798
各種疾患二於ケル 「NaBrO−AZM−N2」二就テ
其5.尿蛋白ノ「NaBrO−AZ触N2」二:就テ
金澤讐科大回谷野内科三品(主任谷野教授)
助 手 大 井 正
凱贈。フ卿 δ1
臣
(昭和ユ5年1月31日受附 特別掲載)
抄
余ハ急性腎炎,慢性腎炎及ビ其ノ末期亜二「ネフロ ーゼ」患者14例ノ尿蛋白ヲ分離シ,是ヨリ調製セル蛋 白液二部テ蛋白Hy・Coef・ヲ測定シ,之ヲ健康者或ハ 當該患者血液ノ蛋白Hy・Coef・ト比較セルニ多クノ場
録
合著明二低下セルラ認メタリ.而テ「ネフローゼ」及ビ 腎炎末期二於テハ攣化最モ明ラカニシテ慢性腎炎二於 テハ約牛数二三テ之ヲ認メタリ.
目 次
第1章 緒 早 撃2章 測定方法 第3章 勤照蝉声
第4章 實験成績 第5章 結 論 :文 獄
第1章 緒
1694年:Fredericus Dekkers(1)ガ尿中二蛋白ノ 排泄セラル、事實ヲ稜見シテヨリ,尿蛋白二丁
スル研究報告ハ枚暴二暇アラズ.而シテ研究ノ
興味ノ中心ハ尿蛋白が血清蛋白ト同一物ナリ
ヤ,叉ハ質的二攣化セリや否やニアリ.コノ黙=關シテハ血清學的方法,物理化學的方法ニヨ リ槍索サレ今日二於テハ大艦次ノ如ク考ヘラ ル.帥チStern(2), Cameron(3)氏等ハ血清三口方 法ニヨリ研究シ,.血清蛋白ト尿蛋トノ闇ニハ何 等ノ生物學的差異ヲ認メ難シト云ヒ,足達④氏 ハ物理的及ビ化學的槍索ノ結果爾者ハ同一物ナ
リト云ヒ,鷲津,菅(5)氏等ハ尿蛋白中ノ「チス
論
チン」量ヲ測定シ,尿蛋白ハ血清蛋白トハ異ナ ル;事ヲ認メ,淺山教授ノ報告二篠レバ,血i漿蛋 白ト尿蛋白トノ化學的組成ハ全ク同一ナリト云 ヒ難ク,後者ハ前者ヨリモ「チスチン」量多ク,
斯カルモノハ病的腎ヲ通過シ易シト云ヘリ.印 チ以上ノ如ク尿蛋白が血清蛋白ト同一物ナリや 否や=關シテハー定セル認識ナシト難モ,淺山 教授及ビ其ノー門ゾ研究ニョレバ爾者ノ聞ニハ 或ル差異ノ存在スルモノト云ハザル可ラズ.
余ハ甦二「ネフローゼ」,慢性腎炎,尿毒症二 於ケル血漿蛋白ノ「NaBrO−AZM−N2」ヲ槍索シ 其ノHy. Coef.ノ著明二i墜化セル事實ヨリシテ,
[ 206 ]
其ノ血漿蛋白ハ健康人ノ血漿蛋白トハ何等カノ 異ナル質的開化ヲ有スルモノナル事ヲ報告セ
り.
余ハ更二上心疾患患者ノ尿蛋白及ビ血清蛋白 ノ総蛋白窒素並二総蛋白窒素ヨリ獲生スル「Na
:BrO−AZM一一N2」ヲ測定シ,コノ爾者ヨリHy.
Coef.ヲ求メ, Hy. Coef.ノ開化ニヨリテ尿蛋白 二質的攣化ノ存在スルや否やヲ槍シ興味アル事 實ヲ認メタルヲ以テ:是二報告スル次第ナリ.
第2章測定方法
余ハi欠ノ如キ方法ニヨリテ尿蛋白ヨリ民生スル「Na BrO−AZM−N2」ヲ測定セリ.
