第46巻第8.號 2403
胃疾患ノ遺傳ト禮闘乱關スル研究
第2報 慢性胃:炎ノ遺留學的考察
金澤讐科大學大里内科教室(主任大里藪授)
田 中 國 夫
κ訪z知 Tc;ii,akcd
(fi召和16年1月15日受附)
(本論交ノ要旨ハ昭和16年4月,第28回日本澗磯病學會絡縫二於テ之ヲ護表セリ).
(本研究ハ丈部省自然科學蕨究費二貢ブ所大ナリ,記シテ以テ感謝ノ意ヲ表ス)
内 容 抄 鋒
慢性胃炎患者二就キソノ家族歴,健康状態二關シ文 書二依ル照會ヲ護シ,返書二接シ,叉ハ直接患者ノ來 訪ヲ得テ橡査シ,調査ノ目的二適合セル207例二野キ
テ,家族山県ケル胃疾患ノ頻度,遺傳統計,嚢病年齢 二二就キ観察吟味ス.
目
第1章 緒 言 第2章 研究方法
第3章 慢聖性胃炎患者家族二於ケル胃疾患ノ頻度 第4章 遺傳統計學的考察
第1節 爾親共外観上健康ナル場合 第1項 古屋氏法
第2頂 :Bernstein氏法 第3芝頁 Lenz 氏法
第4項 Welnberg氏同胞法 第5項 Weinberg氏護端者法
第2節 爾親ノー・方慢性胃疾患二罹患セル場合
第1項 古屋氏法 第2項:Bernstein氏法 第3項 Lenz.氏法
第4項 Weinberg氏同胞法 第5項Weinberg氏護端者法
第3節 慢性胃炎患者ノ2,3ノ興味アル家系二 就テ
第5章 護病年齢二就キテノ考察
第6章 総括立立二結論
献
第1章 緒
慢性胃炎ガ,他ノ慢性胃疾患ト同一Genノ遺
傳:二依リ獲生スル:コトヲ主張セルハ;J.:Bauer und:B. Aschner(1x2)=シテ,氏等ハ胃及ビ十二:
指腸潰瘍ノ遺傳=關シテ研究中,胃及ビ十二指 腸潰瘍患者家族二於テハ,胃及ビ十二指腸潰瘍 ノミナラズ胃癌,慢性胃炎,祠脛性浩化不良症
雪
等ノ多キコトニ着目シ,之等諸種疾患ガ Die Organminderwertigkeit des Magens ζナルGen
ノ劣性遺遠隔依り民生スルコトヲ確メタリ.余
㈹モ亦胃及ビ十二指腸潰瘍ノ逡傳二就キテ研 究スル所アリ,ソノ結果ノ大要ハ既二報告セル
如ク,J.:Bauer,:B. Aschnerノ謂フ,,Die organ一
[ 1 ]
2404 田 中
minderwertigkeit des Magens ノ劣性遺傳ハ可 能ナリ.而シテ同一・Genノ上二階生スル疾患ナ ルニ拘ラズ,胃及ビ十二:指腸潰瘍ノ二丁二二ス ル研究ハ,P16nies(12)以來比較的多数二上リタ ルモ,慢性胃炎ヲ主トシタル遺傳的研究ハ余ノ 寡聞未ダ甚ダ少数ナルモノノ如シ.
:Knud:Faber(4)ハ1910年慢性胃炎,殊二無酸 症二關スル詳細ナル研究ヲ獲表シ,無酸症が機 能性乃至ハ瀞維性要約二依リ嚢生スト記載シタ
リ.
Stiller(14)ハ無力四四質所有者(Astheniker)ニ ハ過酸症多シト報告シテ,胃液ノ酸度ト罷質ト
ノ日露ヲ注目シタリ.R, Schmidt(・3)(1912)ノ、
無酸症が腿質的要約ノ上二門生シ,所謂帯下性 無酸症(Die konstitutione玉le Achylie)ガ,若年者 而モ虚弱ヂ紳経質ナル無力性心質所有者二多シ
ト報告シタリ.W. Weitz(17)(1940)=依レバ,
Closs(3)ハ4代=亘り8名二Soodbrennenノ來
レ ル家系=就キ報告セリ.
近時,胃及ビ十二指腸潰瘍ノ成因論トシテ Konjetzny(5)一・派ノ胃炎読が有カニ唱導サル・
=至り,胃炎二關スル研究ハ漸ク學者ノ注目ヲ 惹キ,慢性胃炎ノ蓮:命,即チ慢性胃炎ヲ基礎ト シテ,潰瘍叉八胃癌二移行スルモノアル事實ハ 學者ノ等シク認ムル所ニシテ,之レが間明二向 ツテハ,病理解剖學的槍索封:二精細ナル臨豚的 観察ハ勿論,遺霜曇的考察モ亦要スベキモノ1・
信ズ.
余ハ斯ル見地ヨリ,慢性胃炎ノ遺傳二就キテ 考察シー定ノ成績ヲ得タルヲ以テ蝕二報告シ先 進諸家ノ御高教ヲ仰ガムト欲ス.
第2章 硝 究 方 法
大正14年以降昭和14年末迄満15ケ年間二野ケル金澤 醤科大學大里内科外來蚊二入院患者ニシテ,診察,
「レ」線楡査,胃液強査ノ結果,慢性胃炎ノ診断ヲ受ケ タル者二昭和15年7月現在ノ健康駄態虹二家族歴二就 キテ詳細ナル照応状ヲ護シ,返書二面セルモノ,及ビ 直接患者ノ二二ヲ得テ橡査シ,調査ノ目詰二天シタル 207例ヲ澤ビ,遺傳閣係二四キ種々観察吟味セリ.
爾,野司慢性胃炎ト構スルハ,一次性慢性胃炎ニシ テ,從ツテ胃及ビ十二指腸潰瘍ヲ合併セルモノ,肺結 核ヲ合併セルモノ,叉ハ肝硬攣症二依ル魔二二i次性慢 性胃炎ハ除外セリ.
