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静的載荷と疲労載荷(以下,S と F)の 2 条件,環境温度

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月). Ⅴ‑022. 環境温度と含水状態がコンクリートの耐疲労性に及ぼす影響に関する実験的検討 日本大学工学部. 学生会員. ○皆川. 翔平. 日本大学工学部. 正会員. 子田. 康弘. 日本大学工学部. 正会員. 岩城. 一郎. 1. はじめに 鉄筋コンクリート部材の耐疲労性は,部材を構成する鉄筋とコンクリートの疲労強度の影響を受ける.こ のうち,コンクリートの耐疲労性は,含水状態により大きく異なり,特に水中における耐疲労性は気乾状態 よりも低下する. 1). .また,コンクリートの圧縮強度も環境温度の影響を受け,氷点下では強度が増加する. 2). と言われている.しかし,低温環境下において含水状態がコンクリートの耐疲労性に及ぼす影響を体系的に 評価した研究例は極めて少ない現状にある.当研究室では任意の環境温度下で静的および疲労の載荷が可能 な温度制御式万能載荷試験装置を保有している.そこで本研究では,環境温度とコンクリート中の含水状態 に着目した円柱供試体による疲労試験を実施し,コンクリートの耐疲労性を実験的に検討した. 表-1 実験条件 2. 実験概要 表-1 に,実験条件を示す.表より,載荷試験方法は. ID. 静的載荷と疲労載荷(以下,S と F)の 2 条件,環境温度. 載荷試験方法 静的載荷 疲労載荷 S F ○ ○ ○ ○ ○ ○. S-N-d₁ S-N-d₂ S-N-s S-L-d₁ S-L-d₂ S-L-s F-N-d₁ F-N-d₂ F-N-s F-L-d₁ F-L-d₂ F-L-s. を常温と-20℃の低温(以下,N と L)の 2 条件,および コンクリート中の含水状態を乾燥状態の含水率を変え た乾燥状態-1 と乾燥状態-2,および飽水状態(以下,そ れぞれ d1,d2,s)の 3 条件とし,これらを組み合わせ た合計 12 条件を設定した.表-2 に,コンクリートの 配合を示す.水セメント比(W/C)は試験開始時の. ○ ○ ○ ○ ○ ○. 表-2. 目標強度を 24MPa として 69%に設定し,空気量を. コンクリートの配合. Gmax スランプ W/C 空気量 (mm) (cm) (%) (%). 4.5%とした.供試体形状は,φ75mm×150mm の. 20. 円柱供試体であり,コンクリートの打込み後 7 日. -. 69.0. 4.5. 環境温度 含水状態 乾燥-1 乾燥-2 飽水 常温 低温 N L(-20℃) d₁ d₂ s ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. 単位量(kg/m3 ). s/a (%). W. C. S. G. 48.0. 170. 246. 899. 1000. 混和剤 AE減水剤 3.696. 空気量調整剤 0.037. まで水中養生を行い,その後材齢 28 日まで試験室内で静置した.載荷試験は,同一バッチのコンクリートで 温度条件と含水率が同じ S と F を 1 組として扱い,まず S を実施し圧縮強度を確認した後,F を行う方法と した.疲労載荷試験における荷重設定は,S による静的強度の 70%を最大応力とし,最小応力は静的強度の 10%とした.載荷試験における計測項目は,ロードセルによる荷重,ひずみゲージによる圧縮ひずみ,疲労 載荷試験では疲労破壊に至る繰返し載荷回数とした.供試体の含水管理は,予め供試体を水中浸漬し質量が 定常になった状態を飽水状態とし,d2 は飽水状態からの質量減少の管理に加えコンクリート水分計による水 分量減少の管理で含水率 75%を目標とした.なお,d1 の含水率は,概ね 50%であった.載荷試験に際しては, N と L における d2 と s の載荷試験中の水分逸散を防ぐため,供試 試験では,試験前の 24 時間を-20℃環境に静置した.. 3. 実験結果及び考察 図-1 に, 圧縮強度の結果(S)を示す. 図より, N では,d1 が 28.6MPa であり,d2 が 22.3MPa,s が 23.2MPa であり,含水率が高いと見. 圧縮強度(MPa). 体表面にロウを塗布し封かん状態とした.また,L における載荷. 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0. N-d₁ N-d₂. かけの強度が低くなるというコンクリートの特性が表れている.. 図-1 キーワード 連絡先. コンクリートの耐疲労性,環境温度,含水状態 〒963-8642 郡山市田村町特定字中河原 1 TEL 024-956-8721. ‑43‑. N-s. L-d₁. L-d₂. 圧縮強度の結果(S). L-s.