1.材 料
材料ハ2%o以上ノ蛋白ヲ含有スル新鮮尿ヲ用ヒ,先 ヅ尿ヲ濾過シ,濾過尿ヲ更二15分間遠心(回轄敷3000 回)シ其ノ上澄ヨリ次ノ方法ニョリテ蛋白ヲ分離セリ,
2.蛋白訓話製法
(a)20%「ズルフォサルチール」酸液ヲ使用セル場 合
2本ノ50cc入ノ遠心沈澱管二上記ノ如ク盧置セル 蛋白尿ヲ取り20%「ズルフォサルチール」酸液ヲ加ヘテ 蛋白ヲ全部沈澱セシメ(濾液二蛋白違憲ナキ事勿論ナ リ),上澄ヲ捨テ之二蒸細水ヲ加ヘテ内容ヲヨク面忘 シテ後再ビ遠心シ遠心後上澄ヲ捨テ更二藍鰭水ヲ加ヘ テ内容ヲ良ク溶血シ遠心ス.以上ノ操作ヲ十回繰返 ス.最後二上澄ヲ捨テ約7cc/1/10n. NaOH液ヲ加ヘ テ内容ヲヨク概搾シテ蛋白ヲ溶解セシム.蛋白ノ全部 溶解セル後1/10n.11CI約5ccヲ加ヘテ中和シ弱「アル カリ」性ヲ呈セル蛋白液トス.全量ヲ10cc−15cc位ト
ス.
(b)飽和食盤面ヲ使用セル場合
上記ノ如ク庭置セル蛋白尿二氷雨酸ヲ滴下シテ酸性 トシ更二三和食盤水ヲ充分二三ヘテ蛋白ヲ完全二沈澱 セシム.濾液二蛋白反心ナキ事ヲ確メタル後内容50cc
ノ遠心沈澱管二沈澱セル尿蛋白液ヲ入レ10分間遠心
(回輻数3000回),上澄ヲ捨テ,更二「酷酸ヲ加ヘテ酸 性トセル飽和食璽水」ヲ加ヘテ内容ヲ良ク擬拝シタル 後10分聞遠心ス.以上ノ操作ヲ10回繰返シタル後上澄 ヲ捨テ1/10n. NaOH液ヲ加ヘテ良ク概搾シ蛋白ヲ完 全二溶解セシメ:二二1/⊥On・HCIヲ加ヘテ三和シ弱「ア ルカリ」性ヲ呈セル蛋白液ヲ作ル.至量ヲ10cc−20cc 位トス.
2.測定事項
以上ノ操作ニヨリ得タル2種ノ蛋白液二就テ次ノ測 定ヲ實施セリ.
a.総出素量(以下Ges・・N・ト略ス)…………amg%
b.総窒素ヨリ護生スル「Na:BrO一・AZM一:N2」…bmg%
c.残鯨窒素(以下R・Nト略ス)………cmg%
d.R.:N.中ノ「NaBrO−AZM−N2」
(以下Ges・Ily・ N.ト略ス)……dmg%
次デ
畿徽悪難二一!…
更二
蛋白窒素ノHy. Coef.
_ 蛋 自 窒 素 量
蛋白窒1素ヨリ叢生スル「掴aBrO−AZM−N2」
a一一。
b−d 3.測定方法 a.総窒素量ノ測定法
蛋自液ヲ5倍二稀繹シ其ノ1・Occ又ハ2.Occヲ用ヒ テ大月氏(7)法ニヨリテ測定セリ.
b.高窒素申ヨリ護生スル「NaB【O−AZM−N2」ノ測 定法
第3編「血漿蛋血中ノ「NaBrO−AZM一:N2」(8)ノ測定 法」ト同様ナル方法ニョル.
c.R・N・ノ測定法
蛋白液ヲ1mo1三盤素酷酸液ニテ除蛋白シ其ノ濾液 ヲ用ヒテ第3編二於ケルト前幅二R.N・ヲ測定セリ,
d.Ges. Hy. N.ノ測定法 早稻田氏㈹法ニヨリテ測定セリ.