遺傳統計法ハ(6)(7)(8、(9)(11)(15)古屋氏法,Lenz氏法,
:Bernstein氏法, Weinberg氏同胞法, Weinberg氏護 端者法ヲ用ヒタリ.統計二用ヒシ公式ヲ示セバi欠ノ如
シ.
百分率誤差(Em)
n
X=百分率 ゴ=・度敷
・一津一(導
2r I£nz民法 VAsn十t]l
r=患者庶出 S=同胞数 . 1・=補正追加数
Weinberg氏同胞法…綴跳
E(n,)=±,N/tt s.lttgg:oo:t/:)s 一))
)2叉・・σ一4Σ碧2
n==度 数
寄伽囎開法Σ,課呈論}
P=護端者,S=第2豪者, P=同胞撒
第3章慢性胃炎患考家族回船ケル胃疾患ノ頻度
慢性胃炎患者家族二於テ,胃癌蚊二丁及ビ十 二指腸潰瘍ヲ除ク凹凹胃疾患ヲ少クトモ患者
(獲端者ヲ指ス)以SF ==1入以上有スル家族ハ89
=シテ42.99%±3.339%ナリ.胃癌ヲ三明スルモ ノハ37ニシテ17.87%±2.652%胃及ビ十二指腸 潰瘍ヲ讃明スルモノハ10,即チ4.83%±1.489%
第ユ表 家族=於ケル胃疾患ノ頻度
、 ■
家族二戸ケル胃疾患 例数 207例二封スル%
} } 一 一 目
慢性胃炎ソノ他 89 42・99%±3・339%
胃 癌 37 17・87%±2・652%
胃及十二指腸潰瘍 10 4・83%±1・489%
[ 2 ]
胃疾患ノ遺簿ト{澄質二關スル研究 2405
ナリ.
而シテ家族二於ケル胃及ビ十二指腸潰瘍ノ頻 度が胃癌ノ頻度二比シ非常二面ナルハ,所謂胃 弱トィフモノノ中=潰瘍が相函数存シ,応仁偶 々診察セシ讐師が潰瘍ナル明確ナル診断名ヲ患 者二示スコトナク,唯漠然ト曖昧二慢性胃病ト 教フルが如キ二二基因スルモノニ非ズヤト思考
ス.
今,胃癌,胃及ビ十二指腸潰瘍,爾飴胃疾患 絡テヲ合シテ見ル時ハ,之レヲ讃明スルモノハ 112家族,從ツテ54.10%±3.36%トナル.而シ テ余ノ蒐集セシ207例ノ慢性胃炎患者ヲ性別二 三リ大別スレバ,男子149名,女子58名=シテ,
男子149雨中家族的素因ヲ歩出スルモノハ81名,
54.36%±4・08%,女子58名中家族的素因ヲ引明 スルモノハ31例,53.44%±6.54%ニシテ,性別 二一ル家族的素因ノ濃淡ハ存セザルモノノ如 シ.第2表調書レヲ表示セルモノナリ.
第 2 表 性
溺 男 子 女 子
症 例
81
31
欝1三遷鵜鋼
茎珪:1鞠雪1:諺
27.670/o
±4.230/o
53.440/o
±6.540/o
39.130/o
±3.390/o
14.970/o
±2.480/,
家族二方全ケノレ胃病罹患者ト患者(獲端者)トノ
血血忌係二就キ観察スル=,第3表二示ス如 ク,患者ノ父が罹病セルモノ31,母が罹病セル 第 3 表
家族二於ケル胃病
父 母 父母 兄妹 小供 父系ノ趙父母 母系ノ租父母 父系叔父母及從兄弟 母系叔父母及從兄妹
叢群舞響
31 25 5 50 28 15 16 9 8
27.67e/0 22.329/0 4.460/0 44.640/0 2s.oo/,
13.390/0 14.280/o s.030/0 7.140/o
14.970/0 12.070/0 2・419/0 24.150/0 13.520/0 7.240/0 7・720/0 4.340/0 3.860/o
モノ25,兄妹が罹病セル毛ノハ50家族,患者ノ 子供が罹病セルモノハ28家族,患者ノ父系租父 母二胃病アルモノ15,母系祀父母二胃病アルモ ノ16,父系ノ叔父三叉ハ從兄妹ニアルモノ9家 族,母系ノ叔父母又ハ從兄妹=アルモノ8家族 ナリ.而シテ爾親共二宵四二罹患セルモノハ5 家庭ナリ.
以上余ハ概括的二慢性胃炎患者家族=於ケル 慢性胃疾患ノ頻度二:就キテ高察セシガ,等シク 慢性胃炎ト構スルモ種々ノ種類アルハ周知ノ事 實ニシテ,余バー一一一Aツノ試ミトシテ胃液ノ態度二 依り無酸性胃炎(Gastritis anacida),低酸性胃炎
(Gastritis hypacida),正酸性胃炎(Gastritis nor−
macida),過酸性胃炎(Gastritis hyperacida)二分 類シタリ.此際胃液中ノ遊離盤酸ノ態度二依リ 遊離盤1酸ヲ全ク歓如セルモノヲ無酸症,20度以 下ヲ低酸症,60度以上ヲ週酸症トセリ.而シテ 余ノ207例二丁キテ此ノ分i類ヲ適用スルニ,無 酸症二驕ス可キモノハ20例ニシテ男子16例,女 子4例ニシテ,男子罹患者籔ノ女子罹患者激二 二スル比ハ4:1ニシテ男子=二二的=多シ.
