 第 二 例
死体槍．案
膚帯縣坂井郡聚村市ノ瀬
青 ○ 友 〇
二十六年
体格中等大︑螢養佳良︑瞳孔左右共散大シ顔面及ビ胸部
浮腫シ上胸部二於テ雷無罪二型赤色ヲ現池ソ腹部ハ膨満
シ陰嚢ハ非常二三腫シ緊満︑陰蘂三際ユ近ク膿胞ノ破潰
セシ如キモノヲ認メマタ黒色ヲ呈シ壊疽状トナレリ爾畠π
孔左右爾結膜ヨワ曙赤色築盛性ノ血液ヲ漏洩シ左右鼠膜
腺藪個腫張セルラ認ム
右産量月二十六目午前九時槍案ヲ行・ヒシモノニテ・既往ノ
経過ヲ糺ヌルニ八月二十三臼俄然悪塞︑二上シ翌二十四
冒午後十一疇嘆死亡セリト禰シタ入月十七鐸曲馬ノ焼却 及ビ其ノ厩⁝舎ノ清⁝前書從事セシモノナリ
第三 例
患 者 煽画題坂井郡渠村濱別所 橋 ○ 善 〇 五十入年三 症 体格中等大︑螢養良知シテ脈簿頻歎細小︑体温ヲ槍スル三二十五度八分︑脱汗ヲ認ム胸部ヲ診スルニ打診及ビ薙診上三二異常ナク腹部ハ梢⁝膨満ス右下腿外側上部二於テ周圏浸潤磯赤セル一圓銀貨大ノ擁ヲ認メ同側ノ鼠赫赫三︑四個腫張シ其ノ・大サ雀卵大乃至鳩卵大二達ス意識昏憎二面ヰレドモ省ホ四肢輻薄型シ甚シク苦悶ヲ山籠ズルモノ ︑如シ既往症 入月二十韓頃ヨリ悪寒︑職藻︑間歌論二恩リ側シナラント思ヒ別二馨治ヲ受ケザリシト︑八月十六日激死 nノ嶢三三ゼ其ノ厩含ノ消毒二從嘉薪セシモノナリ
該患鞭着ヲ紛鵬診セシの黒月μ二十山ハ日工茄剛レb時ご一十一分頃ニテ
属臼午前十一瞬頃塗二麩籍二上レジ
第 四 例
︵原著及實瞼︶第二十巻 第十一號 三七一第百十八號二五
︵原著及實瞼︶第ご十巻 第十一號 三七二第百十入三一一
Z
患 者
藤井縣坂井郡秦村肝別既
千 ○ 惣 〇
四十九年
現 症 体格中等大︑螢養中等ニシテ賑搏八十入︑体
温三十入摩宝○分ヲ一瞬シ頭重一議．胸・内苦悶ヲ訴へ食思ハムエク
之レヲ歓ク胸腹部別二異常ヲ面当ズ右大腿内側中央部二
當リ五銭白銅貨大ノ周團ノ限界劃然タ〃約○㊦五仙迷堤
朕二輿隆起セル腫丸写アリ覚ハノ周園ハ梢畿赤〃シ中央ハ膳甲里蝋色
ヲ呈シ滋藤下肢ノ皮膚淡黄色ヲ現シ該側鼠躁部／淋巴腺
歎個蜜豆大乃至鶏卯大二腫起セルラ思屈何レモ自登痛及
ゼ塵痛アリ便蓮泌結尿利通常ナリ
既往症 八月二十二日ヨリ全身違和︑食慾不振ヲ凍シ
悪寒曲馬相落來シ右大腿内側中央部ノ腫瘍の始メ警部療
痒ヲ威ぜシヲ軸心タ之﹃ヲ掻爬ハセシニニ十日晒ハ之レが嚢生ヲ
見其ノ中央部ノ黒色ヲ呈スルニ至リシの骨桶Hナリト︑
該丁患者ハ梅月←丁目ハ爵融死馬ノ焼却及ビ其ノ浩量骨二從山盛セシ
モノナリ経 過・ 始メプ槍診ヲ行ヒシハ入月二十六日午前七時 ニシテ既往症︑現症等ヲ綜含之ヲ推スルニ脾脱疽ナラント診定シ愈清ノ礁苗川ハ概シタ疾病ノ初期ナル・丈ヶ多ク効果ヲ奏ス〃屯ノナルヲ⁝以グ未ダ細菌學的ノ槍索ヲ終うザリシモ農商務省ノ右田技師二誘リ同日午後五時頃農商務省農務局獣疫調査所ノ製造煙管ル炭疽血清五〇・○ヲ皮下二没射ス同夜体帽楓日升舳鵬少シク款年並ヲ訴ヘシモ璽二←ーレ〜日正午頃迄ニハ漸次苦悶モ緩解セリ︑本月二十八日午後三時頃マタ巌疽血清四〇翁○皮下二注射ス︑体温三十入度四労︑三十一日体温三十七度入分ニシプ腫瘍／中央暗黒色ノ部ハ痂皮状二傾キ周團ヨリ梢凹略シ膀状ヲ呈シ該腫瘍及ビ腫大セル鼠践腺ノ疹痛止監獄退シ叉精紳モ爽快キニ赴全身症状総タ良好ナジ細菌學的鞍置 