…欠二余ハ尿蛋白ノHy. Coef.ヲ槍スルト同時二血清 ノHy. Coef.ヲ測定シテ爾者ヲ比較研究セリ.叉患者 及ビ健康人ノ血清ヲ水ニテ稀繹シテ蛋白液ヲ作りコノ 蛋白二二2G%「ズルフォサルチール」酸二又ハ飽和食二 水ヲ作用セシメテ蛋白ヲ沈澱セシメ,コノ沈澱ヨリ上 記ノ如キ方法ニヨリ蛋白液ヲ調製シ其ノHy. Coef.ヲ 求メ尿蛋白ノHy. Coef・ト比較ヲ試ミ,:叉健康入ノ血 清蛋白ヲ健康入ノ尿中二37。C3時…間:放置シ,コノ血
[ 207 ]
800 大 井
清蛋白含有尿ヨリ上記ノ方法回心リ蛋白液ヲ作製シ其 ノHy. Coef.ヲ求メ比較研究セリ,此ハ蛋自民調製操 作ニヨリ,Nハ長時聞尿申二放置セラル・事ニヨリテ
被槍蛋白質二何等カノニi欠的攣化ヲ來ス事ナキヤヲ確 カメソが爲ナリ.
第3章封照實験
其1.健康人血清水溶液ヨリ調製セル蛋白液 二於ケルHy. Coef.二就テ
健康人血清2.Occ二10.Occ/i蒸鯛水ヲ加へ,之
=20%「ズルフAサルテール」酸叉ハ飽和食盤水
ヲ加ヘテ蛋白ヲ沈澱セシメ,前述ノ如キ方法二 依リテ蛋白液ヲ作り其ノHy・ Coef・ヲ求メタリ.
其ノ成績ハ第1表ノ如シ.
第 1 表
蛋 白 液 姓 名
血清蛋
? ノ
gy. Coe£
糟 7
20%ズルフオサルチール酸ニヨル蛋白液
飽和食台水ニヨル蛋自愛
ges. N.
高〟
Hy. N.
高〟
Hy. Coef. ges.:N.
高〟
Hy. N.
高X% Hy. Coef.
横 ○
? O
ョ ○ z ○ R ○24.62 Q3.2 Q2.64 Q3.4 Q0.8
314 R62 S08 R74
R49.4
14.4
P80
Q1.0 P8.O P8.5
21.8 Q0.1 P9.4 Q0.8 P8.9
338 Q85 R65 R24
S65.9
15.6 P5.6 P9.2 P7.4 Q7.3
21.7 P8.3 P9.O P8.6 P7.1
表二見ル如クHy. Coe£ハ血清ノH:y. Coef.最:
モ高キ値ヲ示シ,次ヂ20%「ズルフォサルチt・…
ル」酸液ニヨル蛋白液ノHy・Coe£,飽和食三水ニ ヨル蛋白液ノHy. Coef.ハ最:モ低キ値ヲ示セリ.
印チ操作ヲ加ヘル一二因リテHy. Coe£,ハ低下 スルヲ見ル.健康人血清水溶液ヨリ調製セル蛋 白液ノHy. Coef.四大髄17以上ヲ示シ,血清ノ Hy. Coe£ト血清水溶液ヨリ調製セル蛋白液ノ Hy. Coe£トノ差ハ大艦5以内ニアルモノノ如
シ.
共2.健康人血清ヲ健康人尿中二放置後調製
セル蛋白液二於ケノLHy. Coef.二就テ余ハ第1表中ノ2例二言テ健康人血清約2cc
ヲ健康人寸寸30cc中二37。C 3時聞放置シ,後 上記ノ方法sヨリテ蛋白液ヲ作り其ノ:Hy・Coef.ヲ測定セリ.其ノ成績パ第2表ノ如シ.
姓 名 血清蛋白ノ
gy. Coef.
些
ges。 N.
高〟
B大 O z ○
23.2 Q3.4
346 Q88
第 2 表
20%ズルフオサルチ ール老司ヨル蛋白液 Ily. N.
Ily. Coef.
mgO/0 16.88 1 20.5 14.7 1 19.6
飽和食湯水ニヨル蛋白液
ges. N. 1 lry, N.
Ily. Coef.mgO/o 1 mgO/0
365 1 18.5 1 19.7 312 1 18.14 1 17.2
帥チ表=見ル如ク2例共操作ヲ加ヘル事ニョ リテH:y.Coef.ハ低下スルモッ第1表ノHy.Coef.