之レヲ家族的素因ノ黙ヨリ二二スル=,家族的 素因ヲ二丁スルモノハ】2例ニシテ男子10例,女 子2例ニシテ,男子無酸症二二テハ62.5%,女 子=於テハ50%二家族的素因ヲ認メ,而モ家族 的素因ヲ有スル男子罹患:二二ト女子罹患者激ノ 比ハ5:1ナリ。低酸症二二ス可キモノハ26例,
男子12例,女子14例ニシテ男女罹患二丁ノ比ハ 1:1.16ニシテ之レヲ家族的素因ノ貼ヨリ観察 スル=14例(53.84%)二家族的素因ヲ忌明シ,
男子3例,女子li例ニシテ,ソノ比ハ1:3.66 ナリ.正酸症124例二丁キテ観察スルニ男子89 例,女子35例:・シテ,ソノ比ハ3.85:1,家族 的素因ヲ三明スル68例中男子54例,女子14例ニ シテ,ソノ比ハ3.85:1ナリ.過酸症二二スル モノハ37例ニシテ,男子32例,女子5例ナリ.
過酸症37例ヲ家族的素因ノ有無ヨリ槍討スル ニ,家族的素因ヲ有スルモノ18例,男子14例,
女子4例ニシテ男子二於テハ43.75%,女子=
於テハ80%二家族的素因ヲ誰明シ,家族的素因
[ 3 )
2406 宙 中
ヲ有スル男女罹患者歎ノ比ハ350:1ナリ.第 4表ハ以上ヲー括表示セルモノナリ.
第 4 表
症例数
全症例数207例二
父<求
男子罹患 メ数ト%
女子罹患 メ敷ト%
家族的素因ヲ有スル数ト該當全症
癈 封スル
家族的素因ヲ有スル男
q数ト該當
j子患者数酒肉スル%女子患者撒二封スル%
蕪撫麟蠣 ・藪騨額難
無酸症 20 9・66% 16
P0.73% 4 U・89%
12 U0・0%
10 U2.50%
2
T0.0% 4:1 5=1 低酸症 26 ユ2・56% W・05%一12 14
Q4・13%
14 T3・84%
3
Q5.0%
11
V8・57% 1:1.16 1:3.66 正酸症 124 59・90% 89
T9・73%
35 U0・34%
脚・68 T4・83%
54 U0・67%
14
S0・0% 2.54:1 3.85:1 過酸症 37 17・87% 32
Q1.47%
5 W・62%
18 S8.64%
14 S3.75%
4
W0.0% 6.40:1 3.50=1 計 207 100% 149P00%
11GO%1
58 112
@ 54.10%
81 T4.36%
31
T3.44% 2.56:1 2.61:1
由之観之,i無酸性胃炎二於テ:最モ家族的素因 顯著ナルモノノ如シ.
三二二二ノ遠隔成績二道キテ見ルニ,長キハ 16年,最短満1ケ年ノ観察ニシテ,潰瘍トナリシ モノハ5例ナリ.而シテ既往ノ胃液ノ歌態ヲ追 究スル=,2例ハ低酸,2例ハ正酸1例ハ過酸 ヲ示セルモノニシテ,5例ip 4例ハ家族的素因 ヲ:有スルモノナルハ興味アル貼トス.叉胃癌ト ナリ死亡セルモノハ2例=シテ,ソノ1例ハ既 往二無酸症ヲ呈シ,ソノ同胞ノ1人モ胃癌ニテ 三門ルモノナリ.他ノ1例ハ既往正酸ヲ示セル モノニシテ,家族的素因ヲ有ス.
田中㈹ハ癌腫,徽毒,肺結核,謄嚢炎,貧 血,「バセドー」氏病中二依ル無酸症ヲ除外セル Schemensky und Gelingノ言フAbsolute oder
komplete Achylieノ患者10例二二キテ,最長13 年カラ最短3こ口間,最多17回ヨリ最小3回ノ 胃液三二ヲ施行シ,無酸症ト二三生ノ無關野性 ヲ認メタリ.川井⑩ノ最:近ノ報告二丁レバ,
Absolute Achylieノ胃液ヲ有スル患者ノ消化器 系統,殊二三カラ癌腫ヲ磯生スルコトハ極メテ 稀ナ現象ナルモ,relative Achylieヲ有スル胃カ
ラノ癌三生ハ経験スル所ニシテ,ソノ豫二二就 キテハ注意ヲ要スト.余ノ胃癌トナリタル2例
=於テハ,胃液槍査ヲ反覆施行セザルヲ以テ,
胃液ノ態度ト胃癌二二ノ蓮關二二就キテ試論セ ントスルハ基礎薄弱ナレド,胃癌ノ家族的素因 ヲ有シ而モ無酸症ヲ示セル1例9於テ胃癌ノ四 生ヲ白蜜ルハ,誠二興味アル白干シテ示唆スル 所大ナリト思惟ス.
第4章逡傳統計學的考察
余ノ207例二二キ患者ノ返書=從ヘバ,全同 胞藪:ハ951名ニシテ,患者以外二胃病二罹患ス ル者ノ延人員ハ67人ナリ.從ツテ951寺中,207 十67,帥チ274名が胃病二罹患セル理ナリ.帥
チ儲出騨ヲ%ヲ以壊セバll躯1・・一
28.81%ニシテ,E(m)=±1.468%トナル.
軍優性Gen二依ル遺傳トスレバ,少クトモ二 親ノー二四胃病二罹患スルコ}・ヲ條件トスル
モ,今暫ク之レヲ問ハズ優性Gen =依ル遺傳:ナ
リトセバ,次ノ四ツノ場合が可能ナリ.
1)DD×DD面一DD×DR 2) DRxDR
3) DDxRR
4) DRxRR
而シテ常二50%以上ノ病者ヲ期待シ得ルナ リ.余ノ症例=於テハ同胞ノ患者出現…率ハ22.8
%±1.468%=シテ,而モ爾三共二健康ナル者が 牛数以上二存スルコトハ,如何=シテモ優性1・
C 4 )
胃疾患ノ遺傳ト盟質二關スル研究 2407
ハ認メ難シ.
從ツテ余ハ輩劣性Gen二依ル遺三二就キテ考
察セン}・欲ス.