第一例ハ糞便︑第二︑第三ノニ例ハ血液︑第四例ハ腫瘍ノ一小部分ヲ採取シ夫々細菌學的槍査ノ結果︑第二︑第三︑第四ノ三例ハ何レモ脾脱疽菌ヲ証 馬明シ第一例ハ不幸ニシテ陰性轟隔ヰヲタレド毛之静置ク探取材料ノ不適當戸帳因スベク該患者ノ症状及ゼ諸他ノ關係上脾脱疽ト診定セリ右細菌ノ漸定例嘗時來縣中ナジシ農商二務省農務局獣疫調
査脈長心得右田百太郎民二請ヘヲ
療法二就イタ 從來外登性脾脱疽二瀬タ其ノ威染出営
ノ切開掻爬劉除或ハ白金嶢灼︑鑛酸︑アルヵリー腐蝕又
ハ昇乗水或一画炭酸溶液︑沃度丁幾ヲ其ノ威染部及其ノ
周園ノ皮下二注射スル等ノ方法行のレタリ然レドモ是等
ノ方法ハ其ノ威染部位及時期愚筆二依リテハ概シテ効果
確實ナル療法ナジト認ムルコト能ハズ却ッテ場合帰依リ
テハ症状ノ増悪ヲ招致スルコトアルベシ叉他ノ舜裂菌ヲ
調い種シ或ハ丹主簿球菌ヲ⁝以7・塵置シタル羊ノ鉦州菌芽糠ぱ雌浩⁝
ヲ磨用スルコトヲ唱導スルノ士アレドモ是亦好結果ヲ齎
サルモノ・如シ︑千八百九十七年スクラボー及メンデ
刻爾氏炭疽血清ヲ入二癒図面シ以來幾多ノ慮用者ハ其
ノ効カノ決シテ蔑ルベカラザ〃ヲ謹ヶり本邦二於テハ明
治四十三年鰯村博士が農商務省農務局獣疫調査所製造ノ．
炭痘血清ヲ轟轟セシヲ二二トシ王氏及淺原︑倉内三践ノ
駈説ヲ綜合スルニ該血清ノ効カノ存スルコトハ多少認ム
ペキモ之レが断定ヲ下スニハ爾今後多数ノ實験二侯タザ
ルベカラズトセリベツケルハ千九百十丁年一例二ベット
引︑ラウベンハイマーハ千九百十二年二例二﹁ずルメ ルナン﹂ヲ注躰⁝シテ︸効ヲ奏セント余ハ脾脱疽ノ病寵即チ纏及ビ腫起セル淋巴腺二尊シ・7ハ濡構法ヲ行フノ外廓等療法ヲ加フルコレヲナナズ一獣疫調査所製造ノ炭痘愈清ノ懸用ヲ試ミタジ余ノ例ハ豫再三ク
ハ不良ナラザル即チ十・乃至二十％7死亡率ヲ有スル外登
性脾脱痕擁二麟シ而モ慮用セシバ唯・一例ナルヲ⁝以テ強チ
全然該血清ノ効果ナリト遽耀麟ス川コト能メザレド毛他ノ
例噛コ於ケル如ク総プが一死ノ麟可﹂蹄ヲ取∵ソシヨリ考フルニ入
間ハ牛馬ノ如ク炭疽菌二勤シ威染シ易カラズ即チ抵抗カ
ヲ有スト云フコトノ薗下下蹄ス一︑カラズ若シ血清ノ注射ヲ
施スコトナク叉ハ之レブ時期ヲ生干シナランニハ或ハ豫
・後不良二野ヰリシヤモ測り知ルベカラズ猶今後数多ノ實
験及ビ報告二丁タン︾欲ス
爾鼓二獣疫調査駈製造ノ炭疽愈清二就イテ述べン︾欲ス
ル一篇ノ副⁝作用管弦ナルコトナリ即チ後藤本縣警察部長
ノ命二依フ左記ノ如クニ百九＋入墨二該血清ヲ豫防ノ目
的二注射ヲ行ヒシが之レが感量ヲ見シバ四名ニシク即チ