ト比較シテ著シキ差ヲ認メズ.9Pチ尿中二放置
スルモ・蛋白ノ三生スル「NaBrO−AZM−N2」ニハ 殆ンド影響ナキモノト考ヘラル。
[ 208 ]
第4章實験 成 績
(1)急性腎炎
余ハ2例ノ急性腎炎患者ノ尿蛋白ヨリ蛋白液
第 3
ヲ調製シテ其ノH:y. Coef.ヲ求メタリ.共ノ成 績ハ第3表ノ如シ.
県
令清砂 血清水溶 尿 蛋 自
病 名 姓 名 白 ノ 液ヨリ調 サセル蛋忠tノ
20%ズルフオサルチール酸ニヨル蛋白液
飽和食璽水ニヨル蛋自液
H)㌃Coef. Hy. Coef. ges. N.
高〟
Hy.:N.
高〟
「
gy. Coe£ ges.:N・高〟
H}㌦N.
高〟
Ily. c・eL
松 枝 24.6 467 21.5 21.7 418.2 21.4 19.5
急性腎炎
小林
23.8 448 24.0 18.7 294 1豆5 15.1柴 田 285 45.0 6.3 602.4 99.4 6.1
ネフロー
[
奥 田∫29・8
オ192(
16・8(S)1ε1(Nacl)385 U66
43.7
R9
8.8 P7.1
446 54.3
]
8.2
里 見 21.7 20・95(S) 246 21 11.7
杉 本 28.6 288 14.25 20.2 326 16石3 1〜軌6
田 上 342 ・ 252 11.4 22.1 223.6 12.4 18.0
宮 林 25.6 268 155 17.3 309 21.0 14.7 慢性腎炎 高 田 26.8 335 13.7 24.4 355 15.6 22.8 山 田 32.4 292 12.5 23.4 326 144 22.6
山 崎 24.8 21.8(S) 313 15.5 2α2
上 田 25.4 22・2(S) 385 20.0 19.25
腎炎末期 番 匠
?田
19.6 P9.3
452
R24.6
31 Q9
14.6 P1.2
296 S24
23.2
S3
12.8 X.8
備考{搬趨繍総磁
急性腎炎二於ケル尿蛋白ノ蛋白係数(Al/Gl)
〉・他ノ腎炎患者,萎縮腎台閣「ネフn 一 tf」ヨリ モ低キモ常=血漿ノ蛋白係数ヨリモ高シ(菅(10)).
又尿蛋白中ノ「チスチン」:量ハ血漿中ノ「チスチ ン」量ヨリモ多シ(淺山㈹).帥チ血漿蛋白ト尿蛋 白トノ聞ニハ明ラカニ差異アル事ヲ認,メシム.
今第3表ヲ見ルニ松枝ノHy・Coe£ハ21・7ト 19.5=テ,血清ノHy. Coef.ハ24.6 =シテ其ノ 差ハ略々5ナレバ概ネ封照實験ト異ラズ.、
然ルニ小林ノHy. Coe£ハ18.7ト15.1ニテ,
血清ノHy. Coef.ハ23.8ナリ.帥チ血清ノHy.
Coef.ト蛋白液ノHy. Coe£トノ差・・5以上=シ テ,蛋白液ノHy. Coef.ガ輕度二下降セルラ認
ム.
EPチ以上2例ノ急性腎炎2例ノ尿蛋白ノHy.
Coef・ハ1例ハ一度二下降セルモ1例ハ白化ヲ
認メザリキ.
(2)「ネフ・一ゼ」
Alring U. Mirsky(11)氏ハ「ネブローゼJ患者ノ 血漿及ビ尿蛋白ノ「アルブミンJ中ノ「チスチン」
:量ヲ測定シ爾一二差異アル事ヲ認メ,叉淺山教 授(6)ノ報一告二櫨レバ,「ネフロー・ぜ」ノ尿蛋白申
ノ「チズチン」量ハ他ノ腎疾患ノ尿蛋白申ノ「チ スチン」量ヨリモ多ク,之二反シ血漿蛋白申ノ
「チスチン」量ハ著明二減少シ,蛋白係数(Al/G1)
ハ血清=於テハ著明二低下スルモ尿蛋白二於テ ハ著明二上昇ス.帥チ「ネフローゼ」二於テハ血 清蛋白ト尿蛋白トハ同一一・tLナル組域ヲ有セザル事
[ 209 ]
802 大 井
ヲ知ル.