人類二陣ケル疾病ノ遺傳研究二一リテハ,少 クトモ患者ノ同胞ノ絡テニ就キテ,診察ト同時 二適當ナル補助二物法トヲ實施スルが本甲重要 ナルコトナレド,實羽帯不可能事二厩スル所ニ シテ,余ハ之レニ代フルニ詳細ナル問合引歌ヲ 以テシタレドモ,胃癌ヲ除ク他ノ慢性胃病二就 キテハ專門的知識ナキ者二・ソノ種別ヲ問フハ困 難ニシテ,所謂胃病1・構スルモノノ中ニハ,慢性 胃炎ヲ除ク他ノ慢性胃疾患モ相轡形マレ居ルモ ノト信ズ.且叉余ハ既二」.:Bauer, B. Aschner
(1)(2)等謂フ所ノ Die Organminderwertigkeit des
Magens ナルモノが劣性二遺傳シ得ル可能性二 等キテハ報告シタルヲ以テ, Die Organmin−
derwertigkeit des Magens ナル劣性Genヲ考慮 二丁レテ,総テノ胃疾患ヲ含メタル興野統計ヲ 試ミント欲ス.
第1節男親共外観上健康ナル場合 或ル疾病が輩劣性遺傳ヲナス場合,爾親共健 康=シテ該疾病二侵サレザルハ,DR×DR,
DR×DD, DD×DDノ三ツノ場合ナリトス.
而シテ,DD×DD, DR.×DDノニツノ場合二 於テハ,カ・ル雨親ヨリ生ル・子供ハ総テ健康 ナリ、從ツテ該疾病二侵サル・コトナキ爾親ノ 子供=該疾病が出現スル如キ場合ハDR×DR ノ交配ニシテ,此際RRノ出現率ハ25%ナリ.
印チ1見家庭ナレバ4家庭ノ申1家庭二,2見 家庭ナレバ16家庭中7家庭二病者ヲ見出ス理ナ
リ.
余ノ症例二於テ爾親共二健康ナル者ノ同胞総 数ハ658名=シテ,患者数ハ177名,26.89%ニ
シテ病期値25%ヨリ大ナレドモ,材料ノ選揮二 際シテ必ズ患者存スル家庭ヲ揮ビシ爲メ不自然 ナル響町Anslese加バレルヲ以テ,遺傳統計法 二依りAnsleseヲ除外セザル可ラズ.
第1項古屋氏法(7)
古屋氏法二依レバ M・こ2L18%
E(m)識士3.28%
o= 2.3%
ニシテM=21.2%ト一期値25%ノ差ハ3.8%ニ シテ,誤差3×3.28%二比シテ少シ.
第5表 古屋氏法
S n P! 1−q弓 P
1 26 26 1,000 0,250 0,250
2 13 14 0,538 0,438 0,235
3 20 23 0,383 0,578 0,221
4 21 27 0,321 0,684 0,219
5 29 39 0,269 0,763 0,205
6 7 8 9 10
16 17 8 2 3
25 25 10 3 5
O.260 0.219 0.156 0.166 0.166
O.822 0.867 0.900 0.925 0.944
O.213 0.189 0.140 0.153 0.156
£
M== 21.180/o E(m) 一= ±3.28%
a==2.30/o
第2項Bernstein氏法(6x8)
Bernstein氏DR×DR表二依り計算スルニ
期子寺数=239
m == ±8.85
患者二二気=177
=シテ(期待藪一3×m),印チ2125ニシテ患者 實藪177トノ間ニハ相當ノ差存ス.
第6表 ベルンシュタイン氏法
S n r 期待数 m2
1 26 26 26xLOOO 26xO
2 13 14 13×1.143 13×0.122 3 20 23 20×1.297 20×0.263 4 21 27 21×1.463 21×0.420 5 29 29 29×1.640 29xO.592 6 16 25 16×1.825 16xO.776
7 17 25 17×2.020 e 17×0.970
8 8 王0 8×2.222 8x1.ユ72
9 2 3 2x2.433 2×1.380
10 3 5 3×2.515 3×1.531
Σ 177 238,809 78,469
期待ew ・一 239 m==±8・85 患者實激=177 t 5 1
2408 田 中
第3項:Lenz氏法(6)(8)
Lenz氏法二依レバ,同胞数ハ658,補正追加
第7表
藪ハ288.681,患者實tW 177 =シテ18.69%,帥チ 略,々1:5.35ナリ.
レンツ氏法
S n Sn 補正追加数 r
1 26 26 26×3.000 26 177
2 13 26 13×2.571 14 658十288.681 3 20 60 20x2.189 23
=18.69 4 21 84 21×1.851 27
5 29 145 29x1.556 29 6 16 96 16×1.299 25 7 17 109 17×1.078 25
8 8 64 8×0.890 10
9 2 18 2xO.731 3
10 3 30 3×0.597 5
Σ 6ε8 288,681 ,P77
第4項weinberg氏同胞法(sJ) Σr(r−1)= 112ニシテ15・75%ナリ.