一㊨三％弱ナリ︑一該注射ハ豫〃防ノ目的ノ・・︑二行ヒシニアラ︐
ズシナ入ノ炭最早二威染シ不測ノ最期ヲ遽ゲシヲ見聞セ
︵原著及實瞼︶第ご十巻 第十一號 三七三第百十入號二七
︵原著及實瞼︶第二十藩 第十一號 三七四第百十入三二入
ル村民沸戦々三々該麗馬二接近スルコトヲ非常二二γ之
レが嶢却及其ノ厩含ノ消毒二⁝從事スルモノナキ故二一ハ
彼等二安堵ノ念ヲ起ずシメンが爲ナリ
炭疽血清豫防的注射入名
片月π口八月老日
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臣四ノ焼却及註ハノ膨髄舎ノ浩⁝露母二從事ポセシ者及登生部落ノ立田
主家族等其ノ希望廿日就キ健康診漸ヲ行ヒ血行器︑呼吸
器或ハ其ノ他特二疾患ナキ者ヲ選ミ之ヲ施行シ叉疾走勢
働直後ノ者ハ暫時間安静ナラシメテ之レヲ行ヒタリ而シ
テ控射ノ當日ハ過激ナル動作ヲ避ケシムル︽勿論可成的
安謡⁝ヲ守ラシメダリ
注射部位ハ肩脾間部ノ皮下ヲ選ミ淫射量ハ十歳以上二十
歳五・Oi入・〇 二十歳以上五十歳一〇⑭〇五十歳以上
七＠Ol入㊦○トセリ
副作用一翼微ニシテ左記ノ四名二目撃シ注射福二︑三十
舜ニシテ登現シニ︑三時間後消退緩解セリ
注射局部ノ疹痛ハーモ訴ヘシ毛ノナシ
坐傘
坐㊨
＊
並傘 坐伽
＊
＊
一貫 並傘
坐術 昌冨喝＝鵠嵩＝・量定＝四竃旨＝隔昆嵩＝題昌﹁＝臨＝＝呂■国＝﹁﹂昌訟嗣髭鯛鳳O
羅 鎌
醗倶利伽羅紀行附マラソン競走
知原生
九月廿六日へ日曜︶倶利伽羅の古競場奄訪ひ︑兼れて途中津幡迄有志者のマ
ラソン戯既走ん㌔行ヘリQ
午前六時淺野川大橋に集合︑有明の月に︑爪何︑中天に懸り習々梱る朝風は
征衣な吹いて爽なり︒マラソン競走の出路ほ午前六時廿五分︑橋上εΨろ
ピ踏みならして駈け行く雄々しき姿︑遣行く人の膿為寒からしめて︑わが
讐專の元氣な示すや回しQこれに績いて一行は意氣揚々ピして出で立つQ
進み行く中に︑︑bよなき天氣ミ選ばれし空の雲﹂すまひ︑忽ち高じて黒雲
いつしか満天を被ひ蓋し糠の如音雨11罪々画して下り始む︒され8︐男子の
意氣︑蜘躬によりて︑盆々︷激す︒一骨等一行の門門︑元より阻むべくもらす︑
蜜︑盒︑旺盛也Q前呼ぴ後議へて︑語りもて行く申に︐いつしか津幡の町に
着く︒マラソン競走の決勝黙ばこ㌧にして金澤々離ろこε三里に醗れり︒
一行に先着の勇士撫ねぎろふべく︑こ︑に︑最初の休憩々なす︒やがて細
雨止みて︑臼光僅に雲間に洩ろ︑一行は津幡の町を東へ懸り過ぎて︑竹橋
に出で︑石動に捜すろ北陸道な捨て︑倶利伽羅の奮道な上るQゆきかふ人
も︑跡絶セ2て︑入重葎︑滋を塞ぐ︑長蛇の如く二列なつくって︐上ろこε
いくばくもなくして︑舘然ミして︑眺望︑ににかに．展開されぬ︒
天も悠々︑地も悠々︑重盛なす山々に雨後の線︑一際︑滴ろばかり也Q海
に紗幕εして天に連ろ︒人もわれも自らか忘れて悦惚れろこぜ多時︒更に
︵雑 鋒㌧第二十巻 第十︸號 三七七第百十入號廿＝