余ハ3例ノ「ネフロPゼ」患者ノ尿蛋白二於ケ ルHy. Coe£ヲ検査シ第3表ノ如キ成績ヲ得タ
リ.
柴田ノ例二於テハ血清ノHy. Coef.ハ測定出 來ザリシモ定型的ノ「リポイドネフローゼ」ノ1 例ニテ,其ノ尿蛋白ノHy. Coef. 2・表二見ル如
ク6.3及ビ6.1ト著明二下降セルラ見タリ.
奥田ノー例皿鉢1 回ハ「ネフロAゼ」ノ増悪期二 於ケル槍査成SC ==シテ,第2回ハ輕快シテ浮腫 減少セル時ノ所見ナリ.而シテ共ノHy. Coef.
ノ所見ハ第1回ハ8.8ト8.2ニシテ著シク低ク,
第2回ハ17.1ニシテ,血清ノ夫ハ19.2血清ヨリ 作製セル蛋白液ニチハ16.8ト16.1ニシテ三者
ノ聞二殆ンド差ヲ認メザリキ。
里見氏ハ娘i娠性「ネフロPゼ」ニシテ,其ノー(fit 清ノHy. Coef.ハ21.7,血清水溶液ヨリ上述ノ 方法湖山リ作りタル蛋白液ノHy. Coef.ハ20.95 ニテ爾者ノ間二差ナシ.然ルニ尿蛋白ノHy.
Coef.ハ11.7ニテ血清ノHy. Coe£P、著明ナル 差アリ.次二里見氏ノ.AIIumin−H)r. Coef.ハ28.8,
Globulin−Hy. Coef.ハ30.64ニシテ何レモ尿蛋白 ノHy. Coef.トハ著明ナル差アルヲ認ム.
以上3例ノ「ネフローゼ」二於ケル所見ニヨレ バ,其ノ尿蛋白ノHy. Coef.ハ3例共著明二下 降セリ.2例二於テハ血清ノHy. Coe£ヲ測定
,シテ尿蛋白ノHy. Coef.ト比較シタルニ擦者ノ 聞二著明ナル差ヲ認メタリ.
(3) 慢・i生腎」炎
慢性腎炎患者ノ尿蛋白二等テモ淺山教授及ビ 其ノー門ノ研究ニヨレバ,血漿蛋白ト尿蛋白ト
ノ闇ニハ・一一一・・定ノ差異アリトセラル.斜月7例ノ 慢性腎炎患者ノ尿蛋白ノHy. Coef.ヲ測定シ第
3表ノ如キ成績ヲ得タリ.
表明杉本ノ尿蛋白ノHy. Coef.ハ20.2及ビ 19・6,血清ノHy・Coe£ハ28.6ニテ爾者ノ差ハ
5以上ヲ示不.田上ハ血清ノHy・Coe£ハ3・tt・2 ト上昇シ,尿蛋白ノHy. Coe£ハ22.1及ビ18.0 ニテ爾者ノ差ハ12.1ト16.2ニテ非常二大ナリ.
宮林馬車テハ血清ンHy. Coe£ハ25.6,尿蛋白 ノHy. Coef.ハ17.3及ビ14.7ニテ爾者ノ差ハ8・3 及ビ10.9ナリ.高田ハ血清ノHy. Coe£ハ26.8,
尿蛋白ノHy. Coef.ハ24.4及ビ22.8ニテ爾者ノ
闇二著明ナル差ヲ認メズ.山田ハ血清ノHy・
Coe£ハ32.4,尿蛋白ノHy. Coef.ハ23・4及ビ 22・6ニテ爾者ノ差ハ9・0及ビ9・87示シ大ナリ・
山崎ハ血清水溶液ヨリ作りタル蛋白液ノHy・
Coef.ハ21.8,血清ニチハ24.8,尿蛋白ノHy・
Coef.ハ20.2ニテ爾者ノ聞二大差ナシ.上田ハ 血清水溶液ヨリ作製:セル蛋弾帯ノHy・ Coef・ハ 22.2,血清ノHy. Coe£ハ25.4,尿蛋白ノH)r・
Coef.ハ19.25ヲ示シ三者ノ闇二著明ナル差異ヲ 認メズ.