Weinberg氏同胞十二依レバΣr(S−1)=711,
第 8 表 Geschwistermethode
,
S r n r(s−1) n×・(S−1)
2 1 12 1 12
2 2 1 2 2 2 2
3 1 17 2 34
3 2 3 4 12 2 6
4 1 16 3 48
4 2 4 6 24 2 8
4 ・ 3 1 9 9 6 6
5 1 24 4 96
5 2 2 8 16 2 4
5 3 1 12 12 6 6
5 4 2 16 32 12 24
6 1 9 5 45
6 2 5 10 50 2 10、
6 3 2 15 30 6 ヱ2
7 1 11 6 66
7 2 5 12 60 2 10
7 4 1 24 24 ユ2 12
8 1 6 7 42
8 2 2 14 28 2ρ 4
9 1 1 8 8
9 2 1 16 16 2 2
10 1 2 9 18
10 3 1 27 27
@ 一
6 6
Σ 711 112
[ 6 )
胃疾患ノ遺傳ト畳豊質:二關スル研究 2409
第5項 Weinberg氏(9)護端者法 第9表=示ス如ク
Zp× (p一一1)=513
MP× {(P一一一1)十Sj = 42 ΣP
ユ高S}一8・19%ナリ・
第 g i表i ProbandeDmethode
o十S P 一r n P×(P−1) n×P×(P−1) P。{(P−1)+S}1 n×P×{(P−1)十S}
2 1 1 0 ユ2 1 12
2 2 1 1 1 1 1 1 1
3 1 1 0 17 2 34
3 2 1 ユ 3 2 6 1 3
4 1 1 0 16 3 48
4 2 1 1 4 3 12 1 4
4 3 1 2 1 3 3 2 2
5 1 1 0 24 4
lI g6
5 2 1 1 2 4 8 1
i 2
5 3 1 2 1 4 4 2
1「 2
5 4 1 3 2 4 8 3 } 6
6 1 1 0 9 5 45 1
6 2 1 1 5 5 25 1 5
6 3 ユ 2 2 5 10 2 4
7 1 1 0 11 6 66
7 7 24 11 131
15
66 30U
13 53
8 ユ 1 0
16
7 428 9 9 10 10
2 1 2 1 3
ll ll 2 11 OI 1 11 11 1
1PO!2
11 2i 1 1
7 8 8 9 9
14 8 8 18 9
1
1
2
2
1
2
513 42
第2節 爾親ノー一方慢性胃疾患 二罹患セル場合
爾親一方罹患セル場合爾親ノGenノ交配ハ
RR×DD叉ハRR×DRナリ.RR×DDナル爾
親ヨリ生レタル子供ハ総テ獲病スル=至ラズ 100%外観上健康ナリ.RR×DRナル爾親ヨリ 生レタル子供ハ50%ハ罹病シ50%ハ健康二止マ ル.從ツテ爾親ノー方ガ罹病シ子供モ罹病セル 場合ノ軍劣性遺傳ノ爾親二於ケル配合ハRR×DRニシテ,理論上子供ノ50%ハ罹病ス.
余ノ症例二於テハ,爾親ノー方ガ慢性胃病二 罹患セル者ノ全同胞数ハ246名ニシテ,中胃病
二罹患セル者68,從ツテ27.64%ニシテ豫期値1 50%二隔タルコト:甚シ.然レドモ此虞二考察ヲ 要スルハ,Genナルモノハ遺傳スレバ必ズ罹病 ヲ招ク如キ性質ノモノニ非ズシテ,Genノ存在 ハ内的素因トシテ個艦二存シ,適當ナル外的要 約ノ加ハルト共二白日裡二現ハル・kノナル 故,軍二理論値ヲ得ザルガ故二遺傳ヲ否定シ去 ルハ輕卒ナリ.
第1項古屋氏法(7)
第10表二示ス如ク M;22.45%
E(m) == ±6.15%
a=6.39%
[ 7 ]
2410 田 申
ナリ. 1皿:==ヒ7.37
患者数=68
第10表古屋氏法
S 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
£
n 2 2 3 4 16 8 5 3 2 1
r
2 3 4 7 27 13 6 3 2
1
P1
1.000 0.750 0.444 0.437 0.337 0.270 0.171 0.125 0.111 0.100
1−q:
O.250 0.438 0.578 0.684 0.763 0.822 0.867 0.900 0.925 0.9t14
P
O.250 0.328 0.256 0.298 0.257 0.221 0.148 0.112 0.102 0.094
M==22.450/o E(m) =t6.150/o
o=6.390/o
第11表 ベルンシュタイン氏法
S n r 期待数 m2
1 2 2 2×1.000 2×0
2 2 3 2×1.333 2×0.222
3 3 4 3x1.714 3×0.490
4 4 7 4×2.133 4xO.782
5 16 27 16×2.580 16×1.082
6 8 13 8×3.048 8×1.379
7 5 6 5×3.528 5×1.667
8 3 3 3×4.016 3x1.945
9 2 2 2×4.509 2×2.215
10 1 1 1×5.005 1×2.478
Σ 68 127,915 54,364
期待va =128 m==±7.37 患者實tw ・= 68
第2項:Bernsteill氏法(c))(8)
Bernstein氏RR×DR表二依ル結果ハ第11表 ノ如ク 期待数=128
第3項:Lenz氏法(t;)(8)
Lenz氏法二依レバ,同胞;藪=246,補正追加
;数ハ7052,患者實数68ナル故,1;4.66ナリ.
第12表 vンツ氏法
s n Sn 補正追加数 r
1 2 2 2×3.000 2 68
2 2 4 2×2.571 3 246十70.52
3 3 9 3×2.189 4
=21.48
4 4 16 4×1.851 7
5 16 80 16×1.556 27
6 8 48 8×1.299 13
7 5 35 5x1.078 6
8 3 24 3×0.890 3
9 2 18 2×0.731 2
10 1 10 1×0.597 1
Σ 246 70,520 68
第4項Weinberg氏同胞法(9)
Weinberg氏同胞法二依レバΣr(S一一1)=287,
Σr(r−1)ニ52ニシテ18.12%ナリ.