(2) 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月). Ⅴ‑022. 1.E+06. d2 が 36.7MPa,s が 42.3MPa と d1 に対して s は約 1.5 倍の強. 1.E+05. 度と,既往の見解. 2). 繰返し載荷回数(回). これに対して,L では, d1 が 27.3MPa と N と同程度であるが, と同様になり,本試験により妥当な結果. が得られたと判断された.図-2 に,F の結果として破壊時の 繰返し載荷回数を示す.図より,まず F は,回数にばらつき があるため供試体数を増やす予定である.ばらつきを踏まえ. 1.E+04. 1.E+03 1.E+02 1.E+01. 1.E+00. N-d1 を基準として比較すると,N-d1 の約 16,150 回に対して,. N-d₁ N-d₂ N-s. 図-2. N-d2 は 17,300 回〜118,520 回と明確に回数に違いが表れたと. 繰返し載荷回数の結果(F). N-d₁ 3000. 水中疲労と同様に耐疲労性を低下させることがわかる.これ. N-d₂ N-s. 2500 ひずみ(μ). 2,700 回で N-d1 よりも回数が減少傾向にある.L-s は,4 回〜. L-s. 3500. は言い難いが,N-s は 100 回〜2,780 回と減少しており,s は に対して,L-d1 は 17,000 回で N-d1 と変わりないが,L-d2 は約. L-d₁ L-d₂. 2000 1500 1000. 17,210 回と極端にばらつくが,平均を取ると 3,750 回であり,. 500. N-d1 よりも明らかに回数が減少した.このように,S におけ. 0 1.E+00. る L-d2 と L-s の圧縮強度は,N よりも増加するが,L に関し. 1.E+01. 1.E+02 1.E+03 1.E+04 繰返し載荷回数(回). 1.E+05. 1.E+06. 1.E+05. 1.E+06. (a) N の結果. ては静的強度とは反対に耐疲労性が低下する結果を示した. 3500 L-d₁ 3000. や水中とは異なる要因で疲労破壊に至る可能性が示唆された.. 2500. 図-3 に,最大応力作用時の圧縮ひずみと繰返し載荷回数の関 係を(a)N と(b)L としそれぞれ示す.図より,載荷 1 回目のひ. ひずみ(μ). すなわち,氷点下を下回る低温下における疲労作用は,N-s. L-d₂ L-s. 2000. 1500 1000. ずみに多少ばらつきはあるが,まず L-d1 は N と同様であり, d1 の場合は環境温度の影響を受けにくいと考えられる.一方,. 500 0 1.E+00. d2 と s は,N が大凡 700μ前後,L が 1,000μ前後と最大応力 比は同一であってもひずみの値は環境温度で大別された.つ. 図-3. 1.E+01. 1.E+02 1.E+03 1.E+04 繰返し載荷回数(回). (b)L の結果 最大ひずみと繰返し載荷回数. まり,含水率の高いコンクリートは,載荷初期の時点で環境 温度によって作用応力により生じるひずみが異なると示唆され,今後詳細に応力-ひずみ関係を検討する予定 である.繰返し載荷回数の増加によるひずみの増加傾向は,N の場合,疲労破壊に向かって次第にひずみが 大きくなるような傾向であった.これに対して,L の場合は,繰返し載荷回数の増加過程におけるひずみ増 加は N よりも緩やかで疲労破壊近くになりひずみが急増するという傾向を示した.このような結果から L で は円柱供試体中の水分が凍結することで剛性は高くなるが,疲労の蓄積で微細なひび割れが進展し始めると その進展速度は N よりも速い可能性が考えられた.. 4. まとめ 本実験の範囲内では,静的圧縮強度は,乾燥が進むにつれた含水率の低下に伴い常温は増加傾向を,低温 は減少傾向を示し,既往の見解と一致した.一方,耐疲労性は,常温では飽水状態,低温では含水率が比較 的高い状態と飽水状態で耐疲労性の低下が示され,特に低温においては載荷回数に伴いひずみが増加する期 間が比較的短く,急激に疲労破壊へと至る傾向が確認された.今後は 1 条件当たりの供試体数を増やし,そ の再現性を確認するとともに,はりやスラブといった部材レベルにおける環境温度と含水状態の影響を評価 する予定である. 謝辞. 本研究の一部は,JSPS 科研費 24760367 の助成を受けたものです.ここに謝意を表します.. 参考文献. 1)藤本将行・佐藤靖彦・角田興史雄(2000):水中におけるコンクリートの圧縮疲労性状に関する一 考察,コンクリート工学年次論文集,Vo1.22,No.3,pp.205-210 2)土木学会(2013):2012 年制定コンクリート標準示方書[設計編]. ‑44‑.

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