師チ7例ノ慢性腎炎患者申4例二於テ尿蛋白
ノHy. Coef.ト血清蛋白ノHy. Coef.トノ間土 著シキ差異アルヲ見此等二於テハ尿蛋白ノH:y・Coe£ハ血清蛋白ノHy. Coe£二比シテ何レモ下 降セリ.
(4)慢性腎炎末期
慢性腎炎末期患者2例ノ尿蛋白Hy. Coef.ハ 第3表二示セルが如シ.
慢性腎炎=於テ尿蛋白ト血清蛋白トノ闇二差 異アルヲ以テ慢性腎炎末期(綾獲性萎縮腎)二宮
ヶル尿蛋白ト血清蛋白トノ間二差異アルハ當然 ナリト考ヘラル.帥チ番匠=於テハ血清ノHy.
Coef.ハ19.6,尿蛋白ノHy. Coe£ハ夫々14.6及 ビ12.8ニテ下降セルラ認メ,金田ハ血清ノHy・
Coef.ハ19.3,尿蛋白ノHy. Coe£ハ11.2及ビ9・8
=テ何レモ著明二下降セルラ見ル.
印チ慢性腎炎末期ノ患者2例二於ケル尿蛋白
ノHy. Coe£ハ患者ノ血清ノHy. Coef.ヨリモ 著明=下降セルラ国王タリ.第5章 結 論
余ハ急性腎炎,「ネフローゼ」,慢性腎炎並= 慢性腎炎末期二於ケル患者ノ尿蛋白及ビ血清ノ
【 210】
Hy. Coef.ヲ測定シ次ノ如キ結論ヲ得タリ.
1・急性腎炎患者Z尿蛋白ノHy・Coef・ハそ
例中1例二於テ血清蛋白ノHy. Coef.ヨリモ輕 度二下降セルラ認メタリ.2.「ネフ・一ゼ」患者ノ尿蛋白ノHy・Coef・
ハ血清蛋白ノHy. Coef.二比シテ著明二1下降シー 血清蛋白トハ質的二攣化セル事ヲ認メタリ.
3.慢性腎炎患者7例Pt 4例二於テ尿蛋白ノ Hy・Coef・ト血清ノH)r. Coef.トノ聞二攣化ヲ認
メ,3例二於テハ攣化ヲ認メザリキ.
4.慢性腎炎末期患者ノ尿蛋白ハ非常二多ク
ノ「Na:BrO一一AZM一]NT2」ヲ穫生シテI Hy. Coef.ハ
下降シ,.血清蛋白トハ質的差異アル事ヲ認メタ
リ.・
5.各種腎疾患ノ中「ネフ・一ゼ」患者ノ尿蛋 白二於テ最そ著明ナル攣化ヲメ,次デ慢性腎炎 末期,慢性腎炎ノ順=シテ,急性腎炎二於テハ 例敷少ナキ爲所見確實ナラザルモ多少ノ攣化ア
ルモノノ如シ.
(欄筆二當リ終始御懇篤ナル御指導並二御校閲ヲ 賜りシ恩師谷野敢授並二「アツオトメトリー」二關 シ御指導ト御助言ヲ賜りシ岩崎敏授,大月博士,
早稻田博士二満腔ノ謝意ヲ表ス)
文
1) F. Dekkers, Zeit:ch. f. Urol. 1919, Bd. 9.
2) Stern, Deutsch. med. Wochensch. 1901, 27.
3) Cameron, The Arch, of int..med. 1915, 15.
4)足早暫次郎,日本内科學四維誌,19巻,S,633.
5) 鷲津諮撹, 菅平鬼, 實験オ肯化器病學. 12巻,
S・818・ 6)一山忠愛,日本内科門門四阿,27巻,
7號,S.660. 7)大月理,十全會雑誌,42巻,
7號,S・2153. 8)大井正臣,同上,45巻,3號.
9)早門田正澄,十全會雑誌,44巷,9號,S.2829.
10)菅満児,日本内科學會雑誌,27巻, 7朧.
11) Alving u. Mirsky, Cit. in Kongress. f. d.
ges. inn. Med. Bd. 85, 1936, S. 537.
[ 211 ]