[ 8 ]
胃疾患ノ遺傳1囎質二關スル研究 2411
第13表
GeschwistermethodeS r n ・(s−1) n×・×(s−1) rx(r−1) n×r×(r−1)
2 1 1 1 1 −
2 2 1 2 一2 2 2
3 1 2 2 4
3 2 1 4 4 2 2
4 1 1 3 3
4 2 3 6 18 2 6
5 1 7 4 28
5 2 7 8 56 2 14
5 3 2 12 24 6 12
6 1 5 5 25
6 2 1 10 10 2 2
6 3 2 15 噛 30 6 12
7 1 4 6 24
7 2 1 12 12 2 2
8 1 3 7 21
9 1 2 8 16
10 1 1 9 9
1
287 52
第5項Weinberg氏獲端者法(9)
第14表二示ス如ク ΣP×(P−1)=210
第14表
V−P× {(P−1) 十S} = 22
從ツテΣPW綜∋絆一1・・47%ナリ・
Probandenmethode
P P十S P S n PX(P−1) n×P×(P−1) P×{(P−1)十S} n×P×{(P−1)十S}
2 1 1 0 1 1 1
2 2 1 1 ユ 1 1 1 [ 1
3 1 1 0 2 2 4
3
21
1 1 ユ 2 2 1 14 11 1 1 0 1 3 3
4 2 1 1 3 3 9 1 3
5 1 1 0 7 4 28
5 2 1 1 7 4 28 1 7
5 3 1 2 2 4 8 2 4
6 1 1 0 5 5 25
6 2 1 1 1 5 5 1 呼 1
6 3 1 2 2 5 10 ・ 2 4
7 1 1 0 4 6 24
7 2 1 1 1 6 6 1 1
8 1 1 0 3 7 21
9 】 1 0 2 8 16
ユ0 1 1 0 1 9 9
7
210 22
L
[ 9 1
2412
田 中
第3節 慢性胃炎患者ノ2,3ノ 興味アル家系二就テ
Closs(3)ハ4代=亘り8名ノ患者ヲ見タル Sodbrennen/1家系ヲ報ジタリ.(第1圖)
第3圖 中○清O
口引⑫畠鴨伽
L丁∵
第1 圖
ロ ロ○ 圏 ie.+・ 64j
ii
tz e ct b ts 6 b 2ep ssj
口○臼 一
膨・灘胃病
醜回忌
,3翅%○
4囮4s2i
囹 36昭 ○ op re
taO・・□。?・ロ・○
第4圖 石O庄○
,鍔溺 ○卍
80
留 晶
、ヂロ ⑧蚤◎塁鱗
余モ藪代二亘り多数胃病患者ヲ出セル家系ヲ 蒐集シタルヲ以テ,ソノ2,3ヲ示セパ次ノ如
シ.
r一一「『一「「
32卍○・99囲・・○052□、、覧9。△
第2圖 山○源O
re翻
引 ○卍66卍③ 51國 42彪2
O 38@
一一IT 一一=
13囮 9囮 ワ⑳ 2口
35□!320、ワロ、。○、6ロ1
第5圖 高0カ0
撃
課
○。35r一一一一一 一 1一一一一一一 1
竺纏
口reO卍
[ 10 ]
胃疾患ノ遺傳ト盟質二關スル研究 2413
然レドモ斯ル家系ハ比較的稀有二厩スル所ナ レバ,斯ル家系ヨリ直チニ遺:傳形式二就キテ考 察セントスルハ,比較的稀有ナル疾患二於テハ
可能ナルモ,慢性胃炎ノ如キ頻繁ナル疾患二於 テハ安當ナラザルモノト思惟ス.
第5章四病年齢二就キテノ考察
「家族素因が濃厚ナレバ濃厚ナル程,獲病年 齢早シ」トハ総テノ遺傳性疾患二適用セラレ得 ルモノナリ.
余ハ207例二就キテ患者が臨林症状ヲ訴ヘタ ル時期ヲ以テ襲病年齢ト推定シ,獲病推定年齢
ヲ以デ症例ヲ整理スルニ第15表二王ス如シ.
第 1 5 表
症 例
家族的素因アルモノ 家族的素因ナキモノ
19歳以下 20 16 4
20−29 59 33 26
30−39 46 25 21
40 一 49
47 22 25
50−59 31 15
ユ6
60歳以上 4
1
3
計 207 112 95
家族的:素因ヲ有スル者=:就キ観察スル■t,19 歳迄二品病セルモノハ16例ニシテ家族的素因ヲ 有スル112例二面シ14・24%ヲ占メ,20〜29歳迄 二獲病セルモノハ33例ニシテ29・46%,30〜・39歳 三二虚病セルモノハ25例22.32%,40〜49歳迄
二獲病セルモノハ22例ニシテ19.64%,50〜59 歳迄二護一二ルモノハ15例13.39%,60歳以後
二獲病セルモノハ僅二1例ニシテ0.89%ナリ.
家族的素因ナキ95例二就キテ観察スルニ,19歳 迄ユ護病セルモノハ4例4.24%,20〜 29歳迄=
忌寸セルモノハ26例27.36%,30〜39歳迄二心 病セルモノハ21例22・10%,40〜49歳迄二獲病 セルモノハ25例26・31%,50〜59歳迄輪姦演義 ルモノハ16例16・84%,60歳以後二選掛買ルモ ノハ3例3.15%ナリ.第16表,第17表ハ之レヲ 表示セルモノニシテ,家族的素因ヲ有スル者ハ 有セザル者二於テ護病年齢早キコトヲ知ル.更 二之レヲグラフヲ以テ示セバ此ノ問ノ事情一暦 顯著ナリ.
第 1 6 表
症 例 112例二封スル%
207例二封スル%
19歳以下 16
14.240/0 7・720/o
20−29 33
29.460/0 15.940/o
30−39 25
22.320/0 12.070/o
40 一 49
22
19.640/o le.620/o
50−59 15
13.390/0 7.420/o
60歳以上
1
(O.890/e)
(O.480/o)
112 1eoo/o s4.Ioo/o
第 1 7 表
19歳以下 20−29 30−39 40−49 50−59 60歳以上 症 例
X5例二封スル%
Q07例二封スル%
4 S・24%
k93%
26 Q7.36%
P2・56%
21
Q2・10%
25 Q6・31%
P2・07%
16 P6・84%
V・72%
3 R・15%
P・44%
95
@100%
S5・89%
[ 11 ]
2414 田 申
初%
ua%
10%
第 1 8 表
wh家族的紫因アル者ハ12
例昌尉スル%
一一.一一一一一一一一一家族的素因ナキ者ノ95
例二封スル%
r\
ノ ハ
1\、 !/、・、
ノ ・/ ・、
、 、 、 、 、
1 \
, 、
1 \
、 、 、 、 、 、 、
ノ \
N
19震以下 2〔}一29 SO−3S 40−49 50−53 60歳以上
M%i
20%
10%
1
第 1 9 表
/
/
e ノ ノ ノ
r t
家族的素因ヲ有スn青 ノ全症例2」7例昌封ス ル%
一・一一・一一齢一一@家族的素因ナキ者 ノ全 症例207例二封スル%
ハへ/ 、、、 、\
/ 、\! \
N
Ns Nxi,,
Nx x
IS歳以 下 20一一29 30−SS 40−43 50−5g eo』暖以上
今,家族的素因アル112例ヲ年齢二慮ジテ累 積度藪ヲ試ミル=,29歳迄=43.75%,39歳迄
= 66.07%,49歳迄二85・71%,59歳迄=99.10%
ヲ占ムルニ反シ,家族的素因ナキ95例二於テ
ハ,29歳迄=3157%,39歳迄=53.68%,49歳 迄二80・0%,59歳迄二96.84%ヲ占ム.帥チ,39 歳迄二於テハ,ソレ以後=於ケルヨリモ,ソノ 差甚ダ大ナルヲ知ル.
[ 12 )
胃疾患ノ遺傳ト髄質二關スル研究 2415
第20表 家族的素因ヲ有スル者ノ累積度数
19歳以下 20−29 30−39 40−49 50−59 60歳以上 累積度数
P12例二封スル%
Q07例二封スル%
16 P4・24%
V・72%
49 S3・75%
Q3・67%
74 U6・07%
R5・74%
96 W5・71%
S6・37%
111 X9.10%
T3.62%
112
@100%
T4・10%
第21表 家族的素因ヲ有セザル者ノ累積度胸
累積度数 95例二封スル%
207例二謝スル%
19歳以下 4
4.210/0 1.930/o
20一一29
30
31.570/0 14.490/o
30−39 40−49 51 1 76
s3.6so/,1 so.ooo/.
24.630/ol 36.720/0
1
50 一一 59
92
96・840/a 44.44%
60歳以上 95
1000/0 45.890/o
1ee%
se%
eo%
ア0%
60.ae
50%
40%
sc %
2e%
10%
第 22表
/ t
ノ t ノ
ノ
1
ノ
1
!/ノ
/
/
i1 一
㌔9P昌ρ
tt
tt
/ 1
i
/
/
Z
l
/t
/
ノ
1
ノ
家族的素因ヲ「謬ス凡者 ノ累積度戴曲線 一一一一一一@家族的素因ナキ者ノ累
積度搬曲線
za一一一一一L−ww一一一−a一一 一一一一
各年齢別二於ケル症例数ハ既二記載セル 如ク19歳以下二胃病セルモノハ20例,20〜
29歳二二二二セルモノハ59例,30〜39歳迄 二丁病セルモノハ46例,40〜49歳迄二爽病 セルモノハ47例,50〜59歳二二急病セルモ ノハ31例,60歳以後二野病セルモノハ4例 ナリ.各年齢別=於ケル家族的素因ヲ有ス ル者ノ占ムルi三二二家族的素因ヲ有セザル 者ノ占ムル率ヲ観察スルコトハ,;果:シテ家 族的素因アル二二於テ早ク護病スルや否や ヲ確ムル爲メニハ必要ナルゴト・思考ス.
第22表,第23表ハ之レヲ表示セルモノニシ テ,19歳以下二陣病セルモノノ80%ハ家族 二二素因ヲ有シ20 v29tt迄二護病セルモノ ニ於テハ55.93%ハ家族的素因ヲ有スル者 ニシテ,漸次年齢ノ上昇スルニ從ヒ,家族 的素因ヲ有スル者ノ占ムル百分率ハ少トナ リ,60歳以後二護病セルモノ=於テハ,家 族的素因ヲ有スル者ハre = 25%=シテ,家 族的素因ヲ有セザル者ハ75%ノ多藪ヲ占
ム.由是観之,家族的素因ヲ有スル者ガ,
家族的素因ヲ有セザル者二比シ早ク獲病ス ルコトノ、明瞭ナリ.
19歳以下 20−29 50−59 40−4S 馴〕一59 90撰以上
C 13 ]
2416 田 申
第 2 3 表
19歳以下 20−29 30−39 40−49 50−59 60歳以上
症 例 20 59 46 47 31 4
家族的素因ヲ有ス 去メノ該當年齢症 癈 封スル%
16 W0%
33 T5・93%
25 T4・34%
22 S6・80%
15 S8・38%
1 Q5%
家族的素因ナキ者ノ該當年齢症例二
父Xル%
420% 26 S4・06%
21 S5・65%
25 T3・19%
16 T1・61%
375%
第 2 4 表
1co%
so%
eo%
roi%
sc%
sc・%
40%
切%
ve%
10%
t t
rl
/
ノ
tt tt
各年齢別昌於ケル家饒 的棄因ヲ有スル奢ノ占 ムル%
__一一一一e年齢別昌於ケル家族 的素因ナキ者ノ占Aル
%
//一
.一一.一N.. t ノ
tl
t/
ノ
ノ
ノ it
19歳以下 2〔}一29 50−39 40−49 507験 職一三よ
第6章結論tu =総括
余ハ大正14年以降,昭和14年末二至ル1繭15年 間,金澤讐科大旨大里内科外來患者蛙国入院患 者中,慢性胃炎:ノ診断ヲ受ケシ:者=,昭和15年7 月現在ノ健康状態拉二家族歴二:就キ詳細ナル紹
介状二依リ返答ヲ求メ,返書二接シタルモノ,
,及ビ直接患者ノ來訪ヲ得テ槍査シ,調査ノ目的 二適pタル207例二:就キテ,遺傳學的見地ヨリ,
家族二於ケル胃疾患ノ頻度,遺傳:統計法,襲病年
t 14 ]
胃疾患ノ遺傳ト髄質二閣スル研究 2417
齢等二亘リ糊察セル結果,次ノ成績ヲ得タリ.
1.慢性胃炎患者家族二於ケル胃癌蛙二胃及 ビ十二指腸潰瘍ヲ除ク爾蝕慢性胃疾患ノ頻度ハ 42.99%±3.339%ナリ.
2.胃癌ヲ言色明スル家族ハ37ニシテ17.87%
±2.652%.
3.胃及ビ+運指腸潰瘍ヲ声明スル家族ハ10
ニシテ4.83%±1.489%.
4.胃癌,潰瘍,爾飯前疾患総テヲ合スル時 ハ,之vヲ聖明スル家:族ハ112ニシテ,54.10%
±3.36%ナリ.
5.男子149名中家族的素因ヲ有スル者ハ81 名,54.36%±4.08%ニシテ,女子58名子家族的 素因ヲ有スル者ハ31名53.44%±6.54%ニシテ,
性別二依ル差異ハ存セズ.
6.家族二於ケル胃病罹患者ト焚端者ノ血績 關係ヲ見ルニ,父罹病セルモノ31,母罹病セル モノ25,同胞が罹病セルハ50家族,子供が罹病 セルハ28家族,父系祀父母二胃病アルモノ15,
母系租父母二野テハ16,父系傍系二野明スルモ ノハ9家族,母系傍系二誰明スルモノハ8家族 ニシテ,父系母系ノ遺傳二封スルー一一fi的意義ハ ナキモノノ如シ.
7.胃液ノ遊離塵酸ノ態度二依り分類スル口 無酸性胃炎=於テ家族的素因顯著ナリ.
8.遠隔成績ヲ見ルニ,潰瘍ニナレルモノハ
5例,胃癌ニナレルモノハ2例ニシテ,此ノ中 潰瘍トナレル1例ヲ除ケバ総テ家族的素因ヲ有
ス.
9.言様共外観上健康ナル者二尊キ遺傳統計 法ヲ適用スル昌,古屋氏二二依レバMこ21.18
%,E(1n)=:±3.28%,σ=2.3%,:Bernstein氏法 一聯レバ,期待数239,m=±8.83,患者数177,
:LeDz氏四二依レバ1=5.35, Weinberg氏Gesch−
wistermethode二依レバ15.75%, We{nberg氏
:Probandenmethede二選レバ8.19%ナリ.
10.爾親ノー一方胃病二患レル場合二於テハ古 屋氏法=z.依レバM=22・45%,E(m)=±6.15%,
σ=6.39%,:BernsteiD氏法二依レバ,期循鐵128,
1n=±7.37,患者激68,:Lenz諸法二依レバ1:
4.66,Weinberg氏Geschwistermethode =依レバ 18.12%,Weinberg氏Probandenmethode二依レ
バ10.47.%ナリ.
11.家族的素因ヲ有スル者二軍テハ,有セザ ル者ヨリ唾壷年齢ハ早ク,19歳四二嚢病セルモ ノ二野テハ80%ハ家族的素因ヲ讃明シ 60ta以後 二黒病セルモノニ於テハ,家族的素因ヲ讃明ス ル者ハ僅=25%ニシテ,由異観之,若年二初マ ル者程遺傳ノ影響強ク,年齢ノ増加ト共二獲病 ハ條心的外因性傾向ヲ増スモノト思惟ス。
恩師大里教授ヨリハ終始御懇篤ナル御指導ト,
御多忙申ニモ拘ラズ御丁寧ナル御校閲トヲ賜ハル.
稿ヲ終ルニ臨ミ,鼓二満腔ノ謝意ヲ捧グ.
文
1) Aschner, B., Uber Konstitution und Verer−
bung beim Ulcus ventriculi und duodeni. Zeit−
schrift f. Konst. lehre, Bd. 9, 1924, S. 6,
2) Bauer, J. . Aschner, B.; Konstitution und Vererbung bei Ulcus ventriculi und duodeni. ld.
Wschr. 1922. 1. 3) Closs; zit. nach Weitz,
W・ (17)・ 4) Faber, K.; Chronische Gastritis,
speziell die zur Achylie fCihrende. Ergeb. d. inn.
Med. n. Kinderheiil〈unde. Bd. 6, 1910. 5)
Konjetzny;友田正信著,胃潰瘍及ビ十二指腸 潰瘍,1939. 6)駒井卓;日本人ノ遺傳.1934.
7)古屋秀錐;欝學統計法ノ理論ト其慮用.第3版,
1938. 8)木原均;實瞼三栖學,1939. 9)
見玉昌;ワインベルグ氏統計法.精紳神維學雑誌,
昭15,2號, 10)川井銀之助;無酸症ノ蓮命.
浦化器病學,第5巻,第2號. 11)小倉金之助;
統計的研究法.第10版,1939. 12)P16nies,
W.; Die Pathogenese des Ulcus und der Erosionen des Magens, ibre Beeinfltissung durch Geschlecht,
erworbene und ererbte Anlage und ihre Be−
ziehungen zur Prophylaxie. med. Klinik. 1906,
S. 222. 13) Schmidt, R.; Uber die
.konstitutionelle Achylie. med. Klinik jg. 8,
1912, S. 595. 14) Stiller; cit nach E chmidt.
R・(13)・ 15)田申義i轡;遺傳學. 16)
田中幹夫;Achylia gastricaノ統計的観察蚊二心 運命二巴テ.日本消化器病學會雑誌,昭10,第34 k. 17) Weitz, W.; Erbpathplogie. 1940.
18)田中國夫;胃疾患ノ遺傳ト騰質二關スル研究.
第1報,十全會雑誌,第46巻.第7號,
[ 15 )